シングル ナンバー リーチについて
SNR を設定するには、次の概念について理解しておく必要があります。
• 「シングル ナンバー リーチ:概要」
• 「SNR の機能強化」
• 「Cisco Unified SIP IP Phone のシングル ナンバー リーチ」
• 「Cisco Unified SCCP IP Phone の仮想 SNR DN」
シングル ナンバー リーチ:概要
シングル ナンバー リーチ(SNR)機能では、ユーザがデスクトップ IP Phone または携帯電話などのリモート接続先で自分の内線への着信コールに応答できます。ユーザは接続を維持したまま、デスクトップ電話機またはリモート電話機のアクティブ コールに応答できます。これによって、発信者が 1 つの番号をダイヤルして電話機ユーザに到達できます。応答されなかったコールはボイスメールに転送できます。
リモート接続先としては、次のようなデバイスがあります。
• 携帯(セルラー)電話。
• スマート フォン。
• デスクトップ電話機と同じ Cisco Unified CME ルータには属していない IP Phone。
• PSTN 内の自宅の電話番号。サポートされている PSTN インターフェイスには、PRI、BRI、SIP、FXO などがあります。
SNR 内線番号への着信コールの場合、Cisco Unified CME は最初にデスクトップ IP Phone を呼び出します。設定された時間内に IP Phone が応答しない場合、IP Phone の呼び出しを続行しながら、設定されたリモート番号を呼び出します。応答されなかったコールは、設定されたボイスメール番号に送信されます。
IP Phone ユーザには、SNR 内線番号へのコールを処理するために、次のオプションが用意されています。
• リモート電話機からのコールの回収:電話機ユーザは、[復帰(Resume)] ソフトキーを押すことによって、手動で SNR の内線にコールを回収できます。これによって、リモート電話からのコールが切断されます。
• リモート電話機へのコールの送信:電話機ユーザは [モビリティ(Mobility)] ソフトキーを使用して、リモート電話機にコールを送信できます。コールに接続している電話機ユーザが [モビリティ(Mobility)] ソフトキーを押して [携帯電話にコールを送信(Send call to mobile)] を選択すると、そのコールがリモート電話機に転送されます。
• シングル ナンバー リーチのイネーブル化またはディセーブル化:IP Phone がアイドル状態の間、
[モビリティ(Mobility)] ソフトキーを使用してユーザは SNR 機能のオンとオフを切り替えることができます。ユーザが SNR をディセーブルにしている場合、Cisco Unified CME はリモート番号を呼び出しません。
IP Phone ユーザは、電話機からサービス機能のボタンで使用できるメニューを使用して、自分の SNR 設定を直接変更できます。電話機ユーザがユーザ インターフェイスにアクセスできるように、電話機でこの機能をイネーブルにしておく必要があります。
この機能は、ソフトキーがサポートされる SCCP IP Phone の Cisco Unified CME 7.1 以降のバージョンでサポートされます。
SNR の機能強化
Cisco Unified CME 8.5 では、シングル ナンバー リーチ(SNR)機能で次の機能拡張がサポートされます。
ハードウェア会議
Cisco Unified CME 8.5 では、ハードウェア会議に参加した後、携帯電話にコールを送信できます。ハードウェア会議に参加すると、すべての電話会議がハードウェア DN にブラインド転送されます。ephone のコール文字が着信コールから発信コールに変化し、携帯電話にコールを送信できます。
コール パーク、コール ピックアップ、およびコール取得
以前のバージョンの Cisco Unified CME では、コール パーク、コール ピックアップ、およびコール取得の機能が SNR に対してサポートされませんでした。Cisco Unified CME 8.5 以降のバージョンでは、SNR コールのパーク、ピックアップ、または取得が可能です。
Cisco Unified CME 8.5 では、発信者番号の代わりに携帯電話のローカル番号を表示できるように、SNR 機能が拡張されました。ephone-dn コンフィギュレーション モードで snr calling number local コマンドを設定して、SNR 電話の発信者 ID を表示することができます。SNR 発信者番号ローカルの設定の詳細については、「SCCP:シングル ナンバー リーチの機能拡張の設定」を参照してください。
呼び出し開始タイマー
非 FXO ポートでは、snr answer too soon timer を設定して、携帯電話のボイス メールボックスへのコールのローリングを回避できます。携帯電話が非常に短いタイマーの範囲(1 ~ 5 秒)内での応答でボイスメールにローリングされる場合、携帯電話のコール レッグがただちに接続解除されます。ephone-dn モードで snr answer too soon コマンドを設定できます。 詳細については、「SCCP:シングル ナンバー リーチの機能拡張の設定」を参照してください。answer-too soon timer は、携帯電話にコールを送信する場合には適用できません。
携帯電話で応答後の SNR 電話の呼び出し停止
SNR が非 FXO ポートで展開される場合、携帯電話で SNR コールに応答すると、コールに接続されます。ephone はそれ以降、呼び出しを停止し、保留中になります。ephone-dn コンフィギュレーション モードで snr ring-stop コマンドを設定して、ephone での呼び出しを停止し、保留中にすることができます。詳細については、「SCCP:シングル ナンバー リーチの機能拡張の設定」を参照してください。
Cisco Unified SIP IP Phone のシングル ナンバー リーチ
Cisco Unified CME 9.0 よりも前のバージョンでは、ephone の通常のディレクトリ番号(DN)と公衆電話交換網(PSTN)接続(PRI/BRI/FXO ポートまたは SIP インターフェイスのいずれか)の 2 つの番号でユーザに到達にできるように、シングル ナンバー リーチ(SNR)機能がイネーブルになっていました。ephone への着信コールの場合、Cisco Unified CME は最初に ephone DN を呼び出しました。設定された時間内に ephone DN が応答しなかった場合、Cisco Unified CME は ephone DN の呼び出しを継続しながら、事前設定された PSTN 番号を呼び出しました。
Cisco Unified CME 9.0 以降のバージョンでは、Cisco Unified SIP IP Phone に対して次の SNR 機能がサポートされます。
• Cisco Unified SIP IP Phone でのエクステンション モビリティ(EM)機能のイネーブル化またはディセーブル化:切り替えとして [モビリティ(Mobility)] ソフトキーまたは PLK を使用するか、または mobility and no mobility コマンドを使用して、Cisco Unified SIP IP Phone でエクステンション モビリティ(EM)機能をイネーブルまたはディセーブルにします。
• 携帯電話でのコールの手動回収:[復帰(Resume)] ソフトキーを使用して、コールを SNR DN に手動で戻します。
• モバイル PSTN 電話機へのコール送信:Cisco Unified SIP IP Phone が通話中の場合に、[モビリティ(Mobility)] ソフトキーを使用して、モバイル PSTN 電話機にコールを送信します。[携帯電話にコールを送信(Send call to mobile)] を選択します。コールが携帯電話にハンドオフされます。
• SNR 電話が発信側か着信側かに関係なく、携帯電話にコールを送信:SNR 電話が発信側か着信側かに関係なく、携帯電話にコールを送信するように、voice register dn または ephone-dn コンフィギュレーション モードで SNR 機能が設定されていることを確認します。[モビリティ(Mobility)] ソフトキーを使用して、[携帯電話にコールを送信(Send call to mobile)] を選択します。コールが携帯電話にハンドオフされます。
PSTN、ローカル、または VoIP Phone から SNR 電話として設定された Cisco Unified SIP IP Phone へのコールの場合、Cisco Unified CME は SIP SNR または携帯電話の DN を呼び出します。
SIP SNR 電話でコールに応答した場合は、コールを PSTN/BRI/PRI/SIP 電話機に送信できます。
携帯電話でコールに応答した場合は、SIP SNR 電話機に [復帰(Resume)] ソフトキーが表示され、SIP SNR 電話機にコールを回収できます。PSTN 電話機から SIP SNR 電話機へ、または SIP SNR 電話機から PSTN 電話機へ、コールを繰り返し回収できます。
cfwd-noan キーワードが設定され、携帯電話と SIP SNR 電話機の両方が応答しない場合、事前設定された遅延時間の終了に達すると、コールは事前設定された内線番号にリダイレクトされます。
次に、Cisco Unified SIP IP Phone で設定された SNR 電話が、携帯電話にコールを送信する場合に、Cisco Unified SCCP IP Phone で設定されたものとは異なる動作をする例を示します。
• Cisco Unified SCCP IP Phone の場合、コールが携帯電話に送信されると、SCCP SNR 電話機に [復帰(Resume)] ソフトキーが表示されます。
• Cisco Unified SIP IP Phone の場合、携帯電話がコールに応答すると、SIP SNR 電話機に [復帰(Resume)] ソフトキーが表示されます。
(注) [復帰(Resume)] ソフトキーを押すと、コールが SNR 電話機に戻ります。
Cisco Unified CME 9.0 では、Cisco Unified SIP 7906、7911、7941、7942、7945、7961、7962、7965、7970、7971、7975、8961、9951、および 9971 IP Phone で SNR 機能がサポートされます。
Cisco Unified SCCP IP Phone の仮想 SNR DN
仮想 SNR DN は、登録済みの電話機に関連付けられていない DN です。この DN にコールすると、事前設定された携帯電話に転送されるか、または携帯電話がコールに応答したか、遅延時間に達したときに自動保留状態になる可能性があります。自動保留状態の場合、DN が浮動または未登録となっている可能性があります。浮動 DN とは、どの電話機にも設定されていない DN で、未登録の DN とは、Cisco Unified CME システムに登録されていない電話機と関連付けられた DN です。
Cisco Unified CME 9.0 よりも前のバージョンでは、SNR DN がどの登録済み電話機とも関連付けられていない場合、SNR DN 機能が起動しませんでした。 call-forward busy コマンドを使用してコールを携帯電話に転送することはできましたが、電話機で SNR DN を設定する必要がありました。浮動 DN を割り当てたユーザは、電話機を浮動 DN に割り当てない限り、コールを転送できませんでした。
Cisco Unified CME 9.0 以降のバージョンでは、SNR DN 機能を起動するために、SNR DN を登録済み電話機に割り当てる必要がなくなりました。仮想 SNR DN にコールを発信でき、SNR DN がどの電話機にも関連付けられていない場合でも、SNR 機能を起動できます。事前設定された携帯電話が利用できない状態の場合、仮想 SNR DN へのコールを自動受付サービスに転送でき、ボイス メールボックスに割り当てられた電話機または内線番号を使用して、ボイスメールを取得できます。
仮想 SNR DN 機能は、登録済みの電話機に関連付けられていない SNR DN 用に設計されていますが、電話機の登録またはログインを完了した仮想 SNR DN、および関連付けられたすべての登録済み電話機が登録解除されると仮想になる、登録済み DN もサポートされます。
シングル ナンバー リーチの設定方法
ここでは、次の作業について説明します。
• 「SCCP:シングル ナンバー リーチの設定」
• 「SCCP:シングル ナンバー リーチの機能拡張の設定」
• 「SIP:シングル ナンバー リーチの設定」
• 「SCCP:仮想 SNR DN の設定」
SCCP:シングル ナンバー リーチの設定
SCCP IP Phone でシングル ナンバー リーチ(SNR)機能をイネーブルにするには、次の手順を実行します。
前提条件
• Cisco Unified CME 7.1 以降のバージョン
• Cisco IP Communicator ではバージョン 2.1.4 以降が必要
制約事項
• 各 IP Phone は 1 つの SNR ディレクトリ番号だけをサポートします。
• SNR 機能は次に対してはサポートされません。
– SCCP 制御のアナログ FXS 電話機
– MLPP コール
– 安全なコール
– ビデオ コール
– ハント グループのディレクトリ番号(音声または ephone)
– MWI ディレクトリ番号
– トランク ディレクトリ番号
• オーバーレイ セットでは、1 つの SNR ディレクトリ番号だけをサポートでき、そのディレクトリ番号をプライマリ ディレクトリ番号にする必要があります。
• call-forward noan コマンドで設定される応答なしのコール転送(CFNA)は、SNR がディレクトリ番号に対して設定される場合にはディセーブルになります。応答されなかったコールをボイスメールに転送するには、 snr コマンドで cfwd-noan キーワードを使用します。
• snr コマンドの cfwd-noan キーワードで設定される、応答がなかったコールの転送は、FXO トランクからの PSTN コールに対しては、コールがただちに接続されるためサポートされません。
• 内線電話から話し中の内線番号へのコールは、ディレクトリ番号で no forward local-calls を設定していても SNR 先に転送されます。
• コールは常にプライベートに保たれます。リモート電話機でコールが応答された場合、デスクトップ IP Phone はコールを再開しない限り、そのコールを受信できません。
• U.S.SNR コールに対してサポートされるロケールは英語のみです。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. ephone-dn dn-tag
4. number number
5. mobility
6. s nr e164-number delay seconds timeout seconds [ cfwd-noan extension-number ]
7. snr calling-number local
8. exit
9. ephone-template template-tag
10. softkeys connected {[ Acct ] [ ConfList ] [ Confrn ] [ Endcall ] [ Flash ] [ HLog ] [ Hold ] [ Join ] [ LiveRcd ] [ Mobility ] [ Park ] [ RmLstC ] [ Select ] [ TrnsfVM ] [ Trnsfer ]}
11. softkeys idle {[ Cfwdall ] [ ConfList ] [ Dnd ] [ Gpickup ] [ HLog ] [ Join ] [ Login ] [ Mobility ] [ Newcall ] [ Pickup ] [ Redial ] [ RmLstC ]}
12. exit
13. ephone phone-tag
14. ephone-template template-tag
15. 終了
手順の詳細
|
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ephone-dn dn-tag
Router(config)# ephone-dn 10 |
directory number コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
number number
Router(config-ephone-dn)# number 1001 |
内線番号をこのディレクトリ番号に関連付けます。 • number :内線または E.164 電話番号を示す最大 16 桁の文字列。 |
ステップ 5 |
mobility
Router(config-ephone-dn)# mobility |
ディレクトリ番号でモビリティ機能をイネーブルにします。 |
ステップ 6 |
snr e164-number delay seconds timeout seconds [ cfwd-noan extension-number ]
Router(config-ephone-dn)# snr 4085550133 delay 5 timeout 15 cfwd-noan 2001 |
内線番号で SNR を有効にします。 • e164-number :IP Phone 内線で応答がなかった場合に呼び出す E.164 電話番号。 • delay seconds :リモート電話機を呼び出す前に、コールが IP Phone を呼び出す秒数を設定します。範囲は 0 ~ 10 です。デフォルト:ディセーブル。 • timeout seconds :設定された遅延の経過後に呼び出し音が鳴る秒数を設定します。リモート電話機がコールに応答した場合でも、IP Phone でこの時間の長さだけ呼び出しが継続されます。範囲は 5 ~ 60 です。デフォルト:ディセーブル。 • cfwd-noan extension-number :(任意) delay と timeout の両方の秒数が経過しても電話機が応答しなかった場合、コールをこの番号に転送します。これは通常、ボイスメール番号です。 オプションは FXO トランクからのコールに対してはサポートされません。 |
ステップ 7 |
snr calling-number local
Router(config-ephone-dn)# snr calling-number local |
(任意)元の発信側の番号を、リモート電話機の発信者 ID の表示で、SNR 内線番号付きの元の発信側番号に置き換えます。 • このコマンドは Cisco Unified CME 8.0 以降のバージョンでサポートされます。 |
ステップ 8 |
exit
Router(config-ephone-dn)# exit |
ephone-dn コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 9 |
ephone-template template-tag
Router(config)# ephone-template 1 |
ephone テンプレート コンフィギュレーション モードを開始して、ephone テンプレートを作成します。 • template-tag :作成される ephone テンプレートの固有識別子。範囲は 1 ~ 20 です。 |
ステップ 10 |
softkeys connected {[ Acct ] [ ConfList ] [ Confrn ] [ Endcall ] [ Flash ] [ HLog ] [ Hold ] [ Join ] [ LiveRcd ] [ Mobility ] [ Park ] [ RmLstC ] [ Select ] [ TrnsfVM ] [ Trnsfer ]}
Router(config-ephone-template)# softkeys connected endcall hold livercd mobility |
コールが接続されている状態で IP Phone に表示されるソフトキーの順序とタイプを修正します。 • コールが接続されている状態で [モビリティ(Mobility)] ソフトキーを押すと、ステップ 6 で定義された PSTN 番号にコールが転送されます。 |
ステップ 11 |
softkeys idle {[ Cfwdall ] [ ConfList ] [ Dnd ] [ Gpickup ] [ HLog ] [ Join ] [ Login ] [ Mobility ] [ Newcall ] [ Pickup ] [ Redial ] [ RmLstC ]}
Router(config-ephone-template)# softkeys idle dnd gpickup pickup mobility |
コールがアイドル状態のときに IP Phone に表示されるソフトキーの順序とタイプを修正します。 • コールがアイドル状態で [モビリティ(Mobility)] ソフトキーを押すと、SNR 機能がイネーブルになります。このキーはトグル動作となり、2 回めに押すと、SNR 機能がディセーブルになります。 |
ステップ 12 |
exit
Router(config-ephone-template)# exit |
ephone テンプレート コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 13 |
ephone phone-tag
Router(config)# ephone 21 |
ephone コンフィギュレーション モードを開始します。 • phone-tag :設定タスク中にこの ephone を識別する一意の番号。 |
ステップ 14 |
ephone-template template-tag
Router(config-ephone)# ephone-template 1 |
ephone テンプレートを電話機に適用します。 • template-tag :ステップ 12 で作成した ephone テンプレートの固有識別子。 |
ステップ 15 |
end
Router(config-ephone-template)# end |
コンフィギュレーション モードを終了します。 |
例
次に、IP Phone 21 で内線番号 1001 が SNR に対してイネーブルになる例を示します。コールがこの番号を 5 秒間を呼び出した後、リモート番号 4085550133 も呼び出します。このコールは両方の電話機を 15 秒間、呼び出し続けます。合計 20 秒間コールに応答がなかった場合、コールの呼び出しが終了し、ボイスメール番号 2001 に転送されます。
ephone-template 1
softkeys idle Dnd Gpickup Pickup Mobility
softkeys connected Endcall Hold LiveRcd Mobility
!
ephone-dn 10
number 1001
mobility
snr 4085550133 delay 5 timeout 15 cfwd-noan 2001
snr calling-number local
!
!
ephone 21
mac-address 02EA.EAEA.0001
ephone-template 1
button 1:10
SCCP:シングル ナンバー リーチの機能拡張の設定
Cisco IP Phone でシングル ナンバー リーチ(SNR)の機能拡張をイネーブルにするには、次の手順を実行します。
前提条件
Cisco Unified CME 8.5 以降のバージョン。
制約事項
• ソフトウェア会議:ソフトウェア会議が開始され、ephone でコミットされると、携帯電話へのコールの送信はできなくなります。ソフトウェア会議がコミットされた後は、モビリティのみをイネーブルまたはディセーブルにできます。
• FXO ポートでの SNR コール ピックアップ:FXO ポートを介して PSTN にルーティングされるコールの場合、このコールは FXO ポートでアウトバウンドと捕捉されるとすぐに「接続済み」とシグナリングされます。FXO が接続状態になるとすぐに、携帯電話が FXO インターフェイスに表示され、コール(セッション)が通話中状態になります。ephone は呼び出し中状態になりますが、ephone コールには応答できません。
• SNR コールが外線側から発信される場合、保留音(MOH)はサポートされません。SNR コールがトランク側から発信される場合、このコールで MOH がサポートされます。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. ephone-dn dn-tag
4. number number [ secondary number ] [ no-reg [ both | primary ]]
5. mobility
6. snr calling number local
7. snr answer too soon timer time
8. snr ring-stop
9. 終了
手順の詳細
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|
ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ephone-dn dn-tag
Router(config)# ephone-dn 10 |
directory number コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
number number [ secondary number ] [ no-reg [ both | primary ]]
Router(config-ephone-dn)# number 1001 |
内線番号をこのディレクトリ番号に関連付けます。 • number :内線または E.164 電話番号を示す最大 16 桁の文字列。 |
ステップ 5 |
mobility
Router(config-ephone-dn)# mobility |
ディレクトリ番号でモビリティ機能をイネーブルにします。 |
ステップ 6 |
snr calling number local
Router(config-ephone-dn)#snr calling-number local |
SNR 携帯電話で発信者番号としてローカル番号を表示します。 |
ステップ 7 |
snr answer too soon time
Router(config-ephone-dn)#snr answer-too-soon 4 |
SNR 携帯電話でコールに応答するためのタイマーをイネーブルにします。 • time:時間(秒単位)。範囲は 1 ~ 5 です。 |
ステップ 8 |
snr ring-stop
Router(config-ephone-dn)#snr ring-stop |
SNR コールが携帯電話で応答された後、IP Phone の呼び出しを停止できます。 |
ステップ 9 |
exit
Router(config-ephone-dn)# exit |
ephone-dn コンフィギュレーション モードを終了します。 |
例
次の例では、ephone-dn 10 で設定される SNR 機能拡張を示します。
Router#show running config
!
!
telephony-service
sdspfarm units 1
sdspfarm tag 1 confprof1
conference hardware
max-ephones 262
max-dn 720
ip source-address 172.19.153.114 port 2000
service phone thumbButton PTTH6
load 7906 SCCP11.8-5-3S.loads
load 7911 SCCP11.8-5-3S.loads
!
ephone-template 6
feature-button 1 Hold
!
!
ephone-dn 10
mobility
snr calling-number local
snr ring-stop
snr answer-too-soon 4
!
SIP:シングル ナンバー リーチの設定
Cisco Unified SIP IP Phone で SNR 機能を設定するには、次の手順を実行します。
前提条件
Cisco Unified CME 9.0 以降のバージョン。
制約事項
• Cisco Unified SIP IP Phone のハードウェア会議とプライバシー保留はサポートされません。
• Cisco Unified SIP と SCCP IP Phone の混在する共有回線はサポートされません。
• SIP 共有回線の登録モードと通知モードはサポートされません。
• H323 IP トランクからの着信コールはサポートされません。
• SIP-SIP トランク コールに対するメディア フロー アラウンドはサポートされません。
• ソフトウェア会議がコミットされた後は Cisco Unified SIP IP Phone が保留になるため、ソフトウェア会議を開始した SIP SNR 電話機は携帯電話とのコールの送受信ができません。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. voice register template template-tag
4. softkeys idle {[ Cfwdall ] [ DND ] [ Gpickup ] [ Newcall ] [ Pickup ] [ Redial ]}
5. softkeys connected {[ Confrn ] [ Endcall ] [ Hold ] [ Park ] [ Trnsfer ] [ iDivert ]}
6. exit
7. voice register pool pool-tag
8. session-transport { tcp }
9. exit
10. voice register dn dn-tag
11. number number
12. name name
13. mobility
14. snr calling-number local
15. snr e164-number delay seconds timeout seconds [ cfwd-noan extension-number ]
16. snr ring-stop
17. snr answer-too-soon time
18. 終了
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
voice register template template-tag
Router(config)# voice register template 1 |
音声レジスタ テンプレート コンフィギュレーション モードを開始します。 • template-tag :作成するテンプレートの識別子。範囲:1 ~ 10。 |
ステップ 4 |
softkeys idle {[ Cfwdall ] [ DND ] [ Gpickup ] [ Newcall ] [ Pickup ] [ Redial ]}
Router(config-register-temp)# softkeys idle Redial Cfwdall |
コールがアイドル状態のときに、Cisco Unified SIP IP Phone でのソフトキーの表示を変更します。 • Cfwdall :(任意)「すべてのコールの転送」用のソフトキー。すべてのコールを転送します。 • DND :(任意)サイレント機能をイネーブルにするソフトキー。 • Gpickup :(任意)ユーザが別の電話機を呼び出しているコールをピックアップできるようにするソフトキー。 • Newcall :(任意)スピーカーフォンで回線を開き、新しいコールを発信するソフトキー。 • Pickup :(任意)ユーザが同じピックアップ グループのメンバである別の電話機を呼び出しているコールをピックアップできるようにするソフトキー。 • Redial :(任意)最後にダイヤルした番号をリダイヤルするソフトキー。 |
ステップ 5 |
softkeys connected {[ Confrn ] [ Endcall ] [ Hold ] [ Park ] [ Trnsfer ] [ iDivert ]}
Router(config-register-temp)# softkeys connected Confrn Hold Endcall |
コールが接続状態のときに、Cisco Unified SIP IP Phone でのソフトキーの表示を変更します。 • Confrn :(任意)発信者を電話会議に接続するソフトキー。 • Endcall :(任意)現在のコールを終了するソフトキー。 • Hold :(任意)アクティブなコールを保留中にして、コールを再開するソフトキー。 • Park :(任意)アクティブ コールを保留状態にして、システム内の別の電話機で着信できるようにするソフトキー。 • Trnsfer :(任意)アクティブ コールを別の内線番号に転送するソフトキー。 • iDivert :(任意)音声メッセージング システムへコールを即転送するソフトキー。 |
ステップ 6 |
exit
Router(config-register-temp)# exit |
音声レジスタ テンプレート コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 7 |
voice register pool pool-tag
Router(config)# voice register pool 10 |
音声レジスタ プール コンフィギュレーション モードを開始します。 • pool-tag :プールに割り当てる一意の番号。範囲:1 ~ 100。 コマンドによって定義されます。 |
ステップ 8 |
session-transport { tcp }
Router(config-register-pool)# session-transport tcp |
Cisco Unified SIP IP Phone が Cisco Unified CME への接続に使用するトランスポート層プロトコルを指定します。 • tcp :伝送制御プロトコル(TCP)が使用されます。 |
ステップ 9 |
exit
Router(config-register-pool)# exit |
音声レジスタ プール コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 10 |
voice register dn dn-tag
Router(config)# voice register dn 3 |
voice register dn コンフィギュレーション モードを開始します。 • dn-tag :設定作業時に特定のディレクトリ番号を識別する一意のシーケンス番号。範囲は 1 ~ 150 または max-dn コマンドで定義された最大値です。 |
ステップ 11 |
number number
Router(config-register-dn)# number 1004 |
電話機または内線番号を Cisco Unified CME システム内の Cisco Unified SIP IP Phone に関連付けます。 • number :E.164 電話番号を示す最大 16 文字の文字列。通常、この文字列は数字で構成されますが、この番号がルータだけでインターコム番号と同様にダイヤルされる場合、文字列にアルファベット文字が含まれる場合があります。 |
ステップ 12 |
name name
Router(config-register-dn)# name John Smith |
名前を Cisco Unified CME のディレクトリ番号に関連付けます。 • name :指定された内線番号に関連付けられた個人の名前。名前は、 directory (telephony-service)コマンドで指定された順序で、 first-name-first または last-name-first に従う必要があります。 |
ステップ 13 |
mobility
Router(config-register-dn)# mobility |
Cisco Unified SIP IP Phone の内線に対してモビリティ機能をイネーブルにします。 |
ステップ 14 |
snr calling-number local
Router(config-register-dn)# snr calling-number local |
設定された携帯電話に表示される発信者番号をローカル SNR 番号に置換します。 |
ステップ 15 |
snr e164-number delay seconds timeout seconds [ cfwd-noan extension-number ]
Router(config-register-dn)# snr 9900 delay 1 timeout 10 |
Cisco Unified SIP IP Phone の内線に対して SNR 機能をイネーブルにします。 • e164-number :Cisco Unified SIP IP Phone 内線が応答しなかった場合にコールする E.164 電話番号。 • delay seconds :コールされたときに Cisco Unified SIP IP Phone の呼出音が鳴る秒数を設定します。遅延時間に達すると、コールが PSTN 電話および SNR ディレクトリ番号に転送されます。範囲:0 ~ 30。デフォルトは 5 です。 • timeout seconds :設定された遅延時間の経過後に Cisco Unified SIP IP Phone の呼出音が鳴る秒数を設定します。タイムアウト値に達すると、電話機にコールが表示されなくなります。コールを回収するには [復帰(Resume)] ソフトキーを使用し、コールを携帯電話に送信するには [モビリティ(Mobility)] ソフトキーを使用する必要があります。範囲:30 ~ 60。デフォルト:60。 (注) デフォルトがイネーブルの場合、Cisco Unified SIP IP Phone はリモート電話がコールに応答した場合でも、60 秒間呼び出しを継続します。 • cfwd-noan extension-number :(任意)delay と timeout の両方の値に達しても電話機が応答しない場合、コールをこの内線番号に転送します。内線番号は通常、ボイスメール番号です。 (注) コールがただちに接続されるため、このオプションは FXO トランクからのコールに対してはサポートされません。 |
ステップ 16 |
snr ring-stop
Router(config-register-dn)# snr ring-stop |
設定された携帯電話で SNR コールが応答された後、Cisco Unified SIP IP Phone の呼び出しが終了します。 |
ステップ 17 |
snr answer-too-soon time
Router(config-register-dn)# snr answer-too-soon 2 |
SNR コールが携帯電話のボイス メールボックスに転送されることを防止する時間を設定します。 • time :時間(秒単位)。範囲:1 ~ 5。 |
ステップ 18 |
end
Router(config-register-dn)# end |
voice register dn コンフィギュレーション モードを終了し、特権 EXEC モードを開始します。 |
SCCP:仮想 SNR DN の設定
Cisco Unified SCCP IP Phone で仮想 SNR DN 機能を設定するには、次の手順を実行します。
前提条件
Cisco Unified CME 9.0 以降のバージョン。
制約事項
• 仮想 SNR DN は Cisco Unified SCCP IP Phone の DN だけをサポートします。
• 仮想 SNR DN はコール中のサポートを提供しません。
コール中とは次のいずれかです。
– DN が登録済みの電話機に関連付けられる前に到達し、DN が電話機に関連付けられた後にも存在しているコール。
– 状態が登録済みから仮想に変化し、登録済みに戻った登録済み DN に到達したコール。
• 通話中のコールは、DN に関連付けられた電話機から回収、応答、または終了することができません。
• 仮想 DN の状態は、呼び出しから保留に移行するか、登録済み DN として保留中のままになります。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. ephone-dn dn-tag
4. number number
5. mobility
6. snr mode [ virtual ]
7. snr e164-number delay seconds timeout seconds [ cfwd-noan extension-number ]
8. 終了
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ephone-dn dn-tag
Router(config)# ephone-dn 10 |
ephone-dn コンフィギュレーション モードを開始し、IP Phone 回線のディレクトリ番号を設定します。 • dn-tag :設定タスク中にこの ephone-dn を識別する一意の番号。範囲は 1 から、 max-dn コマンドで定義された数値までです。 |
ステップ 4 |
number number
Router(config-ephone-dn)# number 1001 |
電話番号または内線番号をこの ephone-dn に関連付けます。 • number :E.164 電話番号を示す最大 16 文字の文字列。通常、この文字列は数字で構成されますが、この番号がルータだけでインターコム番号と同様にダイヤルされる場合、文字列にアルファベット文字が含まれる場合があります。 |
ステップ 5 |
mobility
Router(config-ephone-dn)# mobility |
Cisco Unified SCCP IP Phone の内線に対してモビリティ機能をイネーブルにします。 |
ステップ 6 |
snr mode [ virtual ]
Router(config-ephone-dn)# snr mode virtual |
SNR ディレクトリ番号のモードを設定します。 • virtual :未登録または浮動の場合の SNR DN に対して仮想モードをイネーブルにします。 |
ステップ 7 |
snr e164-number delay seconds timeout seconds [ cfwd-noan extension-number ]
Router(config-ephone-dn)# snr 408550133 delay 5 timeout 15 cfwd-noan 2001 |
Cisco Unified SCCP IP Phone の内線に対してシングル ナンバー リーチ機能をイネーブルにします。 • e164-number :IP Phone 内線で応答がなかった場合に呼び出す E.164 電話番号。 • delay seconds :リモート電話機を呼び出す前に、コールが IP Phone を呼び出す秒数を設定します。範囲:0 ~ 10。デフォルト:ディセーブル。 • timeout seconds :設定された遅延の経過後に呼び出し音が鳴る秒数を設定します。リモート電話機がコールに応答した場合でも、IP Phone でこの時間の長さだけ呼び出しが継続されます。範囲:5 ~ 60。デフォルト:ディセーブル。 • cfwd-noan extension-number :(任意)delay と timeout の両方の秒数が経過しても電話機が応答しなかった場合、コールをこの番号に転送します。これは通常、ボイスメール番号です。 |
ステップ 8 |
end
Router(config-ephone-dn)# end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |