この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
この章では、Cisco CMTS ルータに SNMP(簡易ネットワーク管理プロトコル)および MIB(管理情報ベース)サポートを設定する手順を説明します。具体的な内容は次のとおりです。
次のいずれかの手順で、ルータ上で稼働している Cisco IOS リリースに含まれる MIB を調べます。
Cisco MIBS Support ページでは、ほとんどの Cisco IOS ソフトウェア イメージに含まれている SNMP 機能について情報を得ることができます。この Web サイトにアクセスする手順は、次のとおりです。
ステップ 1 CiscoMIBS Support ページにアクセスします。
http://www.cisco.com/public/sw-center/netmgmt/cmtk/mibs.shtml
ステップ 2 Cisco Access Product で、使用中の Cisco CMTS プラットフォームを選択し、このルータでサポートされている MIB のリストを表示します。
ステップ 3 リストをスクロールし、該当する Cisco IOS ソフトウェア リリースを検索します。
MIBs in Images(MII)メール サービスを使用すると、1 つまたは複数の Cisco IOS ソフトウェア イメージを含んだ電子メールを、シスコシステムズが管理するソフトウェア データベース宛に送信できます。このメール サービスは、指定されたソフトウェア イメージをソフトウェア データベースから検索し、イメージが見つかった場合、各ソフトウェア イメージでサポートされる MIB のリストを電子メールで返送します。
MII メール サービスにアクセスする手順は、次のとおりです。
ステップ 1 show version コマンドを使用して、ルータが実行している Cisco IOS イメージのファイル名を表示します。「System image file」で始まる行がファイル名を示しています。たとえば次の出力例では、Cisco IOS イメージ ファイル名は「 ubr7200-ik8s-mz.122-15.BC1.bin
」です。
ステップ 2 電子メールの本文にイメージ ファイル名だけを書き込み、 mii@external.cisco.com に送信します(「slot0:」などのデバイス名、または TFTP URL で表されるファイルの保管場所は省略してください)。
ステップ 3 数分後、MII メール サービスによって、この Cisco IOS ソフトウェア イメージに含まれる MIB のリストが電子メールで返送されます(MII メール サービスの使用法についてのヘルプを入手するには、件名を HELP、本文を空白にした電子メールを mii@external.cisco.com に送信します)。
ヒント また、特権 EXEC プロンプトにログインし、次のコマンドを入力することによって、特定の Cisco IOS ソフトウェアを実行しているルータでサポートされる MIB の簡略形式のリストを表示することもできます。Router#
show subsys | include mibs
ここでは、MIB をダウンロードしてルータ用にコンパイルする手順について説明します。
• データ タイプの定義が一致していないと、コンパイル エラーまたは警告メッセージが表示されることがあります。たとえば、OLD-CISCO-CPU-MIB、OLD-CISCO-MEMORY-MIB、および OLD-CISCO-SYSTEM-MIB ではそれぞれ、次のように Object Identifier(OID; オブジェクト ID)の定義方法が異なります。
定義の不一致による MIB コンパイル エラーまたは警告メッセージが表示されないようにするには、一方の MIB 定義をもう一方と同じに編集します。その他の不一致のタイプには、次のものがあります。
• 多くの MIB が、他の MIB から定義をインポートしています。管理アプリケーションで MIB のロードが必要になり、オブジェクトが未定義であるという問題が生じた場合には、次の MIB を記載された順序でロードしてみてください。
SNMPv2-SMI.my
SNMPv2-TC.my
SNMPv2-MIB.my
RFC1213-MIB.my
IF-MIB.my
CISCO-SMI.my
CISCO-PRODUCTS-MIB.my
CISCO-TC.my
• 特定の MIB の従属関係を調べるには、次の URL にある MIB Locator の Cisco IOS MIB Tools ページの SNMP Object Navigator 内にある「View and Download MIBs」ツールを使用します。
http://www.cisco.com/go/mibs
• トラップの定義、代替サイズの定義、およびヌル OID の詳細については、次の URL を参照してください。
ftp://ftp.cisco.com/pub/mibs/app_notes/mib-compilers
• MIB オブジェクトに割り当てられた OID の一覧は、次の URL を参照してください。
ftp://ftp.cisco.com/pub/mibs/oid
システムにまだ存在しない MIB をダウンロードするには、次の手順に従います。
ステップ 1 次の URL にある Cisco IOS MIB Tools ページにアクセスします。
http://www.cisco.com/go/mibs
その URL にダウンロードする MIB がなければ、ステップ 4 に示す URL を使用します。
ステップ 2 MIB Locator ツールへのリンクをクリックします。
ステップ 3 MIB Locator ツールでは、特定の MIB を表示することも、特定のプラットフォームまたはソフトウェア リリース用のすべての MIB を表示することもできます。
ステップ 4 また、次の URL から、業界標準の MIB をダウンロードできます。
• http://www.cisco.com/public/sw-center/netmgmt/cmtk/mibs.shtml
Cisco CMTS を SNMP ベースの管理アプリケーションと統合化する場合は、そのプラットフォーム用に MIB をコンパイルする必要があります。一部の SNMP マネージャでは、特定の場所にすべての MIB を保存した時点で自動的にこの処理が行われます。ユーザが手動でこの作業を行う必要のある SNMP マネージャもあります。手順の詳細については、ご使用のマネージャのマニュアルを参照してください。
Cisco CMTS に SNMP サポートを設定する手順を以下にまとめます。これらの基本設定コマンドは、SNMPv2c 用です。SNMPv3 の場合には、SNMP ユーザおよびグループも設定する必要があります。
ステップ 1 CLI(コマンドライン インターフェイス)を使用して、SNMP の基本設定を行います(コマンドおよび設定手順については、後述のマニュアル一覧を参照)。
ステップ 2 SNMP read-only コミュニティおよび read-write コミュニティを定義します。
ステップ 3 SNMP ビューを設定します(SNMP ユーザ グループ別にアクセス可能なオブジェクトの範囲を制限するため)。
ステップ 4 多数のトラップ(特に Syslog イベントおよびアラームのトラップ)をイネーブルにする場合は、トラップ キュー サイズをデフォルトの 10 より大きく設定してください。
queue-size の値は 1 ~ 1000 トラップの範囲で設定できます。Syslog イベントのトラップを送信するシステムの場合、このサイズを最低でも 100 にすることを推奨します。デフォルトは 10 です。
ステップ 5 トラップをイネーブルにする方法については、「通知のイネーブル化」を参照してください。
SNMP コマンドの詳細については、次のマニュアルを参照してください。
• 『 Cisco IOS Configuration Fundamentals Configuration Guide 』Release 12.2 の「System Management」は、次の URL にあります。
http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/software/ios122/122cgcr/
• 『 Cisco IOS Configuration Fundamentals Command Reference 』Release 12.2 の「System Management」は、次の URL にあります。
http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/software/ios122/122cgcr/ffun_r/ffrprt3/index.htm
SNMP を使用して大容量のルーティング テーブルおよび Address Resolution Protocol(ARP; アドレス解決プロトコル)テーブルをポーリングする場合、シスコ製ルータにパフォーマンスの問題が発生する可能性があります。ここでは、この問題の概要と防止方法を説明します。
SNMP ネットワーク管理ステーションは、シスコ製ルータに照会して、他のネットワークを学習できます。管理ステーションはこのルーティング情報を使用して他のルータを検出し、周辺のネットワークについて、それらのルータに照会します。これにより、管理ステーションはネットワーク全体のトポロジーを学習することができます。
ルータはルーティング テーブルをハッシュ形式で保存するので、迅速かつ効率的にテーブルを検索できます。ただし、 RFC 1213 では、SNMP はルートを辞書的順序で返す必要があると定められています。つまり、OID ツリーにおける OID の順序でルートをリストします。
そのため、ルーティング情報に関する SNMP 要求を処理するたびに、ルータは一連のエントリを OID 順にソートしてから、応答用の Protocol Data Unit(PDU; プロトコル データ ユニット)を構築する必要があります。ルーティング テーブルが大容量になると、ルータは処理に長い時間を要するようになり、テーブル エントリをソートするための CPU 処理レベルが増大します。
(注) ルーティング テーブル全体への要求に応答するための CPU サイクル数は、テーブルのサイズによって決まります(ルート数が多いほど CPU サイクルが多く必要になります)。そのため、現在ルータで CPU スパイクが発生していなくても、ルーティング テーブルのサイズが増大するとスパイクが発生する可能性があります。
CPU スケジューラでは、SNMP は低優先順位プロセスです。つまり、CPU は SNMP 以外の要求を処理してから SNMP 要求を処理します。したがって、SNMP ルート ポーリングの実行中に CPU スパイクが発生しても、ルータのパフォーマンスに影響はありません。
SNMP を使用してルーティング テーブルまたは ARP テーブルを検索するときのパフォーマンス低下を防ぐには、次のいずれかの手順に従ってルータを設定します。
• 「ルータ上での CEF ファスト スイッチングのイネーブル化」
SNMP トラフィックの制御の詳細については、次の URL にあるアプリケーション ノート『 IP Simple Network Management Protocol (SNMP) Causes High CPU Utilization 』を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/tech/tk648/tk362/technologies_tech_note09186a00800948e6.shtml
ヒント 高 CPU 使用率のその他の原因については、次の URL にあるテクニカル サポート資料を参照してください。
http://www.cisco.com/warp/public/477/SNMP/ipsnmphighcpu.shtml
SNMP GET-NEXT 要求を使用してルーティング テーブルまたは ARP テーブルを検索するときのパフォーマンス低下を防ぐには、ルータ上で Cisco Express Forwarding(CEF)ファスト スイッチングをイネーブルにします。ファスト スイッチングがイネーブルに設定されているかどうかに応じて、ルータは SNMP 要求を異なった方法で処理します。
• ファスト スイッチングがイネーブルでない場合、ルータは Routing Information Base(RIB; ルーティング情報ベース)の情報を使用して、ルーティング テーブルまたは ARP テーブルに関する SNMP 要求に応答します。RIB のエントリは OID 順にソートされていないので、ルータは最初にこれらのテーブルを OID 値でソートしなければならず、結果的に CPU 使用率が高くなります。
• ファスト スイッチングがイネーブルの場合、ルータは Forwarding Information Base(FIB; 転送情報ベース)の情報を使用して、ルーティング テーブルまたは ARP テーブルに関する SNMP 要求に応答します。FIB のエントリは、ルートの OID による辞書的順序で保管されています。したがって、ルータは SNMP 要求に応答する前にルーティング テーブルをソートする必要がないので、応答時間が短縮され、CPU 使用率は低くなります。
パフォーマンスの問題を防ぐためのもう 1 つの方法は、SNMPv3 のビューを使用し、ルータにルート テーブルの照会を未然に終了させ、代わりに「complete」メッセージを応答させることです。その結果、要求によるルート テーブル(ipRouteTable)および ARP テーブル(ipNetToMediaTable)の検索が阻止され、それ以外のすべての要求が可能になります。
次のコマンド例では、ルート テーブルおよび ARP テーブルに関する要求をブロックし、それ以外のすべての要求を許可する cutdown という名前のビューを作成しています。これらのコマンドをルータに入力するときは、適切なビュー名およびコミュニティ ストリングを使用してください。
この設定を行うと、ルータは SNMP 要求の一部として IP ルート テーブルまたは ARP テーブルを返さなくなります。その結果、SNMP ネットワークの検出によるルータの CPU スパイクは防止されますが、ルータの管理性はある程度低下します。