定期的な MIB データの収集および転送の前提条件
定期的な MIB データ収集と転送を使用するには、管理情報の簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)モデルに精通している必要があります。また、ネットワーク デバイスでモニタする MIB 情報や、モニタ対象である MIB オブジェクトの OID またはオブジェクト名を知っている必要があります。
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このマニュアルでは、選択された MIB データをルータから指定されたネットワーク管理システム(NMS)に定期的に転送する方法について説明します。定期的な MIB データ収集と転送機能は、バルク統計情報とも呼ばれます。
定期的な MIB データ収集と転送を使用するには、管理情報の簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)モデルに精通している必要があります。また、ネットワーク デバイスでモニタする MIB 情報や、モニタ対象である MIB オブジェクトの OID またはオブジェクト名を知っている必要があります。
定期的な MIB データの収集および転送に関する情報
SNMP 管理情報のタイプ(またはクラス)をオブジェクトと呼びます。管理情報のタイプの特定のインスタンスをオブジェクト インスタンス(または SNMP 変数)と呼びます。バルク統計情報収集を設定するには、バルク統計情報オブジェクト リストを使用してモニタするオブジェクト タイプと、バルク統計情報スキーマを使用して収集するオブジェクトの特定のインスタンスを指定する必要があります。
オブジェクト識別子(OID)と呼ばれる一連の番号を使用すると、MIB、MIB テーブル、MIB オブジェクト、オブジェクトのインデックスをすべて指定できます。OID は、バルク統計情報オブジェクト リスト(一般的なオブジェクト用)とバルク統計情報スキーマ(特定のオブジェクト インスタンス用)の両方のバルク統計情報収集の設定に使用されます。
ポーリング対象の MIB オブジェクトをグループ化するには、1 つまたは複数のオブジェクト リストを作成する必要があります。バルク統計情報オブジェクト リストは、同じ MIB インデックスを共有する、ユーザ指定の MIB オブジェクトのセットです。オブジェクト リストは、指定した名前によって識別されます。名前付きのバルク統計情報オブジェクト リストを使用すると、異なるバルク統計情報スキーマで同じ設定を再利用できます。
オブジェクト リストのオブジェクトはすべて、同じ MIB インデックスを共有する必要があります。ただし、オブジェクトが同じ MIB 内に存在したり、同じ MIB テーブルに属する必要はありません。たとえば、ifInOctets と CISCO-IF-EXTENSION-MIB オブジェクトを同じスキーマでグループ化することが可能です。これは、両方のオブジェクトに対して含まれているテーブルが ifIndex によって指標付けされるためです。
定期的な MIB データの収集および転送のメカニズムに対するデータの選択には、次の情報を含むスキーマの定義が必要です。
オブジェクト リストの名前。
指定されたオブジェクト リスト内で取得する必要があるオブジェクトのインスタンス(ワイルド カードを使用して定義された特定のインスタンスまたは一連のインスタンス)。
指定したインスタンスに対して必要なサンプリングの頻度(ポーリング間隔)。デフォルトのポーリング間隔は 5 分です。
バルク統計情報スキーマも、指定した名前によって識別されます。この名前は、転送オプションを設定する際に使用されます。
収集するデータを設定した後、収集した全データを使用して単一の仮想ファイル(VFile またはバルク統計情報ファイル)が作成されます。このファイルは、FTP または TFTP を使用してネットワーク管理ステーションに転送できます。このファイルの転送頻度を指定できます。デフォルトの転送間隔は、30 分に 1 回です。何らかの理由でプライマリ ネットワーク管理ステーションに転送できない場合に使用されるセカンダリ宛先を設定することもできます。
転送間隔の値は、ローカルのバルク統計情報ファイルの収集期間(収集間隔)でもあります。収集期間が終了すると、そのバルク統計情報ファイルは凍結し、データを格納するためにローカルのバルク統計情報ファイルが新たに作成されます。その後、凍結したバルク統計情報ファイルは指定した宛先に転送されます。
デフォルトでは、ローカルのバルク統計情報ファイルは、ネットワーク管理ステーションに正常に転送された後に削除されます。
定期的な MIB データの収集および転送(バルク統計情報機能)では、バルク ファイル MIB(CISCO-BULK-FILE-MIB.my)と同じ機能の多くを使用できますが、重要な利点がいくつかあります。主な利点は、この機能が CLI を使用して設定でき、外部のモニタリング アプリケーションが不要なことです。
定期的な MIB データの収集および転送では、バルク統計情報ファイルの保存は主に(揮発性または永続的な)ローカル ストレージが十分にある中規模からハイエンドのプラットフォームをターゲットとしています。バルク統計情報ファイルをローカルに保存すると、一時的なネットワーク停止時にデータ損失を最小限に抑えられます。
この機能にはバルク ファイル MIB よりも強力なデータ選択機能があるため、異なるテーブルの MIB オブジェクトをデータ グループ(オブジェクト リスト)にグループ化することも可能です。また、この機能はより柔軟性のあるインスタンス選択メカニズムを備えています。このメカニズムでは、アプリケーションは MIB テーブル全体を取得するように制限されていません。
定期的な MIB データの収集および転送の設定方法
定期的な MIB データの収集および転送のメカニズムを設定する場合の最初の手順は、1 つまたは複数のオブジェクト リストを設定することです。
コマンドまたはアクション | 目的 | |||
---|---|---|---|---|
ステップ 1 |
configure |
|||
ステップ 2 |
snmp-server mib bulkstat object-list list-name 例:
|
SNMP バルク統計情報オブジェクト リストを定義し、バルク統計情報オブジェクト リスト コンフィギュレーション モードを開始します。 |
||
ステップ 3 |
add {oid | object-name} 例:
|
MIB オブジェクトをバルク統計情報オブジェクト リストに追加します。モニタ対象の全オブジェクトがこのリストに追加されるまで、必要に応じて繰り返します。
|
||
ステップ 4 |
commit |
定期的な MIB データの収集および転送を設定する場合の 2 つめの手順は、1 つまたは複数のスキーマを設定することです。
スキーマで使用されるバルク統計情報オブジェクト リストを定義する必要があります。
コマンドまたはアクション | 目的 | |||
---|---|---|---|---|
ステップ 1 |
configure |
|||
ステップ 2 |
snmp-server mib bulkstat schema schema-name 例:
|
バルク統計情報スキーマを指定し、バルク統計情報スキーマ モードを開始します。 |
||
ステップ 3 |
object-list list-name 例:
|
このスキーマに含めるバルク統計情報オブジェクト リストを指定します。スキーマごとにオブジェクト リストを 1 つだけ指定してください。複数の object-list コマンドが実行されると、より新しいコマンドによって先行のコマンドが上書きされます。 |
||
ステップ 4 |
次のいずれかを実行します。
例: または または または
|
このスキーマにおけるオブジェクトのインスタンス情報を指定します。
|
||
ステップ 5 |
poll-interval 分 例:
|
このスキーマで指定されたオブジェクト インスタンスからデータを収集する頻度を分単位で設定します。デフォルトは、5 分に 1 回です。有効範囲は 1 ~ 20000 です。 |
||
ステップ 6 |
commit |
定期的な MIB データの収集および転送を設定する最後の手順は、転送オプションを設定することです。収集された MIB データは、VFile(仮想ファイル。このマニュアル内ではバルク統計情報ファイルとも呼ばれている)と呼ばれるローカル ファイルのようなエンティティに格納されます。このファイルは、ユーザが指定した間隔でリモートのネットワーク管理ステーションに転送できます。
バルク統計情報オブジェクト リストとバルク統計情報スキーマは、バルク統計情報転送オプションを設定する前に定義する必要があります。
コマンドまたはアクション | 目的 | |||
---|---|---|---|---|
ステップ 1 |
configure |
|||
ステップ 2 |
snmp-server mib bulkstat transfer-id transfer-id 例:
|
転送設定を名前(transfer-id 引数)で識別し、バルク統計情報転送コンフィギュレーション モードを開始します。 |
||
ステップ 3 |
buffer-size bytes 例:
|
(任意)バルク統計情報データ ファイルの最大サイズをバイト単位で指定します。有効範囲は 1024 ~ 2147483647 バイトです。デフォルトのバッファ サイズは 2048 バイトです。
|
||
ステップ 4 |
例: |
(任意)バルク統計情報データ ファイル(VFile)の形式を指定します。デフォルトは schemaASCII です。
|
||
ステップ 5 |
schema schema-name 例:
|
転送するバルク統計情報スキーマを指定します。必要に応じて、このコマンドを繰り返します。複数のスキーマを単一の転送設定に関連付けることができます。収集された全データが単一のバルク データ ファイル(VFile)に保存されます。 |
||
ステップ 6 |
transfer-interval 分 例:
|
(任意)バルク統計情報ファイルの転送頻度を分単位で指定します。デフォルト値は、30 分に 1 回です。転送間隔は、収集間隔と同じです。 |
||
ステップ 7 |
url primary url 例:
|
バルク統計情報データ ファイルを転送するネットワーク管理システム(ホスト)と転送に使用するプロトコルを指定します。この宛先は、ユニフォーム リソース ロケータ(URL)として指定されます。FTP または TFTP は、バルク統計情報ファイルの転送に使用できます。 |
||
ステップ 8 |
url secondary url 例:
|
(任意)プライマリ ロケーション ファイルへの転送イベントで使用する、バックアップの転送先とプロトコルを指定します。FTP または TFTP は、バルク統計情報ファイルの転送に使用できます。 |
||
ステップ 9 |
retry number 例:
|
(任意)送信の再試行回数を指定します。デフォルト値は 0(つまり、再試行しない)です。バルク統計情報ファイルを送信しようとして失敗した場合に、このコマンドを使用してファイルの再送信を試みるように設定できます。 1 回の再試行に含まれるのは、まず 1 番目の宛先に試行され、転送に失敗すると、次に 2 番目の場所に試行される動作です。たとえば、再試行値が 1 の場合、まずプライマリ URL に試行された後でセカンダリ URL に、そして再びプライマリ URL への後で再びセカンダリ URL に試行されます。有効範囲は 0 ~ 100 です。 すべての再試行に失敗すると、次の通常の転送は、設定された転送間隔の時間が経過した後に実行されます。 |
||
ステップ 10 |
retain 分 例:
|
(任意)収集間隔と転送試行の設定が完了したら、バルク統計情報ファイルをシステム メモリに保存する期間を分単位で指定します。デフォルト値は 0 ですゼロ(0)は、転送が試行された直後にファイルが削除されることを示します。有効範囲は 0 ~ 20000 です。
|
||
ステップ 11 |
enable 例:
|
この設定でバルク統計情報のデータ収集と転送のプロセスを開始します。
|
||
ステップ 12 |
commit 分 例:
|
転送間隔時間が切れる前に、バルク統計情報ファイルの最大バッファ サイズに到達した場合でも、転送動作は開始されますが、ファイルがいっぱいになった後で受信したバルク統計情報のデータで転送される前のものは削除されます。この動作を修正するために、ポーリング頻度を減らしたり、バルク統計情報バッファのサイズを増やせます。 retain 0 に設定した場合、再試行は行われません。これは、再試行の間隔が retain の値を retry の値で割ったものであるためです。たとえば、retain 10 および retry 2 が設定されている場合は、再試行が 5 分ごとに 1 回試行されます。したがって、retry コマンドを設定した場合、retain コマンドにも適切な値を設定する必要があります。 |
次に、定期的な MIB データ収集および転送を設定する例を示します。
snmp-server mib bulkstat object-list cempo
add cempMemPoolName
add cempMemPoolType
!
snmp-server mib bulkstat schema cempWild
object-list cempo
instance wild oid 8695772
poll-interval 1
!
snmp-server mib bulkstat schema cempRepeat
object-list cempo
instance repetition 8695772.1 max 4294967295
poll-interval 1
!
snmp-server mib bulkstat transfer-id cempt1
enable
url primary tftp://223.255.254.254/auto/tftp-sjc-users3/username/dumpdcm
schema cempWild
schema cempRepeat
transfer-interval 2
!
次に、バルク統計情報ファイルの内容の例を示します。
Schema-def cempt1.cempWild "%u, %s, %s, %d" Epochtime instanceoid
1.3.6.1.4.1.9.9.221.1.1.1.1.3 1.3.6.1.4.1.9.9.221.1.1.1.1.2
cempt1.cempWild: 1339491515, 8695772.1, processor, 2
cempt1.cempWild: 1339491515, 8695772.2, reserved, 11
cempt1.cempWild: 1339491515, 8695772.3, image, 12
cempt1.cempWild: 1339491575, 8695772.1, processor, 2
cempt1.cempWild: 1339491575, 8695772.2, reserved, 11
cempt1.cempWild: 1339491575, 8695772.3, image, 12
Schema-def cempt1.cempRepeat "%u, %s, %s, %d" Epochtime instanceoid
1.3.6.1.4.1.9.9.221.1.1.1.1.3 1.3.6.1.4.1.9.9.221.1.1.1.1.2
cempt1.cempRepeat: 1339491515, 8695772.1, processor, 2
cempt1.cempRepeat: 1339491515, 8695772.2, reserved, 11
cempt1.cempRepeat: 1339491515, 8695772.3, image, 12
cempt1.cempRepeat: 1339491515, 26932192.1, processor, 2
cempt1.cempRepeat: 1339491515, 26932192.2, reserved, 11
cempt1.cempRepeat: 1339491515, 26932192.3, image, 12
cempt1.cempRepeat: 1339491515, 35271015.1, processor, 2
cempt1.cempRepeat: 1339491515, 35271015.2, reserved, 11
cempt1.cempRepeat: 1339491515, 35271015.3, image, 12
cempt1.cempRepeat: 1339491515, 36631989.1, processor, 2
cempt1.cempRepeat: 1339491515, 36631989.2, reserved, 11
cempt1.cempRepeat: 1339491515, 36631989.3, image, 12
cempt1.cempRepeat: 1339491515, 52690955.1, processor, 2
cempt1.cempRepeat: 1339491515, 52690955.2, reserved, 11
cempt1.cempRepeat: 1339491515, 52690955.3, image, 12