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この章では、ポート チャネルを設定し、Cisco Nexus 7000 シリーズ NX-OS でポート チャネルをより有効に利用するために Link Aggregation Control Protocol(LACP)を適用して設定する手順を説明します。
ポート チャネルは複数の物理インターフェイスの集合体で、論理インターフェイスを作成します。1 つのポート チャネルに最大 8 つの個別アクティブ リンクをバンドルして、帯域幅と冗長性を向上させることができます。また、ポート チャネルでは、これらの集約された各物理インターフェイス間でトラフィックのロード バランシングも行います。ポート チャネルの物理インターフェイスが少なくとも 1 つ動作していれば、そのポート チャネルは動作しています。
レイヤ 2 ポート チャネルに適合するレイヤ 2 インターフェイスをバンドルすれば、レイヤ 2 ポート チャネルを作成できます。レイヤ 3 ポート チャネルに適合するレイヤ 3 インターフェイスをバンドルすれば、レイヤ 3 ポート チャネルを作成できます。レイヤ 3 ポート チャネルを作成したら、ポート チャネル インターフェイスに IP アドレスを追加してレイヤ 3 ポート チャネルにサブインターフェイスを作成できます。レイヤ 2 インターフェイスとレイヤ 3 インターフェイスを同一のポート チャネルで組み合わせることはできません。
Cisco NX-OS Release 4.2 から、ポート セキュリティをポート チャネルに適用できます(ポート セキュリティの詳細については、『 Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Security Configuration Guide, Release 5.x 』 を参照してください)。
ポート チャネルのすべてのポートが同じ Virtual Device Context(VDC; 仮想デバイス コンテキスト)であることが必要です。複数の VDC にポート チャネルを設定できません。デバイスごとに最大 256 のポート チャネルを設定できます。
ポート チャネルをレイヤ 3 からレイヤ 2 に変更することもできます。レイヤ 2 インターフェイスの作成手順については、「レイヤ 2 インターフェイスの設定」を参照してください。
変更した設定をポート チャネルに適用すると、そのポート チャネルのメンバ インターフェイスにもそれぞれ変更が適用されます。たとえば、Spanning Tree Protocol(STP; スパニング ツリー プロトコル)パラメータをポート チャネルに設定すると、Cisco DC-OS ソフトウェアはこれらのパラメータをポート チャネルのそれぞれのインターフェイスに適用します。
(注) レイヤ 2 ポートがポート チャネルの一部になった後に、すべてのスイッチポートの設定をポート チャネルで実行する必要があります。スイッチポートの設定を各ポート チャネル メンバに適用できません。レイヤ 3 の設定を各ポート チャネル メンバに適用できません。設定をポート チャネル全体に適用する必要があります。
サブインターフェイスが論理ポート チャネル インターフェイスの一部であっても、レイヤ 3 ポート チャネルにサブインターフェイスを作成できます。ポート チャネル サブインターフェイスの詳細については、「サブインターフェイス」を参照してください。
集約プロトコルが関連付けられていない場合でもスタティック ポート チャネルを使用して設定を簡略化できます。
柔軟性を高めたい場合は LACP を使用できます。Link Aggregation Control Protocol(LACP)は IEEE 802.3ad で定義されています。LACP を使用すると、リンクによってプロトコル パケットが渡されます。
LACP については「LACP の概要」を参照してください。
• 「基本設定」
• 「互換性要件」
• 「LACP」
ポート チャネルは物理リンクをチャネル グループにバンドルして単一の論理リンクを作成し、最大 8 つの物理リンクからなる集約帯域幅を実現します。ポート チャネルのメンバ ポートが故障すると、それまでに故障したリンクで伝送されたトラフィックはポート チャネルに残っている他のメンバ ポートに切り替えます。
最大 8 つのポートをスタティック ポート チャネルにバンドルできます。集約プロトコルは使用しません。ただし、LACP をイネーブルにすればポート チャネルをより柔軟に使用できます。LACP を使ってポート チャネルを設定する場合とスタティック ポート チャネルを使って設定する場合では、手順が多少異なります(「ポート チャネルの設定」を参照)。
(注) デバイスのポート チャネルは Port Aggregation Protocol(PAgP)をサポートしません。
各ポートにはポート チャネルが 1 つだけあります。ポート チャネルのすべてのポートには互換性があり、同じ速度とデュプレックス モードを使用します(「互換性要件」を参照)。集約プロトコルを使わずにスタティック ポート チャネルを実行する場合、物理リンクはすべて on チャネル モードです。このモードは、LACP をイネーブルにしない限り変更できません(「ポート チャネル モード」を参照)。
ポート チャネル インターフェイスを作成すると、ポート チャネルを直接作成できます。またはチャネル グループを作成して個別ポートをバンドルに集約させることができます。インターフェイスをチャネル グループに関連付けると、ポート チャネルがない場合は対応するポート チャネルが自動的に作成されます。この場合、ポート チャネルは最初のインターフェイスのレイヤ 2 またはレイヤ 3 設定を行います。最初にポート チャネルを作成することもできます。この場合は、Cisco DC-OS ソフトウェアがポート チャネルと同じチャネル番号の空のチャネル グループを作成してデフォルト レイヤ 2 またはレイヤ 3 設定を行い、互換性も設定します(「互換性要件」を参照)。ポート チャネル サブインターフェイスの作成と削除の詳細については、「レイヤ 3 インターフェイスの設定」を参照してください。
(注) 少なくともメンバ ポートの 1 つがアップしており、そのポートのチャネルが有効であれば、ポート チャネルはアップしています。メンバ ポートがすべてダウンしていれば、ポート チャネルはダウンしています。
図 6-1 に、ポート チャネル インターフェイスを示します。
ポート チャネル インターフェイスは、レイヤ 2 またはレイヤ 3 インターフェイスとして分類できます。さらに、レイヤ 2 ポート チャネルはアクセス モードまたはトランク モードに設定できます。レイヤ 3 ポート チャネル インターフェイスのチャネル メンバにはルーテッド ポートがあり、場合によってはサブインターフェイスもあります。
Cisco NX-OS Release 4.2(1) から、スタティック Media Access Control(MAC; メディア アクセス制御)アドレスを使用してレイヤ 3 ポート チャネルを設定できます。この値を設定しない場合、レイヤ 3 ポート チャネルは、最初にアップになるチャネル メンバのルータ MAC を使用します。レイヤ 3 ポート チャネルでのスタティック MAC アドレス設定については、『 Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Layer 2 Switching Configuration Guide, Release 5.x 』 を参照してください。
レイヤ 2 ポートにアクセスまたはトランク モードを設定する手順については、「レイヤ 2 インターフェイスの設定」を参照してください。レイヤ 3 インターフェイスとサブインターフェイスを設定する手順については、「レイヤ 3 インターフェイスの設定」を参照してください。
ポート チャネル インターフェイスには次の基本設定ができます。
• 帯域幅:情報目的で設定します。上位レベルプロトコルで使用されます。
• 遅延:情報目的で設定します。上位レベルプロトコルで使用されます。
• Maximum Transmission Unit(最大伝送ユニット; MTU) (MTU の設定については、「基本インターフェイス パラメータの設定」を参照してください)
チャネル グループにインターフェイスを追加する場合、ソフトウェアは特定のインターフェイス アトリビュートをチェックし、インターフェイスがチャネル グループと互換性があることを確認します。たとえば、レイヤ 2 チャネル グループにレイヤ 3 インターフェイスを追加できません。また、Cisco DC-OS ソフトウェアはインターフェイスの多数の動作アトリビュートをチェックしてから、そのインターフェイスがポート チャネル集約に参加することを許容します。
Cisco DC-OS ソフトウェアが使用する互換性チェックの全リストを確認するには、 show port-channel compatibility-parameters コマンドを使用します。
チャネル モード セットを on に設定したインターフェイスだけをスタティック ポート チャネルに追加できます。また、チャネル モードを active または passive に設定したインターフェイスだけを、LACP を実行するポート チャネルに追加できます (ポート チャネル モードの詳細については、「LACP Marker Responder」を参照してください)。これらの属性は、個々のメンバ ポートに設定できます。設定するメンバ ポートのアトリビュートに互換性がない場合、ソフトウェアはこのポートをポート チャネルで一時停止させます。
または、次のパラメータが同じ場合、パラメータに互換性がないポートを強制的にポート チャネルに参加させることもできます。
インターフェイスがポート チャネルに参加すると、一部のパラメータが削除され、ポート チャネルの値が次のように置き換わります。
• Quality of Service(QoS; サービス品質)
• Access Control List(ACL; アクセス コントロール リスト)
インターフェイスがポート チャネルに参加または脱退しても、次に示す多くのインターフェイス パラメータは影響を受けません。
ポート チャネル インターフェイスにサブインターフェイスを設定し、ポート チャネルのメンバ ポートを削除すると、ポート チャネル サブインターフェイスの設定はメンバ ポートに伝わりません。
(注) ポート チャネルを削除すると、すべてのメンバ インターフェイスはポート チャネルから削除されたかのように設定されます。
Cisco DC-OS ソフトウェアは、フレームのアドレスを数値にハッシュしてチャネルのリンクを 1 つ選択することで、ポート チャネルのすべての動作インターフェイス間のトラフィックをロード バランシングします。ポート チャネルはデフォルトでロード バランシングを備えています。ポート チャネル ロード バランシングは、MAC アドレス、IP アドレスを使用します。またはレイヤ 4 ポート番号を使用してリンクを選択します。ポート チャネル ロード バランシングは、送信元または宛先アドレスおよびポートの両方またはどちらか一方を使用します。
ロード バランシング モードを設定して、デバイス全体または指定したモジュールに設定したすべてのポート チャネルに適用することができます。モジュールごとの設定はデバイス全体のロード バランシング設定に優先されます。デバイス全体に 1 つのロード バランシング モードを、指定したモジュールに別のモードを、さらに別の指定したモジュールに別のモードを設定できます。ポート チャネルごとにロード バランシング方式を設定することはできません。
使用するロード バランシング アルゴリズムのタイプを設定できます。ロード バランシング アルゴリズムを指定し、フレームのフィールドを見て出力トラフィックに選択するメンバ ポートを決定します。
(注) レイヤ 3 インターフェイスのデフォルト ロード バランシング モードは、発信元および宛先 IP アドレスです。非 IP インターフェイスのデフォルト ロード バランシング モードは、送信元および宛先 MAC アドレスです。
次のいずれかの方式を使用するデバイスを設定し、ポート チャネル全体をロード バランシングできます。
非 IP およびレイヤ 3 ポート チャネルはどちらも設定したロード バランシング方式に従い、発信元、宛先、または発信元および宛先パラメータを使用します。たとえば、発信元 IP アドレスを使用するロード バランシングを設定すると、すべての非 IP トラフィックは発信元 MAC アドレスを使用してトラフィックをロード バランシングしますが、レイヤ 3 トラフィックは発信元 IP アドレスを使用してトラフィックをロード バランシングします。同様に、宛先 MAC アドレスをロード バランシング方式として設定すると、すべてのレイヤ 3 トラフィックは宛先 IP アドレスを使用しますが、非 IP トラフィックは宛先 MAC アドレスを使用してロード バランシングします。
(注) VDC ごとにポート チャネルを使用してロード バランシングを設定することはできません。この機能を設定する場合はデフォルト VDC であることが必要です。別の VDC からこの機能を設定しようとすると、システムはエラーを表示します。
ロード バランシングは、VDC とは無関係に、システム全体または特定のモジュールによって設定できます。ポート チャネルのロード バランシングは、すべての VDC にわたるグローバル設定です。
入トラフィックが Multiprotocol Label Switching(MPLS; マルチプロトコル ラベル スイッチング)の場合、ソフトウェアはパケットの IP アドレスのラベルの下位部分を参照します。
ポート チャネルを使用するロード バランシング アルゴリズムは、マルチキャスト トラフィックには適用されません。設定したロード バランシング アルゴリズムにかかわらず、マルチキャスト トラフィックは次の方式を使用してポート チャネルのロード バランシングを行います。
• レイヤ 4 情報を持つマルチキャスト トラフィック:送信元 IP アドレス、送信元ポート、宛先 IP アドレス、宛先ポート
• レイヤ 4 情報を持たないマルチキャスト トラフィック:発信元 IP アドレス、宛先 IP アドレス
• 非 IP マルチキャスト トラフィック:発信元 MAC アドレス、宛先 MAC アドレス
(注) Cisco IOS を実行するデバイスは、単一メンバの障害時に、port-channel hash-distribution コマンドを実行することで、メンバ ポートの ASIC の動作を最適化できました。Cisco Nexus 7000 はこの最適化をデフォルトで実行し、このコマンドを必要とせず、またサポートしません。Cisco NX-OS は、デバイス全体に対してであれ、モジュール単位であれ、port-channel load-balance ethernet コマンドによるポート チャネル上のロード バランシング基準のカスタマイズをサポートしません。
LACP では、最大 16 のインターフェイスを 1 つのポート チャネルに設定できます。最大 8 つのインターフェイスをアクティブに、最大 8 つのインターフェイスをスタンバイ ステートにできます。
(注) LCAP は、使用する前に イネーブルにする必要があります。デフォルトでは、LACP はディセーブルです。
LACP をイネーブルにする手順については「LACP のイネーブル化」を参照してください。
Cisco NX-OS Release 4.2 から、システムは機能のディセーブル化の前に自動的にチェックポイントを作成するため、このチェックポイントにロールバックできます。コールバックとチェックポイントについては、『 Cisco Nexus 7000 Series NX-OS System Management Configuration Guide, Release 5.x 』 を参照してください。
図 6-2 に、個別リンクを LACP ポート チャネルおよびチャネル グループに組み込み、個別リンクとして機能させる方法を示します。
LACP では、最大 16 のインターフェイスを 1 つのチャネル グループにバンドルできます。チャネル グループのインターフェイスが 8 つよりも多い場合、残りのインターフェイスは、このチャネル グループに関連付けられたポート チャネルのホットスタンバイとなります。
(注) ポート チャネルを削除すると、ソフトウェアは関連付けられたチャネル グループを自動的に削除します。すべてのメンバ インターフェイスはオリジナルの設定に戻ります。
ポート チャネルの個別インターフェイスは、チャネル モードで設定します。スタティック ポート チャネルを集約プロトコルを使用せずに実行すると、チャネル モードは常に on に設定されます。
デバイス上で LACP をグローバルにイネーブルにした後、各インターフェイスのチャネル モードを active または passive に設定して、各チャネルの LACP をイネーブルにします。チャネル グループにリンクを追加すると、LACP チャネル グループの個別リンクにいずれかのチャネル モードを設定できます。
(注) active または passive チャネル モードで、個々のインターフェイスを設定するには、まず、LACP をグローバルにイネーブルにする必要があります。
表 6-1 で、各チャネル モードについて説明します。
LACP は、パッシブおよびアクティブ モードの両方でポート間をネゴシエートして、ポート速度やトランキング ステートなどを基準にしてポート チャネルを形成できるかどうかを決定します。パッシブ モードは、リモート システムやパートナーが LACP をサポートするかどうか不明の場合に役に立ちます。
次の例のようにモードに互換性がある場合、ポートの LACP モードが異なれば、ポートは LACP ポート チャネルを形成できます。
• active モードのポートは、 active モードの別のポートとともにポート チャネルを正しく形成できます。
• active モードのポートは、 passive モードの別のポートとともにポート チャネルを形成できます。
• passive モードのポートは、どちらのポートもネゴシエーションを開始しないため、 passive モードの別のポートとともにポート チャネルを形成できません。
• on モードのポートは LACP を実行しておらず、 active または passive モードの別のポートとともにポート チャネルを形成できません。
LACP を実行するどのシステムにも LACP システム プライオリティ値があります。このパラメータのデフォルトの値である 32768 を適用することも、1 ~ 65535 の値を設定することもできます。LACP はシステム プライオリティに MAC アドレスを使用してシステム ID を形成します。また、他のデバイスとのネゴシエーション中にもシステム プライオリティを使用します。システム プライオリティ値が大きいほど、プライオリティは低くなります。
(注) LACP のシステム ID は、LACP システム プライオリティ値と MAC アドレスを組み合わせたものです。
LACP を使用するように設定されたポートにはそれぞれ LACP ポート プライオリティがあります。LACP ポート プライオリティに、デフォルト値である 32768 を適用することも、1 ~ 65535 の値を設定することもできます。LACP はポート番号とともにポート プライオリティを使用して、ポート ID を形成します。
互換性のあるすべてのポートを集約できない制限がある場合、LACP はポート プライオリティを使用して、スタンバイ モードにする必要があるポートを決定し、アクティブ モードにすべきポートを指定します。LACP では、ポート プライオリティ値が大きいほど、プライオリティは低くなります。指定ポートが、より低い LACP プライオリティを持ち、ホット スタンバイ リンクではなくアクティブ リンクとして選択される可能性が最も高くなるように、ポート プライオリティを設定できます。
LACP は、LACP を使用するように設定されたポートごとに、チャネルグループ番号と同じ管理キー値を自動的に設定します。管理キーは、他のポートと集約されるポートの機能を定義します。他のポートと集約されるポート機能は、次の要因によって決まります。
ポート チャネルを使用すればデータ トラフィックを動的に再配布できます。この再配布により、リンクが削除または追加されたり、ロード バランシング スキームが変更されることもあります。トラフィック フローの途中でトラフィックが再配布されると、フレームの秩序が乱れる可能性があります。
LACP は Marker Protocol を使って、再配布によってフレームが重複したり順番が入れ替わらないようにします。Marker Protocol は、所定のトラフィック フローのすべてのフレームがリモート エンドで正しく受信すると検出します。LACP は ポート チャネル リンクごとに Marker PDUS を送信します。リモート システムは、Marker PDU よりも先にこのリンクで受信されたすべてのフレームを受信すると、Marker PDU に応答します。リモート システムは次に Marker Responder を送信します。ポート チャネルのすべてのメンバ リンクの Marker Responder を受信したローカル システムは、トラフィック フローのフレームを正しい順序で再配分します。ソフトウェアは Marker Responder だけをサポートします。
表 6-2 に、LACP がイネーブルのポート チャネルとスタティック ポート チャネルの主な相違点を示します。
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相互運用性の解決、および LACP プロトコル収束の高速化のために複数の新しいコマンドがリリース 4.2(3) に追加されました。
Cisco Nexus 7000 が非 Nexus ピアに接続されている場合、そのグレースフル フェールオーバーのデフォルトが、ディセーブルにされたポートがダウンになるための時間を遅らせる可能性があります。また、ピアからのトラフィックを喪失する原因にもなります。これらの状況を解決するために、 lacp graceful-convergence コマンドが追加されました。
デフォルトで、ポートがピアから LACP PDU を受信しない場合、LACP はポートを中断ステートに設定します。場合によっては、この機能は誤設定によって作成されるループの防止に役立ちますが、サーバが LACP にポートを論理的アップにするように要求するときに、サーバの起動に失敗する原因になることがあります。 lacp suspend-individual コマンドを使用して、ポートを個別の状態に設定できます。
メンバ ポートと他のポート チャネルに関連する設定は、ポート チャネルとメンバ ポートを持つVirtual Device Context(VDC; 仮想デバイス コンテキスト)で設定します。すべての VDC 間に最大 256 のポート チャネルを設定できます。各 VDC で 1 ~ 4096 の番号を使ってポート チャネルに番号を設定できます。異なる VDC に同じポート チャネル番号を使用できます。たとえば、VDC1 にポート チャネル 100 を設定し、VDC2 の別のポート チャネルにも 100 を設定できます。
ただし、LACP システム ID は VDC ごとに異なります。LACP の詳細については、「LACP の概要」を参照してください。
(注) VDC およびリソースの割り当ての詳細については、『Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Virtual Device Context Configuration Guide, Release 5.x』を参照してください。
1 つのポート チャネルのすべてのポートと VLAN は同じ VDC であることが必要です。LACP を使用する場合、最大 8 つのアクティブ ポートと最大 8 つのスタンバイ ポートは同じ VDC であることが必要です。ポート チャネルはグローバルに作成されるので、ポート チャネルにメンバ ポートを設定する前に、それぞれの VDC に割り当てるメンバ ポートを確認する必要があります。ポート チャネルは 1 つの VDC から始まり(そのチャネルのすべてのポートが同じ VDC)、別の VDC のポート チャネルに対応します(この場合もそのチャネルのすべてのポートは同じ VDC)。
(注) ポートチャネリング ロード バランシング モードは、単一のモジュールまたはモジュール全体で動作します。デフォルト VDC のポート チャネルを使用するロード バランシングを設定する必要があります。指定した VDC のポート チャネルを使用してロード バランシングを設定することはできません。ロード バランシングの詳細については、「ポート チャネルを使ったロード バランシング」を参照してください。
ポート チャネルは、複数のポートのトラフィックをロード バランシングすることでハイ アベイラビリティを実現します。物理ポートが故障した場合、ポート チャネルのメンバがアクティブであればポート チャネルは引き続き動作します。モジュール間の設定が共通しているため、異なるモジュールのポートをバンドルして、モジュール故障時にも動作するポート チャネルを作成できます。
ポート チャネルは、ステートフル再起動とステートレス再起動をサポートします。ステートフル再起動はスーパーバイザ切り替え時に発生します。切り替え後、Cisco DC-OS ソフトウェアは実行時の設定を適用します。
(注) ハイ アベイラビリティ機能の詳細については、『Cisco Nexus 7000 Series NX-OS High Availability and Redundancy Guide, Release 5.x』を参照してください。
• 必要に応じて Advanced Services ライセンスをインストールし、必要な VDC を開始すること。
• チャネル グループのすべてのポートが同じ VDC であること。
• シングル ポート チャネルのすべてのポートは、レイヤ 2 またはレイヤ 3 ポートであること。
• シングル ポート チャネルのすべてのポートが、互換性の要件を満たしていること。互換性の要件の詳細については、「互換性要件」を参照してください。
• この機能を使用する前に LACP をイネーブルにする必要があります。
• 冗長スーパーバイザ エンジン上のポートも含め、すべてのモジュール上のすべてのイーサネット ポートは、ポート チャネル(最大 8 つのアクティブ ポートを持つ)をサポートします。これらのポートは、物理的に隣接しているポートでなくても、また同じモジュール上のポートでなくてもかまいません。
• 共有および専用ポートは同じポート チャネルに設定できません (共有および専用ポートについては、「基本インターフェイス パラメータの設定」を参照してください)。
• レイヤ 2 ポート チャネルでは、ポートに互換性が設定されていれば、STP ポート パス コストが異なる場合でもポート チャネルを形成できます。
• STP では、ポート チャネル バンドルはシングル ポートと見なされます。この場合のポート コストは、そのチャネルに割り当てられているすべての設定されたポート コストの合計です。
• ポート チャネルを設定した場合、ポート チャネル インターフェイスに適用した設定はポート チャネル メンバ ポートに影響を与えます。メンバ ポートに適用した設定は、設定を適用したメンバ ポートにだけ影響します。
• LACP は半二重モードをサポートしません。LACP ポート チャネルの半二重ポートは中断ステートになります。
• ポート チャネルにポートを追加する前に、ポートセキュリティ情報をそのポートから削除しておく必要があります。同様に、チャネル グループのメンバであるポートにポートセキュリティ情報を追加できません。
• ポート チャネル グループに属するポートはプライベート VLAN ポートとして設定しないでください。ポートがプライベート VLAN の設定に含まれている間は、そのポート チャネルの設定は非アクティブになります。
• 「ポート チャネル インターフェイスのシャットダウンと再起動」
• 「ポート チャネル インターフェイスへの速度とデュプレックスの設定」
(注) ポート チャネル インターフェイスに MTU を設定する手順については、「基本インターフェイス パラメータの設定」を参照してください。ポート チャネル インターフェイスに IPv4 および IPv6 アドレスを設定する手順については、「レイヤ 3 インターフェイスの設定」を参照してください。
(注) Cisco IOS CLI を熟知している場合は、この機能の Cisco NX-OS コマンドと使用する Cisco IOS コマンドが異なる場合もある点に注意してください。
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interface port-channel channel-number |
設定するポート チャネル インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。指定できる範囲は 1 ~ 4096 です。Cisco DC-OS ソフトウェアは、チャネル グループがない場合はそれを自動的に作成します。 |
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no interface port-channel コマンドを使用して、ポート チャネルを削除し、関連するチャネルグループを削除します。
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ポート チャネルを削除したときのインターフェイス コンフィギュレーションの変化について詳しくは、「互換性要件」を参照してください。
新しいチャネル グループまたはすでにレイヤ 2 ポートを含むチャネル グループにレイヤ 2 ポートを追加できます。ポート チャネルがない場合は、このチャネル グループに関連付けられたポート チャネルが作成されます。
LACP ベースのポート チャネルにする場合は LACP をイネーブルにします。
5. switchport trunk { allowed vlan vlan-id | native vlan-id }
6. channel-group channel- number [ force ] [ mode { on | active | passive }]
no channel-group コマンドを使用して、チャネル グループからポートを削除します。
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次に、レイヤ 2 イーサネット インターフェイス 1/4 をチャネル グループ 5 に追加する例を示します。
新しいチャネル グループまたはすでにレイヤ 3 ポートが設定されているチャネル グループにレイヤ 3 ポートを追加できます。ポート チャネルがない場合は、このチャネル グループに関連付けられたポート チャネルが作成されます。
追加するレイヤ 3 ポートに IP アドレスが設定されている場合、ポートがポート チャネルに追加される前にその IP アドレスは削除されます。レイヤ 3 ポート チャネルを作成したら、ポート チャネル インターフェイスに IP アドレスを割り当てることができます。また、既存のレイヤ 3 ポート チャネルにサブインターフェイスを追加できます。
LACP ベースのポート チャネルにする場合は LACP をイネーブルにします。
4. channel-group channel- number [ force ] [ mode { on | active | passive }]
no channel-group コマンドを使用して、チャネル グループからポートを削除します。チャネル グループから削除されたポートは元の設定に戻ります。このポートの IP アドレスを再設定する必要があります。
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次に、レイヤ 3 イーサネット インターフェイス 1/5 を on モードのチャネル グループ 6 に追加する例を示します。
次に、レイヤ 3 ポート チャネル インターフェイスを作成して IP アドレスを割り当てる例を示します。
2. interface port-channel channel-number
次に、情報用にポート チャネル 5 の帯域幅および遅延パラメータを設定する例を示します。
ポート チャネル インターフェイスをシャットダウンして再起動できます。ポート チャネル インターフェイスをシャットダウンすると、トラフィックは通過しなくなりインターフェイスは管理上ダウンします。
2. interface port-channel channel-number
次に、ポート チャネル 2 のインターフェイスをアップする例を示します。
2. interface port-channel channel-number
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interface port-channel channel-number |
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ポート チャネル インターフェイスに説明を追加できます。説明は 80 字以内で行います。デフォルトでは、説明は表示されません。説明を表示する場合はあらかじめこのパラメータを設定する必要があります。 |
||
2. interface port-channel channel-number
3. speed
{
10 |
100 |
1000 |
auto }
4. duplex
{
auto |
full |
half }
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interface port-channel channel-number |
||
次に、ポート チャネル 2 に 100 Mb/s を設定する例を示します。
1 Gb 以上で動作するポート チャネル インターフェイスのフロー制御ポーズ パケットの送信および受信機能をイネーブルまたはディセーブルにできます。1 Gb よりも低速で動作するポート チャネル インターフェイスでは、ポート チャネル インターフェイスのポーズ パケット受信機能だけをイネーブルまたはディセーブルにできます。
(注) この設定がリンクのローカルおよびリモート エンドの両方で一致しなければ、フロー制御が正しく動作しません。
2. interface port-channel channel-number
3. flowcontrol
{
receive |
send }
{
desired |
off |
on }
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interface port-channel channel-number |
||
flowcontrol |
フロー制御パラメータを設定して、ポート チャネル インターフェイスのポーズ パケットを送信および受信します。デフォルトは、ディセーブルです。 |
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次に、ポート チャネル グループ 2 にポート チャネル インターフェイスを設定してポーズ パケットを送信および受信する例を示します。
ポート チャネルのロード バランシング アルゴリズムを設定し、デバイス全体または VDC との関連付けにかかわらず 1 のモジュールだけに適用します。モジュールベースのロード バランシングは、デバイスベースのロード バランシングに優先します。
2. port-channel load-balance ethernet { dest-ip-port | dest-ip-port-vlan | destination-ip-vlan | destination-mac | destination-port | source-dest-ip-port | source-dest-ip-port-vlan | source-dest-ip-vlan | source-dest-mac | source-dest-port | source-ip-port | source-ip-port-vlan | source-ip-vlan | source-mac | source-port } [ module - number ]
no port-channel load-balance ethernet を使用してデフォルトのロード バランシング アルゴリズム(非 IP トラフィック用の source-dest-mac、および IP トラフィック用の source-dest-ip)を復元します。
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次に、モジュール 5 のポート チャネルに発信元 IP ロード バランシングを設定する例を示します。
LACP はデフォルトでディセーブルです。LACP 設定を開始する前に LACP をイネーブルにする必要があります。LACP 設定が 1 つでも存在する限り、LACP をディセーブルにできません。
LACP は、LAN ポート グループの機能を動的に学習し、残りの LAN ポートに通知します。LACP は、正確に一致しているイーサネット リンクを識別すると、リンクを 1 つのポート チャネルとしてまとめます。次に、ポート チャネルは単一ブリッジ ポートとしてスパニングツリーに追加されます。
• LACP をグローバルにイネーブルにするには、 feature lacp コマンドを使用します。
• LACP をイネーブルにした同一ポート チャネルでは、異なるインターフェイスに異なるモードを使用できます。 指定したチャネル グループに割り当てられた唯一のインターフェイスである場合に限り、モードを active と passive で切り替えることができます。
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LACP をイネーブルにしたら、LACP ポート チャネルのそれぞれのリンクのチャネル モードを active または passive に設定できます。このチャネル コンフィギュレーション モードを使えば、LACP でリンクを許容できます。
関連する集約プロトコルを使用せずにポート チャネルを設定すると、リンク両端のすべてのインターフェイスは on チャネル モードを維持します。
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channel-group number mode |
ポート チャネルのリンクのポート モードを指定します。LACP をイネーブルにしたら、各リンクまたはチャネル全体を active または passive に設定します。 |
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次に、LACP をイネーブルにしたインターフェイスを、チャネル グループ 5 のイーサネット インターフェイス 1/4 のアクティブ ポート チャネル モードに設定する例を示します。
2. lacp system-priority priority
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LACP で使用するシステム プライオリティを設定します。有効範囲は 1 ~ 65535 で、値が大きいほどプライオリティは低くなります。デフォルト値は 32768 です。 (注) VDC ごとに LACP システム ID が異なります。これは、この設定値に MAC アドレスが追加されるためです。 |
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次に、LACP システム プライオリティを 2500 に設定する例を示します。
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LACP で使用するポート プライオリティを設定します。有効範囲は 1 ~ 65535 で、値が大きいほどプライオリティは低くなります。デフォルト値は 32768 です。 |
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次に、イーサネット インターフェイス 1/4 の LACP ポート プライオリティを 40000 に設定する例を示します。
デフォルトで、LACP グレースフル コンバージェンスはイネーブルになっています。あるデバイスとの LACP 相互運用性をサポートする必要がある場合、コンバージェンスをディセーブルにできます。そのデバイスとは、グレースフル フェールオーバーのデフォルトが、ディセーブルにされたポートがダウンになるための時間を遅らせる可能性がある、または、ピアからのトラフィックを喪失する原因にもなるデバイスです。
(注) コマンドが実行される前に、ポート チャネルが管理上のダウン状態である必要があります。
2. interface port-channel number
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次に、ポート チャネルの LACP グレースフル コンバージェンスをディセーブルにする方法を示します。
デフォルトの LACP グレースフル コンバージェンスが再度必要になった場合、コンバージェンスを再度イネーブルにできます。
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次に、ポート チャネルの LACP グレースフル コンバージェンスをイネーブルにする方法を示します。
ポートがピアから LACP PDU を受信しない場合、LACP はポートを中断ステートに設定します。これが、サーバが LACP にポートを論理的アップにするように要求するときに、サーバの起動に失敗する原因になることがあります。個別の利用のために動作を調整できます。
(注) エッジ ポートで lacp suspend-individual コマンドを実行するだけです。コマンドが実行される前に、ポート チャネルが管理上のダウン状態である必要があります。
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次に、ポート チャネルで LACP 個別ポートの一時停止動作をディセーブルにする方法を示します。
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次に、ポート チャネルで LACP 個別ポートの一時停止動作を再度イネーブルにする方法を示します。
次のコマンドを使用すると、ポート チャネル構成情報を表示することができます。
このコマンドの詳細については、『 Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Interfaces Command Reference, Release 5.x 』 を参照してください。
次のコマンドを使用すると、ポート チャネル インターフェイス構成情報を表示することができます。
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clear lacp counters [ interface port-channel channel-number ] |
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Cisco Nexus 7000 シリーズ デバイスの Cisco NX-OS Release 4.2(1) から、3 種類のサンプリング間隔をビットレートおよびパケットレートの統計情報に設定します。 |
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これらのコマンドについては、 『Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Interfaces Command Reference, Release 5.x 』 を参照してください。
次に、LACP ポート チャネルを作成し、そのポート チャネルに 2 つのレイヤ 2 インターフェイスを追加する例を示します。
次に、チャネル グループに 2 つのレイヤ 3 インターフェイスを追加する例を示します。Cisco DC-OS ソフトウェアによって、ポート チャネルは自動的に作成されます。
表 6-3 に、ポート チャネル パラメータのデフォルト設定を示します。
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ポート チャネルの実装に関する追加情報については、次の項を参照してください。
• 「関連資料」
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Management Information Base(MIB; 管理情報ベース)を検索およびダウンロードするには、次の URL にアクセスしてください。 http://www.cisco.com/public/sw-center/netmgmt/cmtk/mibs.shtml |
表 6-4 は、この機能のリリースの履歴です。
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