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この章では、Cisco Nexus 7000 シリーズ デバイスで Generic Route Encapsulation(GRE)を使って IP トンネルを設定する手順について説明します。
IP トンネルを使うと、同じレイヤまたは上位レイヤ プロトコルをカプセル化して、2 台のデバイス間で作成されたトンネルを通じて IP に結果を転送できます。
IP トンネルは次の 3 つの主要コンポーネントで構成されています。
• パッセンジャ プロトコル:カプセル化する必要があるプロトコル。パッセンジャ プロトコルの例には IPv4 があります。
• キャリア プロトコル:パッセンジャ プロトコルをカプセル化するために使用するプロトコル。Cisco NX-OS はキャリア プロトコルとして GRE をサポートします。
• トランスポート プロトコル:カプセル化したプロトコルを伝送するために使用するプロトコル。トランスポート プロトコルの例には IPv4 があります。
IP トンネルは IPv4 などのパッセンジャ プロトコルを使用し、このプロトコルを GRE などのキャリア プロトコル内にカプセル化します。次に、このキャリア プロトコルは IPv4 などのトランスポート プロトコルを通じてデバイスから送信されます。
対応する特性を持つトンネル インターフェイスをトンネルの両端にそれぞれ設定します。
詳細については、「IP トンネルの設定」を参照してください。
設定の前にトンネル機能をイネーブルにする必要があります。Cisco NX-OS Release 4.2 から、システムは機能のディセーブル化の前に自動的にチェックポイントを作成するため、このチェックポイントにロールバックできます。コールバックとチェックポイントについては、『 Cisco Nexus 7000 Series NX-OS System Management Configuration Guide, Release 5.x 』 を参照してください。
Cisco NX-OS Release 4.2 から、ある Virtual Device Context(VDC; 仮想デバイス コンテキスト)に設定されたトンネルは、同じ番号を持つ別の VDC に設定されたトンネルとは区別されます。たとえば、VDC 1 のトンネル 0 は VDC 2 のトンネル 0 とは異なります。
Cisco NX-OS Release 4.2 から、トンネル送信元 IP アドレスおよび宛先 IP アドレスは、同一の Virtual Routing and Forwarding(VRF; 仮想ルーティング/転送)にある必要があります。
Generic Routing Encapsulation(GRE)をさまざまなパッセンジャ プロトコルのキャリア プロトコルとして使用できます。
図 8-1 に、GRE トンネルの IP トンネル コンポーネントを示します。オリジナルのパッセンジャ プロトコル パケットは GRE ペイロードとなり、デバイスはパケットに GRE ヘッダーを追加します。次にデバイスはトランスポート プロトコル ヘッダーをパケットに追加して送信します。
図 8-1 GRE Protocol Data Unit(PDU)
Path Maximum Transmission Unit(MTU; 最大伝送ユニット)Discovery(PMTUD)は、パケットの発信元から宛先へのパスに沿って最小 MTU を動的に決定することで、2 つのエンドポイント間のパスのフラグメンテーションを防ぎます。PMTUD は、パケットにフラグメンテーションが必要であるという情報がインターフェイスに届くと、接続に対する送信 MTU 値を減らします。
PMTUD をイネーブルにすると、インターフェイスはトンネルを通過するすべてのパケットに Don't Fragment(DF)ビットを設定します。トンネルに入ったパケットがそのパケットの MTU 値よりも小さい MTU 値を持つリンクを検出すると、リモート リンクはそのパケットをドロップし、パケットの送信元に Internet Control Message Protocol(ICMP; インターネット制御メッセージ プロトコル)メッセージを返します。このメッセージには、フラグメンテーションが要求されたこと(しかし許可されなかったこと)と、パケットをドロップしたリンクの MTU が含まれています。
(注) トンネル インターフェイスの PMTUD は、トンネル エンドポイントがトンネルのパスでデバイスによって生成される ICMP メッセージを受信することを要求します。ファイアウォール接続を通じて PMTUD を使用する前に、ICMP メッセージが受信できることを確認してください。
IP トンネルはデフォルトの Virtual Device Context(VDC; 仮想デバイス コンテキスト)およびデフォルトの Virtual Routing and Forwarding(VRF; 仮想ルーティング/転送)インスタンスにだけ設定できます。
Cisco NX-OS Release 4.2 から、トンネル インターフェイスは Virtual Routing and Forwarding(VRF; 仮想ルーティング/転送)インスタンスのメンバとして、および、VDC のメンバとして設定できます。特に別の VDC や VRF を設定しない限り、デフォルトでは、Cisco NX-OS のデフォルトの VDC およびデフォルトの VRF が使用されます。ある VDC に設定されたトンネルは、同じ番号を持つ別の VDC に設定されたトンネルとは区別されます。たとえば、VDC 1 のトンネル 0 は VDC 2 のトンネル 0 とは異なります。
トンネル送信元 IP アドレスおよび宛先 IP アドレスは、同一の VRF にある必要があります。VRF がトンネル宛先の検索に何を使用するかも指定できます。この VRF は、トンネル送信元 IP アドレスの VRF と一致しなければなりません。
VDC については、 『Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Virtual Device Context Configuration Guide, Release 5.x 』 を、VRF については、 『Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Unicast Routing Configuration Guide, Release 5.x 』 を参照してください。
IP トンネルはステートフル再起動をサポートします。ステートフル再起動はスーパーバイザ切り替え時に発生します。切り替え後、Cisco NX-OS は実行時の設定を適用します。
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IP トンネルには Enterprise Services ライセンスが必要です。Cisco NX-OS ライセンス方式について、およびライセンスの取得方法と適用方法についての詳細については、 『Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Licensing Guide, Release 5.x 』 を参照してください。 |
• IP トンネルを設定するための TCP/IP に関する基礎知識があること。
• Cisco NX-OS は、IETF RFC 2784 に定義されている GRE ヘッダーをサポートします。Cisco NX-OS は、トンネル キーと IETF RFC 1701 のその他のオプションをサポートしません。
• トンネル インターフェイスとトンネル転送の両方は、同一の VRF 内になければなりません。そうでない場合は、ハードウェア データ パスにエラーが発生します。
• 「Path MTU Discovery のイネーブル化」
• 「トンネル インターフェイスに割り当てる VRF メンバシップ」
(注) Cisco IOS CLI を熟知している場合は、この機能の Cisco NX-OS コマンドと使用する Cisco IOS コマンドが異なる場合もある点に注意してください。
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3. tunnel source { ip-address | interface-name }
4. tunnel destination { ip-address | host-name }
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トンネル インターフェイスおよびすべての関連する設定を削除するには、 no interface tunnel コマンドを使用します。
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次のパラメータを任意に設定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードでトンネルを調整します。
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switch(config)# i nterface tunnel 1
switch(config-if)# tunnel source ethernet 1/2
switch(config-if)# tunnel destination 192.0.2.1
switch(config-if)# copy running-config startup-config
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次に、トンネル インターフェイスに GRE を設定し、GRE トンネルにキープアライブを設定する方法を示します。
switch(config)# i nterface tunnel 1
switch(config-if)# tunnel mode gre ip
switch(config-if)# copy running-config startup-config
トンネルの Path MTU Discovery をイネーブルにするには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで tunnel path-mtu discovery コマンドを使用します。
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tunnel path-mtu-discovery [ age-timer min ] [ min-mtu bytes ] |
トンネル インターフェイスで Path MTU Discovery(PMTUD)をイネーブルにします。次のパラメータがあります。 |
4. ip-address ip-prefix/length
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このインターフェイスに IP アドレスを設定します。このステップは、このインターフェイスを VRF に割り当ててから実行します。 |
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次に、トンネル インターフェイスを VRF に追加する例を示します。
switch(config)# interface tunnel 0
switch(config-if)# vrf member RemoteOfficeVRF
IP トンネルの設定情報を表示するには、次のコマンドを使用します。
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トンネル インターフェイスの設定を表示します(MTU、プロトコル、トランスポート、VRF)。入力および出力パケット、バイト、パケット レートを表示します。 |
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次に、簡単な GRE トンネルの例を示します。イーサネット 1/2 はルータ A のトンネル送信元およびルータ B のトンネル宛先です。イーサネット インターフェイス 2/1 はルータ B のトンネル送信元およびルータ A のトンネル宛先です。
表 8-1 に、IP トンネル パラメータのデフォルト設定を示します。
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IP トンネルの実装に関する追加情報については、次の項を参照してください。
• 「関連資料」
• 「標準規格」
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『 Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Interfaces Command Reference, Release 5.x 』 |
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『Resolve IP Fragmentation, MTU, MSS, and PMTUD Issues with GRE and IPSEC』 |
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この機能でサポートされる新規または改訂された標準規格はありません。また、この機能による既存の標準規格サポートの変更はありません。 |
表 8-2 は、この機能のリリースの履歴です。
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