冗長化
Cisco Unified CallManager では、次の冗長化の機能を提供しています。
• コール処理の冗長化:Cisco Unified CallManager グループでは、ある Cisco Unified CallManager が使用不能になった場合、そのコール処理を引き継ぐバックアップ Cisco Unified CallManager が指定されています。この形式の冗長化は、デバイス フェールオーバーと呼ばれます。
• メディア リソースの冗長化
• CTI の冗長化
この章の構成は、次のとおりです。
• 「Cisco Unified CallManager 冗長化グループ」
• 「メディア リソースの冗長化」
• 「CTI の冗長化」
• 「参考情報」
Cisco Unified CallManager 冗長化グループ
Cisco Unified CallManager では、Cisco Unified CallManager 群とその関連デバイスの階層を論理的に構成し、その構成要素をグループとクラスタと呼んでいます。グループとクラスタの構成要素は、必ずしも物理的な位置と関連しているわけではありません。
クラスタとは、ある特定の共通データベースを共有している Cisco Unified CallManager をセットとして集めたものです。Cisco Unified CallManager ソフトウェアのインストールと設定を行うときに、どのサーバと Cisco Unified CallManager を同じクラスタに所属させるかを指定します。
グループは、3 台までの Cisco Unified CallManager を優先順に並べたリストです。各グループには、1 つまたは複数のデバイス プールを関連付けます。これで、コール処理の冗長性が得られます。Cisco Unified CallManager の管理ページを使用して、グループ定義、各グループに属する Cisco
Unified CallManager の指定、各デバイス プールに対する Cisco Unified CallManager グループの割り当てを行います。
Cisco Unified CallManager グループ
Cisco Unified CallManager グループとは、最大 3 台の Cisco Unified CallManager を優先順に並べたリストです。各グループには、必ずプライマリ Cisco Unified CallManager を指定し、1 台または 2 台のバックアップ Cisco Unified CallManager を含めます。グループ内で Cisco Unified CallManager をリストしている順番が、優先順位になります。
Cisco Unified CallManager グループには、冗長化と回復の 2 つの機能があります。
• フェールオーバー:グループ内のプライマリ Cisco Unified CallManager に障害が起きると、フェールオーバーが行われ、デバイスはそのグループのバックアップ Cisco Unified CallManager に再登録されます。
• フォールバック:障害を起こしたプライマリ Cisco Unified CallManager がサービスを再開すると、そのグループのデバイスはプライマリ Cisco Unified CallManager に再登録されます。
通常の動作時には、グループのプライマリ Cisco Unified CallManager が、そのグループに関連した登録済みデバイス(電話機やゲートウェイなど)すべてのコール処理を制御します。
プライマリ Cisco Unified CallManager に何らかの理由で障害が起きた場合は、グループ内の第 1 バックアップ Cisco Unified CallManager が、プライマリ Cisco Unified CallManager に登録されていたデバイスの制御権を引き継ぎます。同じグループに第 2 バックアップ Cisco Unified CallManager を指定してある場合は、プライマリおよび第 1 バックアップの Cisco Unified CallManager の両方に障害が起きた場合に、第 2 バックアップがデバイスの制御権を引き継ぎます。
障害を起こしたプライマリ Cisco Unified CallManager がサービスを再開すると、グループの制御権を再び引き継ぎ、そのグループのデバイスはプライマリ Cisco Unified CallManager に自動的に再登録されます。
Cisco Unified CallManager グループにデバイスを関連付けるには、デバイス プールを使用します。各デバイスは 1 つのデバイス プールに割り当てることができ、それぞれのデバイス プールは 1 つの Cisco Unified CallManager グループに関連付けることができます。必要なレベルの冗長性を得るために、グループとデバイス プールをさまざまな方法で組み合せることが可能です。たとえば、図7-1 は、800 台のデバイスを制御する単一グループ内の 3 台の Cisco Unified CallManager を備えた簡単なシステムを示しています。
図7-1 Cisco Unified CallManager グループ
図7-1 では、Cisco Unified CallManager グループ G1 は、デバイス プール DP1 および DP2 の 2 つに割り当てられています。Cisco Unified CallManager 1 は、グループ G1 のプライマリ Cisco Unified CallManager であり、通常の動作時には DP1 と DP2 内の 800 台のデバイスをすべて制御します。Cisco Unified CallManager 1 に障害が起きると、800 台すべてのデバイスの制御は Cisco Unified CallManager 2 に渡されます。Cisco Unified CallManager 2 にも障害が起きると、800 台すべてのデバイスの制御は Cisco Unified CallManager 3 に渡されます。
図7-1 に示す例では、コール処理には冗長性が得られる構成ですが、コール処理の負荷が 3 台の Cisco Unified CallManager 間で適切に分散されていません。負荷バランシングの詳細については、「デバイスの分散による冗長化と負荷バランシング」を参照してください。
(注) 空の Cisco Unified CallManager グループは機能しません。
デバイスの分散による冗長化と負荷バランシング
Cisco Unified CallManager グループは、コール処理の冗長化と分散型コール処理の両方を実現します。デバイス、デバイス プール、および Cisco Unified CallManager をグループ間でどのように振り分けるかによって、システムの冗長化と負荷バランシングのレベルが決まります。
グループ内の 1 台の Cisco Unified CallManager に障害が起きた場合に、残りの Cisco Unified CallManager が過負荷にならないように、デバイスを分散しておく必要があります。図7-2 では、3 台の Cisco Unified CallManager と 800 台のデバイスから構成されるシステムの場合に、分散型コール処理および冗長化の両方を実現できる Cisco Unified CallManager グループとデバイス プールの設定例を示しています。
図7-2 分散型コール処理と組み合せた冗長化
図7-2 では、Cisco Unified CallManager 1 が G1 と G2 の 2 つのグループのプライマリ コントローラとして機能するように、Cisco Unified CallManager グループが設定され、デバイス プールに割り当てられることを示しています。Cisco Unified CallManager 1 に障害が起きた場合、デバイス プール DP1 の 100 台のデバイスは Cisco Unified CallManager 2 に再登録され、DP2 の 300 台のデバイスは Cisco Unified CallManager 3 に再登録されます。同様に、Cisco Unified CallManager 2 はグループ G3 と G4 のプライマリ コントローラになります。Cisco Unified CallManager 2 に障害が起きた場合、DP3 の 100 台のデバイスは Cisco Unified CallManager 1 に再登録され、DP4 の 300 台のデバイスは Cisco Unified CallManager 3 に再登録されます。Cisco Unified CallManager 1 と Cisco Unified CallManager 2 の両方に障害が起きた場合は、すべてのデバイスが Cisco Unified CallManager 3 に再登録されます。
分散型コール処理の詳細については、「コール処理の負荷バランス」を参照してください。
メディア リソースの冗長化
メディア リソース リストを使用して、メディア リソース グループを優先順に並べたリストを指定することにより、メディア リソースの冗長化が実現します。アプリケーションは、メディア リソース リストに指定されている優先順位に従って、必要なメディア リソースを使用可能なメディアの中から選択できます。メディア リソースの冗長化の詳細については、「メディア リソースの管理」を参照してください。
CTI の冗長化
CTI は、コンピュータ ベースのアプリケーションとテレフォニー機能間のインターフェイスを提供します。CTI では、さまざまな冗長化メカニズムを使用して、次の主要コンポーネントに起きた障害を回復します。
• Cisco Unified CallManager
• Cisco CTIManager
• CTI を使用するアプリケーション
CTI は、Cisco Unified CallManager 冗長化グループを使用して Cisco Unified CallManager の障害を回復します。Cisco CTIManager 自体に起きた障害から回復するには、CTI を使用するアプリケーションに対してプライマリ Cisco CTIManager とバックアップ Cisco CTIManager を指定することができます。それでも、アプリケーションに障害が生じる場合は、Cisco CTIManager はそのアプリケーションに宛てられたコールを転送電話番号にリダイレクトします。
参考情報
関連項目
• 「クラスタ化」
• 「メディア リソースの管理」
参考資料
• Cisco Unified Communications Solution Reference Network Design (SRND)