IP セッションのための MQC サポートの設定
IP セッションに対する MQC サポート機能では、Cisco Intelligent Services Gateway(ISG)IP セッションでモジュラ Quality of Service(QoS)コマンドライン インターフェイス(CLI)プロビジョニングを提供します。ローカルで設定したのか、リモート Authentication, Authorization, and Accounting(AAA; 認証、認可、アカウンティング)サーバからダウンロードしたのかに関係なく、セッションでモジュラ QoS CLI(MQC)構文の全セットを使用できます。
機能情報の確認
ご使用のソフトウェア リリースでは、このモジュールで説明されるすべての機能がサポートされているとは限りません。最新の機能情報と注意事項については、ご使用のプラットフォームとソフトウェア リリースに対応したリリース ノートを参照してください。この章に記載されている機能の詳細、および各機能がサポートされているリリースのリストについては、「IP セッションのための MQC サポートの機能情報」 を参照してください。
Cisco Feature Navigator を使用すると、プラットフォーム、および Cisco ソフトウェア イメージの各サポート情報を検索できます。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスします。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
IP セッションのための MQC サポートに関する制約事項
IP セッションのための MQC サポート機能には次の制約事項が適用されます。
• PPP セッションでの IP セッションの作成はサポートされません。
(注) このマニュアルでは、一般的な用語の PPP を使用して、すべてのプロトコル タイプを表します。プロトコルには、PPP over Ethernet(PPPoE)や PPP over ATM(PPPoA)などがあります。サポートされるプロトコルは、プラットフォームに応じて異なります。たとえば、Cisco 7600 シリーズ ルータでは PPPoA や PPP over Ethernet over ATM(PPPoEoA)がサポートされません。Cisco 7600 シリーズ ルータの詳細については、ご使用の Cisco IOS リリースの『Cisco 7600 Series Cisco IOS Configuration Guide』を参照してください。
• ポートチャネル リンクのためのアクセス側のインターフェイスの冗長性は、Cisco 10000 シリーズのシステムではサポートされません。Cisco IOS Release 12.2(33)SRE 以降の Cisco 7600 シリーズのシステムでは、ポートチャネル リンクのための 1 対 1 のアクセス側のインターフェイスの冗長性がサポートされますが、Ethernet Services Plus(ES+)ラインカードでのみサポートされます。ただし、コア側の冗長性は Cisco 10000 シリーズと Cisco 7600 シリーズの両方のシステムでサポートされます。
• アップストリーム トラフィックではマーキングとポリシングの機能のみが動作し、ダウンストリーム トラフィックではキューイング、ポリシング、マーキングのすべての MQC 機能が動作します。
• クラスレベルのキューは、セッション ポリシー マップの子レベルでのみ使用できます。その他のすべてのレベルには単一レベルのポリシーが必要で、デフォルトのキューを使用します。
• Cisco 10000 シリーズ システムでは、ATM Virtual Circuit(VC; 仮想回線)を介した IP セッションでポリシー マップのキューイングがサポートされません。ただし、ATM サブインターフェイスでポイントツーポイント インターフェイスのポリシー マップのキューイングを設定できます。
• Gigabit EtherChannel(GEC)を介した IP セッションはサポートされません。
• ISG ポリサーのサポートは Cisco 10000 シリーズ システムでのトラフィッククラス セッションに制限されます。
• IP セッションの負荷を分散できないため、ロード バランシングはどのシステムでもサポートされません。
Cisco 7600 シリーズ システムでの IP セッションのための MQC サポートの制約事項
Cisco 7600 シリーズ システムでの IP セッション機能のための MQC サポートには、次の制約事項が適用されます。
• トラフィック クラスはサポートされません。
• Cisco IOS Release 12.2(33)SRE 以降の Cisco 7600 シリーズのシステムでは、ポートチャネル リンクのための 1 対 1 のアクセス側インターフェイスの冗長性がサポートされますが、これは ES+ ラインカードでしかサポートされません。
• ATM インターフェイスでのセッションはサポートされません。
• IP セッションは、ambiguous IEEE 802.1Q in 802.1Q(QinQ)サブインターフェイスではサポートされません。
IP セッションのための MQC サポートに関する情報
• 「サポートされるインターフェイス」
• 「ISG ポリサー」
• 「ポリシー マップでの優先順位」
• 「Cisco 10000 シリーズ システムでの継承ルール」
サポートされるインターフェイス
IP セッションでの MQC がサポートされるインターフェイスには、システム別に次のものがあります。
• Cisco 10000 シリーズ システム
– 物理イーサネット
– .1Q、QinQ(unambiguous のみ)
• Cisco 7200 シリーズおよび Cisco 7300 シリーズ システム
– 物理イーサネット
– .1Q、QinQ(unambiguous のみ)
– キューイングなしの MQC over ATM
– ATM 1483 RBE と ATM ルーテッド Permanent Virtual Circuits(PVC; 相手先固定接続)
– Generic Routing Encapsulation(GRE)トンネル。ポリシー マップは、セッションとトンネルで同時には使用できません。
• Cisco 7600 シリーズ システム
– .1Q または QinQ サブインターフェイスのあるギガビット イーサネット
– Routed Bridge Encapsulation(RBE; ルーテッド ブリッジ エンカプセレーション)
– Permanent Virtual Connection(PVC; 相手先固定接続)
MQC は次のインターフェイスでサポートされていません。
• Bridge-Group Virtual Tunnel Interface(BVI)
• GEC
• Layer 2 Tunneling Protocol(L2TP; レイヤ 2 トンネリング プロトコル)セッション(L2TP ネットワーク サーバ(LNS)上)用に設定されるインターフェイス
次の機能と設定は、IP セッションでの MQC に使用されます。
• トラフィック クラス用の ISG ポリサー
(注) Cisco 7600 シリーズ システムでは、トラフィック クラスがサポートされません。
ISG ポリサー
複数のトラフィック クラスがある IP セッション、およびポリサーとして動作する 1 つまたは複数のトラフィック クラスがある IP セッションで動作するように、設定を作成できます。ISG ポリサーは下位互換性のために維持され、今すぐ MQC に移行しない場合には完全にサポートされます。ただし、ISG ポリサーと MQC の両方がある場合、ISG ポリサーを使用するか、または MQC に完全に移行する必要があります。ISG ポリサーから MQC へ完全に移行しない場合は、設定上の問題が発生します。
ポリシー マップでの優先順位
ポリシー マップはサービス ポリシーを指定するために 1 つ以上のインターフェイスに対応付けることができます。ソースをコンテキストと組み合わせて設定すると、ポリシー マップが適用される QoS が決まります。3 つの設定ソースとその一般的な優先順位は次のとおりです。
1. ユーザ単位(加入者単位)の設定
2. サービス プロファイル
3. インターフェイス コンフィギュレーション
この優先順位は一般的な条件を示しており、サービス プロファイルとユーザ単位の設定は、インターフェイスの設定よりも優先順位が高くなっています。
ただし、ユーザ プッシュ単位の Change of Authorization(CoA)は、重複する機能や共通の機能の現在のユーザ単位の設定を置換します。同様に、新しいサービスにログインしたとき、その設定によって、重複している機能を、以前に設定され、ユーザ単位の設定ソースからまだ適用されていないサービス プロファイルから置換します。
新しいサービスからログオフすると、より優先順位の高い設定ソースが適用されていない場合、既存の設定が再適用されます。
このような優先順位が指定されると、ポリシー マップが次のように決まります。
• セッションにポリシー マップがない場合、着信ポリシー マップが適用されません。
• 既存のポリシー マップが着信ポリシー マップよりも高い優先順位のソースから設定される場合、着信ポリシー マップが適用されません。
• 既存のポリシー マップが着信ポリシー マップよりも低い優先順位のソースから設定される場合、着信ポリシー マップがこれを置換します。
Cisco 10000 シリーズ システムでの継承ルール
親インターフェイスのポリシーおよびキューのための Cisco 10000 シリーズ システムでの継承ルールは次のとおりです。
• ポリシー マップのないセッションが開始された場合、直接の親からポリシーやキューを継承します。直接の親は、たとえば、サブインターフェイスやメイン インターフェイスです。
• 継承されたポリシーのあるセッションで RADIUS サーバからのポリシーを受信した場合、まず、継承されたポリシーが削除され、RADIUS サーバからポリシーが適用されます。
• ポリシーのないセッションが開始された場合、親インターフェイスにもポリシーがありませんが、後で親にポリシーが適用され、次の 2 つの結果となる可能性があります。
– メイン インターフェイスにポリシーが適用され、そのインターフェイス上のセッションがポリシーを継承します。メイン インターフェイスの下のサブインターフェイスでの独自のポリシーのないセッションもこのポリシーを継承します。
– ポリシーはサブインターフェイスに適用され、そのサブインターフェイスでのセッションがポリシーを継承します。
• ユーザが親インターフェイスからポリシーを削除すると、次の 2 つの結果となる可能性があります。
– サブインターフェイスからポリシーが削除され、ポリシーを継承したサブインターフェイスでのセッションから継承が解除されます。メイン インターフェイスにポリシーがある場合は、ポリシーが削除されたサブインターフェイスでのセッションがそのポリシーを継承します。
– ポリシーがメイン インターフェイスから削除され、メイン インターフェイスから継承が解除され、このポリシーを継承したサブインターフェイスでのセッションからも継承が解除されます。
• ポリシーをまだ持たないセッションが RADIUS サーバからポリシーを受け取った場合は、新しいポリシーをインストールするだけで済みますす。ただし、親から継承したポリシーがあるセッションで RADIUS サーバから新しいポリシーを受け取った場合、最初に親ポリシーの継承を解除し、その後で新しいポリシーをインストールする必要があります。
• セッション ポリシーが削除された場合、そのセッションはポリシーがある最も近い親、サブインターフェイス、またはメイン インターフェイスからポリシーを継承します。
IP セッションのための MQC サポートの設定方法
• 「IP セッションへの ISG QoS の設定」
ローカル サービス プロファイルの設定の詳細については、『 Cisco IOS Intelligent Services Gateway Configuration Guide 』の「 Configuring ISG Control Policies 」の章にある「Configuring Per-Session QoS Using the ISG Framework」を参照してください。
ローカル加入者プロファイル MQC のサポート
サービス プロファイルで QoS ポリシー マップを設定するには、次の手順の各ステップを実行します。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. policy-map type service service-name
4. service-policy policy-name
手順の詳細
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ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
policy-map type service service-name
Router# (config)# policy-map type service service1 |
ポリシーマップ コンフィギュレーション モードを開始します。ポリシー マップとそのサービス設定を指定します。 |
ステップ 4 |
service-policy policy-name
Router# (config-service-policymap)# service-policy service-policy1 |
サービス ポリシーを設定します。 |
IP セッションへの ISG QoS の設定
すでに設定されているトラフィック クラスをポリシー マップに関連付けるには、次の手順の各ステップを実行します。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. policy-map type service service-name
4. class type traffic class-name
手順の詳細
|
|
|
ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
policy-map type service service-name
Router# (config)# policy-map type service |
ポリシーマップ コンフィギュレーション モードを開始します。ポリシー マップとそのサービス設定を指定します。 |
ステップ 4 |
class type traffic class-name
Router# (config-service-policymap)# class type traffic |
すでに設定されているトラフィック クラスをポリシー マップに関連付けます。 |
IP セッションのための MQC サポートの設定例
• 「QoS ポリシー マップ、サービス プロファイル、およびコマンド ポリシー マップの設定:例」
QoS ポリシー マップ、サービス プロファイル、およびコマンド ポリシー マップの設定:例
次に、Cisco 7600 シリーズ システムで QoS ポリシー マップ、サービス プロファイル、およびコマンド ポリシー マップを設定する方法の例を示します。コマンド ポリシー マップは、インターフェイス イーサネット 0/0 上で service-policy キーワードで設定されます。
Router# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Router(config)# class-map match-any EF-customer
Router(config-cmap)# match access-group name CUSTOMER-EF
Router(config-cmap)# class-map match-any EF-WAN
Router(config-cmap)# match qos-group 6
Router(config-cmap)# policy-map PREMIUM_MARK_IN
Router(config-pmap)# class EF-customer
Router(config-pmap-c)# set cos 6
Router(config-pmap-c)# set dscp ef
Router(config-pmap-c)# set qos-group 6
Router(config-pmap-c)# class class-default
Router(config-pmap-c)# set dscp af11
Router(config-pmap-c)# set qos-group 1
Router(config-pmap-c)# set cos 1
Router(config-pmap-c)# policy-map PREMIUM_UB_OUT
Router(config-pmap)# class EF-WAN
Router(config-pmap-c)# police cir 200000000
Router(config-pmap-c-police)# priority
Router(config-pmap-c)# class class-default
Router(config-pmap-c)# policy-map type service PREMIUM_SERVICE
Router(config-service-policymap)# service-policy input PREMIUM_MARK_IN
Router(config-service-policymap)# service-policy output PREMIUM_UB_OUT
Router(config-service-policymap)# policy-map type control INT
Router(config-control-policymap)# class type control always event account-logon
Router(config-control-policymap-class-control)# 1 service-policy type service name PREMIUM_SERVICE
Router(config-control-policymap-class-control)# interface Ethernet0/0
Router(config-if)# ip address 10.0.0.1 255.255.255.0
Router(config-if)# pppoe enable group global
Router(config-if)# service-policy type control INT
その他の参考資料
関連資料
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ISG 制御ポリシーの設定方法 |
『 Cisco IOS Intelligent Services Gateway Configuration Guide 』の「 Configuring ISG Control Policies 」の章 |
MQC を使用した QoS ポリシーの設定方法 |
『Cisco IOS Quality of Service Solutions Configuration Guide』 |
ISG コマンド |
『Cisco IOS Intelligent Services Gateway Command Reference』 |
セッション単位での QoS 機能の適用方法 |
『 Cisco IOS Quality of Service Configuration Solutions Guide 』の「 Per-Session QoS 」の章 |
規格
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この機能がサポートする新しい規格または変更された規格はありません。また、この機能による既存規格のサポートに変更はありません。 |
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MIB
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この機能によってサポートされる新しい MIB または変更された MIB はありません。またこの機能による既存 MIB のサポートに変更はありません。 |
なし |
RFC
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この機能がサポートする新規 RFC または改訂 RFC はありません。また、この機能による既存 RFC のサポートに変更はありません。 |
-- |
シスコのテクニカル サポート
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右の URL にアクセスして、シスコのテクニカル サポートを最大限に活用してください。 以下を含むさまざまな作業にこの Web サイトが役立ちます。 ・テクニカル サポートを受ける ・ソフトウェアをダウンロードする ・セキュリティの脆弱性を報告する、またはシスコ製品のセキュリティ問題に対する支援を受ける ・ツールおよびリソースへアクセスする - Product Alert の受信登録 - Field Notice の受信登録 - Bug Toolkit を使用した既知の問題の検索 ・Networking Professionals(NetPro)コミュニティで、技術関連のディスカッションに参加する ・トレーニング リソースへアクセスする ・TAC Case Collection ツールを使用して、ハードウェアや設定、パフォーマンスに関する一般的な問題をインタラクティブに特定および解決する この Web サイト上のツールにアクセスする際は、Cisco.com のログイン ID およびパスワードが必要です。 |
http://www.cisco.com/cisco/web/support/index.html |
IP セッションのための MQC サポートの機能情報
表 9 に、この章に記載されている機能および具体的な設定情報へのリンクを示します。
プラットフォームおよびソフトウェア イメージのサポート情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator を使用すると、ソフトウェア イメージがサポートする特定のソフトウェア リリース、機能セット、またはプラットフォームを確認できます。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスします。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
(注) 表 9 には、一連のソフトウェア リリースのうち、特定の機能が初めて導入されたソフトウェア リリースだけが記載されています。特に明記していないかぎり、その機能は、一連のソフトウェア リリースの以降のリリースでもサポートされます。
表 9 IP セッションのための MQC サポートの機能情報
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IP セッションのための MQC サポート |
12.2(33)SRC 15.0(1)S |
Cisco ISG IP セッションで MQC プロビジョニングを提供します。 次のコマンドが導入または変更されました。 policy-map および service-policy |
ISG:セッション:マルチキャスト:共存 |
12.2(33)SRE |
Cisco IOS Release 12.2(33)SRE では、Cisco 7600 シリーズのルータに ISG セッション マルチキャスト共存機能のサポートが追加されました。 |
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