グレースフル挿入と削除について
グレースフル挿入と削除を使用してスイッチを正常に取り出し、そのスイッチをネットワークから分離して、デバッグ操作やアップグレード操作を実行することができます。スイッチは、最小限のトラフィックの中断だけで、通常の転送パスから取り外されます。デバッグ操作やアップグレード操作の実行が終了したら、グレースフル挿入を使用して、そのスイッチを完全な運用(通常)モードに戻すことができます。
スイッチをメンテナンス モードにすると、すべての設定済みのレイヤ 3 コントロール プレーンがネットワークから分離されます。この状態では、直接接続されたルートは取り消されたり変更されたりしません。通常モードが復元されると、すべてのルートのアドバタイズメントが復元されます。
グレースフル削除では、すべてのプロトコルと vPC ドメインが正常に停止し、スイッチはネットワークから分離されます。グレースフル挿入では、すべてのプロトコルと vPC ドメインが復元されます。
次のプロトコルは、IPv4 と IPv6 両方のアドレス ファミリでサポートされます。
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Border Gateway Protocol(BGP)
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Enhanced Interior Gateway Routing Protocol(EIGRP)
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Intermediate System-to-Intermediate System(ISIS)
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Open Shortest Path First(OSPF)
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Protocol Independent Multicast(PIM)
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Routing Information Protocol(RIP)
(注) |
グレースフル挿入と削除の場合、PIM プロトコルは vPC 環境にのみ適用できます。グレースフル削除の間、vPC 転送ロールがマルチキャスト トラフィックのすべてのノースバウンド送信元に対する vPC ピアに転送されます。 |
プロファイル
デフォルトでは、すべての有効なプロトコルは、グレースフル削除中に分離され、グレースフル挿入時に復元されます。プロトコルは、定義済みの順序で分離および復元されます。
プロトコルを個別に分離、シャットダウン、または復元する(あるいは追加の設定を実施する)場合は、グレースフル削除またはグレースフル挿入時に適用できる設定コマンドを使用して、プロファイルを作成できます。ただし、プロトコルの順序が正しいことを確認し、すべての依存関係を考慮する必要があります。
スイッチは、次のプロファイルをサポートしています。
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メンテナンス モード プロファイル:スイッチがメンテナンス モードになったときに、グレースフル削除中に実行されるすべてのコマンドが含まれます。
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通常モード プロファイル:スイッチが通常モードに戻ったときに、グレースフル挿入中に実行されるすべてのコマンドが含まれます。
プロファイルでは、次のコマンド(および任意の設定コマンド)がサポートされています。
(注) |
ルーティング プロトコル インスタンスまたはメンテナンスモード プロファイルで shutdown と isolate の両方が設定されている場合、shutdown コマンドが優先されます。 |
コマンド |
説明 |
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isolate |
プロトコルをスイッチから分離し、プロトコルをメンテナンス モードにします。 |
no isolate |
プロトコルを復元し、プロトコルを通常モードにします。 |
shutdown |
プロトコルまたは vPC ドメインをシャットダウンします。 |
no shutdown |
プロトコルまたは vPC ドメインを起動します。 |
system interface shutdown [exclude fex-fabric] |
システム インターフェイスをシャットダウンします(管理インターフェイスを除く)。 |
no system interface shutdown [exclude fex-fabric] |
システム インターフェイスを起動します。 |
sleep instance instance-number seconds |
指定の秒数だけコマンドの実行を遅延させます。コマンドの複数のインスタンスを遅延できます。 instance-number および seconds 引数の範囲は、0 ~ 2177483647 です。 |
python instance instance-number uri [python-arguments] 例:python instance 1 bootflash://script1.py |
Python スクリプトの呼び出しをプロファイルに設定します。コマンドの複数の呼び出しをプロファイルに追加できます。 Python 引数には最大 32 文字の英数字を入力できます。 |
(注) |
Cisco NX-OS リリース 9.3(5) 以降、isolate コマンドは include-local オプションとともに提供されます。これは、router bgp にのみ適用されます。 このオプションを使用すると、BGP はピアからすべてのルートを取り消します。このオプションを使用しない場合、BGP はリモートで学習したルートのみを撤回し、集約、注入、ネットワーク、再頒布などのローカルで生成されたルートは、eBGP ピアへの最大の Multi-Exit Discriminator (MED) と iBGP ピアへの最小のローカル プリファレンスで引き続きアドバタイズされます。 |
スナップショット
Cisco NX-OS では、スナップショットは選択した機能の実行状態をキャプチャし、永続ストレージ メディアに保存するプロセスです。
スナップショットは、グレースフル削除前とグレースフル挿入後のスイッチの状態を比較する場合に役立ちます。スナップショット プロセスは、次の 3 つの部分で構成されます。
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事前に選択したスイッチの一部機能の状態のスナップショットを作成し、永続ストレージ メディアに保存する
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さまざまな時間間隔で取得したスナップショットを一覧にして、管理する
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スナップショットを比較して、機能間の相違を表示する