プロジェクトの成功率は 3割を切り、会社のビジョンや戦略を実行している人は 5% に過ぎない。こうしたショッキングな現実を知ると、会社がよく存続していると感心するほどだ。なぜこのような結果になるのか、その原因はどこにあるのか? スキル不足かマネジメントの失敗か? 結論から先に言えばリーダーシップの欠如にあることがわかってきた。いかにパーソナル・リーダーシップを身につけるかが、個人の高い評価を勝ち取ることにつながり、プロジェクトを成功に導くキーポイントだ。
次々に飛び込んでくるタスクやクレーム。いつの間にかたまる書類や未読メール。スピードが重視される現在、以前とは比較にならないほどの仕事をこなさなければ、他社との競争に勝つことも個人の評価を上げることも難しい。仕事の山を前にして、どれが本当に大切な仕事なのか、どこから手をつけたらいいのか、判断を下せないままに時間だけが経っていく…。その結果、ビジネスやプロジェクトは失敗する。こんな経験はないだろうか? ビジネスを成功させるには、経営トップが語るビジョンや戦略、最重要目標を社員一人ひとりが理解し、毎日のタスクに反映して実行することが前提となる。しかし実態はほど遠い。
日本でもベストセラーとなった『7つの習慣 ®』の発行元でもあるフランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社の副社長である竹村富士徳氏は、「10業種に携わる米国 12,000名のビジネスマンを対象に調査を行いました。その結果、会社の最重要目標を知っている者は 52%、よく理解している者は 28% に過ぎず、経営トップが語るビジョンや戦略を聞いたことがある者は 40%、理解している者は 15%、実行した者に至っては 5% しかいないことが明らかになったのです」と語る。これではビジネスが成功する方が不思議だ。もし成功したとすれば幸運だったということになるのかも知れない。
また、プロジェクトの成功率もそれほど事情は変わらない。システム開発はもちろん、新製品や新サービスの開発、新規事業の立ち上げ、売り上げ目標達成のキャンペーンなど、期限に限りのあるタスクは全てプロジェクトだ。そうしたプロジェクトの成功率はどのくらいなのか? ある情報化実態調査によれば、システム開発プロジェクトの成功率はわずか約 27% という衝撃的な事実を伝えている。これは、大手から中堅・中小に至る約 12,000 社を対象に実施した調査で、システム開発で守るべき 3条件の QCD (品質・コスト・納期) をクリアできなかったプロジェクトが全体のほぼ 4分の3 に達したという。
なぜこのような結果になるのだろうか? 失敗の中身を検討してみると、決してスキルが不足しているわけでも、必ずしもマネジメントが悪いわけでもない。決定的なポイントはリーダーシップの欠如にあった。