Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の概要
ここでは、次の情報について説明します。
• 「Flex Link」
• 「VLAN Flex Link ロード バランシングおよびサポート」
• 「Flex Link のマルチキャスト高速コンバージェンス」
• 「MAC アドレス テーブル移動更新」
Flex Link
Flex Link は、レイヤ 2 インターフェイス(スイッチ ポートまたはポート チャネル)のペアで、1 つのインターフェイスがもう一方のバックアップとして機能するように設定されています。この機能は、Spanning Tree Protocol(STP; スパニング ツリー プロトコル)の代替ソリューションです。ユーザは、STP をディセーブルにしても、基本的リンク冗長性を保つことができます。Flex Link は一般的に、カスタマーがスイッチで STP を稼動しない場合に、サービス プロバイダーまたは企業ネットワークで設定されます。スイッチが STP を実行中の場合は、STP がすでにリンクレベルの冗長性またはバックアップを提供しているため、Flex Link は不要です。
別のレイヤ 2 インターフェイスを Flex Link またはバックアップ リンクとして割り当てることで、1 つのレイヤ 2 インターフェイス(アクティブ リンク)に Flex Link を設定します。Catalyst 3750-X スイッチでは、Flex Link をスタック内の同じスイッチ、または別のスイッチで設定できます。リンクの 1 つがアップでトラフィックを転送しているときは、もう一方のリンクがスタンバイ モードで、このリンクがシャット ダウンした場合にトラフィックの転送を開始できるように準備しています。どの時点でも、1 つのインターフェイスのみがリンクアップ ステートでトラフィックを転送しています。プライマリ リンクがシャットダウンされると、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を始めます。アクティブ リンクがアップに戻った場合はスタンバイ モードになり、トラフィックが転送されません。STP は Flex Link インターフェイスでディセーブルです。
図 23-1 では、スイッチ A のポート 1 およびポート 2 がアップリンク スイッチ B およびアップリンク スイッチ C に接続されています。これらのスイッチは Flex Link として設定されているので、どちらかのインターフェイスがトラフィックを転送し、もう一方のインターフェイスはスタンバイ モードになります。ポート 1 がアクティブ リンクになる場合、ポート 1 とスイッチ B との間でトラフィックの転送を開始し、ポート 2(バックアップ リンク)とスイッチ C との間のリンクでは、トラフィックは転送されません。ポート 1 がダウンした場合はポート 2 がアップし、トラフィックをスイッチ C に転送し始めます。ポート 1 は、再び動作を開始するとスタンバイ モードになり、トラフィックを転送しません。ポート 2 がトラフィック転送を続けます。
また、優先してトラフィックの転送に使用するポートを指定して、プリエンプト メカニズムを設定することもできます。たとえば、図 23-1 では、Flex Link ペアをプリエンプト モードで設定することにより、図のシナリオでは、ポート 1 がバックアップとなって、ポート 2 より帯域幅が大きい場合、ポート 1 は 60 秒後にパケットの転送を開始します。ポート 2 がスタンバイとなります。これを行うには、 switchport backup interface preemption mode bandwidth および switchport backup interface preemption delay インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力します。
図 23-1 Flex Link の設定例
プライマリ(転送)リンクがダウンすると、トラップによってネットワーク管理ステーションが通知を受けます。スタンバイ リンクがダウンすると、トラップによってユーザが通知を受けます。
Flex Link はレイヤ 2 ポートおよびポート チャネルだけでサポートされ、VLAN やレイヤ 3 ポートではサポートされません。
VLAN Flex Link ロード バランシングおよびサポート
VLAN Flex Link のロード バランシングにより、相互に排他的な VLAN のトラフィックを両方のポートが同時に転送できるように、ユーザは Flex Link ペアを設定できます。たとえば、Flex Link ポートが 1 ~ 100 の VLAN に対して設定されている場合、最初の 50 の VLAN のトラフィックを 1 つのポートで転送し、残りの VLAN のトラフィックをもう一方のポートで転送できます。どちらかのポートで障害が発生した場合には、もう一方のアクティブ ポートがすべてのトラフィックを転送します。障害が発生したポートが元に戻ると、優先 VLAN のトラフィックの転送を再開します。このように、Flex Link のペアは冗長性を提供するだけでなく、ロード バランシングの用途に使用できます。また、Flex Link VLAN ロード バランシングによってアップリンク スイッチが制約を受けることはありません。
図 23-2 VLAN Flex Link ロード バランシングの設定例
その他の Flex Link ポートを mrouter ポートとして学習
通常のマルチキャスト ネットワークでは、個々の VLAN について 1 つのクエリアが選定されます。ネットワーク エッジに展開されたスイッチには、クエリーを受信するいずれかの Flex Link ポートが存在します。Flex Link ポートは常に、転送状態になります。
クエリーを受信するポートが、スイッチの mrouter ポートとして追加されます。mrouter ポートは、スイッチが学習したすべてのマルチキャスト グループの 1 つとして認識されます。切り替えの後、クエリーは別の Flex Link ポートによって受信されます。この別の Flex Link ポートは mrouter ポートとして認識されるようになります。切り替えの後、マルチキャスト トラフィックは別の Flex Link ポートを介して流れます。トラフィック コンバージェンスを高速化するために、いずれか一方の Flex Link ポートが mrouter ポートとして学習されると、両方の Flex Link ポートが mrouter ポートとして認識されます。いずれの Flex Link ポートも常に、マルチキャスト グループの一部として扱われます。
通常の動作モードではいずれの Flex Link ポートもグループの一部として認識されますが、バックアップ ポートを通過するトラフィックはすべてブロックされます。したがって、mrouter ポートとしてバックアップ ポートを追加しても、通常のマルチキャスト データ フローが影響を受けることはありません。切り替えが発生すると、バックアップ ポートのブロックは解除され、トラフィックを送信できます。この場合、バックアップ ポートのブロックが解除されるとただちに、アップストリーム データが流れ始めます。
IGMP レポートの生成
切り替えの後、バックアップ リンクがアップ状態になると、アップストリームでの新しいディストリビューション スイッチでのマルチキャスト データの転送は開始されません。これは、ブロックされた Flex Link ポートに接続されているアップストリーム ルータのポートが、いずれのマルチキャスト グループの一部としても認識されないからです。マルチキャスト グループのレポートは、バックアップ リンクがブロックされているため、ダウンストリーム スイッチでは転送されません。このポートのデータは、マルチキャスト グループが学習されるまで流れません。マルチキャスト グループの学習は、レポートを受信した後にだけ行われます。
レポートは、一般クエリーが受信されると、ホストより送信されます。一般クエリーは、通常のシナリオであれば 60 秒以内に送信されます。バックアップ リンクが転送を開始し、マルチキャスト データを高速で収束できるようになると、ダウンストリーム スイッチが一般クエリーを待つことなく、ただちにこのポート上のすべての学習済みグループに対し、プロキシ レポートを送信します。
IGMP レポートのリーク
マルチキャスト トラフィックを最小限の損失で収束させるために、Flex Link のアクティブ リンクがダウンする前に冗長データ パスを設定しておく必要があります。マルチキャスト トラフィックのコンバージェンスは、Flex Link バックアップ リンクに IGMP レポート パケットだけをリークさせれば行えます。こうしてリークさせた IGMP レポート メッセージがアップストリームのディストリビューション ルータで処理されるため、マルチキャスト データのトラフィックはバックアップ インターフェイスに転送されます。バックアップ インターフェイスの着信トラフィックはすべてアクセス スイッチの入り口部分でドロップされるため、ホストが重複したマルチキャスト トラフィックを受信することはありません。Flex Link のアクティブ リンクに障害が発生した場合、ただちにアクセス スイッチがバックアップ リンクからのトラフィックを受け入れ始めます。このスキームの唯一の欠点は、ディストリビューション スイッチ間のリンク、およびディストリビューション スイッチとアクセス スイッチの間のバックアップ リンクで帯域幅が大幅に消費される点です。この機能はデフォルトでディセーブルになっています。switchport backup interface interface-id multicast fast-convergence コマンドを使用して、設定を変更できます。
切り替え時にこの機能がイネーブルになっている場合、スイッチでは転送ポートに設定されたバックアップ ポート上でプロキシ レポートは生成されません。
設定例
次に、Flex Link を GigabitEthernet1/0/11 および GigabitEthernet1/0/12 に設定したときに他の Flex Link ポートを mrouter ポートとして学習する例と、show interfaces switchport backup コマンドの出力を示します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface GigabitEthernet1/0/11
Switch(config-if)# switchport trunk encapsulation dot1q
Switch(config-if)# switchport mode trunk
Switch(config-if)# switchport backup interface Gi1/0/12
Switch(config)# interface GigabitEthernet1/0/12
Switch(config-if)# switchport trunk encapsulation dot1q
Switch(config-if)# switchport mode trunk
Switch# show interfaces switchport backup detail
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
GigabitEthernet1/0/11 GigabitEthernet1/0/12 Active Up/Backup Standby
Multicast Fast Convergence : Off
Bandwidth : 100000 Kbit (Gi1/0/11), 100000 Kbit (Gi1/0/12)
Mac Address Move Update Vlan : auto
次の出力では、GigabitEthernet1/0/11 を介してスイッチに到達するクエリーを持った、VLAN 1 および 401 のクエリアを示します。
Switch# show ip igmp snooping querier
Vlan IP Address IGMP Version Port
-------------------------------------------------------------
401 41.41.41.1 v2 Gi1/0/11
次に、VLAN 1 および VLAN 401 用の show ip igmp snooping mrouter コマンドの出力を示します。
Switch# show ip igmp snooping mrouter
1 Gi1/0/11(dynamic), Gi1/0/12(dynamic)
401 Gi1/0/11(dynamic), Gi1/0/12(dynamic)
同様に、両方の Flex Link ポートは学習されたグループに属しています。次の例では、GigabitEthernet2/0/11 は VLAN 1 のレシーバ/ホストであり、2 つのマルチキャスト グループに関連しています。
Switch# show ip igmp snooping groups
Vlan Group Type Version Port List
-----------------------------------------------------------------------
1 228.1.5.1 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
1 228.1.5.2 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
ホストが一般クエリーに応答するときに、スイッチはすべてのマルチキャスト ルータ ポートに関するこのレポートを転送します。次の例では、ホストがグループ 228.1.5.1 のレポートを送信するとき、バックアップ ポート GigabitEthernet1/0/12 はブロックされているので、レポートは GigabitEthernet1/0/11 でだけ送信されます。アクティブ リンクの GigabitEthernet1/0/11 がダウン状態になると、バックアップ ポートの GigabitEthernet1/0/12 は転送を開始します。
このポートが転送を開始すると、ただちにホストに代わり、228.1.5.1 と 228.1.5.2 のグループにプロキシ レポートを送信します。アップストリーム ルータはグループを学習し、マルチキャスト データの転送を開始します。これは、Flex Link のデフォルトの動作です。ユーザが switchport backup interface gigabitEthernet 1/0/12 multicast fast-convergence コマンドを使用して高速コンバージェンスを設定すると、この動作は変更されます。次に、この機能をオンにする例を示します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitEthernet 1/0/11
Switch(config-if)# switchport backup interface gigabitEthernet 1/0/12 multicast fast-convergence
Switch# show interfaces switchport backup detail
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet1/0/11 GigabitEthernet1/0/12 Active Up/Backup Standby
Multicast Fast Convergence : On
Bandwidth : 100000 Kbit (Gi1/0/11), 100000 Kbit (Gi1/0/12)
Mac Address Move Update Vlan : auto
次の出力では、GigabitEthernet1/0/11 を介してスイッチに到達するクエリーを持った、VLAN 1 および 401 のクエリアを示します。
Switch# show ip igmp snooping querier
Vlan IP Address IGMP Version Port
-------------------------------------------------------------
401 41.41.41.1 v2 Gi1/0/11
次に VLAN 1 と 401 に対する show ip igmp snooping mrouter コマンドの出力を示します。
Switch# show ip igmp snooping mrouter
1 Gi1/0/11(dynamic), Gi1/0/12(dynamic)
401 Gi1/0/11(dynamic), Gi1/0/12(dynamic)
同様に、両方の Flex Link ポートは学習されたグループに属しています。次の例では、GigabitEthernet2/0/11 は VLAN 1 のレシーバ/ホストであり、2 つのマルチキャスト グループに関連しています。
Switch# show ip igmp snooping groups
Vlan Group Type Version Port List
-----------------------------------------------------------------------
1 228.1.5.1 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
1 228.1.5.2 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
一般クエリーに対してあるホストが応答すると必ず、スイッチがすべての mrouter ポートに関するこのレポートを転送します。コマンドライン ポートを使用してこの機能をオンにすると、レポートは、GigabitEthernet1/0/11 上のスイッチによって転送されるときにバックアップ ポート GigabitEthernet1/0/12 にも送信されます。アップストリーム ルータはグループを学習して、マルチキャスト データの転送を開始しますが、GigabitEthernet1/0/12 がブロックされているため、このマルチキャスト データは入力側で廃棄されます。アクティブ リンクの GigabitEthernet1/0/11 がダウン状態になると、バックアップ ポートの GigabitEthernet1/0/12 は転送を開始します。マルチキャスト データはすでにアップストリーム ルータによって転送されているので、任意のプロキシ レポートを送信する必要はありません。レポートをバックアップ ポートにリークすると冗長マルチキャスト パスが設定され、マルチキャスト トラフィック コンバージェンス用の時間が最小限になります。
MAC アドレス テーブル移動更新
MAC アドレス テーブル移動更新機能により、プライマリ(転送)リンクがダウンしてスタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始したときに、スイッチで高速双方向コンバージェンスが提供されます。
図 23-3 では、スイッチ A がアクセス スイッチで、スイッチ A のポート 1 および 2 が Flex Link ペア経由でアップリンク スイッチの B と D に接続されます。ポート 1 はトラフィックの転送中で、ポート 2 はバックアップ ステートです。PC からサーバへのトラフィックはポート 1 からポート 3 に転送されます。PC の MAC アドレスが、スイッチ C のポート 3 で学習されています。サーバから PC へのトラフィックはポート 3 からポート 1 に転送されます。
MAC アドレス テーブル移動更新機能が設定されておらず、ポート 1 がダウンした場合は、ポート 2 がトラフィックの転送を開始します。しかし、少しの間、スイッチ C がポート 3 経由でサーバから PC にトラフィックを転送し続けるため、ポート 1 がダウンしていることにより、PC へのトラフィックが途切れます。スイッチ C がポート 3 で PC の MAC アドレスを削除し、ポート 4 で再度学習した場合は、トラフィックはポート 2 経由でサーバから PC へ転送される可能性があります。
図 23-3 で MAC アドレス テーブル移動更新機能が設定され、各スイッチでイネーブルになっていて、ポート 1 がダウンした場合は、ポート 2 が PC からサーバへのトラフィックの転送を開始します。スイッチは、ポート 2 から MAC アドレス テーブル移動更新パケットを送出します。スイッチ C はこのパケットをポート 4 で受信し、ただちに PC の MAC アドレスをポート 4 で学習します。これにより、再収束時間が短縮されます。
アクセススイッチであるスイッチ A を設定し、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを送信( send )することができます。また、アップリンク スイッチ B、C、および D を設定して、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージの取得( get )および処理を行うこともできます。スイッチ C がスイッチ A から MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを受信すると、スイッチ C はポート 4 で PC の MAC アドレスを学習します。スイッチ C は、PC の転送テーブル エントリを含め、MAC アドレス テーブルをアップデートします。
スイッチ A が、MAC アドレス テーブル移動更新を待機する必要はありません。スイッチはポート 1 上の障害を検出すると、ただちに、新しい転送ポートであるポート 2 からのサーバ トラフィックの転送を開始します。この変更は、100 ミリ秒(ms)以内に行われます。PC はスイッチ A に直接接続され、その接続状態に変更はありません。スイッチ A による、MAC アドレス テーブルでの PC エントリの更新は必要ありません。
図 23-3 MAC アドレス テーブル移動更新の例
Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定
ここでは、次の情報について説明します。
• 「設定時の注意事項」
• 「デフォルト設定」
• 「Flex Link の設定」
• 「Flex Link の VLAN ロード バランシングの設定」
• 「MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定」
設定時の注意事項
• 最大 16 のバックアップ リンクを設定できます。
• 任意のアクティブ リンクに対して設定可能な Flex Link バックアップ リンクは 1 つだけで、アクティブ インターフェイスとは異なるインターフェイスでなければなりません。
• インターフェイスが所属できる Flex Link ペアは 1 つだけです。インターフェイスは、1 つだけのアクティブ リンクのバックアップ リンクにすることができます。アクティブ リンクは別の Flex Link ペアに属することはできません。
• どちらのリンクも EtherChannel に属するポートにすることができません。ただし、2 つのポート チャネル(EtherChannel 論理インターフェイス)を Flex Link として設定でき、ポート チャネルおよび物理インターフェイスを Flex Link として設定して、ポート チャネルか物理インターフェイスのどちらかをアクティブ リンクにすることができます。
• バックアップ リンクはアクティブ リンクと同じタイプ(ギガビット イーサネットまたはポート チャネル)にする必要はありません。ただし、スタンバイ リンクがトラフィック転送を開始した場合にループが発生したり動作が変更したりしないように、両方の Flex Link を同様の特性で設定する必要があります。
• STP は Flex Link ポートでディセーブルです。ポート上にある VLAN が STP 用に設定されている場合でも、Flex Link ポートは STP に参加しません。STP がイネーブルでない場合は、設定されているトポロジでループが発生しないようにしてください。
Flex Link 機能で VLAN ロード バランシングを設定するには、次の注意事項に従ってください。
• Flex Link VLAN ロード バランシングでは、バックアップ インターフェイス上で優先される VLAN を選択する必要があります。
• 同じ Flex Link ペアに対して、プリエンプト メカニズムと VLAN ロード バランシングを設定することはできません。
MAC アドレス テーブル移動更新機能を設定するときには、次の注意事項に従ってください。
• アクセス スイッチでこの機能のイネーブル化と設定を行うと、MAC アドレス テーブル移動更新を送信( send )することができます。
• MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 受信 する場合、この機能をアップリンク スイッチに設定してイネーブルにします。
デフォルト設定
Flex Link は設定されておらず、バックアップ インターフェイスは定義されていません。
プリエンプト モードはオフです。
プリエンプト遅延は 35 秒です。
MAC アドレス テーブル移動更新機能は、スイッチで設定されていません。
Flex Link の設定
Flex Link のペアを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイスを指定して、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは物理レイヤ 2 インターフェイスまたはポート チャネル(論理インターフェイス)に設定できます。ポート チャネル範囲は 1 ~ 48 です。 |
ステップ 3 |
switchport backup interface interface-id |
物理レイヤ 2 インターフェイス(ポート チャネル)をインターフェイスがある Flex Link ペアの一部として設定します。1 つのリンクがトラフィックを転送している場合、もう一方のインターフェイスはスタンバイ モードです。 |
ステップ 4 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show interface [ interface-id ] switchport backup |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup config |
(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
Flex Link バックアップ インターフェイスをディセーブルにするには、 no switchport backup interface interface-id インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、インターフェイスをバックアップ インターフェイスに設定し、設定を確認する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(conf)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet1/0/2
Switch# show interface switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet1/0/1 GigabitEthernet1/0/2 Active Up/Backup Standby
Flex Link ペアのプリエンプト方式を設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイスを指定して、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは物理レイヤ 2 インターフェイスまたはポート チャネル(論理インターフェイス)に設定できます。ポート チャネル範囲は 1 ~ 48 です。 |
ステップ 3 |
switchport backup interface interface-id |
物理レイヤ 2 インターフェイス(ポート チャネル)をインターフェイスがある Flex Link ペアの一部として設定します。1 つのリンクがトラフィックを転送している場合、もう一方のインターフェイスはスタンバイ モードです。 |
ステップ 4 |
switchport backup interface interface-id preemption mode [ forced | bandwidth | off ] |
Flex Link インターフェイス ペアのプリエンプト メカニズムとプリエンプト遅延を設定します。次のプリエンプト モードを設定することができます。 • Forced:アクティブ インターフェイスが常にバックアップ インターフェイスより先に使用されます。 • Bandwidth:より大きい帯域幅のインターフェイスが常にアクティブ インターフェイスとして動作します。 • Off:アクティブ インターフェイスとバックアップ インターフェイスのどちらも優先されません。 |
ステップ 5 |
switchport backup interface interface-id preemption delay delay-time |
ポートが他のポートより先に使用されるまでの遅延時間を設定します。 (注) 遅延時間の設定は、forced モードおよび bandwidth モードでのみ有効です。 |
ステップ 6 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 7 |
show interface [ interface-id ] switchport backup |
設定を確認します。 |
ステップ 8 |
copy running-config startup config |
(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
プリエンプト方式を削除するには、 no switchport backup interface interface-id preemption mode インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。遅延時間をデフォルトにリセットするには、 no switchport backup interface interface-id preemption delay インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、バックアップ インターフェイスのペアに対してプリエンプト モードを forced に設定し、設定を確認する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(conf)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(conf-if)#switchport backup interface gigabitethernet1/0/2 preemption mode forced
Switch(conf-if)#switchport backup interface gigabitethernet1/0/2 preemption delay 50
Switch# show interface switchport backup detail
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet1/0/211 GigabitEthernet1/0/2 Active Up/Backup Standby
Interface Pair : Gi1/0/1, Gi1/0/2
Preemption Delay : 50 seconds
Bandwidth : 100000 Kbit (Gi1/0/1), 100000 Kbit (Gi1/0/2)
Mac Address Move Update Vlan : auto
Flex Link の VLAN ロード バランシングの設定
Flex Link の VLAN ロード バランシングを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイスを指定して、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは物理レイヤ 2 インターフェイスまたはポート チャネル(論理インターフェイス)に設定できます。ポート チャネル範囲は 1 ~ 48 です。 |
ステップ 3 |
switchport backup interface interface-id prefer vlan vlan-range |
物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を、インターフェイスを装備した Flex Link ペアの一部として設定し、インターフェイス上で伝送された VLAN を指定します。VLAN ID の範囲は 1 ~ 4094 です。 |
ステップ 4 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show interfaces [ interface-id ] switchport backup |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup config |
(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
VLAN ロード バランシング機能をディセーブルにするには、 no switchport backup interface interface-id prefer vlan vlan-range インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、スイッチに VLAN 1 ~ 50、60、および 100 ~ 120 を設定する例を示します。
Switch(config)#interface gigabitethernet 2/0/6
Switch(config-if)#switchport backup interface gigabitethernet 2/0/8 prefer vlan 60,100-120
両方のインターフェイスが起動しているとき、Gi2/0/8 は VLAN 60 および 100 ~ 120 のトラフィックを転送し、Gi2/0/6 は VLAN 1 ~ 50 のトラフィックを転送します。
Switch# show interfaces switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet2/0/6 GigabitEthernet2/0/8 Active Up/Backup Standby
Vlans Preferred on Active Interface: 1-50
Vlans Preferred on Backup Interface: 60, 100-120
Flex Link インターフェイスがダウンすると(LINK_DOWN)、このインターフェイスで優先される VLAN は、Flex Link ペアのピア インターフェイスに移動します。この例では、インターフェイス Gi0/6 がダウンすると、Gi0/8 が Flex Link ペアのすべての VLAN を伝送します。
Switch# show interfaces switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet2/0/6 GigabitEthernet2/0/8 Active Down/Backup Up
Vlans Preferred on Active Interface: 1-50
Vlans Preferred on Backup Interface: 60, 100-120
Flex Link インターフェイスがアップになると、このインターフェイスで優先される VLAN はピア インターフェイスでブロックされ、アップしたインターフェイスでフォワーディング ステートになります。この例では、インターフェイス Gi2/0/6 がアップになると、このインターフェイスの優先 VLAN は、相手側のインターフェイス Gi2/0/8 でブロックされ、Gi2/0/6 で転送されます。
Switch# show interfaces switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet2/0/6 GigabitEthernet2/0/8 Active Up/Backup Standby
Vlans Preferred on Active Interface: 1-50
Vlans Preferred on Backup Interface: 60, 100-120
Switch# show interfaces switchport backup detail
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
FastEthernet1/0/3 FastEthernet1/0/4 Active Down/Backup Up
Vlans Preferred on Active Interface: 1-2,5-4094
Vlans Preferred on Backup Interface: 3-4
Bandwidth : 10000 Kbit (Fa1/0/3), 100000 Kbit (Fa1/0/4)
Mac Address Move Update Vlan : auto
MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定
ここでは、次の情報について説明します。
• MAC アドレス テーブル移動更新を送信するためのスイッチの設定
• MAC アドレス テーブル移動更新を受信するためのスイッチの設定
MAC アドレス テーブル移動更新を送信するようにアクセス スイッチを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイスを指定して、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは物理レイヤ 2 インターフェイスまたはポート チャネル(論理インターフェイス)に設定できます。ポート チャネル範囲は 1 ~ 48 です。 |
ステップ 3 |
switchport backup interface interface-id または switchport backup interface interface-id mmu primary vlan vlan-id |
物理レイヤ 2 インターフェイス(ポート チャネル)をインターフェイスがある Flex Link ペアの一部として設定します。MAC アドレス テーブル移動更新 VLAN はインターフェイスで最も低い VLAN ID です。 物理レイヤ 2 インターフェイス(ポート チャネル)を設定し、MAC アドレス テーブル移動更新の送信に使用されるインターフェイスの VLAN ID を指定します。 1 つのリンクがトラフィックを転送している場合、もう一方のインターフェイスはスタンバイ モードです。 |
ステップ 4 |
end |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
mac address-table move update transmit |
プライマリ リンクがダウンし、スイッチがスタンバイ リンク経由でトラフィックの転送を開始した場合は、アクセス スイッチをイネーブルにして、MAC アドレス テーブル移動更新をネットワーク上の他のスイッチに送信します。 |
ステップ 6 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 7 |
show mac address-table move update |
設定を確認します。 |
ステップ 8 |
copy running-config startup config |
(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
MAC アドレス テーブル移動更新機能をディセーブルにするには、 no mac address-table move update transmit インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。MAC アドレス テーブル移動更新情報を表示するには、 show mac address-table move update 特権 EXEC コマンドを使用します。
次の例では、アクセス スイッチが MAC アドレス テーブル移行更新メッセージを送信するように設定する方法を示します。
Switch# configure terminal
Switch(conf)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet0/2 mmu primary vlan 2
Switch(conf)# mac address-table move update transmit
次に、設定を確認する例を示します。
Switch# show mac-address-table move update
Switch-ID : 010b.4630.1780
Dst mac-address : 0180.c200.0010
Vlans/Macs supported : 1023/8320
Default/Current settings: Rcv Off/On, Xmt Off/On
Max packets per min : Rcv 40, Xmt 60
Rcv conforming packet count : 5
Rcv invalid packet count : 0
Rcv packet count this min : 0
Rcv threshold exceed count : 0
Rcv last sequence# this min : 0
Rcv last src-mac-address : 000b.462d.c502
Rcv last switch-ID : 0403.fd6a.8700
Xmt packet count this min : 0
Xmt threshold exceed count : 0
Xmt pak buf unavail cnt : 0
Xmt last interface : None
MAC アドレス テーブル移動更新メッセージの受信および処理を行うようにスイッチを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
mac address-table move update receive |
スイッチをイネーブルにして、MAC アドレス テーブル移動更新の受信および処理を行います。 |
ステップ 3 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show mac address-table move update |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup config |
(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
MAC アドレス テーブル移動更新機能をディセーブルにするには、 no mac address-table move update receive インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。MAC アドレス テーブル移動更新情報を表示するには、 show mac address-table move update 特権 EXEC コマンドを使用します。
次に、スイッチを設定して、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージの受信と処理を行う例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(conf)# mac address-table move update receive