Cisco TFTP
Cisco TFTP サービスは、TFTP(Trivial File Transfer Protocol)と整合性のあるファイルを作成し、そのサービスを提供します。Cisco TFTP はコンフィギュレーション ファイルを作成し、組み込みコンポーネントの実行可能ファイル、呼び出し音ファイル、およびデバイス コンフィギュレーション ファイルを処理します。
コンフィギュレーション ファイルには、SCCP および SIP 電話機とゲートウェイなどのデバイスが接続する Cisco Unified CallManager を優先順に並べたリストと、デバイスがリスト上の Cisco Unified CallManager への接続に使用する TCP ポート、および実行可能ファイルのロード ID が保存されています。一部のデバイス用のコンフィギュレーション ファイルには、電話機のボタン(メッセージ、ディレクトリ、サービス、および情報)用のロケール情報および URL が保存されています。ゲートウェイ用のコンフィギュレーション ファイルには、ゲートウェイのコンフィギュレーション情報がすべて保存されています。
コンフィギュレーション ファイルは、デバイス タイプと TFTP サービス パラメータの設定に応じて、.cnf 形式、.cnf.xml 形式、または .xml 形式で作成されます。Build CNF Files サービス パラメータを Build All に設定すると、TFTP サーバによって .cnf.xml と .cnf の両形式ですべてのデバイス用のコンフィギュレーション ファイルが作成されます。このサービス パラメータを Build None に設定すると、.cnf.xml ファイルだけが TFTP サーバによってすべてのデバイス用に作成されます。このパラメータが Build Selective(デフォルト値)に設定されている場合、TFTP サーバによってすべてのデバイス用の .cnf.xml ファイルが作成され、さらに 表10-1 に示すデバイス タイプの選択リストだけに .cnf ファイルが作成されます。
表10-1 Build Selective BuildCNFType のデバイス
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MODEL_30SPP |
Cisco 30 SP+ |
MODEL_12SPP |
Cisco 12 SP+ |
MODEL_12SP |
Cisco 12 SP |
MODEL_12S |
Cisco 12 S |
MODEL_30VIP |
Cisco 30 VIP または DPA |
MODEL_IP_CONFERENCE_PHONE |
Cisco 7935 |
MODEL_SCCP_PHONE |
SCCP Phone |
MODEL_VEGA |
Analog Access |
MODEL_UONE |
Voice Mail Port |
この章では、Cisco Unified CallManager、TFTP、および Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP; ダイナミック ホスト コンフィギュレーション プロトコル)の関係、またデバイスと TFTP サーバの関係について説明します。この章の構成は、次のとおりです。
• 「SCCP デバイスの TFTP プロセスの概要」
• 「Cisco SIP IP Phone の TFTP プロセスの概要」
• 「デバイスによる DHCP と Cisco TFTP の使用方法の概要」
• 「デバイスによる TFTP サーバへのアクセス方法の概要」
• 「デバイスによる TFTP サーバの識別方法の概要」
• 「バックアップまたはフェールバック TFTP サーバの設定」
• 「複数クラスタ環境での集中 TFTP」
• 「代替 TFTP パス」
• 「集中 TFTP の設定のヒント」
• 「コンフィギュレーション ファイルのカスタマイズと変更」
• 「TFTP 設定チェックリスト」
• 「参考情報」
SCCP デバイスの TFTP プロセスの概要
TFTP サーバは、コンフィギュレーション ファイルに対する要求を同時に処理します。ここでは、要求プロセスについて説明します。
デバイスは、ブート時に DHCP サーバにネットワーク コンフィギュレーション情報を照会します。DHCP サーバは応答として、そのデバイスの IP アドレス、サブネット マスク、デフォルト ゲートウェイ、Domain Name System(DNS; ドメイン ネーム システム)サーバのアドレス、および TFTP サーバの名前またはアドレスを返します(Cisco Unified IP Phone 7960 モデルなど、一部のデバイスは、最大 2 台の TFTP サーバをサポートしています。このようなデバイスは、プライマリ TFTP サーバに到達しない場合、フェールバック TFTP サーバに到達しようとします)。
(注) デバイス上で DHCP が使用可能になっていない場合は、デバイスに IP アドレスを割り当てて、デバイス上でローカルに TFTP サーバを設定する必要があります。
デバイスは、TFTP サーバにコンフィギュレーション ファイルを要求します。TFTP サーバは、内部キャッシュを検索し、その後コンフィギュレーション ファイルのプライマリ パスと代替パス(指定されている場合)を検索します。TFTP サーバがコンフィギュレーション ファイルを検出した場合は、デバイスにそのファイルを送信します。デバイスが Cisco Unified CallManager の名前を受け取った場合、デバイスは DNS を使用して名前を解決し、Cisco Unified CallManager の接続をオープンにします。IP アドレスまたは名前を受け取らなかった場合、デバイスはデフォルトのサーバ名を使用します。
TFTP サーバがコンフィギュレーション ファイルを検出できない場合、サーバはデバイスに「file not found」というエラー メッセージを送信します。
TFTP サーバがコンフィギュレーション ファイルを再作成しているとき、あるいは最大数の要求を処理しているときに、コンフィギュレーション ファイルを要求したデバイスは、TFTP サーバからメッセージを受け取ります。このため、そのデバイスは後でコンフィギュレーション ファイルを要求します。Maximum Serving Count サービス パラメータ(設定可能)は、200 を最大要求数として指定します。
デバイスのブート方法の詳細については、「デバイスによる DHCP と Cisco TFTP の使用方法の概要」を参照してください。
Cisco SIP IP Phone の TFTP プロセスの概要
SCCP 電話機と異なり、SIP 電話機は設定のすべてを TFTP サーバから取得します。SIP 電話機は最初の起動時に、設定済みの TFTP サーバ(手動で設定されるか DHCP サーバを通じて設定されたもの)に連絡し、コンフィギュレーション ファイルを取得します。その後、設定済みの Cisco Unified CallManager に自分自身を登録します。
SIP 電話機の設定が変更された場合、Cisco Unified CallManager データベースは TFTP サーバに、すべてのコンフィギュレーション ファイルを再作成するか選択的に再作成するよう通知します。TFTP サーバは、Cisco Unified CallManager データベースから情報を取得し、デバイス タイプに応じて適正な出力形式に変換し、TFTP キャッシュまたはディスクに出力を保存します。TFTP サーバは、要求を取得すると、キャッシュまたはハードディスクを検索し、要求されたコンフィギュレーション ファイルまたはデフォルト ファイルを提供します。
SIP 電話機用の TFTP サポートは、次に示す Cisco SIP IP Phone 用にさまざまな形式の SIP コンフィギュレーション ファイルを、Cisco Unified CallManager データベースから作成して提供します。
• Cisco Unified IP Phone 7970/71、7961、7941、7911(これらの電話機は、同じ SIP コンフィギュレーション ファイル形式を共有します)。
• Cisco Unified IP Phone 7960、7940(これらの電話機は、同じ SIP コンフィギュレーション ファイル形式を共有します)。
• Cisco Unified IP Phone 7905、7912。
• 上記の電話機モデル上の SIP ダイヤル プラン。
• 上記の電話機モデル上のソフトキー テンプレート。
TFTP サーバは SIP 電話機の設定用に、Cisco Unified CallManager データベースから次のファイルを生成します。
• システム全体のデフォルト コンフィギュレーション ファイル、およびデバイスごとのコンフィギュレーション ファイル。
• Cisco Unified IP Phone 7970/71、7960/61、7940/41、および 7911 用のシステム全体のダイヤル プラン リスト。
• システム全体のソフトキー テンプレート ファイルのリスト。
次のコンフィギュレーション ファイルは、SIP 電話機のタイプに基づいて生成されます。
表10-2 TFTP サーバが生成する SIP コンフィギュレーション ファイル
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モデル 7970/71、7961、7941、7911
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SIP IP Phone |
SEP<mac>.cnf.xml |
SIP<mac>.cnf |
ld<mac> |
gk<mac> |
ダイヤル プラン |
DR<dialplan>.xml |
<dialplan>.xml |
ld<mac> 内の パラメータ |
gk<mac> 内の パラメータ |
ソフトキー テンプレート |
SK<softkey_template>.xml |
設定不能 |
設定不能 |
設定不能 |
ファイル名は、Cisco Unified CallManager の管理ページの[電話の設定(Phone Configuration)]ウィンドウにある[MAC アドレス(MAC Address)]フィールドと[説明(Description)]フィールド、および Cisco Unified CallManager データベース内の devicename フィールドから生成されます。MAC アドレスによって、電話機が一意に識別されます。
SIP 電話機の設定シーケンス
SIP 電話機の設定シーケンスでは、次の手順が実行されます。
1. 管理者は(たとえば、Cisco Unified CallManager の管理ページの[電話の設定(Phone
Configuration)]、[SIP プロファイルの設定(SIP Profile Configuration)]、または[SIP 電話セキュリティ プロファイルの設定(SIP Phone Security Profile Configuration)]を使用して)SIP 電話機に変更を加え、電話機の再起動またはリセットを開始します。
2. Cisco Unified CallManager データベースは、変更通知を TFTP サーバと Cisco Unified CallManager に送信します。
3. 通知を(自動的に、または管理者かユーザが電話機をリセットするか再起動することによって)受け取ると同時に、Cisco Unified CallManager はコンフィギュレーション ファイルを再度取得するよう電話機に通知します。その後、TFTP サーバは選択された電話機用のすべてのコンフィギュレーション ファイルを再作成します。コンフィギュレーション ファイルの名前と形式は、デバイス タイプとプロトコルによって異なります( 表10-2 を参照)。
4. SIP 電話機は、TFTP サーバにコンフィギュレーション ファイルを要求します。
5. 必要なコンフィギュレーション ファイルを取得すると、電話機は設定された回線を Cisco Unified CallManager に登録します。
SIP 電話機のダイヤル プランの設定シーケンス
SIP 電話機のダイヤル プランの設定シーケンスでは、次の手順が実行されます。
1. 管理者は SIP ダイヤル プランを設定し、そのダイヤル プランを SIP 電話機へ関連付けます。
2. Cisco Unified CallManager データベースは TFTP サーバへ変更通知を送信し、それによって TFTP サーバは SIP 電話機用に新しいファイル セットの作成を開始します。
3. TFTP サーバは、ダイヤル プラン コンフィギュレーション ファイルか SIP 電話機用のコンフィギュレーション ファイル、またはその両方を再作成します。
4. 管理者は、Cisco Unified CallManager データベース内のダイヤル規則にすべての更新を加えた後、[リセット]ボタンか[リスタート]ボタンをクリックし、電話機に変更を適用します。
SIP 電話機のソフトキー テンプレートの設定シーケンス
SIP 電話機のソフトキー テンプレートの設定シーケンスでは、次の手順が実行されます。
1. 管理者は SIP ソフトキー テンプレートを設定し、そのソフトキー テンプレートを SIP 電話機へ関連付けます。
2. Cisco Unified CallManager データベースは TFTP サーバへ変更通知を送信し、それによって TFTP サーバは SIP 電話機用に新しいファイル セットの作成を開始します。
3. TFTP サーバは、ソフトキー テンプレート コンフィギュレーション ファイルか SIP 電話機用のコンフィギュレーション ファイル、またはその両方を再作成します。
4. 管理者は、Cisco Unified CallManager データベース内のソフトキーにすべての更新を加えた後、[リセット]ボタンか[リスタート]ボタンをクリックし、電話機に変更を適用します。
Cisco エクステンション モビリティとの相互対話
ユーザが Cisco エクステンション モビリティを使用してデバイスにログインすると、Cisco Unified CallManager データベースは TFTP サーバに通知を出し、デバイス プロファイルにある回線について新規に定義されたダイヤル プラン ファイル名を SEP<mac>.cnf.xml ファイルに組み込むよう指示します。
Serviceability カウンタ
TFTP サーバには、トラブルシューティング用として Cisco Unified CallManager Serviceability のカウンタが用意されています。詳細については、『 Cisco Unified CallManager Serviceability システム ガイド 』および『 Cisco Unified CallManager Serviceability アドミニストレーション ガイド 』を参照してください。
デバイスによる DHCP と Cisco TFTP の使用方法の概要
シスコのテレフォニー デバイスには、手動または DHCP により IP アドレスを割り当てる必要があります。また、デバイスは、デバイス ロードとデバイス コンフィギュレーション ファイルを保存している TFTP サーバにアクセスする必要があります。
IP アドレスの取得
デバイス上で DHCP が使用可能になっている場合は、ネットワークにデバイスを接続するときに、DHCP により IP アドレスがデバイスに自動的に割り当てられます。DHCP サーバは、デバイスを TFTP サーバ(またはデバイスで使用可能な場合は、2 番目の TFTP サーバ)に誘導します。たとえば、IP ネットワーク上にある複数の Cisco Unified IP Phone を接続すると、DHCP により IP Phone に IP アドレスが自動的に割り当てられ、適切な TFTP サーバへのパスが提供されます。
デバイス上で DHCP が使用可能になっていない場合は、デバイスに IP アドレスを割り当てて、デバイス上でローカルに TFTP サーバを設定する必要があります。
デフォルトの DHCP 設定は、デバイスによって異なります。
• Cisco Unified IP Phone の場合、デフォルトで DHCP が使用可能。DHCP を使用しない場合は、電話機の DHCP を使用不可にして、手動で電話機に IP アドレスを割り当てる必要があります。
• Cisco Access Analog Gateway および Cisco Access Digital Gateway の場合、DHCP は常に使用可能。
• Cisco Catalyst 6000 8 ポート音声 T1/E1 およびサービス モジュールの場合、Cisco Catalyst 6000 上の Network Management Processor(NMP; ネットワーク管理プロセッサ)の DHCP は、使用可能または不可の状態。DHCP が使用不可の場合は、Cisco Catalyst 6000 上で Cisco CATOS コマンドライン インターフェイスを使用して、IP アドレスを設定する必要があります。
コンフィギュレーション ファイルの要求
IP アドレスを取得した(DHCP または手動での割り当てによって)デバイスは、TFTP サーバに構成ファイルを要求します。
Cisco Unified CallManager データベースに手動で追加したデバイスの場合、デバイスはデバイス名に対応するコンフィギュレーション ファイルにアクセスします。電話機が手動で設定されておらず、自動登録が使用可能にされている場合、電話機は TFTP サーバからのデフォルト コンフィギュレーション ファイルを要求し、Cisco Unified CallManager で自動登録手順を開始します。
(注) 自動登録が可能なデバイスで、デフォルト コンフィギュレーション ファイルをもつデバイス タイプは、電話機に限られます。その他のデバイスはすべて、手動で Cisco Unified CallManager データベースに追加する必要があります。
電話機に XML 互換のロードがある場合、その電話機は .cnf.xml 形式のコンフィギュレーション ファイルを要求します。それ以外の場合では、.cnf ファイルを要求します。
(注) Build CNF Files サービス パラメータを Build All に設定すると、TFTP サーバによって .cnf.xml と .cnf の両形式ですべてのデバイス用のコンフィギュレーション ファイルが作成されます。このサービス パラメータを Build None に設定すると、.cnf.xml ファイルだけが TFTP サーバによってすべてのデバイス用に作成されます。このパラメータが Build Selective(デフォルト値)に設定されている場合、TFTP サーバによってすべてのデバイス用の .cnf.xml ファイルが作成され、さらに .cnf.xml をサポートしないデバイスの選択リストだけに .cnf ファイルが作成されます。表10-1 は、これらのデバイスのリストを示しています。
Cisco Unified CallManager との接続
TFTP サーバからコンフィギュレーション ファイルを取得したデバイスは、コンフィギュレーション ファイルに指定されているリスト中で最も優先順位が高い Cisco Unified CallManager への TCP 接続を試みます。デバイスがデータベースに手動で追加された場合は、Cisco Unified CallManager がそのデバイスを識別します。Cisco Unified CallManager 内で自動登録が使用可能になっている場合、データベースに手動で追加されなかった電話機は、Cisco Unified CallManager データベースへの自動登録を試行します。
Cisco Unified CallManager は、.cnf 形式のコンフィギュレーション ファイルを使用するデバイスにロード ID を通知します。.xml 形式のコンフィギュレーション ファイルを使用するデバイスは、コンフィギュレーション ファイルの中でロード ID を受け取ります。デバイスのロード ID が現在デバイス上で実行されているロード ID と異なる場合、デバイスは新しいロード ID に関連したロードを TFTP に要求し、自身のリセットを行います。デバイス ロードの詳細については、「デバイスのサポート」を参照してください。
コールを行う準備ができると、電話機は使用できる呼び出し音のリストを TFTP サーバに要求します。電話機のユーザが呼び出し音のタイプを変更すると、TFTP サーバは新しい呼び出し音のタイプを送信します。
デバイスによる TFTP サーバへのアクセス方法の概要
デバイスのタイプに応じて、次のいずれかの方法で IP Phone とゲートウェイによる TFTP サーバ IP アドレスの取得を可能にします。
• ゲートウェイおよび電話機の DHCP カスタム オプション 150 を使用する。
シスコはこの方式をお勧めします。この方式では、TFTP サーバの IP アドレスをオプション値として設定しています。
• ゲートウェイおよび電話機の DHCP オプション 066 を使用する。
TFTP サーバのホスト名または IP アドレスをオプション値として設定できます。
• ゲートウェイおよび電話機による CiscoCM1 の照会を行う。
DNS によって、この名前を TFTP サーバの IP アドレスに変換する必要があります。このオプションは拡張性がないため、お勧めしません。
• 電話機に対して TFTP サーバの IP アドレスを設定する。電話機の DHCP が使用可能になっている場合でも、DHCP によって取得した TFTP アドレスを上書きする TFTP サーバの代替 IP アドレスを、電話機に対してローカルに設定できます。
• ゲートウェイと電話機に DHCP オプションサーバ名(sname)パラメータを指定する。
• 電話機またはゲートウェイのブート プロセス(siaddr)の Next-Server の値を使用する。
デバイスは、TFTP サーバのアドレスを不揮発性メモリに保存します。前述の方式を少なくとも 1 回使用した場合は、その方式が使用できない場合でも、そのデバイスのメモリに保存されているアドレスが使用されます。
TFTP サービスは、最初のノードにも後続のノードにも設定できますが、通常は最初のノードに設定してください。小規模のシステムの場合は、同じサーバ上で TFTP サーバと Cisco Unified CallManager の共存が可能です。
デバイスによる TFTP サーバの識別方法の概要
電話機とゲートウェイは、DHCP サーバから競合する情報や輻輳する情報を受信した場合、優先順位を使用して TFTP サーバのアドレスを選択します。優先順位は、TFTP サーバの指定に使用した方式に基づいて決まります(次のリストでは、方式 1 の優先順位が最高順位)。
1. 電話機または Catalyst 6000 ゲートウェイが、ローカルに設定された TFTP サーバ アドレスを使用している。
このアドレスは、DHCP サーバから送信された TFTP アドレスを上書きします。
2. 電話機またはゲートウェイが DNS 名 CiscoCM1 を照会し、DNS 名が解決されている。
電話機またはゲートウェイは、常に DNS 名 CiscoCM1 の解決を試みます。この名前が解決された場合、DHCP サーバから送信された情報はすべてこの名前によって上書きされます。
TFTP サーバに CiscoCM1 という名前を付ける必要はありませんが、DNS CName レコードを入力して、CiscoCM1 を TFTP サーバのアドレスまたは名前と関連付ける必要があります。 このオプションは拡張性がないため、お勧めしません。
3. 電話機またはゲートウェイがブート プロセスの Next-Server の値を使用している。
TFTP サーバのアドレスには、この DHCP コンフィギュレーション パラメータが従来から使用されています。BOOTP サーバの設定時に、このフィールドは一般に TFTP サーバのアドレスとなります。
この情報は、DHCP ヘッダーの siaddr(サーバ IP アドレス)フィールドに戻されます。IP アドレスが設定されていないときに、一部の DHCP サーバの IP アドレスがこのフィールドに入る場合があるので、使用できる場合はこのオプションを使用します。
4. 電話機またはゲートウェイがサイト固有のオプション 150 を使用している。
このオプションは、一部のサーバが Next-Server コンフィギュレーション パラメータを許可しない問題を解決します。サーバによっては、IP アドレスがスタティックに割り当てられている場合にだけ Next-Server パラメータへのアクセスを許可する場合があります。
5. 電話機またはゲートウェイが DHCP オプションサーバ名 パラメータを使用している。
この DHCP コンフィギュレーション パラメータは、TFTP サーバのホスト名を指定します。現在、このパラメータにはホスト名だけを設定できます。ドット付き 10 進 IP アドレスは使用しないでください。
6. 電話機またはゲートウェイが 066 オプション(ブート サーバの名前)を使用している。
オプション 066 は通常、オプションが過負荷状態を起こした場合に、sname(サーバ名)フィールドを置き換えます。この名前フィールドには、ホスト名またはドット付き 10 進 IP アドレスを指定できます。
066 オプションと 150 オプションを一緒に使用しないでください。
これらのオプションを一緒に送信すると、デバイスは 066 オプションに指定されている名前より IP アドレスを優先します。ドット付き 10 進 IP アドレスと 150 オプションを両方送信した場合、これらの優先順位はオプション リスト内での指定順序によって決まります。オプション 066 とオプション 150 は一緒に使用できないため、デバイスはオプション リストの最後にある項目を選択します。
バックアップまたはフェールバック TFTP サーバの設定
バックアップまたはフェールバック TFTP サーバが不要な場合は、クラスタ内に TFTP サーバを 1 台だけ設定する必要があります。フェールバック TFTP サーバが設定されている場合、デバイス(電話機またはゲートウェイ)は、最初の TFTP サーバから応答がないと、2 番目の TFTP サーバに接続しようとします。フェールバック TFTP サーバは、同じクラスタ内の 2 台の TFTP サーバのリストに対する DHCP オプション 150 によって設定されます。
複数クラスタ環境での集中 TFTP
集中 TFTP サーバは、1 つの大きなキャンパス環境内で複数のクラスタをサポートします。集中 TFTP サーバの設計を使用すると、キャンパス内で電話機を建物から建物へ移動できます。この設計は、OS が混在するマルチクラスタ環境もサポートしています。
いずれのクラスタ内で登録され設定されたデバイスでも、単一の TFTP サーバ(集中 TFTP サーバ)をホームとすることができ、その場合、そのサーバが各デバイスにファイルを提供します。ここでは、Cisco Unified CallManager マルチクラスタ環境での集中 TFTP サーバの機能について説明します。
• 「マスター集中 TFTP サーバ」
• 「マスター集中 TFTP サーバへのファイルの送信」
• 「代替 TFTP パス」
• 「集中 TFTP の設定のヒント」
マスター集中 TFTP サーバ
クラスタ内にある各デバイス用のコンフィギュレーション ファイルの作成と、それらのデバイスへのセキュリティ ファイル、ファームウェア ファイル、およびコンフィギュレーション ファイルの提供を、すべて単一の TFTP サーバが行うように設定できます。その単一サーバ、つまりマスター集中サーバは、他のすべての Cisco Unified CallManager クラスタからのファイルを提供します。他のクラスタ内にある集中 TFTP サーバは、その特定クラスタ用に設定されたデバイス用にのみ、ファイルを作成します。すべてのエンドポイント要求は、ハード コードによって、またはエンドポイントでの DHCP 設定によって、マスター集中 TFTP サーバへ送られます。
マスター集中 TFTP サーバは、要求されたファイルがマスター集中 TFTP サーバのローカル キャッシュ内に存在しない場合、他の集中 TFTP サーバに照会します。マスター集中 TFTP サーバは、ファイル要求を受信すると、最初にローカル キャッシュ内に要求されたファイルがないかどうかを調べます。そこにファイルがない場合、マスター集中 TFTP サーバは他の設定済みの集中 TFTP サーバにそのファイルを要求します。この要求は、設定された時間内に応答を受信しないと、最終的にタイムアウトします。
マスター集中 TFTP サーバへのファイルの送信
クラスタ外のサーバは、マスター集中 TFTP サーバから要求を受信すると、そのファイルを検索し、見つかった場合は、要求されたファイルをマスター集中 TFTP サーバへ返送します。その後、マスター集中 TFTP サーバは要求されたファイルを、そのファイル要求の発信元であるデバイスへ TFTP を使用して送信します。要求されたファイルがクラスタ外のサーバにもない場合、そのサーバはマスター集中 TFTP サーバに「File Not Found」(HTTP エラー 404)で応答し、マスター集中 TFTP サーバは次のクラスタ外のサーバを使用して処理を続行します。この処理は、ファイルが見つかるか、残りのオプションが存在しなくなるまで継続されます。
クラスタ外のサーバは HTTP エラー 503 を使用することで、ビジー状態であることと、後で再び要求を試みるように、マスター集中 TFTP サーバに指示します。このメッセージも、要求の起点であるエンドポイント デバイスへ送信されます。
代替 TFTP パス
クラスタが複数ある場合は、代替 TFTP パスを指定できます。1 台のサーバに対して複数または 1 つの DHCP スコープを設定することが可能です。このディレクトリは、TFTP サービスが実行されているノード上に存在する必要があります。TFTP サーバは、TFTP サーバを含むクラスタ用のファイルをプライマリ パスに保存し、他のクラスタ用のファイルを代替パスに保存します。Cisco TFTP サービス パラメータの Alternate Cisco File Server フィールドに値を入力することによって、最大 10 個の代替パスを指定できます。サービス パラメータの詳細については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「サービス パラメータの設定」 の章を参照してください。
代替パスは、リモート サーバでもかまいません。次の構文例のどちらも使用できます。
• host://<クラスタ外の TFTP サーバの IP>(たとえば、host://10.89.134.24)
• HOST://<クラスタ外の TFTP サーバの IP>(たとえば、HOST://10.89.134.24)
これ以外の構文は許可されません。
プライマリ TFTP サーバには、Cisco Unified CallManager 外部クラスタ用に代替パス値を設定する必要があります。プライマリ TFTP サーバは、外部クラスタ内の電話機およびデバイスに対して代替パスからコンフィギュレーション ファイルを提供します。この共用ファイルのパスをプライマリ パスとして設定する(つまり、File Location サービス パラメータとして設定する)ことにより、外部クラスタ上の TFTP サーバが確実にこの共用ファイルのパスを指すようにします。
集中 TFTP の設定のヒント
集中 TFTP サーバを設定するときに注意すべきヒントを次に示します。
• 代替パスをリストに指定して設定するのは、マスター集中 TFTP サーバだけにしてください。クラスタ外の TFTP サーバには、代替パスを持たせないでください。「代替 TFTP パス」を参照してください。TFTP サービスの設定方法については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の 「サービス パラメータの設定」 を参照してください。
• マスター集中 TFTP サーバが設定されているクラスタ以外の Cisco Unified CallManager で電話機が設定され、自動登録が有効にされている場合、クラスタ外の Cisco Unified CallManager がダウンし、電話機が集中 TFTP サーバから要求を送信するよう設定されていると、電話機が誤って中央の Cisco Unified CallManager に自動登録されることがあります。したがって、自動登録を無効にしていない場合は、無効にしてください。
コンフィギュレーション ファイルのカスタマイズと変更
TFTP ディレクトリでは、コンフィギュレーション ファイルの変更(xml ファイルの編集など)と、カスタマイズしたファイル(カスタム呼び出し音、コール バック音、電話機の背景など)の追加を行えます。Cisco IPT Platform Administration の TFTP ディレクトリでのファイルの変更やカスタマイズしたファイルの追加は、TFTP Server File Upload ページから行えます。Cisco Unified CallManager サーバの TFTP フォルダにファイルをアップロードする方法については、『 Cisco Unified
Communications Operating System Administration Guide 』を参照してください。
TFTP 設定チェックリスト
表10-3 は、Cisco TFTP サービスの設定に必要な手順を示しています。
表10-3 TFTP 設定チェックリスト
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ステップ 1 |
適切なサーバで Cisco TFTP サービスを有効にして開始します。 |
『 Cisco Unified CallManager Serviceability アドミニストレーション ガイド 』 |
ステップ 2 |
必要に応じて、Alternate Cisco File Server パラメータなどサービス パラメータを適切に設定します。 |
『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「サービス パラメータの設定」 |
ステップ 3 |
ロード ファイルまたは RingList.xml のような未設定ファイルを変更する場合は、Cisco TFTP サービスを開始した後で停止するか、サービス パラメータ Enable Caching of Constant and Bin Files at Startup を True に設定します(すでに True に設定されている場合は、False に設定してから [保存] をクリックし、もう一度 True に設定してから [保存] をクリックします)。
(注) ファイルを Cisco IPT Platform Administration から TFTP ディレクトリにアップロードする必要があります。詳細については、『Cisco Unified Communications Operating System Administration Guide』を参照してください。
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『 Cisco Unified CallManager Serviceability アドミニストレーション ガイド 』 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「サービス パラメータの設定 」 |
参考情報
関連項目
• 「SIP ダイヤル規則」
• 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「サービス パラメータの設定 」
• 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「DHCP サブネットの設定」
• 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「DHCP サーバの設定」
• 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「SIP のダイヤル規則設定」
• 『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「SIP プロファイルの設定」
• Cisco Unified Communications Operating System Administration Guide