― デジタルワールドは男のロマンというか、現代ならではの冒険の場所だとおっしゃっていますが、IT ワールド全体に対する勝谷さんの今の実感はどんなものですか?
IT ワールドはよくいえばなんでもアリの世界。未だに未開の地というか……しっかりした土台ができていないのをいいことに、違法には至らない「脱法」を見逃してきてしまった。そういったことの積み重ねが、今の混乱した状況を作っているような気がします。企業として、「もっと真っ当な商売をやりなさいよ」というのがボクの率直な気持ちですね。まあ、日本社会全般にもいえることですが、企業の甘えを通してしまう消費者も悪い。不満があるのに個人レベルではついつい我慢してしまう。集団としてまとまらないから企業側にナメられるんです。当事者として、ダメなものを買ってはいけない。客には客の責任というものがあるんです。
― 日本のITワールドは未開の地であるとおっしゃいましたが、今後はどのような方向に成長していくと思われますか?
うーん、未開の地というより無法地帯といったほうが適切かもしれませんね。日本の IT ネットワークは匿名性が非常に顕著な世界です。本来であれば、顔が見えない場所であるからこそ最低限の教養を踏まえて入ってこなければいけないのに、そういうシツケが全くなされていない奴らが大きな顔してのさばっている。平気で悪意を垂れ流し、やりたい放題。そして、行政も業界もそれを取り締まる術がないんです。
たとえば、お隣の韓国はネット大国として知られていますが、ID 認証がとてもしっかりしていて、「顔の見えるネットワーク」を実現しているんです。フォーラム制というのかな、認証されたグループ単位の中で回っているから、偽装ができないし事故も起こらない。だから主婦が安心して、たった 1枚の干物でもネット決済で買い物ができるんです。この差は非常に大きいですし、日本も今後、個人認証の問題をどうクリアしていくかがネットワーキングの真の発展を左右するカギになるでしょうね。