拡大し続けるデジタルエクスペリエンスには俊敏な適応が必須

エクスペリエンスは、すべての人とモノをつなぐ接続に左右されます。基盤となるネットワークは、このような進化と成長を続ける接続に対応できなければなりません。技術やビジネスの移行は、未来の働き方に必要な俊敏性をネットワークに求める大きな圧力となって作用しています。

「インターネットは今やエンタープライズ ネットワークの新たなバックボーンになっています。IT チームはクラウドベースのアプリケーションに最高のエクスペリエンスを提供するべく、これまで以上に監視技術に力を入れています

エンタープライズ ネットワーキング & クラウド EVP 兼 GM Todd Nightingale

あらゆる規模のシームレスなデジタルエクスペリエンスの需要に応えるインフラストラクチャの適応に向けた動きが進められています。

2019 年初頭の状況を基準にしたルータ 1 台あたりの月間トラフィック1

  • 中小規模のブランチのインターネットトラフィックは、2019 年の基準と比較して 40% 近く増加しています。この劇的な増加の要因となったのは、ビデオコラボレーションと堅牢なエクスペリエンス(およびデジタル世界を股にかける業務関連活動の増加)の存在です。
  • 中小規模ブランチのルータのトラフィックは、大規模なオフィスのトラフィックよりも 20 ポイント多く増加しています。

なぜ重要なのか

大きな帯域幅を使ったコラボレーションツール(ビデオ会議など)による、ポジティブで信頼できるユーザーエクスペリエンスは、今やビジネスフローになくてはならない存在です。トラフィックの傾向には、小規模の企業では従業員が会社のオフィススペースに戻りつつあること、大企業では在宅勤務の方針拡大に合わせてテレワークの選択肢を広げていること、また、あらゆる規模の企業で従業員が希望する住環境と勤務環境に近い小規模な分散拠点(ホームオフィスも含む)への移行が進んでいることが表れています。

今後予想される影響

規模の大小にかかわらず従業員を会社のオフィススペースに復帰させることに力を入れている企業では、デジタルと実世界の両方で仕事に取り組むことで増加するネットワーク需要に合わせて、ネットワークを拡大する必要があります。在宅勤務や小規模な分散拠点から引き続き受信するトラフィックに対応した、適切な帯域幅とセキュリティ対策が必要です。生産性とポジティブなエクスペリエンスを維持するには、オフサイトや小規模ブランチでも、オンサイトや大規模なキャンパスに劣らない仕事ができる環境を確保する必要があります。

ハイブリッドワークの世界では、アプリのエクスペリエンスは仕事を左右する重要な要素です。

企業の監視下にあるハイブリッドワーク用アプリケーション2

UCAAS ドメインの障害とサービスの中断2

  • セキュリティが組み込まれた サービスやシステムが増加し続けるなか、監視対象のタイプの中ではコラボレーションアプリの増加が際立っていて、2020 年 1 月と比べて 54 倍も増加しています。
  • 生産性の監視は 1.1 倍の増加となりましたが、セキュアアクセスの監視についてはパンデミック初期の急増後には、大きな変化は見られませんでした。
  • サービスとしてのユニファイド コミュニケーション(UCaaS)の障害の 16% は、UCaaS ベンダー以外で発生しています。具体的にはインターネット、ネットワークサービス(DNS など)、サードパーティの依存関係などで障害が見られます。この事実は、ユーザーのデジタルエクスペリエンスに影響を及ぼす問題の、予想できない性質を浮き彫りにしています。

なぜ重要なのか

ハイブリッドワークモデルでは、従業員が利用するデジタルサービスや SaaS アプリのエクスペリエンスを高品質のまま維持することが、今後も IT チームにとって課題となります。それには、従業員がさまざまなデバイスを使って会社のシステムやクラウド、インターネットの各種ネットワークにアクセスすることを考慮する必要があります。

今後予想される影響

コラボレーションアプリと生産性アプリの重要性は、リアルタイムの監視とプロアクティブな問題解決を通じて引き続きトップクラスの安全な利用体験を維持していかなければならないことを意味します。

アジャイル クラウド プロバイダーは「就業時間」のシフトが起きている中でもサービスの中断を最小限に抑えていて、クラウドへの移行に勢いがあることを示しています。

ISP と CSP の障害件数2

  • クラウドへの移行に対する需要増に対応するために、クラウドプロバイダーがインフラストラクチャの展開をさらに増強するなか、確認された障害件数は、世界的に見ても過去 12 ヵ月で増加しています。
  • それにもかかわらず CSP は一見すると ISP よりも安定していて、月間の障害件数全体(ISP と CSP の合算)に占める比率は、平均 12% となっています。
  • エンドユーザーへの影響をできるだけ抑えるため、たいていは CSP も ISP もサービス停止のリスクがあるメンテナンスや工事作業を業務時間(午前 9 時 ~ 午後 6 時)以外に設定しようと努めています。ISP の障害の 38% と CSP の障害の 41% は、従来の午前 9 時から午後 6 時の間に発生していますが、業務時間が厳密に定められていない場合もあり、更新による影響を最小限に抑えるうえで課題となっています。

なぜ重要なのか

クラウドプロバイダーのネットワークは、多くのユビキタスデジタルサービスを提供するバックボーンとして機能し、インターネットを効果的に拡張します。企業はクラウド インフラストラクチャを活用してサービスのキャパシティを迅速に拡張し、事業継続とユーザーエクスペリエンスの質を維持できます。

今後予想される影響

現地(および特定)の事業者のプラクティスを理解することは、企業が計画を策定し、関係者やベンダーと効果的なコミュニケーションを図るうえで役立ちます。そうすることで、不測のトラフィックの変化によって ISP がネットワークの状態をより頻繁に変更する必要が生じた場合でも、事業の中断を最小限に抑えることができます。クラウド中心のネットワークは、作業の時と場所を選ばないハイブリッド作業環境に適していて、身軽にリフトを実現できる場合があります。

出典:シスコ ハイブリッド ワーク インデックス
1Cisco Meraki
2Cisco ThousandEyes