Cisco Unified Outbound Option
Cisco Unified Outbound Option を使用すれば、Unified Contact Center Enterprise(Unified CCE)エージェントが、インバウンド コールの処理に加えて、アウトバウンド キャンペーンにも参加できるようになります。Unified Outbound Option バージョン 6.0 には、ソフトウェア ベースの Call Progress Analysis(留守番電話の検出など)、IVR への転送モード、ダイレクト プレビュー モードなど、いくつかの重要な機能が追加されています。バージョン 7.0 では、シーケンシャル ダイヤリング、[Do-Not-Call] リストのメモリ内サポートなどの拡張機能が提供されています。
この章では、Cisco Unified Communications Manager(Unified CM)と Peripheral Gateway(PG; ペリフェラル ゲートウェイ)の環境に Unified Outbound Option を展開する場合のガイドラインについて説明します。
この章の新トピック
表 5-1 は、この章の新トピックまたはこのマニュアルの前リリースから大幅な変更があったトピックの一覧です。
表 5-1 新しい情報またはこのマニュアルの前リリースから変更された情報
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テスト済みゲートウェイの参照を削除しました。 |
「ベスト プラクティス」 |
ハイレベル コンポーネント
Unified Outbound Option では、仮想 Unified IP Phone を使用して、Unified CM に設定された音声ゲートウェイ経由でアウトバウンド コールを発信します。このダイヤラはソフトウェアで構成されているソリューションであり、トーンの生成またはトーンや音声の検出にテレフォニー カードを必要としません。
このアウトバウンド ソリューションには、次のプロセスが関係しています。
• Campaign Manager プロセスは、企業内のすべてのダイヤラに設定と顧客レコードを送信します。常にサイド A の Logger にインストールされ、1 つの顧客インスタンスだけにサービスを提供します。
• Import プロセスは、顧客レコードをインポートします。サイド A の Logger で動作します。
• Dialer プロセスは、顧客にダイヤルし、適切なスキルを持ったエージェントまたは対応可能な IVR と顧客を接続します。すべてのコンタクトの試みの結果を Campaign Manager に報告します。すべての Dialer プロセスは中央の Campaign Manager によって管理されます。ダイヤラは Agent PG と同じプラットフォームにインストールされます。
アウトバウンドの用途でエージェントを確保するには、ダイヤラごとにメディア ルーティング ペリフェラル ゲートウェイと PIM が必要です。メディア ルーティング PG は、Web Collaboration/E メール オプションや E-mail Interaction Manager/Web Interaction Manager オプションなどの他のメディア ルーティング アプリケーションと共有できます。また、展開されている Unified CCE の他のサーバに同時にロードすることもできます。「Unified CCE のコンポーネントとサーバのサイジング」を参照してください。
特性
Unified Outbound Option ソリューションを使用すれば、エージェントが、ソフトウェアの IP ベースのダイヤラを使用して、アウトバウンド キャンペーンおよびインバウンド コールに参加できます。
Unified Outbound Option には、次のような利点があります。
• 複数のコール センター サイトに IP ダイヤラを配置して、企業全体のダイヤリング機能を実現できます。Campaign Manager サーバは、中央サイトに置かれます。
• Unified ICM アドミン ワークステーションから集中管理と集中設定が行われます。
• インバウンド コールとアウトバウンド コールを、コールごとにブレンドできます。
• Unified ICM スクリプト エディタを使用してアウトバウンド モードを制御し、アウトバウンド処理で使用するスキルを持つエージェントの比率を制御することで、アウトバウンド モードを柔軟に制御できます。
• アウトバウンド固有のレポート テンプレートを使用した統合 WebView レポートを作成できます。
ベスト プラクティス
Unified Outbound Option の実装では、次のガイドラインとベスト プラクティスに従ってください。
• メディア ルーティング PG を使用してください。また、ダイヤラごとにメディア ルーティング PIM を使用してください。メディア ルーティング PG には、複数の PIM を設定して複数のダイヤラをサポートできます。
• ハイ アベイラビリティを実現するには、1 つの Unified CM クラスタに複数のダイヤラを展開します。「ハイ アベイラビリティ」を参照してください。
• ダイヤラは、そのダイヤラの登録先である Unified CM クラスタに近い場所に展開してください。
• 転送時間を 1 秒以下にする必要がある場合は、G.729 コーデックを使用しないでください。顧客からのコールに対して、IP ダイヤラがサポートしているコーデックは G.711 音声コーデックだけです。G.729 コーデックが使用されている地域に Unified Outbound Option を配置することはできますが、コーデックの切り替えにより、顧客とエージェントの間の転送時間が長くなります。
• Unified Outbound Option エージェント用に IP Communicator ソフトフォンを使用すると、顧客コールをエージェントに転送するときに、さらに遅延が発生する場合があるので注意してください。
• 1 つの Unified CM PG ペアで 3 つ以上のダイヤラを使用しないでください。
• 各ダイヤラはそれ自身のデバイス プール内に設定して、そのダイヤラのすべてのポートを 1 つの Unified CM ノードに登録してください。
• 可能な限り Unified Outbound Option トラフィックが 1 つのサブスクライバにローカライズされたままになるように、Unified CM ノードを設定してください。詳細については、「ダイヤラのスロットリングと Unified CM に関する考慮事項」を参照してください。
• 特定のペリフェラルに複数の Unified Outbound Option がある場合は、各 Unified Outbound Option 用に同じ数のポートを設定してください。
• Unified Outbound Option をインストールする際には、Unified CM サーバのサイジングが適切であることを確認してください。Unified Outbound Option は Unified CM に大きな負荷をかけます。詳細については、「ダイヤラのスロットリングと Unified CM に関する考慮事項」を参照してください。
• Unified CM サーバが過負荷にならないように、ダイヤラのコール スロットリングを有効にしてください。「ダイヤラのスロットリングと Unified CM に関する考慮事項」を参照してください。
アウトバウンド コールには、Unified CM のルーティングとダイヤル プランが使用されます。そのため、トール バイパスおよびより安価な市内通話料金を利用できるように展開されたゲートウェイを使用してコールを発信できます。
機能の説明
Unified Outbound Option Dialer は、ソフトウェアだけで構成されたプロセスで、Unified CM PG 上に共存しています。Dialer プロセスは、Unified CM、Outbound Option Campaign Manager、Computer Telephony Integration(CTI; コンピュータ テレフォニー インテグレーション)Server および MR PIM と通信セッションを行います。Dialer プロセスが Outbound Option Campaign Manager と通信する場合には、アウトバウンド顧客コンタクト レコードを取得して、アウトバウンド コールの処理結果(人による応答、留守番電話、Ring-No-Answer(RNA; 応答なし)、ビジーなど)をレポートします。Dialer プロセスが Unified CM と通信する場合には、アウトバウンド顧客コールおよびエージェント予約コールをダイヤラ ポートから発信するので、Unified CM クラスタにも影響が及びます。Dialer プロセスが CTI Server と通信する場合には、スキル グループの活動を監視し、エージェントの電話に対するサード パーティ コール制御を実行します。Dialer プロセスが MR PIM と通信する場合には、ルート要求を送信して、受信可能なエージェントを選択します。
Unified Outbound Option Dialer は、自分のペリフェラル上のすべてのエージェントの代わりに、顧客にダイヤルできます。ダイヤラはルーティング スクリプトを使用して設定されています。ダイヤラは、フル ブレンディッド モード(エージェントがインバウンドとアウトバウンドのコールを交互に処理できるモード)、スケジュール モード(8:00am から 12:00pm はインバウンド モードで、12:01pm から 5:00pm はアウトバウンド モードというような設定)、または完全なアウトバウンド モードで動作するようにルーティング スクリプトで設定できます。ブレンディッド モードが有効な場合は、ダイヤラはエージェントに対するインバウンド コールと競合します。管理スクリプトの Outbound Percent 変数に設定されているよりも多くのエージェントを、Dialer が予約することはありません。すべてのエージェントがビジーの場合でも、Dialer による追加のエージェントの予約は行われません。
ハイ アベイラビリティを実現するには、複数のダイヤラを使用します。「ハイ アベイラビリティ」を参照してください。
Unified Outbound Option では、キャンペーンごとに Call Progress Analysis を設定できます。この機能が有効になっているときには、ダイヤラがメディア ストリームを分析して、コールの種類の判別(音声、留守番電話、モデム、ファックスの検出など)を行います。
キャンペーンは、エージェントベースのキャンペーンまたは IVR ベースのキャンペーンとして実行されます。通常は、エージェントベースのキャンペーンに IVR を設定して、すべてのエージェントがビジーのときに、オーバーフローしたコールを処理できるようにします。エージェントベースのキャンペーンに IVR を含めると、FTC や FCC のテレマーケティング規制に準拠できます。IVR が設定されていない場合には、オーバーフロー エージェントを設定しないと、過剰にダイヤルされたコールがキャンセルされます。オーバーフロー エージェントは、アウトバウンド コールを受信可能ですか、エージェントごとにダイヤルする回線数を計算するときの計算対象にはなりません。IVR ベースのキャンペーンに転送する場合は、アウトバウンド コールが応答されると、すべてのコールが IVR アプリケーションに転送されます。
アウトバウンド ダイヤリング モード
Unified Outbound Option は、スキル グループに応じて、次の数種類のモードのいずれかを使用してコールを開始します。
• [Predictive] モード:エージェントごとにダイヤルする回線数が動的に計算されます。
• [Progressive] モード:管理者がエージェントごとに固定的に設定した回線数が使用されます。
• [Preview] モード:顧客のコールをエージェントが(デスクトップで有効になっているボタンを使用して)手動で承認、拒否、またはスキップします。エージェントあたり 1 回線がダイヤルされます。
• [Direct Preview] モード:エージェントがデスクトップでコールのリング音を聞けるようにします。エージェントがコールを直接発信する場合に似ています。エージェントあたり 1 回線がダイヤルされます。
• [Personal Callback] モード:後で行われるコールバックが自分に転送されるようにエージェントが指定できます。エージェントと顧客の間で事前に決められた時刻に、エージェントが顧客をコールバックします。
コール フローの説明:エージェント ベースのキャンペーン
エージェントベースのキャンペーンの場合、完了したダイヤラ コールは、Unified IP Phone とデスクトップを使用して、実際のエージェントにルーティングされます。[Predictive] モードまたは [Progressive] モードのダイヤリングのコール フローは次のとおりです(図 5-1)。
1. Dialer プロセスは、CTI サーバからのペリフェラル スキル グループに関する統計情報を継続的に監視して、受信可能なエージェントを探します。同時に、Campaign Manager は、顧客レコードのデータベースを監視して、アクティブなレコードをダイヤラに転送します。ダイヤラは、アウトバウンド キャンペーンに使用できる受信可能なエージェントを見つけると、MR PIM にルーティング要求を送信します。
2. MR PIM は、そのルーティング要求をルータに転送します。
3. Unified ICM ルータは、ルーティング スクリプトを実行し、受信可能なエージェントを選択してそのエージェントを予約してから、予約したエージェントを示すルーティング ラベル(内線番号)を返します。
4. MR PG は、受信可能なエージェントのラベルをダイヤラに返します。
5. 次に、ダイヤラは、そのエージェントの内線番号に予約コールを発信します。ダイヤラは、そのエージェントに対する予約コールを CTI サーバ経由で自動応答し、その予約コールを自動的に保留状態にします。
6. ダイヤラは、Unified CM と音声ゲートウェイを使用して、顧客コールを開始します。
7. Call Progress Analysis が設定されているときには、Dialer プロセスが RTP ストリームを分析して、人が応答した(または留守番電話が応答した)ことを検出します。人が応答したことがわかれば、ダイヤラは、ダイヤラ自身が保持しているリスト内の次の予約済みエージェントの内線に、(画面ポップアップに表示するためのコール コンテキストとともに)コールの転送をすぐに開始します。同様に、留守番電話検出が有効になっている場合には、エージェントまたは IVR にコールが転送されるかコールがドロップされる場合があります。転送されたコールは、エージェントの IP Phone の 2 番目のライン アピアランスに着信します(そのため、Unified CM の Unified CCE の内線のコール ウェイティングと 2 番目のライン アピアランスを Unified Outbound Option 用に有効にしておく必要があります)。
8. ダイヤラは、CTI サーバ経由でエージェントに転送されたコールに自動応答して、顧客とエージェントの間の音声パスがすばやく確立されるようにします。この処理により、顧客をコールするために使用されたダイヤラ ポートは開放されます。次に、ダイヤラは、このエージェントに対する予約コールを切断します。また、ダイヤラは Campaign Manager を更新して、このコールで人による応答が検出されたことを示します。エージェントがアウトバウンド コールを処理し終わると、同じメッセージ フローを使用して、そのエージェントを別のアウトバウンド コールに予約できます。
前述のメッセージ フローには、[Predictive] モードまたは [Progressive] モードのダイヤリングのフローが説明されています。これら 2 つのダイヤリング モードの違いは、ダイヤラがアウトダイヤル レートを決定する方法(ダイナミックまたは固定)だけです。プレビュー ダイヤリングの場合、エージェントには顧客レコードの画面ポップアップが表示されます。エージェントがこのコールを発信する場合は、エージェント デスクトップ上でエージェントが [accept] をクリックする必要があります。この操作により CTI イベントが生成されて、ダイヤラがこの顧客へのコールを開始します。
図 5-1 エージェントベースのキャンペーンのコール フロー
コール フローの説明:IVR に転送する形態のキャンペーン
IVR ベースのキャンペーンの場合、次のプロセスに従って、人が応答したコールが IVR システムに転送されます(図 5-1)。
1. 顧客へのコールをダイヤラが開始します。
2. RTP ストリームが分析されて、音声が検出されます。
3. ダイヤラは、事前に設定されたルートポイントへのインライン転送を要求します。
4. Unified CM PG が、そのルータに対するトランスレーション ルートを要求します。
5. ルータが応答します。
6. 応答が変換されて Unified CM に送信されます。
7. Unified CM がコールを IVR に転送します。
図 5-2 IVR ベースのキャンペーンのコール フロー
Campaign Manager
サイド A の Logger に常駐する Campaign Manager は次のタスクを処理します。
• キャンペーン スケジュールを管理する
• システムとダイヤラの設定を保守する
• 設定で変更可能なクエリー ルールに基づいて、キャンペーンからどのコンタクト レコードを取得するかを決定し、コンタクト レコードをダイヤラに配信する
• Import プロセスおよびシステム内のすべての使用可能なダイヤラに設定データを配信する
• リアルタイム データと履歴データを収集して、Unified ICM Call Router に送信する
• メモリ内の [Do-Not-Call] リストを保守し、変更されたときには更新する
• データベース内の [Do-Not-Call] リストにある顧客レコードをマーキングして、これらのレコードに対しては、それ以上処理が行われないようにする
Campaign Manager は、サイド A の Logger と同じシステムで動作するので、コンタクト リストと [Do-Not-Call] リストの大規模なインポートは業務時間外にスケジュールすることが重要です。
Unified Outbound Option の展開
この項では、Unified Outbound Option の展開モデルについて説明します。
単一ダイヤラの展開
図 5-3 は、単一ダイヤラのインストールを示しています。ダイヤラは二重 PG のサイド A にインストールされるように図示されていますが、これは要件ではありません。単一ダイヤラの設定では、96 個のポートを設定できます。この配置モデルは、拡張性およびハイ アベイラビリティが求められていない場合に使用します。
図 5-3 単一ダイヤラの展開
シンプレックス Agent PG の展開では、1 つの Agent PG および Unified CM クラスタでサポートされる Dialer プロセスは 1 つだけです。
Cisco Unified Contact Center Enterprise の展開では、Unified Outbound Option Dialer およびメディア ルーティング PG プロセスは Agent PG と同じ物理サーバ上で実行します。Unified System CCE(Unified SCCE)の展開の場合は、Dialer プロセスとメディア ルーティング PG プロセスは、Agent PG と共存することも、Agent PG とは異なる物理サーバ上で実行することもできます(「Unified System CCE の設定」を参照)。デュプレックス PG ペア上の 2 つのダイヤラの展開では、ダイヤラごとに専用のメディア ルーティング PIM を使用するので、メディア ルーティング PG には 2 つの PIM があります。
ダイヤラと Unified CM クラスタの間の接続は、複数の Skinny Client Control Protocol(SCCP)セッションで構成されており、各ダイヤラ ポートに 1 つのセッションが割り当てられています。図 5-3 に示されているデュプレックス PG(サイド A とサイド B)は、Generic PG(Unified CCE PIM および Unified IP IVR PIM 搭載)、MR PG、CTI サーバ、および CTIOS サーバ プロセスで構成されています。デュプレックス PG と Unified CM クラスタの間の接続は JTAPI リンクです。
(注) ダイヤラと IP エンドポイント(音声ゲートウェイや IP Phone など)の間には、G.711 プロトコルが必要です。
複数ダイヤラの展開
図 5-4 に、2 つのダイヤラを使用した展開モデルを示します。各ダイヤラは、それぞれのサイドの Unified CM サブスクライバに関連付けられており、ダイヤラのすべてのポートがそのサブスクライバの 1 つのデバイス プールに設定されています。図に示されている設定では、192 個のダイヤラ ポートがあります。規模を拡張するには、ダイヤラ(PG サイド A と B)とサブスクライバのペアを、Unified CM クラスタごとに最大 4 ペア(つまり、8 個のダイヤラ、PG サイド、サブスクライバ)まで追加できます(図 5-5 を参照)。この配置モデルで複数のダイヤラを使用すると、ハイ アベイラビリティを実現できます。ハイ アベイラビリティの詳細については、「ハイ アベイラビリティ」を参照してください。
図 5-4 複数のダイヤラの展開(2 ダイヤラ)
図 5-5 複数のダイヤラの展開(8 ダイヤラ)
WAN 経由のクラスタリング
WAN を経由して Unified CCE をクラスタ構成にする展開モデルでは、WAN のもう一方の側に冗長化のためのコンポーネントを展開すれば、ハイ アベイラビリティを向上できます(「展開モデル」)。Unified Outbound Option のハイ アベイラビリティ モデルは、WAN 経由のクラスタリングで使用されるモデルとは異なります。そのため、WAN 経由のクラスタリングを展開するときは、WAN 経由のクラスタリングの利点がインバウンド トラフィックだけに適用されることに注意してください。
分散型の展開
分散型の展開モデルには、1 つのサイトに配置された中央 Unified ICM システムと Unified CM および Logger にインストールされた Campaign Manager、および WAN 経由で到達可能な第 2 のサイトに配置されたダイヤラ、PG、第 2 の Unified CM システムと Unified Outbound Option が含まれます。Campaign Manager は、ダイヤラ レコードを WAN 経由で送信し、ダイヤラはローカルの顧客にコールを発信します。2 番目のサイトは、インバウンド エージェントもサポートします。「IPT:複数のサイトに対する分散型コール処理」を参照してください。
音声ゲートウェイの近さ
Unified Outbound Option Dialer は、Unified CCE PG および Unified CM クラスタ(音声ゲートウェイを含む)と同じ場所に配置する必要があります。Dialer は G.711 μ-law だけをサポートするので、大きい WAN 帯域幅のブロックを割り当てることが必要になる場合があります。Dialer が G.729 をサポートしていない場合でも、コールの顧客とエージェントの間の部分については G.729 をサポートできます。このタイプの構成は、トランスコーダを使用しなくてもサポートできます。
この展開形態では、ダイヤラは(実際は G.729 をサポートしていませんが)G.729 機能をアドバタイズします この処理によって、ダイヤラからエージェントへの予約コールを完了させることができるようになります。ダイヤラから顧客へのコールには G.711 を使用する必要があります。ただし、顧客のコールは、次にエージェントに転送され、再ネゴシエートされて G.729 で処理されます。
(注) 音声ゲートウェイが WAN 経由でリモート設置されている場合は、コール転送でさらに遅延が発生するため、再ネゴシエーションを使用しないことをお勧めします。そのような構成では、G.711 コーデックを使用することをお勧めします。
Unified CCE Hosted の展開
Unified CCE Hosted 環境では、アウトバウンド オプションは CICM Complex 内の CICM 顧客インスタンスの 1 つにだけ展開できます。つまり、その CICM Complex 内の他の CICM 顧客インスタンスの顧客は、アウトバウンド オプションを使用または展開できません。
Unified Outbound Option の設定
この項では、Unified Outbound Option の設定の考慮事項について説明します。
Unified System CCE の設定
Unified System CCE(Unified SCCE)は、Enterprise Unified CCE のインストールと設定を簡素化した展開モデルです。Unified Outbound Option Dialer は、Agent PG と共存することも、Dialer やメディア ルーティング PG コンポーネントがある別のコンピュータにインストールすることもできます。Agent PG と共存しない場合、Unified SCCE でサポートされる Dialer プロセスは 1 つだけです。したがって、ダイヤラ オフボード シナリオではハイ アベイラビリティはサポートされません。
Unified Outbound Option のサイジング
展開をサイジングするときは、予想されるヒット率、エージェントごとのダイヤルされる回線数、平均処理時間などの他の重要な要素も考慮することなく、PG で許可されるアウトバウンド エージェントの最大数だけを使用しないでください。平均処理時間が 10 秒のアウトバウンド キャンペーンで、エージェントごとのダイヤル回線が 10 の場合、サポートできるのは約 20 エージェントだけですが、2 つのダイヤラの 192 のポートを完全に占有します。一方、処理時間が平均 2 分のキャンペーン、エージェントごとにダイヤルする回線が 3、ヒット率が 30% の場合は、PG ビジーで許可される最大数のエージェントが維持される可能性があります。
Unified Outbound Option をサイジングする場合は、次の場所にある Cisco Unified Contact Center Enterprise Sizing Tool (シスコの従業員および適切なログイン認証を持つパートナーが使用できます)を使用します。
http://www.cisco.com/web/partners/sell/technology/ipc/integrated-solutions/customer_contact_center.html
このツールの出力は、Unified CM のキャパシティ要件を算出するための入力としても使用します。
ダイヤラのスロットリングと Unified CM に関する考慮事項
スロットリングは、ダイヤラ レベル(/icm/ <custname> /Dialer)の PortThrottleCount と PortThrottleTime という 1 対のレジストリ キーで制御されています。PortThrottleCount は制限するポートの数を示し、PortThrottleTime はそれらのポートを制限する時間(秒単位)を示しています。Cisco MCS-7845 サーバおよび MCS-7835 サーバの場合、これらの値を count = 10 および time = 2 秒に設定することをお勧めします。このように設定すると、ダイヤラはキャンペーンの最初の 2 秒間には 10 のポートだけでコールを実行し、次の 2 秒間には次の 10 ポートを使用するというようにして、96 のポートすべてを利用するまで続けます。
PortThrottleCount を 10 にすると、1 つのダイヤラで 1 秒間に 5 コールの割合でダイヤリングでき、Unified CM が他の着信トラフィックに応答したり、さらには一部の共有リソースに対応したりするのに十分な余裕があるはずです。この設定は、ほとんどの状況で問題なく動作します。さらに高いコール率が必要な展開の場合は、任意の 1 つのサブスクライバに対するすべてのトラフィックのコール率が、常に 1 秒間に 10 コールを超えないようにする必要があります。トラフィックがサブスクライバ間で共有されないように注意する必要があります。
現在、デュアルプロセッサの MCS-7845 サーバで実行している Unified CM サブスクライバ ノードの最大キャパシティは、1 秒間に 10 コールです。各ダイヤラは、1 秒間に 10 コール以上の割合でダイヤルするキャパシティを備えています。Unified CM サブスクライバが過負荷状態になる可能性があるような方法でソリューションを展開した場合、顧客のコールがドロップしたりダイヤリングの効率が低下したりするリスクがあります。
スロットリング メカニズムは各 Dialer プロセスにあり、別のダイヤラが Unified CM のリソースを共有しているかどうかは認識されません。したがって、2 つのダイヤラが同じデバイス プールまたはトランクを共有している場合、コールがドロップしたりダイヤリングの効率が低下したりするリスクがあります。
Unified CM の設定は、2 つのダイヤラが共有リソースを大量に使用しないよう、個別の Unified CM サブスクライバ ノードに対する特定のダイヤラの全トラフィックを制限するように設計して実装する必要があります。つまり、各ダイヤラにはただ 1 つのサブスクライバを指し示す個別のデバイス プールが必要です。また、各ダイヤラには、Unified CM サブスクライバで設定された専用のコーリング サーチ スペース、パーティション、トランスレーション パターン、およびトランクも必要です。
H.323 および MTP リソースを使用した Unified CVP への転送
顧客からコンタクトがあってもそのとき対応できるエージェントがいない場合、または無人キャンペーンが実装されている場合は、コールは IVR に転送されます。ソリューションの設計で Unified CVP 4. x 以前のリリースと H.323 プロトコルを使用している場合は、コールを IVR に転送するときに Media Termination Point(MTP; メディア ターミネーション ポイント)リソースが必要です。必要な MTP を最小限にするため、Unified CVP に転送されるコール用に設定するトランクは、外部ゲートウェイに使用するトランクと分ける必要があります。Unified CVP 7.0 以降のリリースでは、MTP は必要なくなりました。
コール転送のタイムライン
顧客コールからエージェントへのコール転送の完了に要する時間は、テレフォニー環境に大きく依存します。次の要因により転送時間が長くなる可能性があります。
• Cisco Unified Communications インフラストラクチャの不適切な設定:サーバ間のポート速度が不一致または帯域幅が不適切。
• WAN:WAN の信頼性が低いか、設定が不適切。
• IP Communicator:ハード フォンなどの専用ハードウェア プラットフォームで動作するソフトウェアと同じシステム優先度が、デスクトップ上で実行されているメディアの終端に設定されていない。顧客がより安価なルートを採用しているのが明らかで、より信頼性の低いソリューションを容認しているのでない限り、Unified Outbound Option ではこのような設定を使用しないことをお勧めします。
• Call Progress Analysis:Call Progress Analysis をキャンペーンに対して有効にすると、音声品質がよい場合でも、音声と留守番電話を区別するために 0.5 秒程度のオーダーで時間がかかる。携帯電話を呼び出している場合は、音声品質が劣化する場合が多いので、ダイヤラが区別に要する時間は、少し長くなる場合があります。
ハイ アベイラビリティ
Unified Outbound Option では、Unified CM クラスタごとに複数のダイヤラを使用することで、ハイ アベイラビリティを実現しています。コールはダイヤラ間に均等に分散されます。一方のダイヤラに障害が発生した場合は、残りのキャンペーン コンタクトをサポートするように設定されている相手側のダイヤラへのコールの再ルーティングが、エンタープライズ全体で行われます。障害が発生したダイヤラで進行中だったコールは、再試行されるようにマーキングされます。
(注) Unified Outbound Option の Campaign Manager と Import プロセスのコンポーネントは、シンプレックス コンポーネントであり、Logger(サイド A)とともに配置する必要があります。
通常の手法としては、クラスタをまたいで電話機が配置されている Unified CM ノードで障害が発生した場合に、別の Unified CM にフェールオーバーできるように Unified IP Phone をセットアップします。ダイヤラは通常の IP Phone ではないので、クラスタ内の複数のノードをまたいでダイヤラのポートを配置しないようにしてください。
キャンペーンを開始するときやリソース(エージェント、または IVR に転送する形態のキャンペーンの場合は IVR ポート)が使用可能なときには、ダイヤラが Unified CM ノードに重い負荷をかける可能性があります。負荷分散またはノードの障害に対応するために 2 つのダイヤラが Unified CM を共有するように設定されている場合には、ハイ アベイラビリティ機能が動作すると、システムの残りの部分のパフォーマンスにマイナスの影響を与える場合があります。各ダイヤラのポート スロットリング メカニズムは独立しているので、別のダイヤラが同じ Unified CM を共有している可能性があるとは認識していません。2 つのダイヤラが競合する場合、サブスクライバがコード イエロー状態になる可能性があります。
ハイ アベイラビリティを実現するためにダイヤラを設定する場合の一般的なルールは、他に害を及ぼさないことです。このガイドラインの一部として、ダイヤラは Unified CM のパフォーマンスに大きく影響することを認識してください。したがって、 http://www.cisco.com/web/partners/sell/technology/ipc/integrated-solutions/customer_contact_center.html にある Resource Calculator を実行し(適切なログイン認証が必要です)、展開の設計を検証することをお勧めします。
Cisco Unified Mobile Agent
モバイル エージェントは、アウトバウンド キャンペーンに対してサポートされます。ただし、固定接続だけがサポートされます。Cisco Unified Mobile Agent の詳細については、「Cisco Unified Mobile Agent」を参照してください。