機能
この章で紹介する一部の機能は、このソフトウェアの暗号化(暗号化に対応した)バージョンでのみ使用できます。この機能を使用し、Cisco.com から暗号化ソフトウェアをダウンロードするには許可を得る必要があります。詳細については、このリリースのリリース ノートを参照してください。
Catalyst 2970 スイッチの機能は次のとおりです。
• 「使用および配置の簡便性に関する機能」
• 「パフォーマンス向上機能」
• 「管理オプション」
• 「管理の簡便性に関する機能」(ソフトウェアの暗号化バージョンが必要な機能を含む)
• 「アベイラビリティおよび冗長関連の機能」
• 「VLAN 機能」
• 「セキュリティ機能」(ソフトウェアの暗号化バージョンが必要な機能を含む)
• 「QoS および CoS 機能」
• 「モニタ機能」
使用および配置の簡便性に関する機能
スイッチには、使用と配置を容易にするための次の機能が用意されています。
• Express Setup ― 基本的な IP 情報、コンタクト情報、スイッチおよび Telnet のパスワード、および SNMP(簡易ネットワーク管理プロトコル)に関する情報を使用し、ブラウザ ベースのプログラムを通じて、スイッチの初回設定を迅速に行うことができます。Express Setup の詳細については、『 Getting Started Guide 』を参照してください。
• ユーザ定義およびデフォルト設定の SmartPort マクロ ― ネットワークへの配備を簡単にするためにカスタム スイッチ設定を作成します。
• 組み込みのデバイス マネージャ GUI(グラフィカル ユーザ インターフェイス) ― 単体のスイッチを Web ブラウザから設定、管理します。デバイス マネージャの起動については、『 Getting Started Guide 』を参照してください。デバイス マネージャの詳細については、スイッチのオンライン ヘルプを参照してください。
• Cisco Network Assistant(以下、 Network Assistant )の機能概要
–管理コミュニティは、ルータやアクセス ポイントを組み込むことができる点や、セキュリティを強化できる点以外は、クラスタと同じようなデバイス グループです。
–イントラネット内であれば、どこからでもスイッチおよびスイッチ クラスタを簡単に管理できます。
–1 つの GUI を使用して、複数の設定作業を行うことができます。特定の処理を実行するための CLI(コマンドライン インターフェイス)コマンドを覚える必要はありません。
–対話式のガイド モードで、VLAN(仮想 LAN)、Access Control List(ACL; アクセス制御リスト)、Quality of Service(QoS; サービス品質)などの複雑な機能をガイドに従って設定できます。
–設定ウィザードを使用すると、ビデオ トラフィックの QoS プライオリティ、データ アプリケーションのプライオリティ レベル、セキュリティといった複雑な機能を設定するために必要な最小限の情報を、プロンプトの指示に従って入力するだけですみます。
–スイッチにイメージをダウンロードできます。
–VLAN および QoS の設定、目録および統計レポート、リンクおよびスイッチ レベルでのモニタとトラブルシューティング、複数のスイッチのソフトウェア アップグレードといったアクションを、複数のポート、複数のスイッチに対して同時に実行できます。
–相互接続された装置のトポロジーを表示して、既存のスイッチ クラスタ、クラスタに参加できる適格なスイッチ、およびスイッチ間のリンク情報を確認できます。
–前面パネル イメージで表示される LED によって、単独または複数のスイッチの状態をリアルタイムでモニタできます。このイメージに表示されるシステム LED、Redundant Power System(RPS; 冗長電源システム)LED、およびポート LED の色は、実際の LED の色と同じです。
• スイッチのクラスタ化テクノロジーの機能概要
–イーサネット、ファスト イーサネット、Fast EtherChannel、Small Form-Factor Pluggable(SFP)モジュール、ギガビット イーサネット、Gigabit EtherChannel 接続を含めて、地理的な近接にも相互接続メディアにも関係なく、複数のクラスタ対応スイッチの設定、モニタ、認証、およびソフトウェア アップグレードをまとめて実行できます。クラスタ対応スイッチのリストについては、リリース ノートを参照してください。
–候補スイッチの自動検出と、最大 16 台のスイッチからなるクラスタの作成機能。1 つの IP アドレスを使用してクラスタを管理できます。
–拡張検出機能により、コマンド スイッチに直接接続されていないクラスタ候補を検出できます。
パフォーマンス向上機能
スイッチには、次のパフォーマンス機能が用意されています。
• すべてのスイッチ ポートの速度自動検知、およびデュプレックス モードの自動ネゴシエーション。帯域幅の利用を最適化します。
• 10/100 Mbps インターフェイス、10/100/1000 Mbps インターフェイス、および10/100/1000 BASE-T/TX SFP モジュール インターフェイス上の Automatic Media-Dependent Interface Crossover(Auto MDIX; 自動メディア依存型インターフェイス クロスオーバー)機能により、インターフェイスが必要なケーブル接続タイプ(ストレートまたはクロス)を自動的に検出し、接続を適切に設定します。
• ハードウェアでブリッジングされたフレームのサポートは最大 9000 バイト、ソフトウェアによってブリッジングされたフレームのサポートは最大 2000 バイトです。
• すべてのポートにおける IEEE 802.3x フロー制御(スイッチは休止フレームを送信しません。)
• EtherChannel によって耐障害性が強化され、スイッチ、ルータ、およびサーバ間で最大 8 Gbps(Gigabit EtherChannel)または 800 Mbps(Fast EtherChannel)の全二重帯域幅が得られます。
• Port Aggregation Protocol(PAgP)および Link Aggregation Control Protocol(LACP)により、EtherChannel リンクを自動的に作成します。
• ギガビットの回線速度でのレイヤ 2 パケット転送
• ポート単位でのストーム制御。ブロードキャスト ストーム、マルチキャスト ストーム、およびユニキャスト ストームを防止できます。
• レイヤ 2 の不明なユニキャスト、マルチキャスト、およびブリッジド ブロードキャスト トラフィック転送に対するポート ブロッキング
• Internet Group Management Protocol(IGMP)スヌーピング。IGMP バージョン 1、2、および 3 に対応し、マルチメディアおよびマルチキャスト トラフィックを効率的に転送できます。
• 1 つのマルチキャスト ルータ クエリーにつき 1 つの IGMP レポートだけをマルチキャスト装置へ送信する IGMP レポート抑制(IGMPv1 または IGMPv2 クエリーだけをサポート)
• IGMP スヌーピング クエリー サポート。IGMP 一般クエリー メッセージを定期的に生成するようスイッチを設定します。
• Multicast VLAN Registration(MVR)。マルチキャスト VLAN 上でマルチキャスト ストリームを継続的に送信し、なおかつ帯域幅およびセキュリティ上の理由から、それらのストリームを加入者 VLAN から分離します。
• IGMP フィルタリング。スイッチ ポート上のホストが所属できるマルチキャスト グループ セットを管理します。
• IGMP 転送テーブルのエントリ数が最大になったときのアクションを設定する IGMP スロットリング
• ネットワーク終了の待ち時間を設定できる IGMP の脱退タイマー
• Switch Database Management(SDM)テンプレート。ユーザが選択した機能に対して最大のサポートが行われるようシステム リソースを割り当てます。
管理オプション
スイッチの設定と管理に使用できるオプションは、次のとおりです。
• 組み込みデバイス マネージャ ― GUI のデバイス マネージャがソフトウェア イメージに組み込まれています。このデバイス マネージャは、単体のスイッチの設定、管理に使用します。デバイス マネージャの起動については、『 Getting Started Guide 』を参照してください。デバイス マネージャの詳細については、スイッチのオンライン ヘルプを参照してください。
• Network Assistant ― Network Assistant はネットワーク管理アプリケーションで、Cisco.com からダウンロードできます。単体のスイッチ、スイッチ クラスタ、またはデバイスのコミュニティの管理に使用します。Network Assistant の詳細については、Cisco.com から入手できる『 Getting Started with Cisco Network Assistant 』を参照してください。
• CLI ― Cisco IOS ソフトウェアはデスクトップおよびマルチレイヤ スイッチング機能を提供します。CLI にアクセスするには、スイッチのコンソール ポートに管理ステーションを直接接続するか、リモート管理ステーションから Telnet を使用します。CLI の詳細については、「CLI の使用方法」を参照してください。
• SNMP ― CiscoWorks 2000 LAN Management Suite(LMS)および HP OpenView などの SNMP 管理アプリケーション。HP OpenView、SunNet Manager などのプラットフォームが稼働している SNMP 対応管理ステーションから管理できます。スイッチは豊富な MIB 拡張機能および 4 つの Remote Monitoring(RMON)グループをサポートします。SNMP の詳しい使用方法については、「SNMPの設定」を参照してください。
• IE2100 ― Cisco Intelligence Engine 2100 シリーズ コンフィギュレーション レジストラは、スイッチ ソフトウェアに組み込まれている Cisco Networking Services(CNS)エージェントと連動するネットワーク管理デバイスです。スイッチごとに設定変更の内容を生成してスイッチに送信し、その設定変更を適用したあと、その結果を記録することで初期設定および設定の更新を自動化できます。
IE2100 の詳細については、「CNS 組み込み型エージェントの概要」を参照してください。
管理の簡便性に関する機能
管理の簡便性に関する機能は、次のとおりです。
• スイッチ管理、設定ストレージ、および配信を自動化するための Cisco IE2100 シリーズ CNS の組み込み型エージェント
• Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP)によるスイッチ情報(IP アドレス、デフォルト ゲートウェイ、ホスト名、Domain Name System[DNS; ドメイン ネーム システム]、TFTP サーバ名)の自動設定
• DHCP リレーによる DHCP クライアントからの UDP ブロードキャストの転送(IP アドレス要求を含む)
• DHCP サーバによる IP アドレスおよびその他の DHCP オプションの IP ホストへの自動割り当て
• IP アドレスおよび対応するホスト名からスイッチを特定することを目的とした、ユニキャスト要求の DNS サーバへの転送、および TFTP サーバからソフトウェア アップグレードを管理することを目的とした、ユニキャスト要求の TFTP サーバへの転送
• Address Resolution Protocol(ARP)。IP アドレスおよび対応する MAC(メディア アクセス制御)アドレスによってスイッチを特定します。
• 特定の送信元 MAC アドレスおよび宛先 MAC アドレスを持ったパケットを廃棄するユニキャスト MAC アドレス フィルタリング
• Cisco Discovery Protocol(CDP)バージョン 1 および 2。ネットワーク トポロジーを検出し、ネットワーク上のスイッチと他のシスコ製装置とのマッピングを行います。
• Network Time Protocol(NTP)。すべてのスイッチに外部ソースから同じタイムスタンプを提供します。
• Cisco IOS File System(IFS)。スイッチが使用するすべてのファイル システムに対して単一インターフェイスを提供します。
• コンフィギュレーション ロギング。スイッチ設定の変更を記録し、表示します。
• 一意のデバイス ID。 show inventory ユーザ EXEC コマンドで製品の ID 情報が表示されます。
• Netscape Communicator または Microsoft Internet Explorer ブラウザ セッションでデバイス マネージャを使用した帯域内管理アクセス
• 最大 16 個の Telnet 接続を同時に使用できる帯域内管理アクセス。ネットワーク上で複数の CLI ベース セッションを実行できます。
• ネットワークでの CLI ベース マルチ セッションに対応した、最大 5 つの同時暗号化 Secure Shell(SSH; セキュア シェル)接続用帯域内管理アクセス(ソフトウェア暗号化バージョンが必要)
• SNMP のバージョン 1、バージョン 2c、およびバージョン 3 の get および set 要求による帯域内管理アクセス
• 帯域外管理アクセス。スイッチのコンソール ポートに端末を直接接続するか、またはシリアル接続とモデム経由でリモート端末に接続します。
• Secure Copy Protocol(SCP)機能。スイッチの設定ファイルまたはスイッチのイメージ ファイルをコピーするためのセキュアで認証された方式を提供します(ソフトウェアの暗号化バージョンが必要)。
(注) 管理インターフェイスの詳細については、「ネットワークの構成例」を参照してください。
アベイラビリティおよび冗長関連の機能
管理の簡便性および冗長に関する機能は、次のとおりです。
• Unidirectional Link Detection(UDLD; 単一方向リンク検出)およびアグレッシブ UDLD。光ファイバ ケーブルの配線ミスまたはポート障害に起因する光ファイバ インターフェイス上の単一方向リンクを検出し、ディセーブルにします。
• IEEE 802.1D Spanning-Tree Protocol(STP; スパニングツリー プロトコル)による冗長バックボーン接続およびループフリー ネットワーク。STP には次の機能があります。
–最大 128 のスパニングツリー インスタンスをサポート
–Per-VLAN Spanning-Tree Plus(PVST+)による VLAN 間でのロードバランシング
–Rapid PVST+ による、VLAN 間でのロードバランシングおよびスパニングツリー インスタンスの高速コンバージェンスの実現
–UplinkFastおよび BackboneFast。スパニングツリー トポロジー変更後のコンバージェンスを高速化し、ギガビット アップリンクを含む冗長アップリンク間でのロードバランシングを実現します。
• IEEE 802.1s Multiple Spanning-Tree Protocol(MSTP)により、VLAN をスパニングツリー インスタンスに分類、また、データ トラフィックおよびロードバランシング用に複数の転送パスを確保します。また、IEEE 802.1w Rapid Spanning-Tree Protocol(RSTP)に基づいた Rapid Per-VLAN Spanning-Tree plus(Rapid PVST+)より、ルートと指定ポートをただちにフォワーディング ステートへ移行することによる、スパニングツリーの高速コンバージェンスが実現されます。
• PVST+、Rapid-PVST+、および MSTP モードで使用できるスパニングツリーのオプション機能は次のとおりです。
–PortFast。ポートをブロッキング ステートからフォワーディング ステートへただちに移行させることによって、転送遅延を防ぎます。
–BPDU ガード。Bridge Protocol Data Unit(BPDU; ブリッジ プロトコル データ ユニット)を受信する PortFast 対応ポートをシャットダウンします。
–BPDU フィルタリング。PortFast 対応ポートで BPDU の送受信ができなくなります。
–ルート ガード。ネットワーク コア外のスイッチがスパニングツリー ルートになることを防ぎます。
–ループ ガード。 代替ポートまたはルート ポートが、単一方向リンクの原因となる障害によって指定ポートになることを防ぎます。
• Flex Link レイヤ 2 インターフェイス。基本リンク冗長の STP に代わるものとして、互いにバックアップします。
• Cisco RPS 300 および Cisco RPS 675 による RPS サポート。電源の信頼性が向上します。
VLAN 機能
VLAN 機能は、次のとおりです。
• 最大 255 個の VLAN をサポート。適切なネットワーク リソース、トラフィック パターン、および帯域幅を対応付けて、VLAN にユーザを割り当てることができます。
• IEEE 802.1Q 規格で認められている 1 ~ 4094 の範囲の VLAN ID をサポート
• ダイナミック VLAN メンバーシップに対応する VLAN Query Protocol(VQP)
• すべてのポート上で稼働する IEEE 802.1Q トランキング カプセル化。ネットワークの移動、追加、変更や、ブロードキャストおよびマルチキャスト トラフィックの管理および制御、さらに、ハイセキュリティ ユーザおよびネットワーク リソース別の VLAN グループの確立によるネットワーク セキュリティを実現します。
• Dynamic Trunking Protocol(DTP)。2 台の装置間のリンク上でトランキングをネゴシエートするだけでなく、使用するトランキング カプセル化のタイプ(IEEE 802.1Q)もネゴシエートします。
• VLAN Trunking Protocol(VTP;VLAN トランキング プロトコル)および VTP プルーニング。トラフィックのフラッディングをそのトラフィックを受信するステーションへのリンクだけに制限することによって、ネットワーク トラフィックを削減します。
• 音声 VLAN。Cisco IP Phone から音声トラフィック用のサブネットを作成します。
• VLAN 1 の最小化。個々の VLAN トランク リンクで VLAN 1 をディセーブルにすることを可能にして、スパニングツリー ループまたはストームのリスクを軽減します。この機能をイネーブルに設定すると、トランク上でユーザ トラフィックは送受信されません。スイッチの CPU は、引き続き制御プロトコル フレームの送受信を行います。
セキュリティ機能
スイッチには、次のセキュリティ機能が用意されています。
• 管理インターフェイス(デバイス マネージャ、Network Assistant、CLI)へのパスワード保護付きアクセス(読み取り専用および読み書きアクセス)。不正な設定変更を防止します。
• セキュリティ レベル、通知、および対応するアクションを選択できる、マルチレベル セキュリティ
• セキュリティを確保できるスタティック MAC アドレッシング
• 保護ポート オプション。同一スイッチ上の指定ポートへのトラフィック転送を制限します。
• ポートにアクセスできるステーションの MAC アドレスを制限または特定するポート セキュリティ オプション
• ポート上のセキュア アドレス用にエージング タイムを設定するためのポート セキュリティ エージング
• BPDU ガード。無効なコンフィギュレーションが発生した場合に、PortFast が設定されているポートをシャットダウンします。
• 標準および拡張 IP ACL。レイヤ 2 インターフェイス(ポート ACL)の着信に関するセキュリティ ポリシーを定義します。
• MAC 拡張 ACL。レイヤ 2 インターフェイスの着信方向のセキュリティ ポリシーを定義します。
• 非 IP トラフィックをフィルタリングする、送信元および宛先 MAC ベースの ACL
• untrusted(信頼性のない)ホストと DHCP サーバの間の untrusted DHCP メッセージをフィルタリングする DHCP スヌーピング
• IEEE 802.1x ポート ベース認証。不正な装置(クライアント)によるネットワーク アクセスを防止します。次の機能がサポートされています。
–VLAN 割り当て。802.1x 認証ユーザを特定の VLAN に制限します。
–ポート セキュリティ。IEEE 802.1x ポートへのアクセスを制御します。
–音声 VLAN。ポートが許可ステートか未許可ステートかにかかわらず、Cisco IP Phone の音声 VLAN へのアクセスを許可します。
–ゲスト VLAN。802.1x に適合しないユーザに限定的なサービスを提供します。
–制限 VLAN。IEEE 802.1x に準拠しているが、標準の IEEE 802.1x プロセスによって認証するための証明書を持っていないユーザに対して、制限されたサービスを提供します。
–IEEE 802.1x アカウンティング。ネットワーク使用を追跡します。
–Wake on LAN 対応 IEEE 802.1x。特別なイーサネット フレームを受信した場合に休止 PC の電源をオンにします。
• Terminal Access Controller Access Control System Plus(TACACS+)。TACACS サーバを介してネットワーク セキュリティを管理する、独自の機能です。
• Remote Authentication Dial-In User Service(RADIUS)。Authentication, Authorization, Accounting(AAA; 認証、許可、アカウンティング)によってリモート ユーザの身元を確認し、リモート ユーザにアクセス権を与え、リモート ユーザのアクションを追跡します。
• Secure Socket Layer(SSL)バージョン 3.0。HTTP1.1 のサーバ認証、暗号化、およびメッセージの完全性をサポートします。また、HTTP クライアント認証により、安全な HTTP 通信を実現します(ソフトウェアの暗号化バージョンが必要)。
QoS および CoS 機能
QoS および CoS 機能は、次のとおりです。
• auto-QoS(自動 QoS)。トラフィックの分類と出力キューの設定を自動化することで既存の QoS 機能の展開を簡略化します。
• 分類
–IP Type of Service/Differentiated Services Code Point(IP ToS/DSCP)および IEEE 802.1p CoS のポート単位でのプライオリティ設定。ミッション クリティカルなアプリケーションのパフォーマンスを保護します。
–IP ToS/DSCP および IEEE 802.1p CoS(サービス クラス)のフローベースのパケット分類(MAC、IP、および TCP/UDP ヘッダーに含まれる情報に基づく)によるマーキング。ネットワーク エッジで高性能な QoS 機能を提供し、ネットワーク トラフィックのタイプ別に差別化されたサービス レベルを可能にするとともに、ネットワーク上のミッション クリティカルなトラフィックにプライオリティを設定します。
–QoS ドメイン内および別の QoS ドメインとの境界ポートにおける、trusted(信頼性のある)ポート ステート(CoS、DSCP、および IP precedence)
–信頼境界機能。Cisco IP Phone の存在を検出し、受信した CoS 値を信頼して、ポート セキュリティを確保します。
• ポリシング
–特定のトラフィック フローに対してどの程度のポート帯域幅を割り当てるかを管理する、スイッチ ポート上のトラフィック ポリシング ポリシー
–Cisco IOS Release 12.2(25)SED 以降では、1 つの階層ポリシー マップのために複数のクラス マップを設定する場合、各クラス マップをそれ自身のポートレベル(セカンド レベル)のポリシー マップに関連付けることが可能になっています。各セカンド レベル ポリシー マップには、それぞれ異なるポリサーを設定できます。
–トラフィック フローのポリシングをまとめて行う、集約ポリシング。特定のアプリケーションまたはトラフィック フローをあらかじめ定義された特定のレートに制限します。
• 不適合
–帯域幅の使用制限を超過したパケットの不適合マークダウン
• 入力キューイングおよびスケジューリング
–ユーザ トラフィック用に設定可能な 2 つの入力キュー(一方のキューをプライオリティ キューにできます)
–輻輳回避メカニズムとしての Weighted Tail Drop(WTD)。キュー長を管理し、トラフィックの分類ごとに異なる廃棄優先順位を設定します。
–スケジューリング サービスとしての Shaped Round Robin(SRR)。内部リングへのパケットの送信速度を指定します(入力キューでサポートされるモードは共有だけです)。
• 出力キューおよびスケジューリング
–1 ポートに 4 つの出力キュー
–輻輳回避メカニズムとしての WTD。キュー長を管理し、トラフィックの分類ごとに異なる廃棄優先順位を設定します。
–スケジューリング サービスとしての SRR。キューからパケットを出して出力インターフェイスに入れる速度を指定します(出力キューではシェーピングおよび共有がサポートされます)。シェーピング型出力キューは、ポート帯域幅の割り当てが保証されますが、それしか使用できません。共有型出力キューは、設定された帯域幅の割り当てが保証されるだけではなく、他のキューが空になり、その割り当て分の帯域幅が使用されない場合、保証された割り当てより多く使用できます。
モニタ機能
モニタ機能は、次のとおりです。
• スイッチ LED。ポート レベルおよびスイッチ レベルの状態を表示します。
• MAC アドレス通知トラップおよび RADIUS アカウンティング。スイッチが学習または削除した MAC アドレスを保存することによって、ネットワーク上のユーザを追跡します。
• Switched Port Analyzer(SPAN; スイッチド ポート アナライザ)および Remote SPAN(RSPAN)。任意のポートまたは VLAN について、トラフィック モニタリングが可能です。
• Intrusion Detection System(IDS; 侵入検知システム)における SPAN および RSPAN のサポート。ネットワーク セキュリティ違反をモニタ、撃退、およびレポートします。
• 組み込み RMON エージェントの 4 つのグループ(ヒストリ、統計、アラーム、およびイベント)を使用して、ネットワークをモニタし、トラフィック解析を行うことができます。
• Syslog 機能。認証または許可エラー、リソースの問題、およびタイムアウト イベントに関するシステム メッセージを記録します。
• レイヤ 2 traceroute。パケットが送信元装置から宛先装置へ送られる物理パスを識別します。
• Time Domain Reflector(TDR)。10/100 および 10/100/1000 の銅線イーサネット ポートでケーブル接続の問題を診断し、解決します。
• SFP モジュール診断管理インターフェイス。SFP モジュールの物理または動作ステータスをモニタします。
ネットワークの構成例
ここでは、ネットワーク設計の概念を紹介し、スイッチを使用して専用ネットワーク セグメントを作成する例と、ファスト イーサネットおよびギガビット イーサネット接続によってセグメントを相互接続する例を示します。
• 「スイッチを使用する場合の設計概念」
• 「Catalyst 2960 スイッチを使用した中小規模のネットワーク」
• 「長距離高帯域トランスポートの構成」
スイッチを使用する場合の設計概念
ネットワーク帯域幅をめぐってネットワーク ユーザが競合すると、データの送受信に要する時間が長くなります。ネットワークを設計する時点で、ネットワーク ユーザが必要とする帯域幅を考慮するとともに、ユーザが使用する各種ネットワーク アプリケーションの相対的なプライオリティについて検討する必要があります。
表1-1 に、ネットワーク パフォーマンスが低下する原因を説明するとともに、ネットワーク ユーザが使用できる帯域幅を増加させるためのネットワークの設計方法を示します。
表1-1 ネットワーク パフォーマンスの向上
|
|
1 つのネットワーク セグメントに多くのユーザが集中しすぎ、インターネットへアクセスするユーザが増加している。 |
• 帯域幅を共有するユーザ数が少なくなるように、より小さいネットワーク セグメントを作成します。さらに VLAN および IP サブネットを使用して、ネットワーク リソースに頻繁にアクセスするユーザと同じ論理ネットワーク上に、そのリソースを配置します。 • スイッチと接続先ワークステーションとの間で、全二重通信を使用します。 |
• 新しい PC、ワークステーション、およびサーバのパワーの増大 • ネットワーク アプリケーション(大容量の添付ファイル付き電子メールなど)および帯域幅を多用するアプリケーション(マルチメディアなど)による帯域幅需要の増大 |
• ネットワーク ユーザが等しくアクセスする必要があるサーバ、ルータなどのグローバル リソースを高速スイッチ ポートに直接接続し、各ユーザに専用の高速セグメントを与えます。 • スイッチと接続先サーバおよびルータの間で EtherChannel 機能を使用します。 |
ネットワーク設計では、帯域幅が唯一の考慮事項というわけではありません。ネットワーク トラフィックのプロファイルが発展するにしたがって、音声とデータの統合、マルチメディアの統合、アプリケーションのプライオリティ処理、およびセキュリティに対応するアプリケーションをサポートできるようなネットワーク サービスの提供を検討してください。 表1-2 で、ネットワークに対する需要について説明し、その需要を満たす方法を示します。
表1-2 ネットワーク サービスの提供
|
|
マルチメディア アプリケーションにおける帯域幅の効率的な利用およびミッション クリティカルなアプリケーションに対する帯域幅保証 |
• IGMP スヌーピングを利用して、マルチメディアおよびマルチキャスト トラフィックを効率的に転送します。 • パケット分類、マーキング、スケジューリング、輻輳回避など、他の QoS メカニズムを使用し、適切なプライオリティ レベルを指定してトラフィックを分類し、最大限の柔軟性を得ながら、ミッション クリティカルな、ユニキャスト、マルチキャスト、およびマルチメディア アプリケーションをサポートできるようにします。 • MVR を使用して、マルチキャスト VLAN 上でマルチキャスト ストリームを継続的に送信し、なおかつ帯域幅およびセキュリティ上の理由から、それらのストリームを加入者 VLAN から分離します。 |
常時オン のミッション クリティカルなアプリケーションを実現するための、ネットワークの冗長性およびアベイラビリティに対する大きな需要 |
• VLAN トランクおよび BackboneFast を使用して、アップリンク ポートでのトラフィック ロードバランシングを行い、相対的にポート コストの低いアップリンク ポートを選択して VLAN トラフィックを伝送させるようにします。 |
IPテレフォニーに対する新しい需要 |
• QoS を使用して、輻輳の発生時に IP テレフォニーなどのアプリケーションを優先順位付けし、ネットワーク内で発生する遅延およびジッタを制御できるようにします。 • 1 ポートあたり少なくとも 2 つのキューをサポートするスイッチを使用して、音声およびデータ トラフィックのプライオリティを IEEE 802.1p/Q に基づくハイ プライオリティまたはロー プライオリティのいずれかに設定します。スイッチは、1 ポートあたり少なくとも 4 つのキューをサポートします。 • Voice VLAN ID(VVID)を使用して、音声トラフィックに別個の VLAN を用意します。 |
既存のインフラストラクチャを利用して、自宅または会社からインターネットまたはイントラネットへデータおよび音声を高速で伝送する需要の増大 |
Catalyst Long-Reach Ethernet(LRE)スイッチを使用して、既存のインフラストラクチャ(既存の電話回線など)上で最大 15 Mb の IP 接続能力を提供します。
(注) LRE は、Catalyst 2900 LRE XL および Catalyst 2950 LRE スイッチに採用されているテクノロジーです。LRE については、各スイッチ固有のマニュアル セットを参照してください。
|
• スイッチを使用して次のような機能が実現できます。
• 高性能ワークグループに適したコスト効率の高いギガビットツーデスクトップ(図1-1) ― ネットワーク リソースに対する高速アクセスを実現するには、Catalyst 2960 スイッチをアクセス レイヤで使用して、デスクトップにギガビット イーサネットを提供します。輻輳を回避するために、各スイッチ上で QoS DSCP マーキングによるプライオリティ設定を使用します。ディストリビューション レイヤで高速 IP 転送を実現するには、アクセス レイヤのスイッチを、ルーティング機能を備えたギガビット マルチレイヤ スイッチ(Catalyst 3750 スイッチなど)またはルータに接続します。
最初の図は分離された高性能ワークグループです。Catalyst 2960 スイッチがディストリビューション レイヤの Catalyst 3750 スイッチに接続されています。2 番めの図は支社の高性能ワークグループです。Catalyst 2960 スイッチがディストリビューション レイヤのルータに接続されています。
この構成では、各スイッチはネットワーク リソースにアクセスするための、専用の 1 Gbps 接続をユーザに提供します。SFP モジュールを使用すると、光ファイバ接続におけるメディアおよび距離の選択の幅が広がります。
図1-1 高性能ワークグループ(ギガビットツーデスクトップ)
• サーバ集約(図1-2) ― スイッチを使用すると、サーバ グループを相互接続し、ネットワークの物理的なセキュリティと管理を中央に集中させることができます。ディストリビューション レイヤで高速 IP 転送を実現するには、アクセス レイヤのスイッチをルーティング機能を備えたマルチレイヤ スイッチに接続します。ギガビットの相互接続によって、データ フローの遅延を最小限に抑えることができます。
スイッチ上の QoS およびポリシングによって、特定のデータ ストリームが必要に応じて優先的に処理されます。トラフィック ストリームがさまざまな経路に分割されて処理されます。スイッチのセキュリティ機能によって、パケットの高速処理が保証されます。
冗長 Gigabit EtherChannel を備えたスイッチにサーバをデュアル ホーミングすることによって、サーバ ラックからコアまでの耐障害性が実現できます。
スイッチのデュアル SFP アップリンクを使用すると、ネットワーク コアに冗長アップリンクが提供されます。SFP モジュールを使用すると、光ファイバ接続におけるメディアおよび距離の選択の幅が広がります。
図1-2 サーバ集約
Catalyst 2960 スイッチを使用した中小規模のネットワーク
図1-3に、最大 500 人の社員を対象とするネットワークの構成例を示します。このネットワークでは、2 台のルータに高速接続するCatalyst 2960スイッチを使用します。したがって、一方のルータで障害が発生しても、インターネット、WAN、およびミッション クリティカルなネットワーク リソースに確実に接続できます。スイッチでは、負荷分散のために EtherChannel を使用しています。
スイッチは、ワークステーション、ローカル サーバ、および IEEE 802.3af 準拠(および非準拠)の受電装置(Cisco IP Phone など)に接続されています。サーバ ファームには、Cisco CallManager(CCM)ソフトウェアを実行するコール処理サーバが含まれます。CCM は、コール処理、ルーティング、および Cisco IP Phone 機能とその設定を制御します。スイッチは、ギガビット インターフェイスによって相互接続されています。
このネットワークでは、VLAN を使用してネットワークを明確なブロードキャスト グループとして論理的に分割し、セキュリティ管理を行っています。データ トラフィックおよびマルチメディア トラフィックは同じ VLAN 上で設定されます。Cisco IP Phone からの音声トラフィックは、別個の VVID 上に設定します。データ、マルチメディア、および音声トラフィックを同じ VLAN に割り当てる場合は、配線クローゼットごとに 1 つの VLAN しか設定できません。
ある VLAN のエンド ステーションが別の VLAN のエンド ステーションと通信しなければならない場合は、ルータが所定の宛先 VLAN にトラフィックをルーティングします。このネットワークでは、ルータが VLAN 間ルーティングを行います。スイッチ上の VLAN ACL(VLAN マップ)が VLAN 内のセキュリティを受け持ち、不正ユーザがネットワークの重要な部分にアクセスできないようにします。
ルータは VLAN 間ルーティングの他に、ネットワーク トラフィックのさまざまなタイプにプライオリティを設定し、ハイ プライオリティ トラフィックを伝送する、DSCP プライオリティなどの QoS メカニズムを提供します。輻輳が発生した場合、QoS がロー プライオリティ トラフィックを廃棄し、ハイ プライオリティ トラフィックを伝送できるようにします。
Catalyst PoE スイッチと接続している先行標準仕様の受電装置および IEEE 802.3af 準拠の受電装置では、IEEE 802.1p/Q QoS を使用することにより、音声トラフィックをデータ トラフィックよりも優先的に転送できます。
Catalyst PoE スイッチ ポートは、シスコの先行標準仕様の受電装置および IEEE 802.3af 準拠の受電装置の接続を自動的に検出します。各 PoE スイッチ ポートは、各ポートに 15.4 W の電力を供給します。受電装置(Cisco IP Phone など)が AC 電源に接続されている場合、冗長化された電力供給を受けることができます。Catalyst PoE スイッチに接続していない受電装置は、電力を得るために AC 電源に接続する必要があります。
CCM は、コール処理、ルーティング、および Cisco IP Phone 機能とその設定を制御します。Cisco SoftPhone ソフトウェアを実行しているワークステーションを持つユーザは、PC からのコールを配置、受信、および制御できます。Cisco IP Phone、CCM ソフトウェア、および Cisco SoftPhone ソフトウェアを使用することで、テレフォニーと IP ネットワークを統合でき、IP ネットワークが音声とデータをサポートします。
ルータはさらにファイアウォール サービス、Network Address Translation(NAT; ネットワーク アドレス変換)サービス、Voice over IP(VoIP)ゲートウェイ サービス、WAN アクセス、およびインターネット アクセスを提供します。
図1-3 コラプスト バックボーン構成の Catalyst 2960 スイッチ
長距離高帯域トランスポートの構成
図1-4に、8 Gbps のデータを 1 本の光ファイバ ケーブルで伝送する構成を示します。Catalyst 2960 スイッチには、Coarse Wavelength-Division Multiplexing(CWDM; 低密度波長分割多重)光ファイバ SFP モジュールが搭載されています。CWDM SFP モジュールに応じて、データは 1470 ~ 1610 nm の波長で送信されます。波長が高くなるほど、伝送できる距離が長くなります。長距離伝送用によく使用される波長は 1550 nm です。
CWDM SFP モジュールは、最大 393,701 フィート(74.5 マイルまたは 120 km)の距離で、CWDM Optical Add/Drop Multiplexer(OADM; 光分岐挿入)モジュールに接続します。CWDM OADM モジュールは、さまざまな CWDM 波長を組み合わせて( 多重 )、同じ光ファイバ ケーブル上で同時に伝送できるようにします。受信側エンドの CWDM OADM モジュールは、さまざまな波長を分離( 逆多重 )します。
CWDM SFP モジュールおよび CWDM OADM モジュールの詳細については、『 Cisco CWDM GBIC and CWDM SFP Installation Note 』を参照してください。
図1-4 長距離高帯域トランスポートの構成