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このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
目次
Web Cache Communication Protocol(WCCP)はシスコが開発したコンテンツルーティング テクノロジーです。IP パケットを代行受信し、IP パケットに指定されている宛先とは別の宛先にそのパケットをリダイレクトします。 パケットは、インターネット上にある宛先の Web サーバから、クライアントのローカルのコンテンツ エンジンにリダイレクトされるのが一般的です。 WCCP の展開シナリオによっては、Web サーバからクライアント方向でもトラフィックをリダイレクトする必要があります。 WCCP を使用すると、コンテンツ エンジンをネットワーク インフラストラクチャに統合できます。
Cisco IOS Release 12.1 以降では、WCCP バージョン 1(WCCPv1)またはバージョン 2(WCCPv2)を使用できます。
このマニュアルの作業では、ネットワークにコンテンツ エンジンが設定済みであることを前提にしています。 Cisco Content Engine および WCCP に関連するハードウェアおよびネットワークの計画の固有の情報については、次の URL にある Cisco Content Engine のマニュアルを参照してください。
http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/webscale/content/index.htm
ご使用のソフトウェア リリースでは、このモジュールで説明されるすべての機能がサポートされているとは限りません。 最新の警告および機能情報については、『Bug Search Tool』およびご使用のプラットフォームとソフトウェア リリースに対応したリリース ノートを参照してください。 このモジュールに記載されている機能の詳細を検索し、各機能がサポートされているリリースのリストを確認する場合は、このモジュールの最後にある機能情報の表を参照してください。
プラットフォームのサポートおよびシスコ ソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。 Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/go/cfn に移動します。 Cisco.com のアカウントは必要ありません。
次の制約事項が WCCPv2 に適用されます。
次の制約事項が Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチに適用されます。
WCCP がマスク割り当てを使用している場合、リダイレクト リストはアプライアンスのマスク情報にマージされ、その結果としてマージされた ACL は、Catalyst 6500 シリーズ スイッチまたは Cisco 7600 シリーズ ルータ ハードウェアに渡されます。 リダイレクト リストのプロトコルが IP であるか、サービス グループ プロトコルと完全に一致する場合、その許可 ACL または拒否 ACL のエントリだけが、アプライアンスのマスク情報にマージされます。
次の制約事項がリダイレクト リスト ACL に適用されます。
リダイレクト ACL がこれらの制約事項を満たさない場合、次のエラー メッセージがログに記録されます。
WCCP-3-BADACE: Service <service group>, invalid access-list entry (seq:<sequence>, reason:<reason>)
WCCP はパケットのリダイレクトを継続しますが、アクセス リストが調整されるまで、ソフトウェアでリダイレクションが実行されます(NetFlow スイッチング)。
WCCP は、Cisco Content Engine(または WCCP を実行する他のコンテンツ エンジン)を使用して、ネットワークの Web トラフィック パターンをローカライズします。それによって、ローカルでコンテンツ要求を実行できます。 トラフィックのローカライズによって伝送コストを引き下げ、ダウンロード時間を短縮できます。
WCCP によって、 ルーティング プラットフォームは、透過的にコンテンツ要求をリダイレクトできるようになります。 トランスペアレント リダイレクションの大きな利点は、Web プロキシを使用するためのブラウザの設定が不要ということです。 ユーザはターゲット URL を使用してコンテンツを要求できます。また、ユーザの要求はコンテンツ エンジンに自動的にリダイレクトされます。 この場合の「透過的」とは、エンド ユーザが要求したファイル(Web ページなど)が、元々指定していたサーバからではなく、コンテンツ エンジンから送信されることをそのユーザが意識しないという意味です。
コンテンツ エンジンでは、要求の受信時に、独自のローカル キャッシュからサービスを提供しようとします。 要求した情報が存在しない場合、コンテンツ エンジンから独自の要求が元のターゲット サーバに発行され、必要な情報が取得されます。 コンテンツ エンジンは、要求された情報を取得すると、要求クライアントに転送し、将来の要求に対応するためにキャッシュします。そのため、ダウンロードのパフォーマンスが大きく向上し、送信コストが大幅に削減されます。
WCCP により、一連のコンテント エンジン(コンテント エンジン クラスタと呼ぶ)が 1 つまたは複数のルータにコンテンツを提供できます。 ネットワーク管理者は、このようなクラスタ処理機能によって容易にコンテンツ エンジンを拡張し、高いトラフィック負荷を管理できます。 シスコ クラスタ処理テクノロジーを使用すると、各クラスタ メンバを同時に実行できるため、リニア スケーラビリティが実現します。 クラスタ処理コンテンツ エンジンによって、キャッシュ ソリューションのスケーラビリティ、冗長性、および可用性が大幅に改善されます。 最大 32 個のコンテンツ エンジンをクラスタ処理し、目的の容量まで拡張できます。
WCCP バージョン 2 のいくつかの機能が強化され、次のように WCCP プロトコルに機能が追加されました。
複数のルータが WCCPv2 を使用して 1 つのコンテンツ エンジン クラスタにサービスを提供できます。 WCCPv1 では、1 つのルータだけがコンテンツ要求をクラスタにリダイレクトできます。 次の図に、複数のルータを使用する設定例を示します。
クラスタ、および同じサービスを実行しているクラスタに接続するルータ内のコンテンツ エンジンのサブセットは、サービス グループと呼ばれます。 使用できるサービスには、TCP および UDP リダイレクションなどがあります。
WCCPv1 では、単一ルータのアドレスを使用して、コンテンツ エンジンが設定されました。 WCCPv2 の場合、各コンテンツ エンジンがサービス グループ内のすべてのルータを認識する必要があります。 サービス グループ内のすべてのルータのアドレスを指定するには、次のいずれかの方法を選択する必要があります。
マルチキャスト オプションの場合に必要な操作は、各コンテンツ エンジンで単一のアドレスを指定することだけなので、設定が容易です。 このオプションを使用して、サービス グループからルータを動的に追加および削除できます。毎回、異なるアドレス リストを使用してコンテンツ エンジンを再設定する必要はありません。
次の一連のイベントで、WCCPv2 設定の動作の詳細について説明します。
WCCPv2 では、さまざまな UDP および TCP トラフィックを含め、HTTP(TCP ポート 80 トラフィック)以外のトラフィックのリダイレクションが可能です。 WCCPv1 では、HTTP(TCP ポート 80)トラフィックだけのリダイレクションをサポートしています。 WCCPv2 では他のポート宛てのパケットをリダイレクトできます。たとえば、プロキシ Web キャッシュ処理、ファイル転送プロトコル(FTP)キャッシング、FTP プロキシの処理、80 以外のポートの Web キャッシング、Real Audio、ビデオ アプリケーション、およびテレフォニー アプリケーションに使用されるポートなどです。
各種の利用可能なサービスに対応するために、WCCPv2 は複数のサービス グループという概念を導入しました。 サービス情報は、ダイナミック サービス識別番号(98 など)または事前定義したサービス キーワード(web-cache など)を使用して、WCCP コンフィギュレーション コマンドで指定します。 この情報は、サービス グループ メンバーが同じサービスを使用または提供していることを確認するために使用されます。
サービス グループのコンテンツ エンジンは、プロトコル(TCP または UDP)によってリダイレクトされるトラフィックと、最大 8 個の発信元ポートまたは宛先ポートを指定します。 各サービス グループにはプライオリティ ステータスが割り当てられます。 ダイナミック サービスのプライオリティは、コンテンツ エンジンによって割り当てられます。 プライオリティ値の範囲は、0 ~ 255 です(0 が最も低いプライオリティ)。 事前定義した Web キャッシュ サービスには、240 のプライオリティが割り当てられています。
WCCPv2 では、複数のルータをキャッシュ エンジンのクラスタに追加できます。 サービス グループの複数のルータを使用すると、冗長構成、インターフェイスのアグリゲーション、およびリダイレクションの負荷分散が可能になります。 WCCPv2 は、サービス グループごとに最大 32 個のルータをサポートします。 各サービス グループの確立および保守は独立して行われます。
WCCPv2 には、パスワードとハッシュ メッセージ認証コード - メッセージ ダイジェスト(HMAC MD5)規格を使用して、サービス グループの一部になるルータとコンテンツ エンジンを制御できる、オプションの認証機能があります。 共有シークレット MD5 ワンタイム認証(ip wccp [password [0 | 7] password] グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して設定)を使用すれば、傍受、検査、およびリプレイからメッセージを保護することができます。
コンテンツ エンジンが、エラーまたは過負荷のために、キャッシュした要求オブジェクトを提供できない場合、コンテンツ エンジンは、元々指定されていた宛先サーバに前方転送するように、要求をルータに返送します。 WCCPv2 には、機能していないコンテンツ エンジンから返送された要求を判断できるパケットのチェック機能があります。 ルータはこの情報を使用して、(要求をコンテンツ エンジン クラスタに再送信しようとするのではなく)要求を元の宛先サーバに転送できます。 このプロセスのエラー処理はクライアントに意識されません。
コンテンツ エンジンがパケットを拒否し、パケット返送機能を開始する場合、一般的に次のような理由があります。
WCCPv2 を使用すると、個々のコンテンツ エンジンに割り当てる負荷を調整して、空きリソースを効率的に使用できるようになります。さらに、クライアントに対して高い Quality Of Service(QoS)を確保できます。 WCCPv2 を使用すると、指定したコンテンツ エンジンが特定のコンテンツ エンジン上の負荷を調整し、クラスタ内のコンテンツ エンジン全体で負荷を分散できます。 WCCPv2 では負荷分散を実行するために、次の 3 つの方法を使用します。
これらのハッシュ処理パラメータを使用すると、コンテンツ エンジンの過負荷を防ぎ、障害が発生する可能性を軽減します。
WCCP をイネーブルにすると、CPU の使用率が非常に高くなる場合があります。 WCCP カウンタを使用すると、直接ルータでバイパス トラフィックを確認できます。また、その原因が WCCP のイネーブル化による CPU の使用率の高さにあるかどうかを示すことができます。 場合によっては 10 % のバイパス トラフィックが標準で、他の状況では 10 % が高いこともあります。 ただし、25% を超える数値の場合、Web キャッシュの状況をより詳しく調査する必要があります。
バイパス トラフィックのレベルが高いことをカウンタが示している場合、次の手順は、コンテンツ エンジンのバイパス カウンタを確認し、コンテンツ エンジンがトラフィックのバイパスを選択した理由を判定します。 さらに詳細に調査するには、コンテンツ エンジン コンソールにログインし、CLI を使用します。 カウンタを使用すると、バイパスするトラフィックの割合を決定できます。
特定のサービス用にルータで保持される IPv6 Web Cache Communication Protocol(WCCP)統計情報(カウント)を削除するには、clear ipv6 wccp コマンドを使用できます。
特定のサービス用にルータで保持されるすべての(IPv4 および IPv6)Web Cache Communication Protocol(WCCP)統計情報(カウント)を削除するには、clear wccp コマンドを使用できます。
IPv6 Web Cache Communication Protocol(WCCP)グローバル統計情報(カウント)を表示するには、show ipv6 wccp コマンドを使用できます。
すべての(IPv4 および IPv6)Web Cache Communication Protocol(WCCP)グローバル統計情報(カウント)を表示するには、show wccp コマンドを使用できます。
WCCP を設定するには、次の作業を実行します。
ip wccp{web-cache | service-number} グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して WCCP サービスを設定しない限り、ルータ上で WCCP はディセーブルです。 ip wccp 形式のコマンドを最初に使用することによって、WCCP はイネーブルになります。 デフォルトでは WCCPv2 がサービスに使用されますが、代わりに WCCPv1 機能を使用することもできます。 WCCP の実行バージョンをバージョン 2 からバージョン 1 に変更するには、または最初の変更後に WCCPv2 に戻すには、グローバル コンフィギュレーション モードで ip wccp version コマンドを使用します。
WCCPv1 で許可されていない機能の場合は、エラー プロンプトが画面に表示されます。 たとえば、ルータ上で WCCPv1 が動作している場合にダイナミック サービスを設定しようとすると、「WCCP V1 only supports the web-cache service」というメッセージが表示されます。show ip wccp EXEC コマンドを使用すると、ルータ上で動作している WCCP プロトコルのバージョン番号が表示されます。
ip wccp web-cache password コマンドを使用して、サービス グループのルータおよびコンテンツ エンジンのパスワードを設定します。 MD5 パスワード セキュリティの場合、サービス グループのパスワードを使用して、サービス グループに参加させる各ルータおよびコンテンツ エンジンを設定する必要があります。 パスワードの長さは、8 文字以下である必要があります。 サービス グループの各コンテンツ エンジンまたはルータは、WCCP メッセージ ヘッダーの検証後すぐに、受信した WCCP パケットのセキュリティ コンポーネントを認証します。 認証に失敗したパケットは廃棄されます。
1. enable
2. configure terminal
3. ip wccp version {1 | 2}
4. ip wccp [vrf vrf-name] {web-cache | service-number} [group-address multicast-address] [redirect-list access-list] [group-list access-list] [password password [0 | 7] ]
5. interface type number
6. ip wccp [vrf vrf-name] {web-cache | service-number} redirect {in | out}
7. exit
8. interface type number
9. ip wccp redirect exclude in
1. enable
2. show ip wccp [vrf vrf-name] [web-cache |service-number] [detail view]
3. show ip interface
4. more system:running-config
次に、WCCP バージョンをデフォルトの WCCPv2 から WCCPv1 に変更し、WCCPv1 で Web キャッシュ サービスをイネーブルにする例を示します。
Router# show ip wccp % WCCP version 2 is not enabled Router# configure terminal Router(config)# ip wccp version 1 Router(config)# end Router# show ip wccp % WCCP version 1 is not enabled Router# configure terminal Router(config)# ip wccp web-cache Router(config)# end Router# show ip wccp Global WCCP information: Router information: Router Identifier: 10.4.9.8 Protocol Version: 1.0 . . .
Router# configure terminal Router(config)# ip wccp web-cache group-address 224.1.1.100 password password1 Router(config)# ip wccp source-interface GigabitEthernet 0/1/0 Router(config)# ip wccp check services all Configures a check of all WCCP services. Router(config)# interface GigabitEthernet 0/1/0 Router(config-if)# ip wccp web-cache redirect in Router(config-if)# exit Router(config)# interface GigabitEthernet 0/2/0 Router(config-if)# ip wccp redirect exclude in Router(config-if)# exit
関連項目 |
マニュアル タイトル |
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Cisco IOS コマンド |
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QoS コマンド:コマンド構文の詳細、コマンド モード、コマンド履歴、デフォルト設定、使用上のガイドライン、および例 |
『Cisco IOS Quality of Service Solutions Command Reference』 |
ポリシー マップのインターフェイスへの適用に関する MQC および情報 |
『Applying QoS Features Using the MQC』モジュール |
パケット分類に使用できる追加の一致基準 |
『Classifying Network Traffic』モジュール |
ネットワーク トラフィックのマーキング |
『Marking Network Traffic』モジュール |
標準 |
タイトル |
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新しい規格または変更された規格はサポートされていません。また、既存の規格に対するサポートに変更はありません。 |
-- |
MIB |
MIB のリンク |
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|
選択したプラットフォーム、Cisco IOS XE ソフトウェア リリース、およびフィーチャ セットの MIB の場所を検索しダウンロードするには、次の URL にある Cisco MIB Locator を使用します。 |
RFC |
タイトル |
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新しい RFC または変更された RFC はサポートされていません。また、既存の RFC に対するサポートに変更はありません。 |
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説明 |
リンク |
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次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。 この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェア リリースだけを示しています。 その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェア リリースでもサポートされます。
プラットフォームのサポートおよびシスコ ソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。 Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/go/cfn に移動します。 Cisco.com のアカウントは必要ありません。