音声 VLAN 設定時の注意事項
音声 VLAN の設定時の注意事項を次に示します。
• 音声 VLAN はスイッチのアクセス ポートに設定する必要があります。音声 VLAN はトランク ポートではサポートされません。
(注) 音声 VLAN はアクセス ポートでのみサポートされており、設定可能であってもトランク ポートではサポートされていません。
• IP Phone での通信が適切に行えるように、音声 VLAN はスイッチ上でアクティブになっている必要があります。VLAN が存在しているかどうかを確認するには、 show vlan 特権 EXEC コマンドを使用します(リストで表示されます)。VLAN がリストになかった場合、音声 VLAN の作成方法について、 第 12 章「VLAN の設定」 を参照してください。
• 音声 VLAN をイネーブルにする前に、mls qos グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力してスイッチ上で QoS をイネーブルに設定し、さらに mls qos trust cos インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力してポートの信頼状態を trust に設定しておくことを推奨します。Auto-QoS 機能を使用すると、これらは自動的に設定されます。詳細は、 第 31 章「QoS の設定」 を参照してください。
• IP Phone にコンフィギュレーションを送信するために、Cisco IP Phone に接続するスイッチ ポート上で CDP をイネーブルにする必要があります (デフォルト設定では、CDP がすべてのスイッチ インターフェイスでグローバルにイネーブルです)。
• 音声 VLAN を設定すると、PortFast 機能が自動的にイネーブルになります。音声 VLAN をディセーブルにしても、PortFast 機能は自動的にディセーブルになりません。
• Cisco IP Phone とその IP Phoneに接続されたデバイスが同じ VLAN 上にある場合、両方とも同じ IP サブネットに属していなければなりません。次の条件が満たされている場合は、同じ VLAN 上にあります。
– 両方とも IEEE 802.1p またはタグなしフレームを使用する。
– Cisco IP Phone が IEEE 802.1p フレームを使用し、デバイスがタグなしフレームを使用する。
– Cisco IP Phone がタグなしフレームを使用し、デバイスが IEEE 802.1p フレームを使用する。
– Cisco IP Phone が IEEE 802.1Q フレームを使用し、音声 VLAN がアクセス VLAN と同じである。
• Cisco IP Phone と IP Phone に接続されたデバイスは、同一 VLAN、同一サブネット上にあっても、使用するフレーム タイプが異なる場合は通信できません。トラフィックは同一サブネット上でルーティングされないからです(ルーティングによってフレーム タイプの相違が排除されます)。
• 音声 VLAN では、スタティック セキュア MAC(メディア アクセス制御)アドレスを設定できません。
• 音声 VLAN ポートには次のポート タイプがあります。
– ダイナミック アクセス ポート。詳細については、「VMPS クライアント上のダイナミックアクセス ポートの設定」を参照してください。
– IEEE 802.1x 認証ポート。詳細については、「IEEE 802.1x 認証の設定」を参照してください。
(注) 音声 VLAN が設定され、Cisco IP Phone が接続されているアクセス ポートで IEEE 802.1x をイネーブルにした場合、その IP Phone のスイッチへの接続が最大 30 秒間失われます。
– 保護ポート。詳細については、「保護ポートの設定」を参照してください。
– Switched Port Analyzer(SPAN; スイッチド ポート アナライザ)または Remote SPAN(RSPAN)セッションの送信元ポートまたは宛先ポート。
– セキュア ポート。詳細については、「ポート セキュリティの設定」を参照してください。
(注) 音声 VLAN も設定しているインターフェイス上でポート セキュリティをイネーブルにする場合、ポートで許容されるセキュア アドレスの最大数を、アクセス VLAN におけるセキュア アドレスの最大数に 2 を足した数に設定しなければなりません。ポートを Cisco IP Phone に接続している場合、IP Phone に最大で 2 つの MAC アドレスが必要になります。IP Phone のアドレスは、音声 VLAN で学習され、アクセス VLAN でも学習される場合があります。PC をIP Phone に接続する場合、追加の MAC アドレスが必要になります。
Cisco IP Phone の音声トラフィックの設定
Cisco IP Phone に CDP パケットを送信して IP Phone による音声トラフィックの送信方法を設定するように、IP Phone に接続するポートを設定できます。IP Phone は指定された音声 VLAN に、レイヤ 2 CoS 値を使用して、IEEE 802.1Q フレームの音声トラフィックを伝送できます。IEEE 802.1p のプライオリティ タグを使用すると、音声トラフィックにさらに高いプライオリティを与え、すべての音声トラフィックをネイティブ(アクセス)VLAN 経由で転送できます。Cisco IP Phone はタグなしの音声トラフィックを送信する、または独自の設定を使用してアクセス VLAN で音声トラフィックを送信することもできます。いずれの設定でも、音声トラフィックはレイヤ 3 IP precedence 値(デフォルトは 5)を伝送します。
ポート上で音声トラフィックを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
IP Phoneに接続するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
mls qos trust cos |
パケットの CoS 値を使用して着信するトラフィック パケットを分類するように、インターフェイスを設定します。タグなしパケットの場合、ポートのデフォルト CoS 値が使用されます。 グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用することによって、QoS をグローバルでイネーブルに設定しておく必要があります。 |
ステップ 4 |
switchport voice vlan { vlan-id | dot1p | none | untagged} } |
Cisco IP Phone による音声トラフィックの伝送方法を設定します。 • vlan-id :すべての音声トラフィックが特定の VLAN を経由して転送されるように IP Phone を設定します。デフォルトでは、Cisco IP Phone は IEEE 802.1p プライオリティ 5 を使用して音声トラフィックを転送します。有効な VLAN ID は 1 ~ 4094 です。 • dot1p :音声トラフィックに IEEE 802.1p プライオリティ タギングを使用し、デフォルトのネイティブ VLAN(VLAN 0)を使用してすべてのトラフィックが伝送されるように、IP Phone を設定します。デフォルトでは、Cisco IP Phone は IEEE 802.1p プライオリティ 5 を使用して音声トラフィックを転送します。 • none :IP Phone が独自の設定を使用してタグなしの音声トラフィックを送信するようにします。 • untagged :タグなしの音声トラフィックを送信するように IP Phone を設定します。 |
ステップ 5 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
show interfaces interface-id switchport または show running-config interface interface-id |
音声 VLAN の設定を確認します。 QoS および音声 VLAN の設定を確認します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
次に、Cisco IP Phone に接続しているポートを設定する例を示します。ポートは、CoS 値を使用して着信トラフィックを分類し、音声トラフィック用に IEEE 802.1p プライオリティ タギングを使用し、デフォルトのネイティブ VLAN(VLAN 0)を使用してすべてのトラフィックを伝送するように設定します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitethernet0/1
Switch(config-if)# mls qos trust cos
Switch(config-if)# switchport voice vlan dot1p
ポートをデフォルト設定に戻すには、 no switchport voice vlan インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
着信データ フレームのプライオリティ設定
PC またはその他のデータ デバイスを Cisco IP Phone ポートに接続できます。タグ付きデータ トラフィック(IEEE 802.1Q または IEEE 802.1p フレーム)を処理するために、スイッチが CDP パケットを送信するように設定できます。CDP は、Cisco IP Phone に、IP Phone 上のアクセス ポートに接続されたデバイスからのデータ パケットをどのように送信するかを指定します。PC は、CoS 値が割り当てられたパケットを生成できます。接続デバイスから IP Phone のポートに届いたフレームのプライオリティを変更しない(信頼する)または変更する(信頼しない)ように、IP Phone を設定できます。
Cisco IP Phone の非音声ポートから受信したデータ トラフィックのプライオリティを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
Cisco IP Phone に接続するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
switchport priority extend { cos value | trust } |
Cisco IP Phone のアクセス ポートから受信したデータ トラフィックのプライオリティを設定します。 • cos value :PC または接続しているデバイスから受信したプライオリティを指定の CoS 値に変更するように、IP Phoneを設定します。値は 0 ~ 7 です。7 が最高のプライオリティです。デフォルトのプライオリティは cos 0 です。 • trust :PC または接続しているデバイスから受信したプライオリティを信頼するように IP Phone のアクセス ポートを設定します。 |
ステップ 4 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show interfaces interface-id switchport |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
次に、Cisco IP Phone に接続しているポートを設定して、PC または接続しているデバイスから受信するフレームのプライオリティを変更しないようにする例を示します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitethernet0/1
Switch(config-if)# switchport priority extend trust
ポートをデフォルト設定に戻すには、 no switchport priority extend インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。