パス計算要素プロトコル（PCEP）は、パス計算クライアント（PCC）が PCC を起点とするヘッドエンド ラベル スイッチド パス（LSP）の制御を PCE ピアに報告し委任できる一連の手順を記述しています。PCE は、PCC が制御している LSP のパラメータの更新と変更を PCC に要求することができます。また、ステートフル モデルでは、PCC は PCE が計算を開始することを許可でき、PCE はネットワーク全体のオーケストレーションを実行できます。

SR-PCE は、IGP（OSPF または IS-IS）または BGP リンクステート（BGP-LS）経由でトポロジ情報を学習します。

SR-PCE は、以下の方法を使用してパスを計算できます。

• TE メトリック：SR-PCE は TE メトリックを使用してパス計算を行い、累積 TE メトリックを最適化します。

• IGP メトリック：SR-PCE は IGP メトリックを使用してパス計算を行い、到達可能性を最適化します。

• LSP ディスジョイントネス：SR-PCE はパス計算アルゴリズムを使用して、ディスジョイント LSP のペアを計算します。ディスジョイント パスの起点は、同じヘッドエンドまたは異なるヘッドエンドです。ディスジョイント レベルとは、2 つの計算されたパスで共有すべきではないリソースのタイプを指します。SR-PCE は、次のディスジョイント パス計算をサポートしています。

  • リンク：リンクが計算されたパスで共有されないことを指定します。

  • ノード：ノードが計算されたパス上で共有されないことを指定します。

  • SRLG：同じ SRLG 値を持つリンクが計算されたパスで共有されないことを指定します。

  • SRLG ノード：SRLG とノードが計算されたパス上で共有されないことを指定します。

  所定のディスジョイントグループ ID で最初の要求が受信されると、最初の LSP が計算され、最初の送信元から最初の宛先への最短パスがエンコードされます。2 つ目の LSP 要求が同じディスジョイントグループ ID で受信されると、両方の要求で受信された情報を使用して 2 つのディスジョイント パス（1 つは最初の送信元から最初の宛先へのパス、もう 1 つは 2 つ目の送信元から 2 つ目の宛先へのパス）が計算されます。両方のパスが同時に計算されます。

SR-TE ポリシーは、リンクの輻輳を軽減したり、ネットワーク タッチ ポイントの数を最小限に抑えたりするようにパス計算要素（PCE）で設定することができます。

（注）	PCE 開始 SR-TE ポリシーは PCE コンフィギュレーション モードで入力されます。SR-TE ポリシーの設定に関する詳細については、SR-TE ポリシーの概要を参照してください。

PCE は、トラフィック需要やリンク使用率などのネットワーク情報を収集します。PCE はリンクが輻輳していると判断すると、輻輳の原因となっている 1 つ以上のフローを特定します。PCE は適切なパスを見つけ、ネットワークの別の部分に輻輳を移動せずに、そのフローを転送するように SR-TE ポリシーを展開します。リンクの輻輳がない場合、ポリシーは削除されます。

ネットワーク タッチ ポイントの数を最小限に抑えるために、ネットワーク サービス オーケストレータ（NSO）などのアプリケーションは PCE に SR-TE ポリシーを作成するように要求できます。PCE は、PCC-PCE 通信プロトコル（PCEP）を使用して SR-TE ポリシーを展開します。

1. PCE は PCInitiate メッセージを PCC に送信します。

2. PCInitiate メッセージが有効な場合、PCC は PCRpt メッセージを送信します。それ以外の場合は、PCErr メッセージが送信されます。

3. PCInitiate メッセージが受け入れられると、PCE は PCUpd メッセージを送信して SR-TE ポリシーを更新します。

SR-TE ポリシーを使用して複数の PCE を設定すると、ハイアベイラビリティを実現できます。ヘッドエンド（PCC）が 1 つの PCE との接続を失った場合、別の PCE が SR-TE ポリシーの制御を引き継ぐことになります。

/* Enter PCE configuration mode and create the SR-TE segment lists */
Router# configure
Router(config)# pce

/* Create the SR-TE segment lists */
Router(config-pce)# segment-routing
Router(config-pce-sr)# traffic-eng
Router(config-pce-sr-te)# segment-list name addr2a
Router(config-pce-sr-te-sl)# index 1 address ipv4 14.14.14.4
Router(config-pce-sr-te-sl)# exit

/* Create the SR-TE policy */
Router(config-pce-sr-te)# peer ipv4 1.1.1.1
Router(config-pce-sr-te)# policy P1
Router(config-pce-sr-te-policy)# color 2 end-point ipv4 2.2.2.2
Router(config-pce-sr-te-policy)# candidate-paths
Router(config-pce-sr-te-policy-path)# preference 50
Router(config-pce-sr-te-pp-index)# explicit segment-list addr2a
Router(config-pce-sr-te-pp-info)# end
Router(config)# 

pce
 segment-routing
  traffic-eng
   segment-list name addr2a
    index 1 address ipv4 14.14.14.4
   !
   peer ipv4 1.1.1.1
    policy P1
     color 2 end-point ipv4 2.2.2.2
     candidate-paths
      preference 50
       explicit segment-list addr2a
      !
     !

PCE プロトコル（PCEP）（RFC5440）は TCP/IP を介して実行されているクライアントサーバ モデルであり、サーバ（PCE）がポートをオープンし、クライアント（PCC）が接続を開始します。ピアが TCP 接続を確立すると、その接続上で PCE セッションを作成します。

PCEP 接続の ACL サポート機能は、アクセス コントロール リスト（ACL）を使用して PCE サーバを保護し、クライアントの送信元アドレスに基づいて TCP 接続が作成されたときに IPv4 PCC ピアを制限する方法を提供します。クライアントが TCP 接続を開始すると、ACL が参照され、クライアントの送信元アドレスが比較されます。ACL はアドレスを許可または拒否し、TCP 接続を続行するかどうかを選択できます。

ACL 設定情報については、『IP Addresses and Services Configuration Guide for 』の「」の章を参照してください。

ACL を PCE に適用するには、pce peer-filter ipv4 access-list acl_name コマンドを使用します。