ネットワーク接続性ツール
ネットワーク接続性ツールを使用すると、ネットワーク上のデバイスに対して traceroute や ping を実行して、デバイスの接続をチェックできます。
ping
ping コマンドは、デバイスのアクセシビリティのトラブルシューティングに広く使用されている方法です。これは、2 つのインターネット制御メッセージ プロトコル(ICMP)クエリー メッセージ、ICMP エコー要求、および ICMP エコー応答を使用して、リモート ホストがアクティブであるかどうかを判断します。ping コマンドは、エコー応答を受信するまでにかかる時間も測定します。
ping コマンドは、最初に 1 つのアドレスにエコー要求パケットを送信して応答を待ちます。ping が正常に完了するのは、エコー要求が宛先に届き、定義済みの時間内に宛先が ping の送信元にエコー応答(ホスト名が存続している)を返すことができる場合だけです。
bulk オプションが導入されたため、複数の宛先の到達可能性をチェックできるようになりました。宛先は、CLI から直接入力します。このオプションは、ipv4 の宛先でのみサポートされます。
ネットワーク接続の確認
基本的なネットワーク接続性の診断を支援する手段として、多くのネットワーク プロトコルがエコー プロトコルをサポートしています。プロトコルでは、宛先ホストに特殊なデータグラムを送信し、そのホストからの応答データグラムを待ちます。このエコー プロトコルからの結果は、ホストに至るパスの信頼性、パスの遅延、およびホストに到達できるのか、ホストが機能しているのかを評価するのに役立ちます。
ネットワーク接続を確認するための設定
次の設定は、ルータ A の インターフェイスとルータ B の インターフェイスから送信される拡張 ping コマンドを示しています。この ping が成功する場合、ルーティング上の問題がないことを示します。ルータ A はルータ B の インターフェイスに到達する方法を認識していて、ルータ B はルータ A の インターフェイスに到達する方法を認識しています。また、両方のホストには適切に設定されたデフォルト ゲートウェイがあります。
ルータ A からの拡張 ping コマンドが失敗する場合、ルーティング上の問題があることを意味します。3 つのルータのいずれでもルーティングの問題が発生する可能性があります。ルータ A では、ルータ B のインターフェイスのサブネットへのルートや、ルータ C とルータ B 間のサブネットへのルートが不明になる可能性があります。ルータ B では、ルータ A のサブネットへのルートや、ルータ C とルータ A 間のサブネットへのルートが不明になる可能性があります。ルータ C では、ルータ A またはルータ B のイーサネット セグメントのサブネットへのルートが不明になる可能性があります。ルーティングに関する問題を修正してから、ホスト 1 からホスト 2 への ping を実行する必要があります。ホスト 1 からホスト 2 への ping を実行できない場合は、両方のホストのデフォルト ゲートウェイを確認してください。ルータ A の インターフェイスとルータ B の インターフェイスとの接続は、拡張 ping コマンドを使用してチェックします。
ルータ A からルータ B の インターフェイスへの通常の ping では、ping パケットの送信元アドレスは発信インターフェイスのアドレス、つまり インターフェイスのアドレス(10.0.0.2)になります。ルータ B が ping パケットに応答するとき、送信元アドレス(つまり、10.0.0.2)に応答します。このように、ルータ A の インターフェイス(10.0.0.2)とルータ B の TenGigE インターフェイス(10.0.0.1)間の接続だけがテストされます。
ルータ A の インターフェイス(10.0.0.2)とルータ B の インターフェイス(10.0.0.1)との接続をテストするには、拡張 ping コマンドを使用します。拡張 ping コマンドには、ping パケットの送信元アドレスを指定するオプションがあります。
設定例
この使用例では、拡張 ping コマンドを使用して、2 つの IP アドレス(ルータ A(10.0.0.2)と ルータ B(10.0.0.1))間の IP 接続を検証します。
Router# ping 10.0.0.1
Type escape sequence to abort.
Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 10.0.0.1, timeout is 2 seconds:
!!!!!
Success rate is 100 percent (5/5)
Router#!!!!!
*/If you do not enter a hostname or an IP address on the same line as the ping command,
the system prompts you to specify the target IP address and several other command parameters.
After specifying the target IP address, you can specify alternate values for the
remaining parameters or accept the displayed default for each parameter /*
Router# ping
Protocol [ipv4]:
Target IP address: 10.0.0.1
Repeat count [5]: 5
Datagram size [100]: 1000
Timeout in seconds [2]: 1
Interval in milliseconds [10]: 1
Extended commands? [no]: no
Sweep range of sizes? [no]:
Type escape sequence to abort.
Sending 5, 1000-byte ICMP Echos to 10.0.0.1, timeout is 1 seconds:
!!!!!
Success rate is 100 percent (5/5)
Router#!!!!!
関連コマンド
複数の宛先に対するネットワーク接続性のチェック
bulk オプションを使用すると、複数の宛先への到達可能性をチェックできます。宛先は、CLI から直接入力します。このオプションは、ipv4 の宛先でのみサポートされます。
設定例
-
1: 1.1.1.1
-
2: 2.2.2.2
-
3: 3.3.3.3
Router# ping bulk ipv4 input cli batch
*/You must hit the Enter button and then specify one destination address per line*/
Please enter input via CLI with one destination per line and when done Ctrl-D/(exit) to initiate pings:
1: 1.1.1.1
2: 2.2.2.2
3: 3.3.3.3
4:
Starting pings...
Target IP address: 1.1.1.1
Repeat count [5]: 5
Datagram size [100]: 1
% A decimal number between 36 and 18024.
Datagram size [100]: 1
% A decimal number between 36 and 18024.
Datagram size [100]: 1000
Timeout in seconds [2]: 1
Interval in milliseconds [10]: 10
Extended commands? [no]: no
Sweep range of sizes? [no]: q
% Please answer 'yes' or 'no'.
Sweep range of sizes? [no]: q
% Please answer 'yes' or 'no'.
Sweep range of sizes? [no]:
Type escape sequence to abort.
Sending 5, 1000-byte ICMP Echos to 1.1.1.1, vrf is default, timeout is 1 seconds:
!!!!!
Success rate is 100 percent (5/5),
Target IP address: 2.2.2.2
Repeat count [5]:
Datagram size [100]: q
% A decimal number between 36 and 18024.
Datagram size [100]:
Timeout in seconds [2]:
Interval in milliseconds [10]:
Extended commands? [no]:
Sweep range of sizes? [no]:
Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 1.1.1.1, vrf is default, timeout is 2 seconds:
!!!!!
Success rate is 100 percent (5/5),
Target IP address: 3.3.3.3
Repeat count [5]: 4
Datagram size [100]: 100
Timeout in seconds [2]: 1
Interval in milliseconds [10]: 10
Extended commands? [no]: no
Sweep range of sizes? [no]: no
Sending 4, 100-byte ICMP Echos to 1.1.1.1, vrf is default, timeout is 1 seconds:
!!!!!
Success rate is 100 percent (4/5),
関連コマンド
traceroute
ping コマンドを使用してデバイス間の接続性を検証できる場合は、traceroute コマンドを使用してパケットがリモート接続先までにたどるパスおよびルーティングに障害がある場所を検出できます。
traceroute コマンドは、各 ICMP "time-exceeded" メッセージの送信元を記録して、パケットが宛先に達するまでにたどったパスを示すことができます。IP traceroute コマンドを使用すると、パケットがネットワーク経由でたどるパスをホップバイホップで特定できます。このコマンドを実行すると、トラフィックが宛先に到達するまでに通過するルータなどのすべてのネットワーク層(レイヤ 3)デバイスが表示されます。
traceroute コマンドは、IP ヘッダーの存続可能時間(TTL)フィールドを使用して、ルータとサーバで特定のリターン メッセージが生成されるようにします。traceroute コマンドは、TTL フィールドが 1 に設定されている宛先ホストに、ユーザ データグラム プロトコル(UDP)データグラムを送信します。ルータは 1 または 0 の TTL 値を検出すると、データグラムをドロップし、送信元に ICMP の time-exceeded メッセージを戻します。traceroute 機能は、ICMP time-exceeded メッセージの送信元アドレス フィールドを調べ、最初のホップのアドレスを判別します。
ネクスト ホップを識別するために、traceroute コマンドは TTL 値が 2 の UDP パケットを送信します。1 番めのルータは、TTL フィールドの値から 1 を差し引いて次のルータにデータグラムを送信します。2 番めのルータは、TTL 値が 1 の UDP パケットを受け取り、データグラムを廃棄して、送信元に time-exceeded メッセージを戻します。このように、データグラムが宛先ホストに到達するまで(または TTL の最大値に達するまで)TTL の値は増分され、処理が続けられます。
データグラムが宛先に到達したことを判断するために、traceroute コマンドは、宛先ホストが使用しないと予測される非常に大きな値をデータグラムの UDP 宛先ポートに設定します。ホストは、この未知のポート番号を持つデータグラムを受信すると、送信元に ICMP port unreachable error メッセージを戻します。このメッセージにより、宛先に到達したことを traceroute 機能に伝えます。
パケット ルートのチェック
traceroutetraceroute コマンドを使用すると、パケットが宛先に到達するまでに実際にたどるルートをトレースできます。
設定例
10.0.0.2 から 20.1.1.1 へのルートをトレースします。
Router# traceroute 20.1.1.1
Type escape sequence to abort.
Tracing the route to 20.1.1.1
1 10.0.0.1 39 msec * 3 msec
*/If you do not enter a hostname or an IP address on the same line as the traceroute
command, the system prompts you to specify the target IP address and several other
command parameters. After specifying the target IP address, you can specify alternate
values for the remaining parameters or accept the displayed default for each
parameter/*
Router #traceroute
Protocol [ipv4]:
Target IP address: 20.1.1.1
Source address: 10.0.0.2
Numeric display? [no]:
Timeout in seconds [3]:
Probe count [3]:
Minimum Time to Live [1]:
Maximum Time to Live [30]:
Port Number [33434]:
Loose, Strict, Record, Timestamp, Verbose[none]:
Type escape sequence to abort.
Tracing the route to 20.1.1.1
1 10.0.0.1 3 msec * 3 msec