EEM について
EEM はデバイス上で発生するイベントをモニタし、設定に基づいて各イベントの回復またはトラブルシューティングのためのアクションを実行します。
EEM は次の 3 種類の主要コンポーネントからなります。
-
イベント文:別の Cisco NX-OS コンポーネントからモニタし、アクション、回避策、または通知が必要になる可能性のあるイベント。
-
アクション文:CLI コマンドの実行、Smart Call Home 機能を使用した電子メールの送信、インターフェイスの無効化など、イベントから回復するために EEM が実行できるアクション。
-
ポリシー:イベントのトラブルシューティングまたはイベントからの回復を目的とした 1 つまたは複数のアクションとペアになったイベント。
ポリシー
EEM ポリシーは、イベント文および 1 つまたは複数のアクション文からなります。イベント文では、探すイベントとともに、イベントのフィルタリング特性を定義します。アクション文では、イベントの発生時に EEM が実行するアクションを定義します。
この図は、EEM ポリシーの基本的な 2 種類の文を示します。
コマンドライン インターフェイス(CLI)または VSH スクリプトを使用して EEM ポリシーを設定できます。
EEM からデバイス全体のポリシー管理ビューが得られます。スーパーバイザ上で EEM ポリシーを設定すると、EEM がイベント タイプに基づいて、正しいモジュールにポリシーをプッシュします。EEM はモジュール上でローカルに、またはスーパーバイザ上で(デフォルトのオプション)、発生したイベントに対応するアクションを実行します。
EEM はスーパーバイザ上でイベント ログを維持します。
Cisco NX-OS には、設定済みのさまざまなシステム ポリシーがあります。これらのシステム ポリシーでは、デバイスに関連する多数の一般的なイベントおよびアクションが定義されています。システム ポリシー名は、2 個の下線記号(__)から始まります。
使用するネットワークに合わせてユーザ ポリシーを作成できます。ユーザ ポリシーを作成すると、そのポリシーと同じイベントに関連するシステム ポリシー アクションが EEM によって発生したあと、ユーザ ポリシーで指定したアクションが行われます。
一部のシステム ポリシーは上書きすることもできます。設定した上書き変更がシステム ポリシーの代わりになります。イベントまたはアクションの上書きが可能です。
設定済みのシステム ポリシーを表示して、上書き可能なポリシーを判断するには、show event manager system-policy コマンドを使用します。
(注) |
show running-config eem コマンドを使用して、各ポリシーのコンフィギュレーションを確認してください。イベント文が指定されていて、アクション文が指定されていない上書きポリシーを設定した場合、アクションは開始されません。また、障害も通知されません。 |
(注) |
上書きポリシーには、必ずイベント文を指定します。上書きポリシーにイベント文が含まれていないと、システム ポリシーで可能性のあるイベントがすべて上書きされます。 |
イベント文
イベントは、回避、通知など、何らかのアクションが必要なデバイス アクティビティです。これらのイベントは通常、インターフェイスやファンの誤動作といったデバイスの障害に関連します。
EEM ではイベント フィルタを定義して、クリティカル イベントまたは指定された時間内で繰り返し発生したイベントだけが関連付けられたアクションのトリガーになるようにします。
この図は、EEM によって処理されたイベントを示します。
イベント文では、ポリシー実行のトリガーになるイベントを指定します。複数イベント トリガーを設定できます。
EEM はイベント文に基づいてポリシーをスケジューリングし、実行します。EEM はイベントおよびアクション コマンドを検証し、定義に従ってコマンドを実行します。
(注) |
発生したイベントでデフォルトのアクションを処理できるようにする場合は、event-default アクション文を許可して EEM ポリシーを設定する必要があります。 |
アクション文
アクション文では、ポリシーによって実行されるアクションを記述します。各ポリシーに複数のアクション文を設定できます。ポリシーにアクションを関連付けなかった場合、EEM はイベント観察を続けますが、アクションは実行されません。
EEM がアクション文でサポートするアクションは、次のとおりです。
-
CLI コマンドの実行。
-
カウンタのアップデート。
-
例外の記録。
-
モジュールの強制的シャットダウン
-
デバイスをリロードします。
-
電力のバジェット超過による特定モジュールのシャットダウン。
-
Syslog メッセージの生成。
-
Call Home イベントの生成。
-
SNMP 通知の生成。
-
システム ポリシー用デフォルト アクションの使用。
(注) |
EEM は、合計 1024 文字までの、完全なアクション CLI リストのみを処理できます。さらにアクションが必要な場合は、同じトリガーを持つ新しい冗長アプレットとして定義する必要があります。 |
(注) |
発生したイベントでデフォルトのアクションを処理できるようにする場合は、デフォルトのアクションを許可する EEM ポリシーを設定する必要があります。たとえば、match 文で CLI コマンドを照合する場合、EEM ポリシーに event-default アクション文を追加する必要があります。この文がないと、EEM では CLI コマンドを実行できません。 |
(注) |
ユーザ ポリシーまたは上書きポリシーの中に、相互に否定したり、関連付けられたシステム ポリシーに悪影響を与えたりするようなアクション文がないかどうかを確認してください。 |
VSH スクリプト ポリシー
テキスト エディタを使用し、VSH スクリプトでポリシーを作成することもできます。このようなポリシーにも、他のポリシーと同様、イベント文およびアクション文(複数可)を使用します。また、これらのポリシーでシステム ポリシーを補うことも上書きすることもできます。VSH スクリプト ポリシーの作成後、そのポリシーをデバイスにコピーしてアクティブにします。
環境変数
すべてのポリシーに使用できる、EEM の環境変数を定義できます。環境変数は、複数のポリシーで使用できる共通の値を設定する場合に便利です。たとえば、外部電子メール サーバの IP アドレスに対応する環境変数を作成できます。
パラメータ置換フォーマットを使用することによって、アクション文で環境変数を使用できます。
この例では、「EEM action」というリセット理由を指定し、モジュール 1 を強制的にシャットダウンするアクション文の例を示します。
switch (config-eem-policy)# action 1.0 forceshut module 1 reset-reason “EEM action.”
シャットダウンの理由に default-reason という環境変数を定義すると、次の例のように、リセット理由を環境変数に置き換えることができます。
switch (config-eem-policy)# action 1.0 foreshut module 1 reset-reason $default-reason
この環境変数は、任意のポリシーで再利用できます。
EEM イベント相関
イベントの組み合わせに基づいて EEM ポリシーをトリガーできます。まず、tag キーワードを使用して EEM ポリシーに複数のイベントを作成し区別します。次に、一連のブール演算子(AND、OR、ANDNOT)を使用して、回数および時間をもとに、カスタム処理をトリガーするこれらのイベントの組み合わせを定義できます。
高可用性
Cisco NX-OS は、EEM のステートレス リスタートをサポートします。リブートまたはスーパーバイザ スイッチオーバーの後、Cisco NX-OS は実行コンフィギュレーションを適用します。
仮想化のサポート
アクションまたはイベントがすべて表示されるわけではありません。ポリシーを設定するには、network-admin の権限が必要です。