インターフェイス タイプの概要
ここでは、各種インターフェイス タイプの設定に関する詳細情報が記載された章についても述べながら、スイッチによってサポートされるこれらのインターフェイス タイプについて説明します。また、物理インターフェイス特性の設定手順についても説明します。
(注) スイッチ背面のスタック ポートは、イーサネット ポートではないため設定できません。
ここでは、次のインターフェイス タイプについて説明します。
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「ポートベースの VLAN」
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「スイッチ ポート」
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「ルーテッド ポート」
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「SVI」
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「EtherChannel ポート グループ」
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「10 ギガビット イーサネット インターフェイス」
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「Power over Ethernet ポート」
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「インターフェイスの接続」
ポートベースの VLAN
VLAN(仮想 LAN)は、ユーザの物理的な位置に関係なく、機能、チーム、またはアプリケーションによって論理的に分割されたスイッチド ネットワークです。VLAN の詳細については、 第 13 章「VLAN の設定」 を参照してください。ポートで受信したパケットが転送されるのは、その受信ポートと同じ VLAN に属するポートに限られます。異なる VLAN 上のネットワーク デバイスは、VLAN 間でトラフィックをルーティングするレイヤ 3 のデバイスがなければ、相互に通信することができません。
VLAN のパーティション化により、VLAN 内のトラフィックに堅固なファイアウォールを実現します。また、各 VLAN には固有の MAC アドレス テーブルがあります。VLAN が成立するのは、ローカル ポートが VLAN に対応するように設定されたとき、VLAN Trunk Protocol(VTP;VLAN トランク プロトコル)がトランク上のネイバから VLAN の存在を認識したとき、ユーザが VLAN を作成したときです。VLAN は、スタック全体の複数のポートから構成できます。
標準範囲の VLAN(VLAN ID が 1 ~ 1005)を設定するには、 vlan vlan-id グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して config-vlan モードを開始するか、 vlan database イネーブル EXEC コマンドを使用して VLAN データベース コンフィギュレーション モードを開始します。VLAN ID 1 ~ 1005 の VLAN 設定は、VLAN データベースに保存されます。このデータベースは、スタック内のすべてのスイッチにダウンロードされます。スタック内のすべてのスイッチが同一の VLAN データベースを作成します。拡張範囲(VLAN ID が 1006 ~ 4094)の VLAN を設定するには、トランスペアレントに設定した VTP モードで config-vlan モードを使用する必要があります。拡張範囲 VLAN は、VLAN データベースに追加されません。VTP モードがトランスペアレントな場合は、VTP および VLAN コンフィギュレーションはスイッチの実行コンフィギュレーションに保存されます。また、 copy running-config startup-config イネーブル EXEC コマンドを実行することにより、スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに保存できます。実行コンフィギュレーションと保存済みコンフィギュレーションは、スタック内のすべてのスイッチで同一です。
switchport インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用すると、VLAN にポートが追加されます。
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インターフェイスを特定します。
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トランクポートには、トランク特性を設定し、必要に応じて、所属できる VLAN を定義します。
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アクセス ポートには、所属する VLAN を設定して定義します。
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トンネル ポートには、カスタマー固有の VLAN タグの VLAN ID を設定して定義します。 第 17 章「IEEE 802.1Q およびレイヤ 2 プロトコル トンネリングの設定」 を参照してください。
スイッチ ポート
スイッチ ポートは、物理ポートに対応付けられたレイヤ 2 専用インターフェイスです。スイッチ ポートは 1 つまたは複数の VLAN に属しています。 スイッチ ポートは、アクセス ポート、トランク ポート、またはトンネル ポートのいずれかになります。ポートをアクセス ポートまたはトランク ポートとして設定することもできれば、Dynamic Trunking Protocol(DTP)をポート単位で稼働させ、リンクのもう一方のエンドとネゴシエーションすることで、スイッチポート モードを設定することもできます。 トンネル ポートは、IEEE 802.1Q トランク ポートに接続された非対称リンクの一部として手動で設定する必要があります。スイッチ ポートは物理インターフェイスおよび対応レイヤ 2 プロトコルを管理するために使用され、ルーティングやブリッジングの処理は行いません。
スイッチ ポートは、 switchport インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用して設定します。キーワードを指定せずに switchport コマンドを使用すると、レイヤ 3 モードのインターフェイスがレイヤ 2 モードになります。
(注) レイヤ 3 モードのインターフェイスをレイヤ 2 モードにすると、影響を受けたインターフェイスに関連する前の設定情報は失われ、インターフェイスはデフォルト設定に戻る可能性があります。
アクセス ポートおよびトランク ポートの特性の設定に関する詳細は、 第 13 章「VLAN の設定」 を参照してください。トンネル ポートの詳細については、 第 17 章「IEEE 802.1Q およびレイヤ 2 プロトコル トンネリングの設定」 を参照してください。
アクセス ポート
アクセス ポートは、1 つの VLAN だけに属し、その VLAN のトラフィックを搬送します(音声 VLAN ポートとして設定されていないかぎり)。トラフィックは、VLAN タギングなしのネイティブ フォーマットで送受信されます。アクセス ポートに着信したトラフィックは、ポートに割り当てられた VLAN に所属するとみなされます。アクセス ポートがタグ付きのパケット(Inter-Switch Link [ISL] またはIEEE 802.1Q のタグ付き)を受信した場合、パケットは廃棄され、送信元アドレスは学習されません。
2 種類のアクセス ポートがサポートされています。
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スタティック アクセス ポートは手動で VLAN に割り当てます(または IEEE 802.1x を併用した RADIUS サーバ経由。詳細については、 IEEE 802.1x と VLAN 割り当ての使用方法を参照)。
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ダイナミック アクセス ポートの VLAN メンバーシップは、着信パケットを通じて学習されます。デフォルトでは、ダイナミック アクセス ポートはどの VLAN のメンバーでもなく、ポートとの伝送はポートの VLAN メンバーシップが検出されたときにだけイネーブルになります。スイッチのダイナミック アクセス ポートは、VLAN Membership Policy Server(VMPS;VLAN メンバーシップ ポリシー サーバ)によって VLAN に割り当てられます。Catalyst 6500 シリーズ スイッチが VMPS になります。Catalyst 3750 スイッチは、VMPS サーバとして機能できません。
Cisco IP Phone が接続されたアクセス ポートは、接続されたデバイスから電話機への音声トラフィック用に 1 つの VLAN を使用し、データ トラフィック用に別の VLAN を使用するように設定できます。音声 VLAN ポートの詳細については、 第 15 章「音声 VLAN の設定」 を参照してください。
トランク ポート
トランク ポートは複数の VLAN のトラフィックを搬送し、デフォルトでは VLAN データベース内のすべての VLAN のメンバーです。次のトランク ポート タイプがサポートされます。
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ISL トランク ポートでは、すべての受信済みパケットは ISL ヘッダーでカプセル化されているとみなされ、送信パケットはすべて ISL ヘッダー付きで送信されます。ISL トランク ポートから受信したネイティブ(タグなし)フレームは、破棄されます。
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IEEE 802.1Q トランク ポートは、タグ付きおよびタグなしの両方のトラフィックを同時にサポートします。IEEE 802.1Q トランク ポートは、デフォルトの Port VLAN ID(PVID)が割り当てられ、すべてのタグなしトラフィックはポート デフォルト PVID 上を流れます。NULL VLAN ID を備えたすべてのタグなしおよびタグ付きトラフィックは、ポート デフォルト PVID に所属するとみなされます。発信ポートのデフォルト PVID と等しい VLAN ID を持つパケットは、タグなしで送信されます。残りのトラフィックはすべて、VLAN タグ付きで送信されます。
デフォルトでは、トランク ポートは、VTP に認識されているすべての VLAN のメンバーですが、トランク ポートごとに VLAN の許可リストを設定して、VLAN メンバーシップを制限できます。許可 VLAN のリストは、その他のポートには影響を与えませんが、対応トランク ポートには影響を与えます。デフォルトでは、予想されるすべての VLAN(VLAN ID 1 ~ 4094)は、許可リスト内にあります。トランク ポートは、VTP が VLAN を認識し、VLAN がイネーブル状態にある場合に限り、VLAN のメンバーになることができます。VTP が新しいイネーブル VLAN を認識し、その VLAN がトランク ポートの許可リストに登録されている場合、トランク ポートは自動的にその VLAN のメンバーになり、トラフィックはその VLAN のトランク ポート間で転送されます。VTP が、VLAN のトランク ポートの許可リストに登録されていない、新しいイネーブル VLAN を認識した場合、ポートはその VLAN のメンバーにはならず、その VLAN のトラフィックはそのポート間で転送されません。
トランク ポートの詳細については、 第 13 章「VLAN の設定」 を参照してください。
トンネル ポート
トンネル ポートは、サービス プロバイダー ネットワーク内のカスタマーのトラフィックを同じ VLAN 番号を使用する他のカスタマーから分離するために、IEEE 802.1Q トンネリングで使用されます。サービス プロバイダーのエッジ スイッチ上のトンネル ポートからカスタマー スイッチ上の IEEE 802.1Q トランク ポートへの非対称リンクを設定します。エッジ スイッチのトンネル ポートに着信するパケットは、カスタマー VLAN ですでに IEEE 802.1Q タグ付きとなっていますが、VLAN ID を含む他の IEEE 802.1Q タグ(メトロ タグ)のレイヤでカプセル化されます。この VLAN ID はサービス プロバイダー ネットワークでカスタマーごとに一意になっています。この二重タグ付きパケットは、元のカスタマー VLAN を他のカスタマーの VLAN から分離したまま、サービス プロバイダー ネットワークを通過します。発信インターフェイス、またトンネル ポートでメトロ タグは削除され、カスタマー ネットワークの元の VLAN 番号が取得されます。
トンネル ポートは、トランク ポートまたはアクセス ポートにはできません。各カスタマーに一意の VLAN に所属する必要があります。
トンネル ポートの詳細については、 第 17 章「IEEE 802.1Q およびレイヤ 2 プロトコル トンネリングの設定」 を参照してください。
ルーテッド ポート
ルーテッド ポートは物理ポートであり、ルータ上にあるポートのように動作しますが、ルータに接続されている必要はありません。ルーテッド ポートは、アクセス ポートとは異なり、特定の VLAN に対応付けられていません。VLAN サブインターフェイスをサポートしない点を除けば、通常のルータ インターフェイスのように動作します。ルーテッド ポートは、レイヤ 3 ルーティング プロトコルで設定できます。ルーテッド ポートはレイヤ 3 インターフェイス専用で、DTP や STP などのレイヤ 2 プロトコルはサポートしません。
ルーテッド ポートを設定するには、 no switchport インターフェイス コンフィギュレーション コマンドでインターフェイスをレイヤ 3 モードにします。次に、ポートに IP アドレスを割り当て、ルーティングをイネーブルにし、ip routingおよびrouter protocol グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用してルーティング プロトコルの特性を指定します。
(注) no switchportインターフェイス コンフィギュレーション コマンドを実行すると、インターフェイスがいったんシャットダウンしてから再度イネーブルになります。これにより、インターフェイスが接続しているデバイスに関するメッセージが表示されることがあります。レイヤ 2 モードのインターフェイスをレイヤ 3 モードにすると、影響を受けたインターフェイスに関連する前の設定情報が失われる可能性があります。
ソフトウェアに、設定できるルーテッド ポートの個数制限はありません。ただし、ハードウェアには限界があるため、この個数と設定されている他の機能の数との相互関係によって CPU パフォーマンスに影響が及ぶことがあります。ハードウェアのリソース制限に達したときに何が発生するかについては、「レイヤ 3 インターフェイスの設定」を参照してください。
IP ユニキャストルーティング、IP マルチキャスト ルーティング、およびルーティング プロトコルの詳細については、 第 35 章「IP ユニキャスト ルーティングの設定」 および 第 40 章「IP マルチキャスト ルーティングの設定」 を参照してください。
(注) IP ベース イメージ(以前の標準マルチレイヤ イメージ [SMI])は、スタティック ルーティングおよび Routing Information Protocol(RIP)をサポートします。完全なレイヤ 3 ルーティングまたは代替ブリッジングを実行するには、スタック マスターに IP サービス イメージ(以前の拡張マルチレイヤ イメージ [EMI])をインストールする必要があります。
SVI
Switch Virtual Intertface(SVI; スイッチ仮想インターフェイス)は、スイッチ ポートの VLAN を、システムのルーティング機能またはブリッジング機能に対する 1 つのインターフェイスとして表します。1 つの VLAN に対応付けできるのは 1 つの SVI だけですが、VLAN 間でルーティングする場合、VLAN 間でルーティングできないプロトコルを代替ブリッジングする場合、またはスイッチと IP ホストの接続を行う場合のみ、VLAN に SVI を設定する必要があります。デフォルトでは、SVI はデフォルト VLAN(VLAN 1)用に作成され、リモート スイッチの管理を可能にします。追加の SVI は明示的に設定する必要があります。
(注) インターフェイス VLAN 1 は削除できません。
SVI はシステムへのみ IP ホスト接続を行います。レイヤ 3 モードでは、SVI 全体にルーティングを設定できます。
スイッチ スタックは合計 1005 の VLAN(および SVI)をサポートしますが、ハードウェアには限界があるため、SVI とルーテッド ポートの数および設定されている他の機能の数との相互関係によって、CPU パフォーマンスに影響が及ぶことがあります。ハードウェアのリソース制限に達したときに何が発生するかについては、「レイヤ 3 インターフェイスの設定」を参照してください。
SVI は、VLAN インターフェイスに対してvlanインターフェイス コンフィギュレーション コマンドを実行した場合に初めて作成されます。VLAN は、ISL または IEEE 802.1Q カプセル化トランク上のデータ フレームに関連付けられた VLAN タグ、あるいはアクセス ポート用に設定された VLAN ID に対応します。トラフィックをルーティングするそれぞれの VLAN に対して VLAN インターフェイスを設定し、IP アドレスを割り当ててください。詳細については、「手動での IP 情報の割り当て」を参照してください。
(注) 作成した SVI をアクティブにするには、物理ポートに関連付ける必要があります。
SVI は、ルーティング プロトコルとブリッジング設定をサポートします。IP ルーティング設定の詳細については、 第 35 章「IP ユニキャスト ルーティングの設定」 、 第 40 章「IP マルチキャスト ルーティングの設定」 、および 第 42 章「代替ブリッジングの設定」 を参照してください。
(注) IP ベース イメージはスタティック ルーティングおよび RIP をサポートします。より高度なルーティングや代替ブリッジングを行う場合は、スタック マスターに IP サービス イメージを搭載する必要があります。
EtherChannel ポート グループ
EtherChannel ポート グループでは、複数のスイッチ ポートが 1 つのスイッチ ポートとして扱われます。このようなポート グループは、スイッチ間、またはスイッチおよびサーバ間で広帯域接続を行う単一論理ポートとして動作します。EtherChannel は、チャネルのリンク全体でトラフィックの負荷のバランスをとります。EtherChannel 内のリンクで障害が発生した場合は、障害が発生したリンクで搬送されていたトラフィックが残りのリンクに変更されます。グループの複数のトランク ポートを 1 つの論理トランク ポートに、グループの複数のアクセス ポートを 1 つの論理アクセス ポートに、グループの複数のトンネル ポートを 1 つの論理トンネル ポートに、またはグループの複数のルーテッド ポートを 1 つの論理ルーテッド ポートにまとめることができます。ほとんどのプロトコルは単一または集約スイッチ ポートで動作し、ポート グループ内の物理ポートを認識しません。例外は、DTP、Cisco Discovery Protocol(CDP)、Port Aggregation Protocol(PAgP)で、物理ポート上でのみ動作します。
EtherChannel を設定するとき、ポート チャネル論理インターフェイスを作成し、EtherChannel にインターフェイスを割り当てます。レイヤ 3 インターフェイスの場合は、 interface port-channel グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して手動で論理インターフェイスを作成します。その後、 channel-group インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用して、手動で EtherChannel にインターフェイスを割り当てます。レイヤ 2 インターフェイスの場合は、 channel-group インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用して、ダイナミックにポート チャネル論理インターフェイスを作成します。このコマンドは物理および論理ポートを結合します。詳細については、 第 34 章「EtherChannel の設定」 を参照してください。
10 ギガビット イーサネット インターフェイス
Catalyst 3750G-16TD スイッチには 10 ギガビット イーサネット インターフェイスが 1 個搭載されています。スイッチでは 10 ギガビット イーサネット XENPAK モジュールを使用してネットワークへの接続を確立します。
10 ギガビット イーサネット インターフェイスは全二重モードでのみ動作します。インターフェイスはスイッチ ポートまたはルーテッド ポートとして設定可能です。Catalyst 3750 スイッチのスタックでは最大で 9 つの 10 ギガビット イーサネット インターフェイスを持つことができます。クロススタック EtherChannel では最大 2 つの 10 ギガビット モジュール ポートをサポートしています。
スイッチでサポートされる XENPAK モジュールの最新情報については、リリース ノートを参照してください。
XENPAK モジュールの詳細については、XENPAK モジュールのマニュアルを参照してください。
(注) 10 ギガビット イーサネット モジュール ポートは、ハードウェア インストール ガイドでは 10 ギガビット イーサネット XENPAK モジュールと呼ばれています。
Power over Ethernet ポート
Catalyst 3750の Power over Ethernet(PoE)対応スイッチ ポートは、次の接続デバイスに自動的に電力を供給します(回路上に電力がないことをスイッチが検知した場合)。
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シスコの先行標準受電装置(Cisco IP Phone および Cisco Aironet アクセス ポイントなど)
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IEEE 802.3af 準拠の受電装置
24 ポートの PoE スイッチでは、各 10/100 または 10/100/1000 PoE ポートに 15.4 W の電力が供給されます。48 ポート PoE スイッチでは、48 の 10/100 または 10/100/1000 PoE ポート中 24 ポートに 15.4 W か、または任意の複数のポートに、平均して同時に 7.7 W(合計最大電力出力 370 W)の電力を供給します。
PoE スイッチ ポートおよび AC 電源装置の両方に接続している場合、受電装置は冗長電力を受けられます。
サポート対象のプロトコルおよび規格
スイッチは、次のプロトコルおよび規格を使用して PoE をサポートします。
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消費電力付き CDP ― 受電装置は消費電力量をスイッチに通知します。スイッチは、消費電力メッセージに応答しません。スイッチは、PoE ポートに電力を供給するか、または PoE ポートへの電力供給を停止します。
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シスコ インテリジェント電力管理 ― 受電装置とスイッチは、電力ネゴシエーション CDP メッセージを介して承認される消費電力レベルをネゴシエートします。ネゴシエーションにより、7 W 以上を消費する高出力のシスコ製受電装置が最高の電力モードで稼働できるようになります。受電装置はまず低出力モードで起動し、7 W より少ない電力を消費して、高出力モードで稼働するための電力をネゴシエーションにより取得します。デバイスは、スイッチからの確認を受信した場合にのみ高出力モードに変更します。
高出力デバイスは、電力ネゴシエーション CDP をサポートしないスイッチ上では低出力モードで稼働できます。
Release 12.2(25)SE 以前のリリースでは、Catalyst 3750 PoE 対応スイッチ(インテリジェント電力管理サポートなし)により、インテリジェント電力管理をサポートする高出力受電装置は低出力モードで稼働していました。低出力モードのデバイスには、完全な機能は備わっていません。
シスコ インテリジェント電力管理機能は、消費電力付き CDP と下位互換性があります。スイッチは、受信した CDP メッセージに応じて応答します。CDP は、サードパーティ製受電装置ではサポートされていません。そのため、スイッチは IEEE 分類を使用して、これらの受電装置の電力使用状況を判別します。
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IEEE 802.3af ― この規格の主な機能として、受電装置の検出、電力管理、切断の検知、および受電装置の電力分類(オプション)があります。詳細については、この規格を参照してください。
受電装置の検出および初期電力割り当て
PoE 対応ポートが非シャットダウン ステートのとき、PoE がイネーブルのとき(デフォルト)、および接続デバイスが AC アダプタで電力供給されていない場合は、スイッチはシスコ先行標準または IEEE 準拠の受電装置を検出します。
スイッチはデバイスの検出後、そのタイプに基づいてデバイスの電力要件を決定します。
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スイッチによって検出されたシスコの先行標準受電装置は、電力要件を提供しません。そのため、パワー バジェット用に初期割り当てとして 15.4 W が割り当てられます。
初期電力割り当ては、受電装置が必要とする最大電力量になります。スイッチはまず、検出した受電装置にこの電力量を割り当て、電力を供給します。スイッチが受電装置から CDP メッセージを受信し、受電装置とスイッチが CDP の電力ネゴシエーション メッセージで電力レベルをネゴシエートしていくうちに、初期電力割り当てが調整されます。
•
スイッチは、検出した IEEE 装置を消費電力クラスに分類します。パワー バジェットで使用可能な電力に基づいて、スイッチはポートに通電が可能かどうかを判別します。 表11-1 に、これらのレベルをリストします。
表11-1 IEEE 電力分類
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0(クラス ステータス不明) |
15.4 W |
1 |
4.0 W |
2 |
7.0 W |
3 |
15.4 W |
4(今後の使用のために予約済み) |
クラス 0 として処理 |
スイッチは電力要求をモニタおよび追跡して、電力供給が可能な場合にのみ通電を許可します。スイッチは自身のパワー バジェット(スイッチ上の PoE に使用可能な電力量)を追跡します。ポートが通電を許可または拒否されると、スイッチは電力アカウンティング計算を実行して、パワー バジェットを最新に保ちます。
電力がポートに適用された後、スイッチは CDP を使用して、接続されたシスコ製受電装置の 実際の 消費電力要件を決定し、それに応じてパワー バジェットを調整します。この機能はサードパーティ製の PoE デバイスには適用されません。スイッチは要求を処理して、通電を許可または拒否します。要求を許可する場合、スイッチはパワー バジェットを更新します。要求を拒否すると、スイッチはポートへの通電がオフであることを確認し、Syslog メッセージを生成して、LED を更新します。また、受電装置は追加の電力についてもスイッチとネゴシエーションできます。
スイッチが、低電圧、過電圧、温度超過、オシレータの故障、または回路短絡状態などによる障害を検出した場合、ポートへの電力供給を停止し、Syslog メッセージを生成してパワー バジェットおよび LED を更新します。
PoE 機能は、スイッチがスタック メンバーであるかどうかに関わらず同じように動作します。パワー バジェットはスイッチ単位で、スタック内の他のスイッチの影響を受けません。新しいスタック マスターが選出されても、PoE の動作には影響しません。スタック マスターは、スタック内のすべてのスイッチおよびポートの PoE のステータスを追跡し続け、出力表示にそのステータスを含めます。
電力管理モード
スイッチは、次の PoE モードをサポートします。
•
auto ― スイッチは、接続先デバイスに電力が必要かどうかを自動的に検出します。スイッチが、ポートに接続された受電装置を検出し、スイッチに十分な電力がある場合は、通電を許可し、パワー バジェットを更新し、先着順でポートの電源をオンにして、LED を更新します。LED については、ハードウェア インストレーション ガイドを参照してください。
すべての受電装置に供給できるほど十分な電力がある場合、すべての受電装置がアクティブになります。スイッチに接続されているすべての受電装置に十分な電力が供給されている場合、すべてのデバイスの電源がオンになります。PoE で使用可能な電力が不足している場合、または他のデバイスが電力供給を待機している間にあるデバイスが切断され、再接続された場合、スイッチは通電が許可または拒否されるデバイスを決定できません。
供給する電力がシステムのパワー バジェットを超える場合、スイッチは電力供給を拒否してポートがオフになっていることを確認し、Syslog メッセージを生成して LED を更新します。電力供給が拒否されたら、スイッチは定期的にパワー バジェットを再検査し、引き続き電力要求に応じようとします。
デバイスがスイッチから電力供給され、さらに AC コンセントに接続した場合、スイッチは引き続きそのデバイスに電力を供給することがあります。デバイスの電力供給がスイッチによるものか AC 電源によるかに関わらず、スイッチは引き続きデバイスに電力を供給していることを報告する場合があります。
受電装置が取り外されると、スイッチは自動的に切断を検出し、ポートからの電力供給を停止します。非受電装置の接続は、ダメージを与えることなく、行うことができます。
ポートで許可される最大ワット数を指定できます。受電装置の IEEE クラス最大ワット数が、設定された最大値より大きい場合、スイッチはポートに電力を供給しません。スイッチが受電装置に電力供給しても、あとで受電装置が CDP メッセージにより設定された最大値を上回る値を要求した場合、スイッチはポートへの通電を停止します。受電装置に割り当てられた電力は、グローバル パワー バジェットに再要求されます。ワット数を指定しない場合、スイッチは最大値の電力を供給します。任意の PoE ポート上で auto 設定を使用してください。auto モードはデフォルト設定です。
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static ― スイッチは事前にポートに電力を割り当てて(受電装置が接続されていない場合でも)、ポートに電力を供給できることを保証します。スイッチはポートに設定された最大ワット数を割り当てます。このワット数は、IEEE クラスまたは受電装置の CDP メッセージでは調整されません。電力は事前に割り当てられるため、最大ワット数以下の電力を使用する受電装置が、スタティック ポートに接続する場合は、通電が保証されています。このポートへの電力供給は、先着順ではありません。
ただし、受電装置の IEEE クラスが最大ワット数を上回る場合、スイッチはこの受電装置に電力供給しません。スイッチが、CDP メッセージにより、最大ワット数より多くの電力が受電装置に必要であることを認識すると、受電装置はシャットダウンされます。
ワット数を指定しない場合、スイッチは最大値を事前に割り当てます。スイッチが受電装置を検出した場合にのみ、ポートに電力供給します。ハイプライオリティ インターフェイス上では、 static 設定を使用します。
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never ― スイッチは受電装置の検出をディセーブルにして、非受電装置が接続されても、PoE ポートに電力供給しません。このモードを使用するのは、PoE 対応ポートに電力を供給しないことが決まっている(ポートをデータ専用ポートにする)場合のみです。
PoE ポートの設定の詳細については、「PoE ポート上での電力管理モードの設定」を参照してください。
インターフェイスの接続
単一 VLAN 内のデバイスは、スイッチを介して直接通信できます。異なる VLAN のポートは、ルーティング デバイスを介さなければデータを交換できません。標準のレイヤ 2 スイッチを使用すると、異なる VLAN のポートは、ルータを通じて情報を交換する必要があります。
ルーティングがイネーブルに設定されたスイッチを使用することにより、IP アドレスを割り当てた SVI で VLAN 20 および VLAN 30 の両方を設定すると、外部ルータを使用せずに、スイッチを介してパケットをホスト A からホスト B に直接送信できます(図11-1を参照)。
図11-1 Catalyst 3750スイッチによる VLAN の接続
スタック マスター上で IP サービス イメージが稼働している場合、スイッチはインターフェイス間でトラフィックを転送する方式として、ルーティングと代替ブリッジングの 2 通りをサポートします。スタック マスター上で IP ベース イメージが稼働している場合は、基本ルーティング(スタティック ルーティングと RIP)のみがサポートされます。高いパフォーマンスを維持するため、可能な場合は常にスイッチ ハードウェアによって転送を行います。ただし、ハードウェア内をルーティングできるのは、イーサネット II カプセル化機能を備えた IP バージョン 4 パケットのみです。非 IP トラフィックと、他のカプセル化方式を使用しているトラフィックは、ハードウェアによって代替ブリッジングできます。
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ルーティング機能は、すべての SVI およびルーテッド ポートでイネーブルにできます。スイッチは、IP トラフィックだけをルーティングします。IP ルーティング プロトコル パラメータとアドレス設定が SVI またはルーテッド ポートに追加されると、このポートで受信した IP トラフィックはルーティングされます。詳細については、 第 35 章「IP ユニキャスト ルーティングの設定」 、 第 40 章「IP マルチキャスト ルーティングの設定」 、および 第 41 章「MSDP の設定」 参照してください。
•
代替ブリッジングを行うと、スイッチでルーティングされないトラフィックや、DECnet などのルーティングできないプロトコルに属するトラフィックが転送されます。また、代替ブリッジングは、2 つ以上の SVI またはルーテッド ポート間のブリッジングによって、複数の VLAN を 1 つのブリッジ ドメインに接続します。代替ブリッジングを設定する場合は、ブリッジ グループに SVI またはルーテッド ポートを割り当てます。各 SVI またはルーテッド ポートにはそれぞれ 1 つのみブリッジ グループが割り当てられます。同じグループ内のすべてのインターフェイスは、同じブリッジ ドメインに属します。詳細については、 第 42 章「代替ブリッジングの設定」 を参照してください。
インターフェイス コンフィギュレーション モードの使用方法
スイッチは、次のインターフェイス タイプをサポートします。
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物理ポート ― スイッチ ポートおよびルーテッド ポート
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VLAN ― SVI
•
ポートチャネル ― EtherChannel インターフェイス
インターフェイスの範囲を設定できます(一定範囲のインターフェイスの設定を参照)。
物理インターフェイス(ポート)を設定するには、インターフェイスのタイプ、スタック メンバー番号、モジュール番号、およびスイッチ ポート番号を指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。
•
タイプ ― 10/100 Mbps イーサネット対応のファスト イーサネット(fastethernet または fa)、
10/100/1000 Mbps イーサネット ポート対応のギガビット イーサネット(gigabitethernet または gi)、10,000 Mbps 対応の 10 ギガビット イーサネット(tengigabitethernet または te)、または Small Form-factor Pluggable(SFP)モジュール ギガビット イーサネット インターフェイス。
•
スタック メンバー番号 ― スタック内のスイッチを識別するための番号。スイッチ番号は 1 ~ 9 の範囲で、スイッチの初回初期化時に割り当てられます。スイッチ スタックに統合される前までのデフォルトのスイッチ番号は 1 です。スイッチにスタック メンバー番号が割り当てられると、別の番号が割り当てられるまではその番号が保持されます。
スタック モードでのスイッチ ポート LED を使用して、スイッチ内のスタック メンバー番号を識別できます。
スタック メンバー番号の詳細については、「スタック メンバー番号」を参照してください。
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モジュール番号 ― スイッチ上のモジュール番号またはスロット番号(Catalyst 3750スイッチでは常に 0)。
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ポート番号 ― スイッチ上のインターフェイス番号。ポート番号は、fastethernet1/0/1 または
gigabitethernet1/0/1 のように、常に 1 で始まり、スイッチに向かって左のポートから順に番号付けされています。複数のインターフェイス タイプがある場合は(10/100 ポートおよび SFP モジュール ポートなど)、ポート番号は 2 番めのインターフェイス タイプである
gigabitethernet1/0/1 から再開します。
スイッチ上のインターフェイスの位置を物理的に調べることにより、物理インターフェイスを識別できます。 show イネーブル EXEC コマンドを使用して、スイッチ上の特定のインターフェイスまたはすべてのインターフェイスに関する情報を表示することもできます。以降、この章では、主に物理インターフェイスの設定手順について説明します。
次の例では、インターフェイスを識別しています。
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スタンドアロン スイッチに 10/100/1000 ポート 4 を設定するには、次のコマンドを入力します。
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/4
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スタック メンバー 3 に 10/100 ポート 4 を設定するには、次のコマンドを入力します。
Switch(config)# interface fastethernet3/0/4
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スタンドアロン スイッチに 10 ギガビット モジュール ポート 1 を設定するには、次のコマンドを入力します。
Switch(config)# interface tengigabitethernet1/0/1
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スタック メンバー 3 に 10 ギガビット モジュール ポートを設定するには、次のコマンドを入力します。
Switch(config)# interface tengigabitethernet3/0/1
スイッチに SFP モジュールがある場合、これらのポートは、スイッチ上の他のインターフェイスのタイプに応じ番号が付けられます。ポート タイプがファスト イーサネットからギガビット イーサネット(SFP)に変更されると、ポート番号は新たに 1 から開始されます。ポート タイプがギガビット イーサネットのままの場合は、ポート番号は連続して付けられます。
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スタック メンバー 1 の 1 番めの SFP モジュール ポートに 24 個の 10/100/1000 ポートを設定するには、次のコマンドを入力します。
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/25
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スタック メンバー 1 の 1 番めの SFP モジュール ポートに 24 個の 10/100 ポートを設定するには、次のコマンドを入力します。
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/1
インターフェイスの設定手順
以下の一般手順は、すべてのインターフェイス設定プロセスに当てはまります。
ステップ 1
イネーブル EXEC プロンプトで、次のように configure terminal コマンドを入力します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
ステップ 2
interface グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力します。インターフェイスのタイプ、スイッチ番号、およびコネクタ番号を特定します。次の例では、スイッチ 1 上のギガビット イーサネット ポート 1 が選択されています。
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/1
(注) インターフェイス タイプとインターフェイス番号の間にスペースを入れる必要はありません。たとえば、前出の行の場合は、gigabitethernet 1/0/1、gigabitethernet1/0/1、 gi 1/0/1、またはgi1/0/1のいずれかを指定できます。
ステップ 3
各 interface コマンドのあとに、そのインターフェイスで必要なインターフェイス コンフィギュレーション コマンドを続けて入力します。入力するコマンドによって、そのインターフェイスで稼働するプロトコルとアプリケーションが定義されます。別のインターフェイス コマンドまたは end を入力してイネーブル EXEC モードに戻ると、コマンドが収集されてインターフェイスに適用されます。
interface range または interface range macro グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、一定範囲のインターフェイスを設定することもできます。ある範囲内で設定したインターフェイスは、同じタイプであり、同じ機能オプションで設定しなければなりません。
ステップ 4
インターフェイスを設定してから、「インターフェイスの表示およびメンテナンス」に示した show イネーブル EXEC コマンドで、そのステータスを確認してください。
show interfaces イネーブル EXEC コマンドを使用して、スイッチ上のまたはスイッチ用に設定されたすべてのインターフェイスのリストを表示します。デバイスがサポートする各インターフェイスまたは指定されたインターフェイスのレポートが出力されます。
一定範囲のインターフェイスの設定
interface range グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、同じコンフィギュレーション パラメータを持つ複数のインターフェイスを設定できます。インターフェイス レンジ コンフィギュレーション モードを開始すると、このモードを終了するまで、入力されたすべてのコマンド パラメータはその範囲内の全インターフェイスに対するものとみなされます。
同じパラメータで一定範囲のインターフェイスを設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface range { port-range | macro macro_name } |
設定するインターフェイス(VLAN または物理ポート)の範囲を指定して、インターフェイス レンジ コンフィギュレーション モードを開始します。 • interface range コマンドを使用すると、最大 5 つのポート範囲または定義済みのマクロを設定できます。 • macro 変数については、「インターフェイス レンジ マクロの設定と使用方法」を参照してください。 • カンマで区切られた port-range を指定する場合は、エントリごとにインターフェイス タイプを入力し、カンマの前後にスペースを入れる必要があります。 • ハイフンで区切られた port-range では、インターフェイス タイプを再度入力する必要はありませんが、ハイフンの前にスペースを入れる必要があります。 |
ステップ 3 |
ここで、通常のコンフィギュレーション コマンドを使用して、範囲内のすべてのインターフェイスにコンフィギュレーション パラメータを適用できます。各コマンドは入力されると同時に実行されます。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show interfaces [ interface-id ] |
範囲内のインターフェイスの設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
interface range グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用するときは、次の注意事項に留意してください。
•
port-range の有効なエントリは次のとおりです。
–
vlan vlan-ID - vlan-ID 、VLAN ID は 1 ~ 4094
–
fastethernet stack member/module/{first port } - { last port }、module は常に 0
–
gigabitethernet stack member/module/{ first port } - { last port }、module は常に 0
–
port-channel port-channel-number - port-channel-number 、 port-channel-number は 1 ~ 48
(注) interface rangeコマンドにポート チャネルを指定する場合、最初と最後のポート チャネル番号はアクティブなポート チャネルの番号でなければなりません。
•
interface rangeコマンドを使用するときは、最初のインターフェイス番号とハイフンの間にスペースを入れます。たとえば、コマンドinterface range gigabitethernet 1/0/1 - 4は有効な範囲ですが、コマンドinterface range gigabit ethernet1/0/1-4は無効な範囲です。
•
interface range コマンドは、 interface vlan コマンドで設定された VLAN インターフェイスでのみ動作します。設定済みの VLAN インターフェイスは、 show running-config イネーブル EXEC コマンドで表示されます。 show running-config コマンドによって表示されない VLAN インターフェイスには、 interface range コマンドを使用することはできません。
•
ある範囲内のすべてのインターフェイスは、同じタイプ(すべてがファスト イーサネット ポート、すべてがギガビット イーサネット ポート、すべてが EtherChannel ポート、またはすべてが VLAN)でなければなりません。ただし、1 つのコマンド内で複数のレンジを組み合わせることができます。
次の例では、 interface range グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、スイッチ 1 上のポート 1 ~ 4 の速度を100 Mbps に設定します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# interface range gigabitethernet1/0/1 - 4
Switch(config-if-range)# speed 100
この例では、カンマを使用して別のインターフェイス タイプ ストリングを追加し、スイッチ 1 上のファスト イーサネット ポート 1 ~ 3のすべてと、スイッチ 2 上のギガビット イーサネット ポート 1 および 2の両方をイネーブルにし、フロー制御ポーズ フレームを受信できるようにします。
Switch# configure terminal
Switch(config)# interface range fastethernet1/0/1 - 3 , gigabitethernet2/0/1 - 2
Switch(config-if-range)# flowcontrol receive on
インターフェイス レンジ モードで複数のコンフィギュレーション コマンドを入力すると、各コマンドは入力された時点で実行されます。インターフェイス レンジ モードを終了した時点で、コマンドがバッチ処理されるわけではありません。コマンドの実行中にインターフェイス レンジ コンフィギュレーション モードを終了すると、一部のコマンドが範囲内のすべてのインターフェイスに対して実行されない場合もあります。コマンド プロンプトが再表示されるのを待ってから、インターフェイス レンジ コンフィギュレーション モードを終了してください。
インターフェイス レンジ マクロの設定と使用方法
インターフェイス レンジ マクロを作成して、自動的に設定用のインターフェイスの範囲を選択できます。interface range macroグローバル コンフィギュレーション コマンド ストリングでmacroキーワードを使用するには、まず define interface-range グローバル コンフィギュレーション コマンドでマクロを定義する必要があります。
インターフェイス レンジ マクロを定義するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
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|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
define interface-range macro_name interface-range |
インターフェイス レンジ マクロを定義して NVRAM(不揮発性 RAM)に保存します。 • macro_name は、最大 32 文字の文字列です。 • マクロには、カンマで区切ったインターフェイス範囲を 5 つまで含めることができます。 • それぞれの interface-range は、同じポート タイプで構成されていなければなりません。 |
ステップ 3 |
interface range macro macro_name |
macro_name と名付けたインターフェイス レンジ マクロに保存された値を使用して、設定するインターフェイス範囲を選択します。 ここで、通常のコンフィギュレーション コマンドを使用して、定義されたマクロ内のすべてのインターフェイスに設定を適用できます。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show running-config | include define |
定義済みのインターフェイス レンジ マクロ設定を表示します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
マクロを削除するには、 no define interface-range macro_name グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
define interface-range グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用するときは、次の注意事項に留意してください。
•
interface-range の有効なエントリは次のとおりです。
–
vlan vlan-ID - vlan-ID 、VLAN ID は 1 ~ 4094
–
fastethernet stack member/module/{first port } - { last port }、module は常に 0
–
gigabitethernet stack member/module/{ first port } - { last port }、module は常に 0
–
port-channel port-channel-number - port-channel-number 、 port-channel-number は 1 ~48
(注) ポート チャネルにインターフェイス範囲を使用する場合、最初と最後のポート チャネル番号はアクティブなポート チャネルの番号でなければなりません。
•
interface-range を入力するときは、最初のインターフェイス番号とハイフンの間にスペースを入れます。たとえば、 gigabitethernet1/ 0/1 - 4は有効な範囲ですが、 gigabitethernet 1/0/1-4は無効な範囲です。
•
VLAN インターフェイスは、 interface vlan コマンドで設定していなければなりません。設定済みの VLAN インターフェイスは、 show running-config イネーブル EXEC コマンドで表示されます。 show running-config コマンドによって表示されない VLAN インターフェイスは、 interface-range としては使用できません。
•
ある範囲内のすべてのインターフェイスは、同じタイプ(すべてがファスト イーサネット ポート、すべてがギガビット イーサネット ポート、すべてが EtherChannel ポート、またはすべてが VLAN)でなければなりません。ただし、1 つのマクロ内で複数のインターフェイス タイプを組み合わせることができます。
次に、 enet_list という名前のインターフェイス レンジ マクロを定義してスイッチ 1上のポート 1 および 2 を含め、マクロ設定を確認する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# define interface-range enet_list gigabitethernet1/0/1 - 2
Switch# show running-config | include define
define interface-range enet_list GigabitEthernet1/0/1 - 2
次に、複数のタイプのインターフェイスを含むマクロ macro1 を作成する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# define interface-range macro1 fastethernet1/0/1 - 2, gigabitethernet1/0/1 - 2
次に、インターフェイス レンジ マクロ enet_list に対するインターフェイス レンジ コンフィギュレーション モードを開始する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# interface range macro enet_list
次に、インターフェイス レンジ マクロ enet_list を削除し、処理を確認する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# no define interface-range enet_list
Switch# show run | include define
イーサネット インターフェイスの設定
ここでは、次の設定について説明します。
•
「イーサネット インターフェイスのデフォルト設定」
•
「10 ギガビット イーサネット インターフェイスの設定時の注意事項」
•
「インターフェイス速度とデュプレックス モードの設定」
•
「IEEE 802.3x フロー制御の設定」
•
「インターフェイスの自動 MDIX の設定」
•
「PoE ポート上での電力管理モードの設定」
•
「インターフェイスに関する記述の追加」
イーサネット インターフェイスのデフォルト設定
表11-2 は、レイヤ 2 インターフェイスにのみ適用される一部の機能を含む、イーサネット インターフェイスのデフォルト設定を示しています。表に示されている VLAN パラメータの詳細については、 第 13 章「VLAN の設定」 を参照してください。また、ポートへのトラフィックの制御の詳細については、 第 25 章「ポートベースのトラフィック制御の設定」 を参照してください。
(注) インターフェイスがレイヤ 3 モードの場合に、レイヤ 2 パラメータを設定するには、パラメータを指定せずにswitchportインターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力し、インターフェイスをレイヤ 2 モードにする必要があります。これにより、インターフェイスがいったんシャットダウンしてから再度イネーブルになり、インターフェイスが接続しているデバイスに関するメッセージが表示されることがあります。レイヤ 3 モードのインターフェイスをレイヤ 2 モードにすると、影響を受けたインターフェイスに関連する前の設定情報は失われ、インターフェイスはデフォルト設定に戻る可能性があります。
表11-2 レイヤ 2 イーサネット インターフェイスのデフォルト設定
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動作モード |
レイヤ 2 または スイッチング モード ( switchport コマンド) |
許可 VLAN 範囲 |
VLAN 1 ~ 4094 |
デフォルト VLAN(アクセス ポート用) |
VLAN 1(レイヤ 2 インターフェイスのみ) |
ネイティブ VLAN(IEEE 802.1Q トランク用) |
VLAN 1(レイヤ 2 インターフェイスのみ) |
VLAN トランキング |
switchport mode dynamic auto(DTP をサポート)(レイヤ 2 インターフェイスのみ) |
ポート イネーブル ステート |
すべてのポートでイネーブルです。 |
ポート記述 |
定義なし |
速度 |
自動ネゴシエーション(10 ギガビット インターネット上では未サポート) |
デュプレックス モード |
自動ネゴシエーション(10 ギガビット インターネット上では未サポート) |
フロー制御 |
フロー制御は、 receive : off に設定されます。送信されたパケットに対しては常にオフです。 |
EtherChannel(PAgP) |
すべてのイーサネット ポートでディセーブルになっています。 第 34 章「EtherChannel の設定」 を参照してください。 |
ポート ブロッキング(不明のマルチキャストおよびユニキャスト トラフィック) |
ディセーブル(ブロッキングされない)(レイヤ 2 インターフェイスのみ)。「ポート ブロッキングの設定」を参照してください。 |
ブロードキャスト、マルチキャスト、およびユニキャスト ストーム制御 |
ディセーブル「ストーム制御のデフォルト設定」を参照してください。 |
保護ポート |
ディセーブル(レイヤ 2 インターフェイスのみ)。「保護ポートの設定」を参照してください。 |
ポート セキュリティ |
ディセーブル(レイヤ 2 インターフェイスのみ)。「ポート セキュリティのデフォルト設定」を参照してください。 |
PortFast |
ディセーブル「オプションのスパニングツリー機能のデフォルト設定」を参照してください。 |
自動 MDIX |
PoE |
イネーブル(auto) |
10 ギガビット イーサネット インターフェイスの設定時の注意事項
設定上の問題を防ぐには、次の注意事項に従ってください。
•
速度およびデュプレックス機能はサポートされていません。
•
10 ギガビット インターフェイスは次の Quality of Service(QoS; サービス品質)機能をサポートしません。
–
ポリシング
–
Cisco IP Phone を使用した VoIP における自動 QoS
–
Shaped Round Robin(SRR)のウェイトを使用した出力キューの提供
–
出力インターフェイスの帯域幅の制限
•
10 ギガビット モジュール ポートが Switched Port Analyzer(SPAN; スイッチド ポート アナライザ)または Remote SPAN(RSPAN)宛先ポートとして設定されている場合、リンク速度が低下します。
•
クロススタック EtherChannel では最大 2 つの 10 ギガビット モジュール ポートをサポートしています。
インターフェイス速度とデュプレックス モードの設定
スイッチのイーサネット インターフェイスは、全二重または半二重モードのいずれかで、10、100、1000 Mbps、または 10,000 Mbpsで動作します。全二重モードでは、2 つのステーションが同時にトラフィックを送受信できます。通常、10 Mbps ポートは半二重モードで動作します。つまり、ステーションはトラフィックの受信または送信のいずれかを交互に行います。
スイッチ モデルには、ファスト イーサネット(10/100 Mbps)ポート、ギガビット イーサネット(10/100/1000 Mbps)ポート、10 ギガビット モジュール ポートと、SFP モジュールをサポートする SFP モジュール スロットの組み合わせが含まれます。
ここでは、インターフェイスの速度とデュプレックス モードの設定について説明します。
•
「速度とデュプレックスの設定時の注意事項」
•
「インターフェイス速度およびデュプレックス パラメータの設定」
速度とデュプレックスの設定時の注意事項
インターフェイス速度とデュプレックス モードの設定時には、次の注意事項に留意してください。
•
ファスト イーサネット(10/100 Mbps)ポートは、すべての速度およびデュプレックス オプションをサポートします。
•
ギガビット イーサネット(10/100/1000 Mbps)ポートは、すべての速度オプションおよびデュプレックス オプション(auto、half、および full)をサポートします。ただし、1000 Mbps で動作するギガビット イーサネット ポートは半二重モードはサポートしません。
10 ギガビット モジュール ポートでは、速度またはデュプレックス モードの設定はできません。これらのポートは 10,000 Mbps および全二重モードでのみ動作します。
•
SFP モジュール ポートに対する速度とデュプレックスの CLI オプションは、SFP モジュール タイプによって異なります。
–
1000BASE- x (- x は -BX、-CWDM、-LX、-SX、および -ZX)SFP モジュール ポートは、
speed インターフェイス コンフィギュレーション コマンドの nonegotiate キーワードをサポートします。デュプレックス オプションはサポートされません。
–
1000BASE-T SFP モジュール ポートは、10/100/1000-Mbps ポートと同一の速度およびデュプレックス オプションをサポートします。
–
100BASE- x (- x は -BX、-FX、-FX-FE、および -LX)SFP モジュール ポートは 100 Mbps のみをサポートします。これらのモジュールは全二重と半二重のデュプレックス オプションをサポートしますが、自動ネゴシエーションはサポートしません。
各スイッチがサポートする SFP モジュールについては、製品のリリース ノートを参照してください。
•
回線の両端で自動ネゴシエーションをサポートする場合は、デフォルトのautoネゴシエーションを設定することを強く推奨します。
•
一方のインターフェイスが自動ネゴシエーションをサポートし、もう一方がサポートしない場合は、両方のインターフェイスでデュプレックスと速度を設定してください。サポートしている側で auto 設定を使用しないでください。
•
STP がイネーブルになっていて、ポートが再設定された場合、スイッチがループの有無を調べるのに 30 秒ほどかかることがあります。STP の再設定が行われている間、ポート LED はオレンジになります。
注意 インターフェイス速度とデュプレックス モード設定を変更すると、再設定中にインターフェイスがシャットダウンして再度イネーブルになることがあります。
インターフェイス速度およびデュプレックス パラメータの設定
物理インターフェイスに対して速度およびデュプレックス モードを設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定する物理インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
speed { 10 | 100 | 1000 | auto [ 10 | 100 | 1000 ] | nonegotiate } |
このコマンドは 10 ギガビット イーサネット インターフェイスでは使用できません。 インターフェイスの適切な速度パラメータを入力します。 • 10 、 100 、 1000 のいずれかを入力し、インターフェイスの特定の速度を設定します。 1000 キーワードは 10/100/1000 Mbps ポートに対してのみ使用できます。 • auto を入力すると、インターフェイスは、接続されている装置と速度を自動ネゴシエーションできるようになります。 10 、 100 、または 1000 キーワードを auto キーワードと併用すると、ポートは指定された速度のみで自動ネゴシエーションを行います。 • nonegotiate キーワードは、SFP モジュール ポートに限り使用できます。SFP モジュール ポートは 1000 Mbps でのみ稼働しますが、自動ネゴシエーションをサポートしないデバイスに接続されている場合はネゴシエーションしないように設定できます。 速度設定の詳細については、「速度とデュプレックスの設定時の注意事項」を参照してください。 |
ステップ 4 |
duplex { auto | full | half } |
このコマンドは 10 ギガビット イーサネット インターフェイスでは使用できません。 インターフェイスのデュプレックス パラメータを入力します。 半二重モードをイネーブルにします(10 または 100 Mbps でのみ動作するインターフェイスのみ)。1000 Mbps で動作しているインターフェイスに半二重モードを設定できません。 Cisco IOS Release 12.2(20)SE1 以降では、速度を auto に設定すると、デュプレックス設定を行えます。 デュプレックス設定の詳細については、「速度とデュプレックスの設定時の注意事項」を参照してください。 |
ステップ 5 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
show interfaces interface-id |
インターフェイス速度およびデュプレックス モード設定を表示します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
インターフェイスをデフォルトの速度およびデュプレックス設定(自動ネゴシエーション)に戻すには、 no speed および no duplex インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。すべてのインターフェイス設定をデフォルトに戻すには、 default interface interface-id インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、10/100 Mbps ポートに対して、インターフェイス速度を 10 Mbps に、デュプレックス モードを半二重に設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# interface fasttethernet1/0/3
Switch(config-if)# speed 10
Switch(config-if)# duplex half
次に、10/100/1000 Mbps ポートに対して、インターフェイス速度を 100 Mbps に設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/2
Switch(config-if)# speed 100
IEEE 802.3x フロー制御の設定
フロー制御により、接続しているイーサネット ポートは、輻輳しているノードがリンク動作をもう一方の端で一時停止できるようにすることによって、輻輳時のトラフィック レートを制御できます。あるポートで輻輳が発生し、トラフィックをそれ以上受信できない場合は、ポーズ フレームを送信して、その状況が解消されるまで送信を停止するようにもう一方のポートに通知します。送信側デバイスは、ポーズ フレームを受信するとデータ パケットの送信を停止し、その結果、輻輳によるデータ パケットの損失を防ぐことができます。
(注) Catalyst 3750ポートは、ポーズ フレームを受信できますが、送信はできません。
flowcontrol インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用して、ポーズ フレームの receive (受信)に対するインターフェイスの機能を on 、 off 、または desired に設定します。デフォルトのステートは、 off です。
desired に設定すると、インターフェイスは、フロー制御パケットを送信する必要のある接続済みデバイス、またはフロー制御パケットを送信する必要はないが送信可能な接続済みデバイスと連携して動作します。
デバイスに設定されるフロー制御には、次の規則が適用されます。
•
receive on (または desired ):ポートはポーズ フレームを送信できませんが、ポーズ フレームを送信する必要のある、または送信できる接続デバイスとともに動作できます。ポートはポーズ フレームを受信できます。
•
receive off :フロー制御は、どちら方向にも動作しません。輻輳が発生しても、リンクの相手方に通知されず、どちらのデバイスでもポーズ フレームの送受信が行われません。
(注) コマンドの設定と、その結果生じるローカルおよびリモート ポートでのフロー制御解決の詳細については、このリリースのコマンド リファレンスに記載されたflowcontrolインターフェイス コンフィギュレーション コマンドを参照してください。
インターフェイスでのフロー制御を設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定する物理インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
flowcontrol { receive } { on | off | desired } |
ポートにフロー制御モードを設定します。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show interfaces interface-id |
インターフェイスのフロー制御設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
フロー制御をディセーブルにするには、 flowcontrol receive off インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、ポートでフロー制御をオンにする例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# flowcontrol receive on
インターフェイスの自動 MDIX の設定
Automatic Media Dependent Interface Crossover(Auto-MDIX; 自動 MDIX)がインターフェイスでイネーブルな場合、インターフェイスは自動的に必要なケーブル接続タイプ(ストレートまたはクロス)を検出し、接続を適切に設定します。自動 MDIX 機能を使わずにスイッチを接続する場合は、サーバ、ワークステーション、ルータなどのデバイスにはストレート ケーブルを使用して接続し、その他のスイッチやリピータへはクロス ケーブルを使用して接続する必要があります。自動 MDIX がイネーブルな場合は、どちらかのタイプのケーブルを使用して他のデバイスへ接続できます。インターフェイスは、自動的に不正なケーブル接続を修正します。ケーブル接続の要件の詳細については、ハードウェア インストレーション ガイド を参照してください。
自動 MDIX は、デフォルトでイネーブルに設定されています。また、自動 MDIX がイネーブルの場合は、この機能を正常に動作させるために、インターフェイスの速度とデュプレックス モードを auto に設定する必要があります。自動 MDIX は、すべての 10/100 および 10/100/1000 Mbps インターフェイスと 10/100/1000 BASE-TX SFP モジュール インターフェイス上でサポートされています。1000BASE-SXまたは LX SFP モジュール インターフェイス上ではサポートされていません。
表11-3 は、自動 MDIX の設定値と、それぞれ正しいケーブル接続と不正なケーブル接続の場合のリンク ステートを示しています。
表11-3 リンクの状態と自動 MDIX 設定
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オン |
オン |
リンクアップ |
リンクアップ |
オン |
オフ |
リンクアップ |
リンクアップ |
オフ |
オン |
リンクアップ |
リンクアップ |
オフ |
オフ |
リンクアップ |
リンクダウン |
インターフェイスでの自動 MDIX を設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定する物理インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
speed auto |
接続されたデバイスと速度を自動ネゴシエーションするようにインターフェイスを設定します。 |
ステップ 4 |
duplex auto |
接続されたデバイスとデュプレックス モードを自動ネゴシエーションするようにインターフェイスを設定します。 |
ステップ 5 |
mdix auto |
インターフェイス上で自動 MDIX をイネーブルにします。 |
ステップ 6 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 7 |
show controllers ethernet-controller interface-id phy |
インターフェイス上の自動 MDIX 機能の動作ステートを確認します。 |
ステップ 8 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
自動 MDIX をディセーブルにするには、 no mdix auto インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、ポートで自動 MDIX をイネーブルにする例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# speed auto
Switch(config-if)# duplex auto
Switch(config-if)# mdix auto
PoE ポート上での電力管理モードの設定
ほとんどの場合、デフォルト設定(auto モード)は正常に稼働し、プラグアンドプレイ動作を提供します。それ以上の設定は、必要ありません。ただし、PoE ポートにより高いプライオリティをつけるとき、PoE ポートをデータ専用にするとき、または最大ワット数を指定してポート上の高出力の受電装置を許可しない場合には、次の手順を使用します。
(注) PoE 設定を変更する場合、設定されているポートは電力を廃棄します。新しい設定、他の PoE ポートのステート、およびパワー バジェットのステートによっては、ポートが再びアクティブにならないことがあります。たとえば、ポート 1 が auto およびオン ステートで、このポートをスタティック モードに設定する場合などです。スイッチは、ポート 1 への通電を停止し、受電装置を検出して、ポートに再度通電します。ポート 1 が auto およびオン ステートで、このポートに 10 W の最大ワット数を設定する場合、スイッチはポートへの通電を停止してから、受電装置を再度検出します。スイッチがポートに再度通電するのは、受電装置がクラス 1、クラス 2、またはシスコ専用の受電装置の場合のみです。
PoE 対応ポートで電力管理モードを設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
設定する物理ポートを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
power inline { auto [ max max-wattage ] | never | static [ max max-wattage ]} |
ポートに PoE モードを設定します。キーワードの意味は次のとおりです。 • auto ― 受電装置の検出がイネーブルです。使用できる電力が十分ある場合は、装置の検出後、PoE ポートに自動的に電力を割り当てます。これがデフォルト設定です。 • (任意) max max-wattage ― ポートで許可される電力を制限します。指定できる範囲は 4000 ~ 15400 ミリワットです。値を指定しない場合、最大値が許可されます(15400 ミリワット)。 • never ― 装置の検出がディセーブルになり、ポートへの通電がディセーブルになります。
(注) ポートにシスコの受電装置が接続されている場合は、ポートの設定にpower inline neverコマンドを使用しないでください。問題のあるリンクアップが発生して、ポートが errdisable ステートになります。
• static ― 受電装置の検出がイネーブルです。スイッチが受電装置を検出する前に、ポートに電力を事前割り当て(予約)します。接続されているデバイスが存在しなくても、デバイス検出の際にスイッチはこのポート用の電力を予約し、電力の供給を保証します。 スイッチは、スタティック モードで設定されているポートに電力を割り当ててから、auto モードで設定されたポートに電力を割り当てます。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show power inline [i nterface-id | module switch-number ] |
指定したインターフェイスまたは指定したスタック メンバーの、スイッチまたはスイッチ スタックの PoE ステータスを表示します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
show power inline ユーザ EXEC コマンドの出力については、このリリースのコマンド リファレンス参照してください。PoE 関連コマンドの詳細については、「PoE スイッチ ポートのトラブルシューティング」を参照してください。音声 VLAN の設定の詳細については、 第 15 章「音声 VLAN の設定」 を参照してください。
PoE ポートに接続されたデバイスのためのパワー バジェット
シスコ製受電装置が PoE ポートに接続されると、スイッチは Cisco Discovery Protocol (CDP)を使用してデバイスの 実際の 消費電力を確認し、パワー バジェットを調整します。この機能はサードパーティ製の IEEE 準拠受電装置には適用されません。これらのデバイスに対しては、スイッチが電力要求を認可すると、スイッチは IEEE の受電装置分類に従ってパワー バジェットを調整します。受電装置が クラス 0(クラス ステータス不明)またはクラス 3 の場合には、スイッチは実際の必要電力量にかかわらず、デバイスに対して 15,400 ミリワットを割り当てます。受電装置が実際の消費量より高いクラスを通知してきた場合、または電力分類をサポートしていない場合(デフォルトはクラス 0)、スイッチはグローバル パワー バジェットを判定するために IEEE クラス情報を使用するため、電力を供給できるデバイスが少なくなる場合があります。
power inline consumption wattage コンフィギュレーション コマンドを使用すると、IEEE 分類で規定されているデフォルトの電力要件を上書きできます。IEEE 分類の規定とデバイスが実際に必要とする電力との差分は、グローバル パワー バジェットに割り当てられ、追加のデバイスに使用することができます。これにより、スイッチのパワー バジェットを拡大し、より効率的に電力を使用できるようになります。
たとえば、スイッチが各 PoE ポートに 15,400 ミリワットを割り当てている場合、接続できるクラス 0 の受電装置は 24 台のみです。クラス 0 デバイスの電力要件が実際には 5000 ミリワットの場合は、消費ワット数を 5000 ミリワットに設定すると、最大 48 デバイスを接続することができます。24 ポートまたは 48 ポートのスイッチで使用可能な総 PoE 出力電力は 370,000 ミリワットです。
注意 スイッチのパワー バジェットを注意深く計画し、供給電力が過剰にならないようにする必要があります。
(注) パワー バジェットを手動で設定する場合は、スイッチと受電装置間のケーブルで失われる電力損失も考慮する必要があります。
power inline consumption default wattage コマンドまたは no power inline consumption default コマンドを入力すると、次の注意メッセージが表示されます。
%CAUTION: Interface interface-id: Misconfiguring the 'power inline consumption/allocation' command may cause damage to the switch and void your warranty. Take precaution not to oversubscribe the power supply. Refer to documentation.
IEEE 電力分類の詳細については、「Power over Ethernet ポート」を参照してください。
スイッチの各 PoE ポートに接続された受電装置のパワー バジェット量を設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
no cdp run |
(任意)CDP をディセーブルにします。 |
ステップ 3 |
power inline consumption default wattage |
スイッチの各 PoE ポートに接続された受電装置の消費電力を設定します。指定できる範囲は 4000 ~ 15400 ミリワットです。デフォルト値は 15400 ミリワットです。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show power inline consumption default |
電力消費ステータスを表示します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
設定をデフォルトに戻すには、 no power inline consumption default グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
特定の PoE ポートに接続された受電装置のパワー バジェット量を設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
no cdp run |
(任意)CDP をディセーブルにします。 |
ステップ 3 |
interface interface-id |
設定する物理ポートを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
power inline consumption default wattage |
スイッチの PoE ポートに接続された受電装置の消費電力を設定します。指定できる範囲は 4000 ~ 15400 ミリワットです。デフォルト値は 15400 ミリワットです。 |
ステップ 5 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
show power inline consumption default |
電力消費ステータスを表示します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
設定をデフォルトに戻すには、 no power inline consumption default インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
show power inline consumption default イネーブル EXEC コマンドの出力については、このリリースのコマンド リファレンス参照してください。
インターフェイスに関する記述の追加
インターフェイスの機能に関する記述を追加できます。記述は、 show configuration 、
show running-config 、および show interfaces コマンドの出力に表示されます。
インターフェイスに関する記述を追加するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
記述を追加するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
description string |
インターフェイスに関する記述を追加します(最大 240 文字)。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show interfaces interface-id description または show running-config |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
記述を削除するには、 no description インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、ポートに記述を追加し、その記述を確認する例を示します。
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/2
Switch(config-if)# description Connects to Marketing
Switch# show interfaces gigabitethernet1/0/2 description
Interface Status Protocol Description
Gi1/0/2 admin down down Connects to Marketing
レイヤ 3 インターフェイスの設定
Catalyst 3750スイッチは、次に示す 3 種類のレイヤ 3 インターフェイスをサポートします。
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SVI:トラフィックをルーティングする VLAN に対応する SVI を設定する必要があります。SVI は、 interface vlan グローバル コンフィギュレーション コマンドのあとに VLAN ID を入力して作成します。SVI を削除するには、 no interface vlan グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。インターフェイス VLAN 1 は削除できません。
(注) 作成した SVI をアクティブにするには、物理ポートに関連付ける必要があります。VLAN へのレイヤ 2 ポートの割り当てについては、第 13 章「VLAN の設定」を参照してください。
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ルーテッド ポート:ルーテッド ポートは、 no switchport インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用してレイヤ 3 モードに設定された物理ポートです。
•
レイヤ 3 EtherChannel ポート:ルーテッド ポートで構成された EtherChannel インターフェイスです。
EtherChannel ポートについては、 第 34 章「EtherChannel の設定」 を参照してください。
レイヤ 3 スイッチでは、ルーテッド ポートおよび SVI ごとに IP アドレスを 1 つ割り当てることができます。
スイッチ スタックに設定可能な SVI とルーテッド ポートの数について定義済みの制限はありません。ただし、ハードウェアには限界があるため、SVI およびルーテッド ポートの個数と、設定されている他の機能の個数の組み合わせによっては、CPU 利用率が影響を受けることがあります。スイッチが最大限のハードウェア リソースを使用している場合にルーテッド ポートまたは SVI を作成しようとすると、次のような結果になります。
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新たなルーテッド ポートを作成しようとすると、スイッチはインターフェイスをルーテッド ポートに変換するための十分なリソースがないことを示すメッセージを表示し、インターフェイスはスイッチポートのままとなります。
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拡張範囲の VLAN を作成しようとすると、エラー メッセージが生成され、拡張範囲の VLAN は拒否されます。
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VTP が新たな VLAN をスイッチへ通知すると、スイッチは使用可能な十分なハードウェア リソースがないことを示すメッセージを送り、その VLAN をシャットダウンします。 show vlan ユーザ EXEC コマンドの出力は、VLAN が一時停止ステートであることを示しています。
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スイッチが、ハードウェアのサポート可能な数を超える VLAN とルーテッド ポートが設定されたコンフィギュレーションを使って起動を試みると、VLAN は作成されますが、ルーテッド ポートはシャットダウンされ、スイッチはハードウェア リソースが不十分であるという理由を示すメッセージを送信します。
すべてのレイヤ 3 インターフェイスには、トラフィックをルーティングするための IP アドレスが必要です。以下の手順は、レイヤ 3 インターフェイスとしてインターフェイスを設定する方法およびインターフェイスに IP アドレスを割り当てる方法を示します。
(注) 物理ポートがレイヤ 2 モードである(デフォルト)場合は、no switchportインターフェイス コンフィギュレーション コマンドを実行してインターフェイスをレイヤ 3 モードにする必要があります。no switchportコマンドを実行すると、インターフェイスがディセーブルになってから再度イネーブルになります。これにより、インターフェイスが接続しているデバイスに関するメッセージが表示されることがあります。さらに、レイヤ 2 モードのインターフェイスをレイヤ 3 モードにすると、影響を受けたインターフェイスに関連する前の設定情報は失われ、インターフェイスはデフォルト設定に戻る可能性があります。
レイヤ 3 インターフェイスを設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface {{ fastethernet | gigabitethernet } interface-id } | { vlan vlan-id } | { port-channel port-channel-number } |
レイヤ 3 インターフェイスとして設定するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
no switchport |
物理ポートに限り、レイヤ 3 モードを開始します。 |
ステップ 4 |
ip address ip_address subnet_mask |
IP アドレスおよび IP サブネットを設定します。 |
ステップ 5 |
no shutdown |
インターフェイスをイネーブルにします。 |
ステップ 6 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 7 |
show interfaces [ interface-id ] show ip interface [ interface-id ] show running-config interface [ interface-id ] |
設定を確認します。 |
ステップ 8 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
インターフェイスの IP アドレスを削除するには、 no ip address インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、ポートをルーテッド ポートとして設定し、IP アドレスを割り当てる例を示します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/2
Switch(config-if)# no switchport
Switch(config-if)# ip address 192.20.135.21 255.255.255.0
Switch(config-if)# no shutdown
システム MTU の設定
スイッチ スタック上のすべてのインターフェイスで送受信されるフレームのデフォルト Maximum Transmission Unit(MTU; 最大伝送ユニット)サイズは、1500 バイトです。 system mtu グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、10 または 100 Mbps で稼働するすべてのインターフェイスの MTU サイズを増やすことができます。また、 system mtu jumbo グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、すべてのギガビット イーサネット インターフェイス上でジャンボ フレームをサポートするように MTU サイズを増やすことができます。 system mtu routing グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、ルーテッド ポートの MTU サイズを変更できます。
(注) システム MTU サイズより大きなルーティング MTU サイズを設定することはできません。システム MTU サイズを現在設定されているルーティング MTU サイズより小さな値に変更すると、設定変更は受け付けられますが、次回スイッチをリセットするまで適用されません。設定変更が有効になると、ルーティング MTU サイズは自動的に新たなシステム MTU サイズに設定されます。
system mtu コマンドはギガビット イーサネット ポートには影響せず、system jumbo mtu コマンドは 10/100 ポートには影響しません。 system mtu jumbo コマンドを設定しない場合は、 system mtu コマンドの設定が、すべてのギガビット イーサネット インターフェイスに適用されます。
個々のインターフェイスに MTU サイズを設定することはできません。スイッチ スタック上のすべての 10/100 インターフェイスまたはすべてのギガビット イーサネット インターフェイスに対して設定されます。システム MTU サイズまたはジャンボ MTU サイズを変更した場合は、スイッチをリセットしないと、新しい設定は有効になりません。 system mtu routing コマンドは、スイッチをリセットしなくても有効になります。
スイッチ CPU が受信可能なフレーム サイズは、system mtu コマンドまたはsystem mtu jumbo コマンドで入力された値には関係なく、1998 バイトに制限されています。通常、転送またはルーティングされたフレームは CPU によって受信されませんが、場合によっては、制御トラフィック、SNMP(簡易ネットワーク管理プロトコル)、Telnet、またはルーティング プロトコルへ送信されたトラフィックなどのパケットが CPU へ送信されることがあります。
ルーテッド パケットは、出力ポート上で MTU チェックを受けます。ルーテッド ポートに使用する MTU 値は、( system mtu jumbo 値ではなく)適用された system mtu 値から取得します。つまり、ルーテッド MTU 値は VLAN のシステム MTU より大きくなりません。ルーティング プロトコルでは、リンクの隣接関係および MTU をネゴシエーションするとき、システム MTU 値が使用されます。たとえば、Open Shortest Path First(OSPF)プロトコルは、ピア ルータとの隣接関係を設定する前に、この MTU 値を使用します。特定の VLAN のルーテッド パケットの MTU 値を表示するには、 show platform port-asic mvid イネーブル EXEC コマンドを使用します。
(注) レイヤ 2ギガビット イーサネット インターフェイスが、10/100 インターフェイスより大きいサイズのフレームを受け取るように設定されている場合、レイヤ 2ギガビット イーサネット インターフェイスで受信するジャンボ フレームとレイヤ 2の 10/100 インターフェイスで送信されるジャンボ フレームは廃棄されます。
10/100 またはギガビット イーサネットインターフェイスの MTU サイズを変更するには、イネーブル EXEC モードを開始し、次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
system mtu bytes |
(任意)10 または 100 Mbps で稼働するスイッチ スタックのすべてのインターフェイスに対して MTU サイズを変更します。指定できる範囲は 1500 ~ 1998 バイトです。デフォルトは 1500 バイトです。 |
ステップ 3 |
system mtu jumbo bytes |
(任意)スイッチ スタックのすべてのギガビット イーサネット インターフェイスに対して MTU サイズを変更します。指定できる範囲は 1500 ~ 9000 バイトです。デフォルトは 1500 バイトです。 |
ステップ 4 |
system mtu routing bytes |
(任意)ルーテッド ポートのシステム MTU サイズを変更します。システム MTU 値の範囲は 1500 で、これは、すべてのポートにルーティングできる最大 MTU 値です。 より大きなパケットも許可されますが、ルーティングはできません。 |
ステップ 5 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
ステップ 7 |
reload |
オペレーティング システムをリロードします。 |
特定のタイプのインターフェイスに対して許容範囲外の値を入力すると、値は受け入れられません。
スイッチをリロードしたあと、show system mtuイネーブル EXEC コマンドを使用して、設定を確認できます。
次は、ギガビット イーサネット ポートの最大パケット サイズを 1800 バイトに設定する方法を示した例です。
Switch(config)# system jumbo mtu 1800
次は、ギガビット イーサネット インターフェイスを範囲外の数値に設定しようとした場合の応答を示した例です。
Switch(config)# system mtu jumbo 25000
% Invalid input detected at '^' marker.