他のシスコ ユニファイド IP テレフォニー製品との連携について
Cisco Unified IP Video Phone を IP テレフォニー ネットワークで運用するには、Cisco Catalyst スイッチなどのネットワーク デバイスに接続する必要があります。また、コールを発信および受信するには、Cisco Unified IP Phone を Cisco Unified CallManager システムに登録する必要もあります。
この項では、次のトピックについて取り上げます。
• 「Cisco Unified IP Phone が Cisco Unified CallManager と連携する方法について」
• 「Cisco Unified IP Video Phone が Cisco Catalyst ファミリのスイッチと連携する方法について」
Cisco Unified IP Video Phone が Cisco Catalyst ファミリのスイッチと連携する方法について
Cisco Unified IP Video Phone 7985G にはイーサネット スイッチが内蔵されており、このスイッチによって、電話機、アクセス ポート(電話機にある 10/100 PC というラベルの付いたポート)、およびネットワーク ポート(電話機にある 10/100 SW というラベルの付いたポート)に適切なパケットを正しく転送することができます。
PC ポートにコンピュータが接続されている場合、コンピュータおよび電話機は、スイッチに向かう物理リンクを共有し、スイッチ上では同じポートを共有します。物理リンクが共有されているため、ネットワークの VLAN 構成に次のような影響があります。
• 現在の VLAN 構成は、IP サブネット ベースになっていてもかまいません。ただし、追加の IP アドレスを取得して、電話機を、同じポートに接続された他のデバイスと同じサブネットに割り当てることはできません。
• VLAN 対応の電話機に存在するデータ トラフィックによって、Voice over IP トラフィックの品質が低下する可能性があります。
これらの問題は、電話機に接続されている各ポート上で、音声と映像のトラフィックを別の VLAN に分離することで解決できます。電話機接続用に設定したスイッチ ポートに、互いに独立した複数の VLAN を構築し、それぞれの VLAN は、次のいずれか一方を伝送するように設定します。
• IP Phone で発信および受信される音声と映像のトラフィック(補助またはボイス VLAN)
• IP Phone の PC ポートを介してスイッチに接続された PC で送受信されるデータ トラフィック(ネイティブまたはアクセス VLAN)
電話機を独立した補助 VLAN に分離すると、音声トラフィックの品質が向上するとともに、各電話機に割り当てるための IP アドレスが十分にない既存ネットワークにも、多くの電話機を追加できるようになります。
詳細については、Cisco Catalyst スイッチに添付されているマニュアルを参照してください。
関連項目
• 「電話機の設定ファイルについて」
• 「Network Configuration メニュー」
電話機への電力供給
Cisco Unified IP Video Phone 7985G には、外部電力または Power over Ethernet(PoE)によって電力を供給できます。外部電力は、独立型の電源を通じて提供されます。PoE は、電話機に接続されているスイッチから、イーサネット ケーブルを介して提供されます。
(注) 外部電力によって電力が供給される電話機を設置するときは、電源を電話機と電源コンセントに接続してから、イーサネット ケーブルを電話機に接続します。外部電力によって電力が供給されている電話機を撤去するときは、イーサネット ケーブルを電話機から抜いてから、電源を切り離します。
次の各項で、電話機への電力供給について詳しく説明します。
• 「電力のガイドライン」
• 「停電」
• 「電力に関する詳細情報の入手」
電力のガイドライン
表2-1 に、Cisco Unified IP Video Phone 7985G の外部電力および PoE 電力に関するガイドラインを示します。
表2-1 Cisco Unified IP Video Phone 7985G への電力供給のガイドライン
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外部電力:CP-PWR-CUBE-3 または CP-PWR-CUBE-2 外部電源を通じて供給されます。 |
• Cisco Unified IP Video Phone 7985G と互換性のある外部電源は、CP-PWR-CUBE-3 のみです。 |
PoE 電力:電話機に接続されているスイッチから、イーサネット ケーブルを介して供給されます。 |
• インラインパワー パッチ パネル WS-PWR-PANEL は、Cisco Unified IP Video Phone とは互換性がありません。 • 電話機を無停電で運用するには、スイッチがバックアップ電源を備えていることを確認してください。 • ご使用のスイッチで動作している CatOS または IOS のバージョンが、予定する電話機配置をサポートしていることを確認してください。オペレーティング システムの バージョンに関する情報については、スイッチのマニュアルを参照してください。 |
停電
緊急時に電話連絡を行うためには、電話機に電力が供給されている必要があります。電源が切断されている場合は、電源供給が再開するまで、サービスや緊急コール サービスにダイヤルできません。電力異常または停電の場合、サービスや緊急コール サービスにダイヤルする前に、電話機のリセットや再設定が必要になることがあります。
電力に関する詳細情報の入手
電力に関係する情報については、 表2-2 に示したドキュメントを参照してください。これらのドキュメントでは、次のトピックについて情報を提供しています。
• Cisco Unified IP Phone とともに使用できるシスコ スイッチ
• 双方向電力ネゴシエーションをサポートしている Cisco IOS リリース
• 電力に関するその他の要件および制限事項
電話機の設定ファイルについて
電話機の設定ファイルは、Cisco Unified CallManager に接続するためのパラメータを定義したもので、TFTP サーバに保存されます。通常、電話機のリセットが必要になる変更を Cisco Unified CallManager で行うと、電話機の設定ファイルが自動的に変更されます。
設定ファイルは、電話機が実行するイメージ ロードに関する情報も保持しています。このイメージ ロードが電話機にロードされているものと異なる場合、電話機は、TFTP サーバにアクセスして必要な .bin ファイルを要求します。
電話機は、リセットが発生するか、Cisco Unified CallManager に登録されると、そのたびに設定ファイルを要求します。
電話機は、次の条件を満たしている場合、TFTP サーバにある XmlDefault.cnf.xml という名前のデフォルト設定ファイルにアクセスします。
• Cisco Unified CallManager で自動登録を有効にした。
• 該当する電話機が、まだ Cisco Unified CallManager データベースに追加されていない。
• 該当する電話機を初めて登録する。
(注) セキュリティを実装している場合、電話機は XmlDefault.cnf.xml 設定ファイルにアクセスしません。
上の条件を満たしていない場合、電話機は、デバイス名に対応した .cnf.xml ファイルにアクセスします。
電話機の起動プロセスについて
VoIP ネットワークに接続するとき、Cisco Unified IP Phone は 7 つのステップで構成される標準の起動プロセスを実行します( 表2-3 を参照)。ネットワークの構成によっては、ご使用の Cisco Unified IP Video Phone でこれらのステップが一部発生しない場合もあります。
表2-3 Cisco Unified IP Video Phone の起動プロセス
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1. スイッチからの電力の取得 |
Cisco Unified IP Phone は、電話機に電力を供給するモジュールを備えた Cisco Catalyst スイッチに接続できます。 このオプション構成を採用した場合、電話機はファントム電力を受け取り、Cisco Unified IP Phone をスイッチに接続すると電話機の電源が投入されます。スイッチは、電力を確保し、ネットワーク ケーブルを通じて送電します。 |
• 「Cisco Unified CallManager データベースへの電話機の追加」 • 「起動に関する問題の解決」 |
2. 保存されている電話機イメージのロード |
Cisco Unified IP Phone の不揮発性フラッシュ メモリには、ファームウェア イメージおよびユーザの定義した設定値が保存されています。電話機は、起動するとブートストラップ ローダーを実行し、このローダーは、フラッシュ メモリに保存されている電話イメージをロードします。電話機は、このイメージを使用してソフトウェアとハードウェアを初期化します。 |
「起動に関する問題の解決」 |
3. VLAN の設定 |
Cisco Unified IP Phone を Cisco Catalyst スイッチに接続すると、スイッチは、スイッチ上に定義されているボイス VLAN を電話機に通知します。電話機は、Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP)による IP アドレス要求に進むには、自身の VLAN メンバシップを決定する必要があります。 |
• 「Network Configuration メニュー」 • 「起動に関する問題の解決」 |
4. IP アドレスの取得 |
Cisco Unified IP Phone で DHCP を使用して IP アドレスを取得する場合、電話機は、DHCP サーバにクエリーを発行して IP アドレスを取得します。ネットワークで DHCP を使用していない場合は、固定 IP アドレスを個々の電話機に手動で割り当てる必要があります。 |
• 「Network Configuration メニュー」 • 「起動に関する問題の解決」 |
5. TFTP サーバへのアクセス |
DHCP サーバでは、IP アドレスを割り当てるほかに、Cisco Unified IP Phone に TFTP サーバを通知することもできます。TFTP サーバは、DHCP から動的に取得することも、電話機上で静的に上書きすることもできます。電話機に静的に IP アドレスを定義した場合は、電話機に対してローカルに TFTP サーバを設定する必要があります。設定が完了すると、電話機は TFTP サーバに直接アクセスします。 |
• 「Network Configuration メニュー」 • 「起動に関する問題の解決」 |
6. 設定ファイルの要求 |
設定ファイルは、TFTP サーバが保持しています。このファイルには、Cisco Unified CallManager に接続するためのパラメータや、電話機に関するその他の情報が定義されています。 |
• 「Cisco Unified CallManager データベースへの電話機の追加」 • 「起動に関する問題の解決」 |
7. Cisco Unified CallManager へのアクセス |
設定ファイルは、Cisco Unified IP Phone が Cisco Unified CallManager とどのように通信するかを定義しています。電話機は、このファイルを TFTP サーバから取得すると、リスト内で優先順位が最も高い Cisco Unified CallManager への接続を作成しようとします。 電話機を手動でデータベースに追加した場合は、Cisco Unified CallManager が電話機を識別します。電話機を手動でデータベースに追加していない場合、Cisco Unified CallManager で自動登録が有効になっていると、電話機は自身を Cisco Unified CallManager データベースに自動登録しようとします。
(注) セキュリティを実装している場合は、自動登録を必ず無効にしてください。
設定ファイルは、電話機にロード ID を提供します。 |
「起動に関する問題の解決」 |
Cisco Unified CallManager データベースへの電話機の追加
Cisco Unified IP Phone を設置する前に、電話機を Cisco Unified CallManager データベースに追加する方法を選択する必要があります。次の各項で、これらの方法について説明します。
• 「自動登録による電話機の追加」
• 「自動登録と TAPS による電話機の追加」
• 「Cisco Unified CallManager データベースへの電話機の追加」
• 「BAT による電話機の追加」
表2-4 に、電話機を Cisco Unified CallManager データベースに追加する方法の概要を示します。
表2-4 Cisco Unified CallManager データベースに電話機を追加する方法
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自動登録 |
なし |
電話番号の自動割り当てが実行される |
TAPS を使用した自動登録 |
なし |
自動登録と Bulk Administration Tool(BAT)が必要。Cisco Unified IP Video Phone と Cisco Unified CallManager Administration で情報を更新する |
Cisco Unified CallManager Administration を使用 |
あり |
電話機を個々に追加する必要あり |
BAT を使用 |
あり |
複数の電話機の同時登録が可能 |
自動登録による電話機の追加
自動登録を利用すると、電話機の MAC アドレスをあらかじめ入手しておかなくても電話機を追加できます。
自動登録が有効になっている場合は、Cisco Unified CallManager が自動起動プロセスを開始して、電話番号を取得します。自動登録の実行中、Cisco Unified CallManager は、連続する電話番号の中で次に使用可能な番号を電話機に自動的に割り当てます。
この方法を使用した場合は、新しい電話機が Cisco Unified CallManager に登録されると、Cisco Unified CallManager が電話機に自動的に電話番号を割り当てます。
自動登録を利用すると、電話機を Cisco Unified CallManager データベースにすばやく入力できます。入力されたら、電話番号などの設定値を Cisco Unified CallManager で修正します。また、自動登録された電話機は、電話番号を変えないまま新しい場所に移設して、別のデバイス プールに割り当てることもできます。
システムのデフォルトでは、自動登録は無効になっています。
自動登録の有効化と設定については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』を参照してください。
関連項目
• 「自動登録と TAPS による電話機の追加」
• 「Cisco Unified CallManager データベースへの電話機の追加」
• 「BAT による電話機の追加」
自動登録と TAPS による電話機の追加
自動登録と TAPS を使用すると、電話機の MAC アドレスをあらかじめ入手しておかなくても電話機を追加できます。
TAPS(Tool for Auto-Registered Phones Support)は、Bulk Administration Tool(BAT)と組み合せることで、Cisco Unified CallManager データベースにダミー MAC アドレスを使用して追加した電話機を更新できます。TAPS を使用して、MAC アドレスを更新し、あらかじめ定義しておいた電話機の設定をダウンロードします。
TAPS を導入するには、管理者またはエンドユーザが TAPS の電話番号をダイヤルして、音声プロンプトに従います。このプロセスでは、電話機が自身の電話番号とその他の設定値をダウンロードし、Cisco Unified CallManager Administration の情報を正しい MAC アドレスで更新します。
TAPS が機能するには、Cisco Unified CallManager Administration(System > Cisco CallManager)で自動登録が有効になっている必要があります。
BAT および TAPS の詳細については、『 Bulk Administration Tool User Guide for Cisco Unified CallManager 』を参照してください。
関連項目
• 「自動登録による電話機の追加」
• 「Cisco Unified CallManager データベースへの電話機の追加」
• 「BAT による電話機の追加」
Cisco Unified CallManager Administration での電話機の追加
Cisco Unified CallManager Administration を使用すると、電話機を 1 台ずつ Cisco Unified CallManager データベースに追加できます。追加するには、まず各電話機の MAC アドレスを入手する必要があります。
電話機の MAC アドレスは、電話機自体から特定できます。電話機から MAC アドレスを特定するには、 Settings > Model Information を選択し、MAC Address フィールドを確認します。
MAC アドレスを収集したら、Cisco Unified CallManager Administration で Device > Add a New Device を選択して、作業を開始します。
詳細な手順および Cisco Unified CallManager の概念については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』および『 Cisco Unified CallManager システム ガイド 』を参照してください。
関連項目
• 「自動登録による電話機の追加」
• 「自動登録と TAPS による電話機の追加」
• 「BAT による電話機の追加」
BAT による電話機の追加
Cisco Bulk Administration Tool(BAT)は、Cisco Unified CallManager のプラグイン アプリケーションです。このツールを使用して、複数の電話機の登録などのバッチ操作を実行できます。
TAPS と併用せずに、BAT のみを使用して電話機を追加するには、各電話機の正確な MAC アドレスをまず入手する必要があります。
電話機の MAC アドレスは、電話機自体から特定できます。電話機から MAC アドレスを特定するには、 Settings > Model Information を選択し、MAC Address フィールドを確認します。
BAT の使用方法の詳細については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』および『 Bulk Administration Tool User Guide for Cisco Unified CallManager 』を参照してください。
関連項目
• 「自動登録による電話機の追加」
• 「自動登録と TAPS による電話機の追加」
• 「Cisco Unified CallManager データベースへの電話機の追加」