Cisco Unified IP Conference Station 7936 の概要
Cisco Unified IP Conference Station 7936 は、IP ベースのハンドフリー Conference Station で、Voice over IP(VoIP)テクノロジーを使用しています。Cisco Unified IP Conference Station は、従来のアナログ会議ユニットに代わる端末で、IP ネットワークを介して業務用の会議機能(たとえば、Call Hold、Call Resume、Call Transfer、Call Release、Call Pickup、Group Pickup、Redial、Mute、Conference)を提供します。この端末は G.711 音声圧縮および G.729a 音声圧縮をサポートしています。
IP Conference Station は、Cisco Unified CallManager など、他の主要な Cisco IP Telephony コンポーネントと連携して動作します。Cisco Unified IP Conference Station 7936 でサポートされている Cisco Unified CallManager のバージョンは、5.0、4.2(1)、4.1(3)、4.0(1)、および 3.3(5) です。
この章では、次のトピックを取り上げて、IP Conference Station に関する情報、および VoIP ネットワークの他の主要コンポーネントとの相互動作について説明します。
• 「ネットワーキング プロトコル」
• 「サポートしている機能」
• 「使用可能な接続」
• 「他の Cisco Unified IP Telephony 製品との相互動作の概要」
• 「起動プロセスの概要」
• 「Cisco Unified IP Conference Station 7936 の設置とセットアップの要件」
ネットワーキング プロトコル
IP Conference Station は、音声通信に必要な業界標準のネットワーキング プロトコルおよびシスコ ネットワーキング プロトコルを複数サポートしています。 表1-1 は、サポートされるネットワーキング プロトコル、および各プロトコルの概要を示しています。
表1-1 サポートされるネットワーキング プロトコル
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シスコ検出プロトコル(CDP) |
CDP は、すべてのシスコ製機器上で実行されるデバイス検出プロトコルです。 CDP を使用すると、装置は、自身の存在を他の装置に通知し、ネットワーク内の他の装置についての情報を受け取ることができます。 |
IP Conference Station は、CDP を使用して、Cisco Catalyst スイッチに設定情報を伝達します。各装置は、CDP を使用して、マルチキャスト アドレスに定期的にメッセージを送信し、他の装置が定期的に送信するメッセージを受信待機します。UDP を使用すると、ネットワーク上の装置は互いを検出し、使用されているプロトコル、プロトコル アドレスなどの情報を確認できます。 |
Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP) |
DHCP は、IP アドレスをネットワーク装置に動的に割り振り、割り当てます。 DHCP を使用すると、手動で IP アドレスを割り当てたり、その他の必要なネットワーク パラメータを設定したりしなくても、IP Phone をネットワークに接続し、作動可能にすることができます。 |
デフォルトでは、DHCP は使用可能になっています。DHCP が使用不可である場合は、各 IP Conference Station に IP アドレス、サブネット マスク、ゲートウェイ、および TFTP サーバを手動で設定する必要があります。 |
インターネット プロトコル(IP) |
IP は、ネットワーク上でパケットをアドレス指定し、送信するメッセージ プロトコルです。 |
IP を使用した通信では、ネットワーク デバイスに IP アドレス、サブネット、およびゲートウェイを割り当てる必要があります。 DHCP と一緒に IP Conference Station を使用する場合は、IP アドレス、サブネット、およびゲートウェイの識別情報が自動的に割り当てられます。DHCP を使用していない場合は、ローカルに手動で、これらのプロパティを各 IP Conference Station に割り当てる必要があります。 |
Real-Time Transport(RTP) |
RTP は、データ ネットワークを介して、双方向の音声およびビデオなどの、リアルタイム データを伝送するための標準です。 |
IP Conference Station は、ルータ、ハブ、およびスイッチからの RTP トラフィックを収集し、処理できます。 |
Skinny Client Control Protocol(SCCP) |
Skinny Client Control Protocol は、IP 装置と Cisco Unified CallManager との間の通信を可能にする、低帯域幅メッセージを使用したシスコ プロトコルです。 |
IP Conference Station は、SCCP を使用して、Cisco Unified CallManager と通信します。 |
伝送制御プロトコル(TCP) |
TCP は、コネクション型のトランスポート プロトコルです。 |
IP Conference Station は、TCP を使用して Cisco Unified CallManager に接続します。 |
トリビアル ファイル転送プロトコル(TFTP) |
TFTP を使用すると、ネットワークを介してファイルを転送できます。 IP Conference Station で TFTP を使用すると、IP Conference Station のタイプに固有のコンフィギュレーション ファイルを取得できます。 |
TFTP を使用するには、ネットワーク内に TFTP サーバが必要です。このサーバは、DHCP サーバから自動的に識別できます。ネットワーク内で複数の TFTP サーバが動作している場合は、手動でローカルに各 IP Conference Station に TFTP サーバを 1 つ割り当てる必要があります。 |
ユーザ データグラム プロトコル(UDP) |
UDP は、データ パケット配送用のコネクションレス型メッセージ プロトコルです。 |
IP Conference Station は UDP メッセージを受信し、処理します。 |
Voice over IP(VoIP) |
VoIP を使用すると、インターネット プロトコルを使用するデータ ネットワーク上で音声通信を転送できます。 |
IP Conference Station は、VoIP ゲートウェイを通じて PSTN に接続されます。 |
サポートしている機能
Cisco Unified IP Conference Station の機能は、従来のアナログ方式の会議ユニットとほぼ同じで、電話会議をセットアップし、コールの発信および受信ができます。Cisco Unified IP Conference Station は、保留、リダイヤル、消音、コール復帰、コール着信転送、コール リリースなどの機能もサポートしています。
こうした従来の電話機能に加えて、Cisco Unified IP Conference Station には、この Station を IP ネットワーキング装置として管理し、モニタできるようにする機能も組み込まれています。Cisco Unified IP Conference Station では、DHCP、TFTP、IP 設定などの機能をローカルに設定できます。また、Cisco Unified IP Conference Station を企業の Lightweight Directory Access Protocol 3(LDAP3)標準ディレクトリと統合すると、ユーザは同僚の連絡先情報を Cisco Unified IP Conference Station で直接検索できるようになります。Cisco Unified CallManager から、その他の設定値を変更できます。これらの設定値は、Cisco Unified IP Conference Station のネットワーク設定値から表示できます。これらの設定値の指定については、本書を参照してください。
使用可能な接続
Cisco Unified IP Conference Station には、データ ネットワークにアクセスし、この IP Conference Station に電力を供給するために、次の接続機構が組み込まれています。
• 電源インターフェイス モジュール(PIM)。Cisco Unified IP Conference Station とネットワークを接続します。
• RJ-45 コネクタ 1 個。データ ネットワークにアクセスし、PIM に接続します。PIM が Cisco Unified IP Conference Station に電力を供給します。
• 汎用電源装置。壁面にある普通の電源コンセントに接続します。
他の Cisco Unified IP Telephony 製品との相互動作の概要
Cisco Unified IP Conference Station が IP Telephony ネットワーク内で機能するには、ネットワーク接続を確保するために、ネットワーキング装置(たとえば、Cisco Catalyst スイッチ)に接続する必要があります。また、Cisco Unified IP Conference Station は、コールの発信と受信のために、Cisco Unified CallManager システムに登録することも必要です。
Cisco Unified IP Conference Station 7936 と Cisco Unified CallManager との相互動作の概要
Cisco Unified CallManager は、スケーラビリティと高可用性を備えた、分散可能なエンタープライズ IP Telephony コール処理システムです。Cisco Unified CallManager ソフトウェアは、Windows 2000 サーバ上で動作し、電話機間のコールのセットアップと切断を行うことで、従来の PBX 機能を企業 IP ネットワークに組み込みます。Cisco Unified CallManager は、IP Telephony システムのコンポーネント、Conference Station、電話機、アクセス ゲートウェイ、および電話会議やルート計画などの機能に必要なリソースを管理します。
この章で説明されている IP 装置と連携して動作するように Cisco Unified
CallManager を設定する方法については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』および『 Cisco Unified CallManager システム ガイド 』を参照してください。
起動プロセスの概要
Cisco Unified IP Conference Station は、VoIP ネットワークに接続されると、標準の起動プロセスを実行します。 表1-2 は、起動プロセスについて説明しています。
表1-2 Cisco Unified IP Conference Station 7936 の起動プロセス
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1 . 格納されている Station イメージのロード |
Cisco Unified IP Conference Station は、ファームウェア イメージとユーザ定義の設定情報を格納した不揮発性フラッシュ メモリを備えています。起動時に、Cisco Unified IP Conference Station はブートストラップ ローダーを実行し、このローダーが、フラッシュ メモリに格納されている Cisco Unified IP Conference Station イメージをロードします。このイメージを使って、Station はそのソフトウェアとハードウェアを初期化します。 |
2. VLAN の設定 |
Cisco Unified IP Conference Station を Cisco Catalyst スイッチに接続すると、今度は、スイッチが自分に定義されている VLAN(バーチャル LAN)を Cisco Unified IP Conference Station に通知します。Cisco Unified IP Conference Station は、自分の VLAN メンバーシップを知らない限り、ダイナミック ホスト コンフィギュレーション プロトコル(DHCP)要求を実行して IP アドレスを求めることはできません。 |
3. IP アドレスの取得 |
Cisco Unified IP Conference Station は、DHCP を使って IP アドレスを取得する場合、DHCP サーバに照会して IP アドレスを取得します。 |
4. TFTP サーバへのアクセス |
DHCP サーバは、IP アドレスを割り当てるだけでなく、Cisco Unified IP Conference Station を TFTP サーバにポイントします。TFTP 情報をサーバからクライアントに渡すには、DHCP サーバ上でオプション 150 を設定する必要があります。 Cisco Unified IP Conference Station に IP アドレスが静的に定義されている場合は、代替 TFTP サーバの IP アドレスを手動で設定する必要があります。その結果、Cisco Unified IP Conference Station はこの代替 TFTP サーバを使用して、そこから情報を受信します。 |
5. コンフィギュレーション ファイルの要求 |
各テレフォニー装置用のコンフィギュレーション ファイル(.cnf ファイル形式)は、Cisco Unified CallManager 用の接続パラメータを定義しており、TFTP サーバに格納されています。 Cisco Unified CallManager で自動登録を使用可能にした場合、Cisco Unified IP Conference Station は、TFTP サーバにあるデフォルトのコンフィギュレーション ファイル(XMLDefault.cnf.xml)にアクセスします。手動で Cisco Unified IP Conference Station を Cisco Unified CallManager データベースに入力した場合、Station は、その装置名に対応する .xml ファイルにアクセスします。 |
6. Cisco Unified CallManager との接続 |
コンフィギュレーション ファイルは、Cisco Unified IP Conference Station と Cisco Unified CallManager との通信方法を定義します。Station は、コンフィギュレーション ファイルを TFTP サーバから取得した後、リスト上で最も優先順位が高い Cisco Unified CallManager への TCP 接続を試みます。 Cisco Unified IP Conference Station は、60ms までのサンプリング レートをサポートしています。ただし、30ms を超えるサンプリング レートを設定すると、音声品質が低下する可能性があります。詳細については、『Cisco IP テレフォニー ソリューション リファレンス ネットワーク デザイン Cisco Unified CallManager 4.0 および 4.1』を参照してください。このドキュメントは、 http://www.cisco.com/en/US/products/sw/voicesw/ps556/products_implementation_design_guide_chapter09186a0080447513.html#wp1043960 から入手できます。 |
Cisco Unified IP Conference Station 7936 の設置とセットアップの要件
Cisco Unified IP Conference Station を設置して設定するには、いくつかのネットワーク設定値を指定し、Cisco Unified CallManager をセットアップしてから、Cisco Unified IP Conference Station 上の変更点を手動で設定する必要があります。
表1-3 は、これらの手順について説明しています。
表1-3 Cisco Unified IP Conference Station の設置とセットアップの要件
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1. 音声通信を処理するように、ルータ、ゲートウェイ、およびスイッチを設定する |
IP Telephony ネットワークをセットアップする |
これらの装置に付属の資料を参照 |
2. Cisco Unified CallManager を設定する |
ネットワーク内のコール処理と取り扱いをサポートする |
Cisco Unified CallManager のマニュアルまたは Cisco Unified CallManager アプリケーションのオンライン ヘルプを参照 |
3. 自動登録を使用して Cisco Unified IP Conference Station を登録するか、手動で Cisco Unified IP Conference Station を Cisco Unified CallManager データベースに追加するかを決定する |
Cisco Unified IP Conference Station を Cisco Unified CallManager データベースに追加する方法、および電話番号の割り当て方法を決定する |
• 「設置の準備」を参照 • Cisco Unified CallManager のマニュアルまたは Cisco Unified CallManager アプリケーションのオンライン ヘルプを参照 |
4. Cisco Unified IP Conference Station をネットワークに接続する |
Cisco Unified IP Conference Station をネットワークに追加する |
「設置およびネットワークとの接続」 を参照 |
5. Cisco Unified IP Conference Station 上でネットワーク設定値を手動で設定する |
ネットワークで DHCP を使用しない場合に、IP 設定値を指定し、TFTP サーバを割り当てる |
「起動時のネットワーク設定値の設定」 および 「ネットワーク設定値へのアクセス」 を参照 |