無線 LAN の QoS の概要
ネットワークは通常、ベスト エフォート型の配信方式で動作します。したがって、すべてのトラフィックに等しいプライオリティが与えられ、適度なタイミングで配信される可能性はどのトラフィックでも同等です。輻輳が発生すると、すべてのトラフィックが等しくドロップされます。
アクセス ポイントに QoS を設定すると、特定のネットワーク トラフィックを選択して優先順位を付け、輻輳管理と輻輳回避技術を使用して優先的に処理できます。無線 LAN に QoS を実装すると、ネットワークのパフォーマンスを予測可能にして、帯域幅を効果的に使用できます。
QoS を設定する場合、QoS ポリシーを作成して、アクセス ポイントに設定した VLAN に適用します。ネットワークで VLAN を使用しない場合、アクセス ポイントのイーサネット ポートと無線ポートに QoS ポリシーを適用できます。
(注) QoS を有効にすると、アクセス ポイントでは Wi-Fi Multimedia(WMM)モードがデフォルトで使用されます。WMM については、“Wi-Fi Multimedia モードの使用方法” sectionを参照してください。
無線 LAN の QoS と有線 LAN の QoS
無線自律アクセス ポイントの QoS 実装は、有線デバイスの QoS 実装とは異なります。
- アクセス ポイントはパケットを分類しません。DSCP 値、クライアント タイプ(セルラー無線など)、または 802.1q か 802.1p タグの優先順位の値に基づいてパケットに優先順位を設定します。
- 内部 DSCP 値を構成しません。IP DSCP、優先順位、プロトコル値をレイヤ 2 Class of Service(COS; サービス クラス)値に割り当てるマッピングだけをサポートします。
- 無線出力ポートで WMM タイプのキューを実行します。
- イーサネット出力ポートで実行するのは、First-in first-out(FIFO; 先入れ先出し)キューイングだけです。
- 802.1Q/P タグ付きパケットだけをサポートします。アクセス ポイントは ISL をサポートしません。
- MQC ポリシーマップの set cos アクションだけをサポートします。
- QoS Elements for Wireless Phones 機能が有効な場合、他のクライアントのトラフィックよりも音声クライアントのトラフィック(VoWLAN IP フォンなど)を優先します。
- プロトコル値を 119 に設定したクラスマップ IP プロトコル節を使用して、Spectralink フォンをサポートします。
無線 LAN QoS 実装とシスコの他のネットワーク デバイスの QoS 実装を対比するには、次の URL の『Cisco IOS Quality of Service Solutions Configuration Guide』を参照してください。
http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/software/ios122/122cgcr/fqos_c/index.htm
無線 LAN への QoS の影響
無線 LAN QoS 機能は、IEEE 802.11e の修正に基づいた Wi-Fi Alliance WMM 証明書の実装です。ワイヤレス クライアント認定の WMM は、アップストリーム方向に無線 LAN QoS を実装できます(無線クライアントから AP へ)。クライアント認定の 802.11n または 802.11ac は WMM 認定でもあります。
WMM のクライアント サポート(または未サポート)に関係なく、Cisco アクセス ポイントは WMM をサポートし、ダウンストリーム方向(AP からワイヤレス クライアントへ)またはアップストリーム方向(有線インターフェイスにワイヤレス フレームを転送する場合)にワイヤレス QoS を提供するように設定できます。
他のメディアと同様、負荷の少ない無線 LAN では、QoS の影響に気付かない場合があります。QoS のメリットは無線 LAN の負荷が増加するにしたがって顕著になり、選択されたトラフィック タイプの待ち時間、ジッタ、損失は許容範囲内に維持されます。
無線 LAN の QoS は、アクセス ポイントのダウンストリームを優先します。図 15-1 は、アップストリームとダウンストリームのトラフィック フローを示しています。
図 15-1 アップストリームとダウンストリームのトラフィック フロー
- 無線ダウンストリーム フローは、アクセス ポイントの無線から無線クライアント デバイスに送信されるトラフィックです。このトラフィックは、無線 LAN の QoS の主要な対象です。
- 無線アップストリーム フローは、無線クライアント デバイスからアクセス ポイントに送信されるトラフィックです。各クライアントは、個別にどのような優先順位付けメカニズムをこのトラフィックに使用する必要があるかを決定します。AP はクライアントのアップリンク トラフィックで優先順位付けメカニズムを実行できません。ただし、AP 設定はアップリンク優先順位付けが許可される(WMM が AP SSID でイネーブルの場合)か許可されないか(WMM が AP SSID でディセーブルの場合)を決定します。
- イーサネットのダウンストリーム フローは、スイッチまたはルータからアクセス ポイント上のイーサネット ポートに送信されるトラフィックです。スイッチまたはルータで QoS が有効の場合、スイッチまたはルータはアクセス ポイントへのトラフィックを優先し、レートを制限する場合があります。
- イーサネットのアップストリーム フローは、アクセス ポイントのイーサネット ポートから有線 LAN 上のスイッチまたはルータに送信されるトラフィックです。アクセス ポイントは、有線 LAN に送信するトラフィックの、トラフィック分類に基づく優先付けは行いません。ただし、AP はトラフィック QoS マーキングを維持します。
QoS 設定の優先順位
QoS を有効にすると、アクセス ポイントは各パケットのレイヤ 2 サービス クラス値に基づいて、パケットをキューに置きます。アクセス ポイントは、次の順序で QoS ポリシーを適用します。
1. 分類済みのパケット:アクセス ポイントが QoS 対応スイッチまたはルータからゼロ以外の 802.1 Q/P user_priority 値で分類されたパケットを受信する場合、アクセス ポイントはその分類を使用し、別の QoS ポリシー規則をパケットに適用しません。既存の分類がアクセス ポイントの他のどのポリシーよりも優先されます。
(注) QoS ポリシーを設定していない場合でも、アクセス ポイントは無線インターフェイスで受信するタグ付け 802.1P パケットを必ず受け入れ、対応する 802.11e ユーザ プライオリティ キューを使用してパケットを地上波で送信します。各キューの送信レートとユニキャスト パケットの再試行回数は、[Streams] ページを使用して設定できます。
2. QoS Element for Wireless Phones の設定:QoS Element for Wireless Phones 設定を有効にすると、ダイナミック音声分類子は RTP ベース トラフィックのために作成され、これによりセルラー無線のトラフィックが他のクライアントよりも優先されます。さらに、QoS Basic Service Set(QBSS; QoS 基本サービス セット)が、ビーコンとプローブ応答でチャネル ロード情報をアドバタイズするために有効になります。トラフィック負荷に基づき、QBSS 要素を使用してアソシエートするアクセス ポイントを決定する IP フォンもあります。
Cisco IOS コマンド dot11 phone dot11e コマンドを使用して、 802.11e/WMM QBSS Load IE をイネーブルにできます。1.05 ファームウェア以前の 7920 フォンは 802.11e QBSS IE をサポートしません。
ネットワーク内のワイヤレス クライアントが主にファームウェア 1.05 以前の 7920 フォンの場合、dot11 phone をイネーブルにします。
ネットワーク内のワイヤレス クライアントが主にファームウェア 1.09 以降の 7920 フォンの場合、または WMM 互換 VoWLAN フォンの場合、コマンド dot11 phone dot11e で IEEE 802.11e 互換 QBSS IE をイネーブルにします。
次の例は、従来の QBSS Load 要素で IEEE 802.11 セルラー無線のサポートを有効にする方法を示します。
次の例は、標準 IEEE 802.11e QBSS Load 要素で IEEE 802.11 フォンのサポートを有効にする方法を示します。
AP(config)# dot11 phone dot11e
次の例は、IEEE 802.11 電話機のサポートを停止、無効にする方法を示します。
AP(config)# no dot11 phone
3. アクセス ポイントで作成したポリシー:QoS のポリシーを作成して VLAN またはアクセス ポイント インターフェイスに適用すると、この QoS ポリシーはすでに分類済みのパケットと QoS Element for Wireless Phones 設定に次いで 3 番目の優先順位になります。
4. VLAN の全パケットに適用されるデフォルト分類:VLAN の全パケットにデフォルトの分類を設定すると、そのポリシーは優先順位リストで 4 番目になります。
Wi-Fi Multimedia モードの使用方法
QoS を有効にすると、アクセス ポイントでは Wi-Fi Multimedia(WMM)モードがデフォルトで使用されます。WMM では、基本的な QoS モードに対して、次のような拡張機能が用意されています。
- アクセス ポイントは、各パケットのサービス クラスをパケットの 802.11 ヘッダーに追加し、このヘッダーを受信ステーションに渡します。
- 各アクセス クラスに 802.11 シーケンス番号が設定されます。このシーケンス番号により、受信側の重複チェック用バッファをオーバーフローさせずに、優先順位の高いパケットが優先順位の低いパケットの再試行を中断できます。
- WPA/WPA2 のリプレイ検出は、アクセス クラスごとに受信側で実行されます。802.11 のシーケンス番号設定と同じく、WPA/WPA2 のリプレイ検出でも、受信ステーションでリプレイをシグナリングせずに、優先順位の高いパケットが優先順位の低いパケットの再試行を中断できます。
- 通常のバックオフ手順で送信するように設定されたトランスミッタは、設定された送信のタイミング(所定のマイクロ秒数)の際に、送信を許可するアクセス クラスに対して保留中のパケットをセットで送信できます。保留中のパケットをセットで送信すると、各パケットがアクセスのためにバックオフを待機する必要がなく、即座にパケットを連続して送信できるため、スループットが向上します。
- U-APSD Power Save が有効になります。
WMM をサポートするクライアント デバイスに送信されたパケットに対して、アクセス ポイントは WMM 拡張機能を適用します。WMM をサポートしないクライアント デバイスに送信されたパケットに対して、アクセス ポイントは基本的な QoS ポリシーを適用します。
CLI を使用して WMM を無効にするには、設定インターフェイス コマンド no dot11 qos mode wmm を使用します。Web ブラウザ インターフェイスを使用して WMM を無効にするには、[QoS Advanced] ページで無線インターフェイスのチェックボックスをオフにします。図 15-3 は、[QoS Advanced] ページを示しています。
バンド選択の使用
バンド選択では、SSID が両方の無線で使用可能な場合、セルを結合するデュアル バンド対応無線クライアントをより混雑の少ない 5 GHz 無線に移動することができます。この機能は、ネットワークの全体的なパフォーマンスを向上させます。
バンド選択機能がイネーブルになっている場合、アクセス ポイントはバンド選択がイネーブルになっているすべての SSID で、すべての新しいクライアントに対する 2.4 GHz 無線のプローブ応答を遅らせます。ただし、アクセス ポイントは 5 GHz 無線のプローブ応答は遅延させません。このメカニズムにより、デュアルバンド クライアントは 5 GHz 無線の SSID を先に検出できるため、それらのクライアントは 2.4 Ghz 無線ではなく、AP 5 GHz 無線の SSID にアソシエートされるようにプッシュします。2.4 GHz 専用のクライアントのみが 2.4 GHz 無線となります。
バンド選択を有効にするには、次の手順に従ってください。
ステップ 1 [Security] > [SSID Manager] の順で選択します。
ステップ 2 [NEW] をクリックして、新しい SSID を作成します。
または
[Current SSID] から必要な SSID を選択します。
ステップ 3 [Band Select] オプション ボタンをクリックします。
ステップ 4 [Apply] をクリックします。
(注) バンド選択機能は、SSID が両方の無線に割り当てられている場合にのみ役立ちます。
クライアントがアクティブにネットワークを検出する場合、そのクライアントは 1 つまたは複数のチャネルでプローブ要求を送ります。通常の動作では、特定のチャネルでプローブ要求のバーストを送信し、応答する AP からの応答を収集し、次のチャネルに移行します。そのため、特定のチャネルで 2 回連続してプローブ要求を受信したとしても必ずしもチャネルで AP の検出を 2 回試みたというわけではなく、バーストによる同じスキャン サイクルの一部である可能性があります。
次の情報を得るために、バンド選択の動作を微調整できます。
- スキャン サイクルの持続期間
- 2.4 GHz チャネルのクライアントと RSSI クライアントからのプローブ要求に AP が応答しないサイクル数
- トリガーするバンド選択メカニズムのタイムアウト。
バンド選択のパラメータの指定では、次の手順に従ってください。
ステップ 1 [Services] > [Band Select] の順で選択します。
ステップ 2 [Band Select] チェックボックスをオンにします。
ステップ 3 次のフィールドに値を入力します。
- [Client-Rssi]:クライアントがバンド選択可能となるための受信信号強度表示(RSSI)の最小値範囲は 20 ~ 90 です。
- [Cycle-Count]:アクセス ポイントが無視する 2.4 GHz 帯域のプローブ要求数。
- [Cycle-Threshold (ms)]:アクセス ポイントがクライアントからの各プローブ要求バースト サイクルを受け付けられる時間(ミリ秒)。範囲は 1 ~ 1000 です。
- [Expire-Dual-Band (secs)]:この時間経過後にデュアル バンド クライアントは新しいクライアントとして宣言され、そのプローブ要求フレームが再度遅延されたり、無視される場合があります。範囲は 10 ~ 300 です。
- [Expire-Suppression (secs)]:この時間経過後に 2.4 GHz 専用クライアントは新しいクライアントとして宣言され、そのプローブ フレームが再度遅延されたり、無視される場合があります。範囲は 10 ~ 200 です。
ステップ 4 [Apply] をクリックします。
特権 EXEC モードから、次のコマンドを使用して、アクセス ポイント CLI を利用した BandSelect を設定します。
- ap(config)# dot11 band-select parameters
- ap(config-bs-profile)# cycle-count?
- ap(config-bs-profile)# cycle-threshold?
- ap(config-bs-profile)# expire-suppression?
- ap(config-bs-profile)# expire-dual-band?
- ap(config-bs-profile)# client-rssi?
- ap (config)# dot11 ssid abcd
- ap(config-ssid)# band-select
QoS の設定
QoS はデフォルトでは無効に設定されています。ただし、無線インターフェイスは、QoS ポリシーを設定していなくても、常にタグ付き 802.1P パケットを優先します。この項では、アクセス ポイントで QoS を設定する方法について説明します。内容は次のとおりです。
設定時の注意事項
アクセス ポイントに QoS を設定する前に、次の情報に注意する必要があります。
- QoS の導入で最も重要なのは、無線 LAN のトラフィックについて十分に把握することです。無線クライアント デバイスで使用するアプリケーション、アプリケーションが遅延の影響を受ける程度、およびアプリケーションに関連するトラフィック量が分かれば、パフォーマンスを向上させるように QoS を設定できます。
- QoS によって無線 LAN の帯域幅が増加することはありません。QoS は、帯域幅の割り当て制御を効率化します。無線 LAN に十分な帯域幅があれば、QoS を設定する必要がない可能性があります。
- ampdu コマンドは、802.11n 無線インターフェイスに使用できます。Aggregate MAC protocol data unit(AMPDU; 集合的 MAC プロトコル データ ユニット)は、物理層により単一の PSDU として転送された複数の MPDU を含む構造です。このコマンドの詳細については、『Cisco IOS Command Reference for Cisco Aironet Access Points and Bridges』を参照してください。
Web ブラウザ インターフェイスを使用した QoS の設定
この項では、Web ブラウザ インターフェイスを使用する QoS の設定について説明します。
CLI を使用して QoS を設定するための Cisco IOS コマンドのリストについては、『Cisco IOS Command Reference for Cisco Aironet Access Points and Bridges』を参照してください。
QoS を設定する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 無線 LAN で VLAN を使用する場合、QoS を設定する前に必要な VLAN がアクセス ポイントに設定されていることを確認します。
ステップ 2 Web ブラウザ インターフェイスの任意のページの上部にある一般メニュー バーで [Services] をクリックします。Services のリストが表示されたら、[QoS] をクリックします。[QoS Policies] ページが表示されます。図 15-2 は、[QoS Policies] ページを示しています。
図 15-2 [QoS Policies] ページ
ステップ 3 [Create/Edit Policy] フィールドで [<NEW>] を選択して、[Policy Name] 入力フィールドに QoS ポリシーの名前を入力します。名前には、最大 25 文字の英数字を使用できます。ポリシー名には空白を入れないでください。
(注) 設定済みの 2 つの QoS ポリシーである WMM と Spectralink を選択することもできます。この 2 つのいずれかを選択すると、デフォルトの分類が自動的に [Classifications] フィールドに入力されます。
ステップ 4 優先順位を設定する必要のあるパケットの [IP header TOS] フィールドに IP 優先情報が含まれている場合には、[IP Precedence] ドロップダウン リストから IP 優先順位の分類を選択します。メニューの選択項目は次のとおりです。
- Routine (0)
- Priority (1)
- Immediate (2)
- Flash (3)
- Flash Override (4)
- Critic/CCP (5)
- Internet Control (6)
- Network Control (7)
ステップ 5 [IP Precedence] メニューで選択したタイプのパケットについて、無線クライアントに送信されるフレームにアクセス ポイントが適用する 802.11e ユーザ プライオリティ値を選択します。アクセス ポイントは [IP Precedence] の選択を 802.11 ユーザ プライオリティ(サービス クラス)の選択に一致させます。[Apply Class of Service](適用する 802.11e ユーザ プライオリティ値を表す)ドロップダウン リストには次が含まれます。
- Best Effort (0)
- Background (1)
- Spare (2)
- Excellent (3)
- Control Lead (4)
- Video <100ms Latency (5)
- Voice <100ms Latency (6)
- Network Control (7)
ステップ 6 [IP Precedence] の [Class of Services] メニューの横にある [Add] ボタンをクリックします。[Classifications] フィールドに分類項目が表示されます。分類を削除するには、削除する分類を選択して、[Classifications] フィールドの横の [Delete] ボタンをクリックします。
ステップ 7 優先設定する必要のあるパケットの [IP header ToS] フィールドに IP 優先情報ではなく IP DSCP 優先情報が含まれている場合には、[IP DSCP] ドロップダウン リストから [IP DSCP] 分類を選択します。メニューの選択項目は次のとおりです。
- ベスト エフォート
- Assured Forwarding — Class 1 Low
- Assured Forwarding — Class 1 Medium
- Assured Forwarding — Class 1 High
- Assured Forwarding — Class 2 Low
- Assured Forwarding — Class 2 Medium
- Assured Forwarding — Class 2 High
- Assured Forwarding — Class 3 Low
- Assured Forwarding — Class 3 Medium
- Assured Forwarding — Class 3 High
- Assured Forwarding — Class 4 Low
- Assured Forwarding — Class 4 Medium
- Assured Forwarding — Class 4 High
- Class Selector 1
- Class Selector 2
- Class Selector 3
- Class Selector 4
- Class Selector 5
- Class Selector 6
- Class Selector 7
- Expedited Forwarding(緊急転送)
ステップ 8 [Apply Class of Service] ドロップダウン リストを使用して、[IP DSCP] メニューから選択したタイプのパケットにアクセス ポイントが適用するサービス クラス(つまり 802.11e ユーザ プライオリティ値)を選択します。アクセス ポイントは、IP DSCP の選択内容を選択したサービス クラスに一致させます。
ステップ 9 [IP DSCP] の [Class of Service] メニューの横にある [Add] ボタンをクリックします。[Classifications] フィールドに分類項目が表示されます。
ステップ 10 無線 LAN で Spectralink フォン(IP Protocol 119)のパケットを優先設定する必要がある場合、[Apply Class of Service] ドロップダウン リストを使用して、アクセス ポイントが Spectralink フォン パケットに適用するサービス クラスを選択します。アクセス ポイントは、Spectralink フォン パケットを選択したサービス クラスに一致させます。
ステップ 11 IP Protocol 119 の [Class of Service] メニューの横にある [Add] ボタンをクリックします。[Classifications] フィールドに分類項目が表示されます。
ステップ 12 フィルタ処理されたパケットに優先順位を割り当てるには、[Filter] ドロップダウン リストを使用してポリシーに追加するフィルタを選択します(アクセス ポイントでフィルタが定義されていない場合、[Filter] ドロップダウン リストの代わりに [Apply Filters] ページへのリンクが表示されます)。たとえば、IP フォンの MAC アドレスを含む MAC アドレス フィルタの優先順位を高くすることができます。
(注) QoS で使用するアクセス リストは、ターゲット パケットの優先順位付けにのみ影響し、AP(セキュリティ)フォワーディングの決定には影響しません。
ステップ 13 [Apply Class of Service] ドロップダウン リストを使用して、[Filter] メニューから選択したフィルタに一致するパケットに、アクセス ポイントが適用するサービス クラスを選択します。アクセス ポイントは、フィルタの選択内容を選択したサービス クラスに一致させます。
ステップ 14 フィルタの [Class of Service] メニューの横にある [Add] ボタンをクリックします。[Classifications] フィールドに分類項目が表示されます。
ステップ 15 分類をポリシーへ追加したら、[Apply Class of Service] ドロップダウン リストの [Apply] ボタンをクリックします。ポリシーをキャンセルして全フィールドをデフォルトにリセットするには、[Apply Class of Service] ドロップダウン リストの [Cancel] ボタンをクリックします。ポリシー全体を削除するには、[Apply Class of Service] ドロップダウン リストの [Delete] ボタンをクリックします。
ステップ 16 [Apply Policies to Interface/VLAN] ドロップダウン リストを使用して、アクセス ポイントのイーサネット ポートと無線ポートにポリシーを適用します。アクセス ポイントに VLAN が設定されている場合、各 VLAN の仮想ポートのドロップダウン リストがこのセクションに表示されます。アクセス ポイントに VLAN が設定されていない場合、各インターフェイスのドロップダウン リストが表示されます。
ステップ 17 ページの下にある [Apply] ボタンをクリックして、アクセス ポイントのポートにポリシーを適用します。
[QoS Policies Advanced] ページ
[QoS Policies Advanced] ページ(図 15-3)
図 15-3 [QoS Policies - Advanced] ページ
[Enable the QoS Element for Wireless Phones] オプションを選択して、[Select Enable the QoS Element for Wireless Phones] オプションをクリックし、[Apply] をクリックしてすべての音声パケットに最高の優先順位を指定します。
QoS Element for Wireless Phones
QoS Element for Wireless Phones を有効にすると、QoS を有効にしていなくてもアクセス ポイントは音声パケットに最高の優先順位を指定します。この設定は、QoS ポリシーの設定とは無関係に機能します。
QBSS Load IE の WMM / 802.11e バージョンを使用するには、[dot11e] を選択します。この選択を空白にすると、QBSS Load IE の CCX pre-802.11e バージョンが使用されます。ワイヤレス クライアントが主にファームウェア 1.05 以前の 7920 フォンの場合、802.11e 以前のバージョンを使用します。クライアントが主に WMM 互換クライアントの場合は 802.11e バージョンを使用します。
IGMP スヌーピング
Internet Group Membership Protocol(IGMP)スヌーピングがスイッチでイネーブルになっている場合、スイッチは必要に応じてそのマルチキャスト トラフィックを登録するポートにのみマルチキャスト トラフィックを転送します。その結果、ワイヤレス クライアントが同じスイッチに接続されたアクセス ポイントから別のアクセス ポイントにローミングするとき、スイッチは 2 つ目のアクセス ポイントへのポートでマルチキャスト トラフィックが必要かどうかを認識しません。そのため、クライアントのマルチキャスト セッションは中断されます。アクセス ポイントでの IGMP スヌーピングは、この問題を軽減するのに役立ちます。
アクセス ポイントの IGMP スヌーピング ヘルパーが有効で、クライアントがアクセス ポイント セルに参加すると、アクセス ポイントはすぐに汎用 IGMP クエリを無線 LAN に送信して、クライアントに IGMP メンバーシップ レポートを送信するように求めます。メンバーシップ レポートは有線インターフェイスに転送されます。ネットワーク インフラストラクチャがホストの IGMP メンバーシップ レポートを受け取ると、そのホストのマルチキャスト データ ストリームがアクセス ポイント ポートに配信されることが保証されます。その後、トラフィックは無線インターフェイスにリレーされます。これにより、無線クライアントのマルチキャスト フローはローミング中に中断されません。
インターネット グループ管理プロトコル(IGMP)スヌーピングがスイッチで有効に設定されているときに、クライアントがアクセス ポイント間をローミングする場合、クライアントのマルチキャスト セッションはドロップされます。アクセス ポイントの IGMP スヌーピング ヘルパーが有効な場合、アクセス ポイントは汎用クエリを無線 LAN に送信して、クライアントに IGMP メンバーシップ レポートを送信するように求めます。ネットワーク インフラストラクチャがホストの IGMP メンバーシップ レポートを受け取ると、そのホストのマルチキャスト データ ストリームの配信が保証されます。
IGMP スヌーピング ヘルパーは、デフォルトで有効に設定されています。無効にするには、[QoS Policies - Advanced] ページを表示して [Disable] を選択し、[Apply] をクリックします。
(注) ホストからの IGMP クエリと応答を処理するマルチキャスト ルータがない場合、アクセス ポイントに no igmp snooping が設定されている必要があります。IGMP スヌーピングが有効な場合、すべてのマルチキャスト グループ トラフィックが IGMP クエリおよび応答パケットを送信する必要があります。IGMP クエリまたは応答パケットが検出されない場合、グループのすべてのマルチキャスト トラフィックはドロップされます。
AVVID 優先順位マッピング
802.11e プロトコルは、音声パケットに 6 というユーザ プライオリティ値を割り当てます。Cisco の有線ネットワークは IETF の推奨事項に従って、音声パケットに 5 というサービス クラス値を割り当てます。AVVID プライオリティ マッピングをイネーブルにすると、サービス クラス 5 のイーサネット パケットは、アクセス ポイントの無線と有線の側でやり取りされるときに、サービス クラス 6 にマップされます。この機能を使用すると、アクセス ポイントは、正しい優先順位を音声パケットに適用して Cisco AVVID ネットワークとの互換性を確保します。
AVVID 優先順位マッピングはデフォルトで有効に設定されています。マッピングを無効にするには、[QoS Policies - Advanced] ページを表示して [Map Ethernet Packets with CoS 5 to CoS 6] で [No] を選択し、[Apply] をクリックします。
WiFi Multimedia(WMM)
[Admission Control] チェックボックスを使用すると、アクセス ポイントの無線インターフェイスの WMM サポートをイネーブルまたはディセーブルにできます。デフォルトはイネーブルです。WMM がイネーブルになっている場合、WMM と非 WMM クライアントの両方がアクセス ポイント無線に参加することができます。
(注) アドミッション コントロール(RADIO1-802.11N2.4 GHz ACCESS CATEGORIES または RADIO1-802.11N5 GHz ACCESS CATEGORIES)を有効にすると、アクセス ポイントにアソシエートされたクライアントは、WMM のアドミッション コントロール プロシージャを完了するまでそのアクセス カテゴリを使用できません。
Rate Limiting
レート制限は、インターフェイスで送受信されるデータのトラフィックを制御します。クラスベースのポリシング機能により、次の動作が実行されます。
- ユーザ定義の基準に基づいて、トラフィックのクラスの入力または出力送信レートを制限します。
- IP precedence 値、IP DiffServ コード ポイント(DSCP)値、および Quality of Service (QoS)グループを設定してパケットにマーク付けをします。
これは、P2MP 設定の場合に、各非ルート ブリッジからルート ブリッジへのアップストリーム トラフィックをレート制限するために使用されます。ダウンストリーム トラフィックのレート制限を行うためには、クラス マップがルート側のルータ/スイッチに適用されます。
(注) レート制限はイーサネット入力だけに適用できます。
無線アクセス カテゴリの調整
アクセス ポイントは、無線アクセス カテゴリを使用して各パケットのバックオフ時間を計算します。通常、優先順位の高いパケットは、バックオフ時間が短くなります。
[Min and Max Contention Window] フィールドと [Slot Time] フィールドのデフォルト値は、IEEE 802.11 修正で推奨される設定に基づいています。これらの値の詳細については、IEEE 802.11e 修正、7.3.2.27 または 802.11-2012 規格、8.4.2.31(EDCA Parameter Set 要素)を参照してください。
[Radio Access Categories] ページではデフォルト設定を使用することを強く推奨します。これらの値を変更すると、無線 LAN に予期しないトラフィックのブロックが発生しやすくなり、発生したブロックの診断が容易ではない場合もあります。これらの値を変更後にデフォルトにリセットする必要があれば、 表 15-1 のデフォルト設定を使用します。
表 15-1 に示された値は 2 の累乗係数です。アクセス ポイントは、次の式を使用して Contention Window の値を計算します。
CW = 2 ** X - 1
X は 表 15-1 の値です。
表 15-1 QoS 無線アクセス カテゴリのデフォルト
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
バックグラウンド |
4 |
|
10 |
|
6 |
|
0 |
|
|
|
ベスト エフォート |
4 |
|
10 |
|
2 |
|
0 |
|
|
|
Video <100ms Latency |
3 |
|
2 |
|
1 |
|
3008 |
|
|
|
Voice <100ms Latency |
2 |
|
3 |
|
1 |
|
1504 |
|
|
|
図 15-4 は [Radio Access Categories] ページを示しています。デュアル無線アクセス ポイントには、各無線に対して [Radio Access Categories] ページがあります。
図 15-4 [Radio Access Categories] ページ
TCLAS と TSPEC を使用する無線クライアントは、クライアントがトラフィック ストリームを開始する前にアクセス ポイントに送信した ADDTS(add traffic stream 要求)を通してサービス クラスを要求できます。ADDTS は、対象トラフィックとそのトラフィックの予想公称レートについて説明します。
公称レートの設定
アクセス ポイントが WMM クライアントから add traffic stream(ADDTS; トラフィック ストリームの追加)要求を受け取ると、CLI コマンドの traffic-stream で定義された公称レートに対する、ADDTS 要求の公称レートまたは最小 PHY レートをチェックします。両者が一致しない場合、アクセス ポイントは ADDTS 要求を拒否します。
[Optimized Voice] 設定(図 15-4 を参照)を選択する場合、次の公称レートが設定されます。
- 5.5 Mbps、6.0 Mbps、11.0 Mbps、12.0 Mbps、および 24.0 Mbps
traffic-stream コマンドの詳細については、『Command Reference for Cisco Aironet Access Points and Bridges』で参照できます。この資料は cisco.com の次の URL から入手できます。
http://cisco.com/en/US/docs/wireless/access_point/12.4_10b_JA/command/reference/cr12410b-chap2.html#wp3257080
(注) 上記レートは Cisco フォンとほとんどの WMM VoWLAN IP フォンで有効に機能します。例外はサードパーティ製のワイヤレス フォンです。サードパーティのセルラー無線では、公称レートまたは最小 PHY レートが異なっている場合があります。サードパーティのセルラー無線用に追加の公称レートを有効にする必要がある場合があります。
最適化された音声設定
[Admission Control] チェックボックスを使用して、クライアントによるアクセス カテゴリの使用を制御できます。アクセス カテゴリに対するアドミッション コントロールを有効にすると、アクセス ポイントにアソシエートされたクライアントは、WMM のアドミッション コントロール プロシージャを完了するまでそのアクセス カテゴリを使用できません。ただし、このリリースのアクセス ポイントではアドミッション コントロール プロシージャはサポートされないため、[Admission Control] を有効にした場合、クライアントはアクセス カテゴリを使用できません。
コール アドミッション制御の設定
アクセス ポイントの Call Admission Control(CAC; コール アドミッション制御)の設定は次の手順で行います。
1. 無線の設定
2. SSID のアドミッション コントロールの有効化
無線の設定
この項では、アクセス ポイントの無線のアドミッション コントロール設定法について説明します。
コマンドライン インターフェイス(CLI)を使用してアドミッション コントロールを設定するための Cisco IOS コマンドのリストについては、『Cisco IOS Command Reference for Cisco Aironet Access Points and Bridges』を参照してください。
無線のアドミッション コントロールを設定する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 設定する無線の [Access Categories] ページをクリックします。
図 15-4 に、[Access Categories] ページの例を示します。
ステップ 2 [Voice(CoS 6-7)] 下の [Admission Control] チェックボックスを選択します。
ステップ 3 音声に使用されるチャネルの最大利用率を [Max Channel Capacity (%)] フィールドに入力します。
ステップ 4 ローミング コールに使用されるチャネルの最大利用率を [Roam Channel Capacity (%)] フィールドに入力します。
このフィールドで指定した値を最大とする、ローミング コールに使用されるチャネルの利用率は、[Max Channel Capacity (%)] フィールドで指定した値から差し引かれます。
たとえば、[Max Channel Capacity (%)] フィールドに 75 % と入力し、[Roam Channel Capacity (%)] に 6 % と入力したとします。ローミング コールがチャネルの 5 % を使用する場合、音声コールはそのチャネルの最大 70 % を使用できます(セルのクライアントが開始する新しいコール)。
ステップ 5 リアルタイム ビデオ トラフィック(AC_VO)のコール アドミッション制御を有効にするには、[Video (CoS 5-6)] の下にある [Admission Control] チェックボックスをオンにします。
(注) この項で設定したアドミッション コントロール設定は、SSID のアドミッション コントロールを有効にするまでは無効です。
SSID のアドミッション コントロールの有効化
この項では、SSID のアドミッション コントロールを有効にする方法について説明します。
コマンドライン インターフェイス(CLI)を使用してアドミッション コントロールを有効にするための Cisco IOS コマンドのリストについては、『Cisco IOS Command Reference for Cisco Aironet Access Points and Bridges』を参照してください。
次の手順に従って SSID のアドミッション コントロールを有効にします。
ステップ 1 [SSID Manager] ページを開きます。
ステップ 2 [SSID] を選択します。
ステップ 3 [General Settings] の下、[Call Admission Control] フィールドの [Enable] を選択します。
アドミッション コントロールのトラブルシューティング
2 つの CLI コマンドを使用して、アドミッション コントロールの問題のトラブルシューティングに役立つ情報を表示できます。
- 無線 0 の現在のアドミッション コントロール設定を表示するには、次のコマンドを入力します。
# show dot11 cac int dot11Radio 0
- 無線 1 の現在のアドミッション コントロール設定を表示するには、次のコマンドを入力します。
# show dot11 cac int dot11Radio 1
- アドミッション コントロールおよび MT の admitted streams についての情報を表示するには、次のコマンドを入力します。
# show dot11 traffic-streams
ストリームの設定
QoS ポリシーは、アクセス ポイントを通過するパケットをマーキングまたは再マーキングします。QoS ポリシーを定義する場合、特定のトラフィックのレート制限を決定することもできます。
ワイヤレス フォンの QoS 要素は、他の考慮事項に関係なく、音声パケットの優先順位を付けることができます。これは上限なしで音声パケットに低遅延設定を適用します。
ストリームの設定は、時間依存のトラフィックに優先順位の技術を適用する 3 つ目の方法で、より高い優先順位(低遅延キュー)で送信するトラフィックを指定して、それらの時間依存のパケットの再試行回数を制限します。ストリームは、他の QoS 設定と組み合わせて使用できます。
これらの機能を設定するには、[Services] > [Streams] のページに進みます(図 15-5 を参照)。
ステップ 1 [Packet Handling per User Priority] セクションから、低遅延キューイング ロジックを実行するユーザ プライオリティ キューを選択します。
– [Reliable] を選択した場合、確認応答がなかったユニキャスト パケットは、宛先(アソシエートされたワイヤレス クライアントまたは接続されたワイヤレス ブリッジ)が到達可能な限り再送されます。確認応答がなかったユニキャスト パケットを再試行する最大回数は無線レベルで決定され、各無線設定セクションの [Settings] タブで最大データ再試行値を設定します。
– [Low Latency] が選択された場合、現在のパケットを廃棄し、次のパケットを送信する前に AP が使用する再試行の回数を設定できます。低遅延のトラフィックの場合、トラフィックのフローを中断するよりもパケットをスキップするほうが推奨されます。[Max Retries for Packet Discard] で、低遅延に設定された対応するユーザ プライオリティについて AP が使用する再試行の最大数を入力します。
ステップ 2 [Apply] をクリックして確認します。
ステップ 3 ページ下部の [Low Latency Packet Rates] セクションで、低遅延キューに設定されたフレームを送信するレートを設定することもできます。
– Nominal:AP は、低遅延パケットを送信するときに、このレートを使用します(クライアントの信号レベルに応じて、最初に高速レートを使用)。
– Non-nominal:AP はそのレートを使用しないようにしますが、公称レートが使用できない場合にはこれを使用します。
– Disabled:AP は、そのレートを使用することはありません。
ステップ 4 [Apply] をクリックして確認します。
CLI を使用してストリームを設定するには、Chapter6, “無線の設定”を参照してください。
図 15-5 ストリーム ページ