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ここでは、Differential Mode Delay(DMD;ディファレンシャル モード遅延)とネットワークが DMD に影響されるのを防止する方法を説明します。
Single-Mode Fiber(SMF; シングルモード ファイバ)ケーブル用の未調整レーザー光源を MMF ケーブルに直接接続した場合、DMD が発生することがあります。DMD が発生すると、光ファイバ ケーブルのモード帯域幅が減少します。この減少により、信頼性のある伝送を保証できるリンク距離(トランスミッタとレシーバ間の距離)が短くなります。
ギガビット イーサネット仕様(IEEE 802.3z)には、イーサネット通信のパラメータ(Gbps)が規定されています。この仕様では、敷設済みの MMF ケーブルを利用したバックボーンとサーバ間の高速イーサネット接続を提示しています。また、レーザーベースの光コンポーネントを使用した MMF ケーブルでのデータ伝送も定義されています。
レーザーは、ギガビット イーサネットに必要なボーレートと長距離伝送を達成します。IEEE 802.3z ギガビット イーサネット標準化委員会は、レーザーと MMF ケーブルの特定の組み合わせでは、一定の条件下で DMD が発生することを明らかにしました。その結果、他にジッタの要因が発生し、MMF ケーブルによるギガビット イーサネットの到達距離が制限されることがわかっています。
DMD が発生する状況では、単一のレーザー光パルスによって、MMF ケーブル内でいくつかのモードが均等に励振されます。これらのモード、つまり光路は、複数の異なる伝搬路をたどります。伝搬路の長さはそれぞれ異なる場合があるので、ケーブル内を光が進むにつれて、各伝搬路の遅延時間に差異が生じます。DMD が発生すると、ケーブルを通過する単一パルスの孤立性が損なわれ、極端な場合には、2 つの独立したパルスが生じることがあります。連鎖パルスは相互に干渉しやすいので、信頼できる方法でデータを回復するのが困難になります。
DMD は、敷設されたすべての光ファイバ ケーブル上で発生するわけではありません。概して、光ファイバとトランシーバの組み合わせが悪い場合に発生します。ギガビット イーサネットは、ボーレートが非常に高く、MMF ケーブルの距離が長いことが問題になった初めての技術です。SMF ケーブルおよび銅ケーブルでは、DMD の問題は起きません。
MMF ケーブルのテストは、LED 光源を使用した場合に限定して行われてきました。LED は、光ファイバ ケーブル内に「 オーバーフィルド ラウンチ コンディション 」と呼ばれる状態を作ります。オーバーフィルド ラウンチ コンディションは、LED トランスミッタが光ファイバ ケーブル内に、広範囲のモードに拡散した光を入射する状態を意味します。暗い室内で電球を照らしたときのように、光がさまざまな方向に拡散してケーブル内を満たし、多数のモードが発生します (図 B-1 を参照)。
レーザーから入射される光は、LED よりも集束された状態で発光します。レーザー トランスミッタからの光は、光ファイバ ケーブル内に存在するモード(つまり光路)のうち、ごく少数のモードだけを通過します(図 B-1 を参照)。
このような場合に DMD の問題を解決するには、光源(トランスミッタ)から入射されたレーザー光が、LED 光源からケーブル内に入射されたときのように、光ファイバ ケーブルの直径に対して均等に分散されるように調整する必要があります。光のモードをスクランブルすると、光パワーがすべてのモードに均等に分散され、光パワーが少数のモードだけに集中する状況を回避できます。これに対して未調整の入射状態では、最悪の場合、光ファイバ ケーブルの中心にすべての光が集中し、均等に励振されるモードはごく少数になります。
DMD の発生する度合いは、MMF ケーブルごとに大きく異なります。敷設されたケーブル設備では、DMD の影響を評価する有効なテスト方法はありません。したがって、リンク距離が 984 フィート(300 m)を超える場合には、すべてのインターフェイスに対して、MMF ケーブルを使用するすべてのアップリンク モジュールに、モード調整パッチ コードを使用する必要があります。リンク距離が 984 フィート(300 m)未満の場合には、パッチ コードを使用しなくてもかまいません (短距離にパッチ コードを使用しても支障はありません)。