フォールバック VRF の実装
仮想ルーティングおよびフォワーディング(VRF)は、同じルータ上にルーティング テーブルの複数のインスタンスが同時に存在できるようにする IP テクノロジーです。ルーティング インスタンスは独立しているため、同じ IP アドレスを競合することなく使用できます。
データ パケットの宛先プレフィックスが、設定されている VRF のどのルートとも一致しない場合、グローバル ルーティング テーブルからデフォルト ルートが識別されます。ただし、デフォルト ルートを使用するには明示的なネクスト ホップが必要なため、効率的でない可能性があります。フォールバック VRF ルートを設定することをお勧めします。宛先が VRF テーブルで一致しない場合は、フォールバック VRF テーブルが使用されます。フォールバック VRF には、グローバル ルーティング テーブルまたは非グローバル VRF テーブルを使用できます。
制約事項
フォールバック VRF ルートを設定する場合は、次の制約事項が適用されます。
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フォールバック VRF ルートは、各プライマリ VRF のアドレス ファミリごとに 1 つのみ設定できます。
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LPTS 受信トラップはサポート対象外であるため、ping、トレースルート、または低速パス アプリケーションはフォールバック VRF でサポートされません。
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Cisco NCS 560 シリーズ ルータでは、1000 の VRF と 1 つのグローバル テーブルのみがサポートされます。
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VRF へのスタティック デフォルト ルートを設定すると、このスタティック デフォルト ルートがフォールバック VRF よりも優先されます。VRF のデフォルト ルートを設定すると、ルート ルックアップにグローバル ルーティング テーブルが使用されます。デフォルト ルートは、設定済みのネクスト ホップに必ず転送されます。
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プライマリ VRF でパケットのルート ルックアップが失敗した場合、フォールバック VRF でルート ルックアップを実行するためにパケットがリサイクルされます。したがって、パケットのルーティング パフォーマンスが最大で 50% 低下します。
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パケットの ACL ベース転送(ABF)VRF リダイレクトと VRF フォールバックの両方を設定すると、パケットは 2 回リサイクルされます。したがって、パケットのルーティング パフォーマンスが最大で 33% 低下します。
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フォールバック VRF でパケットのルートが見つかった場合、グリーニング IPv4 およびグリーニング IPv6 隣接関係パケットのみが正常にパントされます。
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ループ設定では、パケットのルートがプライマリとフォールバックのどちらの VRF でも見つからない場合、パケットはリサイクル パスでループします。最終的にパケットはリサイクル出力キューにドロップされます。リサイクル キューの優先順位が最も高いため、ループしているトラフィックのレートが高いと、他の正常なリサイクル パケットがドロップされる可能性があります。