Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の概要
ここでは、次の情報について説明します。
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「Flex Link」
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「VLAN Flex Link のロード バランシングとサポート」
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「Flex Link のマルチキャスト高速コンバージェンス」
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「MAC アドレス テーブル移動更新」
Flex Link
Flex Link は、レイヤ 2 インターフェイス(スイッチ ポートまたはポート チャネル)のペアで、一方のインターフェイスが他方のインターフェイスのバックアップとして動作するように設定されています。この機能は、Spanning Tree Protocol(STP; スパニングツリー プロトコル)の代替ソリューションとして役立ちます。Flex Link があれば、STP をディセーブルにしても基本的なリンクの冗長性は失われません。Flex Link は一般的に、カスタマーがスイッチで STP を稼動したくない場合に、サービス プロバイダーまたは企業ネットワークで設定されます。スイッチで STP が稼動している場合、すでに STP がリンクレベルの冗長性またはバックアップ機能を提供しているので、Flex Link を設定する必要はありません。
一方のレイヤ 2 インターフェイスを Flex Link またはバックアップ リンクとして割り当てることで、他方のレイヤ 2 インターフェイス(アクティブ リンク)に Flex Link を設定できます。Catalyst 3750-X スイッチでは、Flex Link をスタック内の同じスイッチ、または別のスイッチで設定できます。一方のリンクがアップ状態でトラフィックを転送する場合、他方のリンクはスタンバイ モードになって、シャット ダウンした場合にトラフィックを転送する準備をします。指定された時間に、インターフェイス 1 つだけが linkup ステートになってトラフィックを転送します。プライマリ リンクがシャット ダウンした場合、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始します。アクティブ リンクがバックアップ状態になった場合、リンクはスタンバイ モードになって、トラフィックは転送されません。Flex Link インターフェイスでは、STP はディセーブルです。
図 22-1 では、スイッチ A のポート 1 および 2 はアップリンク スイッチ B および C と接続されています。ポートは Flex Link として設定されているので、インターフェイスのうち 1 つだけがトラフィックを転送し、残りのインターフェイスがスタンバイ モードになります。ポート 1 がアクティブ リンクの場合、ポート 1 とスイッチ B の間でトラフィックの転送を開始します。ポート 2(バックアップ リンク)とスイッチ C の間のリンクは、トラフィックを転送しません。ポート 1 がダウンした場合、ポート 2 がアップ状態になってスイッチ C へのトラフィックの転送を開始します。ポート 1 が再びバックアップ状態になった場合、ポート 1 はスタンバイ モードになってトラフィックは転送しません。ポート 2 はトラフィックを転送し続けます。
また、トラフィックの転送に優先ポートを指定して、プリエンプト メカニズムを設定するように選択できます。たとえば、図 22-1 の例では、プリエンプト モードで Flex Link ペアを設定できます。図のシナリオでは、ポート 1 がバックアップとなって、ポート 2 より帯域幅が大きい場合、ポート 1 は 60 秒後にパケットの転送を開始します。ポート 2 はスタンバイ ポートになります。これは、 switchport backup interface preemption mode bandwidth および switchport backup interface preemption delay インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力することで実行できます。
図 22-1 Flex Link の設定例
プライマリ(転送)リンクがダウンした場合、トラップはネットワーク管理ステーションに通知します。スタンバイ リンクがダウンした場合、トラップはユーザに通知します。
Flex Link はレイヤ 2 ポートおよびポート チャネルでだけサポートされ、VLAN やレイヤ 3 ポートではサポートされません。
VLAN Flex Link のロード バランシングとサポート
VLAN Flex Link のロード バランシングにより、相互に排他的な VLAN のトラフィックを両方のポートが同時に転送できるように、ユーザは Flex Link ペアを設定できます。たとえば、Flex Link ポートが 1-100 VLAN 用に設定されている場合、最初の 50 VLAN のトラフィックを 1 つのポートで転送し、残りをもう一方のポートで転送できます。片方のポートで障害が発生した場合、もう片方のアクティブ ポートがすべてのトラフィックを転送します。障害が発生したポートが元に戻ると、優先 VLAN のトラフィックの転送を再開します。このように、冗長性を提供するのとは別に、この Flex Link ペアはロード バランシングにも使用できます。また、Flex Link VLAN のロード バランシングは、アップリンク スイッチに制約は設けません。
図 22-2 VLAN Flex Link のロード バランシングの設定例
mrouter ポートとしての他の Flex Link の学習
一般的なマルチキャスト ネットワークでは、VLAN ごとにクエリアがあります。ネットワークのエッジに導入されたスイッチには、クエリーを受信する Flex Link ポートの 1 つがあります。Flex Link ポートも常に転送しています。
クエリーを受信する Flex Link ポートは、スイッチ上の mrouter ポートとして追加されます。mrouter ポートは、スイッチが学習するすべてのマルチキャスト グループに属します。切り替え後、クエリーは別の Flex Link によって受信されます。別の Flex Link は mrouter ポートとして学習されます。切り替え後、マルチキャスト トラフィックは別の Flex Link ポート内を流れます。トラフィックの高速コンバージェンスを実現するため、いずれかの Flex Link ポートが mrouter ポートとして学習されるときは、両方の Flex Link ポートが mrouter ポートとして学習されます。両方の Flex Link ポートは必ずマルチキャスト グループに属します。
両方の Flex Link ポートは通常の動作モードでグループに属しますが、バックアップ ポートのすべてのトラフィックはブロックされます。したがって、通常のマルチキャスト データ フローは、mrouter ポートとしてバックアップ ポートを追加しても影響を受けません。切り替えが発生すると、バックアップ ポートのブロックは解除され、トラフィックを送信できます。この場合、バックアップ ポートのブロックが解除されるとすぐに、アップストリーム マルチキャスト データが流れます。
IGMP レポートの生成
切り替え後にバックアップ リンクがアップ状態になると、アップストリームの新しいディストリビューション スイッチはマルチキャスト データの転送を開始しません。アップストリーム ルータ上のポートは、ブロックされた Flex Link ポートに接続されており、マルチキャスト グループに属していないからです。バックアップ リンクがブロックされているため、マルチキャスト グループのレポートは、ダウンストリーム スイッチによって転送されませんでした。このポートがマルチキャスト グループを学習するまで、データはポート上で送信されません。これはポートがレポートを受信したあとでだけ発生します。
一般的なクエリーを受信すると、レポートはホストによって送信されます。一般的なクエリーは通常のシナリオでは 60 秒以内に送信されます。バックアップ リンクが転送を開始すると、マルチキャスト データの高速コンバージェンスを実現するため、ダウンストリーム スイッチは、一般的なクエリーを待つことなく、このポート上のすべての学習済みグループに対して、ただちにプロキシ レポートを送信します。
IGMP レポートのリーク
最小の損失でマルチキャスト トラフィック コンバージェンスを実現するには、Flex Link アクティブ リンクがダウン状態になる前に、冗長データ パスを設定する必要があります。これは、Flex Link バックアップ リンク上の IGMP レポート パケットだけをリークすることで実現できます。リークした IGMP レポート メッセージは、アップストリーム ディストリビューション ルータによって処理されるので、マルチキャスト トラフィック データはバックアップ インターフェイスに転送されます。バックアップ インターフェイスのすべての着信トラフィックは、アクセス スイッチの入力でドロップされるので、重複したマルチキャスト トラフィックはホストによって受信されません。Flex Link アクティブ リンクに障害が発生すると、アクセス スイッチはバックアップ リンクからのトラフィックの受信をただちに開始します。この方式の唯一の欠点は、ディストリビューション スイッチの間のリンク上と、ディストリビューション スイッチとアクセス スイッチの間のバックアップ リンク上で帯域幅を消費することです。この機能はデフォルトではディセーブルで、switchport backup interface interface-id multicast fast-convergence コマンドを使用して設定できます。
切り替え時にこの機能がイネーブルになると、スイッチはバックアップ ポートでプロキシ レポートを生成せず、転送ポートになります。
設定例
次に、Flex Link を GigabitEthernet1/0/11 および GigabitEthernet1/0/12 に設定したときに他の Flex Link ポートを mrouter ポートとして学習する例と、show interfaces switchport backup コマンドの出力を示します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface GigabitEthernet1/0/11
Switch(config-if)# switchport trunk encapsulation dot1q
Switch(config-if)# switchport mode trunk
Switch(config-if)# switchport backup interface Gi1/0/12
Switch(config)# interface GigabitEthernet1/0/12
Switch(config-if)# switchport trunk encapsulation dot1q
Switch(config-if)# switchport mode trunk
Switch# show interfaces switchport backup detail
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
GigabitEthernet1/0/11 GigabitEthernet1/0/12 Active Up/Backup Standby
Multicast Fast Convergence : Off
Bandwidth : 100000 Kbit (Gi1/0/11), 100000 Kbit (Gi1/0/12)
Mac Address Move Update Vlan : auto
次の出力では、GigabitEthernet1/0/11 を介してスイッチに到達するクエリーを持った、VLAN 1 および 401 のクエリアを示します。
Switch# show ip igmp snooping querier
Vlan IP Address IGMP Version Port
-------------------------------------------------------------
401 41.41.41.1 v2 Gi1/0/11
次の出力では、VLAN 1 および 401 の show ip igmp snooping mrouter コマンドを示します。
Switch# show ip igmp snooping mrouter
1 Gi1/0/11(dynamic), Gi1/0/12(dynamic)
401 Gi1/0/11(dynamic), Gi1/0/12(dynamic)
同様に、両方の Flex Link ポートも学習済みグループに属します。次の例では、GigabitEthernet2/0/11 は VLAN 1 のレシーバ/ホストであり、2 つのマルチキャスト グループに関連しています。
Switch# show ip igmp snooping groups
Vlan Group Type Version Port List
-----------------------------------------------------------------------
1 228.1.5.1 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
1 228.1.5.2 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
ホストが一般的なクエリーに応答する場合、スイッチは mrouter ポート上でこのレポートを転送します。次の例では、ホストがグループ 228.1.5.1 のレポートを送信するとき、バックアップ ポート GigabitEthernet1/0/12 はブロックされているので、レポートは GigabitEthernet1/0/11 でだけ送信されます。アクティブ リンクの GigabitEthernet1/0/11 がダウン状態になると、バックアップ ポートの GigabitEthernet1/0/12 は転送を開始します。
このポートが転送を開始するとすぐに、スイッチがホストの代わりにグループ 228.1.5.1 および 228.1.5.2 のプロキシ レポートを送信します。アップストリーム ルータはグループを学習し、マルチキャスト データの転送を開始します。これは、Flex Link のデフォルトの動作です。ユーザが switchport backup interface gigabitEthernet 1/0/12 multicast fast-convergence コマンドを使用して高速コンバージェンスを設定すると、この動作は変更されます。次に、この機能をオンにする例を示します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitEthernet 1/0/11
Switch(config-if)# switchport backup interface gigabitEthernet 1/0/12 multicast fast-convergence
Switch# show interfaces switchport backup detail
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet1/0/11 GigabitEthernet1/0/12 Active Up/Backup Standby
Multicast Fast Convergence : On
Bandwidth : 100000 Kbit (Gi1/0/11), 100000 Kbit (Gi1/0/12)
Mac Address Move Update Vlan : auto
次の出力では、GigabitEthernet1/0/11 を介してスイッチに到達するクエリーを持った、VLAN 1 および 401 のクエリアを示します。
Switch# show ip igmp snooping querier
Vlan IP Address IGMP Version Port
-------------------------------------------------------------
401 41.41.41.1 v2 Gi1/0/11
次の出力では、VLAN 1 および 401 の show ip igmp snooping mrouter コマンドを示します。
Switch# show ip igmp snooping mrouter
1 Gi1/0/11(dynamic), Gi1/0/12(dynamic)
401 Gi1/0/11(dynamic), Gi1/0/12(dynamic)
同様に、両方の Flex Link ポートも学習済みグループに属します。次の例では、GigabitEthernet2/0/11 は VLAN 1 のレシーバ/ホストであり、2 つのマルチキャスト グループに関連しています。
Switch# show ip igmp snooping groups
Vlan Group Type Version Port List
-----------------------------------------------------------------------
1 228.1.5.1 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
1 228.1.5.2 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
ホストが一般的なクエリーに応答する場合、スイッチは mrouter ポート上でこのレポートを転送します。コマンドライン ポートを介してこの機能をオンにし、レポートが GigabitEthernet1/0/11 上のスイッチによって転送されると、レポートはバックアップ ポート GigabitEthernet1/0/12 にもリークされます。アップストリーム ルータはグループを学習し、マルチキャスト データの転送を開始します。GigabitEthernet1/0/12 はブロックされているので、このデータは入力でドロップされます。アクティブ リンクの GigabitEthernet1/0/11 がダウン状態になると、バックアップ ポートの GigabitEthernet1/0/12 は転送を開始します。マルチキャスト データはすでにアップストリーム ルータによって転送されているので、任意のプロキシ レポートを送信する必要はありません。レポートをバックアップ ポートにリークすると冗長マルチキャスト パスが設定され、マルチキャスト トラフィック コンバージェンス用の時間が最小限になります。
MAC アドレス テーブル移動更新
MAC アドレス テーブル移動更新機能を使用すると、プライマリ(フォワーディング)リンクがダウンし、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始するときに、スイッチで双方向の高速コンバージェンスを提供できます。
図 22-3 のスイッチ A はアクセス スイッチで、ポート 1 およびポート 2 は、Flex Link のペアを介してアップリンク スイッチ B および D に接続されています。ポート 1 はトラフィックを転送し、ポート 2 はバックアップ ステート状態です。PC からサーバへのトラフィック転送は、ポート 1 から ポート 3 へ流れます。PC の MAC アドレスはスイッチ C のポート 3 で学習されます。サーバから PC へのトラフィック転送は、ポート 3 からポート 1 へ流れます。
MAC アドレス テーブル移動更新機能が設定されていない状態でポート 1 がダウンすると、ポート 2 がトラフィック転送を開始します。短時間、スイッチ C はポート 3 を使用してサーバから PC へのトラフィックを転送しますが、PC はポート 1 がダウンしているため、そのトラフィックを受信しません。スイッチ C がポート 3 の PC の MAC アドレスを削除してポート 4 で再度学習すると、サーバから PC へのトラフィックを転送できます(ポート 2 を使用します)。
図 22-3 で、MAC アドレス テーブル移動更新機能を設定してスイッチ上でイネーブルにしている場合、ポート 1 がダウンしても、ポート 2 がPC からサーバへトラフィック転送を開始します。スイッチは MAC アドレス テーブル移動更新パケットをポート 2 から送信します。スイッチ C はこのパケットをポート 4 で受信すると、すぐに PC のポート 4 の MAC アドレスを学習するので、コンバージェンスを繰り返す時間を短縮できます。
アクセス スイッチ(スイッチ A)を設定して MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 送信 できます。また、アップリンク スイッチ B、C、D を設定して MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 受信 し、処理することもできます。スイッチ C は MAC アドレス テーブル移動更新メッセージをスイッチ A から受信すると、PC のポート 4 の MAC アドレスを学習します。次に、スイッチ C は PC の転送テーブルのエントリを含む MAC アドレス テーブルを更新します。
スイッチ A は、MAC アドレステーブルの更新を待機する必要はありません。スイッチがポート 1 で障害を検出し、新しい転送ポートであるポート 2 からのサーバ トラフィックの転送をただちに開始します。この変更は 100 ミリ秒(ms)以内に発生します。PC はスイッチ A に直接接続され、接続ステータスは変更されません。スイッチ A は、MAC アドレス テーブル内の PC エントリを更新する必要はありません。
図 22-3 MAC アドレス テーブル移動更新の設定例
Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定
ここでは、次の情報について説明します。
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「設定時の注意事項」
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「デフォルト設定」
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「Flex Link の設定」
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「Flex Link での VLAN ロード バランシングの設定」
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「MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定」
設定時の注意事項
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バックアップ リンクは最大 16 個まで設定できます。
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アクティブ リンクに対し、Flex Link のバックアップ リンクを 1 つだけ設定できます。このリンクはアクティブ インターフェイスとは異なるインターフェイスである必要があります。
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インターフェイスは Flex Link ペアの 1 つにだけ、所属できます。インターフェイスは 1 つのアクティブ リンクに対してだけ、バックアップ リンクになることができます。アクティブ リンクは別の Flex Link ペアに所属できません。
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どちらのリンクも EtherChannel のポートになることはできません。ただし、ポート チャネルまたは物理インターフェイスのいずれかがアクティブ リンクである場合、ポート チャネル 2 つ(EtherChannel 論理インターフェイス)を Flex Link として、またポート チャネルと物理インターフェイスを Flex Link として設定できます。
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バックアップ リンクはアクティブ リンクと同じタイプ(ギガビット イーサネットまたはポート チャネル)にする必要はありません。ただし、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始した場合に、ループや動作変更が起きないように、両方の Flex Link を類似の特性で設定する必要があります。
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Flex Link ポートでは、STP はディセーブルです。ポートの VLAN に STP が設定されていても、Flex Link ポートは STP に参加しません。STP がイネーブルでない場合、設定したトポロジでループが発生しないようにしてください。
Flex Link 機能で VLAN ロード バランシングを設定するには、次の注意事項に従ってください。
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Flex Link VLAN ロード バランシングの場合、バックアップ インターフェイスで優先 VLAN を選択する必要があります。
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同じ Flex Link ペアに対して、プリエンプト メカニズムと VLAN ロード バランシングを設定できません。
MAC アドレス テーブル移動更新機能を設定するときには、次の注意事項に従ってください。
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MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 送信 する場合、この機能をアクセス スイッチに設定してイネーブルにします。
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MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 受信 する場合、この機能をアップリンク スイッチに設定してイネーブルにします。
デフォルト設定
Flex Link は設定されていません。また、バックアップ インターフェイスも定義されていません。
プリエンプト モードはオフです。
プリエンプト遅延は 35 秒です。
MAC アドレス テーブル移動更新機能はスイッチに設定されていません。
Flex Link の設定
Flex Link のペアを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは、物理レイヤ 2 インターフェイスにすることも、ポート チャネル(論理インターフェイス)にすることもできます。指定できるポートチャネルの範囲は 1 ~ 48 です。 |
ステップ 3 |
switchport backup interface interface-id |
物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を、インターフェイスを装備した Flex Link ペアの一部として設定します。1 つのリンクがトラフィックを転送している場合、残りのインターフェイスはスタンバイ モードです。 |
ステップ 4 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show interface [ interface-id ] switchport backup |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup config |
(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
Flex Link バックアップ インターフェイスをディセーブルにするには、 no switchport backup interface interface-id インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、バックアップ インターフェイスを装備し、設定を確認するようにインターフェイスを設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(conf)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet1/0/2
Switch# show interface switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet1/0/1 GigabitEthernet1/0/2 Active Up/Backup Standby
Flex Link のペアのプリエンプト方式を設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは、物理レイヤ 2 インターフェイスにすることも、ポート チャネル(論理インターフェイス)にすることもできます。指定できるポートチャネルの範囲は 1 ~ 48 です。 |
ステップ 3 |
switchport backup interface interface-id |
物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を、インターフェイスを装備した Flex Link ペアの一部として設定します。1 つのリンクがトラフィックを転送している場合、残りのインターフェイスはスタンバイ モードです。 |
ステップ 4 |
switchport backup interface interface-id preemption mode [ forced | bandwidth | off ] |
Flex Link インターフェイス ペアのプリエンプト メカニズムおよび遅延を設定します。次のようにプリエンプトを設定できます。 • forced:アクティブ インターフェイスが常にバックアップをプリエンプトに設定します。 • bandwidth:広帯域幅を持つインターフェイスが常にアクティブ インターフェイスとして動作します。 • off:アクティブからバックアップへのプリエンプトは発生しません。 |
ステップ 5 |
switchport backup interface interface-id preemption delay delay-time |
ポートが別のポートのプリエンプトを実行するまでの遅延時間を設定します。 (注) 遅延時間の設定は、forced および bandwidth モードでだけ機能します。 |
ステップ 6 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 7 |
show interface [ interface-id ] switchport backup |
設定を確認します。 |
ステップ 8 |
copy running-config startup config |
(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
プリエンプト方式を削除するには、 no switchport backup interface interface-id preemption mode インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。遅延時間をデフォルトにリセットするには、 no switchport backup interface interface-id preemption delay インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、バックアップ インターフェイス ペアに対して forced としてプリエンプト モードを設定して設定を確認する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(conf)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(conf-if)#switchport backup interface gigabitethernet1/0/2 preemption mode forced
Switch(conf-if)#switchport backup interface gigabitethernet1/0/2 preemption delay 50
Switch# show interface switchport backup detail
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet1/0/211 GigabitEthernet1/0/2 Active Up/Backup Standby
Interface Pair : Gi1/0/1, Gi1/0/2
Preemption Delay : 50 seconds
Bandwidth : 100000 Kbit (Gi1/0/1), 100000 Kbit (Gi1/0/2)
Mac Address Move Update Vlan : auto
Flex Link での VLAN ロード バランシングの設定
Flex Link で VLAN ロード バランシングを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは、物理レイヤ 2 インターフェイスにすることも、ポート チャネル(論理インターフェイス)にすることもできます。指定できるポートチャネルの範囲は 1 ~ 48 です。 |
ステップ 3 |
switchport backup interface interface-id prefer vlan vlan-range |
物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を、インターフェイスを装備した Flex Link ペアの一部として設定し、インターフェイス上で伝送された VLAN を指定します。VLAN ID 範囲は 1 ~ 4094 です。 |
ステップ 4 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show interfaces [ interface-id ] switchport backup |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup config |
(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
VLAN ロード バランシング機能をディセーブルにするには、 no switchport backup interface interface-id prefer vlan vlan-range インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次の例では、VLAN 1 ~ 50、60、および 100 ~ 120 がスイッチで設定されています。
Switch(config)#interface gigabitethernet 2/0/6
Switch(config-if)#switchport backup interface gigabitethernet 2/0/8 prefer vlan 60,100-120
両方のインターフェイスが起動しているとき、Gi2/0/8 は VLAN 60 および 100 ~ 120 のトラフィックを転送し、Gi2/0/6 は VLAN 1 ~ 50 のトラフィックを転送します。
Switch# show interfaces switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet2/0/6 GigabitEthernet2/0/8 Active Up/Backup Standby
Vlans Preferred on Active Interface: 1-50
Vlans Preferred on Backup Interface: 60, 100-120
Flex Link インターフェイスがダウンすると(LINK_DOWN)、このインターフェイスで優先される VLAN は、Flex Link ペアのピア インターフェイスに移動します。この例では、インターフェイス Gi0/6 がダウンすると、Gi0/8 は Flex Link ペアのすべての VLAN を伝送します。
Switch# show interfaces switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet2/0/6 GigabitEthernet2/0/8 Active Down/Backup Up
Vlans Preferred on Active Interface: 1-50
Vlans Preferred on Backup Interface: 60, 100-120
Flex Link インターフェイスが起動されると、このインターフェイスで優先される VLAN は、ピア インターフェイスでブロックされ、ちょうど起動されたインターフェイス上で転送状態に移行されます。次に、インターフェイス Gi2/0/6 が起動すると、このインターフェイスの優先 VLAN は、ピア インターフェイス Gi2/0/8 ではブロックされ、Gi2/0/6 で転送されます。
Switch# show interfaces switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet2/0/6 GigabitEthernet2/0/8 Active Up/Backup Standby
Vlans Preferred on Active Interface: 1-50
Vlans Preferred on Backup Interface: 60, 100-120
Switch# show interfaces switchport backup detail
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
FastEthernet1/0/3 FastEthernet1/0/4 Active Down/Backup Up
Vlans Preferred on Active Interface: 1-2,5-4094
Vlans Preferred on Backup Interface: 3-4
Bandwidth : 10000 Kbit (Fa1/0/3), 100000 Kbit (Fa1/0/4)
Mac Address Move Update Vlan : auto
MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定
ここでは、次の情報について説明します。
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スイッチを設定して、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを送信する。
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スイッチを設定して、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを受信する。
MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを送信するようにアクセス スイッチを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは、物理レイヤ 2 インターフェイスにすることも、ポート チャネル(論理インターフェイス)にすることもできます。指定できるポートチャネルの範囲は 1 ~ 48 です。 |
ステップ 3 |
switchport backup interface interface-id または switchport backup interface interface-id mmu primary vlan vlan-id |
物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を、インターフェイスを装備した Flex Link ペアの一部として設定します。MAC アドレス テーブル移動更新の VLAN がインターフェイスで一番小さい VLAN ID です。 物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を設定し、MAC アドレステーブル移動更新の送信に使用される、インターフェイス上の VLAN ID を指定します。 1 つのリンクがトラフィックを転送している場合、残りのインターフェイスはスタンバイ モードです。 |
ステップ 4 |
end |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
mac address-table move update transmit |
アクセス スイッチをイネーブルにして、ネットワーク内の他のスイッチに MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを送信します(プライマリ リンクがダウンし、スイッチがスタンバイ リンクを使用してトラフィックの転送を開始する場合)。 |
ステップ 6 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 7 |
show mac address-table move update |
設定を確認します。 |
ステップ 8 |
copy running-config startup config |
(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
MAC アドレス テーブル移動更新機能をディセーブルにするには、 no mac address-table move update transmit インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。MAC アドレス テーブル移動更新情報を表示するには、 show mac address-table move update 特権 EXEC コマンドを使用します。
次に、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを送信するように、アクセス スイッチを設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(conf)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet0/2 mmu primary vlan 2
Switch(conf)# mac address-table move update transmit
次に、設定を確認する例を示します。
Switch# show mac-address-table move update
Switch-ID : 010b.4630.1780
Dst mac-address : 0180.c200.0010
Vlans/Macs supported : 1023/8320
Default/Current settings: Rcv Off/On, Xmt Off/On
Max packets per min : Rcv 40, Xmt 60
Rcv conforming packet count : 5
Rcv invalid packet count : 0
Rcv packet count this min : 0
Rcv threshold exceed count : 0
Rcv last sequence# this min : 0
Rcv last src-mac-address : 000b.462d.c502
Rcv last switch-ID : 0403.fd6a.8700
Xmt packet count this min : 0
Xmt threshold exceed count : 0
Xmt pak buf unavail cnt : 0
Xmt last interface : None
MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを受信するようにスイッチを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
mac address-table move update receive |
スイッチをイネーブルにして MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを受信し、その処理を実行します。 |
ステップ 3 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show mac address-table move update |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup config |
(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
MAC アドレス テーブル移動更新機能をディセーブルにするには、 no mac address-table move update receive コンフィギュレーション コマンドを使用します。MAC アドレス テーブル移動更新情報を表示するには、 show mac address-table move update 特権 EXEC コマンドを使用します。
次に、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを受信して、その処理を実行できるようにスイッチを設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(conf)# mac address-table move update receive