EMCC の概要
この項は、次の内容で構成されています。
• 「EMCC と Cisco エクステンション モビリティ」
• 「EMCC ソリューション」
• 「EMCC ログイン」
• 「EMCC でサポートする電話機」
• 「EMCC の設定」
• 「EMCC のアクティブ ログインとリモート ログインの概要」
• 「EMCC コール処理」
• 「EMCC が設定されている場合の電話機の動作」
• 「EMCC が設定されている場合の電話機のセキュリティ」
EMCC と Cisco エクステンション モビリティ
Cisco エクステンション モビリティ機能が初めて提供されたのは Cisco CallManager のリリース 3.1 からです。 Cisco エクステンション モビリティは、継続してクラスタ内のユーザおよびデバイスだけに適用されます。ただし、ユーザは、ログインする場所に関係なく次のようなシームレスなエクスペリエンスを必要としています。
• ユーザに対して、同じ機能セットおよびサービス セット(すべての回線、スピード ダイヤル、メッセージ ボタン、MWI、および機能)
• 管理者に対して、セキュリティ、CAC、論理ゲートウェイ アクセス、ローカル メディア リソース、およびサービスアビリティ
EMCC の課題
クラスタ内 Cisco エクステンション モビリティには、次の特徴があります。
• ローカル データベースでデバイス情報を使用できる。
• ローカル データベースでユーザ情報を使用できる。
• ローカル データベースでグローバル情報を使用できる。
クラスタ間 Cisco エクステンション モビリティには、次の特徴があります。
• デバイス情報がクラスタ データベースに格納される。
• ユーザ情報がデバイス情報とは別のクラスタ データベースに格納される。
• ルーティング設定およびサービス パラメータなどのグローバル情報が両方のクラスタのデータベースに格納される。
Cisco エクステンション モビリティには、ユーザ情報を管理するクラスタにデバイス情報を移動するか、逆に、デバイス情報を管理するクラスタにユーザ情報を移動する必要があるという課題があります。
EMCC ソリューション
クラスタ間のエクステンション モビリティの問題を解決するソリューションは相互登録です。相互登録には、次の特徴があります。
• ホーム クラスタのユーザは訪問先クラスタの電話機にログインする。
• ログイン手順によって、ホーム クラスタのデータベースにデバイス情報が伝送される。
• ホーム クラスタのデータベースは、ユーザ デバイス プロファイルを使用して一時デバイスを作成する。
• ホーム クラスタの TFTP サーバは、電話機の設定ファイルを作成する。
• ログイン後、訪問先クラスタは電話機をホーム クラスタの TFTP サーバに転送する。
• 電話機は、Home Cluster(HC; ホーム クラスタ)の TFTP サーバから TFTP 設定をダウンロードした後、ホーム クラスタの Cisco Unified Communications Manager に相互登録する。
(注) クラスタは、ログイン ユーザから見てホームまたは訪問先と呼びます。
Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティのインタラクション
Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティ機能とその他の機能のインタラクションのリストについては、「EMCC インタラクション」を参照してください。
EMCC の範囲
Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティは、次の機能をサポートしています。
• Cisco エクステンション モビリティのログインおよびログアウト
– ユーザ認証はクラスタ間で行われる。
• セキュリティ
– クラスタ間のセキュリティはデフォルトで提供される。
– 非セキュア セキュリティ プロファイルを使用する Cisco Unified IP Phone がサポートされる。
• 訪問先電話機に適した PSTN アクセス
– E911 は PSTN(つまり、ローカル ゲートウェイ)の適切な場所にルーティングされる。
– 市内電話は PSTN の適切な場所にルーティングされる。
– ローカル ルート グループに着信するコールは、訪問先クラスタ内のローカル ゲートウェイにルーティングされる。
• 訪問先電話機に適したメディア リソースの表示(次の例を参照)
– RSVP エージェント、TRP、Music On Hold(MOH; 保留音)、MTP、トランスコーダ、会議ブリッジ
• Call Admission Control(CAC; コール アドミッション制御)
– ホーム クラスタは、訪問先クラスタのロケーションとリージョンの情報を持たない。
– Cisco Unified Communications Manager のロケーションとリージョンは、クラスタ境界を越えては適用できない。
• 訪問先クラスタの RSVP エージェントを使用する RSVP エージェントベースの CAC
• ホーム クラスタで実質的にサポートできるコール機能およびサービス
– 制約事項の例:インターコムの設定にはスタティックなデバイスの設定を指定するため、Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティではインターコム機能がサポートされない。
• EMCC ログイン デバイスの最大オーディオ ビットレートは、デフォルトで 8 kbps(G.729)に設定
(注) ホーム クラスタで G.711 コーデックだけをサポートするソフトウェア会議ブリッジを使用する場合に、訪問先クラスタにトランスコーダが設定されていないと会議は失敗します。回避策として、EMCC 機能のパラメータ [EMCC Region Max Audio Bit Rate] を 64 kbps(G.711)に変更します。
EMCC ログインの用語
図 10-1 に、Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティの訪問先クラスタとホーム クラスタを示します。
図 10-1 訪問先クラスタと ホーム クラスタ
訪問先クラスタ
訪問先クラスタには、次の特徴があります。
• 電話機は地理的に訪問先に存在する。
• 電話機の設定は、訪問先の Cisco Unified Communications Manager データベースに格納されている。
• 電話機が必要とするリソース(ゲートウェイおよび RSVP エージェントなど)は、訪問先に存在する。
• 通常、訪問先電話機は(EMCC ログインの前に)この地理的ロケーションを管理する訪問先の Cisco Unified Communications Manager クラスタに登録する。
• CCMCIP は Cisco CallManager Cisco IP Phone サービスを示す。
ホーム クラスタ
ホーム クラスタには、次の特徴があります。
• エンド ユーザの設定はホーム クラスタに存在する。
• ユーザ デバイス プロファイル(回線、スピード ダイヤル、機能、およびその他の多数のユーザ特性)は、ホーム クラスタに存在する。
• ユーザのダイヤリング傾向は、ホーム コンテキスト内で有効。
• ユーザ ロケールはホーム クラスタに存在する。
相互登録のプロセスでは、デバイス データをホーム クラスタにインポートし、ホーム クラスタ内のエンド ユーザの Extension Mobility(EM; エクステンション モビリティ)プロファイルと組み合わせてデバイス レコードを作成します。次に電話機を転送し、ホーム クラスタの Cisco Unified Communications Manager に直接登録します。
EMCC ログインの進行
図 10-2 に、エクステンション モビリティでホーム クラスタを検索するときの Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティ ログインを示します。
図 10-2 EMCC ログイン:エクステンション モビリティのホーム クラスタ検索
図 10-3 に、エクステンション モビリティで認証、ホーム クラスタへの情報提供、およびホーム クラスタの準備を行う場合の Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティ ログインを示します。
図 10-3 EMCC ログイン:エクステンション モビリティによる認証、ホームへの情報提供、ホームの準備
図 10-4 に、エクステンション モビリティで訪問先クラスタを変更し、登録を開始する場合の Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティ ログインを示します。
図 10-4 EMCC ログイン:エクステンション モビリティによる訪問先の変更と登録の開始
Mini-config とは、ログイン後に電話機をホーム クラスタにリダイレクトするために訪問先クラスタで作成された簡単な設定ファイルのことです。
図 10-5 に、エクステンション モビリティ ログイン サービスが処理を完了して電話機が登録される場合の Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティ ログインを示します。
図 10-5 EMCC ログイン:エクステンション モビリティ ログイン サービスによる処理の完了と電話機の登録
EMCC でサポートする電話機
Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティをサポートするデバイスのリストは、バージョンおよびデバイス パックによって異なります。
特定のリリースおよびデバイス パック用に Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティをサポートするデバイスの全リストを作成するには、Cisco Unified Reporting アプリケーションを使用します。そのためには、次の手順に従います。
1. 次のいずれかの方法を使用して、Cisco Unified Reporting を起動します。
Web アプリケーションへのアクセスを許可されるまで、ユーザの認証には Cisco Tomcat サービスが使用されます。アプリケーションには次の方法でアクセスできます。
– Cisco Unified Communications Manager の管理ページのナビゲーション メニューで [Cisco Unified Reporting] を選択し、[移動(Go)] をクリックします。
– Cisco Unified Real-Time Monitoring Tool(RTMT)メニューで [File] > [Cisco Unified Reporting] の順に選択します。
– https://<サーバ名または IP アドレス>:8443/cucreports/ と入力し、認証済みのユーザ名とパスワードを入力します。
2. ナビゲーション バーで、[System Reports] をクリックします。
3. 左側のカラムに表示されたレポートのリストで、[Unified CM Phone Feature List] オプションをクリックします。
4. [Generate a new report] リンクをクリックして新規レポートを生成するか、または、レポートがすでに存在する場合は、[Unified CM Phone Feature List] リンクをクリックします。
5. Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティがサポートされているすべてのデバイスのレポートを生成するには、各ドロップダウン リスト ボックスから次の設定を選択し、[Submit] ボタンをクリックします。
[Product]:[All]
[Feature]:[Extension Mobility Cross Cluster]
[List Features] ペインに、Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティ機能がサポートされているすべてのデバイスのリストが表示されます。カラムの見出し([Product] または [Protocol])の隣にある上下の矢印キーをクリックして、リストをソートできます。
Cisco Unified Reporting アプリケーションの詳細については、次の URL の『 Cisco Unified Reporting Administration Guide 』を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/products/sw/voicesw/ps556/prod_maintenance_guides_list.html
EMCC の設定
Cisco Unified Communications Manager の管理、および Cisco Unified サービスアビリティや Cisco Unified Communications オペレーティング システムなどの他の Cisco Unified Communications コンポーネントで Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティを設定する手順の概要については、「EMCC の設定チェックリスト」を参照してください。
EMCC に排他的に適用されるメニュー オプションの設定の詳細については、「EMCC の設定」とそのサブセクションを参照してください。
EMCC のアクティブ ログインとリモート ログインの概要
ユーザのホーム クラスタでは、管理者はリモート デバイスからログイン済みのクラスタ ユーザのリストを確認できます。
このことを行うには、管理者が次の手順を実行します。
1. Cisco Unified Communications Manager の管理ページで、[デバイス(Device)] > [電話(Phone)] の順に実行します。
[電話の検索と一覧表示(Find and List Phones)] ウィンドウが表示されます。
2. [関連リンク(Related Links)] ドロップダウン リスト ボックスで [リモートログインデバイス(Remotely Logged In Device)] を選択し、[移動(Go)] をクリックします。
リモート ログイン デバイスのレポートの詳細については、 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』のを参照してください。
管理者は、任意のクラスタで Cisco エクステンション モビリティまたは Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティにログイン済みのクラスタ デバイスのリストを確認できます。
このことを行うには、管理者が次の手順を実行します。
1. Cisco Unified Communications Manager の管理ページで、[デバイス(Device)] > [電話(Phone)] の順に実行します。
[電話の検索と一覧表示(Find and List Phones)] ウィンドウが表示されます。
2. [関連リンク(Related Links)] ドロップダウン リスト ボックスで [現在ログイン中のデバイスのレポート(Actively Logged In Device Report)] を選択し、[移動(Go)] をクリックします。
現在ログイン中のデバイスのレポートの詳細については、 『 Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド 』のを参照してください。
EMCC コール処理の概要
図 10-6 に、EMCC コール処理の概要を示します。
図 10-6 EMCC コール処理
EMCC コール処理の特徴
EMCC コール処理には、次の特徴があります。
• ホーム クラスタでのコール制御。
– 訪問先電話機はホーム クラスタに登録する。
• RSVP エージェントは訪問先クラスタから割り当てられるが、制御はホーム クラスタから間接的に行われる。
– 訪問先電話機はホーム クラスタに登録する。
– RSVP ベースの CAC 用のホーム クラスタ ポリシーに従う。
• ホーム クラスタおよび訪問先クラスタによるコーデック選択。
– メディアはホーム クラスタおよび訪問先クラスタで処理を行う。
– コーデックは両クラスタの EMCC リージョン設定に基づいて選択される。
• 緊急通話のルーティングは訪問先電話機および訪問先クラスタに依存する。
– ホーム クラスタでは、ホーム クラスタと訪問先クラスタ両方の緊急事態パターンがサポートされる。
– EMCC SIP クラスタ間トランク経由でローカル ルート グループを使用し、訪問先クラスタに緊急通話をルーティングする。
– 訪問先クラスタで設定された訪問先電話機のローカル ルート グループを使用する。
• 訪問先クラスタでのデバイスに依存する PSTN アクセス。
– 訪問先電話機と同じ場所に設置されているローカル ゲートウェイに SIP トランクからのコールをルーティングする。
EMCC コール処理の要件
Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティは、次のコール処理要件を満たしています。
• 緊急通話のルーティング。
– ユーザは、ホーム クラスタの緊急事態パターンまたは訪問先クラスタの緊急事態パターンにダイヤルできる(たとえば、英国の 999 または米国の 911)。
– どのクラスタの緊急事態パターンにダイヤルしたかにかかわりなく、訪問先クラスタのローカル ゲートウェイにコールをルーティングする必要がある。
• RSVP エージェント ベースの CAC。
– 訪問先クラスタの RSVP エージェントは、訪問先クラスタ内にある訪問先電話機の Media Resource Group List(MRGL; メディア リソース グループ リスト)に基づいて割り当てる必要がある。
(注) 電話機をホーム クラスタに登録したにもかかわらず、訪問先クラスタで電話機のロケーションを移動すると、訪問先クラスタ内のローカル ゲートウェイまたは Media Resource Group List(MRGL; メディア リソース グループ リスト)に正しく割り当てられない場合があります。
緊急通話の EMCC コール処理
図 10-7 に、緊急通話の Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティ コール処理を示します。
図 10-7 緊急通話の EMCC コール処理
ローミング用デバイス プールの検索
ローミング用デバイス プールの検索には、次の特徴があります。
• EMCC 電話機は、ホーム クラスタのローミング用デバイス プールからローミングに影響する属性を検索する。
• ホーム クラスタでは、リモート クラスタごとにローミング用デバイス プールを 1 つ設定し、そのクラスタを特徴付ける個別の位置情報を使用する。次に例を示します。
– DPforUKCluster(country=UK)
– DPforSJCluster(country=US、A1=CA、A3=SJ)
• 訪問先クラスタでエクステンション モビリティを有効にした電話機では、訪問先クラスタで位置情報を設定する。
• ログイン処理によって、電話機の位置情報が訪問先クラスタからホーム クラスタに送信される。
• ホーム クラスタに設定された EMCC 位置情報フィルタによって、電話機の位置情報がフィルタリングされる。
• ホーム クラスタでは、フィルタ処理された電話機の位置情報を使用して、電話機のローミング用デバイス プールに最適なデバイス プールが検索され、電話機がホーム クラスタに登録される。
ホーム クラスタの位置情報を使用したローミング用デバイス プールのマッチング
図 10-8 に、ホーム クラスタ内の位置情報を使用した、ローミング用デバイス プールのマッチングを示します。
図 10-8 ホーム クラスタ内の位置情報を使用したローミング用デバイス プールのマッチング
EMCC コール処理の設定
訪問先クラスタでは、エクステンション モビリティを有効にした電話機の位置情報を設定します。この設定は、[電話の設定(Phone Configuration)] ウィンドウ([デバイス(Device)] > [電話(Phone)])の [位置情報(Geolocation)] フィールド、または [デバイスプール設定(Device Pool Configuration)] ウィンドウ([システム(System)] > [デバイスプール(Device Pool)])の [位置情報の設定(Geolocation Configuration)] ペインにある [位置情報(Geolocation)] フィールドで行います。
訪問先クラスタ内のエクステンション モビリティ対応電話機には、次のエンティティの設定も必要です。
• 関連する [デバイスプール設定(Device Pool Configuration)] ウィンドウ([システム(System)] > [デバイスプール(Device Pool)])のローカル ルート グループ
• RSVP ポリシーが有効な場合は、電話機のメディア リソース グループ リスト内の RSVP デバイス(トランスコーダまたは MTP)
ホーム クラスタでは、EMCC 位置情報フィルタを設定します。[拡張機能(Advanced Features)] > [EMCC] > [EMCC機能設定(EMCC Feature Configuration)] メニュー オプションを使用して、EMCC 位置情報フィルタの設定を行ってください。
1 リモート クラスタにつき 1 つのデバイス プールが、ログイン電話機のローミング用デバイス プールとして機能します。
例
デバイス プールに 英国クラスタ用 EMCC デバイス プール を指定します。
このデバイス プールの位置情報に 英国の位置情報 を指定します。
このデバイス プールの「英国の位置情報」位置情報を使用すると、英国の電話機はこのデバイス プールに一致して、電話機がログインしたときにこのプールをローミング用デバイス プールとして選択できます。
ホーム クラスタ内の EMCC 電話機とそのローミング用デバイス プールの一覧表示
ホーム クラスタ管理者は、このクラスタに現在登録されている、すべてのリモート デバイスを一覧表示できます。このことを行うには、[デバイス(Device)] > [電話(Phone)] の順に選択します。[関連リンク(Related Links)] ドロップダウン リスト ボックスで [リモートログインデバイス(Remotely Logged In Device)] を選択し、[移動(Go)] をクリックします。
[リモートログインデバイスのレポート(Remotely Logged-In Device Report)] には、次の情報が表示されます。
• [デバイス名(Device Name)]
• [ログインプロファイル(Logged In Profile)]
• [ユーザID(User ID)]
• [リモートクラスタID(Remote Cluster ID)]
• [ローミング用デバイスプール(Roaming Device Pool)]
ホーム クラスタ内の EMCC コール処理
ホーム クラスタ内のログイン EMCC 電話機は、次の属性およびプリファレンスを取得します。
• EMCC 基本デバイスからの共通属性(一括管理)
• ローミング用デバイス プールからのローミングに影響する属性
– リモート クラスタごとに 1 つのローミング用デバイス プール
– 訪問先クラスタが同じ EMCC 電話機は同じローミング用 DP を選択
– 国に固有の緊急ダイヤリング プランが可能(たとえば、英国の場合は 999 )
• ユーザデバイスプロファイル(回線およびスピード ダイヤル)からのユーザ プリファレンス
• EMCC機能設定からの機能固有の属性
– すべてのクラスタのすべての EMCC 電話機のコーデック プリファレンス
– EMCC 電話機の RSVP ポリシー
EMCC コール ルーティング
コール ルーティングは、ホーム クラスタで電話機用に作成される Calling Search Space(CSS; コーリング サーチ スペース)に基づいて実行されます。
ホーム クラスタは、次の優先順位で CSS を連結します。
1. 付加 CSS(新規)
– ローミング用デバイス プールで設定され、国に固有の緊急ダイヤリング プランをサポートする(たとえば、英国の電話機はリモートで米国クラスタに登録されます。ユーザは、米国クラスタが通常は認識しない 9.999(英国の緊急番号)にダイヤルします)。ホーム クラスタが米国、訪問先クラスタが英国です。
– ホーム クラスタと訪問先クラスタが同じ緊急事態パターンを共有している場合は、付加 CSS 設定がスキップされる場合がある。
2. 回線 CSS
3. デバイス CSS
– デバイスに固有。[電話の設定(Phone Configuration)] ウィンドウまたはスタティック デバイス プールで設定します。
– ホーム クラスタ内で電話機の通常のダイヤリングを実現する。
– 訪問先電話機はホーム クラスタに電話デバイスが設定されていない。
– ホーム クラスタは、ユーザ ログイン デバイス プロファイルから EMCC CSS(新規)を取得し、この CSS をスタティック デバイス CSS として使用する。
付加コーリング サーチ スペースの機能
付加 CSS を設定するには、[システム(System)] > [デバイスプール(Device Pool)] の順に選択し、[デバイスプールの設定(Device Pool Settings)] ペインで [付加CSS(Adjunct CSS)] フィールドを設定します。
この例では、次の設定が適用されます。
• [付加CSS(Adjunct CSS)] は Adjunct CSS for UK Cluster です。
• ([コーリングサーチスペースのルートパーティション(Route Partitions for this Calling Search Space)] の)[選択されたパーティション(Selected Partitions)] は EMCC Emergency Partition for UK です。
デバイス プールで設定する付加 CSS を使用すると、ログイン後に米国のクラスタに登録され、ローミング用デバイス プールにバインドされる英国の電話機から、英国の緊急ダイヤリングが可能になります。米国のクラスタがホーム クラスタです。
コーリング サーチ スペースには、メンバ パーティションを 1 つだけ指定します(EMCC Emergency Partition for UK)。
ホーム クラスタでの訪問先クラスタの緊急事態パターンの設定
ホーム クラスタで訪問先クラスタの緊急事態パターンを設定します。
例
9.999/{EMCC emergency partition for UK} のルートを設定します。このルートにはメンバが 1 つだけ(標準 LRG)含まれています。
(米国の)ホーム クラスタに登録されている(英国の)訪問先電話機が 9.999 にダイヤルすると、電話機のローミング用デバイス プールの付加 CSS により、このパターンはルート パターン 9.999/{EMCC emergency partition for UK} に一致します。このため、ホーム クラスタ(米国のクラスタ)は、コールをデバイス ローカル ルート グループにルーティングします。
ホーム クラスタの EMCC 訪問先電話機のローカル ルート グループ ルーティング
ホーム クラスタ内の EMCC 訪問先電話機のローカル ルート グループには、次の特徴があります。
• デバイスのローカル ルート グループは、デバイス ローカル PSTN へのゲートウェイを含む。
• 標準 LRG に終端するコールは、発信側デバイス LRG(つまり、ローカル PSTN に接続するゲートウェイ)に転送される。
• 通常の電話機およびそのローカル ルート グループは、同じクラスタに登録する。
• EMCC 訪問先電話機およびそのローカル ルート グループは、別々のクラスタに登録する。
– ホーム クラスタには訪問先電話機の設定済みローカル ルート グループがない。
– ホーム クラスタは訪問先電話機のローカル PSTN ゲートウェイに直接アクセスできない。
– ホーム クラスタにある EMCC 訪問先電話機の標準 LRG に終端するコールは、PSTN アクセス SIP トランク(EMCC の設定)経由で訪問先クラスタに転送される。
– 訪問先クラスタは、訪問先電話機に設定されたローカル ルート グループを検索する(エクステンション モビリティが有効になっている電話機は、訪問先クラスタでローカル ルート グループを設定する必要があることに注意してください)。
– 訪問先クラスタは、通常の電話機と同様にローカル ルート グループ内のゲートウェイにコールをルーティングする。
EMCC SIP トランクを使用したローカル ルート グループ ルーティング
図 10-9 に、EMCC SIP トランクを使用するローカル ルート グループ ルーティングを示します。
図 10-9 EMCC SIP トランクを使用したローカル ルート グループ ルーティング
デバイス プロファイル内の EMCC コーリング サーチ スペース
[デバイスプロファイルの設定(Device Profile Configuration)] ウィンドウ([デバイス(Device)] > [デバイスの設定(Device Settings)] > [デバイスプロファイル(Device Profile)])で定義する [クラスタ間エクステンションモビリティのCSS(Extension Mobility Cross Cluster CSS)] フィールドは、EMCC ログイン時にユーザがこのデバイス プロファイルを選択すると、リモート電話機のデバイス CSS として使用されます。
EMCC 電話機のリージョン設定
EMCC 電話機のリージョン設定には、次の特徴があります。
• EMCC ログイン電話機はホーム クラスタにリージョンが設定されていない。
• いかなるクラスタについても、すべての EMCC ログイン電話機に、通常のリージョン設定に優先する共通のリージョン設定([拡張機能(Advanced Features)] > [EMCC] > [EMCC機能設定(EMCC Feature Configuration)])が割り当てられる。
• リージョンの EMCC 機能のパラメータは、すべてのクラスタに同じ値を設定する必要がある。リージョンの EMCC 機能のパラメータに異なる値を設定すると、リモート クラスタの更新操作によって該当するクラスタの RSVP エージェントが無効となる。
• リージョンの EMCC 機能のパラメータには、次の値が適用される。
– [EMCC Region Max Audio Bit Rate](この機能パラメータに関係する推奨回避策設定の詳細については、「EMCC の範囲」を参照してください)
– [EMCC Region Max Video Call Bit Rate (Includes Audio)]
– [EMCC Region Link Loss Type]
EMCC 電話機の RSVP 設定
EMCC 電話機の RSVP 設定には、次の特徴があります。
• ホーム クラスタの EMCC 電話機の RSVP ポリシーは、通常の電話機と同じ設定手順に従う。
– 共通のロケーション(Remote-cluster-location など)またはクラスタ固有のロケーション(UK-location など)を設定する。
– ロケーションに無制限のオーディオおよびビデオ帯域幅を設定して、ロケーションベースの CAC を無効にする。
– ロケーション ペアに RSVP ポリシー(予約なし、オプション、必須)を設定する。
• 訪問先クラスタでは、訪問先電話機の Media Resource Group List(MRGL; メディア リソース グループ リスト)に RSVP デバイスを追加する。
• RSVP エージェントを割り当てるとき、ホーム クラスタの Cisco Unified Communications Manager はその RSVP エージェントが EMCC 電話機用であることを認識し、RSVP SIP トランク上で訪問先クラスタに要求をリダイレクトする。
• その他のすべてのメディア リソースを割り当てるとき、ホーム クラスタの Cisco Unified Communications Manager はホーム クラスタに設定されたメディア リソース グループ リストに基づいてメディア リソースを割り当てる。
RSVP エージェントベースの CAC 基本コール
図 10-10 に、RSVP エージェントベースの Call Admission Control(CAC; コール アドミッション制御)基本コール用の Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティを示します。
図 10-10 RSVP エージェントベースの CAC 基本コール用 EMCC
ホーム電話機による RSVP エージェント CAC の保留/再開
図 10-11 に、ホーム電話機による RSVP エージェントベースの保留/再開のための Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティを示します。
図 10-11 ホーム電話機による RSVP エージェントベース CAC の保留/再開のための EMCC
訪問先電話機による RSVP エージェント CAC の保留/再開
図 10-12 に、訪問先電話機による RSVP エージェントベースの保留/再開のための Cisco クラスタ間のエクステンションモビリティを示します。
図 10-12 訪問先電話機による RSVP エージェントベース CAC の保留/再開のための EMCC
EMCC コール処理に共通の問題
この項では、EMCC で発生する可能性のある、コール処理に共通の問題について説明します。
• 通常のコールを発信できない。
– EMCC 電話機が正しいローミング用デバイス プールにバインドされていない([デバイス(Device)] > [電話(Phone)] の次に [リモートログインデバイス(Remotely Logged In Device)] を選択)。
– ログイン デバイス プロファイルに EMCC CSS を設定していない([デバイス(Device)] > [デバイスの設定(Device Setting)] > [デバイスプロファイル(Device Profile)])。
– RSVP 予約を設定すると失敗する(たとえば、訪問先クラスタにある訪問先電話機のメディア リソース グループ リストに RSVP デバイスがない、など)。
– EMCC ログイン電話機で G.729 コーデックがサポートされておらず、訪問先クラスタ内の電話機にトランスコーダが設定されていない。
• 緊急通話を発信できない。
– EMCC 電話機が正しいローミング用デバイス プールにバインドされていない([デバイス(Device)] > [電話(Phone)] の次に [リモートログインデバイス(Remotely Logged In Device)] を選択)。
– EMCC 電話機のローミング用デバイス プールで付加 CSS が欠落している。
– 付加 CSS に基づいてホーム クラスタのルーティング設定を確認する。
– 訪問先クラスタにある電話機のスタティック デバイス プールでローカル ルート グループ設定が欠落している。
• メディアが存在しない、または片方向メディアが存在する。
– すべてのクラスタで [EMCCリージョン(EMCC Region)] 設定ウィンドウに同じ値が設定されているどうかを確認する([拡張機能(Advanced Features)] > [EMCC] > [EMCC機能設定(EMCC Feature Configuration)])。
– ホーム クラスタの RSVP ポリシーを確認する(ホーム クラスタの RSVP ポリシーだけが重要)。
EMCC コール処理問題に関するヘルプの入手
コール処理問題のヘルプを入手するには、次の手順を実行します。
• ホーム クラスタおよび訪問先クラスタの両方から、詳細なトレースを収集します。
• コール シナリオの詳細は次のとおりです。
– EMCC デバイスと、EMCC デバイス以外のデバイスおよびそのクラスタを識別します。たとえば、EMCC 電話機が正しいローミング用デバイス プールにバインドされていないとします。[デバイス(Device)] > [電話(Phone)] メニュー オプションを使用した後、[関連リンク(Related Links )] ドロップダウン リスト ボックスで [リモートログインデバイス(Remotely Logged In Device)] を選択します。
WAN ネットワーク障害:設定ファイルを使用できない
図 10-13 に、設定ファイルを使用できない場合の WAN ネットワーク障害を示します。
電話機は訪問先クラスタに登録されます。
図 10-13 WAN ネットワーク障害:設定ファイルを使用できない
EMCC ログイン モードでは、ホーム クラスタへの接続障害を検出した電話機は、そのホーム クラスタへの接続を再確立しようとします。WAN 障害などの障害によって再確立が何度か失敗した後、電話機は訪問先クラスタにログアウト要求を自動的に発行し、ログアウト時に訪問先クラスタに再登録します。
EMCC 障害:登録拒否
図 10-14 に、登録拒否が発生した場合の EMCC 障害を示します。
電話機は訪問先クラスタに登録されます。
図 10-14 EMCC 障害:登録拒否
EMCC 障害:ホーム Cisco Unified Communications Manager が使用不能/局間障害
図 10-15 に、ホーム Cisco Unified Communications Manager が使用不能となって局間障害が発生した場合の EMCC 障害を示します。
電話機は SRST にフェールオーバーします。
図 10-15 EMCC 障害:ホーム Cisco Unified Communications Manager が使用不能/局間障害
EMCC 障害:ホーム Cisco Unified Communications Manager が使用不能/クラスタ間障害
図 10-16 に、ホーム Cisco Unified Communications Manager が使用不能となってクラスタ間障害が発生した場合の EMCC 障害を示します。
電話機は訪問先クラスタに登録されます。
図 10-16 EMCC 障害:ホーム Cisco Unified Communications Manager が使用不能/クラスタ間障害
EMCC 障害:ホーム Cisco Unified Communications Manager が使用不能/クラスタ間障害(訪問先 SRST が存在しない)
図 10-17 に、ホーム Cisco Unified Communications Manager が使用不能となってクラスタ間障害が発生し、訪問先 SRST が適用されない場合の EMCC 障害を示します。
電話機は訪問先クラスタに登録されます。
図 10-17 EMCC 障害:設定ファイルが使用不能、クラスタ間障害が発生、訪問先 SRST が適用されない
EMCC が設定されている場合の電話機のセキュリティ
EMCC 環境における電話機のセキュリティ問題の詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager セキュリティ ガイド 』を参照してください。