音声 VLAN 設定時の注意事項
音声 VLAN 設定時の注意事項は次のとおりです。
• 音声 VLAN はスイッチのアクセス ポートに設定する必要があります。音声 VLAN はトランク ポートではサポートされていません。音声 VLAN はレイヤ 2 ポートにのみ設定できます。
(注) 音声 VLAN がサポートされるのは、アクセス ポートのみです。設定で許可されている場合でも、トランク ポートではサポートされません。
• IP Phone が音声 VLAN 上で正常に通信するには、音声 VLAN がスイッチ上に存在し、アクティブである必要があります。VLAN が存在するかどうか確認するには(出力に表示される)、 show vlan イネーブル EXEC コマンドを使用します。VLAN が表示されない場合は、VLAN 作成の詳細について、 第 13 章「VLAN の設定」 を参照してください。
• プライベート VLAN ポートで音声 VLAN を設定しないでください。
• Power over Ethernet(PoE)スイッチは、シスコの先行標準および IEEE 802.3af 準拠の電源装置が AC 電源から電力を供給されていない場合に、自動的に電力を供給できます。PoE インターフェイスの詳細については、「PoE ポート上での電力管理モードの設定」を参照してください。
• 音声 VLAN をイネーブルにする前に、mls qosグローバル コンフィギュレーション コマンドを入力してスイッチで QoS をイネーブルにし、mls qos trust cosインターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力してポートの信頼状態を trust に設定することを推奨します。自動 QoS 機能を使用すると、これらの設定値が自動的に設定されます。詳細については、 第 33 章「QoS の設定」 を参照してください。
• IP Phone へコンフィギュレーションを送信するために、Cisco IP Phone に接続するスイッチ ポートの CDP をイネーブルにする必要があります(デフォルトでは、CDP はすべてのスイッチ インターフェイスでグローバルにイネーブルになっています)。
• 音声 VLAN を設定すると、PortFast 機能は自動的にイネーブルに設定されます。音声 VLAN 機能をディセーブルにしても、自動的にディセーブルになりません。
• Cisco IP Phone と Cisco IP Phone に接続されたデバイスが同じ VLAN に属する場合は、同じ IP サブネットに属する必要があります。次の状態は、それらが同じ VLAN に属していることを示しています。
–両方が、IEEE 802.1p またはタグなしフレームを使用している。
–Cisco IP Phone が IEEE 802.1p フレームを使用し、デバイスがタグなしフレームを使用している。
–Cisco IP Phone がタグなしフレームを使用し、デバイスが IEEE 802.1p フレームを使用している。
–Cisco IP Phone が IEEE 802.1Q フレームを使用し、音声 VLAN がアクセス VLAN と同一である。
• Cisco IP Phone と電話機に接続されたデバイスが、同じ VLAN とサブネットに属していても、異なるフレーム タイプを使用する場合、同じサブネット内のトラフィックはルーティングされないため(ルーティングによってフレーム タイプの違いは排除されてしまう)、それらは通信できません。
• 音声 VLAN では、スタティック セキュア MAC アドレスを設定できません。
• 音声 VLAN ポートは、次のポート タイプにすることもできます。
–ダイナミック アクセス ポート。詳細については、「VMPS クライアントのダイナミック アクセス ポートの設定」を参照してください。
–IEEE 802.1x 認証ポート。詳細については、「IEEE 802.1x 認証の設定」を参照してください。
(注) 音声 VLAN が設定されていて Cisco IP Phone が接続されているアクセス ポートで IEEE 802.1x をイネーブルにする場合、IP Phone とスイッチとの接続が最大 30 秒切断されます。
–保護ポート。詳細については、「保護ポートの設定」を参照してください。
–SPAN または RSPAN セッションの送信元または宛先ポート。
–セキュア ポート。詳細については、「ポート セキュリティの設定」を参照してください。
(注) インターフェイス上でポート セキュリティをイネーブルにし、さらに音声 VLAN を設定する場合は、ポートで許可されるセキュア アドレスの最大数を、アクセス VLAN で許可されているセキュア アドレスの最大数に 2 を加えた値に設定する必要があります。ポートが Cisco IP Phone に接続されている場合は、IP Phone に MAC アドレスが最大で 2 つ必要です。IP Phone アドレスは音声 VLAN 上で学習されますが、アクセス VLAN 上で学習される場合もあります。PC を IP Phone に接続するには、さらに MAC アドレスが必要になります。
Cisco IP Phone の音声トラフィックの設定
Cisco IP Phone に接続するポートは、CDP パケットを送信するように設定できます。この CDP パケットは、電話機に、音声トラフィックを送信する方法を設定するように指示します。電話機は、レイヤ 2 CoS 値を持ち、特定の音声 VLAN に対応する IEEE 802.1Q フレームで音声トラフィックを送信できます。IEEE 802.1p プライオリティ タギングを使用して、音声トラフィックにより高いプライオリティを付け、ネイティブ(アクセス)VLAN 経由ですべての音声トラフィックを転送できます。また、Cisco IP Phone はタグなし音声トラフィックを送信することもできれば、自分の設定を使用してアクセス VLAN 内で音声トラフィックを送信することもできます。どの構成でも、音声トラフィックはレイヤ 3 IP precedence 値(デフォルトは 5)を持ちます。
ポートに音声トラフィックを設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
IP Phone に接続されたインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
mls qos trust cos |
ステップ 4 |
switchport voice vlan { vlan-id | dot1p | none | untagged} |
Cisco IP Phone が音声トラフィックを送信する方法を設定します。 • vlan-id ― 指定された VLAN 経由ですべての音声トラフィックを転送するように、IP Phone を設定します。デフォルトでは、Cisco IP Phone は、IEEE 802.1Q プライオリティ値 5 で音声トラフィックを転送します。有効な VLAN ID は 1 ~ 4094 です。 • dot1p ― 音声トラフィック用に IEEE 802.1p プライオリティ タギングを使用し、デフォルトのネイティブ VLAN(VLAN 0)を使用してすべてのトラフィックを搬送するように、IP Phone を設定します。デフォルトでは、Cisco IP Phone は、IEEE 802.1p プライオリティ値 5 で音声トラフィックを転送します。 • none ― IP Phone は、自分の設定を使用してタグなし音声トラフィックを送信できます。 • untagged ― タグなし音声トラフィックを送信するように電話機を設定します。 |
ステップ 5 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
show interfaces interface-id switchport または show running-config interface interface-id |
音声 VLAN 設定を確認します。 QoS と音声 VLAN の設定を確認します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
次に、CoS 値を使用して着信トラフィックを分類し、音声トラフィック用に IEEE 802.1p プライオリティ タギングを使用し、デフォルトのネイティブ VLAN(VLAN 0)を使用してすべてのトラフィックを送信するように、Cisco IP Phone に接続されたポートを設定する方法を示します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# mls qos trust cos
Switch(config-if)# switchport voice vlan dot1p
ポートをデフォルト設定に戻すには、 no switchport voice vlan インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
着信データ フレームのプライオリティの設定
PC またはその他のデータ処理デバイスを Cisco IP Phone のポートに接続できます。タグ付きデータ トラフィック(IEEE 802.1Q または IEEE 802.1p フレーム)を処理するため、CDP パケットを送信するようにスイッチを設定できます。この CDP パケットは、IP Phone に、Cisco IP Phone のアクセス ポートに接続デバイスからのデータ パケットを送信する方法を指示します。PC は、割り当てられた CoS 値を持つパケットを生成できます。接続デバイスから IP Phone に到達したフレームのプライオリティを変更しない(信頼する)、または無効化する(信頼しない)ように、Cisco IP Phone を設定できます。
Cisco IP Phone で、非音声ポートから受信したデータ トラフィックのプライオリティを設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
Cisco IP Phone に接続されたインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
switchport priority extend { cos value | trust } |
Cisco IP Phone アクセス ポートから受信したデータ トラフィックのプライオリティを設定します。 • cos value ― 指定の CoS 値を持つ PC または接続デバイスから受信したプライオリティを無効化するように、IP Phone を設定します。CoS 値は 0 ~ 7 の数字です。7 が最高のプライオリティになります。デフォルトのプライオリティは、 cos 0 です。 • trust ― PC または接続デバイスから受信したプライオリティを信頼するよう IP Phone アクセス ポートを設定します。 |
ステップ 4 |
end |
イネーブル EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show interfaces interface-id switchport |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
次に、PC または接続デバイスから受信したフレームのプライオリティを変更しないように、Cisco IP Phone に接続されたポートを設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# switchport priority extend trust
ポートをデフォルト設定に戻すには、 no switchport priority extend インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。