iSCSI マルチパスについて
iSCSI マルチパスとは、サーバとそのストレージ デバイスとの間に複数のルートをセットアップする機能です。常時接続の維持と、トラフィック負荷の分散が可能になります。マルチパス ソフトウェアによって、すべての入力/出力要求が処理され、要求は最善のパスを通して送信されます。ホスト サーバから共有ストレージへのトラフィックの伝送には、iSCSI プロトコルが使用されます。この iSCSI プロトコルによって、SCSI コマンドが iSCSI パケットにパッケージ化され、このパケットがイーサネット ネットワーク上で伝送されます。
パスまたはパス上のコンポーネントに障害が発生した場合は、使用可能な別のパスがサーバによって選択されます。
注意事項および制約事項
iSCSI マルチパス機能に関する注意事項および制約事項は、次のとおりです。
• iSCSI マルチパスに使用されるポート プロファイルは、アクセス ポート プロファイルであることが必要です。トランク ポート プロファイルであってはなりません。
• 次のことが必須です。
– Cisco Nexus 1000V 上にシステム VLAN が作成されている。
– アップリンク ポートのいずれかのシステム VLAN 範囲内に、この VLAN が含まれている。
– 2 つ以上の物理 NIC が含まれる 1 つのポート チャネルを持つホストが設定されている。
– VMware カーネル NIC が SAN 外部ストレージにアクセスするように設定されている。
• 1 つの VMware カーネル NIC は 1 つの物理 NIC にしかピン接続または割り当てできません。
• 1 つの物理 NIC に複数の VMware カーネル NIC をピン接続または割り当てることができます。
前提条件
iSCSI マルチパス機能を使用するための前提条件は次のとおりです。
• VMware iSCSI SAN ストレージ仮想化について理解している。
• iSCSI イニシエータ ソフトウェアを VMware ESX/ESXi ホスト上でセットアップする方法を理解している。
• ホストのソフトウェア リリースが VMware ESX 4.0.1 Update 01 であり、すでに稼動している。
• iSCSI マルチパス化およびパス フェールオーバーについて理解している。
デフォルト設定
表 13-1 に、iSCSI マルチパス コンフィギュレーション内のデフォルト設定を示します。
表 13-1 iSCSI マルチパスのデフォルト
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タイプ(port-profile) |
vEthernet |
説明(port-profile) |
なし |
VMware ポート グループ名(port-profile) |
ポート プロファイルの名前 |
スイッチポート モード(port-profile) |
アクセス |
ステート(port-profile) |
ディセーブル |
iSCSI マルチパス用のポート プロファイルの設定
ここでは、ホストとターゲットとの間の通信を iSCSI プロトコルを介してマルチパス化する手順を説明します。具体的には、特定のシステム VLAN に関連付けられた iSCSI マルチパス ポート プロファイルに vEthernet インターフェイスを割り当てます。
始める前に
ここに示す手順を開始する前に、次の点を理解または実行しておく必要があります。
• 2 つ以上の物理 NIC が含まれる 1 つのポート チャネルを持つホストを設定済みです。
• SAN 外部ストレージにアクセスするための VMware カーネル NIC を作成済みです。
• 1 つの VMware カーネル NIC は 1 つの物理 NIC にしかピン接続または割り当てできません。
• 1 つの物理 NIC に複数の VMware カーネル NIC をピン接続または割り当てることができます。
• マルチパス化をインターフェイス上で設定する必要があります。設定するには、この手順を使用して iSCSI マルチパス ポート プロファイルを作成し、そのポート プロファイルにインターフェイスを割り当てます。
• EXEC モードで CLI にログインしている必要があります。
• この iSCSI マルチパス ポート プロファイルに追加する VLAN の VLAN ID がわかっている必要があります。
– その VLAN がすでに Cisco Nexus 1000V 上に作成されている必要があります。
– この iSCSI マルチパス ポート プロファイルに割り当てる VLAN は、システム VLAN であることが必要です。
– アップリンク ポートのいずれかのシステム VLAN 範囲内に、この VLAN が含まれている。
• ポート プロファイルは、アクセス ポート プロファイルであることが必要です。トランク ポート プロファイルであってはなりません。この手順には、ポート プロファイルをアクセス ポート プロファイルとして設定するステップが含まれています。
手順の概要
1. config t
2. port-profile type vethernet name
3. vmware port-group [ name ]
4. switchport mode access
5. switchport access vlan vlanID
6. no shutdown
7. (任意)system vlan vlanID
8. capability iscsi-multipath
9. state enabled
10. (任意) show port-profile name
11. (任意)copy running-config startup-config
手順の詳細
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ステップ 1 |
config t 例: n1000v# config t n1000v(config)# |
CLI グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
port-profile type vethernet name
n1000v(config)# port-profile type vethernet VMK-port-profile n1000v(config-port-prof)# |
指定したポート プロファイルの CLI ポート プロファイル コンフィギュレーション モードを開始します。 • type :ポート プロファイルを Ethernet タイプまたは vEthernet タイプとして定義します。この設定を後で変更することはできません。デフォルトは vEthernet タイプです。 (注) ポート プロファイルを Ethernet タイプとして設定すると、VMware 仮想ポートの設定には使用できなくなります。 • name :ポート プロファイル名の長さは最大 80 文字です。Cisco Nexus 1000V 上の各ポート プロファイルの名前は一意でなければなりません。 |
ステップ 3 |
description profiledescription 例: n1000v(config-port-prof)# description “Port Profile for iSCSI multipath” n1000v(config-port-prof)# |
ポート プロファイルに説明を追加します。この説明は自動的に vCenter Server にプッシュされます。 profile description :最大 80 文字の ASCII 文字 (注) 説明にスペースが含まれる場合は、説明全体を引用符で囲む必要があります。 |
ステップ 4 |
vmware port-group [ name ]
n1000v(config-port-prof)# vmware port-group VMK-port-profile n1000v(config-port-prof)# |
ポート プロファイルを VMware ポート グループとして指定します。 ポート プロファイルは、同じ名前の VMware ポート グループにマッピングされます。vCenter Server 接続が確立すると、Cisco Nexus 1000V で作成されたポート グループは、vCenter Server の仮想スイッチに配信されます。 name :VMware ポート グループ名。ポート プロファイルを別のポート グループ名にマッピングする場合は、別の名前を使用してください。 |
ステップ 5 |
switchport mode access ]
n1000v(config-port-prof)# switchport mode access n1000v(config-port-prof)# |
インターフェイスがスイッチ アクセス ポート(デフォルト)であることを指定します。 |
ステップ 6 |
switchport access vlan vlanID
n1000v(config-port-prof)# switchport access vlan 254 n1000v(config-port-prof)# |
システム VLAN ID を、このポート プロファイルのアクセス ポートに割り当てます。 (注) この iSCSI ポート プロファイルに割り当てられる VLAN は、システム VLAN でなければなりません。 |
ステップ 7 |
no shutdown
n1000v(config-port-prof)# no shutdown n1000v(config-port-prof)# |
プロファイル内のすべてのポートを管理目的でイネーブルにします。 |
ステップ 8 |
system vlan vlanID 例: n1000v(config-port-prof)# system vlan 254 n1000v(config-port-prof)# |
システム VLAN を、このポート プロファイルに追加します。 これで、ホストが初めて追加されたときや後で再起動されるときに、VEM が確実に VSM に到達できるようになります。アップリンク ポートのいずれかのシステム VLAN 範囲内に、この VLAN が含まれている必要があります。 |
ステップ 9 |
capability iscsi-multipath
n1000v(config-port-prof)# capability iscsi-multipath n1000v(config-port-prof)# |
ポートを iSCSI マルチパス化に使用できるようになります。 vCenter Server では、この iSCSI マルチパス ポート プロファイルが選択されて VM カーネル NIC ポートに割り当てられている必要があります。 |
ステップ 10 |
state enabled
n1000v(config-port-prof)# state enabled n1000v(config-port-prof)# |
ポート プロファイルをイネーブルにします。 割り当てられたポートに、このポート プロファイルのコンフィギュレーションが適用され、ポート グループが vCenter Server 上の VMware vSwitch 内に作成されます。 |
ステップ 11 |
show port-profile name name 例: n1000v(config-port-prof)# show port-profile name multipath-profile n1000v(config-port-prof)# |
(任意)ポート プロファイルの現在のコンフィギュレーションを表示します。 |
ステップ 12 |
copy running-config startup-config 例: n1000v(config-port-prof)# copy running-config startup-config |
(任意)実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーし、リブートと再起動を行って、永久的に保存します。 |
その他の関連資料
iSCSI マルチパスの実装に関連する詳細情報については、次の項を参照してください。
• 「関連資料」
• 「標準規格」
関連資料
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VMware SAN 設定 |
『VMware SAN Configuration Guide』 |
ポート プロファイル設定 |
『 Cisco Nexus 1000V Port Profile Configuration Guide, Release 4.0(4)SV1(3) 』 |
インターフェイス コンフィギュレーション |
『 Cisco Nexus 1000V Interface Configuration Guide, Release 4.0(4)SV1(3) 』 |
Cisco Nexus 1000V のすべてのコマンドのコマンド構文、コマンド モード、コマンド履歴、デフォルト、使用上の注意事項、例 |
『 Cisco Nexus 1000V Command Reference, Release 4.0(4)SV1(3) 』 |
標準規格
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この機能でサポートされる新規または改訂された標準規格はありません。また、この機能による既存の標準規格サポートの変更はありません。 |
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iSCSI マルチパス機能の履歴
表 13-2 に、iSCSI マルチパス機能のリリース履歴を示します。
表 13-2 iSCSI マルチパス機能の履歴
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iSCSI マルチパス |
4.0(4)SV1(2) |
iSCSI マルチパス機能が追加されました。 |