Cisco IOS XR の診断の実行
ここでは、Cisco IOS XR のオンライン診断について説明します。この機能を使用すると、稼動中のネットワークに接続したままでハードウェアの機能をテストおよび検証できます。
Cisco IOS XR 診断の機能履歴
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リリース 3.3.0 |
Cisco CRS-1 ルータにこの機能が追加されました。 |
リリース 3.4.0 |
モニタ syslog、モニタ間隔、テストの障害カウントしきい値のサポートなど、ヘルス モニタリング診断の設定が追加されました。 show diagnostic result コマンドおよび show diagnostic content コマンドの出力は、診断のモニタリングのサポートを含むように変更されました。 FDIAG RUNNING ステートのノードに関する show diagnostic content コマンドの出力は、オフライン テスト スイートの実行をより制御できるように拡張されました。 次のオンライン診断テストが追加されました。 • Control Ethernet Inactive Link Test • Self-Ping over Fabric • RommonRevision • Fabric Diagnostic Test |
リリース 3.5.0 |
次のコマンドがサポートされました。 • diagnostic ondemand action-on-failure • diagnostic ondemand iterations • show diagnostics ondemand settings • show diagnostic status 物理レイヤ インターフェイス モジュール(PLIM)テストのサポートが追加されました。 次のオンライン診断テストがサポートされました。 • File System Functionality Verification Test • Scratch Register Test |
リリース 3.6.0 |
変更ありません。 |
リリース 3.6.2 |
Fabric Multicast Diagnostic Test がサポートされ、Fabric Diagnostic Test が強化されました。 |
リリース 3.7.0 |
Cisco CRS-1 ルータについて、オンライン診断が Diagnostics パッケージから Base パッケージに移行されました (オフライン診断は Diagnostics パッケージのままです)。 |
リリース 3.8.0 |
Cisco CRS-1 ルータの次の機能のサポートが追加されました。 • ヘルス モニタリング診断でテスト番号ではなくテスト名。 • Modular Service Card(MSC; モジュラ サービス カード)の最小限のブートアップ診断。 • MSC のメンテナンス モード。 |
診断を実行するための前提条件
• この設定作業を行うには、Cisco IOS XR ソフトウェアのシステム管理者が、対応するコマンド タスク ID を含むタスク グループに関連付けられたユーザ グループにユーザを割り当てる必要があります。 すべてのコマンド タスク ID は、各コマンド リファレンスおよび『 Cisco IOS XR Task ID Reference Guide 』に記載されています。
タスク グループの割り当てについてサポートが必要な場合は、システム管理者に連絡してください。 ユーザ グループおよびタスク ID の詳細については、『 Cisco IOS XR Software System Security Configuration Guide 』の「 Configuring AAA Services on Cisco IOS XR Software 」モジュールを参照してください。
• Cisco CRS-1 ルータでオンライン診断を実行するには、ルータに Base パッケージをロードし、アクティブ化する必要があります。
• Cisco CRS-1 ルータでオフライン診断を実行するには、ルータに Diagnostics パッケージをロードし、アクティブ化する必要があります。
診断の実行に関する制約事項
• Cisco XR 12000 シリーズ ルータは、diag という診断コマンドをサポートします。diagnostic コマンドおよび show diagnostic コマンドが Cisco XR 12000 シリーズ ルータの help ストリングに表示されますが、このルータではサポートしていません。Cisco XR 12000 シリーズ ルータで diagnostic コマンドおよび show diagnostic コマンドを実行すると、エラー メッセージが表示されるか、要求した出力が表示されません。
• diag コマンドが Cisco XR 12000 シリーズ ルータの help ストリングに表示されるのは、c12k-diags.pie をロードし、アクティブ化した場合のみです。c12k-diags.pie がロードされていない場合、help ストリングに「diag」と入力すると diagnostic コマンドにマップされますが、diagnostic コマンドは Cisco XR 12000 シリーズ ルータではサポートされません。
• Cisco CRS-1 のオンライン診断は、共有ポート アダプタ(SPA)をサポートしません。
• Cisco CRS-1 のオフライン診断の場合、SPA、PLIM、および Service Processor(SP; サービス プロセッサ)のサポートは MSC ノードからのみ使用できます。つまり、SPA、PLIM、またはSP でオフライン診断を実行するには、R/S/CPU0 ノードにロードしている必要があります。
使用できるオンライン診断テスト
Cisco CRS-1 ルータでは、次のオンライン診断テストがサポートされます。
• Control Ethernet Ping Test - テストを開始するノードからシャーシ内の各 Control Ethernet ノードに「ping」を実行する、中断を伴わないテスト。このテストは同時に 1 つのノードに ping を 1 回送信し、応答が返されるか、2 秒の最大タイムアウトに達するまで待機してから、次のノードへの ping 送信処理に進みます。返された ping 応答は、送信した ping とバイト単位で比較して検証されます。ping の送信対象は、テストを実行するノードと同じシャーシ内にあるアクティブなノードのみです。1 つのノードにつき ping が 1 度だけ送信されます。各 ping のペイロードは 100 バイトです。すべてのノードが ping に応答し、応答が送信した ping と一致する場合、テスト結果は PASS です。
• Fabric Ping Test - テストを開始したノードからシャーシ内のファブリック上の各ノードに「ping」を実行する、中断を伴わないテスト。このテストは同時に 1 つのノードに ping を 1 回送信し、応答が返されるか、2 秒の最大タイムアウトに達するまで待機してから、次のノードへの ping 送信処理に進みます。返された ping 応答は、送信した ping とバイト単位で比較して検証されます。ping の送信対象は、テストを実行するノードと同じシャーシ内にあるアクティブなノードのみです。ファブリック内にはトラフィックの未確定のパスがあるため、カバレッジを最大限にするために、1 ノードにつき 72 個の ping が送信されます。各 ping のペイロードは 1 キロバイトです。すべてのノードがすべての ping に応答し、すべての応答が送信した ping と一致する場合、テスト結果は PASS です。応答がない ping には 2 秒間の待機タイムアウトがあるため、到達不能のノードと断続的に機能するノードは、テストの合計実行時間に影響を及ぼします。そのため、ノードがすべてのファブリックの接続を失うという最悪の場合、そのノードのテスト時間は最長 2.5 分に達する可能性があります。合計テスト時間は、テスト対象のラックに含まれるアクティブ ノードの数と、失敗するファブリック接続があるノードの数に左右されます。
• Control Ethernet Inactive Link Test - 同じラック内のスタンバイ Route Processor(RP; ルート プロセッサ)とその他すべてのノード間の非アクティブな Control Ethernet リンクを検証する、中断を伴わないテスト。RP でのみこのテストを利用できます。また、スタンバイ RP でのみ開始できます。このテストは、非アクティブな Control Ethernet(CE)リンクを使用して、「ping」パケットをテスト対象ノードに送信します。各ノードからは、次の 3 つの応答が返されます。
– 非アクティブな CE の返信リンクに沿って返される応答。テスト対象からスタンバイ RP への非アクティブな CE リンクを検証します。
– アクティブな RP CPU を経由してスタンバイ RP へのアクティブな CE リンクに沿って返される応答。スタンバイ RP からテスト対象への外部の非アクティブ CE リンクを検証します。
– スタンバイ RP へのアクティブな CE リンクに沿って返される応答。内部のテスト対象 CE パスを検証します。
返された各応答は、送信した ping とバイト単位で比較して検証されます。テスト対象から 3 つの応答がすべて返されるか、2 秒のタイムアウトに達すると、ラック内の次のノードに対して同じ手順を繰り返します。非アクティブな CE リンクに接続するすべてのノードがテストされるまで手順は繰り返されます。すべてのノードがすべての ping に応答し、すべての応答が送信した ping と一致する場合、テスト結果は PASS です。このテストは、切り替え前に、スタンバイ RP の CE の接続を「有効と判断する」ために使用できます。
• Self-Ping over Fabric Test - ノードが自身に対してファブリック上で「ping」を実行する、中断を伴わないテスト。このテストは、ファブリック ping をノード自身に送信し、応答が返されるか、2 秒の最大タイムアウトに達するまで待機します。返された ping 応答は、送信した ping とバイト単位で比較して検証されます。各 ping のペイロードは 100 バイトです。この単一の ping 送信は、300 ms 間隔で 100 回繰り返されます。すべての ping に応答があり、すべての応答が送信した ping と一致する場合、テスト結果は PASS です。このテストの通常の実行時間は 30 秒です。応答がない ping には 2 秒間の待機タイムアウトがあるため、失敗したファブリックの接続があるノードのテスト時間は、最長 3.5 分に達する可能性があります。
• RommonRevision Test - ノードがサポートする最低限のバージョンの ROM Monitor(ROMMON)を実行していることを検証する、中断を伴わないテスト。ノードをリブートすると、現在のバージョンの ROMMON が取得され、共有メモリ スペースに保存されます。この共有メモリ スペースには ROMMON の実行バージョンがクエリーされ、そのバージョンは、サポートする最低限のバージョンの ROMMON と比較されます。実行バージョンが最低限のバージョン以下の場合、テストは失敗します。
• File System Functionality Verification Test - ハードディスクまたはフラッシュ ディスク上のファイルの作成、書き込み、読み取り、削除を行う基本的な機能を検証する、中断を伴わないテスト。テスト対象のディスクで障害が検出されない場合、テスト結果は PASS になります。障害が検出された場合、単一のディスク デバイスの場所が特定されます。このテストは、RP ノードおよび Distributed Route Processor(DRP; 分散型ルート プロセッサ)ノード上で実行されます。
• Scratch Register Test - テスト対象の ASIC が適切に動作しているように見えることをアサートする、中断を伴わないテスト。このテストは、RP、DRP、および Line Card(LC; ラインカード)で実行されます。このテストでは、対象の ASIC が選択した内部の場所で値の書き込みと読み取りを適切に実行しているかどうかをチェックします。選択される場所は、現在適切に動作している ASIC の機能には影響がない値の場所です。テスト対象のレジスタで障害が検出されない場合、テスト結果は PASS になります。障害が検出された場合、単一の ASIC の場所が特定されます。
• Fabric Diagnostic Test - ユニキャスト アドレスを使用して、スタンバイ RP ノードから、シャーシ内の各 RP/LC/DRP ノードにユニキャスト ping を実行する、中断を伴わない障害分離テスト。このテストは、異なるファブリック プレーンを経由するユニキャスト ping テスト パケットを操作し、ファブリック プレーン情報を含むユニキャスト ping(PASS または FAIL)の結果を集約し、その結果を分析し、シャーシ内で最も論理的な障害ポイントがあればそれを指摘します。テストを実行できるのは、次のテスト タイプのいずれかのスタンバイ RP からのみです。
– On demand
– Scheduled
– Configured to monitor health
Cisco CRS-1 マルチシェルフ システムでこのテストを実行すると、システムのユニキャストの最も論理的な障害ポイントであるファブリック ステージ(S1、S2、または S3)を判断するときに役立ちます。
このテストは、システム内の各 LC ラック スタンバイ RP で実行する必要があります。たとえば、テストが複数の LC ラックでの障害を報告し、障害情報が同じファブリック プレーンを指す場合、最も可能性が高い障害ポイントは S2 ステージです。これはシステムのファブリック シャーシのカードです。
• Fabric Multicast Diagnosis Test - マルチキャスト アドレスを使用して、スタンバイ RP ノードから、シャーシ内の各 RP/LC/DRP ノードに「マルチキャスト ping」を実行する、中断を伴わない障害分離テスト。このテストは、異なるファブリック プレーンを経由するマルチキャスト ping テスト パケットを操作し、ファブリック プレーン情報を含むマルチキャスト ping(PASS または FAIL)の結果を集約し、その結果を分析し、シャーシ内で最も論理的な障害ポイントがあればそれを指摘します。テストを実行できるのは、次のテスト タイプのいずれかのスタンバイ RP からのみです。
– On demand
– Scheduled
– Configured to monitor health
Cisco CRS-1 マルチシェルフ システムでこのテストを実行すると、システムのマルチキャストの最も論理的な障害ポイントであるファブリック ステージ(S1、S2、または S3)を判断するときに役立ちます。
このテストは、システム内の各 LC ラック スタンバイ RP で実行する必要があります。たとえば、テストが複数の LC ラックでの障害を報告し、障害情報が同じファブリック プレーンを指す場合、最も可能性が高い障害ポイントは S2 ステージです。これはシステムのファブリック シャーシのカードです。
その他の参考資料
Cisco IOS XR の診断に関連する参考資料を示します。
関連資料
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診断コマンド:詳細なコマンド構文、コマンド モード、コマンド履歴、デフォルト、使用方法のガイドライン、および例 |
『Cisco IOS XR Interface and Hardware Component Command Reference』 |
規格
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この機能によりサポートされた新規規格または改訂規格はありません。またこの機能による既存規格のサポートに変更はありません。 |
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RFC
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この機能によりサポートされた新規 RFC または改訂 RFC はありません。またこの機能による既存 RFC のサポートに変更はありません。 |
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シスコのテクニカル サポート
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