DNS クライアントについて
ここでは、次の内容について説明します。
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「DNS クライアントの概要」
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「ハイ アベイラビリティ」
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「仮想化のサポート」
DNS クライアントの概要
自分で名前の割り当てを管理していないネットワーク内のデバイスとの接続を、ネットワーク デバイスが必要とする場合は、DNS を使用して、ネットワーク間でデバイスを特定する一意のデバイス名を割り当てることができます。DNS は、階層方式を使用して、ネットワーク ノードのホスト名を確立します。これにより、クライアントサーバ方式によるネットワークのセグメントのローカル制御が可能となります。DNS システムは、デバイスのホスト名をそれに関連付けられた IP アドレスに変換して、ネットワーク デバイスを見つけることができます。
インターネット上のドメインは、組織のタイプや場所に基づく一般的なネットワークのグループを表す命名階層ツリーの一部です。ドメイン名は、ピリオド(.)を区切り文字として並べられています。たとえば、シスコは、インターネットでは com ドメインで表される営利団体であるため、そのドメイン名は cisco.com です。FTP(ファイル転送プロトコル)システムなどの、このドメイン内の特定のホスト名は ftp.cisco.com で識別されます。
ネーム サーバ
ネーム サーバはドメイン名の動向を把握し、自身が完全な情報を持っているドメイン ツリーの部分を認識しています。ネーム サーバは、ドメイン ツリーの他の部分の情報を格納している場合もあります。Cisco NX-OS 内の IP アドレスにドメイン名をマッピングするには、最初にホスト名を示し、そのあとにネーム サーバを指定して、DNS サービスをイネーブルにする必要があります。
Cisco NX-OS では、スタティックに IP アドレスをドメイン名にマッピングできます。また、1 つ以上のドメイン ネーム サーバを使用してホスト名の IP アドレスを見つけるよう、Cisco NX-OS を設定することもできます。
DNS の動作
ネーム サーバは、クライアントが DNS サーバに発行した、特定のゾーン内でローカルに定義されたホストの照会を次のように処理します。
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権限ネーム サーバは、その権限ゾーン内のドメイン名を求める DNS ユーザ照会に、自身のホスト テーブル内にキャッシュされた永久的なエントリを使用して応答します。照会で求められているのが、自身の権限ゾーン内であるが、設定情報が登録されていないドメイン名の場合、権限ネーム サーバは単に、その情報が存在しないと返信します。
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権限ネーム サーバとして設定されていないネーム サーバは、以前に受信した照会への返信からキャッシュした情報を使用して、DNS ユーザ照会に応答します。ゾーンの権限ネーム サーバとして設定されたルータがない場合は、ローカルに定義されたホストを求める DNS サーバへの照会には、正規の返信は送信されません。
ネーム サーバは、特定のドメインに設定された転送パラメータおよびルックアップ パラメータに従って、DNS 照会に応答します(着信 DNS 照会を転送するか、内部的に生成された DNS 照会を解決します)。
ハイ アベイラビリティ
Cisco NX-OS は、DNS クライアントのステートレス再起動をサポートしています。リブートまたはスーパーバイザ スイッチオーバーのあとに、Cisco NX-OS は実行コンフィギュレーションを適用します。
仮想化のサポート
Cisco NX-OS は、同じシステム上で動作する、DNS クライアントの複数インスタンスをサポートしています。各 VDC で DNS クライアントを設定できます。または、VDC 内の各 VRF で、異なる DNS クライアント設定を使用できます。デフォルトでは、特に別の VDC および VRF を設定しない限り、Cisco NX-OS によりデフォルト VDC およびデフォルト VRF が使用されます。詳細については、『 Cisco NX-OS Virtual Device Context Configuration Guide 』および 第 13 章「レイヤ 3 仮想化の設定」 を参照してください。
DNS クライアントのライセンス要件
次の表は、この機能のライセンス要件を示します。
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NX-OS |
DNS にはライセンスは不要です。ライセンス パッケージに含まれない機能はいずれも、Cisco NX-OS システム イメージにバンドルされており、無償で提供されます。NX-OS ライセンス方式の詳細説明については、『 Cisco NX-OS Licensing Guide 』を参照してください。 |
DNS クライアントの前提条件
DNS クライアントには、次の前提条件があります。
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ネットワーク上に DNS ネーム サーバが必要です。
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VDC を設定する場合は、Advanced Services ライセンスをインストールし、目的の VDC を入力します(『 Cisco NX-OS Virtual Device Context Configuration Guide 』を参照)。
設定時の注意事項および制約事項
DNS クライアントは特定の VRF で設定します。VRF を指定しない場合、Cisco NX-OS はデフォルト VRF を使用します。
DNS クライアントの設定
ここでは、DNS クライアントの設定方法と次の内容について説明します。
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「DNS クライアントの設定」
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「仮想化の設定」
(注) Cisco IOS CLI の詳しい知識がある場合は、この機能で使用する Cisco NX-OS コマンドが、よく使用される Cisco IOS コマンドとは異なる可能性があることに注意してください。
DNS クライアントの設定
ネットワーク上の DNS サーバを使用するよう、DNS クライアントを設定できます。
操作の前に
ネットワーク上にドメイン ネーム サーバがあることを確認します。
正しい VDC を使用していることを確認します(または、 switchto vdc コマンドを使用します)。
コマンドの一覧
1.
config t
2.
ip host name address1 [ address2 ... address6 ]
3.
ip domain-name name [ all-vrfs use-vrf vrf-name ]
4.
ip domain-list name [ all-vrfs use-vrf vrf-name ]
5.
ip name-server server-address1 [ server-address2 ... server-address6 ] [ all-vrfs use-vrf vrf-name ]
6.
ip domain lookup
7.
show hosts
8.
copy running-config startup-config
詳細な手順
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ステップ 1 |
config t
switch# config t switch(config)# |
コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip host name address1 [ address2 ... address6 ]
switch(config)# ip host cisco-rtp 192.0.2.1 |
ホスト名キャッシュに、6 つまでのスタティック ホスト 名前/アドレス マッピングを定義します。使用可能なアドレスは、IPv4 アドレスまたは IPv6 アドレスです。 |
ステップ 3 |
ip domain-name name [ all-vrfs use-vrf vrf-name ]
switch(config)# ip domain-name myserver.com |
(任意)Cisco NX-OS が無条件ホスト名を完成するために使用するデフォルト ドメイン ネーム サーバを定義します。または、このドメイン ネーム サーバを、デバイス上のすべての VRF にわたって定義し、このドメイン名を設定した VRF を無効にする VRF を指定することもできます。 Cisco NX-OS は、ドメイン名ルックアップを開始する前に、完全なドメイン名を含まないあらゆるホスト名にデフォルト ドメイン名をアペンドします。 |
ステップ 4 |
ip domain-list name [ all-vrfs use-vrf vrf-name ]
switch(config)# ip domain-list mycompany.com |
(任意)Cisco NX-OS が無条件ホスト名を完成するために使用できる追加のドメイン ネーム サーバを定義します。または、このドメイン リストを、デバイス上のすべての VRF にわたって定義し、このドメイン リストを設定した VRF を無効にする VRF を指定することもできます。 Cisco NX-OS はドメイン リスト内の各エントリを使用して、ドメイン名ルックアップを開始する前に、完全なドメイン名を含まないあらゆるホスト名にこのドメイン名をアペンドします。Cisco NX-OS は、一致するものが見つかるまで、ドメイン リストの各エントリにこれを実行します。 |
ステップ 5 |
ip name-server address1 [ address2 ... address6 ] [ all-vrfs use-vrf vrf-name ]
switch(config)# ip name-server 192.0.2.22 |
(任意)最大 6 つのネーム サーバを定義します。使用可能なアドレスは、IPv4 アドレスまたは IPv6 アドレスです。 または、このネーム サーバを、デバイス上のすべての VRF にわたって定義し、このネーム サーバを設定した VRF を無効にする VRF を指定することもできます。 |
ステップ 6 |
ip domain-lookup
switch(config)# ip domain-lookup |
(任意)DNS ベースのアドレス変換をイネーブルにします。デフォルトではイネーブルにされています。 |
ステップ 7 |
show hosts
switch(config)# show hosts |
(任意)DNS に関する情報を表示します。 |
ステップ 8 |
copy running-config startup-config
switch(config)# copy running-config startup-config |
(任意)この設定変更を保存します。 |
次に、デフォルト ドメイン名を設定し、DNS ルックアップをイネーブルにする例を示します。
switch# config t
switch(config)# ip domain-name cisco.com 192.0.2.1 all-vrfs use-vrf management
switch(config)# ip domain-lookup
switch(config# copy running-config startup-config
仮想化の設定
DNS クライアントを VRF 内で設定できます。vrf コンフィギュレーション モードを使用しない場合は、ご使用の DNS クライアント設定がデフォルト VRF に適用されます。
または、DNS クライアントを設定した VRF 以外の、指定した VRF を使用するよう、DNS クライアントを設定することもできます。たとえば、DNS クライアントを 赤の VRF で設定していても、青の VRF を使用して DNS サーバと通信できます。
操作の前に
ネットワーク上にドメイン ネーム サーバがあることを確認します。
正しい VDC を使用していることを確認します(または、 switchto vdc コマンドを使用します)。
コマンドの一覧
1.
config t
2.
vrf context vrf-name
3.
ip domain-name name [ all-vrfs use-vrf vrf-name ]
4.
ip domain-list name [ all-vrfs use-vrf vrf-name ]
5.
ip name-server server-address1 [ server-address2 ... server-address6 ] [ all-vrfs use-vrf vrf-name ]
6.
ip domain lookup
7.
show hosts
8.
copy running-config startup-config
詳細な手順
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ステップ 1 |
config t
switch# config t switch(config)# |
コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 1 |
vrf context vrf-name
switch(config)# vrf context Red switch(config-vrf)# |
VRF を作成し、VRF コンフィギュレーション モードを使用します。 |
ステップ 2 |
ip domain-name name [ all-vrfs use-vrf vrf-name ]
switch(config-vrf)# ip domain-name myserver.com |
(任意)Cisco NX-OS が無条件ホスト名を完成するために使用するデフォルト ドメイン ネーム サーバを定義します。または、このドメイン ネーム サーバを、デバイス上のすべての VRF にわたって定義し、このドメイン名を設定した VRF を無効にする VRF を指定することもできます。 Cisco NX-OS は、ドメイン名ルックアップを開始する前に、完全なドメイン名を含まないあらゆるホスト名にデフォルト ドメイン名をアペンドします。 |
ステップ 3 |
ip domain-list name [ all-vrfs use-vrf vrf-name ]
switch(config-vrf)# ip domain-list mycompany.com |
(任意)Cisco NX-OS が無条件ホスト名を完成するために使用できる追加のドメイン ネーム サーバを定義します。または、このドメイン リストを、デバイス上のすべての VRF にわたって定義し、このドメイン リストを設定した VRF を無効にする VRF を指定することもできます。 Cisco NX-OS はドメイン リスト内の各エントリを使用して、ドメイン名ルックアップを開始する前に、完全なドメイン名を含まないあらゆるホスト名にこのドメイン名をアペンドします。Cisco NX-OS は、一致するものが見つかるまで、ドメイン リストの各エントリにこれを実行します。 |
ステップ 4 |
ip name-server address1 [ address2 ... address6 ] [ all-vrfs use-vrf vrf-name ]
switch(config-vrf)# ip name-server 192.0.2.22 |
(任意)最大 6 つのネーム サーバを定義します。使用可能なアドレスは、IPv4 アドレスまたは IPv6 アドレスです。 または、このネーム サーバを、デバイス上のすべての VRF にわたって定義し、このネーム サーバを設定した VRF を無効にする VRF を指定することもできます。 |
ステップ 5 |
ip domain-lookup
switch(config-vrf)# ip domain-lookup |
(任意)DNS ベースのアドレス変換を、この VRF に対してイネーブルにします。デフォルトではイネーブルにされています。 |
ステップ 6 |
show hosts
switch(config)-vrf# show hosts |
(任意)DNS に関する情報を表示します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config
switch(config-vrf)# copy running-config startup-config |
(任意)この設定変更を保存します。 |
次に、デフォルト ドメイン名を設定し、VRF 内で DNS ルックアップをイネーブルにする例を示します。
switch# config t
switch(config)# vrf context Red
switch(config-vrf)# ip domain-name cisco.com 192.0.2.1 all-vrfs use-vrf management
switch(config-vrf)# ip domain-lookup
switch(config-vrf)# copy running-config startup-config
DNS クライアント設定の確認
DNS クライアント設定情報を確認するには、次のコマンドを使用します。
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show hosts |
DNS に関する情報を表示します。 |
DNS クライアント設定の例
次に、いくつかの代替ドメイン名を使用したドメイン リストの例を示します。
ip domain list telecomprog.edu
次に、ホストの名前/アドレス マッピング処理を設定して、IP DNS ベースの変換を指定する例を示します。この例では、ネーム サーバのアドレスとデフォルト ドメイン名も設定されます。
ip name-server 192.168.1.111 192.168.1.2
デフォルト設定
表4-1 は、DNS クライアント パラメータのデフォルト設定の一覧です。
表4-1 デフォルト DNS クライアント パラメータ
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DNS クライアント |
イネーブル |
その他の関連資料
DNS クライアントの実装に関する詳細情報については、次のページを参照してください。
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「関連資料」
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「標準」
関連資料
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DNS クライアント CLI コマンド |
『 Cisco NX-OS Command Line Reference 』 |
VDC および VRF |
『 Cisco NX-OS Virtual Device Contexts Configuration Guide 』 |
標準
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この機能によりサポートされる新規標準や変更された標準はありません。また、この機能による、既存の標準のサポートの変更もありません。 |
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