SIP ネットワーク
SIP ネットワークは、次のコンポーネントを使用します。
• SIP プロキシ サーバ:このプロキシ サーバは、クライアントから SIP 要求を受信して、クライアントの代わりに要求を転送する中間デバイスとして機能します。プロキシ サーバは、認証、許可、ネットワーク アクセス制御、ルーティング、信頼性の高い要求再送、セキュリティなどの機能を提供します。
• リダイレクト サーバ:リダイレクト サーバは、メッセージが進むべきネクストホップに関する情報を 1 つ以上クライアントに提供します。その後、クライアントは、次のホップ サーバまたはユーザ エージェント サーバ(UAS)と直接接続します。
• Registrar サーバ:Registrar サーバは、現在のロケーションの登録を求めるユーザ エージェント クライアントからの要求を処理します。リダイレクトまたはプロキシ サーバには、登録サーバが含まれる場合があります。
• ユーザ エージェント(UA):UA は、コールを開始および受信するユーザ エージェント クライアント(UAC)とユーザ エージェント サーバ(UAS)の組み合せで構成されます。UAC が SIP 要求を開始します。UAS は、SIP 要求を受信したときにユーザに連絡するサーバ アプリケーションです。要求を受信すると、UAS がユーザの代わりに応答します。Cisco Unified CallManager は、サーバとクライアントの両方(バックツーバック ユーザ エージェント)として動作できます。
SIP は、要求/応答方式を使用して、ネットワーク内の各種のコンポーネント間の通信を確立し、最終的に 2 つ以上のエンドポイント間のコールまたはセッションを確立します。1 つのセッションには、複数のクライアントおよびサーバが使用されます。
SIP ネットワーク内のユーザの識別は、次の方法で行われます。
• 一意の電話番号または内線番号。
• 電子メール アドレスと同じように表示され、 sip:<userID>@<domain>
形式を使用する一意の SIP アドレス。ユーザ ID は、ユーザ名または E.164 アドレスのいずれかを使用できます。Cisco Unified CallManager は、E.164 アドレスだけをサポートし、電子メール アドレスはサポートしていません。
• Cisco Unified CallManager 上で SIP ルート パターンによってサポートされている電子メール アドレス形式(employee@company.com)。
SIP と Cisco Unified CallManager
どのプロトコルを使用する場合も、コールを受信および発信するためには、シグナリング インターフェイス(トランク)またはゲートウェイのいずれかを作成する必要があります。SIP に関しては、SIP トランクを設定する必要があります。詳細については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「トランクの設定」を参照してください。
SIP トランクは、Cisco Unified CallManager ネットワークを SIP プロキシ サーバが提供する SIP ネットワークに接続します。他のプロトコルと同様に、SIP コンポーネントは Cisco Unified CallManager アーキテクチャのデバイス層に適合します。H.323 プロトコルの場合、複数の論理 SIP トランクを Cisco Unified CallManager データベースに設定し、ルート グループ、ルート リスト、およびルート パターンに関連付けることができます。1 つの論理 SIP インターフェイスに障害が発生した場合に冗長性を提供できるように、他の論理 SIP インターフェイスは同一のルート グループ リストにサービスを提供します。複数の Cisco Unified CallManager ノードを SIP トランク デバイス プールに割り当てると、冗長性も実現できます。
SIP トランクは、複数ポート ベースのルーティングをサポートしています。Cisco Unified CallManager の複数の SIP トランクがポート 5060(デフォルト)を使用でき、このデフォルトは、[SIP トランク セキュリティ プロファイルの設定(SIP Trunk Security Profile Configuration)]ウィンドウから設定できます。TCP/UDP では、SIP トランクはリモート ホストおよびローカル リスニング ポートを使用してルーティングを行います(リモート ホストは、IP、FQDN、SRV のいずれでもかまいません)。TLS では、SIP トランクは、X.509 の件名を使用してルーティングを行います。SIP トランクの場合、Cisco Unified CallManager は、設定された SIP トランクの宛先アドレスと IP アドレスが一致する SIP デバイスからのコールのみを受け入れます。また、SIP メッセージが着信するポートは、SIP トランク上で設定されたポートと一致している必要があります。
図41-1 SIP と Cisco Unified CallManager の相互対話
Cisco Unified CallManager リリース 4.x システムとリリース 5.x システム間での SIP トランクの使用
Cisco Unified CallManager リリース 5.x および Cisco Unified CallManager リリース 4.x は、SIP トランクで使用されたときの転送タイプとして TCP と UDP をサポートしています。リリース 4.x では、SIP コールごとに 1 つの TCP 接続が使用されます。リリース 5.x では、同じ TCP 接続で複数の SIP コールがサポートされます(TCP 接続の再利用と呼ばれる)。
次のシスコ製品は TCP をサポートしていますが、そのすべてが TCP の再利用をサポートしているわけではありません(詳細については、 表41-1 を参照)。
• Cisco Unified CallManager リリース 4.1:TCP 接続の再利用なし
• Cisco Unified CallManager リリース 4.2:TCP 接続の再利用なし
• Cisco Unified CallManager リリース 5.0(2):TCP 接続の再利用あり
• Cisco Unified CallManager リリース 5.0(4):TCP 接続の再利用あり
• Cisco Unified CallManager リリース 5.1(1):TCP 接続の再利用あり
• Cisco IOS 12.3(8)T 以降:TCP 接続の再利用あり
• Cisco IOS 12.3(8)T より前:TCP 接続の再利用なし
表41-1 は、Cisco Unified CallManager リリース 4.x および 5.x と IOS ゲートウェイの間でサポートされている SIP トランクの接続を示します。
表41-1 SIP トランク互換性マトリクス
Cisco Unified CallManager
リリース 4.x
|
Cisco Unified CallManager
リリース 5.x
|
|
|
Cisco Unified CallManager リリース 4.x |
UDP または TCP |
UDP のみ |
UDP のみ |
UDP または TCP |
Cisco Unified CallManager リリース 5.x |
UDP のみ |
UDP または TCP |
UDP または TCP |
UDP のみ |
IOS 12.3(8)T |
UDP のみ |
UDP または TCP |
UDP または TCP |
UDP のみ |
IOS 12.3(8)T より前 |
UDP または TCP |
UDP のみ |
UDP のみ |
UDP または TCP |
リリース 5.x システムから TCP ベースの SIP トランクを経由して複数のコールが 4.x システムに発信された場合、4.x システムは 1 つのコールにのみ接続されます。他のコールは接続されません。4.x システムと 5.x システムの間で SIP トランクを使用している場合は、リリース 4.x システムとリリース 5.x システムの間のコールが正しく接続されるように、両方のシステムで、発信転送タイプとして UDP を使用するように設定する必要があります( 表41-1 を参照してください)。
UDP を設定するには、Cisco Unified CallManager の管理ページを使用します。
• Cisco Unified CallManager リリース 5.x 以降からリリース 4.x システムに接続する場合は、[SIPトランクセキュリティプロファイルの設定(SIP Trunk Security Profile Configuration)]ウィンドウの[発信転送タイプ(Outgoing Transport Type)]で[UDP]を選択します。
• Cisco Unified CallManager リリース 4.0 以降からリリース 5.x システムに接続する場合は、[トランクの設定(Trunk Configuration)]ウィンドウの[発信転送タイプ(Outgoing Transport Type)]で[UDP]を選択します。
メディア ターミネーション ポイント(MTP)デバイス
Cisco Unified CallManager SIP デバイス(回線およびトランク)が常に MTP を使用するように設定できます。MTP を使用しないように設定パラメータが設定されている場合(デフォルトの場合)、Cisco Unified CallManager は、コールの DTMF 方式に互換性がなければ、動的に MTP を割り当てようとします。
たとえば、SCCP 電話機はアウトオブバンドの DTMF だけをサポートし、SIP を使用する Cisco Unified IP Phone(7905、7912、7940、7960)は RFC2833 だけをサポートしています。DTMF 方式が同一でないため、Cisco Unified CallManager は MTP を動的に割り当てます。
しかし、RFC2833 とアウトオブバンドをサポートする SCCP 電話機(Cisco Unified IP Phone 7971 など)が、SIP を使用する Cisco Unified IP Phone 7940 にコールした場合、Cisco Unified CallManager は、両方の電話機が RFC2833 をサポートしているので、MTP を割り当てません。それぞれの電話機で同じタイプの DTMF 方式がサポートされているので、MTP は不要です。
(注) Cisco Unified CallManager 5.0 以降では、SIP を使用している Cisco Unified IP Phone 向けに[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)]チェックボックスが用意されていますが、SIP を使用している Cisco Unified IP Phone ではこのチェックボックスをオンにしないでください。
[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)]チェックボックスをオンにすると、共有回線など、Cisco Unified CallManager の機能に問題が発生することがあります。
このチェックボックスをオフのままにしている場合でも、Cisco Unified CallManager は必要に応じて動的に MTP を挿入します。したがって、SIP を使用している Cisco Unified IP Phone に対して[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)]チェックボックスをオンにする利点はありません。
SIP を実行している Cisco Unified IP Phone 向けのこの設定オプションは、Cisco Unified CallManager の今後のリリースで削除される可能性がありますが、SIP を実行しているサードパーティの汎用電話機向けのサポートは継続される予定です。
メディア ターミネーション ポイントが必須(Media Termination Point Required)オプションが有効である SIP デバイスのリージョン(リージョンの関係)の設定
リージョンの関係を設定する場合は、コールに使用されるすべてのデバイスにとって十分な帯域幅のオーディオ コーデックを選択する必要があります。これには、同じリージョンのデバイスおよび別のリージョンのデバイスに対するコーデックの設定が含まれます。SIP プロトコルを使用するようにトランクまたはサードパーティの電話機を設定し、[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)]が有効である場合、Cisco Unified CallManager の管理ページの[MTP優先発信コーデック(MTP Preferred Originating Codec)]フィールドでは G.711 コーデックしか選択できません。[メディアターミネーションポイントが必須(Media Termination Point Required)]オプションが有効な SIP トランクまたはサードパーティの SIP 電話機をそのリージョンのデバイス プールに割り当てる場合は、SIP デバイスと MTP デバイスの間のリージョンの関係が、G.711 と同じまたはより広い帯域幅のコーデック(G.711 コーデックまたはワイドバンド コーデック)を使用するように設定されていることを確認する必要があります。
SIP サービス パラメータ
SIP タイマーとカウンタは、異なるサーバの機能に応じて個別に設定できます。サービス パラメータの設定方法の詳細については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「サービス パラメータの設定」を参照してください。
SIP タイマーとカウンタ
SIP タイマーとカウンタは、設定可能なサービス パラメータとして機能します。次の表では、各種の SIP タイマーとカウンタについて説明し、それぞれのデフォルト値と範囲値を示します。
表41-2 Cisco Unified CallManager がサポートする SIP タイマー
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Trying |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
Cisco Unified CallManager が INVITE を再転送するまで、100 応答を待機する時間 |
Connect |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
Cisco Unified CallManager が 2xx 応答を INVITE に再転送するまで、ACK を待機する時間 |
Disconnect |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
Cisco Unified CallManager が BYE 要求を再転送するまで、2xx 応答を待機する時間 |
Expires |
180000 ミリ秒 |
60000 ~ 300000 |
INVITE 要求に与えられた有効時間 |
rel1xx |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
Cisco Unified CallManager が reliable1xx 応答を再転送するまで待機する時間 |
PRACK |
500 ミリ秒 |
100 ~ 1000 |
Cisco Unified CallManager が PRACK 要求を再転送するまで待機する時間 |
(注) TCP 転送を使用しているときにタイマーがタイムアウトすると、SIP デバイスは再転送を行いません。デバイスの再試行は、TCP に依存します。
表41-3 Cisco Unified CallManager がサポートする SIP 再試行カウンタ
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INVITE |
6 |
1 ~ 10 |
INVITE の再試行回数 |
Response |
6 |
1 ~ 10 |
RESPONSE の再試行回数 |
BYE |
10 |
1 ~ 10 |
BYE の再試行回数 |
Cancel |
10 |
1 ~ 10 |
Cancel の再試行回数 |
PRACK |
6 |
1 ~ 10 |
PRACK の再試行回数 |
Rel1xx |
10 |
1 ~ 10 |
Reliable 1xx 応答の再試行回数 |
サポートされるオーディオ メディア タイプ
次の表は、サポートされている各種オーディオ メディア タイプの説明です。
表41-4 サポートされるオーディオ メディア タイプ
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G.711 u-law |
PCMU |
0 |
|
GSM Full-rate |
GSM |
3 |
|
G.723.1 |
G723 |
4 |
|
G.711 A-law |
PCMA |
8 |
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G.722 |
G722 |
9 |
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G.728 |
G728 |
15 |
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G.729 |
G729 |
18 |
annex A と B のすべての組み合せをサポート |
RFC2833 DTMF |
テレフォニー イベント |
動的に割り当て |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
サポートされるビデオ メディア タイプ
次の表は、サポートされている各種ビデオ メディア タイプの説明です。
表41-5 サポートされるビデオ メディア タイプ
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H.261 |
H261 |
31 |
H.263 |
H263 |
34 |
H.263+ |
H263-1998 |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
H.263++ |
H263-2000 |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
H.264 |
H264 |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
サポートされるアプリケーション メディア タイプ
次の表は、サポートされているアプリケーション メディア タイプの説明です。
表41-6 サポートされるアプリケーション メディア タイプ
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H.224 FECC |
H224 |
利用可能な範囲は 96 ~ 127 |
サポートされる T38fax ペイロード タイプ
次の表は、サポートされているペイロード タイプの説明です。
表41-7 サポートされる T38fax ペイロード タイプ
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T38fax |
該当なし |
適用外 |
トランクの SIP プロファイル
SIP トランクと SIP エンドポイントは、SIP プロファイルを使用します。SIP トランクは、SIP プロファイルを使用して[デフォルトMTPテレフォニーイベントペイロードタイプ(Default MTP Telephony Event Payload Type)]と[180で早期メディアを無効化(Disable Early Media on 180)]を定義します。SIP プロファイルの詳細については、「エンドポイントの SIP プロファイル」、および『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「SIP プロファイルの設定」を参照してください。
Cisco Unified CallManager がサポートする SIP 機能
Cisco Unified CallManager は、SIP コールに関して次の機能をサポートします。
• 「SIP エンドポイントと Cisco Unified CallManager 間の基本コール」
• 「SIP エンドポイントと Cisco Unified CallManager 間の DTMF リレー コール」
• 「MTP が割り当てられた場合に開始される補助サービス」
• 「ブラインド転送時の呼び出し音」
• 「SIP エンドポイントが開始する補助サービス」
• 「拡張されたコール識別サービス」
• 「RDNIS」
• 「リダイレクション」
SIP エンドポイントと Cisco Unified CallManager 間の基本コール
この項では、3 つの基本コールのシナリオについて説明します。2 つのシナリオでは着信および発信コールについて説明し、もう 1 つのシナリオでは初期メディアの使用(コールの接続または応答の前のメディア接続)について説明します。
• 「基本の発信コール」
• 「基本の着信コール」
• 「初期メディアの使用」
基本の発信コール
任意の Cisco Unified CallManager デバイスから SIP デバイスに発信コールを開始できます。Cisco Unified CallManager デバイスには、Foreign Exchange Station(FXS)ゲートウェイに接続された SCCP または SIP IP 電話機またはファックス デバイスが含まれます。たとえば、SCCP IP 電話機は、SIP エンドポイントにコールできます。コールに応答する SIP デバイスが、メディアの確立をトリガーします。
基本の着信コール
FXS ゲートウェイに接続された SIP IP Phone またはファックス デバイスを含む SIP ネットワーク上の任意のデバイスが、着信コールを開始できます。たとえば、SIP エンドポイントは、SCCP IP Phone へのコールを開始できます。コールに応答する SCCP IP 電話機が、メディアの確立をトリガーします。
初期メディアの使用
PSTN は、初期メディアにインバンドの進行情報(呼び出しトーンまたはビジー シグナルなど)のシグナリングを提供しますが、これは SIP では行われません。発信側は、コーデック使用状況、IP アドレス、ポート番号などのセッション記述プロトコル(SDP)情報を、発信 INVITE メッセージに含めます。この応答として、終端側は自身のコーデック、IP アドレスおよびポート番号を 183 Session Progress メッセージで送信し、初期メディアの候補であることを示します。
183 Session Progress 応答は、メッセージ本体にメディア セッションに関する情報が含まれることを示します。180 Alerting および 183 Session Progress メッセージの両方に、コールへの応答が行われる前に初期メディア セッションの確立を許可する SDP を含めることができます。
初期メディアが、接続の前に SIP エンドポイントに配信される必要がある場合、Cisco Unified CallManager は常に SDP を含む 183 Session Progress メッセージを送信します。Cisco Unified CallManager は SDP を含む 180 Alerting メッセージを生成しませんが、SDP を含む 180 Alerting メッセージの受信はサポートしています。
[SIP プロファイルの設定(SIP Profile Configuration)]ウィンドウには、[180 で早期メディアを無効化(Disable Early Media on 180)]チェックボックスがあります。ローカル呼び出し音を着信側電話機で再生し、200OK 応答の受信と同時にメディアを接続するには、このチェックボックスをオンにします。『Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド』の「SIP プロファイルの設定値」を参照してください。
SIP エンドポイントと Cisco Unified CallManager 間の DTMF リレー コール
各エンドポイントで使用されている DTMF 方式に基づいて、MTP が必要に応じて動的に割り当てられるようになりました。
Dissimilar DTMF 方式の、SIP デバイスからゲートウェイまたは IVR システムへの DTMF ディジットの転送
次の例(図41-2)は、一次群速度インターフェイス(PRI)ゲートウェイと通信を行うために、MTP ソフトウェア デバイスが SIP 電話機からのインバンド DTMF ディジットを処理する例を示しています。RTP ストリームは、ダイナミック ペイロード タイプが示すように、RFC 2833 DTMF を伝送します。
図41-2 DTMF ディジットの転送
図41-2 では、メディア ストリーミングから開始し、MTP デバイスは DTMF がダイナミック ペイロード タイプであることを通知されています。
1. SIP 電話機は、ユーザがキーパッドで番号を入力すると、ペイロード タイプの応答を開始します。SIP 電話機は、DTMF インバンド ディジット(RFC 2833 による)を MTP デバイスに転送します。
2. MTP デバイスは、インバンド DTMF ディジットを抽出し、アウトバンドのディジットを Cisco Unified CallManager に渡します。
3. Cisco Unified CallManager は、次にアウトバンドの DTMF ディジットをゲートウェイまたは対話型音声応答(IVR)システムにリレーします。
Dissimilar DTMF 方式の DTMF ディジットの生成
「SIP エンドポイントと Cisco Unified CallManager 間の DTMF リレー コール」の説明のように、SIP は、DTMF インバンド ディジットを送信し、Cisco Unified CallManager はアウトバンド ディジットだけをサポートします。ソフトウェア MTP デバイスは、アウトバンドの DTMF トーンを受信し、インバンドの DTMF トーンを SIP クライアントに生成します。
図41-3 DTMF ディジットの生成
図41-3 では、メディア ストリーミングから開始し、MTP デバイスには DTMF ダイナミック ペイロード タイプであることが通知されています。
1. SCCP IP 電話機のユーザは、キーパッドでボタンを押します。Cisco Unified CallManager は、SCCP IP Phone からアウトバンド ディジットを収集します。
2. Cisco Unified CallManager は、アウトバンド ディジットを MTP デバイスに渡します。
3. MTP デバイスは、ディジットを RFC 2833 RTP 準拠のインバンド ディジットに変換し、それを SIP クライアントに転送します。
MTP が割り当てられた場合に開始される補助サービス
システムは、SCCP エンドポイントが SIP コールで開始するすべての補助サービスをサポートしています。SCCP エンドポイントは、接続された SIP デバイスに影響を与えることなく Cisco Unified CallManager 内部で管理されます。当初の接続情報に加えられる変更は、Remote-Party-ID ヘッダーを使用する re-INVITE または UPDATE メッセージで更新されます。Remote-Party-ID ヘッダーの詳細については、『 SIP Extensions for Caller Identity and Privacy 』を参照してください。
「ブラインド転送時の呼び出し音」では、ブラインド転送について説明します。ブラインド転送は、Cisco Unified CallManager がメディア アナウンスを提供する必要があるため、補助サービスと同様に固有の動作になります。
ブラインド転送時の呼び出し音
SCCP が開始するブラインド転送では、コールが接続されてから Cisco Unified CallManager がトーンまたは呼び出し音を生成する必要があります。つまり、Cisco Unified CallManager は、ブラインド転送のメディア アナウンスを提供します。
ブラインド転送は、転送のターゲットがコールに応答する前に、転送側の電話機が発信者を宛先の回線に接続する際に行われます。ブラインド転送は、転送側の 1 つが呼び出し音の鳴っている電話機(呼び出し音が受信されている)に発信者を接続するか、または発信者を第三者に接続する前に第三者と話をする、打診転送(在席転送)とは異なります。
SCCP IP 電話機が開始するブラインド転送は、最初に接続された SIP デバイス ユーザへの呼び出し音を許可します。Cisco Unified CallManager は、呼び出し音を実行するために、MTP デバイスとともに配置されることがある Annunciator ソフトウェア デバイスを使用します。
Annunciator を使用すると、Cisco Unified CallManager は、SCCP IP 電話機、ゲートウェイ、およびその他の IP テレフォニー デバイスに対して事前定義されたトーンおよびアナウンスを再生できます。これらの事前定義されたトーンおよびアナウンスは、ユーザにコール ステータスに関する詳細情報を提供します。
SIP が開始するコール転送
Cisco Unified CallManager は、SIP が開始するコール転送をサポートし、REFER 要求または Replaces ヘッダーを含む INVITE メッセージを受信します。
コール保留
Cisco Unified CallManager は、SIP デバイスまたは Cisco Unified CallManager デバイスが開始するコール保留と取得をサポートします。たとえば、SCCP IP 電話機のユーザが別のユーザが保留にしているコールを取得する場合、Cisco Unified CallManager は re-INVITE メッセージを SIP プロキシに送信します。re-INVITE メッセージには、現在の接続先を反映させるために、更新された Remote-Party-ID 情報が含まれています。Cisco Unified CallManager が最初にコールを開始した場合、Remote-Party-ID ヘッダーの Party フィールドには発信側が設定されます。そうでない場合は着信側が設定されます。Party フィールド パラメータの詳細については、「拡張されたコール識別サービス」を参照してください。
コール転送
Cisco Unified CallManager は、SIP デバイスまたは Cisco Unified CallManager デバイスが開始するコール転送をサポートします。SIP デバイスがコール転送のリダイレクションを要求すると、Cisco Unified CallManager が要求を処理します。Cisco Unified CallManager が開始するコール転送には、SIP のリダイレクション メッセージは使用されません。Cisco Unified CallManager は、内部でリダイレクションを処理し、Remote-Party-ID ヘッダーを介して発信側の SIP エンドポイントに接続側の情報を伝送します。
拡張されたコール識別サービス
この項では、Cisco Unified CallManager の次の SIP 識別サービスおよび Cisco Unified CallManager が SIP にこれらの識別サービスを伝送する方法について説明します。
• 回線識別サービス
–Calling Line Identification Presentation(CLIP)および Calling Line Identification Restriction(CLIR)
–Connected Line Identification Presentation(COLP)および Connected Line Identification Restriction(COLR)
• 名前識別サービス
–Calling Name Identification Presentation(CNIP)および Calling Name Identification Restriction(CNIR)
–Connected Name Identification Presentation(CONP)および Connected Name Identification Restriction(CONR)
Cisco Unified CallManager では、これらの識別サービスを提供するための柔軟な設定オプションにより、コールごとの設定や、SIP シグナリング インターフェイスごとの静的な事前設定を行うことができます。
CLIP および CNIP
Cisco Unified CallManager は、Cisco Unified CallManager からの初期 INVITE メッセージの From ヘッダーおよび Remote-Party-ID ヘッダーに発信側回線(または番号)および発信者名の表示情報を含めます。From ヘッダーのフィールドは、要求の発信側を示します。Cisco Unified CallManager は、18x、200、および re-INVITE メッセージの Remote-Party-ID ヘッダーを使用して、接続先の名前および識別情報を伝送します。Remote-Party-ID ヘッダーには、発信者 ID およびプライバシーの詳細も含まれます。発信者 ID サービスの場合、Cisco Unified CallManager は、Remote-Party-ID ヘッダーの Party フィールドに発信側を設定します。
(注) Remote-Party-ID ヘッダーの詳細については、『Cisco IOS SIP Configuration Guide』を参照してください。
例
Bob Jones(外部電話番号 =8005550100)が SIP シグナリング インターフェイスにダイヤルアウトします。From and Remote-Party-ID ヘッダーには、次の内容が含まれます。
From: “Bob Jones” <sip:8005550100@localhost>
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<8005550100@localhost; user=phone>; party=calling;screen=no;privacy=off
CLIR および CNIR
発信側回線(または番号)および発信者名の制限設定は、SIP シグナリング インターフェイス レベルまたはコール単位で行われます。SIP トランク レベルの設定は、コール単位の設定より優先されます。コール単位で設定する方法については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート グループの設定」を参照してください。
また、発信側回線および発信者の制限は、それぞれ個別に設定できます。たとえば、番号だけを制限し、名前の表示を許可するように選択できます。
例 1
発信者名を制限した場合、Cisco Unified CallManager は、From ヘッダー内の発信者名を設定可能な文字列に設定します。Cisco Unified CallManager によって、Remote-Party-ID ヘッダーの表示フィールドには実際の名前が含まれるように設定されますが、Privacy フィールドは name に設定されます。
From: “Anonymous” <sip:8005550100@localhost>
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<sip:9728135001@localhost;user=phone>; party=calling;screen=no;privacy=name
例 2
発信番号を制限した場合、Cisco Unified CallManager は、From ヘッダーの発信側回線を省略します。ただし、Cisco Unified CallManager は、Remote-Party-ID ヘッダーには発信側回線を含め、Privacy フィールドを privacy=uri に設定します。
From: “Bob Jones” <sip:@localhost>
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<sip:8005550100@localhost;user=phone>; party=calling;screen=no;privacy=uri
例 3
発信者の名前および番号を制限した場合、Cisco Unified CallManager は、Remote-Party-ID ヘッダー の Privacy フィールドを privacy=full に設定します。
From: “Anonymous” <sip:localhost>
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<sip:8005550100@localhost;user=phone>; party=calling;screen=no;privacy=full
COLP および CONP
Cisco Unified CallManager は、接続先回線および名前の識別を補助サービスとして使用し、発信側に接続側の番号と名前を提供します。From ヘッダーのフィールドは、要求の発信側を示します。Cisco Unified CallManager は、18x、200、および re-INVITE メッセージの Remote-Party-ID ヘッダーを使用して、接続先の情報を伝送します。Cisco Unified CallManager は、Remote-Party-ID ヘッダーの Party フィールドに着信側を設定します。
例 1
Cisco Unified CallManager は、宛先アドレスが 800555 の INVITE メッセージを受信します。Cisco Unified CallManager は、次のように接続側の名前を 18x および 200 メッセージに含めます。
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<98005550100@localhost; user=phone>; party=called;screen=no;privacy=off
COLR および CONR
SIP トランク レベルまたはコール単位で接続先回線(または番号)および名前の制限を設定できます。SIP トランク レベルの設定は、コール単位の設定より優先されます。コール単位で設定する方法については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート グループの設定」を参照してください。
発信者 ID サービスと同様に、ユーザは接続側の番号と名前をそれぞれ個別に制限できます。
例 1
Cisco Unified CallManager は、Remote-Party-ID ヘッダーの表示フィールドには実際の名前が含まれるように設定しますが、Privacy フィールドを privacy=name に設定します。
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<8005550100@localhost; user=phone>; party=called;screen=no;privacy=name
例 2
接続側の番号を制限した場合、Cisco Unified CallManager は、Remote-Party-ID ヘッダーには接続側の番号を組み込みますが、Privacy フィールドを privacy=uri に設定します。
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<8005550100@localhost; user=phone>; party=called;screen=no;privacy=uri
例 3
接続側の名前と番号を制限した場合、Cisco Unified CallManager は、Remote-Party-ID ヘッダーの Privacy フィールドを privacy=full に設定します。
Remote-Party-ID: “Bob Jones”<8005550100@localhost; user=phone>; party=called;screen=no;privacy=full
RDNIS
Cisco Unified CallManager は、初期 INVITE メッセージの SIP Diversion ヘッダーを使用して、利用可能な RDNIS 情報を伝送します。
リダイレクション
以前は、SIP ネットワークからのリダイレクションは SIP スタック レベルで処理され、システムはリダイレクション応答内の連絡先へのリダイレクション要求をすべて受け取り、リダイレクション応答を受信した同じトランクへ転送していました。コールのリダイレクト方法を処理または制限するための追加ロジックが、参照されたり適用されたりすることはありませんでした。たとえば、発信 INVITE への 3xx 応答内のリダイレクション接続先が Cisco Unified CallManager に登録済みの電話機で、スタックがリダイレクションを処理している場合、コールは Cisco Unified CallManager 電話機へ直接ルーティングされずに、同じトランクへリダイレクトして戻されていました。制限された電話番号(国際電話番号など)へリダイレクトされると、スタック レベルでのリダイレクション処理により、コールがブロックされずにルーティングされます。これは、[SIP プロファイルの設定(SIP Profile Configuration)]ウィンドウの[アプリケーションによるリダイレクト(Redirect by Application)]チェックボックスをオフにした場合の動作です。
[SIP プロファイルの設定(SIP Profile Configuration)]ウィンドウにある[アプリケーションによるリダイレクト(Redirect by Application)]チェックボックスをオンにし、このオプションを SIP トランクに設定すると、Cisco Unified CallManager 管理者は次のことができます。
• 特定のコーリング サーチ スペースを、3xx 応答内で受信したリダイレクト接続先に適用する。
• コールが正しくルーティングされるよう、リダイレクト接続先に番号分析を適用する。
• サービス パラメータで設定できるリダイレクション(再帰リダイレクション)の番号を制限することで、DOS 攻撃を防止する。
• リダイレクションの実行中に、別の機能を起動できるようにする。
詳細については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「SIP プロファイルの設定値」および「トランクの設定」を参照してください。
SIP トランク設定チェックリスト
表41-8 に、Cisco Unified CallManager に SIP トランクを設定するために必要な手順の概要を、関連した手順と項目の参照先と一緒に示します。
(注) Cisco Unified CallManager リリース 4.x システムおよびリリース 5.x システム間で SIP トランクを使用する方法については、「Cisco Unified CallManager リリース 4.x システムとリリース 5.x システム間での SIP トランクの使用」を参照してください。
設定上の考慮事項
Cisco Unified CallManager は設定に関する検証を行わないため、SIP トランクを設定する場合は、次の制約事項を考慮してください。
• Cisco Unified CallManager は、ルート リストまたはルート グループに割り当てられている SIP トランク上の発信 MWI 通知をサポートしません。Cisco Unified CallManager が SIP トランク上で発信 MWI 通知を送信する場合は、SIP トランクをルート パターンに直接割り当てる必要があります。
• SIP ルーティングを機能させるためには、各 SIP トランクが一意の SIP ルーティング設定を持つ必要があります。Cisco Unified CallManager は、着信 SIP メッセージからの情報の組み合せを使用して、SIP メッセージを正しい SIP トランクにルーティングします。次の条件があてはまる場合、SIP トランクのルーティング設定は一意です。
–[着信転送タイプ(Incoming Transport Type)]フィールド、[着信ポート(Incoming Port)]フィールド、および[着信先アドレス(Destination Address)]フィールドに同じ値が設定されている他のトランクがない。
–[着信転送タイプ(Incoming Transport Type)]で Transport Layer Security(TLS)が選択されており、かつ[着信ポート(Incoming Port)]フィールドおよび[X.509の件名(X.509 Subject Name)]フィールドに同じ値が設定されている他のトランクがない。[X.509の件名(X.509 Subject Name)]フィールドは、名前のリストで構成できます。
[着信転送タイプ(Incoming Transport Type)]、[着信ポート(Incoming Port)]、および[X.509の件名(X.509 Subject Name)]の各フィールドは、Cisco Unified CallManager の管理ページの[SIPトランクセキュリティプロファイルの設定(SIP Trunk Security Profile Configuration)]で設定します。 [システム]>[セキュリティプロファイル]>[SIPトランクセキュリティプロファイルの設定(SIP Trunk Security Profile Configuration)] の順に選択します。このメニュー オプションにより、[SIPトランクセキュリティプロファイルの検索と一覧表示(Find and List SIP Trunk Security Profiles)]ウィンドウが表示されます。このウィンドウを使用して、既存の SIP トランク セキュリティ プロファイルを検索するか、 [新規追加] をクリックして新しいプロファイルを追加します。
[着信先アドレス (Destination Address)]および選択した SIP トランク セキュリティ プロファイルは、Cisco Unified CallManager の[トランクの設定(Trunk Configuration)]ウィンドウで設定します。 [デバイス]>[トランク] を選択します。このメニュー オプションにより、[トランクの検索と一覧表示(Find and List Trunks)]ウィンドウが表示されます。このウィンドウを使用して、既存のトランクを検索するか、 [新規追加] をクリックして新しいトランクを追加し、トランク タイプとして SIP トランクを選択します。
次に、有効な設定例を示します。
Trunk#1: Incoming Transport Protocol=TCP/UDP, Incoming Port=5060, Destination Address=10.10.10.1
Trunk#2: Incoming Transport Protocol=TCP/UDP, Incoming Port=5060, Destination Address=10.10.10.2
Trunk#3: Incoming Transport Protocol=TCP/UDP, Incoming Port=5080, Destination Address=10.10.10.1
Trunk#4: Incoming Transport Protocol=TLS, Incoming Port=5061, X.509 Subject Name=my_ccm1, my_ccm2
Trunk#5: Incoming Transport Protocol=TLS, Incoming Port=5061, X.509 Subject Name=my_ccm3
Trunk#6: Incoming Transport Protocol=TLS, Incoming Port=5081, X.509 Subject Name=my_ccm_1
次に、無効な設定例を示します。
Trunk#1: Incoming Transport Protocol=TCP/UDP, Incoming Port=5060, Destination Address=10.10.10.1
Trunk#2: Incoming Transport Protocol=TCP/UDP, Incoming Port=5060, Destination Address=10.10.10.1
Trunk#3: Incoming Transport Protocol=TLS, Incoming Port=5061, X.509 Subject Name=my_ccm1, my_ccm2
Trunk#4: Incoming Transport Protocol=TLS, Incoming Port=5081, X.509 Subject Name=my_ccm2
Trunk#5: Incoming Transport Protocol=TLS, Incoming Port=5061, X.509 Subject Name=my_ccm2
Trunk#6: Incoming Transport Protocol=TLS, Incoming Port=5081, X.509 Subject Name=my_ccm2
Trunk #2 と Trunk #1 が競合しています。プロトコル、着信ポート、および宛先アドレスが同じであるためです。
Trunk #5 と Trunk #3 が競合しています。プロトコルと着信ポートが同じであり、両方のトランクの X.509 の件名のリストに my_ccm2 が含まれているためです。
Trunk #6 と Trunk #4 が競合しています。プロトコル、着信ポート、および X.509 の件名が同じであるためです。
表41-8 SIP トランク設定チェックリスト
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ステップ 1 |
SIP プロファイルを作成します(オプション)。 SIP トランク セキュリティ プロファイルを作成します(オプション)。 SIP トランクを作成します。 宛先アドレスを設定します。 宛先ポートを設定します。 |
『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「SIP プロファイルの設定」 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「トランクの設定」 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「トランクの設定値」 |
ステップ 2 |
SIP トランクを Route Pattern または Route Group に関連付けます。 |
『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「SIP ルート パターンの設定」 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート グループの設定」 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「ルート リストの設定」 |
ステップ 3 |
必要に応じて、SIP タイマー、カウンタ、およびサービス パラメータを設定します。 |
『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「サービス パラメータの設定」 特定の設定可能な値については、「SIP タイマーとカウンタ」を参照してください。 |
ステップ 4 |
SIP トランクをリセットします。 |
『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「トランクの設定」 |
Cisco Unified CallManager SIP エンドポイントの概要
Cisco SIP IP Phone 7911、7941、7961、7970、および 7971 は、Cisco Unified CallManager Back to Back User Agent(B2BUA)環境で SIP エンドポイントとして配置されます。電話機と他のネットワーク コンポーネントとの基本的なインターフェイスは、SIP プロトコルです。SIP 以外に、たとえば、IP アドレス割り当て用の DHCP、ドメイン名からアドレスへの解決に使用する DNS、イメージおよび設定データをダウンロードするための TFTP など、各種の機能に対してさまざまなプロトコルが使用されます。
ここでは、例を図で示し、B2BUA 環境とピアツーピア環境について簡単に説明します。
図41-4 Cisco Unified CallManager B2BUA ネットワーク
図41-4 は、Cisco Unified CallManager B2BUA ネットワークの最も単純な例を示しています。ここには、メイン サイトと営業所の配置が示されています。各サイトには、SIP 電話機と SCCP 電話機が混在しています。メイン サイトには、Cisco Unified CallManager クラスタとボイスメール サーバがあります。メイン サイトと営業所サイトにある電話機はそれぞれ、プライマリ、セカンダリ、ターシャリの Cisco Unified CallManager セットのホームになっています。これにより、個々の Cisco Unified CallManager サーバに障害が起きた場合の、コール制御の冗長性が提供されます。
メイン サイトの SIP 電話機は、すべてのセッション招待を Cisco Unified CallManager へ送信します。ルーティング設定と宛先を基に、Cisco Unified CallManager はコールを別の SIP または SCCP 電話機へローカルに送り届けたり、メイン サイトの音声ゲートウェイを通じて IP WAN から営業所内のいずれかの電話機へ送り届けたり、メイン サイトの音声ゲートウェイを通じて PSTN へ送り届けたりします。同様に、営業所内の電話機から発信されたコールも、営業所の音声ゲートウェイを通じて、コールを PSTN へルーティングする追加機能を使用してルーティングされます。
営業所には、メイン サイトの IP WAN および PSTN にアクセスするために、SRST ゲートウェイが配置されます。営業所の SIP 電話機は、すべてのセッション招待をメイン サイトの Cisco Unified CallManager へ送信します。メイン サイトの電話機と同様、Cisco Unified CallManager は、コールをメイン サイトの電話機へ送り届けたり、メイン サイトの音声ゲートウェイを通じて IP WAN から営業所の電話機、または PSTSN へ送り届けたりすることができます。営業所内の電話機から発信された PSTN コールは、Cisco Unified CallManager クラスタのルーティング設定に従って、メイン サイトのゲートウェイを通じて PSTN へルーティングしたり、営業所のゲートウェイを通じて PSTN へローカルにルーティングしたりすることができます。
IP WAN に障害が起きた場合、SRST ゲートウェイは、バックアップ コール制御サーバとしても機能します。SIP 電話機と SCCP 電話機はどちらも、WAN の障害時に SRST ゲートウェイへフェールオーバーします。そうすることにより、営業所内の電話機はコールを SRST ゲートウェイにルーティングできます。このようなコールとしては、営業所内で発信および終端するコールと、PSTN 内で発信および着信するコールがあります。
SIP 回線側の概要
SIP 回線側機能は、Cisco Unified CallManager アーキテクチャ、TFTP サーバ、および Cisco Unified IP Phone に影響を与えます。SIP 電話機の機能は SCCP 電話機の機能と同等で、動作も似ています。Cisco SIP IP Phone 7941/61/71/70/11 は、すべての機能をサポートします。Cisco SIP Phone 7905/12/40/60 は、縮小された機能セット(たとえば、制限付きの MOH 機能とフェールオーバー機能)をサポートします。SIP トランク側アプリケーションは、SCCP と SIP の両方の電話機に対して機能します。
SIP 電話機機能の詳細については、その Cisco SIP Phone のユーザ ガイドを参照してください。
SIP の規格
Cisco Unified CallManager では、次の SIP 規格がサポートされています。
• 「RFC3261、RFC3262(PRACK)、RFC3264(offer/answer)、RFC3311(UPDATE)、3PCC」
• 「RFC3515(REFER)Replaces および Referred-by ヘッダー」
• 「Remote Party Id(RPID)ヘッダー」
• 「Diversion ヘッダー」
• 「Replaces ヘッダー」
• 「Join ヘッダー」
• 「RFC3265 + ダイアログ パッケージ」
• 「RFC3265 + プレゼンス パッケージ」
• 「RFC3265 + KPML パッケージ」
• 「RFC3265 + RFC3842 MWI パッケージ(要求なしの通知)」
• 「Remotecc」
• 「RFC4028 セッション タイマー」
RFC3261、RFC3262(PRACK)、RFC3264(offer/answer)、RFC3311(UPDATE)、3PCC
この SIP 規格では、次の Cisco Unified CallManager 機能がサポートされます。
• 基本コール
• 保留と再開
• 保留音
• 鳴り分け
• 短縮ダイヤル(ボタン)
• 短縮ダイヤル(ソフトキー)
• コール転送(486 および 302 サポート)
• ミートミー
• ピックアップ、グループ ピックアップ、他グループ ピックアップ
• 3 方向コール(ローカル SIP 電話機の混在)
• コールパーク取得
• 共有回線:基本コール
RFC3515(REFER)Replaces および Referred-by ヘッダー
これらの SIP 規格では、次の Cisco Unified CallManager 機能がサポートされます。
• 打診転送
• 初期在席転送
• ブラインド転送
Remote Party Id(RPID)ヘッダー
この SIP 規格では、次の Cisco Unified CallManager 機能がサポートされます。
• Calling Line Id(CLID)
• Calling Party Name Id(CNID)
• Dialed Number Id Service(DNIS)
• Call by call Calling Line Id Restriction (call by call CLIR)
RPID は、識別サービスに使用される SIP ヘッダーです。RPID は、発信側、着信側、および接続先リモート側の情報を相手に示すために使用されます。その目的は、識別とコールバック、合法的な代行受信、緊急サービスに対するユーザ ID とユーザ ロケーションの指示、およびアカウンティング サービスと課金サービス用のユーザの識別です。
Diversion ヘッダー
この SIP 規格では、次の Cisco Unified CallManager 機能がサポートされます。
• Redirected Number Id Service(RDNIS)
• Call Forward All Activation、Call Forward Busy、Call Forward No Answer
Replaces ヘッダー
この SIP 規格では、次の Cisco Unified CallManager 機能がサポートされます。
• 共有回線:リモート再開
Join ヘッダー
この SIP 規格では、次の Cisco Unified CallManager 機能がサポートされます。
• 共有回線:割り込み
RFC3265 + ダイアログ パッケージ
この SIP 規格では、次の Cisco Unified CallManager 機能がサポートされます。
• 共有回線:リモート状態通知
RFC3265 + プレゼンス パッケージ
これらの SIP 規格では、次の Cisco Unified CallManager 機能がサポートされます。
• 短縮ダイヤルでの BLF
• Missed、Placed、Received Calls リストでの BLF
RFC3265 + KPML パッケージ
これらの SIP 規格では、次の Cisco Unified CallManager 機能がサポートされます。
• 番号収集
• OOB DTMF
RFC3265 + RFC3842 MWI パッケージ(要求なしの通知)
これらの SIP 規格では、次の Cisco Unified CallManager 機能がサポートされます。
• メッセージ受信のインジケータ
Remotecc
この SIP 規格では、次の Cisco Unified CallManager 機能がサポートされます。
• Ad Hoc 会議
• 最後の参加者の削除
• Conflist
• 即時転送
• コール パーク
• コール選択
• 共有回線:プライバシー
RFC4028 セッション タイマー
re-INVITE による SIP セッションの定期的なリフレッシュを許可し、リモートへのシグナリング接続がまだ有効であるかどうかを Cisco Unified CallManager が判別できるようにします。
SIP Phone でサポートされる Cisco Unified CallManager の機能
次の Cisco Unified CallManager 機能が Cisco SIP Phone でサポートされます。
• 「ダイヤル プラン」
• 「PLAR」
• 「ソフトキー処理」
• 「DSCP 設定」
• 「エンドポイントの SIP プロファイル」
• 「Network Time Protocol(NTP)」
ダイヤル プラン
SCCP 電話機とは異なり、SIP 電話機は番号をローカルで収集してから、その番号を Cisco Unified CallManager へ送信します。SIP 電話機はローカル ダイヤル プランを使用して、十分な番号がいつ入力されたかを認識し、収集された番号を使用して INVITE をトリガーします。SRST モードの SIP 電話機は、Cisco Unified CallManager から受信した設定済みダイヤル プランを使用し続けます。詳細については、「SIP ダイヤル規則」を参照してください。
PLAR
Private Line Automatic Ringdown(PLAR)とは、従来のテレフォニー システムで使用される用語で、ユーザが電話機をオフフックすると、常に電話機が事前に設定された番号をすぐにダイヤルするような電話機の設定のことです。ユーザは、その電話機(または回線)から別の番号をダイヤルできません。これは、Cisco Unified CallManager でパーティション、コーリング サーチ スペース(CSS)、および変換パターンを使用して SCCP IP 電話機に実装されます。電話機に PLAR がセットアップされていることは、デバイス設定にも回線設定にも表示されません。
管理者は SIP ダイヤル規則を使用して、SIP 電話機に PLAR を設定します。PLAR に設定された電話機は、適切なターゲット パターンを指定する、1 回線ダイヤル プランが設定されます。ユーザがオフフックすると、電話機は INVITE にターゲット文字列を含めて、すぐに要求を Cisco Unified CallManager へ送信します。ユーザは、番号を入力しません。詳細については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「SIP のダイヤル規則の設定」を参照してください。
ソフトキー処理
管理者は、Cisco Unified CallManager の管理ページを使用すると、電話機に表示されるソフトキー セットを変更できます。キーの追加と削除、およびキー位置の変更ができます。このデータはデータベースに書き込まれ、電話機の登録/初期化プロセスの一部として、Station メッセージで SCCP 電話機へ送信されます。しかし、Cisco SIP Phone では Station メッセージでキーが送信されず、Cisco Unified CallManager TFTP サーバがソフトキー セットの含まれたファイルを作成します。SIP 電話機はそのファイルを TFTP サーバから取得し、電話機に内蔵されたソフトキー セットが、新しいソフトキー セットで上書きされます。このようにして、Cisco Unified CallManager はデフォルトのソフトキーを変更できます。また、Cisco Unified CallManager はソフトキー イベントを操作することで、一部の電話機レベルの機能を直接制御できます。
[ソフトキーテンプレートの設定(Softkey Template Configuration)]ウィンドウを使用して設定した機能が SIP 電話機でサポートされていない場合、そのソフトキーは表示されますが、そのキーが有効でないというメッセージが電話機に表示されます。この動作は、SCCP 電話機の動作と一貫性があります。
[ダイヤル]ソフトキーは、SIP 電話機が SRST モードで動作しているときに、デフォルトのソフトキー セットの一部として表示されます。
(注) Cisco SIP IP Phone 7905、7912、7940、および 7960 は、ソフトキーをダウンロードしません。これらの電話機では、ソフトキーが電話機のファームウェアに内蔵されています。
DSCP 設定
Cisco SIP 電話機は、デバイスにダウンロードされたコンフィギュレーション ファイルから DSCP 情報を取得します。DSCP 設定はデバイス用ですが、SCCP 電話機はコール用に DSCP 設定を取得できます。DSCP 値は、[エンタープライズ パラメータ設定(Enterprise Parameters Configuration)]ウィンドウと Cisco Unified CallManager サービスの[サービス パラメータ設定(Service Parameter Configuration)]ウィンドウで設定されます。
エンドポイントの SIP プロファイル
SIP 属性はほとんど変更されないため、Cisco Unified CallManager は SIP プロファイルを使用して、SIP トランクおよび Cisco SIP IP Phone に関連した SIP 属性を定義します。これらの属性を、すべての SIP トランクと SIP 電話機に個別に追加することなく、プロファイルの中に入れておくと、管理者は SIP デバイスの設定に費やす時間を減らすことができ、デバイス グループの値を変更できるようになります。SIP プロファイルは、SIP のトランクと電話機を設定するときの必須フィールドなので、Cisco Unified CallManager にはデフォルトの SIP が用意されていますが、管理者はカスタマイズした SIP プロファイルを作成できます。SIP プロファイルを SIP デバイスに割り当てるには、Cisco Unified CallManager の管理ページを使用します。
SIP 電話機のソフトウェアは、各電話機へ TFTP で送信された SIP 値の大部分を使用します。
SIP プロファイルの設定方法については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「SIP プロファイルの設定」を参照してください。
Network Time Protocol(NTP)
Cisco Unified CallManager の管理ページで電話機の NTP 参照先を設定しておくと、Cisco SIP IP Phone が日付と時刻を NTP サーバから取得するようになります。すべての NTP サーバから応答がない場合、SIP 電話機は、日付と時刻の REGISTER メッセージに対する 200 OK 応答内の日付ヘッダーを使用します。
電話用 NTP 参照先を Cisco Unified CallManager の管理ページに追加した後、それを日付/時刻グループに追加する必要があります。日付/時刻グループ内では、電話機が連絡する最初のサーバから順に、電話用 NTP 参照先に優先順位を付けます。
日付/時刻グループの設定はデバイス プール内で指定され、デバイス プールは電話機ページで指定されます。
NTP 参照先の設定方法については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「電話機 NTP リファレンスの設定」を参照してください。