Cisco IOS XR ソフトウェアでの物理インターフェイスのプリコンフィギュレーション
ここでは、Cisco IOS XR ソフトウェアをサポートするルータでの物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションについて説明します。
プリコンフィギュレーションは、Cisco CRS-1 ルータでは次のインターフェイスでサポートされています。
• 管理イーサネット
• ギガビット イーサネット
• 10 ギガビット イーサネット
• Packet-over-SONET/SDH(POS)
• Spatial Reuse Protocol(SRP)
プリコンフィギュレーションは、Cisco XR 12000 シリーズ ルータでは次のインターフェイスでサポートされています。
• 管理イーサネット
• ギガビット イーサネット
• 10 ギガビット イーサネット
• ファスト イーサネット
• POS
• シリアル
• ATM
プリコンフィギュレーションによって、モジュラ サービス カードをルータへの装着前に設定できます。カードを装着すると、ただちに設定されます。
プリコンフィギュレーション情報は、通常の方法で設定されたインターフェイスの場合とは異なり、別のシステム データベース ツリー ルート プロセッサ(RP)上の プリコンフィギュレーション ディレクトリ )に作成されます。
検証機能が動作するのはモジュラ サービス カード上に限られるため、モジュラ サービス カードが存在していなければ検証できないプリコンフィギュレーション データもあります。このようなプリコンフィギュレーション データは、モジュラ サービス カードを装着し、検証機能が起動したときに検証されます。設定がプリコンフィギュレーション領域からアクティブ領域にコピーされるときにエラーが検出されると、設定は拒否されます。
(注) プリコンフィギュレーションを実行できるのは物理インターフェイスだけです。
Cisco IOS XR ソフトウェアでの物理インターフェイスのプリコンフィギュレーション機能の履歴
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リリース 2.0 |
Cisco CRS-1 ルータに POS のプリコンフィギュレーション機能が追加されました。 |
リリース 3.0 |
Cisco CRS-1 ルータにイーサネットのプリコンフィギュレーション機能が追加されました。 |
リリース 3.2 |
Cisco XR 12000 シリーズ ルータのサポートが追加されました。 |
リリース 3.3.0 |
Cisco CRS-1 ルータおよび Cisco XR 12000 シリーズ ルータに管理イーサネットのプリコンフィギュレーション機能が追加されました。 Cisco XR 12000 シリーズ ルータにファスト イーサネットおよびシリアル インターフェイスのプリコンフィギュレーション機能が追加されました。 Cisco CRS-1 ルータ上で、4 ポート OC-192c/STM-64c POS/DPT PLIM について SRP インターフェイスのプリコンフィギュレーション機能が追加されました。 |
リリース 3.4.0 |
このモジュールの設定手順が拡張されました。 Cisco XR 12000 シリーズ ルータに ATM インターフェイスのプリコンフィギュレーション機能が追加されました。 |
リリース 3.5.0 |
変更ありません。 |
リリース 3.6.0 |
変更ありません。 |
リリース 3.7.0 |
変更ありません。 |
リリース 3.8.0 |
変更ありません。 |
物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションを行うための前提条件
物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションを行う前に、次の条件が満たされていることを確認してください。
• この設定作業を行うには、Cisco IOS XR ソフトウェアのシステム管理者が、対応するコマンド タスク ID を含むタスク グループに関連付けられたユーザ グループにユーザを割り当てる必要があります。 すべてのコマンド タスク ID は、各コマンド リファレンスおよび『 Cisco IOS XR Task ID Reference Guide 』に記載されています。
タスク グループの割り当てについてサポートが必要な場合は、システム管理者に連絡してください。 ユーザ グループおよびタスク ID の詳細については、『 Cisco IOS XR Software System Security Configuration Guide 』の「 Configuring AAA Services on Cisco IOS XR Software 」モジュールを参照してください。
• プリコンフィギュレーション ドライバおよびファイルがインストールされている必要があります。プリコンフィギュレーション ドライバがインストールされていなくても物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションを行える場合もありますが、ルータ上で有効なインターフェイス名の文字列を提供するインターフェイス定義ファイルを設定するには、プリコンフィギュレーション ファイルが必要です。
物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションに関する情報
インターフェイスのプリコンフィギュレーションを行うには、次の概念を理解しておく必要があります。
• 「物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションの概要」
• 「インターフェイスのプリコンフィギュレーションを行う利点」
• 「インターフェイス プリコンフィギュレーション コマンドの使用方法」
• 「アクティブ/スタンバイ RP および仮想インターフェイスの設定」
物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションの概要
プリコンフィギュレーションは、インターフェイスがシステムに存在しないうちにインターフェイスを設定する作業です。プリコンフィギュレーションされたインターフェイスは、位置(ラック/スロット/モジュール)が一致するインターフェイスが実際にルータに装着されるまで検証または適用されません。適切なモジュラ サービス カードが装着され、インターフェイスが作成されると、事前に作成された設定情報が検証され、問題がなければ、ただちにルータの実行コンフィギュレーションに適用されます。
(注) 適切なモジュラ サービス カードを装着するときには、適切な show コマンドを使用してプリコンフィギュレーションの内容を検証してください。
プリコンフィギュレーション済みの状態にあるインターフェイスを表示するには、 show run コマンドを使用します。
(注) カードを装着し、インターフェイスをアップ状態にするときに、想定される設定と実際にプリコンフィギュレーションされたインターフェイスを比較できるように、サイト プランニング ガイドにプリコンフィギュレーション情報を記入することをお勧めします。
ヒント プリコンフィギュレーションを実行コンフィギュレーション ファイルに保存するには、commit best-effort コマンドを使用します。commit best-effort コマンドは、ターゲット コンフィギュレーションと実行コンフィギュレーションを結合し、有効な設定だけをコミットします(ベストエフォート)。セマンティック エラーにより一部の設定が適用されないこともありますが、その場合でも有効な設定はアップ状態になります。
インターフェイスのプリコンフィギュレーションを行う利点
プリコンフィギュレーションによって、新しいカードをシステムに追加するときのダウンタイムが短縮されます。プリコンフィギュレーションを行うと、新しいモジュラ サービス カードが即座に設定され、カードのブートアップ中も動作します。
プリコンフィギュレーションを行うもう 1 つの利点は、モジュラ サービス カードの交換時に、カードを取り外した後でも、以前の設定を表示し、変更できることです。
インターフェイス プリコンフィギュレーション コマンドの使用方法
システムにまだ存在しないインターフェイスのプリコンフィギュレーションを行うには、グローバル コンフィギュレーション モードで interface preconfigure コマンドを使用します。
interface preconfigure コマンドによって、ルータはインターフェイス コンフィギュレーション モードに移行します。ユーザは、使用可能なすべてのコマンドを追加できます。プリコンフィギュレーションされたインターフェイス用に登録された検証機能により、設定が検証されます。ユーザが end コマンドを入力するか、それに対応する exit コマンドやグローバル コンフィギュレーション コマンドを入力すると、プリコンフィギュレーションが完了します。
(注) モジュラ サービス カードを装着しなければ検証できない設定もあります。
(注) 新たにプリコンフィギュレーションされたインターフェイスには no shutdown コマンドを入力しないでください。このコマンドの no 形式は既存の設定を削除するものであり、この場合は既存の設定が存在しないからです。
ユーザがプリコンフィギュレーション時に指定する名前は、作成するインターフェイスの名前と一致する必要があります。インターフェイス名が一致しない場合、インターフェイスの作成時にプリコンフィギュレーションを適用できません。インターフェイス名は、ルータがサポートし、対応するドライバがインストール済みのインターフェイス タイプから始めます。ただし、スロット、ポート、サブインターフェイス番号、およびチャネル インターフェイス番号の情報は検証できません。
(注) すでに存在し、設定されているインターフェイス名(または e0/3/0/0 のような省略形)は指定できません。
アクティブ/スタンバイ RP および仮想インターフェイスの設定
スタンバイ RP は、必要時に使用可能になり、アクティブ RP から作業を引き継げる状態になります。スタンバイ RP が アクティブ RP となり、アクティブ RP の役割を引き継ぐ必要のある状況を次に示します。
• ウォッチドッグによる障害検出
• スタンバイ RP に対する管理上の引き継ぎ命令
• シャーシからのアクティブ RP の取り外し
セカンダリ RP がシャーシに搭載されていなかった場合、プライマリ RP の稼動中にセカンダリ RP を搭載すると、自動的にスタンバイ RP になります。シャーシからスタンバイ RP を取り外しても、RP の冗長性が失われるだけで、システムに影響はありません。
スイッチオーバー後、すべての仮想インターフェイスはスタンバイ(新たにアクティブになった)RP に存在します。仮想インターフェイスのステートと設定は変更されず、スイッチオーバー時にインターフェイス経由の転送(トンネルの場合)が失われることはありません。Cisco CRS-1 ルータは、ホスト RP のスイッチオーバーを通じて、トンネル上で無停止転送(NSF)を使用します。
(注) スタンバイ インターフェイス設定の維持されることを保証するために、設定は特に必要ありません。
物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションを行う方法
ここでは、インターフェイスの最も基本的なプリコンフィギュレーションについてのみ説明します。
手順の概要
1. configure
2. interface preconfigure type interface-path-id
3. ipv4 address ip-address subnet-mask
4. 追加のインターフェイス パラメータを設定します。
5. end
または
commit
6. exit
7. exit
8. show running-config
詳細手順
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ステップ 1 |
configure
RP/0/RP0/CPU0:router# configure |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface preconfigure type interface-path-id
RP/0/RP0/CPU0:router(config)# interface preconfigure MgmtEth 0/RP0/CPU0/0 |
インターフェイスに対するインターフェイス プリコンフィギュレーション モードを開始します。 type は、設定するインターフェイスのタイプに置き換えてください。 interface-path-id は、 rack/slot/module/port 表記のインターフェイス ID に置き換えてください。 |
ステップ 3 |
ipv4 address ip-address subnet-mask
RP/0/RP0/CPU0:router(config-if-pre)# ip address 192.168.255.255/32 |
インターフェイスに IP アドレスおよびサブネット マスクを割り当てます。 |
ステップ 4 |
-- |
追加のインターフェイス パラメータを設定します。詳細については、設定するインターフェイスのタイプに対応する、このマニュアルの設定モジュールを参照してください。 |
ステップ 5 |
exit |
インターフェイス プリコンフィギュレーション モードを終了し、グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 6 |
exit |
グローバル コンフィギュレーション モードを終了し、EXEC モードを開始します。 |
ステップ 7 |
end または commit best-effort
RP/0/RP0/CPU0:router(config-if-pre)# end または RP/0/RP0/CPU0:router(config-if-pre)# commit |
設定変更を保存します。 • end コマンドを発行すると、次に示す変更のコミットを求めるプロンプトが表示されます。 Uncommitted changes found, commit them before exiting (yes/no/cancel)? – yes と入力すると、実行コンフィギュレーション ファイルに設定変更が保存され、コンフィギュレーション セッションが終了し、ルータが EXEC モードに戻ります。 – no と入力すると、設定変更をコミットせずにコンフィギュレーション セッションが終了し、ルータが EXEC モードに戻ります。 – cancel と入力すると、コンフィギュレーション セッションの終了や設定変更のコミットは行われず、ルータでは現在のコンフィギュレーション セッションが継続されます。 • 設定変更を実行コンフィギュレーション ファイルに保存し、コンフィギュレーション セッションを継続するには、 commit best-effort コマンドを使用します。 commit best-effort コマンドは、ターゲット コンフィギュレーションと実行コンフィギュレーションを結合し、有効な変更だけをコミットします(ベストエフォート)。セマンティック エラーにより、一部の設定変更がコミットされないことがあります。 |
ステップ 8 |
show running-config
RP/0/RP0/CPU0:router# show running-config |
(任意)現在ルータで使用されている設定情報を表示します。 |
物理インターフェイスのプリコンフィギュレーション例
ここでは、次の例について説明します。
「インターフェイスのプリコンフィギュレーション:例」
インターフェイスのプリコンフィギュレーション:例
次に、基本的なイーサネット インターフェイスのプリコンフィギュレーション例を示します。
RP/0/RP0/CPU0:router# configure
RP/0/RP0/CPU0:router(config)# interface preconfigure TenGigE 0/1/0/0.1
RP/0/RP0/CPU0:router(config-if)# ipv4 address 192.168.255.255/32
RP/0/RP0/CPU0:router(config-if)# commit
関連情報
• 管理イーサネット インターフェイスの設定の詳細については、『 Cisco IOS XR Getting Started Guide 』の「 Configuring General Router Features 」モジュールを参照してください。管理イーサネット インターフェイスの詳細設定については、このマニュアルで後述する「 Cisco IOS XR ソフトウェアでの管理イーサネット インターフェイスの高度な設定と変更 」モジュールを参照してください。
• ギガビット イーサネット インターフェイスおよびファスト イーサネット インターフェイスの設定方法については、このマニュアルの 「 Cisco IOS XR ソフトウェアでのイーサネット インターフェイスの設定 」モジュールを参照してください。
• POS インターフェイスの設定方法については、このマニュアルの「 Cisco IOS XR ソフトウェアでの POS インターフェイスの設定 」モジュールを参照してください。
• シリアル インターフェイスの設定方法については、このマニュアルの「 Cisco IOS XR ソフトウェアでのシリアル インターフェイスの設定 」モジュールを参照してください。
• ATM インターフェイスの設定方法については、このマニュアルの「 Cisco IOS XR ソフトウェアでの ATM インターフェイスの設定 」モジュールを参照してください。
その他の参考資料
ここでは、物理インターフェイスのプリコンフィギュレーションに関連する参考資料について説明します。
関連資料
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Cisco IOS XR マスター コマンド リファレンス |
『Cisco IOS XR Master Commands List』 |
Cisco IOS XR インターフェイス コンフィギュレーション コマンド |
『Cisco IOS XR Interface and Hardware Component Command Reference』 |
Cisco IOS XR ソフトウェアを使用するルータを初回に起動し設定するための情報 |
『Cisco IOS XR Getting Started Guide』 |
ユーザ グループとタスク ID に関する情報 |
『 Cisco IOS XR System Security Configuration Guide 』の「 Configuring AAA Services on Cisco IOS XR Software 」モジュール |
リモートの Craft Works Interface(CWI)クライアント管理アプリケーションからの、Cisco CRS-1 ルータ上のインターフェイスとその他のコンポーネントの設定に関する情報 |
『Cisco Craft Works Interface Configuration Guide』 |
規格
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この機能によりサポートされた新規規格または改訂規格はありません。またこの機能による既存規格のサポートに変更はありません。 |
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RFC
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この機能によりサポートされた新規 RFC または改訂 RFC はありません。またこの機能による既存 RFC のサポートに変更はありません。 |
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シスコのテクニカル サポート
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