ファイル サービスについて
今日、企業は、国内と海外のさまざまな地域にリモート オフィスを構えています。一般に、これらのリモート オフィスには、ローカル ユーザに必要なデータを保存し、管理するために、独自のファイル サーバがあります。
このような運用には、各リモート オフィスでファイル サーバを購入し、管理し、アップグレードするためにコストがかかるという問題があります。これらのファイル サーバを保守するために、特にサーバの障害に備えてデータを保護するために、膨大なリソースと人員を配置する必要があります。リモート オフィスは、必要なレベルのデータ保証を実現するために、リモート サイトでデータをバックアップし、一般に遠隔の安全な場所まで輸送するための専任のリソースを割り当てる必要があります。このシナリオにリモート オフィスの数(数十、数百、数千など)を掛けると、このような企業データ管理の方法では、コストが急激に増加し、重大なデータのリスクが大幅に増えることがわかります。
このシナリオの論理的な解決策は、データを正しく管理するために必要な設備、訓練を受けた人員、およびストレージ容量が存在する中央の位置へ企業のすべての重要なデータを移動する方法です。データセンターがバックアップや他のストレージ管理設備を提供することで、企業は、社員の生産性とストレージの使用率を改善し、データ保証とセキュリティを強化することができます。
企業のデータセンターとリモート オフィス間の WAN は、帯域幅の制限と大きな遅延により、信頼性が低く、低速になる傾向があります。さらに、WAN には、データセンター ソリューションの実装に対する他の阻害要因があります。
その 1 つは、WAN 経由で動作するファイル サーバ プロトコルです。Windows 用のファイル サーバ プロトコルである Common Internet File System(CIFS)は、LAN 経由で動作するように設計されています。ファイル操作のたびに、クライアントとファイル サーバの間で、複数のプロトコル メッセージが交換されます。この状況は、LAN では意識されませんが、WAN 経由の場合はただちに大きな遅延になります。また、このような大きな遅延により、ファイル サーバ プロトコル自体が停止する場合があります。
ファイル サーバ プロトコルが WAN 経由で正しく機能する場合でも、各トランザクションの間に長い遅延が存在します。通常、これらの遅延により、ワード プロセシング プログラム、イメージ編集プログラム、および設計ツールのようなユーザ アプリケーションがタイムアウトし、正常に動作しなくなる場合があります。
信頼性の低い WAN、ファイル システム プロトコルの互換性、およびユーザ アプリケーションの互換性のような問題は、ユーザ エクスペリエンスに影響し、生産性が低下する使いにくい作業環境の原因になります。
Wide Area Application Service(WAAS)ファイル サービス機能は、ブランチ オフィスのユーザ付近の Edge WAE でデータをキャッシュして、WAN の遅延と帯域幅制限を解決します。このデータ キャッシング方法では、ブランチ オフィスのユーザが WAN を介して LAN と同様の速度で集中管理されたデータにアクセスできます。ソリューションは、いくつかの重要な概念に基づいています。
• WAN の使用を最小限にする:WAN、WAAS を通過する必要がある動作の数を最小限にすると、WAN によって発生する多くの障害からユーザが効率的に保護されます。
• WAN を最適利用する:ファイル サービス機能は、システムが WAN を最適利用できる高度なキャッシング、圧縮、およびネットワーク最適化テクノロジーを使用します。
• ファイル システム プロトコルの意味を維持する:WAAS ソフトウェアは、WAN 経由で独自のプロトコルを使用しますが、標準のファイル システム プロトコル コマンドの意味を完全に維持します。これは、ネットワーク上のデータの統一性と正確性を維持するために重要です。
• ソリューションをユーザに透過的にする:最善のソリューションは、エンドユーザの操作を中断せず、ユーザが業務方法を変更する必要がないソリューションです。WAAS ファイル サービス ソリューションは、サーバ側とクライアント側のいずれにもソフトウェアをインストールする必要がなく、ユーザが新しいことを学習する必要もありません。ユーザには、作業方法を変える必要なくデータセンターの安全を維持できるという利点があります。
WAAS ファイル サービス機能を使用すると、企業は、データを正しく管理するために必要な設備、IT スタッフ、およびストレージ デバイスを提供するデータセンターにファイル サーバを集約できます。図 12-1 に、WAAS ファイル サービスが設定された後の一般的な展開シナリオを示します。
図 12-1 WAAS ファイル サービス ソリューション
ファイル サービス機能の概要
ここでは、WAAS ファイル サービス機能について概説します。内容は次のとおりです。
• 「自動ディスカバリ」
• 「データ一貫性」
• 「データ並列性」
• 「事前配置」
• 「Microsoft 製品との相互運用性」
CIFS トラフィックを加速するには、次の 2 つのアクセラレータのいずれかを使用できます。
• CIFS:CIFS アクセラレータは WAAS バージョン 4.1.1 で導入されました。自動ディスカバリに依存し、設定する必要はなく、CIFS トラフィックを透過的に加速し、ファイルの事前配置をサポートします。また、このアクセラレータでは、クライアントと Windows プリント サーバ間のプリント トラフィックを加速する Windows プリント アクセラレータをサポートします。CIFS アクセラレータはデフォルトでイネーブルになっています。
CIFS トラフィックに対して SMB 1.0 プロトコルをサポートしています。
• SMB:SMB アクセラレータは WAAS バージョン 5.0.1 で導入されました。自動ディスカバリに依存し、CIFS トラフィックを透過的に加速しますが、事前配置または Windows プリント アクセラレータはサポートしていません。このアクセラレータには、特定のニーズに合わせて微調整できる設定オプションがあります。
CIFS トラフィックおよび署名された SMB トラフィックに対して SMB 1.0、2.0、および 2.1 プロトコルをサポートしています。
CIFS アクセラレータと SMB アクセラレータは互換性がなく、WAE で有効にできるのは 1 つのみです。どちらかを有効にすると、他は無効になります。
2 つの異なるアクセラレータは相互運用できないため、ピア WAE の両方では同じアクセラレータ(CIFS または SMB)を使用する必要があります。それらは同じ WAAS ネットワーク内では共存できますが、ピアではない個別のデバイスでのみです。
(注) CIFS アプリケーション アクセラレータは、ISR-WAAS デバイスでは使用できません。
(注) WAAS バージョン 4.4.1 以降では、レガシー モード WAFS はサポートされていません。レガシー WAFS をお使いの場合は、アップグレードする前に、CIFS アクセラレータまたは SMB アクセラレータに移行してください。
自動ディスカバリ
自動検出機能では、WAAS Central Manager で個々のファイル サーバを登録せずに、CIFS を有効にできます。自動ディスカバリ機能により、WAAS は、CIFS 要求を受信すると、自動的に新しいファイル サーバを検出し、そのファイル サーバに接続しようとします。
データ一貫性
WAAS ソフトウェアは、相互に関係のある 2 つの機能を使用して、システム全体のデータ整合性を保証します。その 1 つは、データの最新性を管理する 一貫性 です。もう 1 つは、複数のクライアントによるデータ アクセスを制御する 並列性 です。
複数の位置で複数のコピーを維持すると、そのうちのいくつかのファイルが変更される可能性が増し、他のファイルとの一貫性が失われます。一貫性の意味は、鮮度の保証(コピーが最新であるかどうか)、オリジン ファイルサーバから、または逆方向のアップデートの伝搬を行うために使用されます。
WAAS ソフトウェアは、組み込み一貫性ポリシーに次の一貫性の意味を適用します。
• サイト内の厳格な CIFS 同じ動作:同じキャッシュのユーザは常に標準の厳格な CIFS の一貫性の意味を保証されます。
• CIFS を開くときのキャッシュ検証:CIFS では、ファイルを開く操作は、ファイル サーバへパススルーされます。一貫性を守るため、WAAS ソフトウェアは、ファイルを開くたびにファイルの最新性を検証し、ファイル サーバのファイルが更新されている場合、キャッシュされたファイルを無効にします。
WAAS ソフトウェアは、キャッシュ内のファイルのタイム スタンプとファイル サーバ上のファイルのタイム スタンプを比較して、データを検証します。タイム スタンプが同一の場合、Edge WAE 上のキャッシュされたコピーは有効と見なされ、ユーザは Edge WAE キャッシュからファイルを開くことを許可されます。
タイム スタンプが異なる場合、Edge WAE は、キャッシュからファイルを削除し、ファイル サーバに最新のコピーを要求します。
• キャッシュの予防的アップデート:WAAS ソフトウェアは、Edge WAE でキャッシュされているデータの最新性を維持するために、CIFS 環境での変更通知の使用をサポートしています。
クライアントがディレクトリまたはファイルを変更すると、Edge WAE は、ファイル サーバへ変更通知を送信します。次に、ファイル サーバは、変更されたディレクトリとファイルのリストを含む変更通知をすべての Edge WAE へ送信します。変更通知を受信すると、各 Edge WAE は、キャッシュ内の通知にリストされているディレクトリとファイルを無効にし、最新バージョンでキャッシュをアップデートします。
たとえば、ユーザが既存の Word 文書を編集し、Edge WAE キャッシュに変更を保存すると、Edge WAE は、ファイルが変更されたことを知らせる変更通知をファイル サーバへ送信します。次に、Edge WAE は、変更されたセクションをファイル サーバへ送信し、ファイル サーバは予防的に変更通知をネットワーク内の他の Edge WAE へ送信します。次に、これらの Edge WAE は、すべてのアクセス ポイント全体でファイルが一貫するようにキャッシュをアップデートします。
このプロセスは、ディレクトリの名前を変更する、新しいサブディレクトリを追加する、ファイルの名前を変更する、またはキャッシュされたディレクトリに新しいファイルを作成するときにも適用されます。
• CIFS を閉じるときのフラッシュ:CIFS では、ファイルを閉じる操作は、すべての書き込みバッファをファイル サーバにフラッシュし、すべてのアップデートがファイル サーバに伝達されたあとでは、閉じる要求だけが許可されます。一貫性の観点から、ファイルを開くときの有効性とファイルを閉じるときのフラッシュとの組み合わせにより、OS を介してハードウェアにアクセスするアプリケーション(Microsoft Office など)がセッションとして動作することが保証されます。WAAS ネットワークでは、開く、ロック、編集、ロック解除、および閉じるコマンドが正しく動作することが保証されます。
• 経過時間に基づくディレクトリの検査(CIFS):ディレクトリは、設定済みの経過時間に関連付けられています。経過時間が経過すると、Edge WAE キャッシュはディレクトリを再検査します。
ユーザが最初にディレクトリの内容を表示しようとしたときに、Edge WAE はファイル サーバがディレクトリのアクセス コントロール リスト(ACL)を使用して許可チェックを実行できるようにします。ACL にはユーザとグループの権限が保存されています。Edge WAE はユーザがアクセスしたディレクトリや、ファイル サーバがアクセスを許可されているかどうかを監視します。ユーザが短時間(経過時間)の間に同じディレクトリにアクセスしようとした場合、Edge WAE ファイル サーバにアクセスせず、代わりにキャッシュされたアクセス権を使用してユーザにアクセスを提供するかどうかを決定します。経過時間が経過すると、Edge WAE はファイル サーバにアクセスして、キャッシュされたユーザのアクセス権を更新します。
この許可プロセスは、ユーザがファイル サーバでアクセスする許可を持っていないキャッシュ内のディレクトリやファイルにアクセスすることを防止します。
データ並列性
並列性制御は、複数のユーザがキャッシュされた同じデータに読み取り、書き込み、またはその両方のアクセスを行うときに重要です。並列性制御は、ファイル システム ロックを確立および削除して、このアクセスを同期化します。このファイル ロック機能は、データ整合性を保証し、次の利点があります。
• クライアントは、リモート ファイル サーバからデータを取得しなくてもよいように、積極的にファイル データをキャッシュできます。
• 既存の CIFS クライアント実装で動作する多くのアプリケーションのパフォーマンスを改善します。
• 一度に 1 人のユーザだけがファイルのセクションを変更できるので、データ整合性が維持されます。
WAAS ソフトウェアは、ネットワーク帯域幅を使用して WAN 経由でファイル サーバでデータの読み取りや書き込みを実行する代わりに、ローカル キャッシュで安全にデータの読み取りや書き込みを実行できるように、ユーザがファイルをロックできる CIFS oplock 機能をサポートしています。oplock を使用すると、ユーザは、他のユーザがファイルにアクセスしていないことがわかっているため、キャッシュされたデータが古くなることなく、事前に先行読み出しデータをキャッシュできます。また、ユーザは、ローカル キャッシュにデータを書き込むことができ、ファイルを閉じるまで、または別のユーザが同じファイルを開くように要求するまで、ファイル サーバをアップデートする必要がありません。
oplock は、ファイルだけに適用されます。ファイル サーバは、ディレクトリと名前付きパイプに oplock 要求を許可しません。
ファイル ロック プロセス
ユーザがファイルを開くと、ロック要求がファイル サーバへ送信されます。Edge WAE は、ユーザからファイル サーバへのすべてのロック要求とファイル サーバからユーザへのすべての応答を代行受信し、転送します。他のユーザがファイルにロックを設定していない場合、ファイル サーバは、ユーザが安全にファイルをキャッシュできるように排他ロック要求を許可します。
別のユーザが同じファイルを開くように要求すると、次の処理が実行されます。
1. ファイル サーバは、最初のユーザが取得した排他的ファイル ロックを取り消します。
2. 最初のユーザは、次の処理を実行します。
– キャッシュに保存されたファイルの変更をファイル サーバにフラッシュします。この処理により、ファイルを開く 2 番めのユーザがファイル サーバから最新の情報を受信することが保証されます。
– 別のユーザがファイルを開いたためにそのデータの最新性が保証されないため、ファイル用の先行読み出しバッファを削除します。
3. ファイル サーバで、2 番めのユーザがファイルを開くことができます。
事前配置
事前配置機能を使用すると、システム管理者は、頻繁に使用するファイルを中央のストレージから選択した Edge WAE のキャッシュに事前に「配置」できます。これにより、ユーザは最初からファイルに高速アクセスでき、使用可能な帯域幅の使用効率が上昇します。WAAS Central Manager GUI から事前配置ディレクティブを作成します。
エンド ユーザが Edge WAE キャッシュにないファイルを開こうとすると、Edge WAE は、ファイルが保存されているファイル サーバから WAN 経由でファイルを取得します。事前配置は、管理者が、定義済みのスケジュールに従って、頻繁にアクセスされる大型ファイルをファイル サーバから選択した Edge WAE キャッシュへ保存できる機能です。事前配置を適切に行うことで、管理者は、ユーザがこれらのファイルに初めてアクセスするときでも、キャッシュ レベルのパフォーマンスを利用可能にすることができます。事前配置は、ネットワークがアイドル状態にあるときに(夜間など)重い内容を転送し、日中は他のアプリケーションに帯域幅を解放して、WAN 帯域の使用率を改善します。
WAAS Central Manager GUI では、管理者が複数の重複している事前配置ポリシー(それぞれが独自のスケジュールを持つ)、ターゲット Edge WAE のリスト、定義済みの時間とサイズの制約を作成できます。
事前配置には、複数のルートを設定する機能も含まれます。「新しい事前配置ディレクティブの作成」を参照してください。
(注) CIFS アクセラレータのみが事前配置をサポートしています。
Microsoft 製品との相互運用性
WAAS ファイル サービス機能は、次の Microsoft CIFS 機能と相互運用しています。
• ユーザ認証と許可用の Active Directory
• Microsoft CIFS のオフライン フォルダ
• Microsoft DFS インフラストラクチャ
• 「共有フォルダ用の Windows シャドウ コピー」の説明に従う共有フォルダ用の Windows シャドウ コピー
共有フォルダ用の Windows シャドウ コピー
WAAS ファイル サービスは、Windows Server 2003/2008 オペレーティング システムの一部である共有フォルダ用のシャドウ コピー機能をサポートしています。この機能は、Microsoft Volume Shadow Copy Service を使用して、ユーザが前バージョンのフォルダやファイルを簡単に表示できるように、ファイル システムのスナップショットを作成します。
WAAS 環境では、ユーザは、ネイティブ Windows 環境と同様に、キャッシュからフォルダまたはファイルを右クリックし、[Properties] > [Previous Version] を選択して、シャドウ コピーを表示します。
機能の制限事項を含む共有フォルダ用のシャドウ コピーの詳細については、Microsoft Windows Server 2003/2008 の資料を参照してください。
ユーザは、Edge WAE 上のシャドウ コピー フォルダにアクセスするとき、ファイル サーバ上のネイティブ環境と同じ作業を実行できます。これらの作業は、次のとおりです。
• シャドウ コピー フォルダの参照
• シャドウ コピー フォルダの内容のコピーまたは復元
• シャドウ コピー フォルダ内のファイルの表示およびコピー
共有フォルダ機能用のシャドウ コピーは、次の作業をサポートしていません。
• シャドウ コピー ディレクトリの名前の変更または削除
• シャドウ コピー ディレクトリ内のファイルの名前の変更、作成、または削除
サポートされるサーバおよびクライアント
WAAS は、次のファイル サーバで共有フォルダ用のシャドウ コピーをサポートしています。
• Windows Server 2008 および Windows Server 2008 R2
• Windows Server 2003(SP1 付き、SP1 なし)
• NetApp Data ONTap バージョン 6.5.2、6.5.4、7.0、および 7.3.3
• EMC Celerra バージョン 5.3、5.4、および 5.6
WAAS は、次のクライアントの共有フォルダ用のシャドウ コピーをサポートしています。
• Windows 7
• Windows Vista
• Windows XP Professional
• Windows 2000(SP3 以降)
• Windows 2003
(注) Windows 2000 および Windows XP(SP2 なし)クライアントでは、共有フォルダ用のシャドウ コピーをサポートするために、前バージョンのクライアントをインストールする必要があります。
ファイル サービスの設定
CIFS トラフィックを加速するために、次のトピックの説明に従って、CIFS アクセラレータまたは SMB アクセラレータを有効にし設定することができます。
• 「CIFS アクセラレータの設定」
• 「SMB アクセラレータの設定」
CIFS アクセラレータの設定
CIFS アクセラレータは自動ディスカバリに依存し、設定する必要はなく、CIFS トラフィックを透過的に加速します。
表 12-2 に、CIFS アクセラレータを設定するために完了する必要がある手順の概要を示します。
表 12-2 CIFS アクセラレータを設定するためのチェックリスト
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ファイル サービスを準備する。 |
WAAS デバイスでファイル サービスを有効にし、設定する前に、完了する必要がある作業を提供します。詳細については、「ファイル サービスの準備」を参照してください。 |
CIFS アクセラレーションを有効化する。 |
透過的 CIFS アクセラレータを有効化します。詳細については、を参照してください。 |
(任意)ダイナミック共有を識別する。 |
エクスポートされたファイル サーバで、ダイナミック共有を識別します。ファイル サーバがアクセス ベースの列挙(ABE)を使用してユーザに共有のさまざまなビューを提供する場合、WAAS Central Manager でダイナミック共有を設定する必要があります。 詳細については、「CEFS アクセラレータのダイナミック共有を作成」を参照してください。 |
(任意)事前配置ディレクティブを作成する。 |
エクスポートされたファイル サーバから Edge WAE キャッシュへどのファイルを予防的にコピーするかを定義します。詳細については、「事前配置ディレクティブについて」を参照してください。 |
(注) CIFS アプリケーション アクセラレータは、ISR-WAAS デバイスでは使用できません。
CEFS アクセラレータのダイナミック共有を作成
多くのファイル サーバが、複数ユーザがユーザのクレデンシャルに基づいて自動的に別のディレクトリにマップされる同じ共有にアクセスできるダイナミック共有を使用します。一般に、ダイナミック共有は、ファイル サーバでユーザ ホーム ディレクトリを設定するために使用されます。たとえば、ファイル サーバでダイナミック共有として Home という名前のディレクトリを設定できます。この共有にアクセスする各ユーザは、自動的にそれぞれの個人用ディレクトリへリダイレクトされます。
ファイル サーバにダイナミック共有が含まれる場合、またはアクセス ベースの列挙(ABE)を使用している場合は、このセクションの説明に従って、そのダイナミック共有を WAAS Central Manager に登録する必要があります。
WAAS Central Manager でダイナミック共有を指定すると、各ユーザが共有を異なるビューで表示できるようになります。Windows Server で設定した場合には、ABE 操作が可能になります。
(注) WAAS Central Manager でのダイナミック共有の設定により、CLI を使用して WAE デバイスで直接設定されたダイナミック共有設定が上書きされます。
ダイナミック共有を追加する前に、次の制限事項に注意してください。
• 各ダイナミック共有は、ファイル サーバで一意でなければなりません。
• 事前配置ディレクティブを持つダイナミック共有は、追加できません。ダイナミック共有を追加する前に、事前配置ポリシーを削除する必要があります。
• WAAS Central Manager GUI を使用すると、ダイナミック共有として任意のディレクトリを定義できます。ただし、ファイル サーバでダイナミック共有としてディレクトリを設定しないと、すべてのユーザが同じディレクトリから同じ内容を読み取り、または書き込みを行います。クレデンシャルに基づいて異なるディレクトリへリダイレクトされません。
CIFS アクセラレータのダイナミック共有を追加するには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 WAAS Central Manager メニューから、[Configure] > [CIFS File Services] >[Dynamic Shares] を選択します。
ダイナミック共有のリストが表示されます。[Dynamic Shares] ウィンドウに設定されているすべてのダイナミック共有が示されます。このウィンドウから、次の作業を実行できます。
• 共有の横にある [Edit] アイコンをクリックして、既存のダイナミック共有の設定を編集します。ダイナミック共有を削除したり、任意のダイナミック共有設定を変更できます。
• 次の手順の説明に従って、新しいダイナミック共有定義を追加します。
ステップ 2 タスクバーの [Create New Dynamic Share] アイコンをクリックして、新しいダイナミック共有を追加します。[Creating a new Dynamic Share] ウィンドウが表示されます
ステップ 3 [Name] フィールドに、ダイナミック共有の名前を入力します。
ダイナミック共有名では、/ \ : * ? " < > | はサポートされていません。
[Assigned Domain] ドロップダウン リストから、ダイナミック共有に割り当てる WAAS ドメインを選択します。この WAAS ドメインにも割り当てられている管理者だけが、ダイナミック共有設定への編集権限を持ちます。このドメインはダイナミック共有へのクライアントのアクセスに影響を与えません。
(注) WAAS ドメインは、DNS ドメインまたは Windows ドメインと同じではありません。WAAS ドメインの詳細については、「ドメインの操作」を参照してください。
この種類の WAAS ドメインはエンティティを使用しません WAAS ドメインを定義するときに、[Entity Type] は [None] を選択します。ダイナミック共有設定を編集する必要がある各 WAAS 管理ユーザに WAAS ドメインを割り当てる必要があります(「ユーザ アカウントへのドメインの割り当て」を参照)。
ステップ 4 [File Server] フィールドで、ダイナミック共有を持つファイル サーバの名前または IP アドレスを入力します。
ファイル サーバ名を指定した場合は、Edge WAE が IP アドレスに解決します。
ドロップダウン リストには登録したファイル サーバが表示されます。
ステップ 5 [User Name]、[Password]、および [Confirm Password] の各フィールドでは、ファイル サーバのユーザ名およびパスワードのクレデンシャルを入力します。ユーザ名が Windows ドメイン内に存在する場合、domain\username のように [User name] フィールドの一部としてドメイン名を指定します。
これらのクレデンシャルは、[Browse] ボタンをクリックしたときにファイル サーバにアクセスするためだけに使用されます。
ステップ 6 [Share Name] フィールドで次のいずれかの作業を実行して、ダイナミック共有の位置を指定します。
• ファイル サーバでダイナミック共有の名前を入力します。次の文字は、共有名に使用できません。\ / : * ? " < > |
• [Share Name] フィールドの横にある [Browse] をクリックして、正しいルート ディレクトリまでナビゲートします。
(注) WAAS Central Manager に登録済みで、有効な CIFS アクセラレータが搭載された WAE デバイスが 1 つ以上存在している場合のみ、[Browse] ボタンが表示されます。
ステップ 7 共有のステータスが enabled(有効)に設定されていることを確認します。ステータスを disabled(無効)に変更すると、共有は WAAS 環境でのダイナミック共有として設定されません。
ステップ 8 [Submit] をクリックします。
これで、指定したディレクトリは、Edge WAE キャッシュ上のダイナミック共有として機能します。
事前配置ディレクティブについて
事前配置ディレクティブを使用すると、どのファイルを CIFS ファイル サーバから選択した Edge WAE のキャッシュへ事前にコピーする必要があるかを決定できます。事前配置を使用すると、WAN のアイドル時間を利用して、頻繁にアクセスされるファイルを選択した WAE へ転送できます。そのため、ユーザは、これらのファイルに初めてアクセスするときでも、キャッシュ レベルのパフォーマンスを利用できます。
事前配置は、透過的 CIFS アクセラレータの場合に自動検出されたファイル サーバでサポートされます。
事前配置ディレクティブを定義するときは、ファイル サーバからの内容を事前に配置する Edge WAE を選択し、事前に配置するファイル サーバ上のルート ディレクトリを指定します。当初、事前配置ディレクティブは、未スケジュール状態にあります。また、内容を事前に配置する日時と周期を決定するスケジュールを作成する必要があります。内容を定期的に事前配置できるため、作業の反復ごとに指定したすべてのファイルをコピーするか、指定した周期の間に変更されたファイルだけをコピーするかを指定できます。
さらに、事前配置作業が WAN 帯域幅や Edge WAE キャッシュ空間を過剰に使用しないように、時間とサイズの制限を指定できます。これらの制限を使用して、ネットワーク効率を最適化し、この機能の誤用を防止することを強く推奨します。
事前配置ディレクティブがアクティブになる時刻になると、Edge WAE で事前配置作業が開始します。WAAS Central Manager GUI で、処理中および処理後に各事前配置作業をモニタできます。必要に応じて、アクティブな事前配置作業を停止することもできます。
事前配置では、ファイル サーバにアクセスするために必要なユーザ名およびパスワードを指定する必要があります。これらの項目は、次の手順に従って [Creating New Preposition Directive] ウィンドウで直接指定できます。
(注) 事前配置の更新情報が Central Manager に送信されたときに、いずれかの事前配置ファイルサーバのクレデンシャルを復号化できない場合、以降のすべての事前配置の更新情報は WAE から Central Manager に送信されません。復号化の失敗を示すエラーメッセージが、errorlog/cms_log.current に記録されます。事前配置クレデンシャルを再設定する必要があります。
事前配置には、複数のルートを設定する機能も含まれます。「新しい事前配置ディレクティブの作成」を参照してください。
事前配置を使用する場合は、ブランチ オフィスの WAE とデータセンター WAE の両方が必要です(他の高速トラフィックでも同様です)。ブランチ WAE は最適化された接続を介して、事前配置されたファイルを取得します。次のネットワーク エンティティ間の接続を確認します。
• クライアントとブランチ オフィスの WAE
• ブランチ オフィスの WAE とデータセンターの WAE
• ブランチ オフィスの WAE とファイル サーバ
• データセンターの WAE とファイル サーバ
事前配置トラフィックをブロックする可能性のあるすべての ACL を変更する必要があります。
(注) 事前配置ディレクティブは、CLI を使用して作成し、管理できますが、Central Manager GUI を使用することを推奨します。Central Manager では、WAE のグループの事前配置を管理できるからです。GUI 設定と CLI 設定の両方を使用すると、1 つのデバイスへの変更が他のデバイスに影響する可能性があるので、予測できない結果になることがあります。
次のトピックでは、事前配置ディレクティブを作成し管理する方法について説明します。
• 「新しい事前配置ディレクティブの作成」
• 「事前配置ディレクティブへの Edge デバイスの割り当て」
• 「新しい事前配置スケジュールの作成」
• 「事前配置ステータスの確認」
• 「事前配置作業の開始と停止」
新しい事前配置ディレクティブの作成
事前配置ディレクティブを作成するには、次の手順に従ってください。
ステップ 1
WAAS Central Manager メニューから、[Configure] > [CIFS File Services]
> [Preposition]
を選択します。
[Preposition Directives] ウィンドウが表示されます。このウィンドウは、システムに存在する事前配置ディレクティブに関する次の情報を表示します。
• [Preposition Directive]:事前配置ディレクティブの名前。
• [Type]:事前配置ディレクティブがすべてのファイルに影響する(Full)か、最後の事前配置作業の後で変更されたファイルだけに影響する(Differential)か。
– Full の場合、作業のフィルタと一致するすべてのファイルおよびファイル サーバで検出されたすべてのファイルが Edge に送信され、キャッシュと比較されます。
– Differential の場合、最後に正しく事前配置された後に変更されたファイルだけが Edge キャッシュに送信されます。最後に正しく事前配置された時刻は Edge デバイスから取得されるので、Edge デバイスのクロックとファイル サーバのクロックが同期していることを確認してください。最初は常に完全スキャンされます。事前配置作業を変更すると、最後に正しくスキャンされた時刻がリセットされます。
– Since の場合、指定された期間内で変更されたファイルだけが Edge キャッシュに送信されます。
• [Status]:事前配置ディレクティブが有効であるか、無効であるか。
• [File Server]:エクスポートされたファイル サーバの名前。
[Preposition Directive] ウィンドウから、次の作業を実行できます。
• ディレクティブの横にある [Edit] アイコンをクリックして、既存の事前配置ディレクティブの設定を編集します。次に、事前配置ディレクティブを削除したり、任意の設定を変更できます。
• 次の手順の説明に従って、新しい事前配置ディレクティブを追加します。
ステップ 2 タスクバーの [Create New Preposition Directive] アイコンをクリックして、新しい事前配置ディレクティブを作成します。
[Creating New Preposition Directive] ウィンドウが表示されます (図 12-2 を参照)。
図 12-2 [Creating New Preposition Directive] ウィンドウ
ステップ 3 ディレクティブの名前を入力します。名前では、二重引用符(")を使用できません。
ステップ 4 [Status] ドロップダウン リストで [enabled] または [disabled] を選択します。無効にしたディレクティブは、有効になりません。
ステップ 5 (任意)提供されるフィールドを使用して、時間とサイズの制限を定義します。
表 12-3 で、時間とサイズを制限するフィールドについて説明します。
表 12-3 事前配置の時間とサイズの制限
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Total Size as % of Cache Volume |
ファイルを事前配置する Edge WAE キャッシュ全体が消費できる比率(%)。たとえば、この事前配置ディレクティブの使用量を WAE キャッシュの 30% に制限するには、このフィールドに 30 と入力します。デフォルト値は 5 パーセントです。 事前配置で定義したキャッシュの比率により、キャッシュに保存されているサイズにかかわらず 1 回の作業で事前配置できる最大サイズが定義されます。 キャッシュが満杯の場合は、理由を問わず、オンデマンド キャッシングのような事前配置が行われます。つまり除去プロセスが開始され、ファイルは、最後のアクセス時刻が古い順にキャッシュから削除されます。 |
Max File Size |
エクスポートできる最大ファイル サイズ。この値を超えるファイルは、WAE キャッシュへエクスポートされません。 |
Min File Size |
エクスポートできる最小ファイル サイズ。この値より小さいファイルは、WAE キャッシュへエクスポートされません。通常の WAAS を通じて WAN 経由で迅速に取得できるため、20 KB 未満のファイルを事前に配置することは効率的でありません。 デフォルト値は 20KB です。 |
Duration |
WAAS がファイル サーバをエクスポートする最大時間。WAAS がファイル サーバをエクスポートするのにこの時間を超えると、すべてのファイルが Edge WAE キャッシュへコピーされる前に、WAAS はエクスポート プロセスを停止します。 事前配置作業が予定時刻に開始されない場合(たとえば Edge と Core が接続されていない場合)、この時間中は開始が試行されます。 このフィールドに値を指定しないと、WAAS は、必要な時間をかけてこのファイル サーバをエクスポートします。 |
Type |
スキャン プロセスの時間フィルタ。[Type] ドロップダウン リストから、次のいずれかのオプションを選択します。 • [All Files]:すべてのファイルを Edge WAE キャッシュへエクスポートします。これがデフォルト設定です。 • [Files changed since last preposition]:最後の事前配置以後に変更されたファイルだけを Edge WAE キャッシュへエクスポートします。この遅延フィルタは、2 回目以降の作業に適用されます。 このオプションを指定すると、新しいディレクトリが最後の修正時刻が変更されずに事前配置済みのディレクトリに移動された場合、次の事前配置セッションではこの新しいディレクトリは事前配置されません。 • [Files changed since last]:指定した時間内に変更されたファイルだけをエクスポートします。過去 2 時間にファイル サーバで行われたファイル アップデートをエクスポートする場合は、提供されるフィールドに 2 を入力し、ドロップダウン リストから [hour] を選択します。 |
(注) 事前配置作業中にいずれかの制限値を超えると、作業が停止し、メッセージが管理者ログへ送信されます。残っているファイルは、次回の作業中にエクスポートされます。その前にユーザが残っているファイルの 1 つを要求すると、通常のように WAAS ソフトウェアを通じて WAN 経由で取得されます。
ステップ 6 (任意)ファイル サーバに表示されないディレクトリを事前配置しない場合は、[Ignore Hidden Directories] チェックボックスを選択します。このチェックボックスは、デフォルトでオフになっています。このチェックボックスが未選択のままであれば、表示されないディレクトリは事前配置されます。
ステップ 7 [File Server] フィールドで、エクスポートするファイル サーバの名前を入力します。名前では、二重引用符(")またはフォワード スラッシュ(/)を使用しないでください。
ステップ 8 [Location] ドロップダウン リストから、ファイル サーバにブラウジング サービスを提供するデバイスの位置を選択します。通常は、データセンター WAE です。最高のブラウジング パフォーマンスを得るため、ファイル サーバに近接する位置を指定します。この位置は参照だけに使用されます。各 Edge WAE は、事前配置されるファイルをこの位置からではなく、ファイル サーバから直接取得します。位置を定義する方法の詳細については、「デバイス位置の操作」を参照してください。
ステップ 9 [User Name]、[Password]、および [Confirm Password] の各フィールドでは、ファイル サーバのユーザ名およびパスワードのクレデンシャルを入力します。ユーザ名が Windows ドメイン内に存在する場合、domain\username のように [User name] フィールドの一部としてドメイン名を指定します。
入力したアクセス クレデンシャルによって事前配置のルート ディレクトリおよびその親ディレクトリへの読み取りアクセスが許可される必要があります。
ステップ 10 (任意)事前配置トラフィックに DSCP マーキング値を指定する場合は、[DSCP value for high priority messages] チェックボックスを選択します。ドロップダウン リストから DSCP 値を選択するか、テキスト フィールドに 0 ~ 63 の数値を入力します。
DSCP は、ネットワーク トラフィックに異なるレベルのサービスを割り当てることができる IP パケットのフィールドです。ネットワーク上の各パケットに DSCP コードを付け、対応するサービスのレベルを関連付けて、サービスのレベルを割り当てます。DSCP は、IP precedence フィールドとタイプ オブ サービス(ToS)フィールドの組み合わせです。詳細については、RFC 2474 を参照してください。
ステップ 11 [Root Share and Directory] フィールドに、エクスポートするファイル サーバ上のディレクトリを入力します。次の任意の方法を使用して、ディレクトリを識別します。
• protocol :// server / share or server\share の形式で、1 つまたは複数のディレクトリ パスを手動で入力します。たとえば、cifs://win12srv/home または win12srv\home です。複数のディレクトリを複数の行で入力することもできます。その場合は、それぞれの行にそれぞれのフル ディレクトリ パスを入力します。ルート ディレクトリ(/)は、共有ルートとして指定できません。
複数ルートの共有を定義する場合は、単一のルート設定を行う一連の事前配置をルートごとに反復します。
• [Browse] ボタンをクリックして、ファイル サーバ上のディレクトリを参照します。ディレクトリの中に移動するには、ディレクトリ名の左にあるファイル フォルダ アイコンをクリックします。エクスポートするディレクトリの横にあるチェックボックスを選択し、[Select Directory] ボタンをクリックします。ウィンドウが表示され、複数のディレクトリが選択できます。
[Location] ドロップダウン リストからファイル サーバに最も近接する CIFS アクセラレータの位置を選択した場合に、ブラウズ機能が最高の動作を行います。位置を選択しない場合、CIFS アクセラレータが有効であるすべてのデバイスにブラウズ要求が送信され、要求がタイムアウトとなる可能性があります。
• [Include Sub Directories] チェックボックスを選択して、指定したルート ディレクトリの下にあるすべてのサブディレクトリを含めます。このオプションを指定しない場合は、指定したルート ディレクトリのフィールドだけが事前配置され、表示中にサブディレクトリを指定できません。
• [File Name] ドロップダウン リストからパターン演算子を選択し、隣接するテキスト ボックスにパターンを記述する文面を入力して、特定のファイルの種類までポリシー定義を絞り込みます。たとえば、 ends with .doc と入力します。スペースまたは次の特殊文字は使用しないでください。
| : > < " ?* / \
ステップ 12 [Submit] をクリックします。
ディレクティブが保存され、ウィンドウの上部に追加タブが表示されます。
事前配置ディレクティブへの Edge デバイスの割り当て
事前配置ディレクティブを作成したら、Edge WAE またはデバイス グループをディレクティブに割り当てる必要があります。この作業は、どの Edge WAE が事前配置内容をキャッシュに保存するかを決定します。
(注) 事前配置には、複数のルートを設定する機能も含まれます。「新しい事前配置ディレクティブの作成」を参照してください。
Edge WAE またはデバイス グループを事前配置ディレクティブに割り当てるには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 WAAS Central Manager メニューから、[Configure] > [CIFS File Services] > [Preposition] を選択します。
[Preposition Directives] ウィンドウが表示され、システムに存在する事前配置ディレクティブが表示されます。
ステップ 2 Edge WAE またはデバイス グループに割り当てたい事前配置ディレクティブの横にある [Edit] アイコンをクリックします。
ステップ 3 ウィンドウの一番上にある次のタブのうち、いずれかをクリックします。
• [Assign Edge Devices]:このディレクティブに割り当てる 1 つまたは複数の Edge WAE を選択できます。
• [Assign Edge Groups]:このディレクティブに割り当てるデバイス グループを選択できます。
選択したオプションに応じて、[Edge Device Assignments] ウィンドウまたは [Device Groups Assignments] ウィンドウが表示されます。
いずれのビューでも、割り当てウィンドウでは、リスト内の項目のビューをフィルタできます。フィルタにより、設定した基準に一致するリスト内の項目を見つけることができます。
ステップ 4 次のいずれかを実行して、この事前配置ディレクティブに割り当てる Edge WAE またはデバイス グループを選択します。
• タスクバーの をクリックして、使用できるすべての Edge WAE またはデバイス グループをこのディレクティブに割り当てます。
• このディレクティブに割り当てる各 Edge WAE またはデバイス グループの横にある をクリックします。選択すると、アイコンは に変化します。
(注) デバイスまたはデバイス グループはオフラインである(で識別される)場合、そのデバイスまたはグループをこのディレクティブに割り当てることができません。デバイス グループに割り当てられた事前配置ディレクティブは、その割り当てられたデバイス グループ内の接続先 Edge デバイスにだけ適用されます。
CIFS アクセラレータの事前配置ディレクティブをデバイス グループに割り当てると、このディレクティブは、割り当てられたデバイス グループで CIFS アクセラレーションに対して有効になっているデバイスだけに適用されます。
ステップ 5 [Submit] をクリックします。
選択した各エッジ デバイスまたはデバイス グループの横にあるアイコンが に変化します。
(注) WAE で CIFS アクセラレータが無効になっている場合、WAE は割り当てられた事前配置ディレクティブから削除されます。また、事前配置ディレクティブがデバイスの実行設定から削除されます。
新しい事前配置スケジュールの作成
事前配置ディレクティブを作成し、WAE をディレクティブに割り当てたら、いつ何回事前配置を実行するかを決定するスケジュールを作成することを推奨します。
たとえば、営業時間内のトラフィック量を最小限に抑えるために、事前配置スケジュールを夜間に設定する場合があります。あるいは、エクスポートされるデータがよく変更される場合、事前配置スケジュールを反復実行に設定する場合があります。これにより、このディレクティブに割り当てられた WAE のキャッシュに、最新のファイル アップデートが存在することを保証できます。
Edge WAE の事前配置作業を異なる時間帯で同時に開始するスケジュールの場合、Edge WAE の作業は Core WAE の時間帯に基づいて開始されます。Edge WAE と Core WAE のクロックが同期していない場合、作業は予定通りに開始されません。
事前配置スケジュールを作成するには、次の手順に従ってください。
ステップ 1
WAAS Central Manager メニューから、[Configure] > [CIFS File Services] > [Preposition]
を選択します。
[Preposition Directives] ウィンドウが表示され、システムに存在する事前配置ディレクティブが表示されます。
ステップ 2 スケジュールを作成する事前配置ディレクティブの横にある [Edit] アイコンをクリックします。
ステップ 3 ウィンドウの一番上にある [Schedule] タブをクリックします。
[Creating New Preposition Schedule] ウィンドウが表示されます。デフォルトでは、スケジュールは設定されていません。
ステップ 4 次のいずれかのスケジュール オプションを選択します。
• [Not Scheduled]:この時点で事前配置はスケジューリングされていません。
• [Now]:このスケジュールを送信してから数分以内に事前配置を実行します。
事前配置ディレクティブを変更して [Submit] ボタンをクリックするたびに、[Now] スケジュールが開始されます。リロードされたエッジ デバイスがオンラインに復帰した場合も、すぐに [Now] スケジュールが開始されます。
• [Daily]:毎日の指定した時刻に事前配置を実行します。
• [Date]:指定した日時に事前配置を実行します。
• [Weekly]:選択した曜日の指定した時刻に事前配置を実行します。
• [Monthly Days]:毎月、選択した日の指定した時刻に事前配置を実行します。
• [Monthly Weekdays]:毎月、選択した曜日の指定した時刻に事前配置を実行します。たとえば、毎月の第 2 火曜日に事前配置を実行するスケジュールを作成できます。
ステップ 5 事前配置作業の開始時刻を指定します。
時刻は 24 時間形式で表し、00:00 は深夜の 0 時を表します。時刻は、データが事前配置される Edge WAE のローカル時間を参照します。複数のタイムゾーンに複数の Edge WAE が存在している場合、時刻は Core WAE のローカル時間を参照します。
(注) [Now] オプションでは、開始時刻を指定できません。
ステップ 6 [Submit] をクリックします。
スケジュールが保存されたことを確認する「Changes Submitted」メッセージが、ウィンドウの一番下に表示されます。
ステップ 7 事前配置ステータスを確認して、事前配置ディレクティブが正常に完了したことを確認します。詳細については、「事前配置ステータスの確認」を参照してください。
事前配置ステータスの確認
1 つまたは複数の事前配置ディレクティブを作成したら、すべての事前配置作業のステータスを確認して、正常に完了したことを確認できます。作業が正常に完了しない場合は、事前に配置された一部のファイルが Edge WAE キャッシュへ正常にコピーされていない場合があります。
事前配置作業のステータスを確認するには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 WAAS Central Manager メニューから、[Configure] > [CIFS File Services] > [Preposition] を選択します。
[Preposition Directives] ウィンドウが表示され、システムに存在する事前配置ディレクティブが表示されます。
ステップ 2 ステータスを確認する事前配置ディレクティブの横にある [Edit] アイコンをクリックします。
ステップ 3 ウィンドウの一番上にある [Preposition Status] タブをクリックします。[Preposition Status] ウィンドウが表示されます。
このページは、次の情報を表示します。
• [WAE]:事前配置されるファイルをキャッシュに受信する各 Edge WAE の名前。
• [Start Time]:事前配置作業が開始した日時。
• [Duration]:事前配置作業が完了するまでにかかった時間。
• [Amount Copied]:WAE キャッシュへコピーされたデータ量(バイト単位)。
• [Status]:事前配置作業が正常に完了したかどうか。
• [Reason]:事前配置作業が失敗した理由。
ステップ 4 [Status] 列に [Completed] が表示されることを確認します。
この列に失敗が表示される場合は、[Reason] 列を参照して事前配置作業が失敗した理由を確認します。問題を解決したら、事前配置作業を今すぐ再実行するようにスケジュールを設定するか、スケジュール済みの開始時刻まで待ち、あとでステータスを確認できます。
SMB アクセラレータの設定
表 12-2 に、SMB アクセラレータを設定するために完了する必要がある手順の概要を示します。
表 12-4 SMB アクセラレータを設定するためのチェックリスト
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ファイル サービスを準備する。 |
WAAS デバイスでファイル サービスを有効にし、設定する前に、完了する必要がある作業を提供します。詳細については、「ファイル サービスの準備」を参照してください。 |
SMB アクセラレーションを有効化する。 |
SMB アクセラレータを有効にして、設定します。詳細については、を参照してください。 |
(任意)ダイナミック共有を識別する。 |
エクスポートされたファイル サーバで、ダイナミック共有を識別します。ファイル サーバがアクセス ベースの列挙(ABE)を使用してユーザに共有のさまざまなビューを提供する場合、WAAS Central Manager でダイナミック共有を設定する必要があります。 詳細については、「SMB アクセラレータのダイナミック共有の作成」を参照してください。 |
SMB アクセラレータのダイナミック共有の作成
多くのファイル サーバが、複数ユーザがユーザのクレデンシャルに基づいて自動的に別のディレクトリにマップされる同じ共有にアクセスできるダイナミック共有を使用します。一般に、ダイナミック共有は、ファイル サーバでユーザ ホーム ディレクトリを設定するために使用されます。たとえば、ファイル サーバでダイナミック共有として Home という名前のディレクトリを設定できます。この共有にアクセスする各ユーザは、自動的にそれぞれの個人用ディレクトリへリダイレクトされます。
ファイル サーバにダイナミック共有が含まれる場合、またはアクセス ベースの列挙(ABE)を使用している場合は、このセクションの説明に従って、そのダイナミック共有を WAAS Central Manager に登録する必要があります。
WAAS Central Manager でダイナミック共有を指定すると、各ユーザが共有を異なるビューで表示できるようになります。Windows Server で設定した場合には、ABE 操作が可能になります。
(注) WAAS Central Manager でのダイナミック共有の設定により、CLI を使用して WAE デバイスで直接設定されたダイナミック共有設定が上書きされます。
ダイナミック共有を追加する前に、次の制限事項に注意してください。
• 各ダイナミック共有は、ファイル サーバで一意でなければなりません。
• WAAS Central Manager GUI を使用すると、ダイナミック共有として任意のディレクトリを定義できます。ただし、ファイル サーバでダイナミック共有としてディレクトリを設定しないと、すべてのユーザが同じディレクトリから同じ内容を読み取り、または書き込みを行います。クレデンシャルに基づいて異なるディレクトリへリダイレクトされません。
SMB アクセラレータのダイナミック共有を追加するには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 WAAS Central Manager メニューから、[Devices] > [ device-name ] を選択します。
ステップ 2 [Configure] > [File Services] > [SMB Dynamic Shares] を選択します。
ダイナミック共有のリストが表示されます。[Dynamic Shares] ウィンドウに設定されているすべてのダイナミック共有が示されます。このウィンドウから、次の作業を実行できます。
• 既存のダイナミック共有の設定を選択し、[Edit] タスクバー アイコンをクリックして編集します。
• ダイナミック共有を選択し、[Delete] タスクバー アイコンをクリックして削除します。
• 次の手順の説明に従って、新しいダイナミック共有定義を追加します。
ステップ 3 [Add Dynamic Share] タスクバー アイコンをクリックして、新しいダイナミック共有を追加します。[Dynamic Share] ウィンドウが表示されます。
ステップ 4 [File Server] フィールドで、ダイナミック共有を持つファイル サーバの有効な FQDN または IP アドレスを入力します。
ファイル サーバ名を指定した場合は、WAE が IP アドレスに解決します。
ステップ 5 ドロップダウン リストには登録したファイル サーバの IP アドレスが表示されます。ファイル サーバを選択します。
ステップ 6 [Share] フィールドで次のいずれかの作業を実行して、ダイナミック共有の位置を指定します。
• ファイル サーバでダイナミック共有の名前を入力します。次の文字は、共有名に使用できません。\ / : * ? " < > |
• [Share Name] フィールドの横にある [Browse] をクリックして、正しいルート ディレクトリまでナビゲートします。
(注) WAAS Central Manager に登録済みで、有効な SMB アクセラレータが搭載された WAE デバイスが 1 つ以上存在している場合のみ、[Browse] ボタンが表示されます。
ステップ 7 共有のステータスが enabled(有効)に設定されていることを確認します。ステータスを disabled(無効)に変更すると、共有は WAAS 環境でのダイナミック共有として設定されません。
ステップ 8 [OK] をクリックします。
これで、指定したディレクトリは、WAE のダイナミック共有として機能します。