アプリケーション定義の作成
アプリケーション ポリシーを作成する最初の手順では、アプリケーション名や WAAS Central Manager がアプリケーション用の統計情報を収集するかというアプリケーションに関する一般情報を識別するアプリケーション定義を設定します。アプリケーション定義を作成したら、デバイスまたはデバイス グループに割り当てます。WAAS システムには、最大 255 のアプリケーション定義を作成できます。
新しいアプリケーション定義を作成するには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 WAAS Central Manager GUI ナビゲーション ペインから、 [Configure] > [Acceleration] > [Applications] を選択します。
[Applications] ウィンドウが表示され、WAAS システム上のすべてのアプリケーションのリストが表示されますこのウィンドウから、次の作業を実行できます。
• 定義を変更または削除するアプリケーションの横にある [Edit] アイコンをクリックします。
• WAAS システムがアプリケーション用の統計情報を収集するか決定します。アプリケーション用の統計情報が収集される場合、[Monitor Enabled] 列に Yes が表示されます。
• 次の手順の説明に従って、新しいアプリケーション グループを作成します。
タスクバーの [Create New Application] アイコンをクリックします。[Creating Application] ウィンドウが表示されます(図12-3 を参照)。
図12-3 新しいアプリケーションの作成
ステップ 2 このアプリケーションの名前を入力します。
名前にはスペースや特殊文字を入れることができません。
ステップ 3 [Enable Statistics] チェック ボックスを選択して、WAAS Central Manager がこのアプリケーションに関するデータを収集できるようにします。このアプリケーション用のデータ収集を無効にするには、このボックスの選択を解除します。
WAAS Central Manager GUI は、最大 20 のアプリケーション用の統計情報を表示でき、21 番めのアプリケーション用の統計情報を有効にしようとすると、エラー メッセージが表示されます。ただし、WAAS CLI を使用すると、特定の WAAS デバイスにポリシーが存在するすべてのアプリケーション用の統計情報を表示できます。詳細については、『 Cisco Wide Area Application Services Command Reference 』を参照してください。
アプリケーション用の統計情報を収集しているときに統計情報の収集を無効にすることにし、あとで統計情報の収集を再有効化する場合、履歴データは保持されますが、統計情報の収集が無効になっていた間のデータは欠落します。ただし、統計情報を収集しているアプリケーションを削除し、その後にアプリケーションを再作成する場合は、アプリケーション用の履歴データが失われます。アプリケーションを再作成したあとのデータだけが表示されます。
(注) WAAS Central Manager は、アプリケーション ポリシー全体の作成が完了するまで、このアプリケーション用のデータ収集を開始しません。
ステップ 4 (任意) [Comments] フィールドに、説明を入力します。
入力した説明は、図12-3に示す [Applications] ウィンドウに表示されます。
ステップ 5 [Submit] をクリックします。
アプリケーション定義が保存され、ナビゲーション ペインにデバイスまたはデバイス グループにアプリケーションを割り当てることができるオプションが表示されます。
ステップ 6 ナビゲーション ペインで、次のいずれかのオプションをクリックします。
• [Assign Device Groups] ― 1 つまたは複数のデバイス グループにアプリケーションを割り当てます。
• [Assign Devices] ― 1 つまたは複数の WAAS デバイスにアプリケーションを割り当てます。
選択したオプションによって、[Device Groups Assignments] ウィンドウまたは [WAE Assignments] ウィンドウが表示されます。
ステップ 7 このアプリケーションに割り当てるデバイスまたはデバイス グループを選択します。デバイスを選択するには、次のいずれかの手順を使用します。
• タスクバーの をクリックして、使用できるすべての WAAS デバイスまたはデバイス グループを割り当てます。
• 割り当てる各 WAAS デバイスまたはデバイス グループの横にある をクリックします。選択すると、アイコンは に変化します。デバイスまたはデバイス グループの割り当てを解除するには、もう一度アイコンをクリックします。
ステップ 8 [Submit] をクリックします。
選択したデバイスの横にあるアイコンが に変化し、アプリケーションが正常にデバイスに割り当てられたことを示します。
アプリケーション ポリシーの作成
アプリケーション定義を作成したら、指定したトラフィックに WAAS デバイスが実行する処理を決定するアプリケーション ポリシーを作成する必要があります。たとえば、WAAS デバイスが特定のポートまたは特定の IP アドレスに到達するすべてのアプリケーション トラフィックに TCP 最適化および圧縮を適用するアプリケーション ポリシーを作成できます。WAAS システムには、最大 512 のアプリケーション ポリシーを作成できます。
トラフィック一致規則は、アプリケーション分類子に含まれます。一致条件と呼ぶこれらの規則は、TCP ヘッダーのレイヤ 2 およびレイヤ 4 の情報を使用してトラフィックを識別します。
アプリケーション ポリシーを作成するには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 WAAS Central Manager GUI ナビゲーション ペインで、 [My WAN] > [Manage Devices] (または [Manage Device Groups] )を選択します。
ステップ 2 アプリケーション ポリシーを作成するデバイスまたはデバイス グループの横にある [Edit] アイコンをクリックします。
[Device Dashboard] ウィンドウまたは [Modifying Device Group] ウィンドウが表示されます。
ステップ 3 ナビゲーション ペインから、 [Configure] > [Acceleration] > [Policy Definitions] を選択します。
[Application Policies] ウィンドウが表示されます(図12-4 を参照)。
図12-4 [Application Policies] ウィンドウ
このウィンドウは、選択したデバイスまたはデバイス グループに存在するすべてのアプリケーション ポリシーに関する情報を表示します。最後の列は、ポリシーの種類(Basic、WAFS transport、Port Mapper、または Other)とその種類の中でのポリシーの位置を表示します。位置は、WAAS がアプリケーション トラフィックを処理する方法を決定するときにポリシーを参照する順序を決定します。ポリシーの位置を変更するには、「アプリケーション ポリシーの位置の変更」を参照してください。また、このウィンドウは、分類子、アプリケーション定義、および各ポリシーに割り当てられている処理を表示します。
[Application Policies] ウィンドウから、次の作業を実行できます。
• そのポリシーを変更または削除するアプリケーション ポリシーの横にある [Edit] アイコンをクリックします。
• デフォルト ポリシーと分類子を復元します。詳細については、「アプリケーション ポリシーと分類子の復元」を参照してください。
• 次の手順の説明に従って、新しいアプリケーション ポリシーを作成します。
ステップ 4 タスクバーの [Create New Policy] アイコンをクリックして、新しいアプリケーション ポリシーを作成します。
[Creating New Application Policy] ウィンドウが表示されます(図12-5 を参照)。
図12-5 新しいアプリケーション ポリシーの作成
ステップ 5 [Type] ドロップダウン リストから、アプリケーション ポリシーの種類を選択します。
表12-2 で、アプリケーション ポリシーの種類について説明します。
表12-2 アプリケーション ポリシーの種類
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Basic |
標準的な種類のアプリケーション ポリシー。他の種類に該当しない場合、このオプションを選択します。 |
WAFS Transport |
Wide Area File Services(WAFS; 広域ファイル サービス)を有効にすると、Edge WAE とコア クラスタ間を流れるすべての CIFS トラフィックが最適化されます。エッジ デバイスとコア デバイス間を流れる CIFS トラフィックについて(パススルーのような)別の処理を指定するには、 [WAFS Transport ] オプションを選択します。 ファイル サービスを有効にする方法については、「WAFS の設定」を参照してください。 |
EPM |
EPM に基づくアプリケーション用のポリシーの種類。EndPoint Mapper(EPM; エンドポイント マッパー)は、特定のアプリケーションにダイナミックにサーバ ポートを割り当てるサービスです。常に同じポートを使用するほとんどのアプリケーションと異なり、EPM サービスに依存するアプリケーションは、要求ごとに異なるポートを割り当てることができます。 EPM アプリケーションは固定ポートを使用しないため、アプリケーション トラフィックを WAAS システムに識別するために、アプリケーションの UUID を指定する必要があります。 [EPM] オプションを選択すると、設定済みの EPM アプリケーションを選択したり、カスタム アプリケーション用の UUID を入力できるように、UUID フィールドが有効になります。 |
ステップ 6 ポリシーの種類に EPM を選択した場合は、 [UUID] ドロップダウン リストから次のいずれかの EPM アプリケーションを選択します。
• [MAPI] ― MAPI アプリケーションに関連付けられた定義済みの UUID(a4f1db00-ca47-1067-b31f-00dd010662da)を使用します。
• [MS-SQL-RPC] ― SQL Session Manager アプリケーションに関連付けられた定義済みの UUID (3f99b900-4d87-101b-99b7-aa0004007f07)を使用します。
• [MS-AD-Replication] ― Active Directory アプリケーションに関連付けられた定義済みの UUID (e3514235-4b06-11d1-ab04-00c04fc2dcd2)を使用します。
• [MS-FRS] ― ファイル複製サービスに関連付けられた定義済みの UUID (f5cc59b4-4264-101a-8c59-08002b2f8426)を使用します。
• [Custom] ― [Custom] フィールドに、カスタム EPM アプリケーション用の UUID を入力できます。
ステップ 7 次のいずれかを実行して、このポリシーに関連付けるアプリケーションを指定します。
• [Application] ドロップダウン リストから、「アプリケーション定義の作成」で作成したような既存のアプリケーションを選択します。このリストは、WAAS システム上のすべてのデフォルト アプリケーションと新しいアプリケーションを表示します。
既存のアプリケーションを変更するには、ドロップダウン リストからアプリケーションを選択し、 [Edit Application] をクリックします。次に、アプリケーションの名前を変更する、説明を追加または削除する、およびアプリケーション用の統計情報の収集を有効または無効にすることができます。必要な変更を行ったら、 [Submit] をクリックして変更を保存し、[Application Policies] ウィンドウへ戻ります。
• 新しいアプリケーションを作成するには、 [New Application] をクリックします。アプリケーション名の指定、統計情報の収集の有効化、および DSCP マーキング値の指定が可能です。DSCP マーキングに関して、グローバルなデフォルト値の使用を選択するか(デフォルトの DSCP マーキング値の定義を参照)、またはいずれかの他の定義済みの値を選択できます。サポート対象の DSCP マーキング値の説明については、表11-4 を参照してください 表11-4 に示されている値に加えて、copy を選択して、着信パケットからの DSCP 値をコピーし、発信パケットで使用することもできます。アプリケーション詳細を指定したら、 [Submit] をクリックして新しいアプリケーションを保存し、[Application Policies] ウィンドウへ戻ります。新しいアプリケーションは、自動的にこのデバイスまたはデバイス グループに割り当てられます。
ステップ 8 [Application Classifier] ドロップダウン リストから分類子を選択して、このポリシー用の既存の分類子を選択します。
既存の分類子を変更するには、ドロップダウン リストから分類子を選択し、 [Edit Classifier] をクリックします。次に、分類子の名前を変更する、説明を追加または削除する、新しい一致条件を作成する、または既存の一致条件を編集することができます。必要な変更を行ったら、 [Submit] をクリックして変更を保存し、[Application Policies] ウィンドウへ戻ります。
ステップ 9 このポリシー用の新しい分類子を作成するには、 [New Classifier] をクリックします。
新しい分類子を作成できるように、[Creating New Application Classifier] ウィンドウが表示されます。次の手順を実行して、新しい分類子を作成します。
a. このアプリケーション分類子の名前を入力します。名前にはスペースや特殊文字を入れることができません。
b. (任意)図12-4に示す [Application Policies] ウィンドウに表示する説明を入力します。
c. [Configure Match Conditions] セクションで、 [Create New Match Condition] アイコンをクリックします(このページから移動するかどうかを確認するダイアログ ボックスを取得する場合は、 [OK] をクリックします)。[Creating New Match Condition] ウィンドウが表示されます(図12-6 を参照)。
図12-6 新しい一致条件の作成
d. [Match All] チェック ボックスを選択して、すべてのトラフィックと一致する条件を作成します。[Match All] チェック ボックスを選択すると、ウィンドウの他のすべてのフィールドが自動的に無効になります。
e. 送信先または送信元の条件フィールドに値を入力して、特定の種類のトラフィック用の条件を作成します。
たとえば、IP アドレス 10.10.10.2 へ進むすべてのトラフィックと一致するようにするには、[Destination IP Address] フィールドにその IP アドレスを入力します。
(注) IP アドレス範囲を指定するには、送信先または送信元の [IP Wildcard] フィールドにワイルドカード サブネット マスクを入力します。
f. [Update Classifier] をクリックします。[Creating New Application Classifier] ウィンドウへ戻ります。このウィンドウの一番下に、新しい一致条件が表示されます。
g. [Submit] をクリックします。[Creating New Application Policy] ウィンドウへ戻ります。
ステップ 10 [Action] ドロップダウン リストから、定義されたトラフィックに WAAS デバイスが実行する必要がある処理を選択します。 表12-3 で、各処理について説明します。
表12-3 処理の説明
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Passthrough |
TFO、DRE、または圧縮を使用して、WAAS デバイスが、このポリシーに定義されたアプリケーション トラフィックを最適化することを防止します。このポリシーに一致するトラフィックでも、[Accelerate] ドロップダウン リストからアクセラレータを選択すると、加速化することができます。 |
TFO Only |
一致するトラフィックにさまざまな Transport Flow Optimization(TFO; 転送フローの最適化)方式を適用します。TFO 方式には、BIC-TCP、ウィンドウ サイズの最大化と縮尺、および選択的受信確認があります。TFO 機能の詳細な説明については、「TFO の最適化」を参照してください。 |
TFO with Data Redundancy Elimination |
一致するトラフィックに TFO と DRE の両方を適用します。DRE は、WAN 経由で短縮されたデータ ストリームを送信する前に、冗長的な情報を削除します。DRE は、大型データ ストリーム(数十から数百バイト以上)で動作します。 |
TFO with LZ Compression |
一致するトラフィックに TFO と LZ 圧縮アルゴリズムの両方を適用します。LZ 圧縮は DRE と同様に動作しますが、異なる圧縮アルゴリズムを使用してより小型のデータ ストリームを圧縮し、限られた圧縮履歴を維持します。 |
Full Optimization |
一致するトラフィックに TFO、DRE、および LZ 圧縮を適用します。 |
ステップ 11 [Accelerate] ドロップダウン リストから、定義されたトラフィックに WAAS デバイスが実行する必要がある次の追加アクセラレーション処理のいずれか 1 つを選択します。
• [Do Not Set] ― 追加アクセラレーションを行いません。
• [MS Port Mapper] ― Microsoft Endpoint Port Mapper(EPM)を使用して加速化します。
• [CIFS] ― CIFS Accelerator を使用して加速化します。
• [HTTP] ― HTTP Accelerator を使用して加速化します。
• [NFS] ― NFS Accelerator を使用して加速化します。
• [MAPI] ― MAPI Accelerator を使用して加速化します。
• [VIDEO] ― VIDEO Accelerator を使用して加速化します。
ステップ 12 該当する [Position] オプション ボタンをクリックして、次の中からこのアプリケーション ポリシーの位置を選択します。
• [First] ― このポリシーを位置リストの先頭に配置します。WAAS デバイスは、トラフィックを分類するとき、リストの第 2 位ポリシーへ移動する前に、このポリシーを最初に使用します。すでに先頭位置にポリシーがある場合、そのポリシーはリストの第 2 位に下がります。
• [Last] ― このポリシーを位置リストの末尾に配置します。WAAS デバイスは、トラフィックを分類するとき、このポリシーを最後に使用します。すでに末尾位置にポリシーがある場合、そのポリシーはリストの最後から第 2 位になります。
デバイスがリスト内のどのポリシーとも一致しない場合、WAAS デバイスはトラフィックを最適化せずに通過させます。
• [Specific] ― このポリシー用の特定の位置を入力できます。指定した位置にすでにポリシーがある場合、そのポリシーはリスト内で 1 つ下がります。
ステップ 13 (任意)[DSCP Marking] ドロップダウン リストから値を選択し、サポートされている値の説明について表11-4 を参照します。 表11-4 に示されている値に加えて、copy を選択して、着信パケットからの DSCP 値をコピーし、発信パケットで使用することもできます。ドロップダウン リストから [inherit-from-name] を選択した場合、アプリケーション レベルまたはグローバル レベルで定義された DSCP 値が使用されます。
DSCP は、ネットワーク トラフィックに異なるレベルのサービスを割り当てることができる IP パケットのフィールドです。ネットワーク上の各パケットに DSCP コードを付け、対応するサービスのレベルを関連付けて、サービスのレベルを割り当てます。DSCP は、[IP precedence] フィールドと [Type of Service (ToS)] フィールドの組み合せです。詳細については、RFC 2474 を参照してください。
DSCP マーキングは、パススルー トラフィックに適用されません。
アプリケーション レベルで設定された DSCP 値は、アプリケーションに関するすべての分類子に適用されます。ポリシーで設定された DSCP 値は、アプリケーション レベルまたはグローバル レベルで設定された DSCP 値を上書きします。
ステップ 14 [Enabled] チェック ボックスを選択して、このポリシーをアクティブにします。このポリシーを無効にするには、このボックスの選択を解除します。
ステップ 15 [Submit] をクリックします。
[Application Policies] ウィンドウに新しいポリシーが表示されます([Application Policies] ウィンドウ を参照)。