この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
この章では、Cisco NX-OS スイッチ上でオブジェクト トラッキングを設定する方法について説明します。
• 「関連資料」
オブジェクト トラッキングを使用すると、インターフェイス ライン プロトコル ステート、IP ルーティング、ルート到達可能性などの、スイッチ上の特定のオブジェクトをトラッキングし、トラッキング対象オブジェクトのステートが変化したときに対処できます。この機能により、ネットワークのアベイラビリティが向上し、オブジェクトがダウン状態となった場合の回復時間が短縮されます。
オブジェクト トラッキング機能を使用すると、トラッキング対象オブジェクトを作成できます。複数のクライアントでこのオブジェクトを使用し、トラッキング対象オブジェクトが変化したときのクライアント動作を変更できます。複数のクライアントがそれぞれの関心をトラッキング プロセスに登録し、同じオブジェクトをトラッキングし、オブジェクトのステートが変化したときに異なるアクションを実行します。
オブジェクト トラッキングは、トラッキング対象オブジェクトのステータスをモニタし、変更があった場合は関係クライアントに伝えます。各トラッキング対象オブジェクトは、一意の番号で識別します。クライアントはこの番号を使用して、トラッキング対象オブジェクトのステートが変化したときに実行するアクションを設定できます。
Cisco NX-OS がトラッキングするオブジェクト タイプは、次のとおりです。
• インターフェイス ライン プロトコル ステート:ライン プロトコル ステートがアップまたはダウンかどうかをトラッキングします。
• インターフェイス IP ルーティング ステート:インターフェイスに IPv4 アドレスが設定されていて、IPv4 ルーティングがイネーブルでアクティブかどうかをトラッキングします。
• IP ルート到達可能性:IPv4 ルートが存在していて、ローカル スイッチから到達可能かどうかをトラッキングします。
たとえば、HSRP を設定すると、冗長ルータの 1 つをネットワークの他の部分に接続するインターフェイスのライン プロトコルをトラッキングできます。そのリンクがダウンした場合、影響のある HSRP ルータのプライオリティを変更できます。
オブジェクト トラッキング リストを使用すると、複数のオブジェクトのステートをまとめてトラッキングできます。オブジェクト トラッキング リストは次の機能をサポートします。
• ブール「and」機能:トラッキング リスト オブジェクトがアップになるには、トラッキング リスト内に定義された各オブジェクトがアップ状態である必要があります。
• ブール「or」機能:トラッキング対象オブジェクトがアップになるには、トラッキング リスト内に定義された少なくとも 1 つのオブジェクトがアップ状態である必要があります。
• しきい値パーセンテージ:トラッキング対象リストに含まれるアップ オブジェクトのパーセンテージが、アップ状態になるトラッキング リストの設定されたアップしきい値を上回っている必要があります。トラッキング対象リストに含まれるダウン オブジェクトのパーセンテージが設定されたトラッキング リストのダウンしきい値を上回っている場合、トラッキング対象リストはダウンとしてマークされます。
• しきい値の重み:トラッキング対象リスト内の各オブジェクトに重み値を割り当て、トラッキング リストに重みしきい値を割り当てます。すべてのアップ オブジェクトの重み値の合計がトラッキング リストの重みアップしきい値を超えている場合、トラッキング リストはアップ状態になります。すべてのダウン オブジェクトの重み値の合計がトラッキング リストの重みダウンしきい値を超えている場合、トラッキング リストはダウン状態になります。
他のエンティティ(たとえば、仮想ポート チャネル(vPC))は、オブジェクト トラッキング リストを使用することにより、vPC を作成する複数のピア リンクのステートに基づいて vPC のステートを変更できます。vPC の詳細については、『 Cisco Nexus 5000 Series NX-OS Layer 2 Switching Configuration Guide』 を参照してください。
トラック リストの詳細については、「ブール式を使用したオブジェクト トラッキング リストの設定」を参照してください。
オブジェクト トラッキングは VRF(仮想ルーティングおよびフォワーディング)インスタンスをサポートします。デフォルトでは、特に別の VRF を設定しない限り、Cisco NX-OS によりデフォルト VRF が使用されます。Cisco NX-OS はデフォルトで、デフォルト VRF のオブジェクトのルート到達可能ステートをトラッキングします。別の VRF のオブジェクトをトラッキングする場合は、その VRF のメンバとしてオブジェクトを設定する必要があります(「非デフォルト VRF のオブジェクト トラッキング設定」を参照)。
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オブジェクト トラッキングにライセンスは不要です。ライセンス パッケージに含まれていない機能はすべて Cisco NX-OS システム イメージにバンドルされており、追加費用は一切発生しません。Cisco NX-OS ライセンス方式の詳細については、『 Cisco NX-OS Licensing Guide 』を参照してください。 |
オブジェクト トラッキング設定時の注意事項および制約事項は、次のとおりです。
• 最大 500 のトラッキング対象オブジェクトをサポートします。
• イーサネット、サブインターフェイス、トンネル、ポート チャネル、ループバック インターフェイス、および VLAN インターフェイスをサポートします。
表 14-1 に、オブジェクト トラッキング パラメータのデフォルト設定を示します。
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• 「ブール式を使用したオブジェクト トラッキング リストの設定」
• 「パーセンテージしきい値を使用したオブジェクト トラッキング リストの設定」
• 「重みしきい値を使用したオブジェクト トラッキング リストの設定」
• 「非デフォルト VRF のオブジェクト トラッキング設定」
(注) Cisco IOS の CLI に慣れている場合、この機能の Cisco NX-OS コマンドは従来の Cisco IOS コマンドと異なる点があるため注意が必要です。
インターフェイスのライン プロトコルまたは IPv4 ルーティングのステートをトラッキングするように Cisco NX-OS を設定できます。
2. track object- id interface interface-type number { ip routing | line-protocol }
Ethernet 1/2 上でライン プロトコル ステートのオブジェクト トラッキングを設定する例を示します。
Ethernet 1/2 上で IPv4 ルーティング ステートのオブジェクト トラッキングを設定する例を示します。
2. track object- id ip route prefix/length reachability
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track object-id ip route prefix/length reachability |
ルートのトラッキング対象オブジェクトを作成し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。 object-id の範囲は 1 ~ 500 です。IP のプレフィクス フォーマットは A.B.C.D/length です。length の範囲は 1 ~ 32 です。 |
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デフォルト VRF で、IPv4 ルートのオブジェクト トラッキングを設定する例を示します。
複数のトラッキング対象オブジェクトを含むオブジェクト トラッキング リストを設定できます。トラッキング対象リストには 1 つまたは複数のオブジェクトが含まれます。ブール式では、「and」または「or」演算子を使用して 2 種類の演算を実行できます。たとえば、「and」演算子を使用して 2 つのインターフェイスをトラッキングする場合、「アップ」は両方のインターフェイスがアップであることを意味し、「ダウン」はどちらかのインターフェイスがダウンであることを意味します。
2. track track-number list boolean { and | or }
次に、複数のオブジェクトを含むトラッキング リストをブール「and」で設定する例を示します。
パーセンテージしきい値を含むオブジェクト トラッキング リストを設定できます。トラッキング対象リストには 1 つまたは複数のオブジェクトが含まれます。トラッキング リストがアップ状態になるには、アップ オブジェクトのパーセンテージがトラッキング リストに設定されたパーセントしきい値を超えている必要があります。たとえば、追跡対象リストに 3 つのオブジェクトが含まれており、アップしきい値を 60 % に設定した場合は、2 つのオブジェクト(全オブジェクトの 66 %)がアップ状態になるまで、追跡リストがアップ状態になりません。
2. track track-number list threshold percentage
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track track-number list threshold percentage |
トラッキング対象リスト オブジェクトを設定し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。トラッキング対象リストのステートが設定されたしきい値パーセントに基づいて決まることを指定します。 |
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次に、アップしきい値が 70 % でダウンしきい値が 30 % の追跡リストを設定する例を示します。
重みしきい値を含むオブジェクト トラッキング リストを設定できます。トラッキング対象リストには 1 つまたは複数のオブジェクトが含まれます。トラッキング リストがアップ ステートになるには、アップ オブジェクトの重み値の合計がトラッキング リストに設定されたアップ重みしきい値を超えている必要があります。たとえば、トラッキング対象リストに重み値がデフォルトの 10 である 3 つのオブジェクトがあり、アップしきい値を 15 に設定した場合、トラッキング リストがアップ状態になるには、2 つのオブジェクトがアップ状態になる(重み値の合計が 20 になる)必要があります。
2. track track-number list threshold weight
3. threshold weight up up-value down down-value
次に、トラッキング リストのアップ重みしきい値を 30、ダウンしきい値を 10 にそれぞれ設定する例を示します。
この例では、オブジェクト 10 とオブジェクト 20 がアップの場合にトラッキング リストがアップになり、3 つのオブジェクトがすべてダウンの場合にトラッキング リストがダウンになります。
トラッキング対象オブジェクトまたはオブジェクト トラッキング リストに対して、オブジェクトまたはリストがステートの変化を開始したときに適用する遅延を設定できます。トラッキング対象オブジェクトまたはトラッキング リストは、ステートの変化が発生したときに遅延タイマーを開始しますが、遅延タイマーが切れるまでステートの変化を認識しません。遅延タイマーが切れると、Cisco NX-OS は再びオブジェクトのステートを確認し、オブジェクトまたはリストが現在も変更されたステートのままだった場合にだけステートの変化を記録します。オブジェクト トラッキングは遅延タイマーが切れる前の中間的なステートの変化を無視します。
たとえば、インターフェイス ライン プロトコルのトラッキング対象オブジェクトがアップ ステートであり、ダウン遅延が 20 秒に設定されている場合は、ライン プロトコルがダウンになると遅延タイマーが開始します。20 秒後にライン プロトコルがダウンになっていなければ、このオブジェクトはダウン ステートになりません。
トラッキング対象オブジェクトまたはトラッキング リストには、独立したアップ遅延とダウン遅延を設定できます。遅延を削除すると、オブジェクト トラッキングからアップ遅延とダウン遅延の両方が削除されます。
遅延は任意の時点で変更できます。オブジェクトまたはリストがトリガーされたイベントから遅延タイマーをすでにカウントしている場合は、次のようにして新しい遅延が計算されます。
• 新しい設定値が古い設定値より小さい場合は、新しい値でタイマーが開始します。
• 新しい設定値が古い設定値より大きい場合は、新しい設定値から現在のタイマーのカウントダウンを引き、古い設定値を引いたものがタイマーになります。
2. track object- id { parameters }
3. track track-number list { parameters }
4. delay { up up-time [ down down-time ] | down down-time [ up up-time ]}
次に、ルートのオブジェクト トラッキングを設定し、遅延タイマーを使用する例を示します。
次に、トラッキング リストのアップ重みしきい値を 30、ダウンしきい値を 10 にそれぞれ設定し、遅延タイマーを使用する例を示します。
次に、インターフェイスがシャットダウンする前後の show track コマンドの出力に表示された遅延タイマーの例を示します。
2. track object- id ip route prefix/length reachability
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track object-id ip route prefix/length reachability |
ルートのトラッキング対象オブジェクトを作成し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。 object-id の範囲は 1 ~ 500 です。IP のプレフィクス フォーマットは A.B.C.D/length です。length の範囲は 1 ~ 32 です。 |
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ルートのオブジェクト トラッキングを設定し、VRF Red を使用して、そのオブジェクトの到達可能性情報を調べる例を示します。
トラッキング対象オブジェクト 2 を変更し、VRF Red の代わりに VRF Blue を使用して、そのオブジェクトの到達可能性情報を調べる例を示します。
オブジェクト トラッキングの設定情報を表示するには、次のいずれかの作業を行います。
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次に、ルート到達可能性のオブジェクト トラッキングを設定し、VRF Red を使用してそのルートの到達可能性情報を調べる例を示します。
オブジェクト トラッキングの実装に関連する詳細情報については、次の項を参照してください。
• 「関連資料」
• 「標準」
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『Cisco Nexus 5000 Series Command Reference, Cisco NX-OS Releases 4.x, 5.x 』 |
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この機能でサポートされる新規または改訂された標準規格はありません。また、この機能による既存の標準規格サポートの変更はありません。 |
表 14-2 は、この機能のリリースの履歴です。
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