MSDP について
マルチキャスト ソース検出プロトコル(MSDP)を使用すると、複数のボーダー ゲートウェイ プロトコル(BGP)対応のプロトコル独立マルチキャスト(PIM)スパース モード ドメイン間で、マルチキャスト ソース情報を交換できます。また、MSDP を使用して Anycast-RP 設定を作成し、RP 冗長性および負荷共有機能を提供できます。BGP の詳細については、Cisco Nexus 9000 シリーズ NX-OS ユニキャスト ルーティング設定ガイドを参照してください
MSDP は、すべての Cisco Nexus 9000 シリーズ スイッチでサポートされています。
Cisco NX-OS リリース 10.3(1)F 以降、Cisco Nexus 9808 プラットフォーム スイッチで MSDP のサポートが提供されます。
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Cisco NX-OS リリース 10.4(1)F 以降、MSDP は、Cisco Nexus 9808 スイッチを搭載した Cisco Nexus X98900CD-A および X9836DM-A ライン カードでサポートされます。
Cisco NX-OS リリース 10.4(1)F 以降、MSDP は Cisco Nexus 9804 プラットフォーム スイッチ、Cisco Nexus X98900CD-A および X9836DM-A ライン カードでサポートされます。
受信者が別のドメイン内の送信元から送信されたグループに参加する場合、ランデブー ポイント(RP)は送信元方向に PIM Join メッセージを送信して、最短パス ツリーを構築します。代表ルータ(DR)は、送信元ドメイン内の送信元ツリーでパケットを送信します。これらのパケットは、送信元ドメイン内の RP を経由し、送信元ツリーのブランチを通って他のドメインへと送信されます。受信者を含むドメインでは、対象のドメインの RP が送信元ツリー上に配置されている場合があります。ピアリング関係は転送制御プロトコル(TCP)接続を介して構築されます。
次の図に、4 つの PIM ドメインを示します。接続された RP(ルータ)は、アクティブな送信元情報を相互に交換するため、MSDP ピアと呼ばれます。各 MSDP ピアは他のピアにマルチキャスト送信元情報の独自のセットをアドバタイズします。送信元ホスト 2 はグループ 224.1.1.1 にマルチキャスト データを送信します。MSDP プロセスでは、RP 6 上で PIM Register メッセージを介して送信元に関する情報を学習すると、ドメイン内の送信元に関する情報が、Source-Active(SA)メッセージの一部として MSDP ピアに送信されます。SA メッセージを受信した RP 3 および RP 5 は、MSDP ピアに SA メッセージを転送します。RP 5 は、ホスト 1 からグループ 224.1.1.1 上のマルチキャスト データに対する要求を受信すると、192.1.1.1 のホスト 2 方向に PIM Join メッセージを送信して、送信元への最短パス ツリーを構築します。
各 RP 間で MSDP ピアリング設定を行うには、フル メッシュを作成します。一般的な MSDP フル メッシュは、RP 1、RP 2、RP 3 のように自律システム内に作成され、自律システム間には作成されません。ループ抑制および MSDP ピア逆パス転送(RPF)により、SA メッセージのループを防止するには、BGP を使用します。
(注) |
PIM ドメイン内で Anycast RP(ロード バランシングおよびフェールオーバーを実行できる RP のセット)を使用する場合、BGP を設定する必要はありません。 |
(注) |
PIM Anycast(RFC 4610)を使用して、MSDP の代わりに Anycast-RP 機能を提供できます。 |
MSDP の詳細については、RFC 3618 を参照してください。
SA メッセージおよびキャッシング
MSDP ピアによる Source-Active(SA)メッセージの交換を通じて、アクティブな送信元に関する情報を伝達させます。SA メッセージには、次の情報が格納されています。
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データ送信元の送信元アドレス
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データ送信元で使用されるグループ アドレス
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RP の IP アドレスまたは設定済みの送信元 ID
PIM Register メッセージによって新しい送信元がアドバタイズされると、MSDP プロセスはそのメッセージを再カプセル化して SA メッセージに格納し、即座にすべての MSDP ピアに転送します。
SA キャッシュには、SA メッセージを介して学習したすべての送信元情報が保持されます。キャッシングを使用すると、既知のグループの情報がすべてキャッシュに格納されるため、新たな受信者を迅速にグループに加入させることができます。キャッシュに格納する送信元エントリ数を制限するには、SA 制限ピア パラメータを設定します。特定のグループ プレフィックスに対してキャッシュに格納する送信元エントリ数を制限するには、グループ制限グローバル パラメータを設定します。SA キャッシュはデフォルトでイネーブルになっており、ディセーブルにはできません。
MSDP ソフトウェアは 60 秒おきに、または SA インターバルのグローバル パラメータの設定に従って、SA キャッシュ内の各グループに SA メッセージを送信します。対象の送信元およびグループに関する SA メッセージが、SA インターバルから 3 秒以内に受信されなかった場合、SA キャッシュ内のエントリは削除されます。
MSDP ピア RPF 転送
MSDP ピアは、発信元 RP から離れた場所で SA メッセージを受信し、そのメッセージの転送を行います。このアクションは、ピア RPF フラッディングと呼ばれます。このルータは BGP または MBGP ルーティング テーブルを調べ、SA メッセージの発信元 RP 方向にあるネクスト ホップ ピアを特定します。このピアを Reverse Path Forwarding(RPF)ピアと呼びます。
MSDP ピアは、非 RPF ピアから送信元 RP へ向かう同じ SA メッセージを受信すると、そのメッセージをドロップします。それ以外の場合、すべての MSDP ピアにメッセージが転送されます。
MSDP メッシュ グループ
MSDP メッシュ グループを使用すると、ピア RPF フラッディングで生成される SA メッセージ数を抑えることができます。メッシュ内のすべてのルータ間にピアリング関係を設定してから、これらのルータのメッシュ グループを作成すると、あるピアから発信される SA メッセージが他のすべてのピアに送信されます。メッシュ内のピアが受信した SA メッセージは転送されません。
ルータは複数のメッシュ グループに参加できます。デフォルトでは、メッシュ グループは設定されていません。