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Cisco MetroPlanner Release 7.0.1 を使用すると、グラフィカル環境において、Wavelength Division Multiplexing(WDM; 波長分割多重)光ネットワークのモデリングおよびテストが可能です。Cisco MetroPlanner の主要な用途は、セールス エンジニア(SE)による Cisco Optical Networking System(ONS)15454 Multi-Service Transport Platforms(MSTP)ネットワークの設計および検証支援です。SE は Cisco MetroPlanner Release 7.0.1 によって、ネットワークのインスタンスを複数作成し、インスタンスごとに各種パラメータを変更して比較できます。Cisco MetroPlanner は、光ネットワークに配置されたあらゆるサイトについて、シェルフ ビューを作成し、ネットワーク全体の Bill of Material(BoM; 部品表)およびネットワーク インスタンス間の相違点を明らかにします。
この章では、Cisco MetroPlanner を使用して、シスコ製品で構成される新規または既存の光ネットワークを設計、分析、最適化する方法について説明します。構成は次のとおりです。
• 「Cisco MetroPlanner 7.0.1 におけるトラフィック プランニング」
Cisco MetroPlanner Release 7.0.1 は、Cisco ONS 15454 MSTP 製品からなる光ネットワークを設計するための、シンプルなツール セットです。すべてのネットワーク パラメータを入力したり、またはサイト距離などの最小限の情報を入力すると、構築する必要のあるネットワークが Cisco MetroPlanner によってモデリングされ、発注情報を含む詳細な BoM が作成されます。光ネットワークを設計するには、光バジェット制限、プラットフォーム アーキテクチャの制約など、さまざまな制約を検証する必要があります。1 つの Cisco MetroPlanner プロジェクトに、ネットワークのコピーを複数含めることができるため、あるネットワーク コピーでパラメータを変更し、別のネットワーク コピーと比較、分析を行って相違を調べることができます。この機能のほかに、Cisco MetroPlanner Release 7.0.1 には次の新機能があります。
• 予定されたチャネルを実装するためのネットワーク アップグレード
• スロットの事前プロビジョニング(Cisco Transport Controller [CTC] への NE Update ファイルのインポートによる)
• 光ファイバの分離 ― 光ファイバ ペアの「1 本」ごとに、ユーザによる特定のパラメータ(損失など)管理が可能
• 強制的な装置設定(Cisco MetroPlanner 自動設定ではなく、ユーザ定義によるパラメータ)
• C バンド + L バンド/50 GHz スケーラブル設計
• メッシュ型 Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexing(ROADM; 再構成可能光分岐挿入)
ネットワークの設計図を作成する場合、SE は次のパラメータを入力します。
• ノード間のサービス タイプ、保護タイプ、チャネル数を含めたサービス デマンド
ネットワーク パラータが入力されると、Cisco MetroPlanner は、最小限のコストでユーザのトラフィック デマンドに合わせるように、最適なルーティングの特定、必要な分岐挿入(add/drop)フィルタの定義、光増幅器および Dispersion Compensation Unit(DCU; 分散補償装置)の配置を行います。さらに、境界条件を満たすように、最適化が実行されます。最適化には減衰と増幅が含まれます。
Cisco MetroPlanner は最後に BoM を作成します。これには製品コード、数量、および価格情報が含まれます。印刷可能なシェルフ レベルの構成図など、その他のレポートも作成します。これにより SE はシェルフの構造を理解できるので、実際の構成時に混乱やミスを避けられます。また、BoM に含まれる総ネットワーク コストから、各種の設計オプションを迅速に比較できます。総ネットワーク コストは、設計したネットワークに含まれるすべてのサイトの装置コストです。
Cisco MetroPlanner は最適化アルゴリズムを使用して、設計したネットワークに最適なソリューションを検出します。
効率的なネットワーク運用を実現するために、光バジェットおよびレシーバー過負荷基準を満たすようにネットワークを設計する必要があります。光バジェットおよびレシーバー過負荷の分析では、リングを伝わる信号の強さを査定します。設計ソリューションが制約を満たせば、有効な設計です。Cisco MetroPlanner Release 7.0.1 の最適化アルゴリズムは、複数のソリューションを作成し、それぞれのソリューションで制約を検証します。制約が満たされた場合は、利用に対するコスト率が最小のソリューションが最適なソリューションとして選択されます。
ネットワーク設計ソリューションですべての制約を満たせない場合、Cisco MetroPlanner Release 7.0.1 が信号の減衰、増幅といったパラメータを調整します。増幅には Erbium-Doped Fiber Amplifier(EDFA; エルビウム添加光ファイバ増幅器)を使用します。減衰には、プラットフォーム内蔵の Variable Optical Attenuator(VOA)モジュールを使用します。Cisco MetroPlanner Release 7.0.1 は、EDFA および VOA 規制の自動適用が組み込まれたアルゴリズムを使用して、光バジェットを修正します。
Cisco MetroPlanner Release 7.0.1 は、ノード間のデマンドごとに光バジェットおよびレシーバー過負荷の分析を実行し、GUI(グラフィカル ユーザ インターフェイス)の各種レポートに結果を表示します。ネットワーク設計アルゴリズムがソリューションを提供できない場合は、ユーザ側で入力データを変更(一部のユーザ制約を緩和するなど)して、再度分析を実行できます。
Cisco MetroPlanner Release 7.0.1 は、Cisco ONS 15454 DWDM 光プラットフォーム Software Releases 4.7、5.0.x、および 7.0.x をサポートします。
Cisco MetroPlanner 7.0.1 は、次のネットワーク トポロジーをサポートします。
• バス(シングル スパン、ポイントツーポイント、およびリニア)
Cisco MetroPlanner 7.0.1 を使用すると、最大 60 サイトからなる柔軟性の高いネットワークを設計できます。柔軟性の高いネットワークとは、ROADM ノードを使用し、トラフィック要件の変化に応じてトラフィックの変更または再構成が可能なネットワークです。柔軟なネットワークの主要な機能は、ネットワークで結ばれたすべてのノード間またはそのサブセット間におけるトラフィックの再構成/変更です。
Optical Service Channel(OSC)終端位置の最大数は 20 です。分岐挿入(add/drop)位置の最大数は 16 です。
Cisco MetroPlanner 7.0.1 は設計上、次の保護方式をサポートします。
• Y 字型ケーブル保護 ― Y 字型ケーブルによる保護方式では、一方のトランスポンダ カードをアクティブ、他方をスタンバイとして指定します。スタンバイ トランスポンダ カードでは、クライアント側レーザーをオフにして、クライアントに送り返される信号が損なわれないようにします。アクティブ トランスポンダは、トランク側から伝送された信号を監視し、信号損失または信号エラーが検出された場合は、スタンバイ パスに切り替えます。
• クライアントベース 1+1 ― Y 字型ケーブルを使用して 1 つの信号を 2 つのライン カードまたはトランスポンダ カードに分割するのではなく、2 つのクライアント信号が別々のライン カードまたはトランスポンダ カードに伝送されます。クライアント 1+1 保護では、クライアント システムが障害およびスイッチオーバーを制御します。
• 光ファイバ スイッチド保護 ― クライアントの受信(Rx)ポートに単一クライアント信号が投入されます。続いて、2 つのトランク送信(Tx)ポート上で 2 つの信号に分割されます。この 2 つの信号は、さまざまなパス回線に送信されます。遠端のカードは、2 つのトランク Rx ポート信号のうち、どちらか一方を選択し、Tx クライアント ポートへ送り込みます。
Cisco MetroPlanner 7.0.1 は、次のサービスのうち、任意のサブセットをサポートできます。
• Alien(サードパーティの DWDM インターフェイス)
• Cisco ONS 15530 2.5 Gbps Aggregated
• ONS 15530 10 Gbps Aggregated
• ONS 15530 Multirate(MR)Transport
• ONS 15530 Data Multiplexer(MXP)
• 10GE ― 10 ギガビット イーサネット(LAN および WAN)
• DVB-ASI ― Digital Video Broadcast(デジタル ビデオ ブロードキャスト)-Asynchronous Serial Interface(非同期シリアル インターフェイス)
• ESCON ― Enterprise System Connection
• High Definition Television(HDTV; 高精細度テレビ)
• Sysplex CLO ― Control Link Oscillator(コントロール リンク オシレータ)
• Sysplex ETR ― External Throughput Rate
(注) Sysplex CLO および Sysplex ETR サービスがサポートされるのは、次のトポロジーに限られます。
• シングル スパン ― 32MUX-O および 32DMX-O カード、または 32WSS および 32DMX または 32DMX-O カードを装備し、中間サイトを持たない 2 つの終端サイト
• ポイントツーポイント ― 32MUX-O および 32DMX-O カード、または 32WSS および 32DMX または 32DMX-O カードを装備している 2 つの終端サイト。2 つの終端サイトの間に回線増幅器を配置できますが、中間(トラフィック終端)サイトを設置することはできません。
• 2 つのハブ ― 32MUX-O、32DMX-O、32WSS、および 32DMX カードまたは 32DMX-O カードを装備したリング内の 2 つのハブ ノード。2 つのハブ間に回線増幅器を設置できます。
ETR および CLO サービスでサポートされるトポロジーの詳細については、『 Cisco ONS 15454 DWDM Reference Manual 』を参照してください。
次のプロセスで、ネットワーク設計を完了します。処理フローについては、図1-1 を参照してください。
1. Project Creation ウィザードを使用してプロジェクトを作成します。
2. Creat Network ウィザードを使用してネットワークを作成します。Create Network ウィザードでサイトを追加し、サイト間に光ファイバ スパンを配置します。スパンは光ファイバのペアです。
3. ポイントツーポイント、保護リング(P リング)、または ROADM(あるいはその両方)のサービス デマンドを作成します。
5. 強制的に自動ツール選択を行う場合は、所定の構成になるまで、設計を調整して分析を繰り返します。
6. ネットワークの Install コピーを作成し、現場の実データでパラメータを更新します。
8. 必要に応じてネットワークの Upgrade コピーを作成し、将来のチャネルを追加します。
Cisco MetroPlanner においてトラフィックは、サービス デマンドを必要とするノードのペアごとに、光路として定義されます。光路は、2 つのノード間の結合されたチャネルです。次のリストに、基本的なトラフィック アイテムの定義を示します。
• 回線 ― 送信元ノードと宛先ノードのペアを結ぶ個々のチャネル。ノード ペア間の回線数は、トラフィック デマンドのタイプに応じて 0 ~ 32 です。送信元ノードおよび宛先ノード、回線が含まれるサービスに共通するすべての属性に加え、回線には次の属性があります。
–オプティカル バイパス(チャネルの数、またはサイトの数、あるいはその両方)
–WDM インターフェイス タイプ(TXT または ITU-LC)
–送信元クライアント インターフェイス(SR、IR、またはLR)
–宛先クライアント インターフェイス(SR、IR、またはLR)
• トラフィック デマンド ― 同じノード セット間のすべてのトラフィック。L バンドおよび C バンドの両方がサポートされます。サポート対象のトラフィック デマンドは、P リング、固定(ポイントツーポイント)、および Any-to-Any(ROADM)です。
P リング トラフィック デマンドでは、Bidirectional Line Switch Ring(BLSR; 双方向ライン スイッチ型リング)または Multiplex Section-Shared Protection Ring(MS-SPRing; 多重化セクション共有保護リング)に類似のトラフィック トポロジーをサポートするために使用されるすべてのデマンド。各 P リング デマンドは、分岐挿入(add/drop)ノードのペア間であり、そこにはBLSR に類似した(または MS-SPRing に類似した)トラフィックが存在しなければなりません。回線数は、各デマンドで同じであり、ユーザが指定します(1 ~ 32)。
固定(ポイントツーポイント)トラフィック デマンドでは、ノード セットが 2 つのサイトに制限されます。回線数はユーザが指定します(1 ~ 32)。
Any-to-Any(ROADM)トラフィック デマンドでは、最小で 2 ノード、最大でネットワークのあらゆるノードです。Any-to-Any トラフィック デマンドでは、各ノードはハブ構成またはメッシュ構成として、他のノードに対して 1 つまたは複数の回線を確立できます。メッシュ構成では、セットで定義された各ノードが相互に接続されます。これが最も一般的なトラフィック タイプです。ハブ構成では、ユーザが定義したハブ ノードがその他の各ノードに接続されます。ROADM 回線では、同じ保護タイプおよびサービスを使用します。回線数は 0 ~ 32 ですが、ユーザ指定ではありません。ROADM の場合、サポートされるのは L バンドだけです。
ROADM デマンドには、複数のクライアント サービス タイプを設定できます。また、クライアント サービス タイプごとに複数の DWDM カード インターフェイスがサポートします。ROADM デマンドでサポートされるルーティング戦略は、次のとおりです。
–保護(デフォルト) ― トラフィック デマンドのノード ペアごとに、接続を 2 つずつ使用して接続します。
–非保護最適光路 ― ノード ペアごとに接続を 1 つずつ使用して接続します。非保護最適光路の場合、必要な光増幅器の数を最小限に抑えられますが、導入したネットワークにおいて、トラフィック デマンドのノード間に配置できるチャネル数が制限されます(ノード ペア間ごとに最大 32 チャネル)。
–非保護最小ホップ数 ― トラフィック デマンドのノード ペアごとに、接続を 1 つずつ使用して接続します。非保護最小ホップ数の場合、トラフィック デマンドのノード間に配置できるチャネル数は最大になりますが(非保護トラフィック タイプの場合のみ)、導入したネットワークにおいて、非保護最適光路(ノード ペア間ごとに最大 32 チャネル)より多くの光増幅器が必要になります。
–非保護サブネット ― トラフィック デマンドのノード ペアごとに、接続を 1 つずつ使用して接続します。リングの 1 つの分岐だけに、手動で接続を強制的に設定できます。非保護サブネットの場合、手動で分岐の開始ノードを 1 つ選択し、さらに最初のサイトから始めて、リング上の進行方向を選択してサブネットを定義する必要があります。分岐の方向は、開始ノードとして発信側を先に定義することによって指定します。このルーティング戦略オプションを使用すると、一部のクリティカル パスを除外し、(2 つのサイトが含まれる ROADM トラフィック デマンドで)各 ROADM 接続を強制的に右回りまたは左回りにすることができます。
Cisco MetroPlanner 7.0.1 は、ユーザが定義したあらゆるトラフィック サービスを Project Explorer ペイン内にツリー表示で示します。Project Explorer には、ネットワーク、ネットワークの依存関係、サイト、光ファイバ、サービスなど、公開されているプロジェクト情報がすべて表示されます(図1-2)。
ネットワーク設計の分析後は、ツリー表示の色がネットワーク設計のエラーまたは警告に応じて変化します。ネットワーク設計にエラーがあった場合は、アイコンがレッドに、エラーはなくても警告があった場合はオレンジに、警告もエラーもない場合はグリーンになります。アイコンは、最も重大な状態を表す色になります。ネットワーク分析の詳細については、「ネットワークの分析」を参照してください。
Projector Explorer ツリーの特定のアイテムを右クリックすると、パラメータを編集できます。光の成績、トラフィック マトリクス、および編集の詳細については、「Cisco MetroPlanner によるネットワーク設計」を参照してください。
ポイントツーポイント トラフィック デマンドは、Project Explorer ペインで Service Demands、PointToPoint フォルダの順に選択すると表示されます。各ポイントツーポイント トラフィック デマンドは、送信元および宛先サイト名に基づいて分類されます。2 つのサイト間のポイントツーポイント サービスはすべて、指定のデマンド名の下に表示されます(図1-3)。
図1-3 Project Explorer におけるポイントツーポイント トラフィック デマンド
各保護リング(P リング)トラフィック デマンドは、Project Explorer ペインで Service Demands、P-Rings フォルダの順に選択すると表示されます。図1-4 に、Project Explorer での P リング トラフィック デマンドの表示例を示します。
図1-4 Project Explorer における P リング トラフィック デマンド
各 P リング トラフィック デマンドの下に、各サイト ペア間のすべての P リング チャネルが表示されます。各デマンドのラベルには、次の情報が含まれます。
各 ROADM トラフィック デマンドは、Project Explolrer で Service Demands、ROADMs フォルダの順に選択すると表示されます。ROADM フォルダに、定義されている各 ROADM デマンドが含まれています。同じノード セットの同じ ROADM に定義するデマンドを追加できます。図1-5 に、ROADM トラフィック デマンドの例を示します。
図1-5 Project Explorer における ROADM トラフィック デマンド
Project Explorer では、各 ROADM に ROADM デマンド名、およびクライアント サービス タイプをサポートする DWDM カード タイプのリストが含まれます。保護タイプは、カッコで囲んで示されます。
Cisco MetroPlanner のパラメータは、次の 3 種類のステート(状態)のいずれかにできます。
• Auto ― パラメータの設定値として Auto を選択すると、ネットワーク分析時に Cisco MetroPlanner がパラメータ値を選択します。Auto を選択すると、ネットワークの設計に関する Cisco MetroPlanner の柔軟性が最大になります。
• Forced ― Auto 以外の具体的なパラメータ値を設定すると、Cisco MetroPlanner はその制約に基づいてネットワークを設計します。強制された設定値は、Project Explorer ペインにおいて、ブルーのイタリック体で示されます。
• Locked ― ネットワーク分析後のパラメータ ステートです。次回のアナライザ実行時には、Locked ステートの値を変更できません。ユーザは Unlock コマンドを使用することによって、アイテムのロックを解除できます。詳細については、「ネットワーク設計のパラメータ ロック解除」を参照してください。
図1-6 Project Explorer に表示されたロック状態のサイト
初期ステートに応じて、ネットワーク アナライザの動作は次のようになります。