Cisco Emergency Responder について
次のトピックでは、Cisco ER の概要とネットワークで Cisco ER を使用する方法について説明します。
• 「Cisco Emergency Responder 8.5 の機能」
• 「ネットワークのハードウェアおよびソフトウェアの要件」
• 「Cisco Emergency Responder 8.5 のライセンス」
• 「Cisco Emergency Responder をご使用のネットワークに適合させる方法」
• 「緊急コールの発信時に発生するプロセス」
• 「Cisco Emergency Responder のクラスタおよびグループについて」
• 「必要な Cisco Emergency Responder グループ数の決定」
• 「データの整合性および信頼性に関する考慮事項」
Cisco Emergency Responder 8.5 のライセンス
Cisco ER 8.5 では、製品ライセンスの要求、作成、および配布に Web ベースのシステムを使用します。Cisco.com の Web サイトで Cisco ER 製品を登録すると、サーバ ライセンスが含まれているファイルがテキスト ファイルとして電子メールに添付して送信されます。
この項は、次のトピックで構成されています。
• 「初回インストールのライセンス」
• 「サーバ ライセンス」
• 「ユーザ ライセンス」
• 「ライセンス要件の決定」
初回インストールのライセンス
Cisco ER 8.5 では、初回インストールにライセンス キーは不要です。ライセンス供与されていない Cisco ER 8.5 ソフトウェアは、インストール後 60 日間、電話機 100 台のキャパシティで通常に使用することができます。追加のユーザ ライセンスは、サーバ ライセンスをインストールしてから有効になります。60 日以内にサーバ ライセンスをインストールしないと、Cisco ER 8.5 システムはシャットダウンされます。
サーバ ライセンス
サーバ グループにある Cisco ER サーバごとにサーバ ライセンスを購入する必要があります。1 つのライセンス ファイルに CER パブリッシャとサブスクライバの両方のライセンスを含めることができます。または、CER サブスクライバの別個のライセンス ファイルを後でインストールすることができます。パブリッシャ サーバでイーサネット カードの MAC アドレスを使用して、パブリッシャおよびサブスクライバのライセンスを生成する必要があります。
Cisco ER サーバ ライセンスを注文するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 ご希望の注文方法で Cisco ER 8.5 を注文します。Cisco ER 8.5 と一緒に製品認証キー(PAK)を受け取ります。
ステップ 2 https://tools.cisco.com/SWIFT/Licensing/PrivateRegistrationServlet に進み、PAK とパブリッシャの Cisco ER サーバのメディア アクセス コントロール(MAC)アドレスを入力して Cisco ER を登録します。
パブリッシャの Cisco ER サーバの MAC アドレスを取得するには、次の手順を実行します。
a. Cisco Unified OS Administration の Web サイトにログインします。
b. [Show] > [Network] の順に進みます。
c. [Ethernet Details] セクションに MAC アドレスが表示されます。
処理後、電子メールにテキスト ファイル形式で添付されたサーバ ライセンス ファイルを受信します。
(注) VMware をインストールする場合、ライセンス MAC を使用してライセンスを注文してください。
ステップ 3 サーバ ライセンス ファイルをローカル サーバに保存して、そのファイルを Cisco ER サーバにアップロードできるようにします。
ステップ 4 Cisco ER Administration Web インターフェイスを使用して、サーバ ライセンス ファイルをアップロードします。サーバ ライセンス ファイルをアップロードする方法の手順については、
「Cisco Emergency Responder ライセンス ファイルのアップロード」を参照してください。
ユーザ ライセンス
ユーザ ライセンスは通常、プライマリ Cisco ER サーバにインストールされますが、ユーザ ライセンスのインストール先に関係なく、プライマリとセカンダリの両方の Cisco ER サーバでサーバ ライセンスが共有されます。
サーバ グループで常に使用できるユーザ ライセンス総数は、サーバ グループの両方のサーバで使用できるユーザ ライセンスの合計です。
追加の Cisco ER ユーザ ライセンス、またはアップグレードされた Cisco ER ユーザ ライセンスを注文するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 追加の Cisco ER ユーザ ライセンス、またはアップグレードされた Cisco ER ユーザ ライセンスを注文します。追加のユーザ ライセンスごとに製品認証キー(PAK)を受け取ります。
ステップ 2 Cisco.com に進み、PAK とプライマリ Cisco ER サーバのメディア アクセス コントロール(MAC)アドレスを入力して Cisco ER を登録します。ユーザ ライセンスがプライマリ Cisco ER サーバにインストールされます。
処理後、電子メールにテキスト ファイル形式で添付されたサーバ ライセンスを受信します。
ステップ 3 サーバ ライセンス ファイルをローカル サーバに保存して、そのファイルをプライマリ Cisco ER サーバにアップロードできるようにします。
ステップ 4 ユーザ ライセンス ファイルをアップロードします。ユーザ ライセンスのアップロード方法の手順については、「Cisco Emergency Responder ライセンス ファイルのアップロード」 を参照してください。
(注) Cisco ER 8.0 以降は、プライマリ サービスにのみライセンス ファイルをアップロードすることができます。
(注) Cisco ER 8.0 以降は、サーバ ライセンスに暗黙的なライセンスは含まれません。ユーザ ライセンスを明示的に購入する必要があります。
ライセンス要件の決定
サーバ ライセンスの場合:
• Cisco ER グループのプライマリおよびセカンダリの各サーバのサーバ ライセンスを注文します。ノード カウント 2 を使用して、サーバ グループの 1 つのサーバ ライセンスを注文することもできます。
• すべてのサーバ ライセンスは、プライマリ Cisco ER サーバのメディア アクセス コントロール(MAC)に基づきます。
• パブリッシャ サーバとサブスクライバ サーバ間では、サーバ ライセンスを共有できません。
ユーザ ライセンスの場合:
• Cisco ER グループごとに 1 つ以上(必要に応じて)のユーザ ライセンスを注文します。
• 各 ER グループ内のパブリッシャ サーバとサブスクライバ サーバ間でユーザ ライセンスを共有できます。
• Cisco ER クラスタ内の異なる Cisco ER グループ間では、Cisco ER ユーザ ライセンスを共有できません (クラスタの詳細については、「Cisco Emergency Responder のクラスタおよびグループについて」を参照してください)。
例
Cisco ER の設定で 500 人のユーザをサポートする場合、次のライセンスを購入する必要があります。
• Cisco ER パブリッシャ サーバのライセンス 1 つ。
• Cisco ER サブスクライバ サーバのライセンス 1 つ。このライセンスは、プライマリ Cisco ER サーバのメディア アクセス コントロール(MAC)に基づきます。
• 最大 500 人のユーザのユーザ ライセンスを購入します。
• ノード カウント 2 を使用して、サーバ グループの 1 つのサーバ ライセンスを注文することもできます。
ライセンス ファイルのアップロード
Cisco ER Administration Web インターフェイスを使用して、ライセンス ファイルを Cisco ER サーバにアップロードできます。パブリッシャ サーバを起動して実行している場合、パブリッシャ サーバからのみすべてのライセンス ファイルをアップロードする必要があります。ライセンス ファイルをアップロードするには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 Cisco ER Administration の Web サイトにログインします。
ステップ 2 [System] > [License Manager] の順に選択します。[License Manager] ページが表示されます。
ステップ 3 [Upload license] をクリックします。[Upload File] ページが表示されます。
ステップ 4 [Browse...] ボタンを使用して、ローカル システムからアップロードするライセンス ファイルを選択します。
ステップ 5 [Upload] をクリックします。選択したライセンス ファイルが Cisco ER サーバにアップロードされます。
(注) Cisco ER 8.0 以降は、プライマリ Cisco ER サーバからのみサーバ ライセンスをアップロードすることができます。
関連項目
• 「License Manager」
Cisco Emergency Responder をご使用のネットワークに適合させる方法
図 1-1 に、Cisco Emergency Responder(Cisco ER)をご使用のネットワークに適合させる方法を示します。
図 1-1 Cisco ER をご使用のネットワークに適合させる方法
Cisco ER は、緊急コールを Cisco ER グループに送信するために変更する必要がある、会社のダイヤル プランの Cisco Unified Communications Manager によって異なります。必要な Cisco Unified Communications Manager の設定の詳細については、 第 3 章「Cisco Emergency Responder 8.5 での Cisco Unified Communication Manager Versions 6.1 以降の設定」 を参照してください。
電話機を追跡するために、Cisco ER では、クラスタ内に登録されている電話機のリストについて Cisco Unified Communications Manager に照会します。その後、Cisco ER では、電話機が接続されているポートを判断するためにネットワーク上のスイッチ(Cisco ER のものであると特定されるスイッチ)に照会します。電話機を移動したときに電話機を認識できるように、Cisco ER では、日中に定期的にこの追跡を行います。Cisco ER のスイッチ設定の詳細については、「Cisco Emergency Responder のスイッチの設定」を参照してください。Cisco ER で緊急コールをポートと電話機のロケーションに基づいて正しい PSAP に送信できるようにスイッチ ポートを設定する方法については、「電話機の管理」を参照してください。
オプションとして、ご使用のネットワークまたはサービス プロバイダーに SMTP 電子メール サーバを設定することもできます。電子メールをオンサイトのアラート(セキュリティ)担当者に送信するように Cisco ER を設定し、それらの担当者に緊急コールを通知することができます。サーバを電子メールベースのページング サービスとして設定するとそれらの担当者がページングされます。
最後に、Cisco ER で緊急コールを Public Safety Answering Point(PSAP)にルーティングできるように、サービス プロバイダーのネットワークへの PRI リンクまたは CAMA リンクを設定したゲートウェイが必要です。
図 1-1 は、1 つの Cisco Unified Communications Manager クラスタをサポートしている Cisco ER グループを示します。Cisco Unified CM で同一バージョンのソフトウェアを実行している限り、1 つの Cisco ER グループで複数の Cisco Unified Communications Manager クラスタをサポートできます。ネットワークの規模が大きい場合には、複数の Cisco ER グループをインストールし、Cisco ER クラスタを作成できます。このようなより複雑なインストールについては、「Cisco Emergency Responder のクラスタおよびグループについて」を参照してください。
Cisco ER で管理される場合に緊急コールで取得するパスの説明については、「緊急コールの発信時に発生するプロセス」を参照してください。
関連項目
• 「Cisco Emergency Responder のクラスタおよびグループについて」
• 「必要な Cisco Emergency Responder グループ数の決定」
• 「Cisco Emergency Responder の配置」
緊急コールの発信時に発生するプロセス
このトピックでは、緊急コールを処理するために Cisco Emergency Responder(Cisco ER)で使用するプロセスについて説明します。このプロセスを理解すると、Cisco ER を正しく設定し、発生した問題のトラブルシューティングを実行することができます。
図 1-2 は、Cisco ER で緊急コールをルーティングする方法を示します。
図 1-2 Cisco Emergency Responder で緊急コールをルーティングする方法
誰かが内線 3003 を使用して緊急コールを発信した場合:
1. Cisco Unified Communications Manager によって、緊急コールが Cisco ER にルーティングされます。
2. Cisco ER では、発信者の緊急応答ロケーション(ERL)に設定されているルート パターンを取得します。コール ルーティングの順序については、「Cisco Emergency Responder のコール ルーティングの順序」を参照してください。
3. Cisco ER によって、発信側の番号が発信者の ERL に設定されているルート パターンに変換されます。このルート パターンは、適切な緊急ロケーション識別番号(ELIN)を Public Safety Answering Point(PSAP)に渡すために設定されます。ELIN は、緊急の発信者にコールバックするために PSAP で使用できる電話番号です。
4. デフォルトでは、Cisco ER によって、発信者の内線と ELIN 間のマッピングが最大 3 時間保存されます。エントリのタイムアウト前にマッピングが後続のコールで上書きされる場合があります。タイムアウトの設定を 3 時間よりも長くしたり、短くしたりすることもできます(「Cisco ER Group Settings」を参照)。
5. Cisco ER では、発信者の ERL に設定されているルート パターンを使用してコールをルーティングします。次に、このルート パターンでは、設定されたルート リストを使用して、緊急コールを適切なサービス プロバイダーのネットワークに送信します。サービス プロバイダーは、自動ロケーション情報(ALI)で ELIN を検索し、コールを適切なローカル PSAP にルーティングします。PSAP では、電話コールを受信し、ALI データベースで ALI を検索します。
6. 同時に、Cisco ER によって、Web アラートが Cisco ER ユーザに送信されます。さらに、Cisco ER では、ERL に割り当てられているオンサイトのアラート(セキュリティ)担当者にコールします。その担当者の電子メール アドレスを設定している場合、Cisco ER によって、電子メールも送信されます。そのアドレスが電子メールベースのページング サービス用である場合には、その担当者に電子メールではなく、ページが送信されます。
7. 緊急コールが突然切断された場合、PSAP は ELIN を使用して緊急の発信者にコールバックできます。ELIN のコールは Cisco ER にルーティングされ、Cisco ER によって、ELIN が ELIN と関連付けられているキャッシュされた最後の内線に変換されます。その後、コールがその内線にルーティングされます。
適切なパフォーマンスを確保し、障害点をなくすには、次の内容を確認します。
• 緊急コールが正しくルーティングされるようにするためには、発信者の電話機を正しい ERL に割り当てる必要があります。電話機に関連付けられている ERL が正しいかを確認するには、ERL デバッグ ツールを使用します。
• コールの正確なルーティングについて他に考えられる問題としては、ELIN 定義があります。ELIN ルート パターンを誤ったゲートウェイに割り当てた場合、緊急コールが誤ったネットワークにルーティングされる可能性があります。これにより、緊急コールが誤った PSAP に送信される可能性があります。
サービス プロバイダーと連携して、必要なゲートウェイ数とゲートウェイを接続する場所を決定します。これらの要件は、ご使用のネットワーク トポロジよりもサービス プロバイダーのネットワーク トポロジに基づきます。米国では、緊急コール ネットワークは PSTN に直列に接続するため、PSTN に接続しただけでは、緊急コールは正しくルーティングされません。
• ALI データベースの情報が正しくないと、サービス プロバイダーのネットワークでコールが正しくルーティングされない可能性があります。ALI データをエクスポートしてそのデータをサービス プロバイダーに送信し、ELIN またはロケーションの情報を変更した場合には必ず ALI データを再送信します。
• ERL から多数の緊急コールが発信されると、PSAP では、緊急の発信者に正常にコールバックできない可能性があります。Cisco ER では、ELIN-to-extension マッピングが最大 3 時間キャッシュされます。ERL に 2 つの ELIN を定義し、3 時間の間に 3 つの緊急コールが発信された場合、最初の ELIN が 2 回使用されます。つまり、1 回目は最初の発信者に、2 回目は 3 番目の発信者に使用されます。PSAP で最初の ELIN をコールした場合、PSAP は最初の発信者ではなく、3 番目の発信者に到達します。この問題が発生する可能性は、ELIN に定義する ELIN の数と ERL における標準的な緊急コール率で決まります。
Cisco Emergency Responder のコール ルーティングの順序
Cisco ER では、緊急コールの発信元である電話機のロケーションに基づいて緊急コールを転送します。電話機のロケーションは、優先順位に従って次の方法によって判断されます。
• 擬似電話:電話の MAC アドレスは、擬似電話の MAC アドレスと一致し、テスト用の緊急応答ロケーション(ERL)に割り当てられます。 「擬似電話機の追加」 および 「テスト ERL の設定」 を参照してください。
• スイッチ ポートの背後で追跡される IP 電話:IP 電話の MAC アドレスは、ERL に割り当てられているスイッチ ポートの背後で追跡されます。 「スイッチ ポートの設定」 を参照してください。
• IP サブネットを使用して追跡される IP 電話:IP 電話の IP アドレスは、ERL に割り当てられている IP サブネットワークに属します。 「IP サブネットベースの ERL の設定」 を参照してください。
• 同じ Cisco ER クラスタにある別(リモート)の Cisco ER サーバ グループによって追跡される IP 電話:リモートのサーバ グループでは、スイッチ ポートの背後で、または IP サブネットで IP 電話を追跡します。緊急コールを受信すると、リモートの Cisco ER サーバ グループで構成される Cisco Unified Communications Manager クラスタに緊急コールが転送されます。 「クラスタ間の電話機の移動」 を参照してください。
• 手動で設定された電話:電話の回線番号は、手動で ERL に割り当てられます。 「電話機の手動での定義」 を参照してください。
• 位置未確認の電話:IP 電話の MAC アドレスは、ERL に割り当てられます。 「位置未確認の電話機の特定」 を参照してください。
• デフォルト ERL:上記の基準に当てはまらない場合、デフォルト ERL を使用して電話機のロケーションを判断します。コールは、デフォルト ERL にルーティングされます。 「デフォルト ERL の設定」 を参照してください。
(注) Cisco Unified IP Phone には、MAC/IP アドレスの追跡が推奨されます。IP 電話が手動の回線番号設定によってロケーションに割り当てられた場合でも、MAC アドレスまたは IP アドレスによって追跡されない IP 電話は位置未確認の電話として表示されます。
お客様は、IP 電話が MAC アドレスまたは IP アドレスによって追跡されない問題を解決して( 「位置未確認の電話機が多すぎる」 を参照)、IP 電話が [Unlocated Phones] ページから削除されないようにする必要があります。[Unlocated Phones] ページで ERL を IP 電話に直接割り当てることができますが、IP 電話が手動の回線番号設定によってロケーションに割り当てられる場合、この割り当ては無効になります。 「ERL Debug Tool」 を使用して、[Unlocated Phones] ページに表示される IP 電話に有効な ERL 割り当てを決定します。
位置未確認の電話の識別
Cisco ER では、次のすべての基準を満たす Cisco Unified IP Phone と同じように位置未確認の電話が定義されます。
• IP 電話が、Cisco ER グループに認識される Cisco Unified Communications Manager に登録されていること。
• IP 電話の MAC アドレスがスイッチ ポートの背後で追跡されていないこと。
• IP 電話の IP アドレスが IP サブネットを使用して追跡されていないこと。
• IP 電話の MAC アドレスが Cisco ER で擬似電話として定義されていないこと。
(注) リモートの Cisco ER サーバ グループによって追跡される Cisco Unified IP Phone と ERL に手動で回線番号が割り当てられている IP 電話も Unlocated Phones 画面に表示されます。
位置未確認の電話への ERL の割り当て
Cisco ER では、ERL を Unlocated Phones 画面に表示される IP 電話に割り当てる手順を提供します。この割り当てによって、位置未確認の電話の MAC アドレスが管理者によって選択される ERL に関連付けられます。この関連付けには、次の規則が適用されます。
• [Unlocated Phones] ページでの ERL の IP 電話への関連付けによって、IP 電話のステータスは変更されません。つまり、IP 電話が上記に説明されているように位置未確認の電話の基準と一致しているため、IP 電話は [Unlocated Phones] ページに表示されたままです。
• ERL の関連付けが使用されるのは、上記の規則を使用して Cisco ER で決定されるように IP 電話が検出されない場合だけです。
たとえば、電話 A は現在検出されず、[Unlocated Phones] ページに表示されます。位置未確認の電話に ERL 割り当て機能を使用して、この電話の ERL としてロケーション A が割り当てられます。後続の電話の追跡サイクルによって、スイッチ ポートの背後で電話 A が検出されると、[Unlocated Phones] ページに電話 A が表示されなくなります。電話 A のロケーション A への割り当ては無効になります。関連付けは不変であるため、その後も IP 電話の位置が不明である場合でも、その割り当ては有効です。
Cisco Emergency Responder のクラスタおよびグループについて
ご使用のネットワークに Cisco Emergency Responder(Cisco ER)を一対の冗長サーバとして配置します。1 つのサーバはパブリッシャ サーバとして指定し、もう 1 つのサーバはサブスクライバ サーバとして指定します。Cisco ER のパブリッシャ サーバ、サブスクライバ サーバは、それぞれ 1 つの Cisco ER サーバ グループを構成します。サーバ グループの設定データは、パブリッシャのデータベースに保存されます。このデータは、サブスクライバに複製されます。
Cisco ER クラスタは、正しい緊急コール処理機能を提供するためにデータを共有する一連の Cisco ER サーバ グループです。Cisco ER クラスタ情報は、クラスタ内のクラスタ データベースと呼ばれる中央の場所に保存されます。Cisco ER サーバ グループは、そのグループがクラスタ内の他のサーバ グループと同じクラスタ データベースを指す場合、そのクラスタの一部であると見なされます。
Cisco ER 8.5 では、2 つの別個のデータベースを使用します。
• 1 つのデータベースには、Cisco ER の設定情報が保存されます。
• もう 1 つのデータベースには、Cisco ER のクラスタ情報が保存されます。
インストール時に、両方のデータベースが各 Cisco ER サーバに作成されます。ただし、クラスタ データは、1 つの Cisco ER サーバにのみ含まれます。
(注) 同一の Cisco ER グループには、バージョンが異なる Cisco ER を配置できません。Cisco ER 8.5 にアップグレードする場合、両方の Cisco ER サーバもバージョン 8.5 にアップグレードしてください。
図 1-3 は、Cisco Emergency Responder(Cisco ER)グループを 1 つの Cisco ER クラスタに結合する方法を示します。
図 1-3 Cisco ER グループと Cisco ER クラスタ間の関係について
この例では、次のようになります。
• 2 つの Cisco Unified Communications Manager クラスタ、CUCM クラスタ A、および CUCM クラスタ B があります。
• Cisco ER サーバ グループ 1 と Cisco ER サーバ グループ 2 で 1 つの Cisco ER クラスタが形成されます。
• Cisco ER サーバ グループ 1 では CUCM クラスタ A を、Cisco ER サーバ グループ 2 では CUCM クラスタ B をサポートします。
• Cisco ER1 パブリッシャのクラスタ データベースに、両方の Cisco ER サーバ グループの Cisco ER クラスタ情報が保存されます。点線は、Cisco ER サーバとクラスタ データベース ホストとの通信を示します。
• 各 Cisco ER サーバには、Cisco ER 設定情報が含まれているデータベースがあります。
(注) Cisco ER クラスタ内の電話の追跡が正確に動作するように、クラスタ内の Cisco ER サーバがそのホスト名で検出され、その他すべての Cisco ER サーバからネットワーク上のクラスタ内の Cisco ER サーバに到達できるようにする必要があります。
(注) Cisco ER サーバ グループの設定を設定するときに、[System Administrator Mail ID] フィールドにシステム管理者の電子メール アカウントを入力した場合、スタンバイ サーバによってコールが処理されるときに、またはスタンバイ サーバがプライマリ サーバを継承するときに、システム管理者は電子メール通知を受信します(「Cisco Emergency Responder サーバ グループの設定」を参照してください)。
Cisco ER クラスタの作成を完了するには、クラスタ内トランクとルート パターンを作成し、Cisco ER のグループによってグループ間で緊急コールを引き渡し(「Cisco Emergency Responder グループ間の通信に対するルート パターンの作成」を参照)、Cisco ER でそれらのルート パターンを設定(「Cisco Emergency Responder サーバのグループ テレフォニー設定」を参照)することができるようにします。
注意 Cisco ER クラスタの作成前に、Cisco ER クラスタによってサポートされるすべての Cisco Unified Communications Manager クラスタのダイヤル プランを一意にする必要があります。たとえば、1 つの Cisco Unified Communications Manager クラスタには、内線 2002 のみを設定できます。重複するダイヤル プランがある場合には、Cisco ER クラスタを分離しておく必要があります。つまり、それらの Cisco Unified Communications Manager クラスタ間で電話機を動的に移動できません。
クラスタ間の電話機の移動
次のシナリオは、Cisco ER でクラスタ間の電話機の移動を処理する方法について示します。
• Server Group A(SGA)には、SGA 以外に移動する電話機(Phone_1)があります。
– Cisco ER によって、Server Group B(SGB)で Phone_1 が検出されます。
– SGA の [Unlocated Phones] ページに SGB の電話機が表示されます。
• SGB の両方の Cisco ER サーバ(パブリッシャとサブスクライバ)が故障した場合でも、SGA には SGB の Phone_1 が表示されます。
– このときに Phone_1 から発信されたコールは、SGB にリダイレクトされ、SGB に Cisco ER サーバがない場合には Cisco ER で同じ手順を実行して、このコールをルーティングします。
– また、SGB の両方の Cisco ER サーバが故障した場合、Phone_1 は SGB のその他の電話機と同様に処理されます。
• Phone_1 が Server Group C(SGC)に移動した場合:
– SGA、SGC の順で次回の増分電話機のトラッキングが実行されると検出されます。
– [Unlocated Phones] ページでは、Phone_1 から SGC への関連付けが変更されます。
• Phone_1 が元の SGA に移動すると、次回の増分電話機トラッキングで検出され、対応するスイッチ ポートの下に表示されます。
Cisco ER システムを計画する際には、次のことに留意してください。
• 1 つの Cisco ER グループ では、異なるバージョンの Cisco Unified Communications Manager を組み合わせたクラスタはサポートされていません。たとえば、Cisco ER では、Cisco Unified CallManager 4.2 のすべてのクラスタ または Cisco Unified CallManager 5.1 のすべてのクラスタがサポートされます。
ただし、Cisco ER クラスタには、Cisco ER groups that support different versions of Cisco Unified Communications Manager の異なるバージョンをサポートする Cisco ER グループを含めることができます。このように、Cisco ER によって、ご使用のテレフォニー ネットワークで Cisco Unified Communications Manager の異なるバージョンの組み合わせがサポートされています。
• Cisco ER 8.5 サーバ グループは、他の Cisco ER 8.5 サーバ グループまたは Cisco ER 1.3 サーバ グループで動作します。
(注) 共用回線を使用して Cisco Unified IP Phone から緊急コールを発信すると、コールがクラスタを介して間違った ERL に終端する可能性があります。
(注) 検出され、ERL が別の CUCM クラスタに関連付けられ、同じ Cisco ER クラスタに属する別の Cisco ER サーバ グループによって追跡されている電話機の移動には、現在の Cisco ER サーバ グループから ERL の関連付けを削除する必要があります。ERL をその現在の Cisco ER サーバ グループから割り当てを解除するには、「位置未確認の電話機の特定」のステップ 7 を参照してください。
関連項目
• 「Cisco Emergency Responder をご使用のネットワークに適合させる方法」
• 「緊急コールの発信時に発生するプロセス」
必要な Cisco Emergency Responder グループ数の決定
Cisco ER の効率的なパフォーマンスを実現するには、Cisco ER の配置を計画する際に各 Cisco ER グループでサポートできる制限を考慮する必要があります。1 つの Cisco ER グループでは、複数の Cisco Unified Communications Manager クラスタをサポートできますが、1 つの Cisco ER グループでサポートできるのは、1 つの Cisco Unified Communications Manager クラスタだけであることに留意してください。
設定を含む 1 つの Cisco ER グループのキャパシティについては、『 Release Notes for Cisco Emergency Responder 8.5 』を参照してください。別の数値に達していなくても、1 つの制限に関して最大数値を満たすことができることに留意してください。たとえば、1,000 個のスイッチを定義できますが、スイッチ ポートは 30,000 個未満です。
追加のグループをインストールして、さらに規模が大きいネットワークを管理できます。各 Cisco ER グループは、1 つ以上の Cisco Unified Communications Manager クラスタと連動することができます。
グループごとのこれらの制限に加え、サービス プロバイダーの ALI データベース プロバイダーによってカバーされる領域も考慮する必要があります。ご使用のネットワークが複数の ALI データベース プロバイダーの領域に及ぶ場合、ALI フォーマット ツール(AFT)を使用して、複数の ALI データベース フォーマットで ALI レコードをエクスポートする必要があります。
1 つの Cisco ER グループで複数の LEC をサポートするには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 Cisco ER から ALI レコード ファイル出力を標準の NENA 形式で入手します。このファイルには、複数の LEC 用のレコードが含まれています。
ステップ 2 必要な ALI フォーマットごとに元のファイルの 1 つのコピーを作成します(LEC ごとに 1 つのコピー)。
ステップ 3 最初の LEC(たとえば、LEC-A)の AFT を使用して、NENA 形式のファイルのコピーをロードし、他の LEC に関連付けられているすべての ELIN のレコードを削除します (AFT の使用方法については、 第 12 章「ALI フォーマット ツールの使用」 を参照してください)。削除する情報は、通常、NPA(またはエリア コード)によって識別できます。
ステップ 4 結果として生成されたファイルを、LEC-A に必要な ALI フォーマットで保存し、適宜ファイル名を付けます。
ステップ 5 各 LEC に対してステップ 3 と 4 を繰り返します。
各 LEC に AFTs を使用できない場合、テキスト エディタで NENA 形式のファイルを編集することで、同じ結果をアーカイブできます。
関連項目
• 「Cisco Emergency Responder のクラスタおよびグループについて」
• 「Cisco Emergency Responder の配置」
• 「ALI 提出要件に関するサービス プロバイダーとの交渉」
• 「サービス プロバイダー向け ALI 情報のエクスポート」
• 第 12 章「ALI フォーマット ツールの使用」
• 「ALI Formatting Tool」
データの整合性および信頼性に関する考慮事項
ローカル PSAP への緊急コールの正しいルーティングは、ERL 設定に基づきます。ご使用のネットワーク内では、正しい電話機の識別によって、サービス プロバイダーのネットワークへの接続に使用するゲートウェイが決定されます。サービス プロバイダーのネットワークでは、ルーティングは ELIN に基づきます。ELIN は、発信者の ALI の検索にも使用されます。そのため、正確な ELIN が緊急コールに割り当てられるように、ERL 設定の信頼性を確保する必要があります。
ERL 設定の信頼性を維持するために考慮する事項を次に示します。
• ERL は、ポート自体のロケーションではなく、ポートに接続されているデバイスのロケーションに基づいてスイッチ ポートに割り当てられます。したがって、ポートに接続されているワイヤを変更すると(たとえば、2 つ以上のポート間でワイヤを切り替えることによって)、ポートに現在接続されているデバイスが実際には別の ERL に配置されている可能性があります。ポートに割り当てられている ERL を変更しない場合、誤った ELIN がポートに使用され、間違った ALI が PSAP に送信されてしまいます。
1 つの LAN スイッチが別の PSAP によってカバーされる ERL に接続される可能性は低いため、通常、この種の変更によって、コールが誤ってルーティングされることはありません。ただし、送信された ALI は間違っているため、発信者が実際に 4 階にいる場合の緊急に対してセキュリティ スタッフは 3 階を調べる可能性があります。
この問題を防止するには、ワイヤリング クローゼットが安全に配置されていることを確認し、スイッチ ポート間のワイヤを交換しないようにネットワーキング スタッフに指導します。
• 電話機が Cisco ER によって自動的に追跡されない場合、電話機を移動、追加、または変更した結果、Cisco ER 設定も更新していることを確認します、このようなタイプの電話機の定義については、「電話機の手動での定義」を参照してください。
(注) スイッチ ポートのマッピングが変更された場合、電子メール アラートが送信されます。
• Cisco ER 1.2 よりも前に、登録された電話機がスイッチ ポートの背後で検出されなかった場合、Cisco ER によって、[Unlocated Phones] ページに電話機のリストが表示されます。
Cisco ER 1.2 以降では、これらの電話機は次のように検索されます。
– 登録された電話がスイッチ ポートの背後で検出されない場合、設定された IP サブネットの 1 つで見つけることができます。
– 登録された電話がスイッチ ポートの背後で検出されない場合、電話機の IP サブネットが設定されていない場合、あるいは電話機が擬似電話として設定されていない場合、Cisco ER によって、[Unlocated Phones] ページに電話機のリストが表示されます。
Cisco ER でコール ルーティングに使用する ERL を決定するには、ERL デバッグ ツールを使用して電話機を検索します。検索によって、この電話機からの緊急コールのルーティングで使用される現在の ERL と Cisco ER によってその ERL が選択された理由がわかります。詳細については、「Cisco Emergency Responder Admin Utility の使用」を参照してください。
• Cisco ER 8.5 をインストールする際に、パブリッシャ サーバ(プライマリ)とパブリッシャを指定するサブスクライバ サーバ(バックアップ)を設置します。パブリッシャ サーバおよびサブスクライバ サーバは、それぞれ 1 つの Cisco ER サーバ グループを構成します。この冗長性は、1 つのサーバの障害が緊急コールの発信機能に影響しないようにするのに役立ちます。WAN リンクで分離されていない別のサブネット上にある、プライマリ サーバと物理的に離れた場所にスタンバイ サーバを設置することを検討してください。この分離は、プライマリ サーバを設置しているビルの火災、プライマリ サーバのホストとなるサブネットとの接続切断などのような中断から保護することができます。
• スイッチの追加、削除、または更新時に Cisco ER の設定が定期的に更新されることを確認します(モジュールを追加したり、変更したりすることで)。スイッチを変更したら、Cisco ER でスイッチを表示し、[Locate Switch Ports] をクリックして、スイッチ上でスイッチ ポートおよび電話機更新プロセスを実行します。詳細については、「LAN スイッチの指定」を参照してください。
未定義のスイッチに接続されている電話機は、Cisco ER に位置未確認の電話としてリストに表示されます。定義されたスイッチを変更した場合、新しいポート、または追加されたポートは、ERL の関連付けがないポートになります。新しいスイッチ ポート、または追加されたスイッチ ポートに対して ERL を割り当てる必要があります。ネットワーク変更に関係する反復的な作業については、「ネットワーク管理者の役割について」および「ERL 管理者の役割について」を参照してください。
• ERL/ALI 設定を変更する際には、その情報をエクスポートし、ALI データベースに含めるためにサービス プロバイダーにその情報を送信する必要があります。これにより、緊急コールが正しい PSAP にルーティングされ、PSAP に正しい ALI が提示されるようになります。詳細については、「ERL 情報のエクスポート」および「サービス プロバイダー向け ALI 情報のエクスポート」を参照してください。
関連項目
• 「緊急コールの発信時に発生するプロセス」
• 「Cisco Emergency Responder のクラスタおよびグループについて」
• 「必要な Cisco Emergency Responder グループ数の決定」
• 「Cisco Emergency Responder の準備」
Cisco Emergency Responder の配置
次のトピックでは、さまざまなタイプのネットワークの配置モデルについて説明します。さらに大規模で複雑なネットワークを形成するために、次の例を組み合わせ、それらの例をモジュールとして使用できます。
• 「1 つの PSAP がある 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置」
• 「2 つ以上の PSAP がある 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置」
• 「サテライト オフィスがある 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置」
• 「2 つ以上のサイトをカバーする 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置」
• 「2 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置」
2 つ以上のサイトをカバーする 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置
図 1-7 は、2 つ以上のメイン サイトに 2 つ以上の PSAP があり、さらにサイトごとに 1 つの Cisco Unified CM クラスタがある場合の Cisco ER の設定を示します。
図 1-7 2 つ以上のサイトをカバーする 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置
このタイプのネットワークをサポートするには、2 つの Cisco ER サーバを設置し、1 つのサーバをパブリッシャとして、もう 1 つのサーバをパブリッシャを指定するサブスクライバとして設定します。
ロケーションをカバーする PSAP が 2 つあるため、サービス プロバイダーのネットワークの別の部分に接続している複数のゲートウェイが必要になる場合があります。ただし、これは、サービス プロバイダーのネットワークのレイアウトによって決まります。つまり、PSAP が、緊急コールをインテリジェントに複数の PSAP にルーティングできる選択ルータに接続される場合、必要なゲートウェイが 1 つだけである可能性があります。サービス プロバイダーと話し合い、ビルの要件を決定します。この例では、サイトごとに 1 つのゲートウェイが必要であることが前提です。当然ながら、ご使用のテレフォニー ネットワークのキャパシティ計画では、各リンクに複数のゲートウェイが必要な場合があります。
ゲートウェイを設定してサービス プロバイダーのネットワークに正しく接続した後、サイト A の ERL で使用されるすべてのルート パターンを設定し、サイト B の ERL で使用されるすべてのルート パターンを設定します。ビル間で電話機を移動すると、Cisco ER によって、それらの ERL が動的に更新され、緊急コールが目的のゲートウェイからルーティングされるようになります。
この例では、Cisco ER が 2 つの Cisco Unified CM クラスタに接続され、サイト間の電話機の移動が容易になります。サイト A および Site B の Cisco Unified CM クラスタで、サイト A の ERL のルート パターンとサイト B の ERL のルート パターンを設定する必要があります。
2 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置
図 1-8 は、2 つ(またはそれ以上)のメイン サイトがあり、各サイトに個別の PSAP がある場合の Cisco ER の設定を示します。
図 1-8 2 つのサイトでの Cisco ER の配置
この例の説明と次の例を組み合わせることで、この例をより複雑な設定に適用させることができます。
• 一部のメイン サイトにサテライト オフィスがある場合のサテライト オフィスでの Cisco ER の配置については、「サテライト オフィスがある 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置」を参照してください。
1 つのメイン サイトに複数の PSAP がある場合のメイン サイトでの Cisco ER の配置については、「2 つ以上の PSAP がある 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置」を参照してください。このタイプのネットワークをサポートするには、
• シカゴに 2 つの Cisco ER サーバを設置し、1 つのサーバをパブリッシャとして、もう 1 つのサーバをパブリッシャを指定するサブスクライバとして設定します。設置後、クラスタ データベースとして使用するためにシカゴの Cisco ER グループにある Cisco ER パブリッシャ サーバを選択します。「8.5 Cisco Emergency Responder クラスタおよびクラスタ DB ホスト」 を参照してください。
• ニューヨークに 2 つの Cisco ER サーバを設置し、1 つのサーバをパブリッシャとして、もう 1 つのサーバをパブリッシャを指定するサブスクライバとして設定します。設置後、クラスタ データベースとして使用するためにシカゴの Cisco ER グループにある Cisco ER パブリッシャ サーバを選択します。「8.5 Cisco Emergency Responder クラスタおよびクラスタ DB ホスト」 を参照してください。
ほとんどの場合、メイン オフィスをカバーする個別の PSAP があります。この例では、シカゴとニューヨークで異なる PSAP を使用します。サービス プロバイダーのネットワークの別の部分(別のサービス プロバイダーを使用する場合もあります)に接続するには、シカゴとニューヨークにそれぞれ、少なくとも 1 つのゲートウェイが必要です。サービス プロバイダーと話し合い、ビルの要件を決定します。当然ながら、ご使用のテレフォニー ネットワークのキャパシティ計画では、各サイトに複数のゲートウェイが必要な場合があります。
ゲートウェイを設定してサービス プロバイダーのネットワークに正しく接続した後、ゲートウェイ CHI を使用するためにシカゴの ERL で使用されるすべてのルート パターンを設定し、ゲートウェイ NYC を使用するためにニューヨークの ERL で使用されるすべてのルート パターンを設定します。
シカゴとニューヨーク間で電話機の移動を可能にするには、Cisco ER で個別の Cisco ER グループがある Cisco Unified Communications Manager クラスタ間のコール転送を行うことができるように、クラスタ間トランクを設定して Cisco Unified Communications Manager クラスタをリンクし、Cisco ER グループ間のルート パターンを作成する必要もあります。この状況において Cisco ER で電話機の移動を処理する方法の詳細については、「Cisco Emergency Responder グループ間の通信に対するルート パターンの作成」を参照してください。
サイト間で電話機を移動すると、Cisco ER によって、それらの ERL が動的に更新され、緊急コールが目的のゲートウェイからルーティングされるようになります。ただし、WAN リンクを使用不能になった場合、Cisco ER でサイト間の電話機の移動を追跡できません。