IS-IS プロトコル用のセグメントルーティングの設定

Integrated Intermediate System-to-Intermediate System（IS-IS）、インターネットプロトコルバージョン 4（IPv4）は、標準ベースの内部ゲートウェイプロトコル（IGP）です。Cisco IOS XR ソフトウェアは、国際標準化機構（ISO）/International Engineering Consortium（IEC）10589 および RFC 1995 に記載されている IP ルーティング機能を実装し、IP バージョン 6（IPv6）向けに標準拡張のシングルトポロジおよびマルチトポロジ IS-IS を追加しています。

このモジュールは、IS-IS のセグメントルーティングを有効にするために使用される設定情報を提供します。

IS-IS プロトコル用のセグメントルーティングの有効化

IS-IS コントロールプレーン上のセグメントルーティングは、次をサポートしています。

レベル 1、レベル 2、およびマルチレベルのルーティング
ループバックインターフェイス上のホストプレフィックスのプレフィックス SID
隣接関係用の隣接関係 SID
MPLS penultimate hop popping（PHP）と明示的な NULL シグナリング

ここでは、IS-IS 用のセグメントルーティングを有効にする方法について説明します。

始める前に

ルータで IS-IS のセグメントルーティングを有効にする前に、ネットワークで MPLS Cisco IOS XR ソフトウェア機能をサポートする必要があります。

（注）

ネットワークのトラフィックエンジニアリング部分にあるすべての IS-IS ルータ上で、次のタスクリストのコマンドを入力する必要があります。

手順

コマンドまたはアクション目的

ステップ 1

configure

ステップ 2

router isis instance-id

例:


RP/0/RP0/cpu 0: router(config)# router isis isp

指定したルーティングインスタンスの IS-IS ルーティングを有効にし、ルータをルータコンフィギュレーションモードにします。

（注）

is-type ルータコンフィギュレーションコマンドを使用して、特定のルーティングインスタンスによって実行されるルーティングのレベルを変更できます。

ステップ 3

metric-style wide [ level { 1 | 2 }]

例:


RP/0/RP0/cpu 0: router(config-isis-af)# metric-style wide level 1

レベル 1 エリアでワイドリンクメトリックのみを生成して受け入れるようにルータを設定します。

ステップ 4

segment-routing mpls

例:


RP/0/RP0/cpu 0: router(config-isis-af)# segment-routing mpls

セグメントルーティングは、次の操作で有効になります。

IS-IS がアクティブなすべてのインターフェイスで MPLS 転送が有効化される。
転送プレーン内のすべての既知プレフィックス SID が、リモートルータによってアドバタイズされた、またはローカルまたはリモートマッピングサーバを介して学習されたプレフィックス SID を使用してプログラミングされる。
ローカルで設定されたプレフィックス SID がアドバタイズされる。

ステップ 5

exit

例:


RP/0/RP0/cpu 0: router(config-isis-af)# exit
RP/0/RP0/cpu 0: router(config-isis)# exit

ステップ 6

commit

次のタスク

プレフィックス SID を設定します。

IS-IS 対応ループバックインターフェイスでのプレフィックス SID の設定

プレフィックスセグメント識別子（SID）は、IP プレフィックスに関連付けられます。プレフィックス SID は、ラベルのセグメントルーティンググローバルブロック（SRGB）の範囲から手動で設定されます。プレフィックス SID は、ノードのループバックアドレスをプレフィックスとして使用して、ループバックインターフェイスの下に設定されます。プレフィックスセグメントは、その宛先への最短パスに沿ってトラフィックを誘導します。

プレフィックス SID は、ノード SID であることもエニーキャスト SID であることもあります。ノード SID は、特定のノードを識別するタイプのプレフィックス SID です。エニーキャスト SID は、一連のノードを識別するタイプのプレフィックス SID であり、n-flag-clear を使用して設定されます。一連のノード（エニーキャストグループ）は、共有プレフィックスアドレスとプレフィックス SID をアドバタイズするように設定されます。エニーキャストルーティングにより、複数のアドバタイズノードへのトラフィックのステアリングが可能になります。エニーキャストアドレス宛てのパケットは、トポロジ的に最も近いノードに転送されます。

プレフィックス SID は、セグメントルーティングドメイン内でグローバルに一意です。

このタスクでは、IS-IS 対応ループバックインターフェイスでプレフィックスセグメント識別子（SID）のインデックスまたは絶対値を設定する方法について説明します。

始める前に

セグメントルーティングが対応するアドレスファミリで有効になっていることを確認します。

手順

	コマンドまたはアクション	目的
ステップ 1	configure
ステップ 2	router isis `instance-id` 例: `RP/0/RP0/cpu 0: router(config)# router isis 1`	指定したルーティングインスタンスの IS-IS ルーティングを有効にし、ルータをルータコンフィギュレーションモードにします。 is-type ルータコンフィギュレーションコマンドを使用して、特定のルーティングインスタンスによって実行されるルーティングのレベルを変更できます。
ステップ 3	interface Loopback `instance` 例: `RP/0/RP0/cpu 0: router(config-isis)# interface Loopback0`	ループバックインターフェイスとインスタンスを指定します。
ステップ 4	commit

プレフィックス SID 設定を確認します。

隣接関係 SID の設定

隣接関係 SID（Adj-SID）は、隣接ノードへの隣接関係に関連付けられています。隣接関係 SID は、トラフィックを特定の隣接関係に誘導します。隣接関係 SID はローカルな意味を持ち、それらを割り当てるノードでのみ有効です。

隣接関係 SID は、動的ラベルの範囲から動的に割り当てることも、ラベルのセグメントルーティングローカルブロック（SRLB）の範囲から手動で設定することもできます。

動的に割り当てられる隣接関係 SID には特別な構成は必要ありませんが、いくつかの制限があります。

動的に割り当てられた Adj-SID 値は、割り当てられるまで認識されず、情報が IGP によってフラッディングされるまでコントローラは Adj-SID 値を認識しません。
動的に割り当てられた Adj-SID は永続的ではなく、リロードまたはプロセスの再起動後に再割り当てすることができます。
各リンクには一意の Adj-SID が割り当てられているため、複数のリンクで同じ Adj-SID を共有することはできません。

手動で割り当てられた Adj-SID は、リロードおよび再起動後も永続的です。同じネイバーまたは異なるネイバーへの複数の隣接関係にプロビジョニングできます。Adj-SID が保護されることを指定できます。Adj-SID がプライマリインターフェイスで保護されていて、バックアップパスが利用可能な場合、バックアップパスがインストールされます。デフォルトでは、手動 Adj-SID は保護されていません。

隣接関係 SID は、既存の IS-IS Adj-SID サブ TLV を使用してアドバタイズされます。S フラグと P フラグは、手動で割り当てられた Adj-SID に対して定義されています。


 0 1 2 3 4 5 6 7 
+-+-+-+-+-+-+-+-+
|F|B|V|L|S|P|   |
+-+-+-+-+-+-+-+-+

表 1. 隣接関係セグメント識別子（Adj-SID）のフラグサブ TLV フィールド
フィールド	説明
S（セット）	このフラグは、同じ Adj-SID 値が複数のインターフェイスにプロビジョニングされている場合に設定されます。
P（永続的）	このフラグは、Adj-SID が永続的（手動割り当て）の場合に設定されます。

手動で割り当てられた Adj-SID は、ポイントツーポイント（P2P）インターフェイスでサポートされています。

ここでは、インターフェイスに Adj-SID を設定する方法について説明します。

始める前に

セグメントルーティングが対応するアドレスファミリで有効になっていることを確認します。

show mpls label table detail コマンドを使用して、SRLB の範囲を確認します。

手順

	コマンドまたはアクション	目的
ステップ 1	configure
ステップ 2	router isis `instance-id` 例: `RP/0/RP0/cpu 0: router(config)# router isis 1`	指定したルーティングインスタンスの IS-IS ルーティングを有効にし、ルータをルータコンフィギュレーションモードにします。 is-type ルータコンフィギュレーションコマンドを使用して、特定のルーティングインスタンスによって実行されるルーティングのレベルを変更できます。
ステップ 3	interface `type interface-path-id` 例: `RP/0/RP0/cpu 0: router(config-isis)# interface GigabitEthernet0/0/0/7`	インターフェイスを指定し、インターフェイスコンフィギュレーションモードを開始します。
ステップ 4	point-to-point 例: `RP/0/RP0/cpu 0: router(config-isis-if)# point-to-point`	インターフェイスがポイントツーポイントインターフェイスになるように指定します。
ステップ 5	adjacency-sid {index `adj-SID-index` \| absolute `adj-SID-value` } [protected ] 例: `RP/0/RP0/cpu 0: router(config-isis-if-af)# adjacency-sid index 10` `RP/0/RP0/cpu 0: router(config-isis-if-af)# adjacency-sid absolute 15010`	インターフェイスの Adj-SID インデックスまたは絶対値を設定します。 SRLB + インデックスの下限に基づいて Ajd-SID を作成するには、各リンクに index `adj-SID-index` を指定します。 SRLB 内に特定の Ajd-SID を作成するには、各リンクに absolute `adj-SID-value` を指定します。 Adj-SID が protected であるかを指定します。各プライマリパスについて、Adj-SID がプライマリインターフェイスで保護されていて、バックアップパスが利用可能な場合、バックアップパスがインストールされます。デフォルトでは、手動 Adj-SID は保護されていません。
ステップ 6	commit

Adj-SID 設定を確認します。

ラベルが MPLS Forwarding Information Base（LFIB）に追加されていることを確認します。


RP/0/RP0/cpu 0: router# show mpls forwarding labels 15010
Mon Jun 12 02:50:12.172 PDT
Local  Outgoing    Prefix             Outgoing     Next Hop        Bytes       
Label  Label       or ID              Interface                    Switched    
------ ----------- ------------------ ------------ --------------- ------------
15010  Pop         SRLB (idx 10)      Gi0/0/0/3    10.0.3.3        0           
       Pop         SRLB (idx 10)      Gi0/0/0/7    10.1.0.5        0           
       16004       SRLB (idx 10)      Gi0/0/0/7    10.1.0.5        0            (!)
       16004       SRLB (idx 10)      Gi0/0/0/3    10.0.3.3        0            (!)

レイヤ 2 隣接関係 SID の設定

通常、隣接関係 SID（Adj-SID）はネイバーノードへのレイヤ 3 隣接に関連付けられ、トラフィックを特定の隣接関係に誘導します。複数の物理インターフェイスがバンドルインターフェイスを形成するレイヤ 2 バンドルインターフェイスを使用する場合、個々のレイヤ 2 バンドルメンバーは IGP には表示されません。バンドルインターフェイスのみが表示されます。

個々のレイヤ 2 バンドルインターフェイスにレイヤ 2 Adj-SID を設定できます。この設定により、個々のバンドルメンバーリンクの可用性を追跡し、運用管理および保守（OAM）のために個々のバンドルメンバーリンクを介してセグメントルーティング転送を確認することができます。

レイヤ 2 Adj-SID は動的に割り当てることも、手動で設定することもできます。

IGP は、レイヤ 2 バンドルメンバーごとに動的ラベル範囲からレイヤ 2 Adj-SID を動的に割り当てます。動的レイヤ 2 Adj-SID は永続的ではなく、レイヤ 2 バンドルリンクが稼働および停止したときに再割り当てできます。
手動で設定されたレイヤ 2 Adj-SID は、レイヤ 2 バンドルリンクが稼働および停止している場合は永続的です。レイヤ 2 Adj-SID は、ラベルのセグメントルーティングローカルブロック（SRLB）から割り当てられます。ただし、レイヤ 2 Adj-SID の設定値が利用可能な SRLB 内に収まらない場合、レイヤ 2 Adj-SID は転送情報ベース（FIB）にはプログラムされません。

制約事項

Adj-SID 転送にはネクストホップが必要です。これは IPv4 アドレスまたは IPv6 アドレスのいずれかで指定できますが、両方を指定することはできません。そのため、手動で設定されたレイヤ 2 Adj-SID は address-family ごとに設定されます。
手動で設定されたレイヤ 2 Adj-SID は、1 つのレイヤ 2 バンドルメンバーリンクにのみ関連付けることができます。
レイヤ 2 Adj-SID に使用される SID 値はレイヤ 3 Adj-SID と共有することはできません。
レイヤ 2 Adj-SID を使用した SR-TE はサポートされていません。

ここでは、インターフェイスにレイヤ 2 Adj-SID を設定する方法について説明します。

始める前に

セグメントルーティングが対応するアドレスファミリで有効になっていることを確認します。

show mpls label table detail コマンドを使用して、SRLB の範囲を確認します。

手順

コマンドまたはアクション目的

ステップ 1

configure

ステップ 2

segment-routing

例:


RP/0/RP0/CPU0:Router(config)# segment-routing

セグメントルーティングコンフィギュレーションモードを開始します。

ステップ 3

adjacency-sid

例:

RP/0/RP0/CPU0:Router(config-sr)# adjacency-sid

隣接関係 SID コンフィギュレーションモードを開始します。

ステップ 4

interface type interface-path-id

例:

RP/0/RP0/CPU0:Router(config-sr-adj)# interface GigabitEthernet0/0/0/3

インターフェイスを指定し、インターフェイスコンフィギュレーションモードを開始します。

ステップ 5

address-family { ipv4 | ipv6 } [ unicast ]

例:


RP/0/RP0/CPU0:Router(config-sr-adj-intf)# address-family ipv4 unicast

IPv4 または IPv6 アドレスファミリを指定して、ルータアドレスファミリコンフィギュレーションモードを開始します。

ステップ 6

l2-adjacency sid {index adj-SID-index | absolute adj-SID-value } [next-hop { ipv4_address | ipv6_address } ]

例:


RP/0/RP0/CPU0:Router(config-sr-adj-intf-af)# l2-adjacency sid absolute 15015 next-hop 10.1.1.4

インターフェイスの Adj-SID インデックスまたは絶対値を設定します。

SRLB + インデックスの下限に基づいて Ajd-SID を作成するには、各リンクに index adj-SID-index を指定します。

SRLB 内に特定の Ajd-SID を作成するには、各リンクに absolute adj-SID-value を指定します。

ポイントツーポイントインターフェイスの場合は、ネクストホップを指定する必要はありません。ただし、ネクストホップを指定した場合は、指定されたネクストホップがネイバーアドレスと一致する場合にのみ、レイヤ 2 Adj-SID が使用されます。

LAN インターフェイスの場合は、ネクストホップ IPv4 または IPv6 アドレスを設定する必要があります。ネクストホップを設定しない場合、レイヤ 2 Adj-SID は LAN インターフェイスには使用されません。

ステップ 7

commit

ステップ 8

end

ステップ 9

router isis instance-id

例:


RP/0/RP0/CPU0:Router(config)# router isis isp

指定したルーティングインスタンスの IS-IS ルーティングを有効にし、ルータをルータコンフィギュレーションモードにします。

ステップ 10

address-family { ipv4 | ipv6 } [ unicast ]

例:


RP/0/RP0/CPU0:Router(config-isis)# address-family ipv4 unicast

IPv4 または IPv6 アドレスファミリを指定して、ルータアドレスファミリコンフィギュレーションモードを開始します。

ステップ 11

segment-routing bundle-member-adj-sid

例:


RP/0/RP0/CPU0:Router(config-isis-af)# segment-routing bundle-member-adj-sid

動的レイヤ 2 Adj-SID をプログラムし、手動と動的の両方のレイヤ 2 Adj-SID をアドバタイズします。

（注）

このコマンドは、手動 L2 Adj-SID のプログラミングには必要ありませんが、動的レイヤ 2 Adj-SID のプログラミングには必要で、手動と動的の両方のレイヤ 2 Adj-SID をアドバタイズする必要があります。

設定を確認します。


Router# show mpls forwarding detail | i "Pop|Outgoing Interface|Physical Interface"
Tue Jun 20 06:53:51.876 PDT
. . .
15001  Pop         SRLB (idx 1)       BE1          10.1.1.4        0           
     Outgoing Interface: Bundle-Ether1 (ifhandle 0x000000b0)
     Physical Interface: GigabitEthernet0/0/0/3 (ifhandle 0x000000b0)


Router# show running-config segment-routing 
Tue Jun 20 07:14:25.815 PDT
segment-routing
 adjacency-sid
  interface GigabitEthernet0/0/0/3
   address-family ipv4 unicast
    l2-adjacency-sid absolute 15001
   !
  !
 !
!

帯域幅ベースのローカル UCMP の設定

帯域幅ベースのローカル非等コストマルチパス（UCMP）を使用すると、ローカルリンクの帯域幅に基づいて、等コストマルチパス（ECMP）のパス間で UCMP 機能をローカルで有効にできます。

帯域幅ベースのローカル UCMP は、IS-IS によってインストールされたプレフィックス、セグメントルーティング隣接関係 SID、およびセグメントルーティングラベルクロスコネクトに対して実行され、有効な帯域幅を持つ物理インターフェイスまたは仮想インターフェイスでサポートされます。

たとえば、リンクまたはラインカードのアップ/ダウンイベントのためにバンドルインターフェイスの容量が変化した場合、利用可能なプロビジョニング済みバンドルメンバーに関係なく、トラフィックは引き続き影響を受けるバンドルインターフェイスを使用します。障害により一部のバンドルメンバーが利用できなかった場合、この動作によりトラフィックでバンドルインターフェイスが過負荷状態になる可能性があります。バンドル容量の変更に対処するために、帯域幅ベースのローカル UCMP は、バンドル容量が変更されたときにローカルリンクの帯域幅を使用してトラフィックの負荷を分散します。

始める前に

手順

	コマンドまたはアクション	目的
ステップ 1	configure
ステップ 2	router isis `instance-id` 例: `RP/0/RP0/cpu 0: router(config)# router isis 1`	指定したルーティングインスタンスの IS-IS ルーティングを有効にし、ルータをルータコンフィギュレーションモードにします。 is-type ルータコンフィギュレーションコマンドを使用して、特定のルーティングインスタンスによって実行されるルーティングのレベルを変更できます。
ステップ 3	apply-weight ecmp-only bandwidth 例: `RP/0/RP0/cpu 0: router(config-isis-af)# apply-weight ecmp-only bandwidth`	ローカルリンクの帯域幅に基づいて、ECMP パス間で UCMP 機能をローカルで有効にします。
ステップ 4	commit

IS-IS マルチドメインプレフィックス SID とドメインステッチング：例

IS-IS マルチドメインプレフィックス SID とドメインステッチングでは、ドメインボーダーノード用に同じループバックインターフェイス上に複数の IS-IS インスタンスを設定できます。複数の IS-IS インスタンスの下にループバックインターフェイスとプレフィックス SID を指定すると、プレフィックスとプレフィックス SID が異なるドメインに到達できるようになります。

この例では、次のトポロジを使用しています。ノード 5 とノード 9 は、2 つの IS-IS ドメイン（Domain1 と Domain2）の間のボーダーノードです。ノード 10 は、セグメントルーティングパス計算要素（SR-PCE）として設定されています）。

IS-IS マルチドメインプレフィックス SID の設定

各ボーダーノードで複数の IS-IS インスタンスの下にループバックインターフェイスとプレフィックス SID を指定します。


Example: Border Node 5
router isis Domain1
 interface Loopback0
  address-family ipv4 unicast
   prefix-sid absolute 16005

router isis Domain2
 interface Loopback0
  address-family ipv4 unicast
   prefix-sid absolute 16005


Example: Border Node 9
router isis Domain1
 interface Loopback0
  address-family ipv4 unicast
   prefix-sid absolute 16009

router isis Domain2
 interface Loopback0
  address-family ipv4 unicast
   prefix-sid absolute 16009

ボーダーノード 5 および 9 はそれぞれ 2 つの IS-IS インスタンス（Domain1 および Domain2）を実行し、両方のドメインで Loopback0 プレフィックスとプレフィックス SID をアドバタイズします。

両方のドメイン内のノードは、同じプレフィックスとプレフィックス SID を使用してボーダーノードに到達できます。例えば、ノード 3 およびノード 22 は、プレフィックス SID 16005 を使用してノード 5 に到達できます。

共通ルータ ID の設定

各ボーダーノードで、各 IS-IS インスタンスの下に共通の TE ルータ ID を設定します。


Example: Border Node 5
router isis Domain1
 address-family ipv4 unicast
  router-id loopback0

router isis Domain2
 address-family ipv4 unicast
  router-id loopback0 


Example: Border Node 9
router isis Domain1
 address-family ipv4 unicast
  router-id loopback0 

router isis Domain2
 address-family ipv4 unicast
  router-id loopback0

IS-IS リンクステートデータの配布

ノード 13 およびノード 14 で BGP リンクステート（BGP-LS）を設定して、ローカルドメインをノード 10 に報告します。


Example: Node 13
router isis Domain1
 distribute link-state id 


Example: Node 14
router isis Domain2
 distribute link-state id

Link-state ID は 32 から始まります。IGP ドメインごとに 1 つの ID が必要です。SR-TE TED が特定の IGP ドメインに属していることを識別するために、異なるドメイン ID が必要です。

ノード 13 とノード 14 はそれぞれ、BGP-LS のローカルドメインをノード 10 に報告します。

ノード 10 は、共通のアドバタイズされた TE ルータの ID によってボーダーノード（ノード 5 および 9）を識別してから、これらのボーダーノード上のドメインを結合（ステッチ）してエンドツーエンドのパス計算を行います。

セグメントルーティング ECMP-FEC の最適化

ECMP-FEC は、ラベル付けされていない ECMP、MPLS LSP ECMP、VPN マルチパス、EVPN マルチホーミングなどのシステム上のあらゆる ECMP プログラミングに使用されます。

SR の ECMP-FEC の最適化ソリューションは、SR-MPLS ネットワークのアンダーレイプログラミング時の ECMP-FEC リソースの消費を最小限に抑えます。この機能は、同じ一連のネクストホップを持つすべての /32 IPv4 セグメントルーティングプレフィックスの同じ ECMP-FEC、通常の FEC、および出力カプセル化 DB（EEDB）エントリの共有をサポートします。指定されたプレフィックスの ECMP パスに関連付けられているすべての out_label が同じ値である場合に、ECMP-FEC の最適化がトリガーされます。このルールは、LFA/TI-LFA が有効になっている場合に、プライマリパスとバックアップパスの両方に適用されます。このルールが満たされていない場合、プレフィックスは専用の ECMP-FEC を使用してプログラミングされます。ルールを満たすその他のプレフィックスが最適化の候補です。

セグメントルーティングラベルエッジルータ（FEC）ECMP-FEC の最適化により、最初はラベルスイッチドルータ（LSR）ノード（MPLS P）用に開発された ECMP-FEC の最適化が、LER（レイヤ 3 MPLS PE）のルータで有効になります。

機能と制限事項

SR ECMP-FEC の最適化は、次に適用されます。

ラベルスイッチドルータ（LSR）ノード（MPLS P）
ラベルエッジルータ（LER）L3VPN

SR ECMP-FEC の最適化は、次のインスタンスでは有効にしないでください。

L2VPN サービスの LER。
転送チェーンがセグメントルーティングを介した BGP-LU 経由の VPN が含まれている場合の L2VPN/L3VPN サービス。
プレフィックスごとのラベル割り当てモードまたは BGP PIC が必要な場合。

SR ECMP-FEC 最適化の有効化

SR ECMP-FEC の最適化を有効にするには、グローバルコンフィギュレーションモードで hw-module fib mpls label lsr-optimized コマンドを使用します。この機能を有効にした後、ラインカードをリロードします。

Router(config)# hw-module fib mpls label lsr-optimized
Router(config)# commit

LC/0/0/CPU0:Oct 11 20:19:12.540 UTC: fia_driver[185]: %FABRIC-FIA_DRVR-4-MPLS_HW_PROFILE_MISMATCH : 
    Mismatch found, reload LC to activate the new mpls profile


Router# reload location 0/0/CPU0

Proceed with reload? [confirm]
Reloading node 0/0/CPU0

確認

次に、SR ECMP-FEC の最適化を有効にする前の NPU の使用例を示します。

Router# show controllers npu resources ecmpfec location all
HW Resource Information For Location: 0/0/CPU0
HW Resource Information
    Name                            : ecmp_fec
 
OOR Information
    NPU-0
        Estimated Max Entries       : 4096
        Red Threshold               : 95
        Yellow Threshold            : 80
        OOR State                   : Green
 
Current Usage
    NPU-0
        Total In-Use                : 1001     (24 %)
        ipnhgroup                   : 1001     (24 %)
        ip6nhgroup                  : 0        (0 %)

次に、SR ECMP-FEC の最適化を有効にした後の NPU の使用例を示します。

Router# show controllers npu resources ecmpfec location all
HW Resource Information For Location: 0/0/CPU0
HW Resource Information
    Name                            : ecmp_fec
 
OOR Information
    NPU-0
        Estimated Max Entries       : 4096
        Red Threshold               : 95
        Yellow Threshold            : 80
        OOR State                   : Green
 
Current Usage
    NPU-0
        Total In-Use                : 7        (0 %)
        ipnhgroup                   : 7        (0 %)
        ip6nhgroup                  : 0        (0 %)

Cisco NCS 560 シリーズ ルータ（IOS XR リリース 7.1.x）セグメント ルーティング コンフィギュレーション ガイド

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章のタイトル： IS-IS プロトコル用のセグメント ルーティングの設定

IS-IS プロトコル用のセグメント ルーティングの設定

IS-IS プロトコル用のセグメント ルーティングの有効化

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次のタスク

IS-IS 対応ループバック インターフェイスでのプレフィックス SID の設定

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隣接関係 SID の設定

始める前に

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レイヤ 2 隣接関係 SID の設定

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帯域幅ベースのローカル UCMP の設定

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IS-IS マルチドメイン プレフィックス SID とドメイン ステッチング：例

IS-IS マルチドメイン プレフィックス SID の設定

共通ルータ ID の設定

IS-IS リンクステート データの配布

セグメントルーティング ECMP-FEC の最適化

機能と制限事項

SR ECMP-FEC 最適化の有効化

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IS-IS プロトコル用のセグメントルーティングの設定

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IS-IS 対応ループバックインターフェイスでのプレフィックス SID の設定

IS-IS マルチドメインプレフィックス SID とドメインステッチング：例

IS-IS マルチドメインプレフィックス SID の設定

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