パケットトレースについて
パケットトレース機能を使用すると、エッジデバイスでのパケット損失をデバッグし、ネットワーク内にあるデバイスでのトラフィックフローの転送動作を検査できます。パケットフローがどのように分離され、トレース用にキャプチャされるかに基づいて、さまざまな条件でパケットトレーサを設定できます。これにより、問題の診断とトラブルシュートを効率化できます。
パケットトレーサには、パスデータのコピーに使用される 2048 バイトの内部メモリが組み込まれています。このメモリは、トレースの循環モード中に上書きされます。
パケットトレース機能は、アカウンティング、サマリー、パスデータという 3 つのレベルのパケット検査を提供します。各レベルは、一部のパケット処理機能を犠牲にして、パケット処理の詳細なビューを提供します。ただし、パケットトレースは、debug platform condition ステートメントに一致するパケットの検査を制限し、大量のトラフィックが発生する環境下でも実行可能なオプションです。
Cisco IOS XE リリース 17.8.1a では、条件付きデバッグ一致フィルタ用に、双方向サポートがエッジデバイスに追加されています。条件付きデバッグにより、エッジデバイスでデバッグ情報の一部を除外できます。特定のインターフェイス、MAC アドレス、またはユーザー名に一致するデバッグ情報を確認できます。
パケット トレース レベル |
説明 |
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アカウンティング |
パケットトレースのアカウンティングでは、ネットワークプロセッサに出入りするパケット数が示されます。パケットトレースのアカウンティングは負荷の軽いパフォーマンス アクティビティであり、無効化されるまで継続的に実行されます。 |
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サマリー |
パケットトレースのサマリーレベルでは、限られた数のパケットデータが収集されます。パケットトレースのサマリーは、入力インターフェイスと出力インターフェイス、最終的なパケットの状態、消費されたパケットの状態、およびパケットのパント、ドロップ、インジェクションを随時追跡します。サマリーデータの収集は、通常のパケット処理と比較してパフォーマンスが高く、問題のあるインターフェイスを分離するのに役立ちます。 | ||
パスデータ |
パケットトレースのパスデータレベルでは、パケットトレースが最も詳細なレベルで実行されます。限られた数のパケットを対象にデータが収集されます。パケットトレースのパスデータでは、条件付きデバッグ ID を含むデータがキャプチャされます。このデータは、機能デバッグ、タイムスタンプ、および機能固有のパストレースデータと関連付ける際に役立ちます。 パスデータには、パケットコピーと Feature Invocation Array(FIA)トレースという 2 つのオプション機能もあります。パケットコピーオプションを使用すると、パケットの各種レイヤ(レイヤ 2、レイヤ 3、レイヤ 4)で入力パケットや出力パケットをコピーできます。FIA トレースオプションは、パケット処理中に呼び出されたすべての機能エントリを追跡します。このオプションは、パケット処理中に何が起こっているかを把握する際に役立ちます。
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パケットトレースの設定に関する使用上のガイドライン
パケットトレースを設定する際には、次のベストプラクティスを考慮してください。
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パケットをより包括的に表示するには、パケットトレースを使用する際に入力条件を使用することを推奨します。
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パケットトレースの設定には、データプレーンメモリが必要です。データプレーンメモリが制限されているシステムでは、パケットトレース値をどのように選択するかを慎重に検討してください。パケットトレースによって消費されるメモリ量の概算値は、次の式で求められます。
必要なメモリ =(統計オーバーヘッド)+(パケット数)*(サマリーサイズ + データサイズ + パケットコピーサイズ)。
パケットトレース機能を有効にすると、統計用に少量の固定メモリが割り当てられます。同様に、パケットごとのデータをキャプチャする場合、サマリーデータ用に各パケットに少量の固定メモリが必要です。ただし、式が示すように、トレース対象に選択したパケット数や、パスデータとパケットのコピーを収集するかどうかによって、消費されるメモリ量が大きく影響される可能性があります。
(注) |
パケットトレース機能によって消費されるメモリの量は、パケットトレース設定の影響を受けます。他のルータサービスの中断を避けるために、パケットごとのパスデータとコピーバッファのサイズ、およびトレースするパケット数を慎重に選択する必要があります。 |
制限事項
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IP パケットのみがサポートされます。L2(ARP)パケット、ブリッジパケット、フラグメント化されたパケット、およびマルチキャストパケットはサポートされていません。
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IPv6 はサポートされていません。
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パケットの複製はサポートされていません。
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再送信されたパケット(例:IPsec または GRE 暗号化パケット)が内部パケット (復号されたパケット)と外部パケット(暗号化されたパケット)の両方で設定されたフィルタに一致する場合、そのパケットには、個別のトレースエントリがあります。パケットトレーサをより効率的に使用するには、問題のデバッグで利用できる情報に基づき、できるだけ多くのフィルタを設定する必要があります。