MSDP の設定

この章では、Cisco NX-OS デバイスで Multicast Source Discovery Protocol(MSDP)を設定する手順について説明します。

MSDP について

マルチキャスト ソース検出プロトコル(MSDP)を使用すると、複数のボーダー ゲートウェイ プロトコル(BGP)対応のプロトコル独立マルチキャスト(PIM)スパース モード ドメイン間で、マルチキャスト ソース情報を交換できます。また、MSDP を使用して Anycast-RP 設定を作成し、RP 冗長性および負荷共有機能を提供できます。BGP の詳細については、Cisco Nexus 9000 シリーズ NX-OS ユニキャスト ルーティング設定ガイドを参照してください

MSDP は、すべての Cisco Nexus 9000 シリーズ スイッチでサポートされています。

Cisco NX-OS リリース 10.3(1)F 以降、Cisco Nexus 9808 プラットフォーム スイッチで MSDP のサポートが提供されます。

  • Cisco NX-OS リリース 10.4(1)F 以降、MSDP は、Cisco Nexus 9808 スイッチを搭載した Cisco Nexus X98900CD-A および X9836DM-A ライン カードでサポートされます。

Cisco NX-OS リリース 10.4(1)F 以降、MSDP は Cisco Nexus 9804 プラットフォーム スイッチ、Cisco Nexus X98900CD-A および X9836DM-A ライン カードでサポートされます。

受信者が別のドメイン内の送信元から送信されたグループに参加する場合、ランデブー ポイント(RP)は送信元方向に PIM Join メッセージを送信して、最短パス ツリーを構築します。代表ルータ(DR)は、送信元ドメイン内の送信元ツリーでパケットを送信します。これらのパケットは、送信元ドメイン内の RP を経由し、送信元ツリーのブランチを通って他のドメインへと送信されます。受信者を含むドメインでは、対象のドメインの RP が送信元ツリー上に配置されている場合があります。ピアリング関係は転送制御プロトコル(TCP)接続を介して構築されます。

次の図に、4 つの PIM ドメインを示します。接続された RP(ルータ)は、アクティブな送信元情報を相互に交換するため、MSDP ピアと呼ばれます。各 MSDP ピアは他のピアにマルチキャスト送信元情報の独自のセットをアドバタイズします。送信元ホスト 2 はグループ 224.1.1.1 にマルチキャスト データを送信します。MSDP プロセスでは、RP 6 上で PIM Register メッセージを介して送信元に関する情報を学習すると、ドメイン内の送信元に関する情報が、Source-Active(SA)メッセージの一部として MSDP ピアに送信されます。SA メッセージを受信した RP 3 および RP 5 は、MSDP ピアに SA メッセージを転送します。RP 5 は、ホスト 1 からグループ 224.1.1.1 上のマルチキャスト データに対する要求を受信すると、192.1.1.1 のホスト 2 方向に PIM Join メッセージを送信して、送信元への最短パス ツリーを構築します。

図 1. 異なる PIM ドメインに属する RP 間の MSDP ピアリング

各 RP 間で MSDP ピアリング設定を行うには、フル メッシュを作成します。一般的な MSDP フル メッシュは、RP 1、RP 2、RP 3 のように自律システム内に作成され、自律システム間には作成されません。ループ抑制および MSDP ピア逆パス転送(RPF)により、SA メッセージのループを防止するには、BGP を使用します。


(注)  


PIM ドメイン内で Anycast RP(ロード バランシングおよびフェールオーバーを実行できる RP のセット)を使用する場合、BGP を設定する必要はありません。

(注)  


PIM Anycast(RFC 4610)を使用して、MSDP の代わりに Anycast-RP 機能を提供できます。

MSDP の詳細については、RFC 3618 を参照してください。

SA メッセージおよびキャッシング

MSDP ピアによる Source-Active(SA)メッセージの交換を通じて、アクティブな送信元に関する情報を伝達させます。SA メッセージには、次の情報が格納されています。

  • データ送信元の送信元アドレス

  • データ送信元で使用されるグループ アドレス

  • RP の IP アドレスまたは設定済みの送信元 ID

PIM Register メッセージによって新しい送信元がアドバタイズされると、MSDP プロセスはそのメッセージを再カプセル化して SA メッセージに格納し、即座にすべての MSDP ピアに転送します。

SA キャッシュには、SA メッセージを介して学習したすべての送信元情報が保持されます。キャッシングを使用すると、既知のグループの情報がすべてキャッシュに格納されるため、新たな受信者を迅速にグループに加入させることができます。キャッシュに格納する送信元エントリ数を制限するには、SA 制限ピア パラメータを設定します。特定のグループ プレフィックスに対してキャッシュに格納する送信元エントリ数を制限するには、グループ制限グローバル パラメータを設定します。SA キャッシュはデフォルトでイネーブルになっており、ディセーブルにはできません。

MSDP ソフトウェアは 60 秒おきに、または SA インターバルのグローバル パラメータの設定に従って、SA キャッシュ内の各グループに SA メッセージを送信します。対象の送信元およびグループに関する SA メッセージが、SA インターバルから 3 秒以内に受信されなかった場合、SA キャッシュ内のエントリは削除されます。

MSDP ピア RPF 転送

MSDP ピアは、発信元 RP から離れた場所で SA メッセージを受信し、そのメッセージの転送を行います。このアクションは、ピア RPF フラッディングと呼ばれます。このルータは BGP または MBGP ルーティング テーブルを調べ、SA メッセージの発信元 RP 方向にあるネクスト ホップ ピアを特定します。このピアを Reverse Path Forwarding(RPF)ピアと呼びます。

MSDP ピアは、非 RPF ピアから送信元 RP へ向かう同じ SA メッセージを受信すると、そのメッセージをドロップします。それ以外の場合、すべての MSDP ピアにメッセージが転送されます。

MSDP メッシュ グループ

MSDP メッシュ グループを使用すると、ピア RPF フラッディングで生成される SA メッセージ数を抑えることができます。メッシュ内のすべてのルータ間にピアリング関係を設定してから、これらのルータのメッシュ グループを作成すると、あるピアから発信される SA メッセージが他のすべてのピアに送信されます。メッシュ内のピアが受信した SA メッセージは転送されません。

ルータは複数のメッシュ グループに参加できます。デフォルトでは、メッシュ グループは設定されていません。

MSDP の前提条件

MSDP の前提条件は、次のとおりです。

  • デバイスにログインしている。

  • 現在の仮想ルーティングおよびフォワーディング(VRF)モードが正しい(グローバル コマンドの場合)。この章の例で示すデフォルトのコンフィギュレーション モードは、デフォルト VRF に適用されます。

  • MSDP を設定するネットワークに PIM が設定済みである。

デフォルト設定

次の表に、MSDP パラメータのデフォルト設定を示します。

表 1. MSDP パラメータのデフォルト設定

パラメータ

デフォルト

説明

ピアの説明はありません。

管理シャットダウン

ピアは定義された時点でイネーブルになります。

MD5 パスワード

すべての MD5 パスワードがディセーブルになっています。

SA ポリシー(IN)

すべての SA メッセージが受信されます。

SA ポリシー(OUT)

発信される SA メッセージには登録済みの全送信元が含まれます。

SA の上限

上限は定義されていません。

発信元インターフェイスの名前

ローカル システムの RP アドレスです。

グループの上限

グループの上限は定義されていません。

SA インターバル

60 秒

MSDP の設定

MSDP ピアリングを有効にするには、各 PIM ドメイン内で以下のように MSDP ピアを設定します。

  1. MSDP ピアとして動作させるルータを選択します。

  2. MSDP 機能をイネーブルにします。

  3. ステップ 1 で選択した各ルータで、MSDP ピアを設定します。

  4. 各 MSDP ピアでオプションの MSDP ピア パラメータを設定します。

  5. 各 MSDP ピアでオプションのグローバル パラメータを設定します。

  6. 各 MSDP ピアでオプションのメッシュ グループを設定します。


(注)  


MSDP をイネーブルにする前に入力された MSDP コマンドは、キャッシュに格納され、MSDP がイネーブルになると実行されます。ip msdp peer コマンドを使用し、 または ip msdp originator-id コマンドは MSDP を有効にします。



(注)  


Cisco IOS の CLI に慣れている場合、この機能の Cisco NX-OS コマンドは従来の Cisco IOS コマンドと異なる点があるため注意が必要です。


MSDP 機能の有効化

手順の概要

  1. configure terminal
  2. feature msdp
  3. (任意) show running-configuration msdp
  4. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

feature msdp

例:

switch# feature msdp

MSDP 機能をイネーブルにして、MSDP コマンドを実行できるようにします。デフォルトでは、MSDP 機能はディセーブルになっています。

ステップ 3

(任意) show running-configuration msdp

例:

switch# show running-configuration msdp
(任意)

MSDP の実行コンフィギュレーション情報を示します。

ステップ 4

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

実行コンフィギュレーションを、スタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。

MSDP ピアの構成

現在の PIM ドメインまたは別の PIM ドメイン内にある各 MSDP ピアとピアリング関係を構築するには、MSDP ピアを設定します。最初の MSDP ピアリング関係を設定すると、ルータ上で MSDP がイネーブルになります。

始める前に

Enterprise Services ライセンスがインストールされていること、および PIM と MSDP がイネーブルになっていることを確認してください。

MSDP ピアとして設定するルータのドメイン内で、PIM が設定されていることを確認します。

手順の概要

  1. configure terminal
  2. ip msdp peer peer-ip-address connect-source interface [remote-as as-number]
  3. ピア IP アドレス、インターフェイス、および AS 番号を必要に応じて変更し、各 MSDP ピアリング関係についてステップ 2 を繰り返します。
  4. (任意) show ip msdp summary [vrf [vrf-name | all]]
  5. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

ip msdp peer peer-ip-address connect-source interface [remote-as as-number]

例:

switch(config)# ip msdp peer 192.168.1.10 connect-source ethernet 2/1 remote-as 8

MSDP ピアを設定してピア IP アドレスを指定します。ソフトウェアは、インターフェイスの送信元 IP アドレスを使用して、ピアとの TCP 接続を行います。インターフェイスは type slot/port という形式で表します。AS 番号がローカル AS と同じ場合、対象のピアは PIM ドメイン内にあります。それ以外の場合、対象のピアは PIM ドメインの外部にあります。デフォルトでは、MSDP ピアリングはディセーブルになっています。

(注)  

 

このコマンドを使用すると、MSDP ピアリングがイネーブルになります。

ステップ 3

ピア IP アドレス、インターフェイス、および AS 番号を必要に応じて変更し、各 MSDP ピアリング関係についてステップ 2 を繰り返します。

ステップ 4

(任意) show ip msdp summary [vrf [vrf-name | all]]

例:

switch# show ip msdp summary
(任意)

MSDP ピアの要約情報を表示します。

ステップ 5

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

実行コンフィギュレーションを、スタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。

MSDP ピア パラメータの設定

次の表に示されているオプションのMSDP ピア パラメータが設定可能です。これらのパラメータは、各ピアの IP アドレスを使用して、グローバル コンフィギュレーション モードで設定します。

表 2. MSDP ピア パラメータ

パラメータ

説明

Description

ピアの説明を示すストリング。デフォルトでは、ピアの説明は設定されていません。

管理シャットダウン

MSDP ピアをシャットダウンするパラメータ。コンフィギュレーションの設定はこのコマンドの影響を受けません。このパラメータを使用すると、ピアがアクティブになる前に、複数のパラメータ設定を有効にできます。シャットダウンを実行すると、その他のピアとの TCP 接続は強制終了されます。デフォルトでは、各ピアは定義した時点でイネーブルになります。

MD5 パスワード

ピアの認証に使用される MD5 共有パスワード キー。デフォルトでは、MD5 パスワードはディセーブルになっています。

TCP キーチェーン

TCP キーチェーンは、MSDP ピアリング認証に使用されます。

SA ポリシー(IN)

着信 SA メッセージのルートマップ ポリシー。デフォルトでは、すべての SA メッセージが受信されます。

(注)  

 
ルートマップ ポリシーの設定方法については、Cisco Nexus 9000 Series NX-OS Unicast Routing Configuration Guideを参照してください。

SA ポリシー(OUT)

発信 SA メッセージのルートマップ ポリシー。デフォルトでは、発信される SA メッセージには登録済みの全送信元が含まれます。

(注)  

 
ルートマップ ポリシーの設定方法については、Cisco Nexus 9000 Series NX-OS Unicast Routing Configuration Guideを参照してください。

SA の上限

ピアで許可され、SA キャッシュに格納される (S, G) エントリ数。デフォルトでは、上限はありません。

始める前に

Enterprise Services ライセンスがインストールされていること、および PIM と MSDP がイネーブルになっていることを確認してください。

手順の概要

  1. configure terminal
  2. ip msdp description peer-ip-address description
  3. ip msdp shutdown peer-ip-address
  4. ip msdp password peer-ip-address password
  5. ip msdp sa-policy peer-ip-address policy-name in
  6. ip msdp sa-policy peer-ip-address policy-name out
  7. ip msdp sa-limit peer-ip-address limit
  8. (任意) ip msdp keychain peer-ip-address name
  9. (任意) show ip msdp peer [peer-address] [vrf [vrf-name | all]]
  10. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

(注)  

 

ステップ 2 でリストされたコマンドを使用して、MSDP ピア パラメータを設定します。

ステップ 2

ip msdp description peer-ip-address description

例:

switch(config)# ip msdp description 192.168.1.10 peer in Engineering network

ピアの説明を示すストリングを設定します。デフォルトでは、ピアの説明は設定されていません。

ステップ 3

ip msdp shutdown peer-ip-address

例:

switch(config)# ip msdp shutdown 192.168.1.10

ピアをシャットダウンします。デフォルトでは、各ピアは定義した時点でイネーブルになります。

ステップ 4

ip msdp password peer-ip-address password

例:

switch(config)# ip msdp password 192.168.1.10 my_md5_password

ピアの MD5 パスワードをイネーブルにします。デフォルトでは、MD5 パスワードはディセーブルになっています。

ステップ 5

ip msdp sa-policy peer-ip-address policy-name in

例:

switch(config)# ip msdp sa-policy 192.168.1.10 my_incoming_sa_policy in

着信 SA メッセージのルートマップ ポリシーをイネーブルにします。デフォルトでは、すべての SA メッセージが受信されます。

ステップ 6

ip msdp sa-policy peer-ip-address policy-name out

例:

switch(config)# ip msdp sa-policy 192.168.1.10 my_outgoing_sa_policy out

発信 SA メッセージのルートマップ ポリシーをイネーブルにします。デフォルトでは、発信される SA メッセージには登録済みの全送信元が含まれます。

ステップ 7

ip msdp sa-limit peer-ip-address limit

例:

switch(config)# ip msdp sa-limit 192.168.1.10 5000

ピアから受信可能な(S,G)エントリ数の上限を設定します。デフォルトでは、上限はありません。

ステップ 8

(任意) ip msdp keychain peer-ip-address name

例:

switch(config)# ip msdp keychain 192.168.1.10 5000 mykeychain
(任意)

ピアのキーチェーン認証を有効にします。ここで <keychain> はキーチェーンの名前です。

(注)  

 
  • キーチェーンを設定する前でも、特定のキーチェーン名を使用して認証を設定できますが、認証が成功するのは有効なキーとともにキーチェーンが存在する場合だけです。

  • キーチェーン認証が構成されている場合、古いパスワードベースの認証は(存在する場合でも)無視されます。

ステップ 9

(任意) show ip msdp peer [peer-address] [vrf [vrf-name | all]]

例:


switch(config)# show ip msdp peer 192.168.1.10
(任意)

MSDP ピアの詳細情報を表示します。

ステップ 10

(任意) copy running-config startup-config

例:


switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

実行コンフィギュレーションを、スタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。

MSDP グローバル パラメータの設定

次の表に示されているオプションのMSDP グローバル パラメータが設定可能です。

表 3. MSDP グローバル パラメータ

パラメータ

説明

発信元インターフェイスの名前

SA メッセージ エントリの RP フィールドで使用される IP アドレス。Anycast RP を使用する場合は、すべての RP に対して同じ IP アドレスを使用します。このパラメータを使用すると、各 MSDP ピアの RP に一意の IP アドレスを定義できます。デフォルトでは、ローカル システムの RP アドレスが使用されます。

(注)  

 

RP アドレスにはループバック インターフェイスを使用することを推奨します。

グループの上限

指定したプレフィックスに対して作成される (S, G) エントリの最大数。グループの上限を超えた場合、そのグループは無視され、違反状態が記録されます。デフォルトでは、グループの上限は定義されていません。

SA インターバル

Source-Active(SA)メッセージを送信する間隔。有効値の範囲は 60 ~ 65,535 秒です。デフォルトは 60 秒です。

始める前に

Enterprise Services ライセンスがインストールされていること、および PIM と MSDP がイネーブルになっていることを確認してください。

手順の概要

  1. configure terminal
  2. ip msdp originator-id interface
  3. ip msdp group-limit limit source source-prefix
  4. ip msdp sa-interval seconds
  5. (任意) show ip msdp summary [vrf [ vrf-name | all]]
  6. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します

ステップ 2

ip msdp originator-id interface

例:

switch(config)# ip msdp originator-id loopback0

ピアの説明を示すストリングを設定します。デフォルトでは、ピアの説明は設定されていません。

SA メッセージ エントリの RP フィールドで使用される IP アドレスを設定します。デフォルトでは、ローカル システムの RP アドレスが使用されます。

(注)  

 

RP アドレスにはループバック インターフェイスを使用することを推奨します。

ステップ 3

ip msdp group-limit limit source source-prefix

例:

switch(config)# ip msdp group-limit 1000 source 192.168.1.0/24

指定したプレフィックスに対してソフトウェアが作成する (S, G) エントリの最大数。グループの上限を超えた場合、そのグループは無視され、違反状態が記録されます。デフォルトでは、グループの上限は定義されていません。

ステップ 4

ip msdp sa-interval seconds

例:

switch(config)# ip msdp sa-interval 80

Source-Active(SA)メッセージを送信する間隔。有効値の範囲は 60 ~ 65,535 秒です。デフォルトは 60 秒です。

ステップ 5

(任意) show ip msdp summary [vrf [ vrf-name | all]]

例:


switch(config)# show ip msdp summary
(任意)

MDSP コンフィギュレーションのサマリーを表示します。

ステップ 6

(任意) copy running-config startup-config

例:


switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

実行コンフィギュレーションを、スタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。

MSDP メッシュ グループの設定

グローバル コンフィギュレーション モードでオプションの MSDP メッシュ グループを設定するには、メッシュ内の各ピアを指定します。同じルータに複数のメッシュ グループを設定したり、各メッシュ グループに複数のピアを設定したりできます。

始める前に

Enterprise Services ライセンスがインストールされていること、および PIM と MSDP がイネーブルになっていることを確認してください。

手順の概要

  1. configure terminal
  2. ip msdp mesh-group peer-ip-addr mesh-name
  3. ピア IP アドレスを変更し、メッシュ内の各 MSDP ピアについてステップ 2 を繰り返します。
  4. (任意) show ip msdp mesh-group [mesh-group] [vrf [vrf-name | all]]
  5. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

ip msdp mesh-group peer-ip-addr mesh-name

例:

switch(config)# ip msdp mesh-group 192.168.1.10 my_mesh_1

MSDP メッシュを設定してピア IP アドレスを指定します。同じルータに複数のメッシュを設定したり、各メッシュ グループに複数のピアを設定したりできます。デフォルトでは、メッシュ グループは設定されていません。

ステップ 3

ピア IP アドレスを変更し、メッシュ内の各 MSDP ピアについてステップ 2 を繰り返します。

ステップ 4

(任意) show ip msdp mesh-group [mesh-group] [vrf [vrf-name | all]]

例:

switch# show ip msdp mesh-group
(任意)

MSDP メッシュ グループ設定に関する情報を表示します。

ステップ 5

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

実行コンフィギュレーションを、スタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。

MSDP プロセスの再起動

始める前に

MSDP プロセスを再起動し、オプションとして、すべてのルートをフラッシュすることができます。

手順の概要

  1. restart msdp
  2. configure terminal
  3. ip msdp flush-routes
  4. (任意) show running-configuration | include flush-routes
  5. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

restart msdp

例:

switch# restart msdp

MSDP プロセスを再起動します。

ステップ 2

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

ip msdp flush-routes

例:

switch(config)# ip msdp flush-routes

MSDP プロセスの再起動時に、ルートを削除します。デフォルトでは、ルートはフラッシュされません。

ステップ 4

(任意) show running-configuration | include flush-routes

例:

switch(config)# show running-configuration | include flush-routes
(任意)

実行コンフィギュレーションの flush-routes 設定行を表示します。

ステップ 5

(任意) copy running-config startup-config

例:


switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

実行コンフィギュレーションを、スタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。

MSDP の設定の確認

MSDP の設定情報を表示するには、次の作業のいずれかを行います。

コマンド

説明

show ip msdp count [as-number] [vrf [vrf-name | all]]

MSDP (S,G) エントリ数およびグループ数を自律システム(AS)番号別に表示します。

show ip msdp mesh-group [mesh-group] [vrf [vrf-name | all]]

MSDP メッシュ グループ設定を表示します。

show ip msdp peer [peer-address] [vrf [vrf-name | all]]

MSDP ピアの MSDP 情報を表示します。

show ip msdp rpf [rp-address] [vrf [vrf-name | all]]

RP アドレスへの BGP パス上にあるネクストホップ AS を表示します。

show ip msdp sources [vrf [vrf-name | all]]

MSDP で学習された送信元と、グループ上限設定に関する違反状況を表示します。

show ip msdp summary [vrf [vrf-name | all]]

MSDP ピア設定の要約を表示します。

MSDP のモニタリング

次に、MSDP の統計情報を、表示およびクリアするための機能について説明します。

統計の表示

次のコマンドを使用して、MSDP 統計情報を表示できます。

コマンド

説明

show ip msdp policy statistics sa-policy peer-address {in | out} [vrf [vrf-name | all]]

MSDP ピアの MSDP ポリシー統計情報を表示します。

show ip msdp {sa-cache | route} [source-address] [group-address] [vrf [vrf-name | all]] [asn-number] [peer peer-address]

MSDP SA ルート キャッシュを表示します。送信元アドレスを指定した場合は、その送信元に対応するすべてのグループが表示されます。グループ アドレスを指定した場合は、そのグループに対応するすべての送信元が表示されます。

統計情報のクリア

MSDP 統計情報は、以下のコマンドを使用してクリアできます。

コマンド

説明

clear ip msdp peer [peer-address] [vrf vrf-name]

MSDP ピアとの TCP 接続をクリアします。

clear ip msdp policy statistics sa-policy peer-address {in | out} [vrf vrf-name]

MSDP ピア SA ポリシーの統計情報カウンタをクリアします。

clear ip msdp statistics [peer-address] [vrf vrf-name]

MSDP ピア の統計情報をクリアします。

clear ip msdp {sa-cache | route} [group-address] [vrf [vrf-name | all]]

SA キャッシュ内のグループ エントリをクリアします。

MSDP の設定例

MSDP ピア、一部のオプション パラメータ、およびメッシュ グループを設定するには、MSDP ピアごとに次の手順を実行します。

  1. 他のルータとの MSDP ピアリング関係を設定します。

    switch# configure terminal
    switch(config)# ip msdp peer 192.168.1.10 connect-source ethernet 1/0 remote-as 8
    
    
  2. オプションのピア パラメータを設定します。

    switch# configure terminal
    switch(config)# ip msdp password 192.168.1.10 my_peer_password_AB
    
    
  3. オプションのグローバル パラメータを設定します。

    switch# configure terminal
    switch(config)# ip msdp sa-interval 80
    
    
  4. 各メッシュ グループ内のピアを設定します。

    switch# configure terminal
    switch(config)# ip msdp mesh-group 192.168.1.10 mesh_group_1
    
    

次に、下に示す MSDP ピアリングのサブセットの設定例を示します。

RP 3: 192.168.3.10(AS 7)


configure terminal
  ip msdp peer 192.168.1.10 connect-source ethernet 1/1
  ip msdp peer 192.168.2.10 connect-source ethernet 1/2
  ip msdp peer 192.168.6.10 connect-source ethernet 1/3 remote-as 9
  ip msdp password 192.168.6.10 my_peer_password_36
  ip msdp sa-interval 80
  ip msdp mesh-group 192.168.1.10 mesh_group_123
  ip msdp mesh-group 192.168.2.10 mesh_group_123
  ip msdp mesh-group 192.168.3.10 mesh_group_123

RP 5: 192.168.5.10(AS 8)


configure terminal
  ip msdp peer 192.168.4.10 connect-source ethernet 1/1
  ip msdp peer 192.168.6.10 connect-source ethernet 1/2 remote-as 9
  ip msdp password 192.168.6.10 my_peer_password_56
  ip msdp sa-interval 80

RP 6: 192.168.6.10(AS 9)


configure terminal
  ip msdp peer 192.168.7.10 connect-source ethernet 1/1
  ip msdp peer 192.168.3.10 connect-source ethernet 1/2 remote-as 7
  ip msdp peer 192.168.5.10 connect-source ethernet 1/3 remote-as 8
  ip msdp password 192.168.3.10 my_peer_password_36
  ip msdp password 192.168.5.10 my_peer_password_56
  ip msdp sa-interval 80

関連資料

関連項目

マニュアル タイトル

MBGP の設定

『Cisco Nexus 9000 シリーズ NX-OS ユニキャスト ルーティング設定ガイド』

標準

標準

タイトル

RFC 4624

マルチキャスト ソース検出プロトコル(MSDP)