ファクス リレーの設定
このモジュールでは、Cisco Unified CME の制御下でアナログ Foreign eXchange Service(FXS)ポートの Skinny Client Control Protocol(SCCP)ファクス リレーをイネーブルにする方法について説明します。
このモジュールで紹介する機能情報の入手方法
お使いの Cisco Unified CME のバージョンが、このモジュールで説明されている機能の一部をサポートしていないことがあります。 各機能がサポートされているバージョンのリストについては、「ファクス リレーの機能情報」を参照してください。
ファクス リレーの前提条件
• Cisco Unified CME 4.0(3) 以降のバージョン。
• ご使用の音声ゲートウェイが Cisco Unified CME ルータとは別のルータになっている場合は、Cisco IOS Release 12.4(11)T 以降の IP 音声イメージが必要。
• SCCP Telephony Control(STC)アプリケーションがイネーブルになっていること。
(注) • Cisco Unified CME 4.0(3) よりも前の Cisco Unified CME バージョンには、ファクスを設定するための手動制御オプションが 2 つあります。
– ファクス ゲートウェイ プロトコル
特定のファクス リレー プロトコルと組み合わせて H.323 または Session Initiation Protocol(SIP)を使用するように、Cisco VG224、FXS ポート、またはアナログ電話アダプタ(ATA)を設定します。『 Cisco IOS Fax, Modem, and Text Support over IP Application Guide 』を参照してください。
– SCCP による G.711 ファクス パススルー
これは Cisco Unified CME 4.0(3) よりも前の Cisco VG224 および FXS ポートでのファクスのデフォルト設定です。『 Cisco IOS Fax, Modem, and Text Support over IP Application Guide 』を参照してください。
ファクス リレーの制約事項
• SCCP FXS ポートに対する Cisco Unified CME での RFC2833 Dual Tone MultiFrequency(DTMF)ディジット リレーはサポートされていません。
• Cisco Unified CME 制御下の SCCP FXS ポートでは、RFC2833 DTMF リレーがネイティブ サポートされません。ただし、Cisco Unified CME は、SCCP 制御の FXS ポートと組み合わせて使用された場合、H323 および SIP インターフェイスで DTMF ディジットと RFC2833 DTMF リレーとの間の変換をサポートできます。
• Cisco ファクス リレーは、 表 104 、 「ファクス リレーでサポートされるゲートウェイ、モジュール、および VIC」 にリストされている Cisco IOS ゲートウェイおよびネットワーク モジュールでのみサポートされます。
ファクス リレーについて
ファクス リレー機能を設定するには、次の概念を理解しておく必要があります。
• 「ファクス リレーと装置」
• 「Cisco ファクス リレーの機能設計」
ファクス リレーと装置
• ファクス リレー機能は、Cisco IOS ゲートウェイに接続された従来のアナログ電話機を Cisco Unified CME で制御できるようにし、かつアナログ エンドポイントおよび IP エンドポイント間で機能が相互運用できるようにすることによって、音声ネットワークにおける既存の顧客宅内装置(CPE)の使用をサポートします。
• 音声ゲートウェイは Cisco Unified CME に使用されている同じルータにすることができます。または、別のルータ(たとえば、Cisco VG224)であってもかまいません。
• ファクス リレー機能によって、PSTN 時分割多重(TDM)インフラストラクチャを VoIP で簡単に置き換えられます。
Cisco ファクス リレーの機能設計
Cisco ファクス リレーは、Real-time Transport Protocol(RTP)を使用してファクス データの転送を行う独自のファクス リレー実装です。これは Cisco 音声ゲートウェイでのデフォルトのファクス リレー タイプで、Cisco Unified CME 4.0(3) 以降のバージョンにサポートされる唯一のファクス オプションです。ファクス リレー機能は、Cisco Integrated Services Router(ISR)または Cisco VG224 アナログ ゲートウェイに接続されたアナログポートでの補助機能を拡張します。アナログ FXS ポート経由のコールは、Cisco Unified CME システムによって制御されます。
SCCP 拡張機能が導入される以前は、SCCP ゲートウェイはファクス パススルーのみをサポートしていました。SCCP 拡張機能によって、Cisco ファクス リレーと Super Group 3(SG3)から G3 へのファクス リレーのサポートが追加されます。この機能を使用すると、2 台の SG3 ファクス機間でのファクス ストリームを G3 速度(14.4 kbps 未満)に下げるネゴシエートが可能になり、SG3 ファクス機が G3 ファクス機とファクス リレーで相互運用できるようになります。
Cisco 音声ゲートウェイ上の SCCP Telephony Control(STC)アプリケーションは、ローカルに接続されたアナログ電話機を個々のエンドポイントとして、コール制御システムに対して提示し、このコール制御システムは、アナログ電話機を IP Phone と同じように制御できるようにします。この機能により、ゲートウェイに接続されたエンドポイントは、Cisco Unified CME に直接接続された IP Phone で使用できるものと同じテレフォニー機能を共有できます。SCCP 拡張機能は、IP テレフォニー ネットワーク内のアナログ エンドポイント間の相互運用性を提供します。
図 58 に、Cisco Unified CME トポロジでのファクス リレー機能の複数サイトへの展開を示します。
図 58 Cisco Unified CME ファクス リレー展開
ゲートウェイ制御のファクス リレー機能の設定の詳細については、「ファクス リレーの設定方法」を参照してください。
ファクス リレーでサポートされるゲートウェイ、モジュール、および音声インターフェイス カード
表 104 に、サポートされるゲートウェイ、モジュール、および音声インターフェイス カード(VIC)を示します。
表 104 ファクス リレーでサポートされるゲートウェイ、モジュール、および VIC
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• Cisco 2801 • Cisco 2811 • Cisco 2821 • Cisco 2851 • Cisco 3825 • Cisco 3845 |
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• NM-HD-1V • NM-HD-2V • NM-HD-2VE |
• VIC2-2FXS • VIC-4FXS/DID • VIC2-2BRI-NT/TE |
• Cisco 2801 • Cisco 2821 • Cisco 2851 • Cisco 3825 • Cisco 3845 |
• EVM-HD |
• EVM-HD-8FXS/DID • EM-3FXS/4FXO • EM-HDA-8FXS • EM-4BRI-NT/TE |
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• Cisco 2801 • Cisco 2811 • Cisco 2821 • Cisco 2851 • Cisco 3825 • Cisco 3845 |
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• NM-HDV2 • NM-HDV2-1T1/E1 • NM-HDV2-2T1/E1 |
• VIC2-2FXS • VIC-4FXS/DID • VIC2-2BRI-NT/TE |
• Cisco VG 224 |
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ファクス リレーの設定方法
ここでは、次の作業について説明します。
• 「SCCP:ファクス リレーの設定」(必須)
• 「ファクス リレー設定の確認とトラブルシューティング」(任意)
SCCP:ファクス リレーの設定
ファクス リレー機能を Cisco Unified CME 上で設定するには、次の手順を実行します。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. voice service voip
4. fax protocol cisco
5. fax-relay sg3-to-g3
6. exit
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
voice service voip
Router(config)# voice service voip |
音声サービス コンフィギュレーション モードを開始し、VoIP カプセル化を指定します。 |
ステップ 4 |
fax protocol cisco
Router(config-voi-serv)# fax protocol cisco |
SCCP アナログ エンドポイントのファクス プロトコルとして Cisco 独自のファクス プロトコルを指定します。 • このコマンドはデフォルトでイネーブルになっています。 • これは Cisco Unified CME 4.0(3) 以降のバージョンでサポートされる唯一のオプションです。 |
ステップ 5 |
fax-relay sg3-to-g3
Router(config-voi-serv)# fax relay sg3-to-g3 |
(任意)2 台の SG3 ファクス機間でのファクス ストリームを G3 速度に下げるネゴシエートをイネーブルにします。 |
ステップ 6 |
exit
Router(config-voi-serv)# exit |
現在のコンフィギュレーション モードを終了します。 |
ファクス リレーの設定例
ここでは、次の例について説明します。
• 「ファクス リレー:例」
ファクス リレー:例
voice service voip
fax-relay sg3-to-g3
ephone-dn 44
number 1234
name fax machine
ephone 33
mac-address 1111.2222.3333
button 1:44
type anl
その他の参考資料
ここでは、Cisco ファクス リレーに関する関連資料について説明します。
シスコのテクニカル サポート
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右の URL にアクセスして、シスコのテクニカル サポートを最大限に活用してください。 以下を含むさまざまな作業にこの Web サイトが役立ちます。 ・テクニカル サポートを受ける ・ソフトウェアをダウンロードする ・セキュリティの脆弱性を報告する、またはシスコ製品のセキュリティ問題に対する支援を受ける ・ツールおよびリソースへアクセスする - Product Alert の受信登録 - Field Notice の受信登録 - Bug Toolkit を使用した既知の問題の検索 ・Networking Professionals(NetPro)コミュニティで、技術関連のディスカッションに参加する ・トレーニング リソースへアクセスする ・TAC Case Collection ツールを使用して、ハードウェアや設定、パフォーマンスに関する一般的な問題をインタラクティブに特定および解決する この Web サイト上のツールにアクセスする際は、Cisco.com のログイン ID およびパスワードが必要です。 |
http://www.cisco.com/en/US/support/index.html |
ファクス リレーの機能情報
表 105 に、このモジュールで説明した機能、およびバージョンごとの拡張機能を示します。
特定の Cisco Unified CME バージョンをサポートするための適切な Cisco IOS リリースを判断するには、 http://www.cisco.com/en/US/docs/voice_ip_comm/cucme/requirements/guide/33matrix.htm にある『 Cisco Unified CME and Cisco IOS Software Version Compatibility Matrix 』を参照してください。
プラットフォームのサポートおよびソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator では、特定のソフトウェア リリース、フィーチャ セット、またはプラットフォームをサポートしている Cisco IOS ソフトウェア イメージを確認できます。Cisco Feature Navigator にアクセスするには、 http://www.cisco.com/go/cfn に移動します。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
(注) 表 105 には、特定の機能に対するサポートを導入した Cisco Unified CME のバージョンが示されています。特に明記されていない限り、Cisco Unified CME ソフトウェアの後続のバージョンでもこの機能をサポートします。
表 105 Cisco ファクス リレーの機能情報
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ファクス リレー |
4.0(3) |
Cisco Unified CME で制御される Cisco IOS 音声ゲートウェイのアナログ FXS ポートでファクス リレーが可能です。 |