設定ファイルのカスタマイズと修正
設定ファイルを修正すること(たとえば、xml ファイルを編集すること)や、カスタマイズ(たとえば、カスタム呼び出し音、コールバック トーン、電話機用の背景を変更)したファイルを Trivial File Transfer Protocol(TFTP)ディレクトリに追加することができます。ファイルの修正およびカスタマイズしたファイルの TFTP ディレクトリへの追加は、Cisco Unified Communications オペレーティング システムの管理の [TFTP サーバ ファイルのアップロード(TFTP Server File Upload)] ページで行うことができます。Cisco Unified Communications Manager サーバの TFTP フォルダにファイルをアップロードする方法については、『 Cisco Unified Communications Operating System Administration Guide 』を参照してください。
Ringlist.xml ファイルおよび List.xml ファイルのコピーは、admin Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)で次のように file コマンドを使用してシステムから取得できます。
• admin:file
– file list*
– file view*
– file search*
– file get*
– file dump*
– file tail*
– file delete*
カスタム呼び出し音の作成
Cisco Unified IP Phone は、Chirp1 と Chirp2 という 2 つのデフォルト呼び出し音タイプがハードウェアに実装された状態で出荷されます。Cisco Unified Communications Manager ではさらに、追加のデフォルトの呼び出し音が Pulse Code Modulation(PCM; パルス符号変調)ファイルとしてソフトウェアに実装されています。これらの PCM ファイルは、サイトで利用できる呼び出し音のリスト オプションを記述する XML ファイル(Ringlist.xml)とともに、各 Cisco Unified Communications Manager サーバの TFTP ディレクトリに格納されています。
詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager Features and Services Guide 』の「 Custom Phone Rings 」の章および『 Cisco Unified Communications Operating System Administration Guide 』の「 Software Upgrades」の章を参照してください。
次の各項では、サイトで PCM ファイルを作成し、RingList.xml ファイルを編集して、サイトで利用可能な電話機の呼び出し音をカスタマイズする方法について説明します。
• 「Ringlist.xml のファイル形式の要件」
• 「カスタム呼び出し音の種類に対する PCM ファイルの要件」
• 「カスタム呼び出し音の設定」
Ringlist.xml のファイル形式の要件
Ringlist.xml ファイルは、電話機の呼び出し音の種類のリストが含まれている XML オブジェクトを定義します。このファイルには、最大 50 種類の呼び出し音が設定できます。各呼び出し音の種類には、その呼び出し音の種類で使用される PCM ファイルへのポインタと、その呼び出し音に対して Cisco Unified IP Phone に表示される [呼出音タイプ(Ring Type)] メニューのテキストが含まれています。このファイルは、各 Cisco Unified Communications Manager の Cisco TFTP サーバに保存されています。
CiscoIPPhoneRinglist XML オブジェクトは、次の単純なタグ セットを使用して、この情報を記述します。
定義名には、次の特徴があります。各呼び出し音の種類に対して、必須の DisplayName と FileName を含める必要があります。
• DisplayName は、PCM ファイルに対応するカスタム呼び出しの名前で、Cisco Unified IP Phone の [呼出音タイプ(Ring Type)] メニューに表示されます。
• FileName には、DisplayName に関連付けられたカスタム呼び出し音の PCM ファイルの名前を指定します。
(注) DisplayName フィールドおよび FileName フィールドは、25 文字以下でなければなりません。
この例では、2 つの呼び出し音の種類を定義する RingList.xml ファイルを示します。
<DisplayName>Analog Synth 1</DisplayName>
<FileName>Analog1.raw</FileName>
<DisplayName>Analog Synth 2</DisplayName>
<FileName>Analog2.raw</FileName>
カスタム呼び出し音の種類に対する PCM ファイルの要件
呼び出し音の PCM ファイルが Cisco Unified IP Phone で正しく再生されるためには、次の要件を満たす必要があります。
• Raw PCM(ヘッダーなし)
• 8000 サンプル/秒
• 8 ビット/サンプル
• uLaw 圧縮
• 最大呼び出し音サイズ:16080 サンプル
• 最小呼び出し音サイズ:240 サンプル
• 呼び出し音のサンプル数が 240 の倍数
• 呼び出し音の開始と終了がゼロ クロッシング
• カスタム呼び出し音用の PCM ファイルを作成するには、次のファイル形式の要件に対応する任意の標準オーディオ編集パッケージを使用します。
カスタム呼び出し音の設定
Cisco Unified IP Phone のカスタム呼び出し音を作成するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 カスタム呼び出し音ごとに、1 つの PCM ファイルを作成します(1 ファイルにつき 1 呼び出し音)。PCM ファイルが、「カスタム呼び出し音の種類に対する PCM ファイルの要件」に示す形式のガイドラインに準拠していることを確認します。
ステップ 2 作成した新しい PCM ファイルを、クラスタ内の各 Cisco Unified Communications Manager の Cisco TFTP サーバにアップロードします。詳細については、『 Cisco Unified Communications Operating System Administration Guide 』の「 Software Upgrades 」を参照してください。
ステップ 3 テキスト エディタを使用して Ringlist.xml ファイルを編集します。このファイルの形式とサンプルの Ringlist.xml ファイルについては、「Ringlist.xml のファイル形式の要件」を参照してください。
ステップ 4 変更を保存して Ringlist.xml ファイルを閉じます。
ステップ 5 新しい Ringlist.xml ファイルをキャッシュするには、Cisco Unified Serviceability を使用して TFTP サービスを停止してから起動するか、Enable Caching of Constant and Bin Files at Startup TFTP サービス パラメータ(Advanced Service Parameters に含まれる)を無効にしてから再度有効にします。
カスタム背景イメージの作成
ユーザが電話機の LCD スクリーンに表示される背景イメージを選択できるように設定できます。ユーザが背景イメージを選択するには、電話機で [設定(Settings)] > [ユーザ設定(User Preferences)] > [背景イメージ(Background Images)] を選択します。
ユーザに表示される選択可能なイメージには、電話機が使用する TFTP サーバに格納されている PNG イメージと XML ファイル(List.xml)が使用されます。独自の PNG ファイルを格納したり、TFTP サーバ上の XML ファイルを編集したりすることによって、ユーザが選択できる背景イメージを指定できます。この操作により、会社のロゴなどのカスタムのイメージを提供できます。
次の各項では、独自の PNG ファイルを作成し、List.xml を編集して、サイトで利用可能な背景イメージをカスタマイズする方法について説明します。
• 「List.xml ファイル形式の要件」
• 「カスタム背景イメージ用の PNG ファイルの要件」
• 「カスタム背景イメージの設定」
List.xml ファイル形式の要件
List.xml ファイルは、背景イメージのリストが含まれている XML オブジェクトを定義します。List.xml ファイルは、TFTP サーバ上の次のサブディレクトリに保存されています。
/Desktops/320x196x4
ヒント ディレクトリ構造と List.xml ファイルを手動で作成する場合は、TFTP サービスが使用する user\CCMService から、作成したディレクトリとファイルにアクセスできることを確認する必要があります。
詳細については、『 Cisco Unified Communications Operating System Administration Guide 』の「 Software Upgrades 」を参照してください。
List.xml ファイルには、最大 50 種類の背景イメージが設定できます。イメージは、電話機の [背景イメージ(Background Images)] メニューに表示される順に並んでいます。List.xml ファイルには、1 つのイメージごとに ImageItem という要素タイプが入っています。ImageItem 要素には、次の 2 つのアトリビュートが含まれています。
• Image:電話機の [背景イメージ(Background Images)] メニューに表示されるサムネール イメージを電話機がどこから取得するかを指定する Uniform Resource Identifier(URI; ユニフォーム リソース識別子)
• URL:電話機がフル サイズのイメージをどこから取得するかを指定する URI
次の例では、2 つのイメージを定義する List.xml ファイルを示します。必須アトリビュートの Image と URL は、各イメージに対して指定する必要があります。例で示されている TFTP URI は、フル サイズ イメージとサムネール イメージにリンクする方法として唯一サポートされている方法です。HTTP URL はサポートされていません。
List.xml の例
<ImageItem Image=”TFTP:Desktops/320x196x4/TN-Fountain.png” URL=”TFTP:Desktops/320x196x4/Fountain.png”/>
<ImageItem Image=”TFTP:Desktops/320x196x4/TN-FullMoon.png” URL=”TFTP:Desktops/320x196x4/FullMoon.png”/>
Cisco Unified IP Phone のファームウェアには、デフォルトの背景イメージが含まれています。このイメージは、List.xml ファイルには定義されていません。デフォルト イメージは、常に電話機の [背景イメージ(Background Images)] メニューの最初に表示されます。
カスタム背景イメージ用の PNG ファイルの要件
各背景イメージには、次の 2 つの PNG ファイルが必要です。
• フル サイズ イメージ:電話機に表示されるイメージ。
• サムネール イメージ:ユーザがイメージを選択する [背景イメージ(Background Images)] 画面に表示されるイメージ。フル サイズ イメージの 25% のサイズにする必要があります。
ヒント 多くのグラフィックス プログラムでは、グラフィックスのサイズを変更する機能があります。サムネール イメージを簡単に作成するには、まずフル サイズ イメージを作成して保存した後、グラフィックス プログラムのサイズ変更機能を使用して、そのイメージから元の 25% のサイズのイメージを作成します。サムネール イメージは、別名で保存します。
背景イメージの PNG ファイルが Cisco Unified IP Phone で正しく表示されるためには、次の要件を満たす必要があります。
• フル サイズ イメージ:320 ピクセル(幅)× 196 ピクセル(高さ)
• サムネール イメージ:80 ピクセル(幅)× 49 ピクセル(高さ)
ヒント グレースケールのポスタリゼーション機能をサポートしているグラフィックス プログラムを使用している場合は、チャネル当たりの色調レベル数を 16 に設定します。イメージのポスタリゼーションは 16 階調のグレースケールになります。
カスタム背景イメージの設定
Cisco Unified IP Phone 用のカスタム背景イメージを作成するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 1 つのイメージあたり、2 つの PNG ファイル(フル サイズ イメージとサムネール イメージ)を作成します。PNG ファイルが、「カスタム背景イメージ用の PNG ファイルの要件」に示す形式のガイドラインに準拠していることを確認します。
ステップ 2 作成した新しい PNG ファイルを、Cisco Unified Communications Manager の TFTP サーバの次のサブディレクトリにアップロードします。
/Desktops/320x196x4
(注) ファイル名とサブディレクトリ パラメータでは大文字と小文字が区別されます。サブディレクトリのパスを指定する場合は、必ずスラッシュ(/)を使用します。
ファイルをアップロードするには、Cisco Unified Communications オペレーティング システムの管理で [ソフトウェア アップグレード(Software Upgrades)] > [TFTP サーバ ファイルのアップロード(Upload TFTP Server File)] の順に選択します。詳細については、『 Cisco Unified Communications Operating System Administration Guide 』の「Software Upgrades」を参照してください。
(注) フォルダが存在しない場合は、フォルダを作成して、そのフォルダにファイルをアップロードします。
ステップ 3 また、カスタマイズしたイメージおよびファイルは、別の TFTP サーバにコピーしておく必要があります。この TFTP サーバには電話機がそれらのファイルを取得するためにアクセスできなければなりません。
(注) カスタム イメージ ファイルは、バックアップ コピーを別の場所にも格納することをお勧めします。こうしておくと、Cisco Unified Communications Manager のアップグレード時にカスタマイズ ファイルが上書きされた場合に、これらのバックアップ ファイルを使用できます。
ステップ 4 テキスト エディタを使用して List.xml ファイルを編集します。このファイルがある場所、形式の要件、およびサンプル ファイルについては、「List.xml ファイル形式の要件」を参照してください。
ステップ 5 変更を保存して List.xml ファイルを閉じます。
(注) Cisco Unified Communications Manager をアップグレードすると、カスタマイズした List.xml ファイルがデフォルトの List.xml ファイルによって上書きされます。List.xml ファイルをカスタマイズした後、ファイルのコピーを作成して別の場所に保存しておきます。Cisco Unified Communications Manager のアップグレード後、デフォルトの List.xml を保存しておいたコピーに置き換えることができます。
ステップ 6 新しい List.xml ファイルをキャッシュするには、Cisco Unified Communications Manager Serviceability を使用して TFTP サービスを停止してから起動するか、Enable Caching of Constant and Bin Files at Startup TFTP サービス パラメータ(Advanced Service Parameters に含まれる)を無効にしてから再度有効にします。
ワイドバンド コーデックの設定
Cisco Unified Communications Manager が G.722 を使用するように設定されていて(G.722 は Cisco Unified IP Phone 7962G/7942G ではデフォルトで有効)、相手側エンドポイントで G.722 がサポートされている場合、コールの接続には G.711 の代わりに G.722 コーデックが使用されます。これは、ユーザのワイドバンド ヘッドセットまたはワイドバンド ハンドセットが有効かどうかには関係ありません。ただし、ヘッドセットまたはハンドセットのいずれかが有効な場合、ユーザが通話時に音声感度が高くなったことに気付くことがあります。感度が高くなると、音声が明瞭になるだけでなく、紙が擦れる音や近くの会話など、相手側エンドポイントでも背景ノイズがよく聞こえるようになります。ワイドバンド ヘッドセットまたはハンドセットがない場合でも、G.722 の高い感度を好むユーザもいます。また、G.722 の高い感度のために集中できないと感じるユーザもいます。
この Cisco Unified Communications Manager サーバと特定の電話機のいずれかまたは両方についてワイドバンドがサポートされるかどうかは、Cisco Unified CM の管理にある次の 2 つのパラメータによって決まります。
アドバタイズ G.722 コーデック:Cisco Unified CM の管理で、[システム(System)] > [エンタープライズ パラメータ(Enterprise Parameters)] を選択します。このエンタープライズ パラメータのデフォルト値は True です。これは、このアドミニストレーション ガイドで説明されていて、この Cisco Unified Communications Manager に登録されているすべての Cisco Unified IP Phone モデルが Cisco Unified Communications Manager に G.722 をアドバタイズすることを意味します。詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager System Guide 』の「 Cisco Unified IP Phones」の章の「Codec Usage」を参照してください。
• アドバタイズ G.722 コーデック:Cisco Unified CM の管理で、[デバイス(Device)] > [電話(Phone)] を選択します。このプロダクト固有のパラメータのデフォルト値には、エンタープライズ パラメータに指定された値が使用されます。電話機ごとにこの設定を上書きする場合は、[電話の設定(Phone Configuration)] ウィンドウの [プロダクト固有の設定(Product Specific Configuration)] エリアにあるアドバタイズ G.722 コーデック パラメータで [有効(Enabled)] または [無効(Disabled)] を選択します。