IGMP スヌーピングの設定

この章では、Cisco NX-OS デバイスにインターネット グループ管理プロトコル(IGMP)スヌーピングを設定する方法を説明します。

IGMP スヌーピングについて


(注)  


デバイスの IGMP スヌーピングはディセーブルにしないことを推奨します。IGMP スヌーピングをディセーブルにすると、デバイス内で誤ったフラッディングが過度に発生し、マルチキャストのパフォーマンスが低下する場合があります。


IGMP スヌーピング ソフトウェアは、VLAN 内のレイヤ 2 IP マルチキャスト トラフィックを調べて、該当する受信側が入っているポートを検出します。IGMP スヌーピングではポート情報を利用することにより、マルチアクセス LAN 環境における帯域幅消費量を削減し、VLAN 全体へのフラッディングを回避します。IGMP スヌーピングは、マルチキャスト対応ルータに接続されたポートを追跡して、ルータによる IGMP メンバーシップ レポートの転送機能を強化します。トポロジの変更通知には、IGMP スヌーピング ソフトウェアが応答します。デバイスでは、IGMP スヌーピングがデフォルトでイネーブルになっています。

この図に、ホストと IGMP ルータ間に設置された IGMP スヌーピング スイッチを示します。IGMP スヌーピング スイッチは、IGMP メンバーシップ レポートおよび Leave メッセージをスヌーピングして、必要な場合にだけ接続された IGMP ルータに転送します。

図 1. IGMP スヌーピング スイッチ

IGMP スヌーピング ソフトウェアは、IGMPv1、IGMPv2、および IGMPv3 コントロール プレーン パケットの処理に関与し、レイヤ 3 コントロール プレーン パケットを代行受信して、レイヤ 2 の転送処理を操作します。

Cisco NX-OS IGMP スヌーピング ソフトウェアには、次のような独自機能があります。

  • 宛先および送信元の IP アドレスに基づいたマルチキャスト パケットの転送が可能な送信元フィルタリング

  • MAC アドレスではなく、IP アドレスに基づいたマルチキャスト転送

  • MAC アドレスに基づいた代わりのマルチキャスト転送

IGMP スヌーピングの詳細については、RFC 4541 を参照してください。

IGMPv1 および IGMPv2

IGMPv1 と IGMPv2 は両方とも、メンバーシップ レポート抑制をサポートします。つまり、同一サブネット上の 2 つのホストが同一グループのマルチキャスト データを受信する場合、他方のホストからメンバー レポートを受信するホストは、そのレポートを送信しません。メンバーシップ レポート抑制は、同じポートを共有しているホスト間で発生します。

各 VLAN スイッチ ポートに接続されているホストが 1 つしかない場合は、IGMPv2 の高速脱退機能を設定できます。高速脱退機能を使用すると、最終メンバーのクエリー メッセージがホストに送信されません。ソフトウェアは IGMP Leave メッセージを受信すると、ただちに該当するポートへのマルチキャスト データ転送を停止します。

IGMPv1 では、明示的な IGMP Leave メッセージが存在しないため、特定のグループについてマルチキャスト データを要求するホストが存続しないことを示すために、メンバーシップ メッセージ タイムアウトが利用されます。


(注)  


高速脱退機能がイネーブルになっている場合、他のホストの存在は確認されないため、最終メンバーのクエリー インターバル設定が無視されます。


IGMPv3

Cisco NX-OS での IGMPv3 スヌーピングの実装では完全な IGMPv3 スヌーピングがサポートされています。これにより、IGMPv3 レポートの(S、G)情報に基づいて、抑制されたフラッディングが提供されます。この送信元ベースのフィルタリングにより、デバイスは対象のマルチキャスト グループにトラフィックを送信する送信元に基づいて、マルチキャスト トラフィックの宛先ポートを制限できます。

ソフトウェアのデフォルト設定では、各 VLAN ポートに接続されたホストが追跡されます。この明示的なトラッキング機能は、高速脱退メカニズムをサポートしています。IGMPv3 ではすべてのホストがメンバーシップ レポートを送信するため、レポート抑制機能を利用すると、デバイスから他のマルチキャスト対応ルータに送信されるトラフィック量を制限できます。レポート抑制をイネーブルにすると、過去にいずれの IGMPv1 ホストまたは IGMPv2 ホストからも対象のグループへの要求がなかった場合には、プロキシ レポートが作成されます。プロキシ機能により、ダウンストリーム ホストが送信するメンバーシップ レポートからグループ ステートが構築され、アップストリーム クエリアからのクエリーに応答するためにメンバーシップ レポートが生成されます。

IGMPv3 メンバーシップ レポートには LAN セグメント上のグループ メンバの一覧が含まれていますが、最終ホストが脱退すると、メンバーシップ クエリーが送信されます。最終メンバーのクエリー インターバルについてパラメータを設定すると、タイムアウトまでにどのホストからも応答がなかった場合に、グループ ステートが解除されます。

IGMPスヌーピングクエリア

マルチキャスト トラフィックをルーティングする必要がないために、Protocol-Independent Multicast(PIM)がインターフェイス上でディセーブルになっている場合は、メンバーシップ クエリーを送信するように IGMP スヌーピング クエリアを設定する必要があります。このクエリアは、マルチキャスト送信元と受信者を含み、その他のアクティブ クエリアを含まない VLAN で定義します。

VLAN で任意の IP アドレスを使用するようにクエリアを設定できます。

ベスト プラクティスとして、簡単にクエリアを参照できるようにするには、一意の IP アドレス(スイッチ インターフェイスまたはホット スタンバイ ルータ プロトコル(HSRP)仮想 IP アドレスでまだ使用されていないもの)を設定するべきです。


(注)  


クエリアの IP アドレスは、ブロードキャスト IP アドレス、マルチキャスト IP アドレス、または 0(0.0.0.0)にしないでください。


IGMP スヌーピング クエリアがイネーブルな場合は、定期的に IGMP クエリーが送信されるため、IP マルチキャスト トラフィックを要求するホストから IGMP レポート メッセージが発信されます。IGMP スヌーピングはこれらの IGMP レポートを待ち受けて、適切な転送を確立します。

IGMP スヌーピング クエリアは、RFC 2236 に記述されているようにクエリア選択を実行します。クエリア選択は、次の構成で発生します。

  • 異なるスイッチ上の同じ VLAN に同じサブネットに複数のスイッチ クエリアが設定されている場合。

  • 設定されたスイッチ クエリアが他のレイヤ 3 SVI クエリアと同じサブネットにある場合。

仮想化のサポート

IGMP スヌーピングに対して、複数の仮想ルーティングおよび転送(VRF)インスタンスを定義できます。

show コマンドに VRF 引数を指定して実行すると、表示される情報のコンテキストを確認できます。VRF 引数を指定しない場合は、デフォルト VRF が使用されます。

VRF の設定方法については、Cisco Nexus 9000 Series NX-OS Unicast Routing Configuration Guideを参照してください。

IGMP スヌーピングの前提条件

IGMP スヌーピングには、次の前提条件が適用されます。

  • デバイスにログインしている。

  • 現在の仮想ルーティングおよびフォワーディング(VRF)モードが正しい(グローバル コマンドの場合)。この章の例で示すデフォルトのコンフィギュレーション モードは、デフォルト VRF に適用されます。

IGMP スヌーピングに関する注意事項と制限事項

IGMP スヌーピングに関する注意事項および制約事項は次のとおりです。

  • Cisco Nexus 9000 シリーズ スイッチは、IPv4 の IGMP スヌーピングをサポートしていますが、IPv6 の MLD スヌーピングはサポートしていません。

  • PVLAN の IGMP スヌーピングはサポートされていません。

  • レイヤ 3 IPv6 マルチキャスト ルーティングはサポートされていません。

  • レイヤ 2 IPv6 マルチキャスト パケットは、着信 VLAN でフラッディングされます。

  • N9K-X9636C-R、N9K-X9636Q-R、および N9K-X9636C-RX ラインカードを搭載した Cisco Nexus 9508 および 9504 プラットフォーム スイッチは、vPC での IGMP スヌーピングをサポートします。

  • IGMP スヌーピング設定は、vPC ペアの両方の vPC ピアで同一である必要があります。両方の vPC ピアで IGMP スヌーピングを有効または無効にします。


    (注)  


    両方の vPC ピアで IGMP スヌーピングを有効または無効にすると、異なる MVR 送信元 VLAN から同じ MVR 受信者 VLAN への IGMP クエリの転送も有効になります。結果の IGMP クエリは、異なるバージョンとクエリ間隔でクエリを送信する場合があります。Cisco NX-OS リリース 7.0(3)I3(1) より前の動作を維持する場合は、mvr-suppress-query vlan <id> コマンドを使用します。
  • Cisco NX-OS リリース 7.0(3)I3(1) より前のリリースで、vPC ピアを設定している場合、2 台のデバイス間の IGMP スヌーピング設定オプションに相違があると、次のような結果になります。

    • 一方のデバイスで IGMP スヌーピングを有効にして、他方で無効にすると、スヌーピングが無効であるデバイスではすべてのマルチキャスト トラフィックがフラッディングします。

    • マルチキャスト ルータまたはスタティック グループの設定の相違は、トラフィック損失の原因になり得ます。

    • 高速脱退、明示的な追跡、およびレポート抑制のオプションをトラフィックの転送に使用する場合、これらのオプションに相違が生じる可能性があります。

    • デバイス間でクエリー パラメータが異なると、一方のデバイスではマルチキャスト ステートが期限切れとなり、もう一方のデバイスでは転送が継続されます。この相違によって、トラフィック損失または転送の長時間化が発生します。

    • IGMP スヌーピング クエリアを両方のデバイスで設定している場合、クエリーがトラフィックで確認されると、IGMP スヌーピング クエリアはシャットダウンするので、一方のクエリアだけがアクティブになります。

  • ip igmp snooping group-timeout を有効にする必要があります ip igmp snooping proxy general-queries を使用する場合のコマンド を参照してください。これを「never」に設定することをお勧めします。そのように設定しないと、マルチキャスト パケットが損失する場合があります。

  • すべての外部マルチキャスト ルーター ポート (静的に構成されているか、動的に学習されている) は、グローバル ltl インデックスを使用します。その結果、両方のマルチキャスト ルータ ポート(レイヤ 2 トランク)が VLAN X と VLAN Y の両方を伝送する場合、VLAN X のトラフィックは VLAN X と VLAN Y の両方のマルチキャスト ルータ ポートに送信されます。

  • インターフェイスに静的にバインドされているマルチキャスト グループを拒否するようにルート マップを変更する場合。その後の IGMP レポートはローカル グループによって拒否され、グループはエージングを始めます。グループへの IGMP 脱退メッセージは、影響を与えることなく許可されます。これは既知の予期された動作です。

デフォルト設定

パラメータ

デフォルト

IGMP スヌーピング

有効

明示的な追跡

有効

高速脱退

無効

最終メンバー クエリ間隔

1 秒

スヌーピング クエリア

無効

レポート抑制

有効

リンクローカル グループ抑制

有効

Optimise-multicast-flood

無効

デバイス全体での IGMPv3 レポート抑制

無効

VLAN ごとの IGMPv3 レポート抑制

有効(Enabled)

IGMP スヌーピング パラメータの設定


(注)  


Cisco IOS の CLI に慣れている場合、この機能の Cisco NX-OS コマンドは従来の Cisco IOS コマンドと異なる点があるため注意が必要です。

(注)  


他のコマンドを有効にする前に、IGMP スヌーピングをグローバルにイネーブルにする必要があります。

グローバル IGMP スヌーピング パラメータの設定

グローバルに IGMP スヌーピング プロセスの動作を変更するには、オプションの IGMP スヌーピング パラメータを設定します。

IGMP スヌーピング パラメータの注記

  • IGMP スヌーピング プロキシ パラメータ

    IGMP 一般クエリー(GQ)の各インターバルでスヌーピング スイッチにかかる負担を減らすために、Cisco NX-OS ソフトウェアには、マルチキャスト ルータに設定されたクエリー インターバルから、IGMP スヌーピング スイッチの定期的な一般クエリー動作を分離する方法が用意されています。

    IGMP 一般クエリーをすべてのスイッチ ポートにフラッディングする代わりに、マルチキャスト ルータからの一般クエリーを消費するようにデバイスを設定できます。デバイスが一般クエリーを受信すると、現在アクティブなすべてのグループに対してプロキシ レポートを生成し、ルータのクエリーで指定された MRT で指定されている期間でプロキシ レポートを配布します。同時に、マルチキャスト ルータの定期的な一般クエリーのアクティビティに関係なく、デバイスは、ラウンドロビン方式で VLAN の各ポート上に IGMP 一般クエリーを送信します。これは、次の式によって算出されるレートで VLAN のすべてのインターフェイスを順に処理します。

    レート = {VLAN 内のインターフェイスの数} * {設定された MRT} * {VLAN の数}

    このモードでクエリーを実行する場合、デフォルト MRT 値は 5,000 ミリ秒(5 秒)です。VLAN にスイッチポートが 500 個あるデバイスの場合、システムのすべてのインターフェイスを一巡するには 2,500 秒(40 分)かかります。これは、デバイス自体がクエリアの場合でも同様です。

    この動作は、随時 1 台のホストだけが一般クエリーに応答し、デバイスのパケット/秒 IGMP 機能を下回るレートによる同時レポート レートが保持されることを確実にします(約 3,000 ~ 4,000 pps)。


    (注)  


    このオプションを使用する場合は、ip igmp snooping group-timeout を変更する必要があります。 パラメータを高い値に設定するか、タイムアウトしないようにします。


    ip igmp snooping プロキシの一般的なクエリ mrt コマンドを使用すると、スヌーピング機能はマルチキャスト ルータからの一般クエリーにプロキシ応答するようになる一方で、指定された MRT 値を持つ各スイッチポートに対するラウンドロビン式の一般クエリーの送信も行われます。(デフォルトの MRT 値は 5 秒です)。

  • IGMP スヌーピング グループ タイムアウト パラメータ

    グループ タイムアウト パラメータを設定すると 3 回連続で一般クエリーの処理できなかった場合のメンバーシップの期限切れ動作がディセーブルになります。グループ メンバーシップは、デバイスがそのポートで明示的な IGMP 脱退を受信するまで、特定のスイッチポートに残ります。

    The ip igmp snooping group-timeout {timeout | never} コマンドは 3 回連続で一般クエリーを受信しなかったときの IGMP スヌーピング グループ メンバーシップの期限切れ動作を変更するか、ディセーブルにします。

手順


ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

次のコマンドを使用して、グローバル IGMP スヌーピング パラメータを設定します。

オプション 説明
ip igmp snooping


switch(config)# ip igmp snooping

デバイスの IGMP スヌーピングをイネーブルにします。デフォルトではイネーブルになっています。

(注)  

 

このコマンドの no 形式により、グローバル設定がディセーブルになっている場合は、個々の VLAN で IGMP スヌーピングがイネーブルであるかどうかに関係なく、すべての VLAN で IGMP スヌーピングがディセーブルになります。 IGMP スヌーピングをディセーブルにすると、レイヤ 2 マルチキャスト フレームがすべてのモジュールにフラッディングします。

ip igmp snooping event-history


switch(config)# ip igmp snooping event-history

イベント履歴バッファのサイズを設定します。デフォルトは small です。

ip igmp snooping group-timeout {minutes | never}


switch(config)# ip igmp snooping group-timeout never

デバイス上のすべての VLAN のグループ メンバーシップ タイムアウト値を設定します。

ip igmp snooping link-local-groups-suppression


switch(config)# ip igmp snooping link-local-groups-suppression

デバイス全体のリンクローカル グループ抑制を構成します。デフォルトではイネーブルになっています。

ip igmp snooping proxy general-inquiries [ mrt seconds]


switch(config)# ip igmp snooping proxy general-inquiries

デバイスの IGMP スヌーピング プロキシを設定します。デフォルトは 5 秒です。

ip igmp snooping v3-report-suppression


switch(config)# ip igmp snooping v3-report-suppression

マルチキャスト対応ルータに送信されるメンバシップ レポート トラフィックを制限します。レポート抑制をディセーブルにすると、すべての IGMP レポートがそのままマルチキャスト対応ルータに送信されます。デフォルトではイネーブルになっています。

ip igmp snooping report-suppression


switch(config)# ip igmp snooping report-suppression

IGMPv3 レポート抑制およびプロキシ レポートを設定します。デフォルトではディセーブルになっています。

ステップ 3

copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config

(任意)実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。


VLAN ごとの IGMP スヌーピング パラメータの設定

VLAN ごとに IGMP スヌーピング プロセスの動作を変更するには、オプションの IGMP スヌーピング パラメータを設定します。


(注)  


このコンフィギュレーション モードを使用して目的の IGMP スヌーピング パラメータを設定します。ただし、この設定は指定した VLAN を明示的に作成した後にのみ適用されます。VLAN の作成については、『Cisco Nexus 9000 Series NX-OS Layer 2 Switching Configuration Guide』を参照してください。


手順


ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

ip igmp snooping

例:

switch(config)# ip igmp snooping

IGMP スヌーピングをイネーブルにします。デフォルトではイネーブルになっています。

(注)  

 

このコマンドの no 形式により、グローバル設定がディセーブルになっている場合は、個々の VLAN で IGMP スヌーピングがイネーブルであるかどうかに関係なく、すべての VLAN で IGMP スヌーピングがディセーブルになります。 IGMP スヌーピングをディセーブルにすると、レイヤ 2 マルチキャスト フレームがすべてのモジュールにフラッディングします。

ステップ 3

vlan configuration vlan-id

例:

switch(config)# vlan configuration 2
switch(config-vlan-config)#

VLAN に対して目的の IGMP スヌーピング パラメータを設定します。これらの設定は、指定した VLAN を作成するまで適用されません。

ステップ 4

次のコマンドを使用して、VLAN ごとに IGMP スヌーピング パラメータを設定します。

オプション 説明
ip igmp snooping


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping

現在の VLAN に対して IGMP スヌーピングをイネーブルにします。デフォルトではイネーブルになっています。

ip igmp snooping access-group {prefix-list | route-map} policy-name interface interface slot/port


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping access-group prefix-list plist interface ethernet 2/2

プレフィックス リストまたはルート マップ ポリシーに基づいて、IGMP スヌーピング レポートにフィルタを設定します。デフォルトではディセーブルになっています。

(注)  

 

Cisco NX-OS リリース 7.0(3)F3(3) 以降、N9K-X9636C-R、N9K-X9636C-RX、および N9K-X9636Q-R ラインカードを備えた Cisco Nexus 9508 スイッチは、このコマンドをサポートします。

ip igmp snooping explicit-tracking


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping explicit-tracking

各ポートに接続されたそれぞれのホストから送信される IGMPv3 メンバーシップ レポートを、VLAN 別に追跡します。デフォルトは、すべての VLAN でイネーブルです。

ip igmp snooping fast-leave


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping fast-leave

IGMPv2 プロトコルのホスト レポート抑制メカニズムのために、明示的に追跡できない IGMPv2 ホストをサポートします。高速脱退がイネーブルの場合、IGMP ソフトウェアは、各 VLAN ポートに接続されたホストが 1 つだけであると見なします。デフォルトは、すべての VLAN でディセーブルです。

ip igmp snooping group-timeout {minutes | never}


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping group-timeout never

指定した VLAN のグループ メンバーシップ タイムアウトを設定します。

ip igmp snooping last-member-query-interval


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping last-member-query-interval 3

いずれのホストからも IGMP クエリー メッセージへの応答がないまま、最終メンバのクエリー インターバルの期限が切れた場合に、関連する VLAN ポートからグループを削除します。有効範囲は 1 ~ 25 秒です。デフォルト値は 1 秒です。

ip igmp snooping proxy general-queries [mrt seconds]


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping proxy general-queries

指定した VLAN の IGMP スヌーピング プロキシを設定します。デフォルトは 5 秒です。

[no] ip igmp snooping proxy-leave use-group-address


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping proxy-leave use-group-address

プロキシ脱退メッセージの宛先アドレスを、脱退するグループのアドレスに変更します。

通常、IGMP スヌーピング モジュールによって生成される IGMP プロキシ脱退メッセージは、すべてのホストがグループを脱退するとき、224.0.0.2 マルチキャスト ルータ アドレスを使用します。マルチキャスト アプリケーションがレポートの受信に依存し、パケットの宛先アドレスに基づいてマルチキャスト トラフィックを開始または停止するメッセージを残す場合は、この構成を実装する必要があります。

ip igmp snooping querier ip-address


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping querier 172.20.52.106

マルチキャスト トラフィックをルーティングする必要がないため、PIM をイネーブルにしていない場合に、スヌーピング クエリアを設定します。IP アドレスは、メッセージの送信元として使用します。

ip igmp snooping querier-timeout


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping querier-timeout 300

マルチキャスト トラフィックをルーティングする必要がないため、PIM をイネーブルにしていない場合の、IGMPv2 のスヌーピング クエリア タイムアウト値を設定します。デフォルト値は 255 秒です。

ip igmp snooping query-interval


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping query-interval 120

マルチキャスト トラフィックをルーティングする必要がないため、PIM をイネーブルにしていない場合に、スヌーピング クエリー インターバルを設定します。デフォルト値は 125 秒です。

ip igmp snooping query-max-response-time


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping query-max-response-time 12

マルチキャスト トラフィックをルーティングする必要がないため、PIM をイネーブルにしていない場合に、クエリー メッセージのスヌーピング MRT を設定します。デフォルト値は 10 秒です。

[no] ip igmp snooping report-flood {all | interface ethernet slot/port}


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping report-flood interface ethernet 1/2
ip igmp snooping report-flood interface ethernet 1/3

VLAN のすべてのアクティブ インターフェイスまたは特定のインターフェイスのみで IGMP レポートをフラッドします。

IGMP レポートは、通常、IGMP スヌーピング モジュールによって検出されるとマルチキャスト ルータ ポートに転送されるので、VLAN でフラッディングされません。ただし、このコマンドを実行すると、スイッチはマルチキャスト ルータ ポートに加えて、VLAN に属するカスタム ポートにも IGMP レポートを送信します。マルチキャスト アプリケーションがトラフィックを送信するために IGMP レポートを表示する機能を必要とする場合は、この構成を実装する必要があります。

ip igmp snooping report-policy {prefix-list | route-map} policy-name interface interface slot/port


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping report-policy route-map rmap interface ethernet 2/4

プレフィックス リストまたはルート マップ ポリシーに基づいて、IGMP スヌーピング レポートにフィルタを設定します。デフォルトではディセーブルになっています。

ip igmp snooping startup-query-count value


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping startup-query-count 5

マルチキャスト トラフィックをルーティングする必要がないため、PIM をイネーブルにしていない場合に、起動時に送信されるクエリー数に対してスヌーピングを設定します。

ip igmp snooping startup-query-interval


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping startup-query-interval 15000

マルチキャスト トラフィックをルーティングする必要がないため、PIM をイネーブルにしていない場合に、起動時のスヌーピング クエリー インターバルを設定します。

ip igmp snooping robustness-variable value


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping robustness-variable 5

指定した VLAN のロバストネス値を設定します。デフォルト値は 2 です。

ip igmp snooping report-suppression


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping report-suppression

マルチキャスト対応ルータに送信されるメンバシップ レポート トラフィックを制限します。レポート抑制をディセーブルにすると、すべての IGMP レポートがそのままマルチキャスト対応ルータに送信されます。デフォルトではイネーブルになっています。

ip igmp snooping mrouter interface interface


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping mrouter interface ethernet 2/1

マルチキャスト ルータへのスタティック接続を設定します。ルータと接続するインターフェイスが、選択した VLAN に含まれている必要があります。ethernet slot/port のように、インターフェイスはタイプおよび番号で指定できます。

ip igmp snooping static-group group-ip-addr [source source-ip-addr] interface interface


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping static-group 230.0.0.1 interface ethernet 2/1

VLAN のレイヤ 2 ポートをマルチキャスト グループのスタティック メンバーとして設定します。ethernet slot/port のように、インターフェイスはタイプおよび番号で指定できます。

ip igmp snooping link-local-groups-suppression


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping link-local-groups-suppression

指定した VLAN のリンクローカル グループ抑制を設定します。デフォルトではイネーブルになっています。

ip igmp snooping v3-report-suppression


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping v3-report-suppression

指定した VLAN の IGMPv3 レポート抑制およびプロキシ レポートを設定します。デフォルトでは VLAN ごとに有効になっています。

ip igmp snooping version value


switch(config-vlan-config)# ip igmp snooping version 2

指定した VLAN の IGMP バージョン番号を設定します。

ステップ 5

copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config

(任意)実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。


IGMP スヌーピング設定の確認

コマンド 説明

show ip igmp snooping [vlan vlan-id]

IGMP スヌーピング設定を VLAN 別に表示します。

show ip igmp snooping groups [source [group] | group [source]] [vlan vlan-id] [detail]

グループに関する IGMP スヌーピング情報を VLAN 別に表示します。

show ip igmp snooping querier [vlan vlan-id]

IGMP スヌーピング クエリアを VLAN 別に表示します。

show ip igmp snooping mroute [vlan vlan-id]

マルチキャスト ルータ ポートを VLAN 別に表示します。

show ip igmp snooping explicit-tracking [vlan vlan-id] [detail]

IGMP スヌーピングの明示的な追跡情報を VLAN 別に表示します。

(注)  

 

vPC VLAN の場合、detail キーワードを入力して、Cisco NX-OS リリース 7.0(3)I7(1) 以降の両方の vPC ピア スイッチでこのコマンドを表示する必要があります。detail キーワードを入力しなかった場合、このコマンドはネイティブ レポートを受信した vPC スイッチにのみ表示されます。

IGMP スヌーピング統計情報の表示

次のコマンドを使用して、IGMP スヌーピング統計情報を表示できます。

コマンド

説明

show ip igmp snooping statistics vlan

IGMP スヌーピング統計情報を表示します。この出力で、仮想ポート チャネル(vPC)の統計情報を確認できます。

show ip igmp snooping {report-policy | access-group} statistics [vlan vlan]

IGMP スヌーピングのフィルタが設定されている場合、VLAN ごとに詳細な統計情報を表示します。

IGMP スヌーピング統計情報のクリア

次のコマンドを使用して、IGMP スヌーピング統計情報をクリアできます。

コマンド

説明

clear ip igmp snooping statistics vlan

IGMP スヌーピングの統計情報をクリアします。

clear ip igmp snooping {report-policy | access-group} statistics [vlan vlan]

IGMP スヌーピング フィルタの統計情報をクリアします。

IGMP スヌーピングの設定例


(注)  


このセクションでの設定は、指定された VLAN を作成した後にのみ適用されます。VLAN の作成については、『Cisco Nexus 9000 Series NX-OS Layer 2 Switching Configuration Guide』を参照してください。

次に、IGMP スヌーピング パラメータを設定する例を示します。


config t
  ip igmp snooping
  vlan configuration 2
    ip igmp snooping
    ip igmp snooping explicit-tracking
    ip igmp snooping fast-leave
    ip igmp snooping last-member-query-interval 3
    ip igmp snooping querier 172.20.52.106
    ip igmp snooping report-suppression
    ip igmp snooping mrouter interface ethernet 2/1
    ip igmp snooping static-group 230.0.0.1 interface ethernet 2/1
    ip igmp snooping link-local-groups-suppression
    ip igmp snooping v3-report-suppression

次に、プレフィックス リストを設定し、これらを使用して IGMP スヌーピング レポートをフィルタ処理する例を示します。


ip prefix-list plist seq 5 permit 224.1.1.1/32 
ip prefix-list plist seq 10 permit 224.1.1.2/32 
ip prefix-list plist seq 15 deny 224.1.1.3/32  
ip prefix-list plist seq 20 deny 225.0.0.0/8 eq 32

vlan configuration 2
  ip igmp snooping report-policy prefix-list plist interface Ethernet 2/2
  ip igmp snooping report-policy prefix-list plist interface Ethernet 2/3

上記の例では、プレフィックス リストは 224.1.1.1 と 224.1.1.2 を許可していますが、224.1.1.3 と 225.0.0.0/8 範囲のすべてのグループを拒否しています。プレフィックス リストは、一致がない場合は暗黙的な「拒否」になります。その他すべてを許可する場合、ip prefix-list plist seq 30 permit 224.0.0.0/4 eq 32 を追加します。

次に、ルート マップを設定し、これらを使用して IGMP スヌーピング レポートをフィルタ処理する例を示します。


route-map rmap permit 10
  match ip multicast group 224.1.1.1/32 
route-map rmap permit 20
  match ip multicast group 224.1.1.2/32 
route-map rmap deny 30
  match ip multicast group 224.1.1.3/32
route-map rmap deny 40
  match ip multicast group 225.0.0.0/8

vlan configuration 2
  ip igmp snooping report-policy route-map rmap interface Ethernet 2/4
  ip igmp snooping report-policy route-map rmap interface Ethernet 2/5

上記の例では、ルートマップは 224.1.1.1 と 224.1.1.2 を許可していますが、224.1.1.3 と 225.0.0.0/8 範囲のすべてのグループを拒否しています。ルートマップは、一致がない場合は暗黙的な「拒否」になります。その他すべてを許可する場合、route-map rmap permit 50 match ip multicast group 224.0.0.0/4 を追加します。