Knocking on the Dream | |
77万円で無重力状態を体験できる |
では現在、宇宙旅行費用はどのくらいになったのだろうか。スペースアドベンチャー社では、さまざまな宇宙体験メニューを用意している。
「Space Ship One が成功したので、2005年には弾道宇宙飛行を実施できると思っていたのです。ところが、Space Ship One は実験用機材なので、商用に用いるには一回り大きな機体を開発するため最短でも 2007年が実施開始の時期になります。ただ、Space Ship One が X-prize を獲得したので、他の開発チームは一刻も早い商業化を狙っており、早まる可能性もあります。現在、『タイタニック』のジェームズ・キャメロン監督なども含めて、世界中で約 100人以上の人が順番待ちをしていると聞いています」
スペースアドベンチャー社では、一番最初に開発した商用宇宙船を使うことにしているので、Space Ship One での宇宙旅行になるとは限らない。横山氏が申し込みを受けた二人は、最初に開発された商用宇宙船に乗って高度 100kmまでの宇宙弾道飛行を体験する。
この宇宙弾飛行では、通常の旅客機の 10倍、高度 100km まで上がって 40~60分の宇宙弾道旅行を飛行し、ガガーリンの見た青い地球を体験できる。費用は 102,000ドル (1,122万円) 、現在世界中で約 100人が申し込んでいる。この他、同社では 77万円で体験できる無重力体験フライトや、国際宇宙ステーションに滞在するプロジェクトなども用意している。
そのために、スペースアドベンチャー社では各国の宇宙政府機関 (NASA、ロシア宇宙局、ガガーリン宇宙センターなど) との緊密なパートナ関係とネットワークを結ぶことで民間宇宙旅行をサポートする。もちろん、安全には十分注意するものの、「これは“アドベンチャー = 冒険旅行”だという点を十分理解した上で申し込んでいただきたい」 (横山氏) とのことだ。
特別な訓練は必要ないということだが、何か制限はないのだろうか。「弾道飛行では 3~4G かかりますが、特別な訓練は必要ありません。ヘルニア、脊椎疾患、心臓疾患 (高血圧) などない 18歳以上の人であれば OK」 (横山氏) だ。夢の宇宙旅行を実現させたい方は、宇宙旅行 スペースアドベンチャー 日本語案内デスクに問い合わせていただきたい。
19世紀の南極旅行がほんの一握りの冒険家しか果たせない夢だったのと同様、20世紀の宇宙旅行は国家プロジェクトの一員として厳しい条件をパスしたほんの一握りの人しか実現できない夢だった。ところが、現在では南極旅行は 100万円前後でできるようになり、宇宙旅行も 1,000万円台で行けるようになった。21世紀に暮らす一般人にとって、宇宙旅行はもはや実現不可能な夢ではなくなった。その夢請負人として、横山氏は宇宙旅行実現に向けたサポート活動を行っている。
そして、宇宙飛行士と地球とのコミュニケーションを密にするという点で、既にシスコの技術が活用されている。2001年、宇宙に長期滞在する宇宙飛行士のために、NASA との協力で宇宙からの私用電話を初めて実現させたのだ。今後、民間で宇宙旅行する人々と地球とのコミュニケーションを、シスコの技術でサポートする日がくるのもそう遠くないかもしれない。