この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
この章では、システムの設置および初期起動中に発生した問題の原因を限定できるように、一般的なトラブルシューティングについて説明します。
初回起動時に過熱による障害が起こることはほとんどありませんが、この章には、内部電圧を監視する環境モニタ機能の説明も含まれています。
ここでは、ルータのトラブルシューティングの方法について説明します。トラブルシューティング方法は、ルータの主要サブシステムごとに編成されています。
問題を解決できない場合には、製品を購入した代理店に連絡してください。代理店に連絡する前に、次の情報を用意しておいてください。
• ルータの受領日およびシャーシのシリアル番号(シャーシ背面のラベルに記載)
–可能な場合は、 show hardware コマンドを使用して搭載ラインカードを確認
–可能な場合は、 show version コマンドを使用して確認
• 現象、および問題の特定と解決のために行った手順の簡潔な説明
システムの問題を解決するため、特定サブシステムに問題を特定してみてください。予想されるルータの動作と現在のルータの動作を比較します。起動時の問題は 1 つのコンポーネントが原因になっている場合が多いので、ルータの各コンポーネントのトラブルシューティングを行う前に、問題のあるサブシステムを特定した方が効率的に解決できます。
この章のトラブルシューティングの観点からすると、ルータは次のサブシステムで構成されています。
• 電源サブシステム ― 次のコンポーネントで構成されます。
–Power Entry Module(PEM; パワー エントリ モジュール)とも呼ばれる AC 入力電源モジュールまたは DC 入力電源モジュール。ルータ シャーシは、完全冗長 PEM がシャーシに設置された状態で出荷されます。
• シャーシ バックプレーンの配電。-48 VDC の電源モジュールからの電力はシャーシ バックプレーンに送られ、バックプレーン コネクタによってすべてのカードに配電されます。ブロワー モジュールは、ワイヤ ハーネスを経由してシャーシ バックプレーンから電力が供給され、シャーシ バックプレーンに Maintenance Bus(MBus; メンテナンス バス)データを返します。
• プロセッサ サブシステム ― RP、最大 9 つ(オプションの冗長RP非搭載時)のラインカード、および 2 つのアラーム カードで構成されます。RP およびラインカードは、オンボード プロセッサを装備しています。RP は、各ラインカードのプロセッサにシスコ ソフトウェア イメージのコピーをダウンロードします。システムは、各ラインカードおよび RP 上の英数字ディスプレイを使用し、トラブルシューティングに役立つステータス メッセージおよびエラー メッセージを表示します。
• 冷却サブシステム ― カード ケージ内の空気を循環させてカードを冷却するブロワー モジュールと、各電源モジュールのファンで構成されます。電力モジュールのファンは、電力モジュールで冷気を循環させます。
電源モジュールのステータス LED および RP とラインカード上の英数字ディスプレイを確認することによって、起動シーケンス中のどの時点で、どこに問題が発生したかを判断することができます。
起動時のルータの正常なシーケンスでは、次の一連の動作が実行されます。
1. ブロワー モジュールのファンに電力が供給され、シャーシ内に空気が送り込まれます。
2. 各 PEM のファンに電力が供給され、電源モジュールに空気が送り込まれます。
3. RP および搭載された各ラインカードの起動およびブート プロセス中は、カードの前面パネルにある英数字ディスプレイに各カードのステータスが表示されます。
表4-1 に、システムの正常な起動後に RP およびラインカード上に表示される英数字ディスプレイの内容とともに、アラーム カード、PEM(AC または DC)、およびブロワー モジュールの各 LED の正常な状態を示します。
|
|
|
---|---|---|
ここでは、電源サブシステムのトラブルシューティングについて説明します。
AC 入力電源モジュールでは、内部温度、電圧、現在の負荷が、アラーム カードの MBus モジュールおよび RP のマスター MBus モジュールによって監視されます。ルータが何らかの値の超過を検出すると、アラーム カードにアラームが生成され、コンソール上に対応する警告メッセージが表示されます。
図 4-1に AC PEM のコンポーネントを示します。
|
|
||
|
|
AC 電源モジュールが正常に動作しない場合の、トラブルシューティングの手順は次のとおりです。
ステップ 1 電源モジュールが正しく装着されていることを確認します。
• PEM をイジェクトして装着し直します。以下を確認します。
ステップ 2 ルータの電源が投入されており、すべての電源コードが正しく接続されていることを確認します。以下を確認します。
• シャーシ背面の水平トラフの電源コードが固定クリップでしっかりと固定されている。
• 電源コードの先が専用の AC コンセントにしっかりと差し込まれている。
ステップ 3 電源モジュールのステータス LED インジケータを確認します。
• Pwr OK(グリーン) ― 電源モジュールが正常に動作しており、AC 入力電圧が 200 ~ 240 VAC、バックプレーンへの出力電圧が -48 VDC の公称動作範囲にあります。このインジケータは、電源モジュール スイッチがオン(1)の位置にあるときに点灯します。
–電源側をすべて点検しても Pwr OK のインジケータがオフのままの場合は、電源モジュールをスペアと交換してください。
–スペアの電源モジュールが動作しない場合は、Power Distribution Unit(PDU; 配電ユニット)を交換してください。
• Fault(イエロー) ― 電源モジュール内の障害が検出されました。このインジケータは、正常に作動している時は消灯しています。
–電源スイッチをオフにしてからオンに切り替えます。スイッチのオン/オフを何度か繰り返してもインジケータが点灯したままの場合は、電源モジュールをスペアと交換します。
–スペアの電源モジュールでも障害が発生する場合は、電源シェルフのバックボーン コネクタに障害があると思われます。ルータの電源をオフにして、購入した代理店までご連絡ください。
• Temp(イエロー) ― 電源モジュールが、シャットダウンの原因となる過熱状態になっています。
(注) Temp インジケータが点灯している場合は、Fault インジケータも点灯します。
–電源モジュールのファンが正常に動作していることを確認してください。
–ブロワー モジュールが正常に動作していることを確認します。
電源モジュールのファンおよびブロワー モジュールが正常に動作している場合は、既存の電源モジュールをスペアと交換します。
• Ilim ― 電源モジュールが限流状態で動作しています。
–各電源コードが専用 AC 電源に接続されていることを確認します。
–各 AC 電源モジュールは 200 ~ 240 V の公称範囲で動作するので、20 A 以上(北米)の供給が必要です(その他の国では 13 A)。
AC 入力電源サブシステムでは冗長電源モジュールが使用されるので、片方の電源モジュールからバックボーンへの DC 出力電圧で問題が発生しても、ルータの動作は影響されません。2 つの AC 電源モジュールをルータに装備した場合は、片方の電源モジュールで障害が発生しても、電源はオンになって動作します。
DC 入力電源モジュールでは、内部温度、電圧、現在の負荷が、アラーム カードの MBus モジュールおよび RP のマスター MBus モジュールによって監視されます。ルータが何らかの値の超過を検出すると、アラーム カードにアラームが生成され、コンソール上に対応する警告メッセージが表示されます。
図 4-2に DC PEM のコンポーネントを示します。
|
|
||
|
|
2800 W DC PEM が正常に動作しない場合の、トラブルシューティングの手順は次のとおりです。
ステップ 1 PEM が正しく装着されていることを確認します。
• PEM をイジェクトして装着し直します。次のことを確認します。
ステップ 2 PEM の、次のステータス インジケータを確認します。
• F1LO(フィーダ 1 低)(イエローに点滅) ― PDU の入力接続(フィーダ 1)が緩んでいるか接続されていないこと、または入力電圧が最低電圧を下回っていることを示します。このインジケータは、正常に作動している時は消灯しています。次のことを確認します。
–電源コードが PDU 端子スタッドにしっかりと接続されている。
上記のことを確認してもインジケータが点滅する場合は、電源モジュールを交換してください。
• F2LO(フィーダ 2 低)(イエローに点滅) ― PDU の入力接続(フィーダ 2)が緩んでいるか接続されていないこと、または入力電圧が最低電圧を下回っていることを示します。このインジケータは、正常に作動している時は消灯しています。次のことを確認します。
–電源コードが PDU 端子スタッドにしっかりと接続されている。
上記のことを確認してもインジケータが点滅する場合は、電源モジュールを交換してください。
• RPF1(逆極性フィーダ 1)(イエローに点滅) ― PDU(フィーダ 1)の配線が誤っています。配線の詳細については、「DC 電源ルータへの電源の接続」を参照してください。このインジケータは、正常に作動している時は消灯しています。
• RPF2(逆極性フィーダ 2)(イエローに点滅) ― PDU(フィーダ 2)の配線が誤っています。配線の詳細については、「DC 電源ルータへの電源の接続」を参照してください。このインジケータは、正常に作動している時は消灯しています。
• FAIL(レッド) ― 次のインジケータ(点滅)とともに点灯し、電源モジュールの障害のタイプを示します。
• OC(過剰電流)(レッドに点滅) ― 入力電流または出力電流が制限を超え、過負荷または短絡が発生したことを示します。
–電源モジュールの電源スイッチをオフ(0)にしてからオン(1)の位置にします。
–インジケータがまだ点滅する場合は、電源モジュールを取り出して装着し直します。
–インジケータがそれでも点滅する場合は、電源モジュールを交換します。
• OT(過熱)(レッドに点灯または点滅) ― 電源モジュールが、シャットダウンの原因となる過熱状態になっています。
–レッドに点滅は、電源モジュールのファンが動作していないことを示します。電源モジュールを交換します。
–レッドに点灯は、過熱状態を示します。すべてのブロワー モジュール ファンが正常に動作していることを確認してください。
ブロワー モジュールが正常に動作している場合は、電源モジュールを交換します。
1 つ以上のブロワー モジュール ファンが動作していない場合は、ブロワー モジュールを交換します。
• INOK(グリーン) ― 電源モジュールが正常に動作しており、DC 電源電圧が -48 ~ -60 V の公称動作範囲にあります。このインジケータは、電源モジュールのスイッチがオン(1)の位置にあるときに点灯します。
–INOK インジケータが消灯している場合は、電源モジュールを交換します。
• DCOK(グリーン) ― 電源モジュールが正常に動作しており、公称動作範囲にあります。このインジケータは、INOK インジケータの点灯の数秒後に点灯します。
–DCOK インジケータが消灯している場合は、電源モジュールを交換します。
冗長電源モジュールがあるので、片方の PEM からバックボーンへの DC 出力電圧で問題が発生しても、ルータの動作は影響されません。2 つの DC 電源モジュールをルータに装備した場合は、一方の電源モジュールで障害が発生しても、電源はオンになって動作します。
ここでは、電源の問題の原因を特定するために役立つ、その他のトラブルシューティングについて説明します。
RP およびラインカードの英数字ディスプレイに電力を供給する MBus モジュールには、バックプレーンから +5 VDC の電力が供給されます。ブロワー モジュールには、バックプレーンから -48 VDC の電力が供給されます。RP とブロワー モジュールの両方が動作していれば、内部の DC 電圧はすべて正常です。
ユーザ EXEC モード プロンプトに show environment コマンドを入力すると、搭載されている各カード、ブロワー モジュール、および PEM の温度および電圧情報が、次の例のように表示されます。
• バックボーンに -48 VDC を供給する、AC または DC の PEM
• シャーシ コンポーネントに電圧を送るシャーシ バックボーン
• バックボーンからの -48 VDC をラインカードが必要とする電圧に変換する DC/DC コンバータ
配電システムをトラブルシューティングするには、次の手順を実行します。
ステップ 1 各電源モジュールをチェックし、以下を確認します。
• イジェクト レバーが完全に閉じられ、非脱落型ネジで適切に固定されている。
• Fault および Temp インジケータが両方とも消灯している。
電源モジュールが上記の条件を満たしている場合は、正しい電源モジュールが許容値内になっています。電源モジュールは適切に機能しています。
ステップ 2 ブロワー モジュールが動作していることを確認します。
• ブロワー モジュールが稼働していれば、シャーシ バックプレーンから
-48 VDC が供給されています。バックプレーンとブロワー モジュールの接続ケーブルはすべて正常です。
• ブロワー モジュールが機能していない場合には、ブロワー モジュール自体、またはブロワー モジュールへの -48 VDC の電力供給に問題があると考えられます。ブロワー モジュールをイジェクトして装着し直してください。
• ブロワー モジュールがなおも稼働しない場合、ブロワー モジュールのコントローラ カードまたはケーブルに問題があると考えられます。ブロワー モジュールを交換してください。
• ブロワー モジュールを交換しても問題が解決しない場合は、代理店にご連絡ください。
ルータのプロセッサ サブシステムには、RP、ラインカード、およびアラーム カードが含まれます。RP およびラインカードには 2 つのオンボード プロセッサが搭載されており、一方はメイン(またはマスター)プロセッサ、他方は MBus モジュール プロセッサとして動作します。MBus モジュール プロセッサは環境をモニタし、オンボード DC/DC コンバータを制御します。
(注) 最小構成のルータを動作させるには、1 つの RP をカード ケージのスロット 9 に取り付ける必要があります。ルータに冗長 RP を搭載する場合は、カード ケージのスロット 8 に冗長 RP を取り付ける必要があります。
ここでは、プロセッサ サブシステムのトラブルシューティングについて説明します。
PRP では Motorola の PowerPC 7450 CPU が使用され、133 MHz の外部バス クロック速度、667 MHz の内部クロック速度で動作します。
PRP 前面パネルのスロット、ポート、LED を図 4-3に示します。
|
|
||
|
|
||
|
|
2 つの PCMCIA カード スロット(スロット 0 およびスロット 1)により、フラッシュ メモリ容量が PRP にさらに提供されます。PRP はさまざまなフラッシュ デバイスの組み合わせをすべてサポートします。ATA フラッシュ ディスクを使用することも、Type 1 または Type 2 のリニア フラッシュ メモリ カードを使用することも、その 2 つを組み合わせて使用することもできます。
(注) PRP がサポートするのは、+5.2 VDC のフラッシュ メモリ デバイスだけです。+3.3 VDC の PCMCIA デバイスはサポートしません。
ステータス LED(スロット 0/スロット 1)は、そのスロットのフラッシュ メモリ カードがアクセスされたことを示します(図 4-3を参照)。各スロットには、フラッシュ カードをスロットから取り外すためのイジェクト ボタン(カバーの後ろ)があります。
PRP には 8 ピンの Media-Dependent Interface(MDI; メディア依存型インターフェイス)RJ-45 ポートがあり、IEEE 802.3 10BASE-T(10 Mbps)または IEEE 802.3u 100BASE-TX(100 Mbps)のどちらのイーサネット接続でも可能です。このポートには、ETH 0 および ETH 1 というラベルが付いています。
イーサネット ポートの伝送速度をユーザが設定することはできません。PRP の自動感知スキームで速度を設定しますが、イーサネット ポートが接続されているネットワークによって速度は決まります。自動検知されたデータ伝送速度が 100 Mbps でも、イーサネット ポートが提供する使用可能な帯域幅は、実質的に 100 Mbps 未満です。イーサネット接続を使用する場合、予想される最大使用可能帯域幅は約 20 Mbps です。
前面パネルの次の LED はトラフィック ステータスおよびポート選択を示します(図 4-4)。
• LINK、EN、TX、RX ― リンク アクティビティ(LINK)、ポート イネーブル(EN)、データ送信(TX)、およびデータ受信(RX)を示します。
• PRIMARY ― どのイーサネット ポートが選択されたかを示します(ETH 0 または ETH 1)。
(注) PRP では両方のポートがサポートされるので、ETH0 は常に点灯しています。ETH 1 は選択されたときに点灯します。
図 4-4 ポート アクティビティ LED --前面パネルの一部分
PRP の補助ポートおよびコンソール ポートは、EIA/TIA-232(別名 RS-232)非同期シリアル ポートであり、外部デバイスを接続してシステムの監視および管理を行います。
• 補助ポート ― プラグ(オス)であり、Data Terminal Equipment(DTE; データ端末装置)インターフェイスを提供します。補助ポートはフロー制御をサポートし、一般にモデム、CSU(チャネル サービス ユニット)、または Telnet 管理用のそのほかのオプション装置の接続に使用します。
• コンソール ポート ― レセプタクル(メス)であり、コンソール端末を接続するための DCE インターフェイスを提供します。
ソフト リセット スイッチは、PRP 前面パネルにある小さい開口部から操作します(図 4-3を参照)。このスイッチを押すには、ペーパー クリップなど、先の尖った細いものを開口部に差し込みます。
リセット スイッチを押すと、NMI が生成され、PRP は ROM モニタ モードになります。ROM モニタ モードでの PRP の動作は、PRP のソフトウェア コンフィギュレーション レジスタの設定によって決まります。たとえば、ソフトウェア コンフィギュレーション レジスタのブート フィールドは次のように設定されます。
• 0x0 ― ROM モニタ プロンプト(rommon>)を表示したまま、システムを手動で起動するユーザ コマンドが入力されるのを待ちます。
• 0x1 ― システムは、PRP のフラッシュ メモリで最初に見つかった Cisco IOS XR イメージを自動的にブートします。
英数字メッセージ ディスプレイ(図 4-5を参照)は、4 つの LED 文字ずつ 2 列で構成されています。
図 4-5 英数字メッセージ ディスプレイ--前面パネルの一部分
英数字メッセージ ディスプレイには、ブート プロセス中およびブート プロセス完了後にルータ ステータス メッセージが表示されます。
• ブート プロセス中のメッセージ表示は、MBus モジュールによって直接制御されます。
• ブート プロセス後のメッセージ表示は、Cisco IOS XR ソフトウェアによって MBus で制御されます。
英数字メッセージ ディスプレイには、PRP のステータス、ルータ エラー メッセージ、ユーザ定義ステータス、エラー メッセージなど、さまざまなレベルのシステム動作に関する情報も表示されます。
(注) すべてのシステム メッセージおよびエラー メッセージのリストについては、『Cisco IOS XR System Error Messages』を参照してください。
ここでは、ルータ機能のサポートのために PRP で使用するメモリのタイプについて説明します。 表4-2 ではメモリのさまざまなタイプについて簡潔に説明し、図 4-6には PRP ボードの位置を示します。
|
|
|
|
|
---|---|---|---|---|
512 MB 1 、 |
Cisco IOS XR ソフトウェアの主要機能に対応する 512 MB または 1 GB の DIMM(SDRAM 構成による)を使用 |
|||
64 MB 1 |
1 つまたは 2 つのフラッシュ メモリ カードに、Cisco IOS XR ソフトウェア イメージ、システム コンフィギュレーション ファイル、およびその他のユーザ定義ファイルを保存 |
|||
PRP は Error Checking and Correction(ECC)Synchronized Dynamic Random Access Memory(SDRAM)を使用して、ルーティング テーブル、プロトコル、ネットワーク アカウント アプリケーションを保存し、Cisco IOS XR ソフトウェアを実行します。
PRP の DRAM 構成について 表4-3 で説明します。以下に注意してください。
• 1 つの DIMM を使用する場合 ― バンク 1(U15)に最初に搭載する必要があります。
• 2 つの DIMM を使用する場合 ― サイズが異なるメモリを使用することはできません。両方のバンクに同一サイズの DIMM を搭載する必要があります。
|
|
|
---|---|---|
512 MB 2 |
||
Static Random Access Memory(SRAM)は、2 MB のセカンダリ CPU キャッシュ メモリを提供します。SRAM の主な機能は、ルーティング テーブルのアップデートや情報をラインカードとの間で送受信する際に、中間準備領域としての役割を果たすことです。SRAM は、ユーザ側で構成することも、現場で拡張することも できません 。
NVRAM(不揮発性 RAM)は、システム コンフィギュレーション ファイル、ソフトウェア レジスタの設定値、および環境モニタリング ログ用に 2 MB のメモリを提供します。内蔵リチウム電池により、NVRAM の内容は最低 5 年間維持されます。NVRAM は、ユーザ側で構成することも、現場で拡張することも できません 。
ルータの操作に使用できる、複数の Cisco IOS XR ソフトウェアおよびマイクロコード イメージを保存するには、フラッシュ メモリを使用します。新しいイメージをネットワーク経由で、またはローカル サーバからフラッシュ メモリにダウンロードし、既存イメージと置き換えたり、追加イメージとして追加したりすることができます。フラッシュ メモリに保存されている任意のイメージから、手動でまたは自動的にルータを起動できます。
フラッシュ メモリはさらに、TFTP サーバとしても機能するので、保存されたイメージからほかのサーバをリモートで起動したり、それらのイメージをほかのサーバのフラッシュ メモリにコピーしたりできます。
システムでは次の 2 種類のフラッシュ メモリが使用されます。
• オンボード フラッシュ メモリ( ブートフラッシュ ) ― Cisco IOS XR ブート イメージを含みます。
• フラッシュ メモリ ディスク(またはカード) ― Cisco IOS XR ソフトウェア イメージを含みます。
サポートされるフラッシュ ディスク サイズおよびシスコ部品番号については、 表4-4 を参照してください。
|
|
---|---|
64 MB 4 |
|
3.標準の Type 1 および Type 2 リニア フラッシュ メモリ カードもサポートされますが、システムの構成要件を満たすだけの容量が得られない場合があります。 |
ルータの電源をオンにすると、RP 上の英数字ディスプレイにより次の情報が示されます(図 4-7)。
• 上側 ― 実行中の RP ソフトウェア コンポーネントを示します。ブート プロセスが正常に終了すると、MSTR と表示されます。
• 下側 ― ブート プロセスの現在の状況を示します。ブート プロセスが正常に終了すると、PRP と表示されます。
英数字ディスプレイを使用して、RP の問題を特定できます。英数字ディスプレイの 2 行には個別に電力が供給されます。
• 上側は、RP 上の DC/DC コンバータから電力が供給されます。
• 下側は、シャーシ バックプレーン経由で RP の MBus から直接電力が供給されます。
–下側が動作しない場合は、MBus モジュールが誤動作している可能性があります。
–MBus モジュールが動作している場合、RP の電源がオンになっていなくても下側はオンになることがあります。
• 上下のどちらも点灯していないが、電源モジュールおよびブロワー モジュールが稼働している場合は、RP が正しく搭載されていないか、シャーシ バックプレーンからの +5 VDC 出力に障害がある可能性があります。
–シャーシ バックプレーンから RP を取り外して再び装着し、RP を初期化してください。
• 上下のディスプレイが両方とも動作している場合は、メッセージの意味を確認します( 表4-5 を参照)。
Mbus モジュールによって DC/DC コンバータの電源がオンになると、RP プロセッサはブート プロセスを開始し、さまざまなステータス メッセージを表示します。一瞬しか表示されないメッセージもありますが、その他のメッセージは数秒間表示されます。ある時点でメッセージが表示されて停止した場合は、ブート プロセスが停止した可能性があります。
–ルータの電源をいったん切り、再び電源を投入してルータをリセットし、ブート プロセスをやり直します。ルータが再び停止する場合は、RP を交換してください( ラインカード/RP カード ケージからのカードの取り外しおよび交換を参照)。
|
|
---|---|
ラインカードに電力が供給されると、ラインカードのディスプレイによって次の情報が示されます(図 4-8)。
• 上側 ― 実行中のソフトウェア コンポーネントを示します。ブート プロセスが正常に終了すると、IOS XR と表示されます。
• 下側 ― ブート プロセスの現在の状況を示します。ブート プロセスが正常に終了すると、RUN と表示されます。
英数字ディスプレイを分析して、ラインカードの問題を限定できます。英数字ディスプレイの 2 行には個別に電力が供給されます。
• 上側は、ラインカード上の DC/DC コンバータから電力が供給されます。
• 下側は、シャーシ バックプレーン経由でラインカードの MBus から直接電力が供給されます。
–下側が動作しない場合は、MBus モジュールが誤動作している可能性があります。
–MBus モジュールが動作している場合、RP の電源がオンになっていなくても下側はオンになることがあります。
• 上下のどちらも点灯していないが、電源モジュールおよびブロワー モジュールが稼働している場合は、ラインカードが正しく搭載されていないか、シャーシ バックプレーンからの +5 VDC 出力に障害がある可能性があります。
–シャーシ バックプレーンからラインカードを取り外して再び装着し、ラインカードを初期化してください。
• 上下のディスプレイが両方とも動作している場合は、ステータス メッセージを確認します( 表4-6 を参照)。
Mbus モジュールによって DC/DC コンバータの電源がオンになると、ラインカード プロセッサはブート プロセスを開始し、さまざまなステータス メッセージを表示します。一瞬しか表示されないメッセージもありますが、その他のメッセージは数秒間表示されます。
|
|
|
---|---|---|
ROM |
||
ラインカードがファブリック ダウンローダを待機中です。 6 |
||
FABM |
||
IOS XR |
||
IOS XR |
||
5.表4-6の LED 初期化シーケンスでは、表示が速すぎて判読できない可能性があります。この表形式のシーケンスを参考にして、起動時のラインカードの動作を判断してください。 |
|
|
|
---|---|---|
MISM |
||
PWR |
||
ファブリック ダウンローダのロードが完了しました。 9 |
||
DIAG |
||
SCFG |
||
SCFG 1 |
クリティカル アラーム、メジャー アラーム、マイナー アラームが発生した場合は、アラーム ディスプレイを使用してその状態をトラブルシューティングできます。次のコネクタおよびインジケータは、アラーム ディスプレイの前面パネル上にあります(図 4-9)。
• 2 つのアラーム カードのケーブル接続(Alarm A および Alarm B)。
• システムが MBus で検出したシステム レベルのアラーム状態を識別する、クリティカル(レッド)、メジャー(レッド)、マイナー(イエロー)のインジケータ。このインジケータは通常の場合オフになっています。
• Alarm A および Alarm B に接続したアラーム カードに対応するアラーム カード インジケータ(MBus というラベル)
1. ENABLED(グリーン) ― アラーム カードが動作状態で正常に機能しています。
2. FAIL(イエロー) ― そのスロットのアラーム カードで障害が発生しています。
• スイッチ ファブリック/アラーム カード ケージのそれぞれの CFC および SFC のカード スロットに対応する、2 つのステータス LED。
–ENABLE(グリーン)
オン ― そのスロットに設置されているカードは動作状態であり、適切に機能しています。
オフ ― スロットが空であるか、そのスロットに設置されているカードが障害を起こしています。
–FAIL(イエロー) ― そのスロットのカードで障害が発生しています。
アラーム LED は、MBus ソフトウェアによって制御され、各レベルのアラームを起動するしきい値レベルが設定されています。
RP はシステムに対し、温度、電圧、電流、およびファン速度の値を定期的に調べます。しきい値を超えると、RP はアラームカードに該当するアラーム重大度を設定します。その結果、対応する LED が点灯し、所定のアラーム表示リレーがアクティブになり、アラーム ディスプレイに接続された外部オーディオ/ビジュアル アラームが起動します。RP はシステム コンソールに、しきい値違反のメッセージも出力します。
(注) いずれかのアラーム LED が点灯した場合には、アラームの内容についてシステム コンソールのメッセージを確認してください。
過熱状態が発生した場合は、冷却サブシステムをトラブルシューティングしなければならないことがあります。ルータの冷却サブシステムは、シャーシのブロワー モジュールと、各電源モジュールの 1 つのファンからなります。ブロワー モジュールおよび電源モジュールのファンは空気を循環させて、ルータ内の動作温度を許容範囲内に保持しています(図 4-10)。
ここでは、冷却サブシステムのトラブルシューティングについて説明します。
• 「過熱状態」
ブロワー モジュールは、交換可能なエアー フィルタを通じて冷気をスイッチ ファブリック/アラーム カード ケージに取り込み、さらにラインカード/RP カード ケージに送風することにより、内部コンポーネントを適切な動作温度に保ちます(図 4-10を参照)。ブロワー モジュールはルータ最上部のベイを占有し、ワイヤ ハーネスを通してシャーシ バックプレーンから受電します。
ブロワー モジュールには、3 つのファン、コントローラ カード、2 つの前面パネル ステータス LED が含まれます。プラスチック製のスナップ着脱式フロント カバーが前面パネル上に取り付けられていますが、LED はフロント カバーを通して見ることができます。
–グリーン ― ブロワー モジュールが正常に作動しています。
• シャーシの内部温度が上昇すると、ブロワーの速度が増し、より多くの冷気が内部コンポーネントに送り込まれます。
• 内部温度が基準を超えて上昇し続けると、過熱による機器の損傷を防ぐため、システム環境モニタによってすべての内部電源がシャットダウンされます。
• ブロワー モジュールの 1 つまたは複数のファンで障害が発生すると、システム コンソールに警告メッセージが表示されるとともに、RP の英数字ディスプレイにブロワー障害メッセージが表示されます。また、残りの正常なファンが、障害のあるファンの動作を補うため、フル回転で稼働します。
AC または DC の各電源モジュールにもファンが内蔵され、電源モジュールの前面から冷気を取り込み、電源シェルフ背面から熱気を排出する構造になっています。
• 電源が許容範囲内であれば、電源モジュールのファンは常に動作しています。
–電源モジュールが過熱警告をシステムに送信し、システムがシャットダウンされます。
電源モジュールのトラブルシューティングの詳細については、「電源サブシステムのトラブルシューティング」を参照してください。
次のコンソール エラー メッセージは、システムが過熱状態を検出したこと、またはシステム内に許容範囲外の電力が供給されていることを示しています。
先行するメッセージが、コンポーネントまたは温度センサの障害を伝えていることがあります。 show environment コマンドまたは show environment all コマンドをユーザ EXEC プロンプトに入力し、内部システム環境に関する情報を表示してください。このコマンドによって表示される情報は次のとおりです。
• 各カードの 2 つのセンサによって測定された温度(吸気温度およびカードのホットスポット温度)、および各電源モジュールのセンサによって測定された温度
過熱状態または許容値外状態により環境シャットダウンが必要になった場合、システムがシャットダウンする前に電源モジュールの Fault インジケータが点灯します。
最初のシステム起動で過熱状態になる可能性は低いのですが、以下を確認してください。
• 周囲の別の機器から排出される熱気が、シャーシのカード ケージ吸気口に入らないこと。
• 十分なエアー フローを得るために、シャーシおよび電源モジュールの吸気口と排気口に 6 インチ(15.24 cm)以上のスペースを確保し、冷気が支障なく入り、熱気がシャーシから排出されること。
過熱状態が発生する場合は、次の手順を実行してシャーシの冷却システムの問題を限定します。
ステップ 1 システムの電源投入時に、ブロワー モジュールが正常に動作することを確認します。
• ブロワー モジュールが稼働していることを確認するには、ブロワー モジュール前面パネルの 2 つの LED インジケータを調べます。
–OK(グリーン) ― ブロワー モジュールが正常に稼働しており、-48 VDCが供給され、シャーシ バックプレーンからブロワー モジュールへのケーブルが正常です。
–Fail(レッド) ― ブロワー モジュールで障害が検出されました。ブロワー モジュールを交換してください。
–どちらのインジケータも点灯せず、ブロワーが機能していない場合には、ブロワー モジュール、またはブロワー モジュールへの -48 VDC の電力供給に問題があると考えられます。ステップ 2 に進んでください。
ステップ 2 ブロワー モジュールをイジェクトして再び装着し、非脱落型ネジをしっかりと締めます。
ブロワー モジュールがそれでも機能しない場合は、ステップ 3 に進みます。
ステップ 3 各電源モジュールの LED インジケータを調べて、-48 VDC 電源を確認します。
• 各電源モジュールで Pwr OK インジケータが点灯し、Fault インジケータが消灯している場合は、ブロワーが -48 VDC を受電しています。
–ブロワー モジュールがそれでも稼働しない場合、ブロワー モジュールのコントローラ カードに問題があるか、ブロワー モジュールのケーブルに未検出の問題があると考えられます。ブロワー モジュールを交換してください。
–新しいブロワー モジュールが動作しない場合は、購入した代理店までご連絡ください。
• Fault インジケータが点灯している場合は、電源モジュールに障害があります。電源モジュールを交換します。
• Temp インジケータおよび Fault インジケータが点灯している場合は、過熱状態になっています。
–電源モジュールのファンが正常に動作していることを確認してください。
–ファンが動作していない場合は、電源モジュールを交換します。
電源モジュールを交換しても問題が解決しない場合は、代理店にご連絡ください。