レイヤ 2 ローカル スイッチング
レイヤ 2 ローカル スイッチング機能では、レイヤ 2 データを次の 2 とおりの方法でスイッチングできます。
• 同一ルータ上の 2 つのインターフェイス間
• 同一インターフェイス ポート上の 2 つの回線間(同一ポート スイッチング)
この機能では、次のインターフェイス間のスイッチングの組み合わせがサポートされます。
• イーサネット/イーサネット VLAN とイーサネット/イーサネット VLAN 間
次の同一ポート スイッチングがサポートされます。
• イーサネット VLAN
機能情報の確認
最新の機能情報と注意事項については、ご使用のプラットフォームとソフトウェア リリースに対応したリリース ノートを参照してください。このモジュールで説明される機能に関する情報、および各機能がサポートされるリリースの一覧については、「レイヤ 2 ローカル スイッチングの機能情報」を参照してください。
プラットフォームのサポートおよび Cisco IOS XE ソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスします。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
レイヤ 2 ローカル スイッチングの前提条件
Cisco ASR 1000 シリーズ Aggregation Services Router のシスコ エクスプレス フォワーディングをイネーブルにする必要があります。
レイヤ 2 ローカル スイッチングの制約事項
イーサネット/イーサネット VLAN 回線では、Cisco ASR 1000 シリーズ Aggregation Services Router にイーサネット アダプタが必要です。
レイヤ 2 ローカル スイッチングに関する情報
レイヤ 2 ローカル スイッチング機能を設定するには、次の概念について理解しておく必要があります。
• 「レイヤ 2 ローカル スイッチングの概要」
• 「NSF/SSO:ローカル スイッチングの概要」
• 「レイヤ 2 ローカル スイッチング アプリケーション」
レイヤ 2 ローカル スイッチングの概要
ローカル スイッチングを使用すると、同一ルータ上の 2 つのインターフェイス(イーサネットとイーサネット、イーサネット VLAN とイーサネット VLAN、イーサネットとイーサネット VLAN など)間でレイヤ 2 データをスイッチングできます。インターフェイスは、同一ライン カード上にあっても 2 つの異なるカード上にあってもかまいません。このタイプのスイッチングでは、レイヤ 3 アドレスではなくレイヤ 2 アドレスが使用されます。
さらに、同一ポート ローカル スイッチングを使用すると、 同一 インターフェイス上の 2 つの回線間でレイヤ 2 データをスイッチングできます。
NSF/SSO:ローカル スイッチングの概要
NonStop Forwarding(NSF; ノンストップ フォワーディング)および Stateful SwitchOver(SSO; ステートフル スイッチオーバー)では、冗長ルート プロセッサとデータのチェックポイントを使用して、プライマリ ルート プロセッサが停止した場合のパケット損失を最小限に抑えることで、ネットワークの可用性が向上します。NSF/SSO のサポートは、ローカルにスイッチングされる以下の接続回線で利用できます。
• イーサネット/イーサネット VLAN とイーサネット/イーサネット VLAN 間
レイヤ 2 ローカル スイッチング アプリケーション
IntereXchange Carrier(IXC; 長距離通信事業者)を利用して 2 つの地域通信事業者間のトラフィックを伝送している Incumbent Local Exchange Carrier(ILEC; 既存地域通信事業者)は、レイヤ 2 ローカル スイッチング機能を使用できます。電気通信規制により、ILEC はトラフィックの伝送費用を IXC に支払うことが求められます。場合によっては、ILEC は異なる Local Access and Transport Areas(LATA; ローカル アクセスおよびトランスポート エリア)でのカスタマー接続を終端できないことがあります。あるいは、カスタマー接続が、同一ルータ上にある同じ LATA で終端する場合もあります。
たとえば、A 社は国内に 50 を超える LATA を所有し、各 LATA で 3 台のルータを使用しているとします。A 社は、地域通信事業者間でトラフィックを伝送するために、B 社と C 社を利用しています。この場合、同一ルータ上でレイヤ 2 フレームのローカル スイッチングが必要になることがあります。
同様に、ルータがたとえばチャネライズド インターフェイスを使用している場合、1 つの物理ポートにある 2 つの論理インターフェイス上で着信および発信トラフィックをスイッチングする必要が生じることもあります。同一ポート ローカル スイッチング機能は、このような実装に対応しています。
レイヤ 2 ローカル スイッチングの設定方法
ここでは、各タイプのレイヤ 2 ローカル スイッチングの設定方法を説明します。
• 「イーサネット VLAN 同一ポート スイッチングの設定」(任意)
• 「イーサネット VLAN ローカル スイッチングでのイーサネット ポート モードの設定」(任意)
• 「レイヤ 2 ローカル スイッチングの確認」(任意)
イーサネット VLAN 同一ポート スイッチングの設定
イーサネット VLAN 同一ポート スイッチングを設定するには、次の手順を実行します。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. interface fastethernet slot / port . subinterface-number
4. encapsulation dot1q vlan-id
5. exit
6. interface fastethernet slot / port . subinterface-number
7. encapsulation dot1q vlan-id
8. exit
9. connect connection-name type number type number
手順の詳細
|
|
|
ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
interface fastethernet slot / port.subinterface-number
Router(config)# interface fastethernet6/0.1 |
最初のファスト イーサネット ライン カード、サブスロット(使用可能な場合)、ポート、およびサブインターフェイスを指定し、サブインターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
encapsulation dot1q vlan-id
Router(config-subif)# encapsulation dot1q 10 |
802.1Q VLAN パケットを受信できるようサブインターフェイスをイネーブルにし、最初の VLAN を指定します。 |
ステップ 5 |
exit
Router(config-subif)# exit |
サブインターフェイス コンフィギュレーション モードを終了し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
interface fastethernet slot / port.subinterface-number
Router(config)# interface fastethernet6/0.2 |
2 番目のファスト イーサネット ライン カード、サブスロット(使用可能な場合)、ポート、およびサブインターフェイスを指定し、サブインターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 7 |
encapsulation dot1q vlan-id
Router(config-subif)# encapsulation dot1q 20 |
802.1Q VLAN パケットを受信できるようサブインターフェイスをイネーブルにし、2 番目の VLAN を指定します。 |
ステップ 8 |
exit
Router(config-subif)# exit |
サブインターフェイス コンフィギュレーション モードを終了し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 9 |
connect connection-name type number type number
Router(config)# connect conn fastethernet 6/0.1 fastethernet 6/0.2 |
同じファスト イーサネット ポート上の 2 つのサブインターフェイス(つまりここでは先に指定した VLAN)間にローカル接続を作成します。 |
イーサネット VLAN ローカル スイッチングでのイーサネット ポート モードの設定
ここでは、イーサネット(ポート モード)とイーサネット VLAN 間のローカル スイッチングの設定方法を説明します。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. interface fastethernet slot / subslot / port
4. interface fastethernet slot / port / subinterface-number
5. encapsulation dot1q vlan-id
6. exit
7. connect connection-name type number type number
手順の詳細
|
|
|
ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
interface fastethernet slot / subslot / port
Router(config)# interface fastethernet3/0/0 |
ファスト イーサネット ライン カード、サブスロット(使用可能な場合)、およびポートを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 • これは PE ルータの一方にあるインターフェイスで、Customer Edge(CE; カスタマー エッジ)ルータとの間でイーサネット パケットをやり取りします。 |
ステップ 4 |
interface fastethernet slot / port / subinterface-number
Router(config-if)# interface fastethernet6/0/0.1 |
ファスト イーサネット ライン カード、サブスロット(使用可能な場合)、ポート、およびサブインターフェイスを指定し、サブインターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 • これは PE ルータのもう一方にあるインターフェイスで、CE ルータとの間でイーサネット VLAN パケットをやり取りします。 |
ステップ 5 |
encapsulation dot1q vlan-id
Router(config-subif)# encapsulation dot1q 100 |
802.1Q VLAN パケットを受信できるようインターフェイスをイネーブルにします。 |
ステップ 6 |
exit
Router(config-subif)# exit |
サブインターフェイス コンフィギュレーション モードを終了し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 7 |
connect connection-name type number type number
Router(config)# connect eth-ethvlan-con fastethernet 3/0/0 fastethernet 6/0/0.1 |
2 つのインターフェイス間にローカル接続を作成します。 |
レイヤ 2 ローカル スイッチングの設定確認
レイヤ 2 ローカル スイッチング機能の設定を確認するには、Provider Edge(PE; プロバイダー エッジ)ルータで次のコマンドを使用します。
手順の概要
1. show connection [ all | element | id ID | name name | port port ]
手順の詳細
ステップ 1 show connection [ all | element | id ID | name name | port port ]
show connection コマンドは、ギガビット イーサネット インターフェイスとその他のローカル ギガビット イーサネット インターフェイス間のローカル接続を表示します。
Router# show connection name ethconn1
Segment 1: GigabitEthernet0/0/0.1 up
Segment 2: GigabitEthernet0/0/0.2 up
NSF/SSO ローカル スイッチングの設定確認
レイヤ 2 ローカル スイッチングでは、同一ルータ上にある以下の接続回線のローカル スイッチングに対し、NSF/SSO がサポートされます。
• イーサネット/イーサネット VLAN とイーサネット/イーサネット VLAN 間
ルート プロセッサでの NSF/SSO の設定については、『 Cisco IOS XE High Availability Configuration Guide 』の「 Stateful Switchover 」の章を参照してください。NSF/SSO:レイヤ 2 ローカル スイッチング機能が正しく動作していることを確認するには、この項の次の手順を実行します。
手順の概要
1. ping
2. redundancy force-switchover
3. show connection all
4. ping
手順の詳細
ステップ 1 ping
ping コマンドを発行するか、2 つの CE ルータ間でトラフィックを開始します。
ステップ 2 redundancy force-switchover
redundancy force-switchover コマンドを使用して、アクティブ RP からスタンバイ RP に強制的にスイッチオーバーします。この手動の手順により、アクティブ RP を「グレースフル」シャットダウンまたは制御シャットダウンし、スタンバイ RP にスイッチオーバーすることができます。このグレースフル シャットダウンによって、重要なクリーンアップを実行できます。
ステップ 3 show connection all
show connection all コマンドを発行し、デュアル RP のレイヤ 2 ローカル スイッチング接続が動作していることを確認します。
Router# show connection all
D Name Segment 1 Segment 2 State
================================================================================
1 conn Gi0/0/0.1 Gi0/0/0.2 UP
ステップ 4 ping
CE ルータから ping コマンドを発行し、スイッチオーバー中の連続したパケット損失が最小限に抑えられるようにします。
トラブルシューティングのヒント
PE ルータで次のコマンドを使用すると、レイヤ 2 ローカル スイッチングのトラブルシューティングを実行できます。
• debug conn
• show connection
レイヤ 2 ローカル スイッチングの設定例
ここでは、次の設定例について説明します。
• 「イーサネット VLAN 同一ポート スイッチングの例」
• 「NSF/SSO:イーサネット ポート モードとイーサネット VLAN 間のローカル スイッチングの例」
イーサネット VLAN 同一ポート スイッチングの例
単一のイーサネット インターフェイス上の 2 つの VLAN 間での同一ポート スイッチングの例を次に示します。
interface fastethernet 0/0.1
interface fastethernet 0/0.2
connect conn FastEthernet 0/0.1 FastEthernet 0/0.2
NSF/SSO:イーサネット ポート モードとイーサネット VLAN 間のローカル スイッチングの例
以下の設定では、図 1のネットワーク トポロジを使用します。
図 1 NSF/SSO:レイヤ 2 ローカル スイッチング:イーサネットとイーサネット VLAN 間
PE1 ルータに接続する CE インターフェイスの設定例を次に示します。
|
|
ip routing ! interface fa3/1/0 description: connection to PE fa1/1/1 no shutdown ip address 10.1.1.1 255.255.255.0 |
ip routing ! interface fa4/0 no shutdown ! interface fa4/0.1 description: connection to PE1 fa6/0/0.1 encapsulation dot1Q 10 ip address 10.1.1.2 255.255.255.0 ! interface fa4/0.2 description - connection to PE1 fa6/0/0.2 encapsulation dot1Q 20 ip address 172.16.1.2 255.255.255.0 |
CE ルータへの NSF/SSO と PE インターフェイスを備えた PE1 ルータの設定例を次に示します。
redundancy
no keepalive-enable
mode sso
!
!
ip routing
ip cef distributed
!
interface fa1/1/1
description - connection to CE1 fa3/1/0
no shutdown
no ip address
!
!
interface fa6/0/0
no shutdown
no ip address
!
interface fa6/0/0.1
description - connection to CE2 fa4/0.1
encapsulation dot1Q 10
no ip address
!
interface fa6/0/0.2
description - connection to CE2 fa4/0.2
encapsulation dot1Q 20
no ip address
その他の参考資料
ここでは、レイヤ 2 ローカル スイッチング機能に関する関連資料について説明します。
規格
|
|
draft-ietf-l2tpext-l2tp-base-03.txt |
『Layer Two Tunneling Protocol (Version 3) 'L2TPv3'』 |
draft-martini-l2circuit-trans-mpls-09.txt |
『Transport of Layer 2 Frames Over MPLS』 |
draft-martini-l2circuit-encap-mpls-04.txt |
『Encapsulation Methods for Transport of Layer 2 Frames Over IP and MPLS Networks』 |
draft-ietf-ppvpn-l2vpn-00.txt |
『An Architecture for L2VPNs』 |
MIB
|
|
なし |
選択したプラットフォーム、Cisco IOS XE ソフトウェア リリース、およびフィーチャ セットの MIB の場所を検索しダウンロードするには、次の URL にある Cisco MIB Locator を使用します。 http://www.cisco.com/go/mibs |
シスコのテクニカル サポート
|
|
右の URL にアクセスして、シスコのテクニカル サポートを最大限に活用してください。 以下を含むさまざまな作業にこの Web サイトが役立ちます。 • テクニカル サポートを受ける • ソフトウェアをダウンロードする • セキュリティの脆弱性を報告する、またはシスコ製品のセキュリティ問題に対する支援を受ける • ツールおよびリソースへアクセスする – Product Alert の受信登録 – Field Notice の受信登録 – Bug Toolkit を使用した既知の問題の検索 • Networking Professionals(NetPro)コミュニティで、技術関連のディスカッションに参加する • トレーニング リソースへアクセスする • TAC Case Collection ツールを使用して、ハードウェアや設定、パフォーマンスに関する一般的な問題をインタラクティブに特定および解決する この Web サイト上のツールにアクセスする際は、Cisco.com のログイン ID およびパスワードが必要です。 |
http://www.cisco.com/cisco/web/support/index.html |
レイヤ 2 ローカル スイッチングの機能情報
表1 に、この機能のリリース履歴を示します。
プラットフォーム サポートとソフトウェア イメージ サポートに関する情報を入手するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator を使用すると、特定のソフトウェア リリース、フィーチャ セット、またはプラットフォームをサポートする Cisco IOS XE のソフトウェア イメージを判別できます。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスしてください。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
(注) 表1 に、特定の Cisco IOS XE ソフトウェア リリース群で特定の機能をサポートする Cisco IOS XE ソフトウェア リリースだけを示します。特に明記されていない限り、Cisco IOS XE ソフトウェア リリース群の後続のリリースでもこの機能をサポートします。
表1 レイヤ 2 ローカル スイッチングの機能情報
|
|
|
レイヤ 2 ローカル スイッチング |
Cisco IOS XE Release 2.5 |
レイヤ 2 ローカル スイッチング機能を使用すると、同一ルータ上の 2 つのインターフェイス間でレイヤ 2 データをスイッチングできます。場合によっては、同一インターフェイス ポート上の 2 つの回線間でレイヤ 2 データをスイッチングできます。 Cisco IOS XE Release 2.5 では、Cisco ASR 1000 シリーズ Aggregation Services Router にこの機能が実装されました。 connect (L2VPN ローカル スイッチング)および show connection コマンドが追加または変更されました。 |
Cisco and the Cisco Logo are trademarks of Cisco Systems, Inc. and/or its affiliates in the U.S.and other countries.A listing of Cisco's trademarks can be found at www.cisco.com/go/trademarks .Third party trademarks mentioned are the property of their respective owners.The use of the word partner does not imply a partnership relationship between Cisco and any other company.(1005R)
このマニュアルで使用している IP アドレスは、実際のアドレスを示すものではありません。マニュアル内の例、コマンド出力、および図は、説明のみを目的として使用されています。説明の中に実際のアドレスが使用されていたとしても、それは意図的なものではなく、偶然の一致によるものです。
© 2003-2010 Cisco Systems, Inc.
All rights reserved.
Copyright © 2003-2011, シスコシステムズ合同会社.
All rights reserved.