Cisco CME Phone 機能の設定
この章では、Cisco CallManager Express(Cisco CME)システムで使用される各 IP Phone のオプション機能について説明します。
自動回線選択
多重回線の電話機については、受話器を取り上げたときに、最初の着信回線を自動的に選択し、また、呼び出し音が鳴っていない場合には最初の使用可能なアイドル回線を自動的に選択するように電話機をセットアップしておくと便利です。Cisco CME 3.0 以前は、多重回線の IP Phone はすべてこの動作になります。
しかし、状況によっては、発信回線の選択や着信コールへの応答の際に手動で回線ボタンを押さなければならない場合もあります。そのため、Cisco CME 3.0 以降は、各 IP Phone で実行する回線選択の種類を柔軟に割り当てることができるようになっています。
個々の電話機に対して次の動作を割り当てることができます。
• 自動回線選択:受話器を取り上げたときに、最初の着信回線に応答し、また、呼び出し音が鳴っていない場合には最初のアイドル回線を選択します。
• 手動回線選択(自動回線選択なし): Answer ソフトキーを押して最初の着信回線に応答し、回線ボタンを押して発信コールの回線を選択します。受話器を取り上げただけでは、コールには応答できず、ダイヤル トーンも聞こえません。
• 着信コールのみ自動回線選択:受話器を取り上げたときに、最初の着信回線に応答しますが、呼び出し音が鳴っていない場合には発信コールのアイドル回線を選択できません。発信コールの回線を選択するには、回線ボタンを押します。
要約手順
1. ephone phone-tag
2. [ no ] auto-line [ incoming ]
3. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
ephone phone-tag
Router(config)# ephone 24 |
ephone 設定モードを開始します。 • phone-tag :自動回線選択を設定する電話機の固有のシーケンス番号。 |
ステップ 2 |
[ no ] auto-line [ incoming ]
Router(config-ephone)# no auto-line |
回線選択動作の種類をこの電話機に割り当てます。 • auto-line :受話器を取り上げたときに、最初の着信回線に応答し、また、呼び出し音が鳴っていない場合には最初のアイドル回線を選択します。この動作は、このコマンドを使用しない場合のデフォルト設定になります。 • no auto-line : Answer ソフトキーを押して最初の着信回線に応答し、回線ボタンを押して発信コールの回線を選択します。受話器を取り上げただけでは、コールには応答できず、ダイヤル トーンも聞こえません。 • auto-line incoming :受話器を取り上げたときに、最初の着信回線に応答しますが、呼び出し音が鳴っていない場合には発信コールのアイドル回線を選択できません。発信コールの回線を選択するには、回線ボタンを押します。 |
ステップ 3 |
exit
Router(config-ephone)# exit |
ephone 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、電話機 1 および 2 に「自動回線選択なし」を割り当て、電話機 3 に「着信コールのみ自動回線選択」を割り当てます。
mac-address 00e0.8646.9242
mac-address 01c0.4612.7142
mac-address 10b8.8945.3251
オンフック ダイヤル
オンフック ダイヤルを使用すると、電話機をオンフックにして受話器を置いたままの状態で番号をダイヤルして電話をかけることができます。番号をダイヤルすると、その番号が電話機のディスプレイに表示されます。バックスペース ソフトキー(<<)を使用すると、誤入力した数字を消去できます。番号の入力を終えてその番号に電話をかけるには、次のいずれかの方法に従います。
• 電話機のスピーカやヘッドセットを使用している場合は、回線ボタンまたは Dial ソフトキーを押す。
• 受話器を取り上げる。
この機能をアクティブにするために必要な設定はありません。
G.711 での 3 者間電話会議
Cisco CME は、内部コールおよびオンネット コールの 3 者間会議をサポートしています。会議に参加する参加者はすべて G.711 を使用する必要があります。また、このサービスは、G.711 の mu-law と a-law の変換もサポートしています。同時会議の最大数はプラットフォームによって異なります。
要約手順
1. telephony-service
2. max-conferences max-conference-number
3. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
telephony-service
Router(config)# telephony-service |
telephony-service 設定モードを開始します。 |
ステップ 2 |
max-conferences max-conference-number
Router(config-telephony-service)# max-conferences 6 |
ルータによってサポートされる同時 3 者間会議の最大数を設定します。デフォルトは、各プラットフォームの同時 3 者間会議の最大数の半分です。 ルータによってサポートされる同時 3 者間会議の最大数は、次のとおりプラットフォームごとに決まっています。 • 8:Cisco 1751、Cisco 1760、Cisco 2610XM、Cisco 2611XM、Cisco 2620XM、Cisco 2621XM、Cisco 2650XM、Cisco 2691、Cisco 3640、Cisco 3640A • 16:Cisco 3660、Cisco 3725、Cisco 3745 |
ステップ 3 |
exit
Router(config-telephony-service)# exit |
telephony-service 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、Cisco CME システムの同時 3 者間会議の最大数として 6 を設定します。
発信コールに関する発信者 ID のブロック
この項のコマンドを使用すると、特定の ephone-dn から発信したすべてのコールについて、Caller-ID(CLID; 発信者 ID)の表示をすべてブロックできます。また、VoIP 発信コールについては、名前と番号のどちらか、または両方を選択してブロックすることもできます。
特定の内線番号から発信したコールの CLID の表示をすべてブロックするには、ephone-dn 設定モードで caller-id block コマンドを使用します。このコマンドは、遠端ゲートウェイ デバイスに対して、この ephone-dn から受信されたコールの発信側情報の表示をブロックするように指示します。
あるいは、 caller-id block コマンドを使用せずに CLID 情報をローカル表示させ、ダイヤルピア設定モードで clid strip コマンドを使用して VoIP 発信コールの CLID 名と CLID 番号のどちらか、または両方を個別にブロックすることもできます。この処理の利点は、内部コールの発信者 ID の表示はブロックせずに、VoIP に発信する外部コールの発信者 ID の表示はブロックできるということです。
制約事項
発信者 ID のブロッキング(発信者電話番号非通知)は、FXO ポートを介して行われる PSTN コールには適用されません。FXO 接続の加入者線の発信者 ID 機能は、PSTN サービス プロバイダーによって制御されます。場合によっては、そのプロバイダーの発信者電話番号非通知サービスに加入する必要があります。
要約手順
1. ephone-dn dn-tag
2. caller-id block
3. exit
4. dial-peer voice tag voip
5. clid strip
6. clid strip name
7. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
ephone-dn dn-tag
Router(config)# ephone-dn 3 |
ephone-dn 設定モードを開始します。 |
ステップ 2 |
caller-id block
Router(config-ephone-dn)# caller-id block |
(オプション)この ephone-dn から発信したコールの発信者 ID 情報の表示をすべてブロックします。 デフォルトでは、Cisco IP Phone から発信したコールの発信者 ID はブロックされません。 |
ステップ 3 |
exit
Router(config-ephone-dn)# exit |
ephone-dn 設定モードを終了します。 |
ステップ 4 |
dial-peer voice tag voip
Router(config)# dial-peer voice 3 voip |
dial-peer 設定モードを開始します。 |
ステップ 5 |
clid strip
Router(config-dial-peer)# clid strip |
(オプション)VoIP コールで送信される CLID 情報から発信側の番号を削除します。 |
ステップ 6 |
clid strip name
Router(config-dial-peer)# clid strip name |
(オプション)VoIP コールで送信される CLID 情報から発信側の名前を削除します。 |
ステップ 7 |
exit
Router(config-dial-peer)# exit |
dial-peer 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、タグ 3 を持つ ephone-dn に対して CLID のブロッキングを設定します。
次の例では、VoIP コールの CLID の名前および番号の表示はブロックしますが、内部コールの CLID の表示はブロックしません。
コールごとの発信者 ID のブロック
発信コールの発信者 ID の表示をコールごとにブロックできるため、ユーザは必要に応じてプライバシーを守ることができます。まず、システム管理者が発信者 ID をブロックするためのコードをシステムに定義します。ユーザは、着信側の電話機に番号を表示させたくない場合、電話をかける前にそのコードをダイヤルします。この場合も発信者 ID は送信されますが、プレゼンテーション パラメータが「restricted」に設定されるので、発信者 ID は表示されません。
コールごとに発信者 ID のブロッキングを有効にするには、まずシステム管理者がコードを定義する必要があります。ユーザは、番号を送信したくない場合、電話をかける前にそのコードを入力します。
要約手順
1. telephony-service
2. caller-id block code code-string
3. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
telephony-service
Router(config)# telephony-service |
telephony-service 設定モードを開始します。 |
ステップ 2 |
caller-id block code code-string
Router(config-telephony-service)# caller-id block code *1234 |
電話をかける前に入力して発信者 ID を送信しないようにするためのコードを定義します。 • code-string :最大 16 桁の文字列。最初の文字はアスタリスク(*)にする必要があります。 |
ステップ 3 |
exit
Router(config-telephony-service)# exit |
telephony-service 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、発信コールの発信者 ID をブロックするためにユーザが入力するコードとして *1234 を定義します。
caller-id block code *1234
通話中のユーザに対するコールバック
この機能を使用すると、通話中の内線番号をダイヤルした発信者は、その番号が空いたときにシステムからコールバックを要求できます。発信者は、応答のない内線番号へのコールバックも要求できます。システムは、その内線番号の電話機が次に使用されたときにコールバックを通知します。
この機能を使用できるのは、Cisco IP Phone 7940 と Cisco IP Phone 7960 だけです。
内線番号をダイヤルしてビジー トーンまたは無応答トーンが聞こえた後にコールバック機能をアクティブにするには、 CallBack ソフトキーを押します。電話をかけた回線が空いたことを通知するためにシステムがコールバックすると、短い呼び出し音が 1 回鳴り、「CallBack Redial」というメッセージとともに内線番号が表示されます。その番号に電話をかけるには、 Redial ソフトキーを押します。
特定の内線番号に対して指定できるコールバック要求は 1 つだけですが、発信者はさまざまな番号に対していくつかのコールバックを開始できます。コールバック要求がすでに指定されている番号に対して、発信者がさらにコールバック要求を指定しようとすると、小刻みなビジー トーンが聞こえます。
電話をかけた番号でコール転送が有効になっている場合、コールバック要求は最終的な宛先番号に対して指定されます。
この機能に必要な設定はありません。 show ephone callback コマンドは、現時点でコールバック要求が指定されている電話機のリストを表示します。
短縮ダイヤル機能
この項では、次の 3 種類の短縮ダイヤル機能について説明します。
• 短縮ダイヤル ボタン:未使用の内線番号ボタンに個人用短縮ダイヤル番号を割り当てることができます。個人用短縮ダイヤル番号の割り当ては、電話機ユーザがプログラムすることも、システム管理者がプログラムしてロックすることもできます。電話機ユーザは、目的の番号に関連付けられたボタンを押すことによって、個人用短縮ダイヤル番号にアクセスします。ATA デバイスを備えたアナログ電話機のユーザは、アスタリスク(*)と目的の番号に関連付けられた数字を押すことによって、個人用短縮ダイヤル番号にアクセスします。
• ローカル短縮ダイヤル:Cisco CME システム内のすべての電話機に対して、システム全体で利用可能な短縮ダイヤル番号をプログラムできます。電話機ユーザは、Directories > Local Services > Local Speed Dial メニューからローカル短縮ダイヤル番号にアクセスします。
• 個人用短縮ダイヤル:Cisco IP Phone 7940 または Cisco IP Phone 7960 に 1 台当たり最大 24 の個人用短縮ダイヤル番号をプログラムできます。電話機ユーザは、Directories > Local Services > Personal Speed Dial メニューから個人用短縮ダイヤル番号にアクセスします。
短縮ダイヤル ボタン
内線番号用に使用されていない IP Phone のボタンを短縮ダイヤル ボタンとしてプログラムできます。最初に管理者が短縮ダイヤル定義を電話機に設定する必要があります。短縮ダイヤル定義は、未使用のボタンに短縮ダイヤル機能を自動的に実装するために使用されます。たとえば、管理者が 6 つのボタンがある電話機に対して 4 つの短縮ダイヤル定義を作成した場合、2 つのボタンだけが内線電話番号に割り当てられます。残りの 4 つのボタンは 4 つの短縮ダイヤル定義に割り当てられ、管理者またはユーザがそれらに対して短縮ダイヤル番号をプログラムできます。
管理者は、短縮ダイヤル番号を関連付けて短縮ダイヤル定義を作成することも、関連付けずに作成することもできます。短縮ダイヤル定義に番号が関連付けられている場合、管理者は電話機からその番号が変更されないようにロックできます。番号がロックされていない場合、または番号が定義に関連付けられていない場合、電話機ユーザは電話機から短縮ダイヤル番号をプログラムできます。電話機で使用できるボタンより多くの定義が作成されると、余分な定義は無視されます。
Cisco ATA-186 デバイスまたは Cisco ATA-188 デバイスを使用して Cisco CME にアクセスしているアナログ電話機のユーザは、別の方法で短縮ダイヤル番号にアクセスします。ATA デバイスを使用している電話機のユーザは、短縮ダイヤル ボタンを押す代わりに、アスタリスク キーと短縮ダイヤル ID の数字を押すことによって、短縮ダイヤル番号をダイヤルします。たとえば、ATA-186 を使用している電話機のユーザは、*1 を押すことによって、短縮ダイヤル 1 としてプログラムされた番号をダイヤルします。ATA デバイスを備えた電話機では、短縮ダイヤル番号の最大数が 9 に制限され、それらはシステム管理者がプログラムする必要があります。番号を電話機からプログラムすることはできません。ATA デバイスを使用する電話機で短縮ダイヤル番号をプログラムした場合、システム管理者はそれを電話機ユーザに伝える必要があります。
この項では、次の作業について説明します。
• 「ルータ の CLI からの短縮ダイヤル ボタン情報の定義」
• 「IP Phone からの既存の短縮ダイヤル ボタン情報の変更」
ルータ の CLI からの短縮ダイヤル ボタン情報の定義
短縮ダイヤル定義は、管理者が Cisco CME の ルータ の CLI から追加または変更できます。番号は、電話機から変更されないようにロックできます。短縮ダイヤル ボタン定義に加えられた変更は、タイマーによる遅延の後、ルータ の NVRAM の設定に保存されます。
短縮ダイヤル定義は、固有の ID( speed-tag )、ダイヤルする番号、およびオプションのラベルで構成されます。各定義は、すべての内線番号が電話機に割り当てられた後、未使用の電話ボタンに対して自動的に割り当てられます。各定義は、それぞれの短縮ダイヤル ID( speed-tag )番号の順序で割り当てられます。これらの ID 番号は、電話機の物理的なボタン レイアウトとは関連していません。
たとえば、短縮ダイヤル 1 は、電話機の最初(一番上)のボタンではなく、短縮ダイヤルに使用できる最初のボタンに割り当てられます。ボタンが 6 つある電話機に 2 つの内線番号と 4 つの短縮ダイヤル定義がある場合、短縮ダイヤル 1 は、電話機の 3 番目の物理的なボタン(短縮ダイヤルに使用できる最初のボタン)に表示されます。内線番号に使用されるボタンの数が変更されると、特定の短縮ダイヤル定義を割り当てられるボタンも自動的に変わります。前の例の電話機でボタン 3 に第 3 の内線番号を追加すると、短縮ダイヤル 1 はボタン 4(この場合、これが短縮ダイヤルに使用できる最初のボタンになります)に移動します。初めの 3 つのボタンに内線番号が割り当てられ、後の 3 つのボタンに短縮ダイヤル定義が割り当てられます。4 番目の短縮ダイヤル定義は、使用できるボタンがないため、電話機には表示されなくなります。4 番目の短縮ダイヤル定義は無視されます。
要約手順
1. ephone phone-tag
2. speed-dial speed-tag digit-string [ label label-text ]
3. restart
4. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
ephone phone-tag
Router(config)# ephone 55 |
ephone 設定モードを開始します。 • phone-tag :短縮ダイヤル機能を追加する電話機を識別する固有のシーケンス番号。 |
ステップ 2 |
speed-dial speed-tag digit-string [ label label-text ]
Router(config-ephone)# speed-dial 1 +5001 label “Head Office” |
固有の短縮ダイヤル ID、ダイヤルする数字列、ボタンの横に表示するオプションのラベルを定義します。IP Phone に対しては最大 34、ATA アダプタを備えた電話機に対しては最大 9 の短縮ダイヤルを定義できます。 • speed-tag :短縮ダイヤル定義の ID。値の範囲は 1 ~ 34 です。 • digit-string :短縮ダイヤル ボタンが押されたときにダイヤルされる番号。先頭にプラス記号(+)を付けた場合、この短縮ダイヤル番号はロックされ、電話機で変更することはできません。シャープ記号(#)だけである場合は、短縮ダイヤル番号が割り当てられていない空の短縮ダイヤル定義が設定されます。空の短縮ダイヤル定義は、電話機でプログラムできます。 • label label-text :短縮ダイヤル ボタンの横に表示する識別テキストが含まれるキーワードと文字列。スペースが含まれている場合は、文字列を引用符で囲みます。最大長は 32 文字ですが、電話機に表示できるのは 16 文字だけです。 |
ステップ 3 |
restart
Router(config-ephone)# restart |
この ephone の高速リブートを実行します。更新情報を取得するために DHCP または TFTP サーバには連携しません。 |
ステップ 4 |
exit
Router(config-ephone)# exit |
ephone-dn 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、短縮ダイヤル ボタンの横にラベルが表示される、ロックされた短縮ダイヤル番号を 2 つ定義します。これらの短縮ダイヤル定義は、すべての内線番号が割り当てられた後、次の空のボタンに割り当てられます。たとえば、Cisco IP Phone 7960 で 2 つの内線番号が割り当てられている場合、これらの短縮ダイヤル定義は 3 番目と 4 番目のボタンに表示されます。
mac-address 1234.5678.ABCD
speed-dial 1 +5002 label Receptionist
speed-dial 2 +5001 label Security
IP Phone からの既存の短縮ダイヤル ボタン情報の変更
管理者が IP Phone に対して 1 つまたは複数の短縮ダイヤル定義を作成したら、電話機ユーザは次の手順を実行して、番号のないボタンや番号がロックされていないボタンをプログラムし直すことができます。
要約手順
1. 短縮ダイヤル定義が関連付けられた IP Phone のボタンを選択します。
2. シャープ キー(#)を押します。
3. プログラムする短縮ダイヤル ボタンを押します。
4. 短縮ダイヤル番号を入力します。
5. もう一度、同じ短縮ダイヤル ボタンを押します。
6. 受話器を置きます。あるいは、別の短縮ダイヤル ボタンを押します。
詳細手順
ステップ 1 短縮ダイヤル定義が関連付けられた IP Phone のボタンを選択します。対象の短縮ダイヤル定義は空である(設定時に短縮ダイヤル番号が割り当てられなかった)か、または、ロックされていない(短縮ダイヤル番号が割り当てられたが、その番号が管理者によってロックされていない)ものでなければなりません。ダイヤル トーンが聞こえることを確認してください。
ステップ 2 シャープ キー(#)を押します。
ステップ 3 プログラムする短縮ダイヤル ボタンを押します。このボタンのプログラムを開始したことを確認する短いビープ音が鳴ります。
ステップ 4 短縮ダイヤル番号を入力します。入力した数字が電話機のディスプレイに表示されます。Cisco IP Phone 7940 または Cisco IP Phone 7960 で短縮ダイヤル番号を入力する場合は、誤入力した数字をバックスペース ソフトキー(<<)で訂正できます。短縮ダイヤル番号を新しい番号に置換せずに削除するには、シャープ キー(#)を押します。
ステップ 5 もう一度、同じ短縮ダイヤル ボタンを押すことにより、短縮ダイヤル番号の入力を終了して、新しい短縮ダイヤル番号を登録します。
ステップ 6 受話器を置きます。あるいは、別の短縮ダイヤルのプログラムを続ける場合は、対象の短縮ダイヤル ボタンを押してこの手順を繰り返します。
ローカル短縮ダイヤル
ローカル短縮ダイヤル機能は、システム全体で頻繁に使用する電話番号のリストを作成します。管理者がすべての電話機に対して最大 32 エントリまでプログラムできます。ローカル短縮ダイヤル番号は、電話機のディレクトリ ボタンから使用できます。
ローカル短縮ダイヤルを定義するには、最初にシステム管理者が、図 8-1 に示されている speeddial.xml という XML ファイルを作成します。管理者が speeddial.xml ファイルを Cisco CME ルータのフラッシュ メモリに置くと、Directories メニューから Local Speed Dial が選択されたときに、ローカル短縮ダイヤル メニューが表示されます。
前提条件
• 任意のテキスト エディタで、シスコが指定するディレクトリ DTD 形式の speeddial.xml というファイルを作成します。図 8-1 に示されているキーワードと形式を使用して、ローカル短縮ダイヤル リストに名前と番号を指定します。Cisco DTD 形式の詳細については、『 Cisco IP Phone Services Application Development Notes』を参照してください。
• Cisco CME ルータ上の TFTP サーバ アプリケーションにファイルをコピーします。
図 8-1 speeddial.xml ファイルのサンプル
<Title>Local Speed Dial</Title>
<Prompt>Record 1 to 1 of 1 </Prompt>
<Telephone>71111</Telephone>
<Telephone>71234</Telephone>
<Name>Tech Support</Name>
<Telephone>71432</Telephone>
要約手順
1. copy tftp flash
2. configure terminal
3. ip http server
4. ip http path flash:
詳細手順
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ステップ 1 |
copy tftp flash
Router# copy tftp flash Address or name of remote host []? 172.24.59.11 Source filename []? speeddial.xml Destination filename [speeddial.xml]? Accessing tftp://172.24.59.11/speeddial.xml... Erase flash:before copying? [confirm]n Loading speeddial.xml from 172.24.59.11 (via FastEthernet0/0):! [OK - 329 bytes] Verifying checksum... OK (0xF5DB) 329 bytes copied in 0.044 secs (7477 bytes/sec) |
TFTP サーバからルータのフラッシュ メモリにファイルをコピーします。 • 最初のプロンプトで、リモート ホストの IP アドレスまたは DNS 名を入力します。 • 両方のファイル名プロンプトで speeddial.xml と入力します。 • フラッシュの消去を求めるプロンプトで、 no を入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
global 設定モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip http server
Router(config)# ip http server |
ルータ の Cisco Web ブラウザ ユーザ インターフェイスを有効にします。 |
ステップ 4 |
ip http path flash:
Router(config)# ip http path flash: |
基本 HTTP パスをフラッシュ メモリに設定します。 |
例
次の例では、Cisco Web ブラウザを有効にして、HTTP パスをフラッシュ メモリに設定し、フラッシュ メモリ内の speeddial.xml ファイルに IP Phone がアクセスできるようにします。
トラブルシューティングのヒント
ローカル短縮ダイヤルの問題を診断するには、 debug ephone detail コマンドを使用します。
個人用短縮ダイヤル
個人用短縮ダイヤル機能を使用すると、IP Phone ごとに最大 24 の個人用短縮ダイヤル番号をプログラムできます。この機能を使用できるのは、Cisco IP Phone 7940 と Cisco IP Phone 7960 だけです。
個人用短縮ダイヤル番号は、Cisco IP Phone 7940 および Cisco IP Phone 7960 で、Directories > Local Services > Personal Speed Dials オプションから表示されるメニューのエントリとして示されます。個人用短縮ダイヤル エントリは、入力された順に表示されます。
要約手順
1. ephone phone-tag
2. fastdial dial-tag number name name-string
3. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
ephone phone-tag
Router(config)# ephone 1 |
ephone 設定モードを開始します。 • phone-tag :個人用短縮ダイヤル番号をプログラムする電話機の固有のシーケンス番号。 |
ステップ 2 |
fastdial dial-tag number name name-string
Router(config-ephone)# fastdial 1 5552 name Sales |
この IP Phone に個人用短縮ダイヤル番号のエントリを作成します。 • dial-tag:設定時にこのエントリを識別する固有の ID。値の範囲は 1 ~ 24 です。 • number:ダイヤルする電話番号または内線番号。 • name name-string:Personal Speed Dial メニューに表示されるラベル。英数字の文字列で、最大 24 文字まで指定できます。 |
ステップ 3 |
exit
Router(config-ephone)# exit |
ephone 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、1 つの IP Phone に対して 3 つの個人用短縮ダイヤル リストを持つディレクトリを作成します。
fastdial 1 5489 name Marketing
fastdial 2 12125550155 name Sales-NY
fastdial 3 12135550112 name Sales-LA
設定可能な電話機の表示
次に示す IP Phone の表示は、Cisco CME システムにおける電話機ユーザのためにカスタマイズできます。
• 「IP Phone のヘッダー バー」
• 「Cisco IP Phone 7940 と Cisco IP Phone 7960 のシステム テキスト メッセージ」
• 「Cisco IP Phone 7940 と Cisco IP Phone 7960 のシステム表示メッセージ(アイドル URL)」
• 「カスタマイズされた機能ボタンの URL プロビジョニング」
IP Phone のヘッダー バー
通常、Cisco IP Phone 7940 または Cisco IP Phone 7960 の電話機のヘッダー バー(一番上の行)には、最初の回線ボタンの横に表示されるのと同じテキストが表示されます。図 8-2 にヘッダー バーを示します。ただし、ヘッダー バーには、内線番号の代わりにユーザが定義できるメッセージを表示することもできます。たとえば、名前または電話機の完全な E.164 番号をヘッダー バーに表示することもできます。表示する説明を指定しない場合、ヘッダー バーには、電話機の最初のボタンの横に表示されるのと同じ内線番号が表示されます。
図 8-2 Cisco IP Phone の表示
要約手順
1. ephone-dn dn-tag
2. description display-text
3. exit
4. ephone phone-tag
5. restart
6. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
ephone-dn dn-tag
Router(config)# ephone-dn 55 |
ephone-dn 設定モードを開始します。 • dn-tag :表示する説明を有効にする ephone-dn を識別する固有のシーケンス番号。 |
ステップ 2 |
description display-text
Router(config-ephone-dn)# description 408-555-0134 |
指定された ephone-dn が最初の回線ボタンに関連付けられている Cisco IP Phone 7940 または Cisco IP Phone 7960 のヘッダー バーに対して表示内容を定義します。 • display-text :英数字の文字列で、最大 40 文字まで指定できます。ただし、表示されるのは 14 文字までで、その後の文字は切り捨てられます。 |
ステップ 3 |
exit
Router(config-ephone-dn)# exit |
ephone-dn 設定モードを終了します。 |
ステップ 4 |
ephone phone-tag
Router(config)# ephone 1 |
ephone 設定モードを開始します。 • phone-tag :新しい説明が表示される ephone の固有のシーケンス番号。 |
ステップ 5 |
restart
Router(config-ephone)# restart |
この ephone の高速リブートを実行します。更新情報を取得するために DHCP または TFTP サーバには連携しません。 |
ステップ 6 |
exit
Router(config-ephone)# exit |
ephone 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、電話機のヘッダー バーに電話回線の完全な E.164 番号を表示します。
Cisco IP Phone 7940 と Cisco IP Phone 7960 のシステム テキスト メッセージ
Cisco IP Phone 7940 および Cisco IP Phone 7960 では、システム テキスト メッセージ機能を使用すると、アイドル状態の電話機に対してデフォルトの静的テキスト表示を設定できます。メッセージが設定されていない場合は、デフォルトのメッセージ「Cisco CallManager Express」が表示されます。
IP Phone は一般にプロポーショナル フォント(固定幅ではない)を使用するので、表示できる文字数は決まっていません。約 30 文字の英数字を表示できます。
表示メッセージは、次のいずれかのイベントの発生後、新規メッセージにリフレッシュされます。
• 通話中の電話機がオンフックに戻ったとき
• アイドル状態の電話機がキープアライブ メッセージを受信したとき
• 電話機が再起動されたとき
同様の機能を使用して、アイドル状態の電話機に表示するファイルが含まれる URL を指定できます。「Cisco IP Phone 7940 と Cisco IP Phone 7960 のシステム表示メッセージ(アイドル URL)」を参照してください。
要約手順
1. telephony-service
2. system message text-message
3. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
telephony-service
Router(config)# telephony-service |
telephony-service 設定モードを開始します。 |
ステップ 2 |
system message text-message
Router(config-telephony-service)# system message ABC Company |
電話機がアイドル状態のときに表示するメッセージを設定します。 • text-message :表示する英数字の文字列。表示にはプロポーショナル幅のフォントが使用されるので、表示される文字数は、使用する文字の幅によって変わります。表示される最大文字数は、約 30 文字です。 |
ステップ 3 |
exit
Router(config-telephony-service)# exit |
telephony-service 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、使用中でない IP Phone に表示するテキストを指定します。
system message ABC Company
Cisco IP Phone 7940 と Cisco IP Phone 7960 のシステム表示メッセージ(アイドル URL)
システム表示メッセージ機能を使用すると、Cisco IP Phone 7940 および Cisco IP Phone 7960 が使用中でないときに表示するファイルを指定できます。この機能を使用すると、システム テキスト メッセージ機能でメッセージを指定するのと同様の方法で、電話機の表示に対して、設定可能な間隔でリフレッシュされるシステム メッセージを指定できます。この 2 つの違いは、システム テキスト メッセージ機能では電話機の画面の下部に単一行のテキストを表示するのに対し、システム表示メッセージ機能では表示領域全体を使用してグラフィック イメージを組み込むことができる点です。システム テキスト メッセージ機能の詳細については、「Cisco IP Phone 7940 と Cisco IP Phone 7960 のシステム テキスト メッセージ」を参照してください。
Cisco CME システムは URL をプロビジョニングするだけなので、システム表示メッセージ機能を使用するには、電話機のディスプレイにブラウザ ページを表示するためのバックエンド Web サーバが必要です。システム表示メッセージ機能では、電話機のソフトキーによって、電話機ユーザからの入力を受け付けて対話型サービスを実現します。
アイドル状態の電話機に対してシステム表示メッセージを指定するには、使用中でない Cisco IP Phone 7940 および Cisco IP Phone 7960 に表示する XML ファイルが含まれる URL を指定します。また、表示のリフレッシュ間隔を秒単位で指定します。指定するファイルには、テキスト、アイコン、またはイメージを含めることができます。ただし、このファイルは、『 Cisco IP Phone Services Application Development Notes』に記載されている Cisco XML DTD に準拠している必要があります。
要約手順
1. telephony-service
2. url idle url idle-timeout seconds
3. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
telephony-service
Router(config)# telephony-service |
telephony-service 設定モードを開始します。 |
ステップ 2 |
url idle url idle-timeout seconds
Router(config-telephony-service)# url idle http://www.abcwrecking.com/public/logo idle-timeout 35 |
電話機が使用中でないときに表示するファイルが含まれる URL を定義し、表示のリフレッシュ間隔を秒単位で指定します。 • url :RFC 2396 に準拠した任意の URL。 • seconds :0 ~ 300 の範囲。 |
ステップ 3 |
exit
Router(config-telephony-service)# exit |
telephony-service 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、使用中でない IP Phone に logo.htm というファイルを表示することを指定します。
url idle http://www.abcwrecking.com/public/logo.htm idle-timeout 35
カスタマイズされた機能ボタンの URL プロビジョニング
Cisco IP Phone 7940 および Cisco IP Phone 7960 には、電話機のコールのステータスやアクティビティをディスプレイ パネルに表示するようにカスタマイズされた機能ボタンがあります。これらのカスタマイズされた機能ボタンは、コール関連以外のプログラマブル サービスも起動します。サービス、ディレクトリ、メッセージ、情報(i ボタン)という 4 つのボタンは、プログラマブル URL によって該当する機能オペレーションにリンクされます。設定ボタンをカスタマイズすることはできません。
これらのボタンを実装するには、Cisco IP Phone で特定の URL をプロビジョニングします。URL は、Cisco IP Phone が認識して使用する XML タグでフォーマットされた XML ベースの Web ページを指します。機能ボタンを押すと、Cisco IP Phone は設定された URL を使用して該当する XML Web ページにアクセスし、指示を受け取ります。Web ページは、ユーザがナビゲートするための情報を画面に表示するように Cisco IP Phone に指示を送ります。ユーザはソフトキーとスクロール ボタンを使用して、オプションの選択や情報の入力を実行できます。
Cisco IP Phone 7940 および Cisco IP Phone 7960 は、IP Phone の 4 つのプログラマブル機能ボタンに関連付けられた 4 つの URL をサポートできます。IP Phone の 4 つの機能ボタンは、 url コマンド キーワードを使用して設定します。5 番目のボタン( 設定 )は、完全に電話機によって管理されます。これらのサービスのオペレーションは、IP Phone の機能と参照される URL のコンテンツによって決まります。
要約手順
1. telephony-service
2. url { directory | information | messages | services } url
3. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
telephony-service
Router(config)# telephony-service |
telephony-service 設定モードを開始します。 |
ステップ 2 |
url { directory | information | messages | services } url
Router(config-telephony-service)# url information http://10.4.212.4/CCMUser/ GetTelecasterHelpText.asp |
Cisco IP Phone で使用する URL をプロビジョニングします。4 つのキーワード( directory 、 information 、 messages 、 services )は、IP Phone の 4 つの機能ボタン(ディレクトリ、情報、メッセージ、サービス)に対応しています。 url コマンドの目的は、電話機の登録時に Cisco CME ルータが Cisco IP Phone に提供する SEPDEFAULT.cnf 設定ファイルを介して URL をプロビジョニングすることだけです。URL の最大長は 128 文字です。 url directories none コマンドを入力して、ローカル ディレクトリを無効にできます。 url コマンドを有効にするには、Cisco IP Phone をリセットする必要があります。
(注) デフォルトでは、ルータは自動的にローカル ディレクトリ サービスを使用します。ディレクトリ URL をプロビジョニングして外部ディレクトリ リソースを選択すると、Cisco CME ローカル ディレクトリ サービスが無効になります。
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ステップ 3 |
reset all [ time-interval ]
Router(config-telephony-service)# reset all |
すべての電話機の完全リブートを実行し、最新の設定情報取得のため DHCP サーバおよび TFTP サーバに連携します。 • all :Cisco CME ルータに関連付けられたすべての電話機をリセットします。 • time-interval :各電話機のリセットを開始するときの時間間隔(秒数)。値の範囲は 0 ~ 60 です。デフォルトは 15 です。 |
ステップ 4 |
exit
Router(config-telephony-service)# exit |
telephony-service 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、情報、ディレクトリ、サービス、メッセージの各ボタンをプロビジョニングします。
url information http://10.4.212.4/CCMUser/GetTelecasterHelpText.asp
url directories http://10.4.212.11/localdirectory
url services http://10.4.212.4/CCMUser/123456/urltest.html
url messages http://10.4.212.4/Voicemail/MessageSummary.asp