管理イーサネット インターフェイスの使用

Cisco 8500 シリーズ Catalyst エッジプラットフォームには、1 つのギガビットイーサネットの管理イーサネット インターフェイスがあります。

この章で紹介する機能情報の入手方法

ご使用のソフトウェア リリースで、このモジュールで説明されるすべての機能がサポートされているとは限りません。最新の機能情報と注意事項については、ご使用のプラットフォームとソフトウェアリリースに対応したリリースノートを参照してください。

プラットフォームのサポートおよびシスコ ソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator には、http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスします。Cisco.com のアカウントは必要ありません。

目次

このマニュアルは、次の内容で構成されています。

ギガビット イーサネット管理インターフェイスの概要

このインターフェイスの目的は、ユーザがルータ上で管理タスクを実行できるようにすることです。基本的には、インターフェイスが原因で不要にネットワーク トラフィックが転送されたり、また、ほとんどの場合は転送できなかったりしますが、Telnet およびセキュア シェル(SSH)を経由すれば、ルータへのアクセスが可能となり、ルータ上のほとんどの管理タスクを実行することができます。このインターフェイスは、ルータがルーティングを開始する前か、または SPA インターフェイスが非アクティブ時にトラブルシューティングを行う場合に有用な機能を提供します。

管理イーサネット インターフェイスでは、次の点に注意してください。

  • インターフェイスでサポートされるルーテッド プロトコルは、IPv4、IPv6、および ARP だけです。
  • イーサネット管理インターフェイスは、合法的傍受の MD ソース インターフェイスとしては使用できません。
  • 管理イーサネット インターフェイスは、自身の VPN ルーティングおよび転送(VRF)の一部です。詳細については、ギガビット イーサネット管理インターフェイスの VRFを参照してください。

ギガビット イーサネット ポートの番号

ギガビット イーサネット管理ポートは、常に GigabitEthernet0 です。

ポートには、Cisco 8500 シリーズ Catalyst エッジプラットフォームの他のポートと同様に、設定モードでアクセスできます。


Router#config t
Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
Router(config)#interface gigabitethernet0
Router(config-if)#

ROMmon および管理イーサネット ポートの IP アドレス処理

Cisco 8500 シリーズ Catalyst エッジプラットフォームでは、IP アドレスを ROMmon(IP_ADDRESS= および IP_SUBNET_MASK= コマンド)に、IOS コマンドライン インターフェイス(インターフェイス コンフィギュレーション モードの ip address コマンド)を使用して設定できます。

Cisco 8500 シリーズ Catalyst エッジプラットフォーム上で IOS プロセスが開始しない場合、ROMmon に設定された IP アドレスが管理イーサネット インターフェイスの IP アドレスとして動作します。IOS プロセスが稼働中で、管理イーサネット インターフェイスを制御している場合は、IOS CLI のインターフェイス Gigabit Ethernet 0 の設定時に指定した IP アドレスが、管理イーサネット インターフェイスの IP アドレスとなります。ROMmon で定義された IP アドレスは、IOS プロセスが非アクティブな場合にだけインターフェイス アドレスとして使用されます。

このため、ROMmon と IOS CLI で指定された IP アドレスは同一になり、管理イーサネット インターフェイスはシングル RP 構成で適切に機能します。

ギガビット イーサネット管理インターフェイスの VRF

ギガビット イーサネット管理インターフェイスは、自動的に自身の VRF の一部となっています。「Mgmt-intf」という名前の VRF は Cisco 8500 シリーズ Catalyst エッジプラットフォーム上で自動的に設定され、管理イーサネット インターフェイス専用となります。他のインターフェイスはこの VRF に加入できません。したがって、この VRF はマルチプロトコル ラベル スイッチング(MPLS)VPN VRF またはその他のネットワーク規模の VRF には参加できません。Mgmt-intf VRF は、ループバック インターフェイスをサポートします。

管理イーサネット インターフェイスを自身の VRF 内に配置すると、管理イーサネット インターフェイスに次のような影響が発生します。

  • VRF 内では多数の機能を設定して使用する必要があるため、特定の管理イーサネット機能に関して、CLI が Cisco 8500 シリーズ Catalyst エッジプラットフォーム上と他のルータの管理イーサネット インターフェイス上とで異なる可能性があります。
  • トラフィックが、ルータを中継して通過できなくなります。すべての内蔵ポートと管理イーサネット インターフェイスはそれぞれ異なる VRF に配置されるため、中継トラフィックは管理イーサネット インターフェイスに着信できず、内蔵ポートから発信することができなくなります。また、その逆のことも発生します。
  • インターフェイスのセキュリティが改善されます。Mgmt-intf VRF は自身の VRF 内に属することで、独自のルーティング テーブルがあるため、ユーザが明示的に管理イーサネット インターフェイスを開始した場合にだけ、ルートを管理イーサネット インターフェイスのルーティング テーブルに追加できます。

管理イーサネット インターフェイスの VRF では、IPv4 と IPv6 の両方のアドレス ファミリがサポートされます。

共通のイーサネット管理タスク

ユーザは管理イーサネット インターフェイスを介してルータ上のほとんどのタスクを実行できます。

ここでは、Cisco 8500 シリーズ Catalyst エッジプラットフォーム上で共通のタスクまたは少し注意が必要なタスクについて説明します。ただし、管理イーサネット インターフェイスで実行できるすべてのタスクを包括的に説明するわけではありません。

ここでは、次のプロセスについて説明します。

VRF 設定の表示

管理イーサネット インターフェイスの VRF 設定は、show running-config vrf コマンドを使用して、表示できます。

次に、デフォルトの VRF 設定の例を示します。


Router# show running-config vrf
Building configuration...
Current configuration : 351 bytes
vrf definition Mgmt-intf
 !
 address-family ipv4
 exit-address-family
 !
 address-family ipv6
 exit-address-family
!
(some output removed for brevity)

管理イーサネット VRF の詳細な VRF 情報の表示

管理イーサネット VRF の詳細情報を表示するには、 show vrf detail Mgmt-intf コマンドを入力します。


Router# show vrf detail Mgmt-intf

管理イーサネット インターフェイス VRF でのデフォルト ルートの設定

管理イーサネット インターフェイス VRF でデフォルト ルートを設定するには、次のコマンドを入力します。

ip route vrf Mgmt-intf 0.0.0.0 0.0.0.0 next-hop-IP-address

管理イーサネット IP アドレスの設定

管理イーサネット ポートの IP アドレスは、その他のインターフェイス上の IP アドレスと同じように設定します。

次に、管理イーサネット インターフェイス上で IPv4 アドレスおよび IPv6 アドレスを設定する簡単な例を 2 つ示します。

IPv4 の例


Router(config)# interface GigabitEthernet 0 
Router(config-if)# ip address
 A.B.C.D A.B.C.D 

IPv6 の例


Router(config)# interface GigabitEthernet 0 

Router(config-if)# ipv6 address X:X:X:X::X

管理イーサネット インターフェイス上での Telnet 接続

Telnet 接続は、管理イーサネット インターフェイスを使用して VRF 経由で行うことができます。

次の例では、ルータは管理イーサネット インターフェイスの VRF を介して 172.17.1.1 に Telnet 接続します。


Router# telnet 172.17.1.1 /vrf Mgmt-intf

管理イーサネット インターフェイス上での PING の実行

他のインターフェイスへの PING の実行は、管理イーサネット インターフェイスを使用して VRF 経由で行うことができます。

次の例では、ルータは管理イーサネット インターフェイスを介して、172.17.1.1 の IP アドレスが設定されたインターフェイスに PING を送信します。


Router# ping vrf Mgmt-intf 172.17.1.1
                                                                                
Type escape sequence to abort.
Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 172.17.1.1, timeout is 2 seconds:
.!!!!
Success rate is 80 percent (4/5), round-trip min/avg/max = 1/1/1 ms

TFTP または FTP を使用したコピー

管理イーサネット インターフェイスにより TFTP を使用してファイルをコピーする場合、copy tftp コマンドには VRF 名を指定するオプションがないため、copy tftp コマンドを入力する前に ip tftp source-interface GigabitEthernet 0 コマンドを入力する必要があります。

同様に、管理イーサネット インターフェイスにより FTP を使用してファイルをコピーする場合、copy ftp コマンドには VRF 名を指定するオプションがないため、copy ftp コマンドを入力する前に ip ftp source-interface GigabitEthernet 0 コマンドを入力する必要があります。

TFTP の例


Router(config)# ip tftp source-interface gigabitethernet 0

FTP の例


Router(config)# ip ftp source-interface gigabitethernet 0

NTP サーバー

管理イーサネット インターフェイスを通じて Network Time Protocol(NTP)タイムサーバーと同期をとれるようにソフトウェアクロックを設定するには、ntp server vrf Mgmt-intf コマンドを入力し、アップデートを提供するデバイスの IP アドレスを指定します。

次の CLI では、このプロシージャの例を示します。


Router(config)# ntp server vrf Mgmt-intf 172.17.1.1

SYSLOG サーバー

送信元の IP または IPv6 アドレスとして管理イーサネット インターフェイスをログに記録されるように指定するには、logging host <ip-address> vrf Mgmt-intf コマンドを入力します。

次の CLI では、このプロシージャの例を示します。


Router(config)# logging host <ip-address> vrf Mgmt-intf

SNMP 関連サービス

管理イーサネット インターフェイスをすべての SNMP トラップメッセージのソースとして指定するには、snmp-server source-interface traps gigabitEthernet 0 コマンドを入力します。

次の CLI では、このプロシージャの例を示します。


Router(config)# snmp-server source-interface traps gigabitEthernet 0

ドメイン名の割り当て

管理イーサネット インターフェイスへのドメイン名の割り当ては、VRF を介して実行されます。

デフォルトのドメイン名を管理イーサネット VRF インターフェイスとして定義するには、ip domain-name vrf Mgmt-intf domain コマンドを入力します。


Router(config)# ip domain-name vrf Mgmt-intf cisco.com

DNS サービス

管理イーサネット インターフェイスの VRF をネームサーバーとして指定するには、ip name-server vrf Mgmt-intf IPv4-or-IPv6-address コマンドを入力します。


Router(config)# ip name-server vrf Mgmt-intf
 IPv4-or-IPv6-address 

RADIUS サーバーまたは TACACS+ サーバー

管理 VRF を AAA サーバーグループの一部としてグループ化するには、AAA サーバーグループの設定時に ip vrf forward Mgmt-intf コマンドを入力します。

TACACS+ サーバーグループを設定する場合も、同様にします。管理 VRF を TACACS+ サーバーグループの一部としてグループ化するには、TACACS+ サーバーグループの設定時に ip vrf forwarding Mgmt-intf コマンドを入力します。

RADIUS サーバーグループの設定


Router(config)# aaa group server radius hello
Router(config-sg-radius)# ip vrf forwarding Mgmt-intf

TACACS+ サーバーグループの例


outer(config)# aaa group server tacacs+ hello
Router(config-sg-tacacs+)# ip vrf forwarding Mgmt-intf 

ACL を使用した VTY 回線

アクセス コントロール リスト(ACL)を、VRF を使用する(または使用しない)vty 回線に付加するには、ACL を vty 回線に付加する際に vrf-also オプションを使用します。


Router(config)# line vty 0 4
Router(config-line)# access-class 90 in vrf-also